JP2022136911A - 固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材、酸化皮膜の形成方法、固体酸化物形燃料電池用部材及び固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材、酸化皮膜の形成方法、固体酸化物形燃料電池用部材及び固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】600℃以下の温度における導電性及び耐Cr被毒性に優れる固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材を提供する。【解決手段】質量基準で、C:0.050%以下、Si:1.50%以下、Mn:1.50%以下、P:0.050%以下、S:0.0300%以下、Cr:22.0~32.0%、Mo:3.00%以下、N:0.050%以下、Al:0.50%以下、Nb:1.00%以下、Ti:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下を含み、残部がFe及び不純物からなる母材と、前記母材の表面に形成された酸化皮膜とを有する固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材である。酸化皮膜は、O、C及びNを除くカチオン元素の全量を100質量%としたときに、(i)表面から2nmの深さの位置におけるFe及びMnの合計濃度が35質量%超過85質量%未満である、(ii)Crの最大ピーク濃度が40質量%超過である、を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材、酸化皮膜の形成方法、固体酸化物形燃料電池用部材及び固体酸化物形燃料電池に関する。
従来の固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、作動温度が600℃を超える高温作動型であった。しかし、近年、600℃以下の温度帯域で作動する低温作動型の固体酸化物形燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。このような固体酸化物形燃料電池の構成部材には、コストや耐食性などの観点から、ステンレス鋼材が一般的に用いられる。
また、固体酸化物形燃料電池は、主に定置型電源として開発が進められていた。しかし、近年、業務・産業用車両や、自動車、飛行機などの様々な移動体への用途拡大が期待されている。
特開2020-53388号公報 特許第6696992号公報
固体酸化物形燃料電池を構成する部材(例えば、セパレータ、インターコネクタ、集電体など)には、導電性が要求される。しかし、この部材の導電性は、作動温度が低くなるにつれて低下するため、従来の高温作動型の固体酸化物形燃料電池に用いられていた部材では導電性が十分でないことがある。
一方、導電性を高めるためには、当該部材中のCr含有量を増加させることが考えられるが、Cr含有量を増加するとCr被毒が生じ易くなる。ここで、Cr被毒とは、当該部材中から蒸発したCrが他の部材上に析出して、その機能が低下することをいう。このCr被毒は、電極活性の低下や抵抗増大などを生じさせるため、固体酸化物形燃料電池の信頼性が低下する要因となる。そのため、当該部材には、Cr被毒を抑制する効果(以下、「耐Cr被毒性」という)が要求される。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、600℃以下の温度における導電性及び耐Cr被毒性に優れる固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材及び酸化皮膜の形成方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このような特徴を有する固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材を備える固体酸化物形燃料電池用部材及び固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、ステンレス鋼材について鋭意研究を行った結果、母材及びその表面の酸化皮膜を特定の組成に制御することにより、上記の問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、質量基準で、C:0.050%以下、Si:1.50%以下、Mn:1.50%以下、P:0.050%以下、S:0.0300%以下、Cr:22.0~32.0%、Mo:3.00%以下、N:0.050%以下、Al:0.50%以下、Nb:1.00%以下、Ti:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下を含み、残部がFe及び不純物からなる母材と、前記母材の表面に形成された酸化皮膜とを有する固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材であって、
前記酸化皮膜は、グロー放電発光分光分析による深さ方向の元素濃度プロファイルにおいて、O、C及びNを除くカチオン元素の全量を100質量%としたときに、以下の(i)及び(ii)の条件:
(i)表面から2nmの深さの位置におけるFe及びMnの合計濃度が35質量%超過85質量%未満である
(ii)Crの最大ピーク濃度が40質量%超過である
を満たす固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材である。
また、本発明は、質量基準で、C:0.050%以下、Si:1.50%以下、Mn:1.50%以下、P:0.050%以下、S:0.0300%以下、Cr:22.0~32.0%、Mo:3.00%以下、N:0.050%以下、Al:0.50%以下、Nb:1.00%以下、Ti:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下を含み、残部がFe及び不純物からなる冷延材に対して、相対湿度が2%RH以上の、大気中又はCO、CO2、Ar、N2、H2及びO2から選択される少なくとも1種を含むガス中にて、300~1000℃で1000時間以下の酸化熱処理を行う酸化皮膜の形成方法である。
また、本発明は、前記固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材を備える固体酸化物形燃料電池用部材である。
さらに、本発明は、前記固体酸化物形燃料電池用部材を備える固体酸化物形燃料電池である。
本発明によれば、600℃以下の温度における導電性及び耐Cr被毒性に優れる固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材及び酸化皮膜の形成方法を提供することができる。また、本発明によれば、このような特徴を有する固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材を備える固体酸化物形燃料電池用部材及び固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
実施例の試験No.1におけるグロー放電発光分光分析の結果(深さ方向の元素濃度プロファイル)である。 導電性の測定用試験片の上面概略図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し変更、改良などが適宜加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
なお、本明細書において成分に関する「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材(以下、「ステンレス鋼材」と略す)は、母材と、母材の表面に形成された酸化皮膜とを有する。
母材は、C:0.050%以下、Si:1.50%以下、Mn:1.50%以下、P:0.050%以下、S:0.0300%以下、Cr:22.0~32.0%、Mo:3.00%以下、N:0.050%以下、Al:0.50%以下、Nb:1.00%以下、Ti:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下を含み、残部がFe及び不純物からなる組成を有する。
ここで、「不純物」とは、ステンレス鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップなどの原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分(例えば、不可避不純物)であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。また、「ステンレス鋼材」とは、ステンレス鋼帯、ステンレス鋼板、ステンレス鋼箔などの各種形状を含む概念である。
また、母材は、有効Cr量が24.0~35.0%であることが好ましい。
さらに、母材は、必要に応じて、B:0.0100%以下、V:1.00%以下、Sn:0.50%以下、W:2.0%以下、Ca:0.0100%以下、Mg:0.010%以下、Zr:1.00%以下、Co:2.0%以下、Ga:0.01%以下、Hf:0.10%以下、REM:0.10%以下から選択される1種以上を更に含むことができる。
<C:0.050%以下>
Cは、ステンレス鋼材の600℃以下の温度における導電性に影響を与える元素である。C含有量が多すぎると、当該導電性が低下する。そのため、C含有量は、0.050%以下、好ましくは0.030%以下、より好ましくは0.020%以下とする。一方、C含有量の下限は、特に限定されないが、C含有量を低減するほど精錬工程に時間を要することとなり、製造コストが上昇する恐れがある。そのため、C含有量は、好ましくは0.0002%以上、より好ましくは0.0005%以上である。
<Si:1.50%以下>
Siは、ステンレス鋼材の耐熱性を高めるとともに、酸化皮膜の生成に有効な元素である。ただし、Si含有量が多すぎると、ステンレス鋼材の界面にSiO2の連続酸化物が生成して導電性が低下するとともに、硬質化によって靭性が低下する恐れがある。そのため、Si含有量は、1.50%以下、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.80%以下とする。一方、Si含有量の下限は、特に限定されない。Siによる上記の効果を得る観点から、Si含有量は、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.08%以上である。
<Mn:1.50%以下>
Mnは、ステンレス鋼材の靭性を向上させる元素である。また、Mnは、酸化皮膜の最表層に(Fe,Cr,Mn)34型酸化物を生成することによって、酸化皮膜の600℃以下の温度における導電性及び耐Cr被毒性を向上させるのに有効な元素でもある。ただし、Mn含有量が多すぎると、耐熱性が低下する恐れがある。そのため、Mn含有量は、1.50%以下、好ましくは1.00%以下とする。一方、Mn含有量の下限は、特に限定されない。Mnによる上記の効果を得る観点から、Mn含有量は、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.08%以上である。
<P:0.050%以下>
Pは、ステンレス鋼材の靭性を低下させる恐れがある元素である。そのため、P含有量は、0.050%以下、好ましくは0.040%以下とする。一方、P含有量の下限は、特に限定されないが、P含有量を低減するほど精錬工程に時間を要することとなり、製造コストが上昇する恐れがある。そのため、P含有量は、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.010%以上である。
<S:0.0300%以下>
Sは、硫化物系介在物を生成し、電極への蒸散・被毒によってSOFCの発電効率を低下させる恐れがある元素である。そのため、S含有量は、0.0300%以下、好ましくは0.0100%以下、さらに好ましくは0.0050%以下とする。一方、S含有量の下限は、特に限定されないが、S含有量を低減するほど精錬工程に時間を要することとなり、製造コストが上昇する恐れがある。そのため、S含有量は、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.0002%以上である。
<Cr:22.0~32.0%>
Crは、ステンレス鋼材の表面に不動態皮膜(酸化皮膜)を形成するための主要な元素であり、酸化皮膜によって耐食性、耐熱性などの特性を向上させることができる。導電性に優れる酸化皮膜を形成する観点から、Cr含有量は、22.0%以上、好ましくは22.5%以上とする。一方、Cr含有量が多すぎると、耐Cr被毒性とともに靭性などの特性が低下するため、Cr含有量は、32.0%以下、好ましくは31.0%以下である。
<Mo:3.00%以下>
Moは、ステンレス鋼材の酸化皮膜を強化するための主要な元素であり、酸化皮膜によって耐食性、耐熱性などの特性を向上させることができる。また、Moは、ステンレス鋼材の酸化皮膜の生成を促進して導電性を向上させる元素でもある。通常、酸化皮膜を構成するCr酸化物はFeを含むことから、導電性が低いものの、MoをCr酸化物中に存在させることによって導電性を向上させることができる。ただし、Mo含有量が多すぎると、硬質化によって靭性などの特性が損なわれる恐れがある。そのため、Mo含有量は、3.00%以下、好ましくは2.50%以下、より好ましくは1.50%以下とする。一方、Mo含有量の下限は、特に限定されない。Moによる上記の効果を得る観点から、Mo含有量は、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.30%以上である。
<N:0.050%以下>
Nは、Alと結合して異常酸化の起点となるAlNを生成し、ステンレス鋼材の靭性を低下させる恐れがある元素である。そのため、N含有量は、0.050%以下、好ましくは0.030%以下とする。一方、N含有量の下限は、特に限定されないが、N含有量を低減するほど精錬工程に時間を要することとなり、製造コストが上昇する恐れがある。そのため、N含有量は、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.010%以上である。
<Al:0.50%以下>
Alは、酸化皮膜の生成を促進して導電性を向上させるのに有効な元素である。ただし、Al含有量が多すぎると、Al23の連続酸化物層が生成して導電性が低下する。また、異常酸化の起点となるAlNを生成し易くなるとともに、ステンレス鋼材の靭性が損なわれる恐れがある。そのため、Al含有量は、0.50%以下、好ましくは0.30%以下とする。一方、Al含有量の下限は、特に限定されない。Alによる上記の効果を得る観点から、Al含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上である。
<Nb:1.00%以下>
Nbは、Tiと同様に、C及びNと優先的に結合してNb炭窒化物を生成するため、ステンレス鋼材の有効Cr量を高める元素である。そのため、Nbは、酸化皮膜の生成を促進して導電性の向上に寄与する。ただし、Nb含有量が多すぎると、Nb炭窒化物の生成に消費されなかった固溶Nbの量が増える。その結果、硬質化によって靭性が損なわれる恐れがある。そのため、Nb含有量は、1.00%以下、好ましくは0.50%以下とする。一方、Nb含有量の下限は、特に限定されない。Nbによる上記の効果を得る観点から、Nb含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。
<Ti:1.00%以下>
Tiは、Nbと同様に、C及びNと優先的に結合してTi炭窒化物を生成するため、ステンレス鋼材の有効Cr量を高める元素である。そのため、Tiは酸化皮膜の生成を促進して導電性の向上に寄与する。ただし、Ti含有量が多すぎると、Ti炭窒化物が粗大化してしまい、それが起点となって靭性が低下してしまう。そのため、Ti含有量は、1.00%以下、好ましくは0.50%以下とする。一方、Ti含有量の下限は、特に限定されない。Tiによる上記の効果を得る観点から、Ti含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。
<Ni:1.00%以下>
Niは、ステンレス鋼材の耐食性の向上及び靭性の低下を抑制する元素である。ただし、Niはオーステナイト相安定化元素であるため、Ni含有量が多すぎると、熱膨張係数が上昇して耐熱衝撃性などの特性が低下する。そのため、Ni含有量は、1.00%以下、好ましくは0.80%以下とする。一方、Ni含有量の下限は、特に限定されない。Niによる上記の効果を得る観点から、Ni含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。
<Cu:1.00%以下>
Cuは、ステンレス鋼材の耐食性や導電性を向上させる元素である。ただし、Cuはオーステナイト相安定化元素であるため、Cu含有量が多すぎると、熱膨張係数が上昇して耐熱衝撃性などの特性が低下する。そのため、Cu含有量は1.00%以下、好ましくは0.80%以下とする。一方、Cu含有量の下限は、特に限定されない。Cuによる上記の効果を得る観点から、Cu含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上である。
<有効Cr量:24.0~35.0%>
有効Cr量は、下記式(1)で表される。
有効Cr量(%)=Cr+2Mo+2Si+5Nb+2Ti-3(2C+3N+Ni+0.5Mn+0.2Cu) ・・・ (1)
式中、各元素記号は、各元素の含有量を表す。また、「Cr+2Mo+2Si+5Nb+2Ti」はCr当量を表し、「2C+3N+Ni+0.5Mn+0.2Cu」はNi当量を表す。
有効Cr量が多すぎると、σ相などの金属間化合物が400~600℃で析出し、靭性の低下とともに、導電性が低下する。そのため、有効Cr量は、35.0%以下、好ましくは32.0%以下とする。一方、有効Cr量が低すぎると、Cr当量がNi当量に比べて少なくなるため、酸化皮膜の生成が阻害されて導電性が低下する。そのため、有効Cr量は、24.0%以上、好ましくは25.0%以上とする。
<B:0.0100%以下>
Bは、粒界に優先的に濃化することで粒界強度を高めて二次加工性を向上させるのに有効な元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、B含有量が過剰になると粒界のボライド(Cr2B)が粗大化することによって耐Cr被毒性が低下する。そのため、B含有量は、0.0100%以下、好ましくは0.0030%以下とする。一方、B含有量の下限は、特に限定されない。Bによる効果を得る観点から、B含有量は、好ましくは0.0002%以上、より好ましくは0.0005%以上である。
<V:1.00%以下>
Vは、ステンレス鋼材の靭性を損なわずに強度を向上させる元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、V含有量が多すぎると、低融点の複合酸化物を生成して耐酸化性を著しく低下させるとともに、コストが上昇する。そのため、V含有量は、1.00%以下、好ましくは0.50%以下とする。一方、V含有量の下限は、特に限定されない。Vによる効果を得る観点から、V含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。
<Sn:0.50%以下>
Snは、耐食性及び導電性の向上に効果的な元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、Sn含有量が多すぎると、熱間加工性及び靭性が低下する。そのため、Sn含有量は、0.50%以下、好ましくは0.30%以下とする。一方、Sn含有量の下限は、特に限定されない。Snによる効果を得る観点から、Sn含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。
<W:2.0%以下>
Wは、ステンレス鋼材の靭性を損なわずに強度を向上させる元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、W含有量が多すぎると、加工性及び靭性が低下する恐れがあるとともに、コストが上昇する。そのため、W含有量は、2.0%以下、好ましくは0.5%以下とする。一方、W含有量の下限は、特に限定されない。Wによる効果を得る観点から、W含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。
<Ca:0.0100%以下>
Caは、Sを固定して耐酸化性を高め、酸化皮膜の生成を促進する元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、Ca含有量が多すぎると、介在物の生成量が増加して導電性を低下させてしまう。そのため、Ca含有量は、0.0100%以下、好ましくは0.0050%以下とする。一方、Ca含有量の下限は、特に限定されない。Caによる効果を得る観点から、Ca含有量は、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.0010%以上である。
<Mg:0.010%以下>
Mgは、ステンレス鋼材の精錬に有効な元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、Mg含有量が多すぎると、介在物の生成量が増加して導電性を低下させてしまう。そのため、Mg含有量は、0.010%以下、好ましくは0.005%以下とする。一方、Mg含有量の下限は、特に限定されない。Mgによる効果を得る観点から、Mg含有量は、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.0005%以上である。
<Zr:1.00%以下>
Zrは、Cを固定してステンレス鋼材の有効Cr量を高める元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、Zr含有量が多すぎると、ステンレス鋼材の加工性が低下してしまう。そのため、Zr含有量は、1.00%以下、好ましくは0.50%以下とする。一方、Zr含有量の下限は、特に限定されない。Zrによる効果を得る観点から、Zr含有量は、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.005%以上である。
<Co:2.0%以下>
Coは、ステンレス鋼材の靭性を損なわずに強度を向上させる元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、Co含有量が多すぎると、加工性及び靭性が低下する恐れがあるとともに、コストが上昇する。そのため、Co含有量は、2.0%以下、好ましくは0.5%以下とする。一方、Co含有量の下限は、特に限定されない。Coによる効果を得る観点から、Co含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。
<Ga:0.01%以下>
Gaは、ステンレス鋼材の熱間加工性を向上させる元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、Ga含有量が多すぎると、製造性を低下させてしまう。そのため、Ga含有量は、0.01%以下、好ましくは0.005%以下とする。一方、Ga含有量の下限は、特に限定されない。Gaによる効果を得る観点から、Ga含有量は、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.0005%以上である。
<Hf:0.10%以下>
Hfは、Cを固定してステンレス鋼材の有効Cr量を高める元素であり、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、Hf含有量が多すぎると、ステンレス鋼材の加工性が低下してしまう。そのため、Hf含有量は、0.10%以下、好ましくは0.08%以下とする。一方、Hf含有量の下限は、特に限定されない。Hfによる効果を得る観点から、Hf含有量は、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.005%以上である。
<REM:0.10%以下>
REM(希土類元素)は、S及びPに対して優先的に結合して化合物を生成するため、S及びPによる導電性の低下を抑制することができる。REMは、必要に応じてステンレス鋼材に含まれる。ただし、REM含有量が多すぎると、ステンレス鋼材が硬質化し、靭性や加工性が低下する恐れがある。そのため、REM含有量は、0.10%以下、好ましくは0.08%以下とする。一方、REM含有量の下限は、特に限定されない。REMによる効果を得る観点から、REM含有量は、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.005%以上である。
なお、REMは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)の2元素と、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までの15元素(ランタノイド)の総称を指す。これらは単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。また、REMの中でも、La及びYが好ましい。
酸化皮膜は、グロー放電発光分光分析(以下、「GDS」という)による深さ方向の元素濃度プロファイルにおいて、O、C及びNを除くカチオン元素の全量を100%としたときに、以下の(i)及び(ii)の条件を満たす。
(i)表面から2nmの深さの位置におけるFe及びMnの合計濃度が35%超過85%未満である。
(ii)Crの最大ピーク濃度が40%超過である。
(i)の条件を満たす酸化皮膜とすることにより、Crが蒸発し難くなるため、耐Cr被毒性を向上させることができる。このような効果を安定して確保する観点から、当該位置におけるFe及びMnの合計濃度は45~75%であることが好ましい。
また、(ii)の条件を満たす酸化皮膜とすることにより、Crが高濃度で存在する箇所が生じるため、600℃以下の温度における導電性を高めることができる。このような効果を安定して確保する観点から、Crの最大ピーク濃度は55~90%であることが好ましい。
酸化皮膜は、第1層を最表層に有することができる。また、酸化皮膜は、第1層の下層として第2層を有することができる。これらの層は、酸化皮膜の組成をGDSによって分析することによって特定することができる。
ここで、酸化皮膜は、GDSによる深さ方向の元素濃度プロファイルにおいて、O濃度が10%となる表面からの深さまでと定義することができ、当該深さを酸化皮膜の厚さとみなすことができる。また、酸化皮膜の第1層は、GDSによる深さ方向の元素濃度プロファイルにおいて、Fe又はMnの濃度プロファイルが酸化皮膜中で極大値を有する場合、極大値から極小値の間の中間地点までの表面からの深さと定義することができ、当該深さを第1層の厚さとみなすことができる。なお、Fe及びMnのいずれも極大値を有する場合は、表面からの深さが大きい方を酸化皮膜の第1層とし、当該深さを第1層の厚さとする。さらに、酸化皮膜の第2層は、酸化皮膜のうち第1層を除いた部分と定義することができ、酸化皮膜の厚さから酸化皮膜の第1層の厚さを引いた値を第2層の厚さとみなすことができる。
酸化皮膜の第1層は、例えば、スピネル型酸化物を含む層であり、好ましくは(Fe,Cr,Mn)34型酸化物を含む層である。
酸化皮膜の第1層の厚さは、特に限定されないが、耐Cr被毒性を安定して確保する観点から、好ましくは2~100nmである。
酸化皮膜の第2層は、例えば、Cr23を含む層である。
酸化皮膜の第2層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは15~100nmである。
なお、Cr23を含む第2層が最表層である場合、揮発種のCrO2(OH)2やCrO3が生成してCr被毒が生じ易くなるが、最表層にスピネル型酸化物を含む第1層を形成することにより、揮発種のCrO2(OH)2やCrO3の生成が抑制されるため、Cr被毒を抑制することができる。また、スピネル型酸化物を含む第1層は、Cr23を含む第2層と同程度の導電性を有するため、導電性が良好である。
本発明の実施形態に係るステンレス鋼材の形状は、特に限定されないが、板状又は箔状であることが好ましい。ステンレス鋼材が板状又は箔状である場合、その厚さは、例えば、0.1~5.0mm、好ましくは0.1~3.0mm、より好ましくは0.1~1.0mm、更に好ましくは0.1~0.5mmである。
本発明の実施形態に係るステンレス鋼材は、上記のような組成を有するスラブを用いること以外は、公知の方法に準じて製造することができる。
ここで、本発明の実施形態に係るステンレス鋼材の典型的な製造方法の一例について説明する。なお、本発明の実施形態に係るステンレス鋼材の製造方法は、下記の製造方法に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係るステンレス鋼材は、上記の組成を有するスラブを熱間圧延した後、冷間圧延して得られる冷延材に対して、酸化熱処理を行うことによって製造することができる。熱間圧延及び冷間圧延の条件は特に限定されず、組成に応じで適宜調整すれば良い。冷延材には、焼鈍や酸洗などが施されていてもよい。
酸化熱処理は、冷延材に対して、相対湿度が2%RH以上の、大気中又はCO、CO2、Ar、N2、H2及びO2から選択される少なくとも1種を含むガス中にて、300~1000℃で1000時間以下の条件で行われる。600℃以下ではこのような条件で酸化熱処理を行うことにより、上記の特性を有する酸化皮膜を安定して形成することができる。
本発明の実施形態に係るステンレス鋼材は、酸化皮膜が特定の組成を有しているため、600℃以下の温度における導電性及び耐Cr被毒性に優れる。したがって、本発明の実施形態に係るステンレス鋼材は、固体酸化物形燃料電池、特に600℃以下(例えば、500~600℃)の温度帯域で作動する低温作動型の固体酸化物形燃料電池に用いるのに適している。
本発明の実施形態に係るステンレス鋼材が固体酸化物形燃料電池に用いられる場合、セパレータ、集電体(例えば、空気極集電体及び燃料極集電体)、インターコネクタ、バスバー、端部プレート、燃料極フレームなどの部材にステンレス鋼材を用いることができる。これらの中でも、本発明の実施形態に係るステンレス鋼材は、セパレータ、インターコネクタ及び集電体から選択される1種以上の部材に用いることが好ましい。
本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用部材は、本発明の実施形態に係るステンレス鋼材を備える。また、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用部材を備える。
固体酸化物形燃料電池用部材としては、特に限定されず、上記した各種部材が挙げられる。
ステンレス鋼材は、各種部材の形状に合わせて適宜形状加工することができる。また、ステンレス鋼材の表面には、導電コーティング層が形成されていてもよい。導電コーティング層としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の材料から形成することができる。例えば、導電コーティング層は、Ag、Coなどの導電性に優れる金属を用いて形成することができる。また、導電コーティング層は、単一金属の層であっても合金の層であってもよく、また、単層構造であっても積層構造であってもよい。
なお、ステンレス鋼材は、導電コーティング層との密着性を高める観点から、酸化皮膜の改質(粗面化)を行ってもよい。例えば、酸化皮膜の改質(粗面化)は、ステンレス鋼材を弗硝酸溶液に浸漬するなどの公知の方法によって行うことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明の内容を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
表1に示す組成のスラブを溶製し、熱間圧延して厚さ3.5mmの熱延ステンレス鋼板とした後、焼鈍及び酸洗を行った。次に、熱延ステンレス鋼板を冷間圧延して厚さ0.3mmの冷延ステンレス鋼板とした後、焼鈍及び酸洗を行った。次に、冷延ステンレス鋼板に対して、20%のO2及び80%のN2を含むガス雰囲気下、表2に示す条件で酸化熱処理を行うことにより、表面に酸化皮膜を有するステンレス鋼材を得た。
Figure 2022136911000002
次に、得られたステンレス鋼材について、グロー放電発光分光分析(GDS)を行った。この分析によって得られた深さ方向の元素濃度プロファイルにおいて、O、C及びNを除くカチオン元素の全量を100質量%としたときの、表面から2nmの深さの位置におけるFe及びMnの合計濃度(表2では「Fe+Mn」と表す)、及び酸化皮膜におけるCrの最大ピーク濃度(「表2ではCr」と表す)を求めた。
GDSは、Arガス圧600Pa、電力35W、周波数100Hz、デューティーサイクル0.25の条件で行った。
なお、一例として、試験No.1における深さ方向の元素濃度プロファイルを図1に示す。図1に示す深さ方向の元素濃度プロファイルでは、信号強度をカチオン分率換算して表した。また、元素は、Fe、Mn及びCrのみを選択し、Mnのカチオン分率は3倍して表示した。
また、得られた元素濃度プロファイルから、上記の方法にしたがって、酸化皮膜の第1層及び第2層の厚さを求めた。なお、表2において、第1層はスピネル型酸化物である(Fe,Cr,Mn)34型酸化物を含む層、第2層はCr23を含む層をそれぞれ表す。各層の同定は、X線回折測定で実施した。
さらに、得られたステンレス鋼材について、導電性及び耐Cr被毒性についての評価を行った。評価方法は以下の通りである。
(1)導電性
ステンレス鋼材から試験片(10mm×25mm)を切り出し、この試験片を20%のH2O、16%のO2及び64%のN2を含む雰囲気にて600℃で1000時間の酸化試験に供した。酸化試験後、2枚の酸化試験片を用いて図2に示すような測定用試験片を作製してポテンショスタットを用いた四端子法による測定を行った。具体的には以下のようにして行った。
まず、2枚の酸化試験片10の中央部に導電ペースト(Agペースト)を正方形状(一辺が10mm、厚さ10μm)に塗布して乾燥させ、導電部20を形成した。次に、2枚の酸化試験片10の導電部20を重ねて十字型に配置した後、アルミナ板で挟み、重り(200g)を載せて電気炉で導電部20の焼付けを行った。次に、ミニターを用いて金属母材が露出するまで表面を削り、図2に示す配線取付部30を形成した。次に、銀線40(φ0.3mm)を配線取付部30に巻き付け、導電ペーストを塗布して測定用試験片を得た。次に、この測定用試験片を高温電気化学測定装置に配置し、ポテンショスタットを用いた四端子法により、電圧-電流曲線を求めた。この測定では、測定温度は600℃とし、電圧を10mVまで掃引した。また、電圧-電流曲線の傾きから抵抗値を算出した。この評価において、抵抗値が20mΩ・cm2以下であった場合をA(高温導電性が特に優れる)、抵抗値が20mΩ・cm2超過30mΩ・cm2以下であった場合をB(高温導電性が優れる)、抵抗値が30mΩ・cm2超過であった場合をC(高温導電性が不十分である)と判定した。
(2)耐Cr被毒性
ステンレス鋼材の試験片(30mm×250mm)2枚を石英管の管状炉の中に設置し、SOFCを想定した雰囲気で600℃、100時間保持した。石英管には毎分500mLの20℃加湿空気を流し、下流側に設置したセラミックスによって揮発種のCrO2(OH)2及びCrO3を捕集した。次に、このセラミックスに捕集された成分を、硫酸及び硝酸からなる混酸溶液(硫酸と硝酸との質量比3:1)で抽出し、この抽出溶液を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP分析)によってCrの微量分析を行った。この評価において、ICP分析によるCr量が4.0mg/m2以下であった場合をA(耐Cr被毒性が良好)、Cr量が4.0mg/m2超過であった場合をC(耐Cr被毒性が劣る)と判定した。
上記の各評価結果を表2に示す。
Figure 2022136911000003
表2に示されるように、試験No.1~10(本発明例)のステンレス鋼材は、所定の組成を有する母材及び酸化皮膜から構成されているため、導電性及び耐Cr被毒性に優れていた。ただし、No.2は、有効Cr量が低かったため、導電性がやや劣っていた。
これに対して試験No.11~15(比較例)のステンレス鋼材は、母材及び/又は酸化皮膜が所定の範囲外であったため、導電性及び耐Cr被毒性の一方又は両方が不十分であった。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、600℃以下の温度における導電性及び耐Cr被毒性に優れる固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材及び酸化皮膜の形成方法を提供することができる。また、本発明によれば、このような特徴を有する固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材を備える固体酸化物形燃料電池用部材及び固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
10 酸化試験片
20 導電部
30 配線取付部
40 銀線

Claims (11)

  1. 質量基準で、C:0.050%以下、Si:1.50%以下、Mn:1.50%以下、P:0.050%以下、S:0.0300%以下、Cr:22.0~32.0%、Mo:3.00%以下、N:0.050%以下、Al:0.50%以下、Nb:1.00%以下、Ti:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下を含み、残部がFe及び不純物からなる母材と、前記母材の表面に形成された酸化皮膜とを有する固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材であって、
    前記酸化皮膜は、グロー放電発光分光分析による深さ方向の元素濃度プロファイルにおいて、O、C及びNを除くカチオン元素の全量を100質量%としたときに、以下の(i)及び(ii)の条件:
    (i)表面から2nmの深さの位置におけるFe及びMnの合計濃度が35質量%超過85質量%未満である
    (ii)Crの最大ピーク濃度が40質量%超過である
    を満たす固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材。
  2. 前記母材は、下記式(1)で表される有効Cr量が24.0~35.0質量%である、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材。
    有効Cr量(質量%)=Cr+2Mo+2Si+5Nb+2Ti-3(2C+3N+Ni+0.5Mn+0.2Cu) ・・・ (1)
    式中、各元素記号は、各元素の含有量を表す。
  3. 前記母材は、質量基準で、B:0.0100%以下、V:1.00%以下、Sn:0.50%以下、W:2.0%以下、Ca:0.0100%以下、Mg:0.010%以下、Zr:1.00%以下、Co:2.0%以下、Ga:0.01%以下、Hf:0.10%以下、REM:0.10%以下から選択される1種以上を更に含む、請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材。
  4. 前記酸化皮膜は、スピネル型酸化物を含む第1層を最表層に有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材。
  5. 前記スピネル型酸化物が、(Fe,Cr,Mn)34型酸化物である、請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材。
  6. 前記酸化皮膜は、前記第1層の下層として、Cr23を含む第2層を更に有する、請求項4又は5に記載の固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材。
  7. 質量基準で、C:0.050%以下、Si:1.50%以下、Mn:1.50%以下、P:0.050%以下、S:0.0300%以下、Cr:22.0~32.0%、Mo:3.00%以下、N:0.050%以下、Al:0.50%以下、Nb:1.00%以下、Ti:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下を含み、残部がFe及び不純物からなる冷延材に対して、相対湿度が2%RH以上の、大気中又はCO、CO2、Ar、N2、H2及びO2から選択される少なくとも1種を含むガス中にて、300~1000℃で1000時間以下の酸化熱処理を行う酸化皮膜の形成方法。
  8. 前記冷延材は、下記式(1)で表される有効Cr量が24.0~35.0質量%である、請求項7に記載の酸化皮膜の形成方法。
    有効Cr量(質量%)=Cr+2Mo+2Si+5Nb+2Ti-3(2C+3N+Ni+0.5Mn+0.2Cu) ・・・ (1)
    式中、各元素記号は、各元素の含有量を表す。
  9. 前記冷延材は、質量基準で、B:0.0100%以下、V:1.00%以下、Sn:0.50%以下、W:2.0%以下、Ca:0.0100%以下、Mg:0.010%以下、Zr:1.00%以下、Co:2.0%以下、Ga:0.01%以下、Hf:0.10%以下、REM:0.10%以下から選択される1種以上を更に含む、請求項7又は8に記載の酸化皮膜の形成方法。
  10. 請求項1~6のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼材を備える固体酸化物形燃料電池用部材。
  11. 請求項10に記載の固体酸化物形燃料電池用部材を備える固体酸化物形燃料電池。
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