JP2022135753A - 錠剤、錠剤印刷装置、錠剤印刷方法、錠剤印刷システム、臨床試験方法 - Google Patents
錠剤、錠剤印刷装置、錠剤印刷方法、錠剤印刷システム、臨床試験方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】臨床試験に影響しないように、錠剤がプラセボであるか薬効成分を含むかを容易に判別できるようにする技術を提供する。【解決手段】臨床試験に用いられるプラセボの錠剤9aは、表面9Sと、印刷画像91を有する。印刷画像91は、レーザ光の照射により変色する変色誘起酸化物を含むインクで、表面9Sに印刷されている。印刷画像91は、無色または表面9Sと同じ色を有する。印刷画像91は、錠剤9aがプラセボであることを表す画像である。【選択図】図3
Description
本発明は、錠剤に印刷する技術に関する。
特許文献1には、粒状物である錠剤に、インクジェット方式で印刷を行う装置が開示されている。具体的には、所定方向に搬送される錠剤の表面に向けて、インクジェットヘッドからインクを吐出することによって、錠剤の表面に画像が形成される。
新薬を作る場合、通常、臨床試験(治験)が行われる。臨床試験で用いられる治験薬では、プラセボ効果と新薬の効果を明確にするため、二重盲試験が行われる。また、プラセボ効果を避けるため、錠剤には、できるだけ目に入る情報をなくすため、刻印や印字がされない。このため、例えば、錠剤が余った場合に、その余った錠剤が、プラセボか、あるいは、薬効成分が入った錠剤であるかを、判別できない場合があった。このため、臨床試験が正しく運用されているか(すなわち、被治験者が、飲むべき錠剤(プラセボまたは薬効成分が入った錠剤のどちらか)を正しく飲んでいるか)を、確認することが困難となる場合があった。
本発明の目的は、臨床試験に影響しないように、錠剤がプラセボであるか薬効成分を含むかを容易に識別できるようにする技術を提供することにある。
上記課題を解決するため、第1態様は、錠剤であって、表面と、レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクで前記表面に印刷された印刷画像であって、無色または前記表面と同じ色の印刷画像と、を有し、前記印刷画像は、薬効成分を含むかプラセボであるかのいずれかを表す画像である。
第2態様は、第1態様の錠剤であって、前記インクが白色である。
第3態様は、第1態様または第2態様の錠剤であって、前記インクが酸化チタンを含む。
第4態様は、錠剤印刷装置であって、錠剤に向けて、レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクを吐出することにより、無色または前記錠剤の表面と同じ色の印刷画像を印刷する印刷ヘッド、を有し、前記印刷画像は、薬効成分を含むかプラセボであるかのいずれかを表す画像である。
第5態様は、錠剤印刷方法であって、レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクで、錠剤の表面に、無色または前記表面と同じ色の印刷画像を印刷する工程、を含み、前記印刷画像は、薬効成分を含むかプラセボであるかのいずれかを表す画像である。
第6態様は、錠剤印刷システムであって、a)レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクで表面に印刷された印刷画像であって、無色または前記表面と同じ色の印刷画像を有する第1錠剤を用いて、薬効成分の有効性を評価する臨床試験を行う工程と、b)前記臨床試験により効果が認められた前記薬効成分を含む第2錠剤の表面に、前記インクを用いて印刷を行う工程とを含む。
第7態様は、薬効成分の効果を試験する臨床試験方法であって、レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクで印刷された画像であって、表面に無色または前記表面と同じ色の印刷画像を有する錠剤を治験者に服用させる工程、を含み、前記印刷画像は、薬効成分を含む錠剤かプラセボのいずれかを表す画像である。
第1態様の錠剤によると、レーザ光で印刷画像を発色させることができるため、薬効成分を含む錠剤か、プラセボであるかを容易に識別できる。また、印刷画像が無色または錠剤の表面と同じ色であるため、印刷画像が臨床試験に影響することを抑制できる。したがって、臨床試験を適切に実施できる。
第2態様の錠剤によると、賦形剤と同じ白色とすることができるため、人が画像を視認できないようにすることができる。
第3態様の錠剤によると、酸化チタンのインクで画像を記録することにより、レーザ光で画像を変色させることができる。
第4態様の錠剤印刷装置によると、レーザ光で印刷画像を発色させることができるため、薬効成分を含む錠剤か、プラセボであるかを容易に識別できる。また、印刷画像が無色または錠剤の表面と同じ色であるため、印刷画像が臨床試験に影響することを抑制できる。したがって、臨床試験を適切に実施できる。
第5態様の錠剤印刷方法によると、レーザ光で印刷画像を発色させることができるため、薬効成分を含む錠剤か、プラセボであるかを容易に識別できる。また、印刷画像が無色または錠剤の表面と同じ色であるため、印刷画像が臨床試験に影響することを抑制できる。したがって、臨床試験を適切に実施できる。
第6態様の錠剤印刷システムによると、臨床試験の第1錠剤に付与されたインクと同じインクを第2錠剤に使用するため、インクと薬効成分とのインターラクションの評価を省略できる。したがって、第2錠剤の印刷を即時に実施できるようになる。
第7態様の臨床試験方法によると、レーザ光で印刷画像を発色させることができるため、薬効成分を含む錠剤か、プラセボであるかを容易に識別できる。また、印刷画像が無色または錠剤の表面と同じ色であるため、印刷画像が臨床試験に影響することを抑制できる。したがって、臨床試験を適切に実施できる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係る錠剤印刷装置1の構成を示す図である。錠剤印刷装置1は、薬効成分を評価するための臨床試験(治験)に用いられる錠剤9に、印刷画像を印刷する装置である。印刷画像は、薬効成分を含有する錠剤であるか、または、薬効成分を含まないプラセボの錠剤であるかを表す画像である。なお、印刷画像は、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク、重量、製造年月日、使用期限、製造工場、または、含有成分などの情報を含んでいてもよい。
図1は、実施形態に係る錠剤印刷装置1の構成を示す図である。錠剤印刷装置1は、薬効成分を評価するための臨床試験(治験)に用いられる錠剤9に、印刷画像を印刷する装置である。印刷画像は、薬効成分を含有する錠剤であるか、または、薬効成分を含まないプラセボの錠剤であるかを表す画像である。なお、印刷画像は、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク、重量、製造年月日、使用期限、製造工場、または、含有成分などの情報を含んでいてもよい。
錠剤9は、粒状である。錠剤9は、素錠(裸錠)であってもよいし、糖衣錠またはフィルムコーティング錠などコーティング錠であってもよい。錠剤9は、硬カプセル錠または軟カプセル錠であってもよい。
図1に示すように、錠剤印刷装置1は、供給機構10、第1ドラム20、第2ドラム30、搬送コンベヤ40、第1カメラ50、印刷部60、乾燥機構80、排出機構900、および制御部100を備える。以下、錠剤印刷装置1の各構成について説明する。
錠剤印刷装置1は、印刷対象である錠剤9を供給機構10から排出機構900に向けて搬送しつつ、錠剤9の表面に印刷画像を印刷する。以下、錠剤印刷装置1において、錠剤9が供給機構10から排出機構900に向かって進む方向を、「搬送方向D1」とする。搬送方向D1の下流側を単に「下流側」と称し、搬送方向D1の上流側を単に「上流側」と称する。また、重力方向の下側を、単に「下側」と称し、重力方向の上側を、単に「上側」と称する。
供給機構10は、錠剤印刷装置1に投入された錠剤9を、第1ドラム20へ供給可能である。供給機構10は、ボウルフィーダ11、第1シュート12、供給コンベヤ13(搬送部)、第2シュート14を有する。
ボウルフィーダ11は、複数の錠剤9を受けるトラフ110を有する。ボウルフィーダ11は、トラフ110を振動させることにより、複数の錠剤9を第1シュート12へ供給する。トラフ110は、錠剤9を排出する排出口を有する。第1シュート12は、トラフ110の排出口と供給コンベヤ13との間に位置し、円弧状を有する。
第1シュート12は、複数の搬送路を有する。ボウルフィーダ11が第1シュート12の各搬送路へ錠剤9を供給することによって、多数の錠剤9が複数の列に整列される。すなわち、搬送方向D1に並ぶ錠剤9の列が、幅方向D2(搬送方向D1に直交しかつ水平な方向)に複数列形成される。そして、整列された錠剤9が、第1シュート12から供給コンベヤ13へ供給される。なお、図1では、1つの列の錠剤9のみが示されている。
供給コンベヤ13は、第1シュート12から第2シュート14へ、錠剤9を水平かつ直線状に搬送する。供給コンベヤ13は、2つのプーリ131、供給ベルト132を有する。供給ベルト132は、2つのプーリ131に掛け渡されている。2つのプーリ131は、それぞれ幅方向D2に延びる回転軸を中心として回転可能である。2つのプーリ131のうち一方は、モータ(不図示)に接続される。モータが一方のプーリ131を回転させると、供給ベルト132が動くとともに、他方のプーリ131が回転する。これにより、供給ベルト132が、図1中、矢印で示す方向に回転する。
供給コンベヤ13は、複数の仕切プレート(不図示)を有する。複数の仕切プレートは、供給ベルト132の上側に位置する。複数の仕切プレートは、幅方向D2において等間隔に位置する。第1シュート12から供給された錠剤9は、複数の仕切プレートによって、複数の列に整列された状態を維持しつつ、回動する供給ベルト132によって搬送される。
第2シュート14は、供給コンベヤ13と第1ドラム20の間に位置する。第2シュート14は、直線状に延びる。第2シュート14は、幅方向D2に並ぶ複数の搬送路を有する。供給コンベヤ13は、複数の錠剤9を、第2シュート14の各搬送路へ移動させる。第2シュート14の各搬送路内の錠剤9は、供給コンベヤ13によって搬送される後続の錠剤9に押されることによって下流側へ移動する。そして、錠剤9は、第2シュート14の下流側端部から第1ドラム20へ移動する。
第1ドラム20は、複数の錠剤9を、搬送方向D1において一定の間隔をあけつつ搬送する。第1ドラム20の外周面は、幅方向D2に延びる第1軸O1を中心とする略円筒状を有する。第1ドラム20には、モータ(不図示)が接続される。モータは、第1軸O1を中心として第1ドラム20を回転させる。第1ドラム20は、上端部付近の第1受渡位置P1から、第2ドラム30に近い第2受渡位置P2まで、錠剤9を搬送する。
第1ドラム20は、ドラム本体21および複数の保持リング22を有する。複数の保持リング22は、ドラム本体21の外周面に位置する。複数の保持リング22は、幅方向D2に並ぶ錠剤9の複数の列に対して、1対1対応で位置する。保持リング22は、例えば、ポリアセタール等の樹脂により形成される。各保持リング22の外周面は、複数の凹状のポケット23を有する。複数のポケット23は、第1軸O1を中心とする周方向において、一定間隔で設けられている。各ポケット23は、錠剤9を吸着するための吸着孔24を有する。吸着孔24は、ポケット23の底部に位置する。
第1ドラム20は、吸引機構(不図示)と接続される。吸引機構は、第1軸O1を中心とする第1受渡位置P1から第2受渡位置P2までの円弧の範囲内に位置する第1ドラム20の内部空間から、気体を吸い出す。これにより、第1ドラム20の内部空間が、大気圧よりも低い負圧となる。第1ドラム20は、負圧によって、第2シュート14から供給された錠剤9を、吸着孔24を介して吸着しつつ保持する。
ポケット23は、第2シュート14から供給される錠剤9を1つずつ収容可能である。ポケット23は、吸着孔24を介して、ポケット23の内側に収容された1つの錠剤9を、吸着しつつ保持可能である。搬送方向D1における、第1ドラム20に保持された複数の錠剤9の間隔は、周方向におけるポケット23の間隔に対応した大きさとなる。
ポケット23内に保持された錠剤9は、第1ドラム20の回転によって、第1受渡位置P1から第2受渡位置P2まで搬送される。錠剤9が第2受渡位置P2を通過すると、吸着孔24を介した錠剤9の吸着が解除される。吸着が解除されることにより、錠剤9が、第1ドラム20から第2ドラム30へ移動する。
押圧機構25は、第1受渡位置P1の錠剤9を押圧し、保持リング22のポケット23へ誘導する。錠剤9は、詰まりや割れが抑制された状態で、各ポケット23に収容される。
第2ドラム30は、錠剤9を、搬送コンベヤ40まで搬送する。第2ドラム30は、幅方向D2に延びる第2軸O2を中心とする略円筒状の外周面を有する。第1ドラム20と第2ドラム30の外径は、ほぼ同じであるが、異なっていてもよい。第2ドラム30には、不図示のモータが接続される。モータは、第2ドラム30を、第2軸O2を中心として、第1ドラム20とは反対向きに回転させる。第2ドラム30は、第1ドラム20に近接する第2受渡位置P2から、搬送コンベヤ40に近接する第3受渡位置P3まで、錠剤9を搬送する。第3受渡位置P3は、第1受渡位置P1および第2受渡位置P2よりも上方に位置する。
図1に示すように、第2ドラム30は、ドラム本体31および保持リング32を有する。保持リング32は、ドラム本体31の外周面に位置する。保持リング32の外周面は、複数の吸着孔34を有する。第2ドラム30は、不図示の吸引機構と接続される。吸引機構は、第2軸O2を中心とする第2受渡位置P2から第3受渡位置P3までの円弧の範囲内に位置する第2ドラム30の内部空間から、気体を吸い出す。これにより、第2ドラム30の内部空間が、大気圧よりも低い負圧となる。第2ドラム30は、負圧によって、第1ドラム20から供給された錠剤9を、吸着孔34を介して吸着しつつ保持する。
吸着孔34を介して吸着された錠剤9は、第2ドラム30の回転によって、第2受渡位置P2から第3受渡位置P3まで移動する。錠剤9は、第3受渡位置P3を通過すると、吸着が解除される。これにより、錠剤9が、第2ドラム30から搬送コンベヤ40へ移動する。
搬送コンベヤ40は、複数の錠剤9を、吸着によって保持しつつ搬送する。搬送コンベヤ40は、2つのプーリ41と、2つのプーリ41に掛け渡された環状の搬送ベルト42とを有する。2つのプーリ41は、それぞれ幅方向D2に延びる回転軸を中心として回転可能である。2つのプーリ41のうち一方には、モータ(不図示)が接続される。モータが一方のプーリ41を回転させると、搬送ベルト42が動くとともに、他方のプーリ41が回転する。これにより、搬送ベルト42が、2つのプーリ41の周りにおいて、図1中、矢印で示す方向に移動する。
搬送ベルト42の外周面は、複数の吸着孔421を有する。複数の吸着孔421は、搬送方向D1および幅方向D2において、等間隔に位置する。搬送コンベヤ40は、搬送ベルト42の内側の空間から、気体を吸い出す吸引機構(不図示)を有する。吸引機構は、搬送ベルト42の内側空間を、大気圧よりも低い負圧にする。搬送ベルト42は、各吸着孔421に発生する負圧によって、錠剤9を吸着する。搬送ベルト42が2つのプーリ41の周りを移動することによって、吸着された錠剤9が移動する。
搬送コンベヤ40は、ブロー機構44を有する。ブロー機構44は、エアを吹き出す吹出口を有する。吹出口は、搬送ベルト42内に位置する。吹出口は、搬送ベルト42を介して後述する排出シュート910と対向する。ブロー機構44は、搬送ベルト42の複数の吸着孔421のうち、排出シュート910と対向する位置の吸着孔421に対して、気体を吹き付ける。気体の吹付によって、吸着孔421を介した錠剤9の吸着が解除される。吸着が解除された錠剤9は、搬送ベルト42から排出シュート910へ移動する。排出シュート910に移動した錠剤9は、排出コンベヤ(不図示)へ移動する。
第1カメラ50は、印刷前の錠剤9を撮像する処理部である。第1カメラ50は、搬送ベルト42によって搬送される錠剤9を撮像する。第1カメラ50は、第3受渡位置P3よりも下流側に位置し、かつ、印刷部60よりも上流側に位置する。第1カメラ50は、例えば、ライセンサを有する。ラインセンサは、幅方向D2に並ぶCCDまたはCMOSなどの複数の撮像素子を有する。第1カメラ50は、撮影した画像を、制御部100へ送信する。
印刷部60は、搬送ベルト42により搬送される錠剤9の表面に対して、インクジェット方式で画像を印刷する。印刷部60は、例えば、1つの印刷ヘッド61を有する。印刷ヘッド61は、搬送ベルト42の上方に位置する。印刷ヘッド61は、インク滴を吐出する複数のノズル(不図示)を有する。複数のノズルは、例えば、幅方向D2および搬送方向D1において、所定の間隔をあけて配列されている。錠剤9は、印刷ヘッド61の下方において、水平方向に搬送される。印刷ヘッド61は、錠剤9に向けて、複数のノズルからインクの液滴を吐出する。印刷ヘッド61からのインクの吐出は、制御部100によって制御される。
印刷ヘッド61が吐出するインクは、具体的には、可食性インクであって、所定波長のレーザ光で変色する変色誘起酸化物を含む。変色誘起酸化物は、具体的には、酸化チタンである。
印刷ヘッド61によって錠剤9に印刷される印刷画像は、無色透明かもしくは錠剤9の表面9Sと同じ色(以下、「表面色」と称する)を有する。印刷ヘッド61が吐出するインクは、無色透明または表面色を有していてもよい。また、印刷ヘッド61が吐出するインクは、吐出時点では有色であり、乾燥後に無色透明または表面色となるインクであってもよい。例えば、錠剤9が賦形剤として澱粉を含むことにより、表面色が白色である場合、印刷ヘッド61がインクを吐出するインクを白色インクとしてもよい。このような種類のインクを採用することによって、自然光下では視認性が極めて低い印刷画像を錠剤9に印刷できる。以下、印刷ヘッド61が吐出するインクを、「非可視インク」とも称する。
乾燥機構80は、錠剤9に付着したインクを乾燥させる。乾燥機構80は、搬送方向D1において、印刷部60と排出シュート910との間に位置する。乾燥機構80は、搬送ベルト42に保持された錠剤9に熱風を吹き付けることにより、錠剤9の表面に付着したインクの乾燥を促進する。
排出機構900は、錠剤9を外部に排出する。排出機構900は、排出シュート910と、排出コンベヤ(不図示)とを有する。排出シュート910は、乾燥機構80よりも下流側に位置する。
図2は、図1に示す制御部100のハードウェア構成を示す図である。制御部100は、錠剤印刷装置1の動作を制御する。制御部100は、プロセッサ101と、RAM102と、記憶部103と、機器インターフェース104とを備える。プロセッサ101は、バス配線を介して、RAM102、記憶部103および機器インターフェース104と電気的に接続されている。プロセッサ101は、例えばCPUまたはGPUで構成される。RAM102は、読み書き自在のメモリであって、プロセッサ101が処理する各種情報を記憶する。記憶部103は、ハードディスクドライブなどの非一過性の記録媒体であって、プログラムPを記憶する。
図2に示すように、制御部100は、機器インターフェース104を介して、ディスプレイ17および入力デバイス18と電気的に接続される。また、制御部100は、第1カメラ50および印刷ヘッド61と電気的に接続される。ディスプレイ17は、各種情報を表示する。入力デバイス18は、マウスまたはキーボードで構成される。なお、ディスプレイ17をタッチパネルで構成することによって、ディスプレイ17を入力デバイスとして機能させてもよい。
制御部100は、第1カメラ50が撮像した画像に基づいて、吸着孔421における錠剤9の有無、錠剤9の位置、または錠剤9の姿勢を検出する。また、制御部100は、第1カメラ50が撮像した画像に基づいて、錠剤9の欠陥(欠け、汚れの付着など)を検出してもよい。制御部100は、第1カメラ50が撮像した画像に対してエッジ検出を行うことにより、錠剤9を特定する。エッジ検出には、例えばキャニー法が適用可能である。
制御部100は、印刷ヘッド61の動作を制御する。具体的には、制御部100は、印刷ヘッド61の各ノズルからのインクの吐出を制御する。制御部100は、第1カメラ50が撮像した画像に基づいて検出した錠剤9の位置と、印刷すべき画像データとに基づいて、各ノズルからのインクの吐出を制御する。
図3は、図1に示す錠剤印刷装置1によって印刷されたプラセボの錠剤9aを示す平面図である。図3に示すように、錠剤9aは、表面9Sと、表面9Sに印刷された印刷画像91とを有する。印刷画像91は、錠剤9aが薬効成分を含まないプラセボであることを示す画像である。印刷画像91は、図3に示すように、プラセボを表す文字列としてもよいし、符号化された記号を含む文字列または図柄であってもよい。
図4は、図1に示す錠剤印刷装置1によって印刷された薬効成分を含む錠剤9bを示す平面図である。図4に示すように、錠剤9bは、表面9Sと、表面9Sに印刷された印刷画像92とを有する。印刷画像92は、錠剤9bが薬効成分を含む錠剤であることを示す画像である。印刷画像92は、図3に示すように、薬効成分(X)を含むことを表す文字列としてもよいし、符号化された記号を含む文字列または図柄であってもよい。
また、臨床試験において、含有する薬効成分の量が異なる複数種類の錠剤9bを使用する場合には、薬効成分の量に応じて、錠剤9bに異なる印刷画像92を印刷するようにしてもよい。
印刷画像91,92は、変色誘起酸化物のインク(非可視インク)で印刷されている。図3および図4に示すように、印刷画像91,92は、変色誘起酸化物に対応した所定波長のレーザ光の照射処理S1により、可視化される。臨床試験においては、印刷画像91,92の視認性が低い状態である錠剤9a,9bを、各被治験者に服用させるとよい。また、臨床試験は、二重盲試験であることが好ましい。錠剤9a,9bを用いて臨床試験を行った場合、錠剤9a,9bのどちらかの錠剤が余ったとしても、レーザ光の照射処理S1によって、当該錠剤がプラセボであるか否かを容易に識別できる。したがって、各被治験者が、服用すべき錠剤を正しく服用しているかどうかを容易に確認できる。また、印刷画像91,92を、視認性が極めて低い画像とすることにより、印刷画像91,92が臨床試験に与える影響を小さくすることができる。したがって、臨床試験を適切に実施できる。
プラセボの錠剤9aと薬効成分を含む錠剤9bとの双方に、印刷画像を印刷することは必須ではなく、どちらか一方に印刷画像が印刷されるようにしてもよい。例えば、プラセボの錠剤9aに、プラセボであることを示す印刷画像91が印刷され、薬効成分を含む錠剤9bには、印刷画像92が印刷されないようにしてもよい。この場合、レーザ光照射による変色の有無により、錠剤が、プラセボか薬効成分を含むかを容易に識別できる。
<錠剤の量産>
図5は、製品用の錠剤9cに印刷を行う錠剤印刷装置1Aを示す図である。錠剤9a,9bを用いた臨床試験により、薬効成分の有効性が確認された場合、薬効成分を含有する製品用の錠剤9cが生産される。錠剤印刷装置1Aは、製品用の錠剤9cに対して、臨床試験用の錠剤9a,9bの印刷画像91,92の印刷に用いた非可視インクと同じ非可視インクを用いて、印刷を行う。また、錠剤印刷装置1Aは、非可視インクが付与された錠剤9cにレーザ光を照射することによって、可視画像を形成する。
図5は、製品用の錠剤9cに印刷を行う錠剤印刷装置1Aを示す図である。錠剤9a,9bを用いた臨床試験により、薬効成分の有効性が確認された場合、薬効成分を含有する製品用の錠剤9cが生産される。錠剤印刷装置1Aは、製品用の錠剤9cに対して、臨床試験用の錠剤9a,9bの印刷画像91,92の印刷に用いた非可視インクと同じ非可視インクを用いて、印刷を行う。また、錠剤印刷装置1Aは、非可視インクが付与された錠剤9cにレーザ光を照射することによって、可視画像を形成する。
錠剤印刷装置1Aは、図1に示す錠剤印刷装置1が備える構成に加えて、レーザ照射器65をさらに備えている。レーザ照射器65は、印刷部60の印刷ヘッド61よりも下流側に位置する。レーザ照射器65は、乾燥機構80よりも上流側に位置しているが、乾燥機構80よりも下流側に位置していてもよい。レーザ照射器65は、制御部100と電気的に接続される。レーザ照射器65は、制御部100からの指令に従って、搬送コンベヤ40が搬送する錠剤9cにレーザ光を照射する。レーザ照射器65は、錠剤9cの表面にレーザ光を照射することによって、印刷ヘッド61が印刷した印刷画像を可視化する。
レーザ照射器65は、錠剤9cの表面9S全体にレーザ光を均一に照射するようにしてもよいし、レーザ光を局所的に照射するようにしてもよい。より具体的には、レーザ照射器65は、ガルバノミラーなどを有する走査機構で、錠剤9の表面をレーザ光で走査するようにしてもよい。この場合、印刷ヘッド61は、錠剤9cの表面9Sに対して、ベタ状に非可視インクを付与してもよい。
錠剤印刷装置1Aは、図1に示す錠剤印刷装置1が備える構成に加えて、第2カメラ70をさらに備えている。第2カメラ70は、印刷後の錠剤9cを撮影する処理部である。第2カメラ70は、搬送ベルト42によって搬送される錠剤9cを撮影する。第2カメラ70は、レーザ照射器65よりも下流側に位置し、かつ、乾燥機構80よりも上流側に位置する。第1カメラ50と同様に、第2カメラ70は、例えばラインセンサを有する。第2カメラ70は、制御部100と電気的に接続される。第2カメラ70は、撮影した画像を、制御部100へ送信する。制御部100は、第2カメラ70が撮像した画像に基づいて、錠剤9に印刷された画像を検査してもよい。具体的には、制御部100は、錠剤9に印刷された画像の形または色を検査してもよい。
図6は、図5に示す錠剤印刷装置1Aによって印刷された製品用の錠剤9cを示す平面図である。図6に示すように、錠剤9cの表面9Sには、印刷画像93,94が印刷されている。印刷画像93,94は、錠剤9cの表面9Sに付与された非可視インクがレーザ照射によって変色することにより可視化された画像である。
錠剤9bに対する印刷画像92の印刷に用いた非可視インクと、錠剤9bが含有する薬効成分との相互作用については、臨床試験が完了した段階で評価が可能である。このため、製品用の錠剤9cに対しても、臨床試験用と同じ種類の非可視インクを使用して印刷を使用することによって、上記相互作用の評価を省略できる。このため、製品用の錠剤9cに対して相互作用が未評価である新たなインクを用いる場合と比べて、製品用の錠剤9cの生産に迅速に着手できる。
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、錠剤印刷装置1,1Aは、所定の搬送方向D1に搬送されている錠剤9にインクを吐出するように構成されているが、所定の一定位置に保持されている錠剤9に、インクが吐出されるように構成されていてもよい。
錠剤印刷装置1Aは、予め、変色誘起酸化物のインクでコーティングされた錠剤9cに対して、レーザ照射器65がレーザを照射することによって、錠剤9cに可視画像を印刷するようにしてもよい。この場合、印刷ヘッド61を省略することが可能である。
また、錠剤印刷装置1,1Aが、自然光下で視認できるインク(以下、「可視インク」と称する。)を吐出する印刷ヘッドを備えていてもよい。この場合、可視インクで一般的な品名や用量などを印刷し、非可視インクで製造年月日や服用対象者を印刷するようにしてもよい。また、非可視インクで文字やバーコードなどを印刷してもよい。また、可視インクと非可視インクとが互いに重なるように印刷されてもよいし、可視インクと非可視インクとが互いに重ならないように印刷されてもよい。さらに、錠剤印刷装置が、錠剤9の表側の面と裏側の面とのそれぞれに、印刷を行うように構成されていてもよい。この場合、例えば、錠剤9の表側の面に対しては可視インクで印刷を行い、錠剤9の裏側の面に対しては非可視インクで印刷を行うようにしてもよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
1,1A 錠剤印刷装置
9,9a 錠剤
9b,9c 錠剤
61 印刷ヘッド
91,92 印刷画像
93,94 印刷画像
9,9a 錠剤
9b,9c 錠剤
61 印刷ヘッド
91,92 印刷画像
93,94 印刷画像
Claims (7)
- 錠剤であって、
表面と、
レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクで前記表面に印刷された印刷画像であって、無色または前記表面と同じ色の印刷画像と、
を有し、
前記印刷画像は、薬効成分を含むかプラセボであるかのいずれかを表す画像である、錠剤。 - 請求項1に記載の錠剤であって、
前記インクが白色である、錠剤。 - 請求項1または請求項2に記載の錠剤であって、
前記インクが酸化チタンを含む、錠剤。 - 錠剤印刷装置であって、
錠剤に向けて、レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクを吐出することにより、無色または前記錠剤の表面と同じ色の印刷画像を印刷する印刷ヘッド、
を有し、
前記印刷画像は、薬効成分を含むかプラセボであるかのいずれかを表す画像である、錠剤印刷装置。 - 錠剤印刷方法であって、
レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクで、錠剤の表面に、無色または前記表面と同じ色の印刷画像を印刷する工程、
を含み、
前記印刷画像は、薬効成分を含むかプラセボであるかのいずれかを表す画像である、錠剤印刷方法。 - 錠剤印刷システムであって、
a) レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクで表面に印刷された印刷画像であって、無色または前記表面と同じ色の印刷画像を有する第1錠剤を用いて、薬効成分の有効性を評価する臨床試験を行う工程と、
b) 前記臨床試験により効果が認められた前記薬効成分を含む第2錠剤の表面に、前記インクを用いて印刷を行う工程と、
を含む、錠剤印刷システム。 - 薬効成分の効果を試験する臨床試験方法であって、
レーザ光の照射により変色する変色誘起化合物を含むインクで印刷された画像であって、表面に無色または前記表面と同じ色の印刷画像を有する錠剤を治験者に服用させる工程、
を含み、
前記印刷画像は、薬効成分を含む錠剤かプラセボのいずれかを表す画像である、臨床試験方法。
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---|---|---|---|
JP2021035765A JP2022135753A (ja) | 2021-03-05 | 2021-03-05 | 錠剤、錠剤印刷装置、錠剤印刷方法、錠剤印刷システム、臨床試験方法 |
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