JP2022129075A - 非晶質ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Shogo Takasuka
亜砂美 藤井
Asami Fujii
久成 藤原
Hisanari Fujiwara
大輔 齋尾
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Abstract

【課題】本発明は、向上した低温加工性を有し、かつ機械的性質の良好な非晶質ポリエステル樹脂を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、式(I)~(VI)【化1】TIFF2022129075000008.tif57121で表される繰返し単位を含む、非晶質ポリエステル樹脂に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、低温加工性を有し、かつ機械的性質の良好な非晶質ポリエステル樹脂に関する。
サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂(以下、液晶ポリエステル樹脂またはLCPと略称する)は、耐熱性、剛性等の機械的性質、耐薬品性、寸法精度等に優れているため、成形品用途のみならず、繊維やフィルムといった各種用途にその使用が拡大しつつある。特にパーソナル・コンピューターや携帯電話等の情報・通信分野においては、部品の高集積度化、小型化、薄肉化、低背化等が急速に進んでおり、例えば0.5mm以下の非常に薄い肉厚部が形成されるケースが多く、LCPの優れた成形性、すなわち、流動性が良好であり、かつバリが出ないという他の樹脂にない特徴を活かして、その使用量が大幅に増大している。
このように、液晶ポリエステル樹脂は種々の優れた特性を有するが、その高い耐熱性のために、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの他のエンジニアリングプラスチックと比較して著しく加工温度が高い。このため、用途によってはその高い加工温度が障害となることがある。
また、ポリエステル樹脂には他の熱可塑性樹脂の物性を改質する効果が見出されており、ポリマーアロイ材料としての需要が高くなってきていることから、液晶ポリエステル樹脂が有する良好な機械物性を保持しながら、低温加工性に優れたポリエステル樹脂が望まれていた。
低温加工性のポリエステル樹脂として、例えば、特許文献1には特定の繰返し単位により構成され、示差走査熱量計により測定された融点が190~250℃である液晶ポリエステル樹脂が提案されている。
特開2005-105232号公報
特許文献1に記載の液晶ポリエステル樹脂は、従来の液晶ポリエステル樹脂に比べて優れた低温加工性を有するものであるが、近年、さらに低温での加工性を向上させたポリエステル樹脂の要求が強まっている。
また、ポリプロピレン、ポリエチレン等の融点が200℃を下回る低融点の熱可塑性樹脂と液晶ポリエステル樹脂とをブレンドするためには、液晶ポリエステル樹脂の融点以上の温度下で溶融混練する必要があるため、前記の熱可塑性樹脂が熱分解することによって本来の物性が得られなくなるという問題があった。
本発明の目的は、向上した低温加工性を有し、かつ機械的性質の良好な非晶質ポリエステル樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の繰返し単位を与える単量体を縮重合することによって、向上した低温加工性を有し、かつ機械的性質の良好な非晶質ポリエステル樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕 式(I)~(VI)
Figure 2022129075000001
[式中、p、q、r、s、tおよびuは、それぞれ、非晶質ポリエステル樹脂中での各繰返し単位の組成比(モル%)を示し、以下の式を満たす:
35≦p≦65、
15≦q≦45、
5≦r≦15、
5≦s≦15、
0≦t≦10、および
0≦u≦10]
で表される繰返し単位を含む、非晶質ポリエステル樹脂。
〔2〕さらにp>qを満たす、〔1〕に記載の非晶質ポリエステル樹脂。
〔3〕さらにp+q+r+s+t+u=100を満たす、〔1〕または〔2〕に記載の非晶質ポリエステル樹脂。
〔4〕曲げ強度が140MPa以上である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の非晶質ポリエステル樹脂。
〔5〕示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度が180℃以下である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の非晶質ポリエステル樹脂。
〔6〕〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の非晶質ポリエステル樹脂100質量部に対し、繊維状、板状または粒状の充填剤0.1~200質量部を含む、非晶質ポリエステル樹脂組成物。
〔7〕〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の非晶質ポリエステル樹脂あるいは〔6〕に記載の非晶質ポリエステル樹脂組成物から構成される成形品。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂は、向上した低温加工性および良好な機械的性質を有するため、低温加工性が要求される用途や他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイ材料として有用である。
本明細書および特許請求の範囲において、「非晶質ポリエステル樹脂」とは、20℃/分の昇温速度による示差走査熱量測定で結晶融解温度が観測されず、ガラス転移温度付近で軟化するポリエステル樹脂を意味する。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂は、繰返し単位として式(I)および式(II)で表される芳香族オキシカルボニル繰返し単位を含む。
Figure 2022129075000002
本発明の非晶質ポリエステル樹脂において、式(I)で表される繰返し単位の非晶質ポリエステル樹脂に対する組成比pは、35~65モル%、好ましくは35~60モル%、より好ましくは40~60モル%である。また、式(II)で表される繰返し単位の非晶質ポリエステル樹脂に対する組成比qは、15~45モル%、好ましくは20~45モル%、より好ましくは20~40モル%である。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂において、式(I)および式(II)で表される繰返し単位は、p>qの関係を満たすのが好ましく、p/qが1.01~2.0であるのがより好ましく、1.03~1.9であるのがさらに好ましく、1.08~1.8であるのが特に好ましい。
式(I)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えば4-ヒドロキシ安息香酸ならびに、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
式(II)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えば6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ならびに、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
また、本発明の非晶質ポリエステル樹脂は、式(III)で表される芳香族ジオキシ繰返し単位を含む。
Figure 2022129075000003
本発明の非晶質ポリエステル樹脂において、式(III)で表される繰返し単位の非晶質ポリエステル樹脂に対する組成比rは、5~15モル%、好ましくは5~12モル%、より好ましくは5~10モル%である。
式(III)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えば4,4’-ジヒドロキシビフェニルならびに、そのアシル化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
さらに、本発明の非晶質ポリエステル樹脂は、式(IV)で表される芳香族ジカルボニル繰返し単位を含む。
Figure 2022129075000004
本発明の非晶質ポリエステル樹脂において、式(IV)で表される繰返し単位の非晶質ポリエステル樹脂に対する組成比sは、5~15モル%、好ましくは5~12モル%、より好ましくは5~10モル%である。
式(IV)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えばイソフタル酸ならびに、そのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂は、耐熱性、強度、電気特性等の点から、芳香族ジカルボニル繰返し単位として、さらに式(V)および/または式(VI)で表される繰返し単位を含んでいてもよい。
Figure 2022129075000005
本発明の非晶質ポリエステル樹脂において、式(V)で表される繰返し単位の非晶質ポリエステル樹脂に対する組成比tは、0~10モル%であり、これを含む場合、好ましくは1~10モル%、より好ましくは2~7モル%、さらに好ましくは3~5モル%である。また、式(VI)で表される繰返し単位の非晶質ポリエステル樹脂に対する組成比uは、0~10モル%であり、これを含む場合、好ましくは1~10モル%、より好ましくは2~6モル%、さらに好ましくは3~4モル%である。
式(V)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えば2,6-ナフタレンジカルボン酸ならびに、そのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
式(VI)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えばテレフタル酸ならびに、そのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂において繰返し単位の組成比の合計[p+q+r+s+t+u]が100モル%であることが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲において、他の繰返し単位をさらに含んでもよい。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂を構成する他の繰返し単位を与える単量体としては、他の芳香族ヒドロキシカルボン酸、他の芳香族ジオール、他の芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ヒドロキシジカルボン酸、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸、芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオール、芳香族メルカプトフェノールおよびこれらの組合せなどが挙げられる。
これらの他の単量体成分から与えられる繰返し単位の割合は、繰返し単位全体において、10モル%以下であるのが好ましい。
以下、本発明の非晶質ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂の製造方法に特に限定はなく、上記単量体成分間にエステル結合を形成させる公知のポリエステルの重縮合方法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを用いることができる。
溶融アシドリシス法は、本発明の非晶質ポリエステル樹脂を製造するのに好ましい方法である。この方法は、最初に重合性単量体を加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、次いで重縮合反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で重合性単量体を反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、非晶質ポリエステル樹脂を製造する際に使用される重合性単量体成分は、ヒドロキシル基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2~5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記単量体成分のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
重合性単量体の低級アシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、非晶質ポリエステル樹脂の製造時にモノマーに無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれにおいても、重縮合反応は、通常、温度150~400℃、好ましくは250~370℃で、常圧および/または減圧下で行うのがよく、必要に応じて触媒を用いてもよい。
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(例えばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタン;三酸化アンチモン;アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム);ルイス酸(例えば三フッ化硼素)、ハロゲン化水素(例えば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
触媒の使用割合は、通常モノマー全量に対し10~1000ppm、好ましくは20~200ppmである。
このようにして得られた本発明の非晶質ポリエステル樹脂は、後述する示差走査熱量計(DSC)によって結晶融解温度は観測されないが、ガラス転移温度は観測される。本発明の非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、好ましくは180℃以下であり、低温加工性に優れるものである。本発明の非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは140℃以下、特に好ましくは120℃以下である。上記ガラス転移温度の下限値は、特に限定されないが、例えば70℃である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「結晶融解温度」とは、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、以下、DSCと略す)によって、昇温速度20℃/分で測定した際の結晶融解に基づく吸熱ピークを示す温度から求めたものである。より具体的には、樹脂試料を、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1より20~50℃高い温度で10分間保持し、次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却した後に、再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を樹脂の結晶融解温度とする。測定機器としては、例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製DSC7020等を用いることができる。
また、本明細書および特許請求の範囲において、「ガラス転移温度」とは、示差走査熱量計にて、室温から20℃/分の昇温条件で測定されるものである。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂は、キャピラリーレオメーターで測定した溶融粘度が好ましくは1~1000Pa・s、より好ましくは5~300Pa・sである。
また、本発明の非晶質ポリエステル樹脂は、短冊状試験片(長さ65mm×幅12.7mm×厚さ2.0mm)を用いた曲げ試験において、曲げ強度が好ましくは140MPa以上、より好ましくは145MPa以上、さらに好ましくは150MPa以上である。上記曲げ強度の上限値は、特に限定されないが、例えば300MPaである。
なお、曲げ強度の測定は、スパン間距離40.0mm、圧縮速度1.3mm/分で行うことができる。
本発明はさらに、本発明の非晶質ポリエステル樹脂に繊維状、板状または粒状の充填剤の1種または2種以上を配合せしめて得られる非晶質ポリエステル樹脂組成物を提供する。充填剤としては、樹脂組成物に用いられることが知られている物質から、非晶質ポリエステル樹脂組成物の使用目的、用途等に応じて適宜選択すればよい。
繊維状の充填剤としては、例えば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、などが挙げられる。これらの中では、ガラス繊維が物性とコストのバランスが優れている点から好ましい。
板状あるいは粒状の充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、酸化チタンなどが挙げられる。これらの中では、タルクが物性とコストのバランスが優れている点から好ましい。
充填剤が配合された非晶質ポリエステル樹脂組成物において、充填剤はその合計配合量が、非晶質ポリエステル樹脂100質量部に対して、通常0.1~200質量部、特に10~100質量部であるのが好ましい。充填剤の配合量が200質量部を超える場合、樹脂組成物の成形加工性が低下したり、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。
また、本発明の非晶質ポリエステル樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などの、樹脂組成物に用いられることが知られている添加剤を、樹脂組成物の目的及び用途に応じて1種または2種以上を組み合わせて配合してもよい。
高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有するものについては、成形に際して予めペレットに付着せしめて用いてもよい。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂組成物は、充填剤および添加剤などの全ての成分を非晶質ポリエステル樹脂に配合し、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度近傍からガラス転移温度+100℃までの温度下で溶融混練して調製することができる。
このようにして得られた本発明の非晶質ポリエステル樹脂および非晶質ポリエステル樹脂組成物は、従来公知の射出成形、圧縮成形、押出成形、ブローなどの成形法によって、射出成形品、フィルム、シートおよび不織布などの成形品に加工することができる。
本発明の非晶質ポリエステル樹脂および非晶質ポリエステル樹脂組成物は、電気・電子部品、カメラモジュール等の機械機構部品、自動車部品等として好適に使用される。特に本発明の非晶質ポリエステル樹脂は、低温加工性が要求される用途や他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイ材料として有用である。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例において、下記の略号は以下の化合物を表す。
POB:4-ヒドロキシ安息香酸
BON6:6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸
BP:4,4’-ジヒドロキシビフェニル
IPA:イソフタル酸
NDA:2,6-ナフタレンジカルボン酸
TPA:テレフタル酸
HQ:ハイドロキノン
〈結晶融解温度、ガラス転移温度の測定〉
示差走査熱量測計(株式会社日立ハイテクサイエンス製 DSC7020)を用いて測定を行った。実施例および比較例の樹脂試料を、室温から20℃/分の昇温条件下で測定し、吸熱ピーク温度(Tm1)を観測した後、Tm1より20~50℃高い温度で10分間保持した。次いで20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却した後に、再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を樹脂試料の結晶融解温度とし、DSC曲線が階段状に変化する中間点を樹脂試料のガラス転移温度とした。
〈曲げ強度〉
射出成形機(住友重機械工業株式会社製 MINIMAT M26/15)を用いて、結晶融解温度+20~40℃またはガラス転移温度+60~80℃のシリンダー温度、金型温度70℃で、長さ65mm、幅12.7mm、厚さ2.0mmの短冊状試験片を成形し、曲げ強度を測定した。
曲げ強度の測定は、スパン間距離40.0mm、圧縮速度1.3mm/分で行った。
実施例1
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器にPOB、BON6、BPおよびIPAを、表1に示す組成比で、総量6.5モルとなるように仕込み、さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
窒素ガス雰囲気下に室温から150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去させつつ210℃まで速やかに昇温し、同温度にて30分間保持した。その後、340℃まで4時間かけ昇温した後、80分かけ10mmHgにまで減圧を行なった。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器内容物を取り出し、粉砕機により実施例1の樹脂ペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。
実施例2~5および比較例1~5
モノマー組成比を、表1に示す組成比に変えること以外は、実施例1と同様にして、樹脂ペレットを得た。重合時の酢酸留出量は、ほぼ理論値どおりであった。
実施例1~5および比較例1~5の樹脂ペレットの結晶融解温度、ガラス転移温度および曲げ強度を表1に示す。
実施例1~5については、いずれも吸熱ピーク温度(Tm1)が観測されなかったため、260℃で10分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで冷却し、再度20℃/分の条件で昇温したが、やはり吸熱ピークは観測されなかった。
なお、比較例1~5については、いずれも階段状に変化するDSC曲線が確認できなかったため、ガラス転移温度の特定が困難であった。
Figure 2022129075000006
表1から明らかなように、特定の繰返し単位から構成される実施例1~5の非晶質ポリエステル樹脂はいずれも、20℃/分の昇温速度による示差走査熱量測定において、結晶融解温度が観測されず、低温加工性を有するものであった。
一方、比較例1~5の液晶ポリエステル樹脂はいずれも、実施例1~5の非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度と比較して高い結晶融解温度が確認され、低温加工性に劣るものであった。

Claims (7)

  1. 式(I)~(VI)
    Figure 2022129075000007
    [式中、p、q、r、s、tおよびuは、それぞれ、非晶質ポリエステル樹脂中での各繰返し単位の組成比(モル%)を示し、以下の式を満たす:
    35≦p≦65、
    15≦q≦45、
    5≦r≦15、
    5≦s≦15、
    0≦t≦10、および
    0≦u≦10]
    で表される繰返し単位を含む、非晶質ポリエステル樹脂。
  2. さらにp>qを満たす、請求項1に記載の非晶質ポリエステル樹脂。
  3. さらにp+q+r+s+t+u=100を満たす、請求項1または2に記載の非晶質ポリエステル樹脂。
  4. 曲げ強度が140MPa以上である、請求項1~3のいずれかに記載の非晶質ポリエステル樹脂。
  5. 示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度が180℃以下である、請求項1~4のいずれかに記載の非晶質ポリエステル樹脂。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の非晶質ポリエステル樹脂100質量部に対し、繊維状、板状または粒状の充填剤0.1~200質量部を含む、非晶質ポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1~5のいずれかに記載の非晶質ポリエステル樹脂あるいは請求項6に記載の非晶質ポリエステル樹脂組成物から構成される成形品。
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