JP2022128915A - シール付軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】シールリップの複数の突起によってシールリップとシール摺動面間を流体潤滑状態にすることが可能なシール付軸受において、突起のスティックスリップ現象を抑制する。【解決手段】突起12は、突起12の高さ方向の中間部位から根元まで突起12の周方向幅Wを根元側に向かって次第に広くする方へ湾曲したコーナー部12a、12bを有する。これにより、突起12の根元付近の強度を向上させてスティックスリップ現象を抑制する。【選択図】図5

Description

この発明は、転がり軸受及びシール部材を備えるシール付軸受に関する。
転がり軸受の早期破損を防止するため、シール部材が利用されている。例えば、自動車、各種建設用機械等の車両に搭載されたトランスミッション内にはギアの摩耗粉等の異物が混在するため、シール部材により、摩耗粉等の軸受内部への侵入を防止している。
一般に、シール部材は、ゴム状材料等で環状に形成されたシールリップを有する。軌道輪、スリンガ等、軸受回転に伴ってシール部材に対して周方向に相対回転する相手部品には、シールリップと摺接するシール摺動面が形成されている。
一般的なシール部材は、シールリップとシール摺動面が全周で滑り接触し、微視的には固体接触領域を伴っている。シールリップの引き摺り抵抗(シールトルク)は、軸受トルクの上昇を招く。また、その滑り接触は、転がり軸受の温度上昇の一因となる。また、軸受内部が外部に対してシール部材で閉塞されるので、軸受内部と外部間の圧力差によってシールリップがシール摺動面に押し付けられる吸着作用が生じてシールトルクが増大することがある。これらのことから、一般的なシール部材では、軸受の高速運転に限界がある。
シール部材のシールリップを相手部品と非接触に配置し、ラビリンスシールを形成すれば、シールトルクを無くすことは可能だが、シール部材及び相手部品間の隙間の大きさについて所定粒径の異物侵入を防止できるような各種誤差の管理が難しい。
これに対し、シールリップが周方向に並んだ複数の突起を有し、これら複数の突起が周方向に隣り合う突起同士の間を通じて軸受内部と外部に連通する隙間を生じさせ、かつ軸受回転に伴って隙間から突起とシール摺動面間に引き摺り込まれる潤滑油の油膜によってシールリップ及びシール摺動面間を流体潤滑状態にすることができるシール付軸受が提案されている(特許文献1)。
特許文献1のシール付軸受は、所定粒径の異物侵入を防ぐことが可能な隙間を通じて転がり軸受の内部空間と外部間での潤滑油の流通を許すことにより、シール摺動面上での潤滑油を潤沢とし、軸受回転に伴って潤滑油を突起とシール摺動面間に引き摺り込ませる際のくさび効果により、油膜を厚く形成して各突起とシール摺動面を油膜で完全に分離させ、シールリップとシール摺動面間を流体潤滑状態にすることができる。このため、特許文献1のシール付軸受によれば、所定粒径の異物侵入を防ぎつつ軸受の高速運転に対応可能でありながら、シールトルクを著しく低減することができる。
国際公開第2016/143786号
特許文献1のシールリップは、軸受停止時から軸受回転速度が所定以上になるまでの間(突起とシール摺動面の相対的な周速が一定未満のとき)は、突起とシール摺動面間が流体潤滑状態にならず、固体接触領域を含む境界潤滑又は混合潤滑状態にある。このため、軸受停止時からの回転当初、固体接触領域で突起がシール摺動面に対して周方向に引き摺られることになる。
しかしながら、特許文献1のシールリップは、その突起の根元が隙間側から視て角になっているため、軸受停止時からの回転当初、シール摺動面との固体接触領域において引き摺られる突起の弾性変形により、静摩擦で発生するゴム特有のシャルマック波のような不均一なスティックスリップ現象を起こす可能性がある。
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、シールリップの複数の突起によってシールリップとシール摺動面間を流体潤滑状態にすることが可能なシール付軸受において、突起のスティックスリップ現象を抑制することである。
上記の課題を達成するため、この発明は、転がり軸受の内部空間を外部に対して密封するシール部材と、前記シール部材に対して周方向に摺動するシール摺動面とを備え、前記シール部材は、環状に形成されたシールリップを有し、前記シールリップは、周方向に並んだ複数の突起を有し、前記複数の突起は、周方向に隣り合う前記突起同士の間を通じて前記内部空間と外部に連通する隙間を生じさせ、かつ軸受回転に伴って前記隙間から前記突起と前記シール摺動面間に引き摺り込まれる潤滑油の油膜によって前記シールリップ及び前記シール摺動面間を流体潤滑状態にすることが可能な態様で形成されているシール付軸受において、前記突起は、当該突起の高さ方向の中間部位から根元まで当該突起の周方向幅を根元側に向かって次第に広くする方へ湾曲したコーナー部を有する構成を採用した。
上記構成によれば、突起の高さの中間部位から根元までの範囲が周方向幅を広くするように湾曲したコーナー部になっているので、突起の根元付近の強度が向上させられるので、軸受停止時からの回転当初、シール摺動面との固体接触領域において突起が周方向に引き摺れた際の弾性変形を抑制し、ひいては突起のスティックスリップ現象を抑制することができる。
前記突起の高さに占める前記コーナー部の割合は、30%以下であるとよい。軸受の低速回転時から突起とシール摺動面間を流体潤滑状態にするには、突起とシール摺動面間のくさび状隙間で適切なくさび効果を得ると共に、突起の頂上で油膜を切らないようにする必要がある。このため、突起の頂上から中間部位の間には、シール摺動面から次第に遠ざかる湾曲面状を十分に形成しなければならない。突起の高さに占めるコーナー部の高さの割合を30%以下とすることにより、コーナー部の高さを不必要に大きくせず、十分なくさび状隙間を形成することができる。
また、前記突起は、当該突起の周方向両側にそれぞれ前記コーナー部を有するとよい。このようにすると、突起の根元付近で周方向幅を両側へ広げて強度を向上させることができる。
また、前記コーナー部は、前記突起の全長に亘って形成されているとよい。このようにすると、突起の全長を無駄なく活用して突起の根元付近の強度を向上させることができる。
また、前記突起と前記シール摺動面の合成粗さσは、0.9μm以下であるとよい。このようにすると、突起とシール摺動面の摺動部を極めて低周速のときからスティックスリップ現象の起こらない流体潤滑状態にするのに好適である。
この発明は、上記構成を採用することにより、シールリップの複数の突起によってシールリップとシール摺動面間を流体潤滑状態にすることが可能なシール付軸受において、突起のスティックスリップ現象を抑制することができる。
この発明の実施形態に係るシール付軸受を示す断面図 図1のシールリップの自然状態を示す部分断面図 図2の突起付近の拡大左側面図 図1の突起付近の拡大図 図1の突起付近の拡大右側面図 ゴム強度が70Hsの試験片での摩擦係数の測定結果を示すグラフ ゴム強度が75Hsの試験片での摩擦係数の測定結果を示すグラフ
この発明の実施形態に係るシール付軸受を添付図面の図1~図6に基づいて説明する。
図1に示すこのシール付軸受は、転がり軸受1と、転がり軸受1の両側に配置された二つのシール部材2とを備える。
転がり軸受1は、内輪3と、外輪4と、内輪3と外輪4との間に介在する所定数の転動体5と、所定数の転動体5を保持する保持器6とで構成されている。シール部材2は、転がり軸受1の内部空間7を外部に対して密封する。この密封の目的は、このシール付軸受の周囲である外部の異物が内外輪3、4間の内部空間7に侵入することを抑制して転がり軸受1の早期損傷を防止することであり、内部空間7を液密に密封することではない。
内輪3及び外輪4は、転動体5に対応の軌道面を有する。内輪3は、回転軸Sに取り付けられ、回転軸Sと一体に回転する。外輪4は、ハウジング、ギア等、回転軸からの荷重を負荷させる部材に取り付けられる。転動体5は、内輪3及び外輪4間に介在しながら公転する。
転動体5として、玉が採用されている。このシール付軸受は、深溝玉軸受となっている。
内部空間7は、外部から供給される潤滑油(図示省略。以下、同じ。)によって潤滑される。潤滑方式としては、例えば、潤滑油をシール付軸受に掛けるはね掛け方式、又はシール付軸受の下部をオイルバスに漬ける油浴方式が挙げられる。初期潤滑剤として内部空間7に適量のグリースが封入されていてもよい。
回転軸Sは、例えば、車両のトランスミッション、ディファレンシャル、等速ジョイント、プロペラシャフト、ターボチャージャ、工作機械、風力発電機及びホイール軸受の中のいずれか一つに備わる回転部として設けられる。
なお、以下では、シール付軸受の軸受中心軸(図示省略、以下、同じ。)に沿った方向を「軸方向」という。軸方向に直交する方向を「径方向」という。軸受中心軸回りの円周方向を「周方向」という。図示例において、軸受中心軸は、回転輪とする内輪3の中心軸であり、同図において左右方向に相当する。
外輪4の内周の端部に、シール部材2を保持するシール溝8が形成されている。シール部材2は、その外周縁をシール溝8に圧入することにより、外輪4に取り付けられる。
このシール付軸受を囲む外部には、ギアの摩耗粉、クラッチの摩耗粉、微小砕石等、このシール付軸受の組み込み先に応じた異物が存在する。このような粉状の異物は、潤滑油や雰囲気の流れによってシール部材2付近に到達し得る。シール部材2は、外部から内部空間7への異物侵入を抑制するためのものである。
シール部材2は、金属板製の芯金9と、環状に形成されたシールリップ10とを有する。芯金9は、周方向に連なる環状に形成されたプレス加工部品になっている。シールリップ10は、加硫成形されたゴム材により形成されている。ゴム材として、例えば、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等が挙げられる。
内輪3の外周には、シールリップ10に対して周方向に摺動するシール摺動面11が形成されている。シール摺動面11は、周方向全周に連続する円筒面状になっている。
シールリップ10は、ラジアルリップになっている。ここで、ラジアルリップは、軸方向に沿ったシール摺動面又は軸方向に対して45°以内の鋭角の勾配をもったシール摺動面と密封作用を奏するシールリップであって、当該シール摺動面との間に径方向の締め代をもったもののことをいう。
図2は、シールリップ10が単独で自然な状態ときの断面形状(成形時の形状)を示す。シールリップ10は、軸方向に一定の幅で径方向に連続する円環状に形成された腰部と、腰部から外部側へ曲がる突片状に形成された頭部とを有する。
シールリップ10の頭部は、図2の状態においてシールリップ10の内径を規定する先端縁を有する。シール部材2を図1の所定配置に取り付けると、シールリップ10は、シール摺動面11に対する締め代により、シール摺動面11に押し付けられて、外部側へ曲がったゴム状弾性の変形を生じ、シールリップ10の緊迫力を生む。シール部材2の取り付け誤差、製造誤差等は、シールリップ10の撓み具合の変化によって吸収される。
図3は、図2のシールリップ10の頭部付近の左側面視を拡大して示す。図4は、図1のシールリップ10の頭部付近を拡大して示す。図5は、図1のシールリップ10の頭部付近の右側面視を拡大して示す。
図3~図5に示すように、シールリップ10は、周方向に並んだ複数の突起12を有する。
図3に示すように、突起12は、周方向に直交する方向に延びている。各突起12は、周方向に一定のピッチで並んでいる。突起12の全長は、シール摺動面11との間に径方向の締め代をもった範囲の全域に亘っている。シールリップ10の全体的な形状は、突起12のピッチに対応した回転対称形になっている。
図1のようにシール部材2を転がり軸受1に取り付ける際、複数の突起12がシール摺動面11に接触する。突起12は、軸受中心軸を含む仮想平面上においてシール摺動面11に対して直角な方向に高さをもつ。突起12がシールリップ10の緊迫力に抗して突っ張る。これにより、図4、図5に示すように、周方向に隣り合う突起12同士の間かつシール摺動面11とシールリップ10との間において、内部空間7と外部に連通する隙間13が生じさせられる。隙間13の流路断面高さは、周方向に隣り合う突起12同士を繋ぐリップ部分とシール摺動面11との間の径方向距離に相当する。シールリップ10は、複数の突起12上でのみシール摺動面11と摺動し、周方向に隣り合う突起12同士を繋ぐリップ部分は、シール摺動面11と非接触の状態に保たれるようになっている。
突起12は、図5に示すように、突起12の周方向中央部から周方向両側に向かって次第にシール摺動面11から遠ざかる形状になっている。このため、突起12は、隙間13側で大、突起12側で小となるくさび状隙間をシール摺動面11との間に形成する。
突起12は、突起12の周方向一方側の根元から形成されたコーナー部12aと、突起12の周方向他方側の根元から形成されたコーナー部12bと、コーナー部12a、12bから突起12の先端まで連続する頂部12cとで構成されている。
コーナー部12a、12bは、それぞれ突起12の高さ方向の中間部位から突起12の根元まで突起12の周方向幅Wを根元側に向かって次第に広くする方へ曲がる曲面状に形成されている。
ここで、突起12の高さhは、軸受中心軸に直交する仮想平面上において、周方向に隣り合う突起12同士を繋ぐリップ部分から突起12の先端までの高低差のことをいい、突起12の高さ方向は、同仮想平面上において、その高さhを成す直線方向のことをいい、突起12の周方向幅Wは、同仮想平面上において突起12の周方向両端間の周方向長さのことをいう。
突起12の全部は、中実部であって、軸受中心軸に直交しかつ周方向幅Wの二等分位置を通る仮想平面を境とした面対称形状になっている。突起12の高さhは、突起12の全長に亘って一定になっている。
コーナー部12a、12bは、それぞれ隙間13側から視て隅R状を成している。頂部12cは、コーナー部12a、12b間に亘る円孤面状を成している。頂部12cの曲率半径のRと、コーナー部12a、12bの曲率半径Rは、突起12の高さhに占めるコーナー部12a、12bの割合が30%以下となるように設定されている。すなわち、コーナー部12a、12bの高さhの値は、0.3h以下である。
コーナー部12a、12bは、それぞれ突起12の全長に亘って形成されている。
コーナー部12a、12bは、突起12とシール摺動面11間の固体接触領域が存在する潤滑状態のとき、突起12の頂部12cがシール摺動面11に対して周方向に引き摺られることで突起12が根元付近から弾性変形することを抑制することができるように突起12の強度を向上させるためのものである。
突起12の強度を向上させることがシャルマック波のようなスティックスリップ現象を抑制することに有効であるか判断するための試験を行った。その試験は、JIS P8147:2010に準拠した方法で行った。各測定では、所定のショア硬さを示すゴム試験片の往復運動を3回連続で実施したときの摩擦係数μを測定した。70Hsのゴム試験片での測定結果を図6に示し、75Hsのゴム試験片での測定結果を図7に示す。図6、図7において、往復運動の開始は、測定時間(横軸)の約5秒後からである。図6、図7のグラフで摩擦係数μの変化を比較すると、75Hsのゴム試験片での摩擦係数の変化量(すなわち、静止摩擦係数と動摩擦係数の差)は、70Hsのゴム試験片の摩擦係数の変化量に比して顕著に小さい。したがって、ゴム部の強度を向上させることがスティックスリップ現象の抑制に有効であることが分かる。
図5に例示するコーナー部12a、12bは、それぞれ単一円弧面状を成す隅R状としたが、突起12の周方向幅Wを根元付近で拡大しつつ、根元での応力集中を緩和する角のない湾曲状を成せば、周方向への引き摺りに対する突起12の耐変形性の観点から突起12の強度向上を図って、固体接触領域が存在する潤滑状態のときに突起12とシール摺動面11間でスティックスリップ現象を抑制することができ、理想的には、スティックスリップ現象が発生しない湾曲状を成せばよい。
突起12の頂部12cは、図4に示すように、軸受中心軸を含む仮想平面上において、概ねシール摺動面11に沿った領域をもつ。この領域は、シール摺動面11に沿った方向(図示例においては軸方向に相当)に幅をもって存在する。このため、軸受回転に伴う突起12とシール摺動面11の摺動部、すなわち、突起12が隙間13内の潤滑油をシール摺動面11との間に周方向に引き摺り込む際のくさび効果によって油膜形成が促進され、突起12の頂部12cとシール摺動面11との間に油膜が介在させられる領域は、同図の仮想平面上においてシール摺動面11に沿った方向に所定以上の有限長Lで生じる。このような突起12とシール摺動面11の摺動部は、Hertzの弾性接触理論に基づく接触楕円状に生じると考えられる。
突起12とシール摺動面11の摺動部では、前述のように丸まった突起12の頂部12cとシール摺動面11との間での潤滑油のせん断抵抗が抑えられつつ、突起12の周方向中央部が鋭利になることを避けて突起12による油膜切りが防止されるので、くさび効果によって油膜形成が効果的に促される。このため、軸受回転によって突起12とシール摺動面11の相対回転の周速が一定以上になると、突起12とシール摺動面11間の油膜厚さは、突起12とシール摺動面11間の合成粗さσを余裕で上回り、各突起12とシール摺動面11が油膜で完全に分離させられた流体潤滑状態になる。これにより、シールリップ10とシール摺動面11間を油膜で完全に分離させた流体潤滑状態にすることができる。このような流体潤滑状態になれば、シール部材2によるシールトルクを非接触式のシールと同等まで低減し、ひいてはシール付軸受の温度上昇を抑制し、シールリップ10の吸着作用を防止することができる。なお、軸受停止時から前述の周速が一定未満のとき、微視的には固体接触領域を含む境界潤滑状態ないし混合潤滑状態となる。
例えば、車両のトランスミッション内の回転部を支持する用途では、一般に、跳ねかけ、オイルバス等の適宜の方式でシール付軸受に給油される。よって、シールリップ10の周辺には、外部から供給される潤滑油が存在している。その潤滑油は、トランスミッション内に存在するギア等の他の潤滑部分でも共通に用いられる。その潤滑油は、オイルポンプで循環されており、その循環経路に設けられたオイルフィルタによって濾過される。粒径0.05mmを超える大きな異物が内部空間7に侵入すると、軸受寿命に悪影響を及ぼすと考えられる。突起12の高さを0.07mm以下に設定すれば、そのような大きな異物が容易に通過できない隙間13を生じさせることができる。突起12の高さhが0.07mm以下の場合、例えば、周方向に隣り合う突起12同士の間隔が0.3mm以上2.6mm以下、突起12の周方向幅Wが0.2mm以上1.0mm以下、かつ突起12の頂部12cの曲率半径Rを0.15mm以上2.0mm未満の範囲に設定することができる。この例では、その油温30~120℃、シールリップ10とシール摺動面11の相対的な周速が0.2m/s以上の場合に、計算上、Greenwood-Johnsonの決めた無次元数である粘性パラメータgvと弾性パラメータgeに基づく潤滑領域図(Johnsonチャート)において等粘度-剛体領域(R-Iモード)又は等粘度-弾性体領域(E-Iモード,ソフトEHL)のいずれかの潤滑モード、すなわち前述の流体潤滑状態になると考えられる。
なお、前述の間隔が2.6mmの場合、突起12とシール摺動面11との間には、計算上、約3μmの油膜が形成され、2.6mmより小さい場合に油膜が厚くなる傾向がある。また、前述の間隔が2.6mm以下では、軸受回転トルクが低下傾向(すなわちシールトルクの低下傾向)を示す。前述の間隔が0.3mm未満では、ボールエンドミルで金型に突起12を成形するための転写面を加工することが困難になる。金型での成形を考慮すると、突起12の頂部12cの曲率半径Rを0.15mm以上2.0mm未満に設定することが好ましい。突起12の周方向幅Wが曲率半径Rに相関するので、突起12の周方向幅Wを0.2mm以上1.0mm以下に設定することが好ましい。
ここで、油膜パラメータΛ≧3であれば、摺動部の潤滑モードは流体潤滑状態であると考えられる。油膜パラメータΛは、摺動部での最小油膜厚さhに対する合成粗さσの比であり、Λ=h/σである。最小油膜厚さhは、弾性流体潤滑理論に基づいて求められる。合成粗さσ=√((Rq1 +Rq2 )/2)である。Rqは、前述の摺動部を成すシール摺動面11の二乗平均平方根粗さである。Rqは、突起12の表面における二乗平均平方根粗さとすると、二乗平均平方根粗さは、JIS(B0601:2013)に規定された二乗平均平方根粗さRqの値(μm)である。
油膜パラメータΛは合成粗さσに依存し、合成粗さσが小さいほど油膜を厚くすることができる。前述の周速が極低速のときから突起12とシール摺動面11の摺動部を流体潤滑状態とするため、その摺動部における合成粗さσを0.9μm以下にすることが好ましい。例えば、合成粗さσが0.9μm、潤滑油をミッション油(30cst,40℃)、雰囲気温度を20℃、周速0.2m/sの計算条件において、Johnsonチャートによる油潤滑モードを判定したところ、最小油膜厚さhが2.8μm、油膜パラメータΛが3以上となり、潤滑モードがE-Iモードとなった。したがって、突起12とシール摺動面11の合成粗さσが0.9μm以下であれば、軸受の実使用領域において確実に流体潤滑状態になることが見込まれる。
このシール付軸受は、上述のように、シールリップ10の複数の突起12によってシールリップ10とシール摺動面11間を流体潤滑状態にすることが可能であって、それら突起12が 突起12の高さ方向の中間部位から根元まで突起12の周方向幅Wを根元側に向かって次第に広くする方へ湾曲したコーナー部12a、12bを有するので、突起12の根元付近の強度を向上させ、転がり軸受1の停止時からの回転当初、シール摺動面11との固体接触領域において突起12が周方向に引き摺られた際の弾性変形を抑制して、突起12のスティックスリップ現象を抑制することができる。
結果的に、このシール付軸受は、近年増加するアイドリングストップ車両のようなミッション静止状態、すなわちシール付軸受が支持する回転部(回転軸S)の停止状態が頻繁に発生する箇所においてシールリップ10とシール摺動面11間の静止摩擦係数を低減させ、シール付軸受の起動トルクの低減を図ることもできる。
また、このシール付軸受は、突起12の高さhに占めるコーナー部12a、12bの割合が30%以下であるので、コーナー部12a、12bの高さhを不必要に大きくせず、転がり軸受1の低速回転時から突起12の頂部12cとシール摺動面11間を流体潤滑状態にするのに十分なくさび状隙間を形成することができる。
また、このシール付軸受は、突起12が突起12の周方向両側にそれぞれコーナー部12a、12bを有するので、突起12の根元付近で周方向幅Wを両側へ広げて強度を向上させることができる。
また、このシール付軸受は、コーナー部12a、12bが突起12の全長に亘って形成されているので、突起12の全長を無駄なく活用して突起12の根元付近の強度を向上させることができる。
また、このシール付軸受は、突起12とシール摺動面11の合成粗さσが0.9μm以下であるため、突起12とシール摺動面11の摺動部を極めて低周速のときからスティックスリップ現象の起こらない流体潤滑状態にするのに好適である。
上述の各実施形態では、突起を周方向に均一配置した例を示したが、不均一に配置することも可能である。
また、上述の各実施形態では、シール部材を芯金と加硫ゴム材とから構成したものを例示したが、この発明は、ゴム材、樹脂材等の単材により形成されるシール部材に適用することも可能である。
また、上述の各実施形態では、ラジアルリップを例示したが、この発明は、軸方向に対して45°を超える勾配をもったシール摺動面と密封作用を奏するシールリップ(アキシアルリップ)に適用することも可能である。
また、上述の各実施形態では、内輪回転のラジアル玉軸受を例示したが、この発明は、外輪回転の軸受、スラスト軸受、ころ軸受等の適宜の形式にも適用することも可能である。また、シール摺動面を回転輪に形成した例を示したが、固定輪に形成する場合にこの発明を適用することも可能である。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 転がり軸受
2 シール部材
7 内部空間
10 シールリップ
11 シール摺動面
12 突起
12a、12b コーナー部
13 隙間

Claims (5)

  1. 転がり軸受の内部空間を外部に対して密封するシール部材と、前記シール部材に対して周方向に摺動するシール摺動面とを備え、
    前記シール部材は、環状に形成されたシールリップを有し、前記シールリップは、周方向に並んだ複数の突起を有し、前記複数の突起は、周方向に隣り合う前記突起同士の間を通じて前記内部空間と外部に連通する隙間を生じさせ、かつ軸受回転に伴って前記隙間から前記突起と前記シール摺動面間に引き摺り込まれる潤滑油の油膜によって前記シールリップ及び前記シール摺動面間を流体潤滑状態にすることが可能な態様で形成されているシール付軸受において、
    前記突起は、当該突起の高さ方向の中間部位から根元まで当該突起の周方向幅を根元側に向かって次第に広くする方へ湾曲したコーナー部を有することを特徴とするシール付軸受。
  2. 前記突起の高さに占める前記コーナー部の割合は、30%以下である請求項1に記載のシール付軸受。
  3. 前記突起は、当該突起の周方向両側にそれぞれ前記コーナー部を有する請求項1又は2に記載のシール付軸受。
  4. 前記コーナー部は、前記突起の全長に亘って形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載のシール付軸受。
  5. 前記突起と前記シール摺動面の合成粗さσは、0.9μm以下である請求項1から4のいずれか1項に記載のシール付軸受。
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