JP2022123808A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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良一 赤石
Ryoichi Akaishi
真佳 松野
Masayoshi Matsuno
秀樹 林
Hideki Hayashi
剛知 松山
Taketomo Matsuyama
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Abstract

【課題】多様な種類の材質の表面に、強固に結合する硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】特定の一般式で表される、ベースモノマーA、接着性、粘着性に優れたモノマーBおよびリン酸基を有するモノマーCを含有する硬化性樹脂組成物及びモノマーA、モノマーBおよびモノマーCを構成単位として含むポリマーを含有する粘接着剤または表面コート剤。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル酸誘導体をモノマー成分として含有する硬化性樹脂組成物、および該モノマー成分を構成単位として含むポリマーを含有する粘接着剤、および該モノマー成分を構成単位として含むポリマーを含有する表面コート剤に関する。
車両や航空機等の軽量化を代表例として、複数の異なる材質の材料を併用する、いわゆるマルチマテリアル化が進んでいる。マルチマテリアル化では、例えば、鉄とアルミニウム合金、金属と樹脂、金属とCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)等、異なる材質の材料同士を接合(以下、異種材料の接合という)することで、軽量化や単一の材料では達成しにくい機能の付与等が可能となる。異種材料の接合においては、溶接による接合が適用できない場合があるため、多様な種類の材質の接合が可能な接着技術が検討されている。
特許文献1には、多様な種類の材質の表面に強固に結合する硬化性樹脂組成物、粘接着剤および表面コート剤として、(メタ)アクリル酸誘導体であるベースモノマーと、架橋剤と、重合開始剤と、ベンゼン環状にヒドロキシルまたはB(OH)2を有する(メタ)アクリルアミド誘導体である粘接着性モノマーと、を構成要素とする硬化性樹脂組成物、ならびに上記ベースモノマーと粘接着性モノマーとを構成単位として含むポリマーを含有する粘接着剤および表面コート剤が開示されている。
国際公開第2019/221135号
しかし、特許文献1に記載された粘接着性モノマーは金属への密着性については、なお改善の余地がある。
したがって、本発明は、多様な種類の材質に、強固に結合する硬化性樹脂組成物、粘接着剤、および表面コート剤を提供することを目的とする。
すなわち、本発明においては、例えば、以下の〔1〕~〔17〕等が提供される。
〔1〕モノマーA、モノマーB、およびモノマーCを含有する硬化性樹脂組成物であって、
モノマーAが、式(I):
Figure 2022123808000001
[式中、R1は、水素原子またはメチルを表し;
1は、単結合、-O-、-NH-、-NR9-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
1は、単結合、またはC1-20アルキレンを表し;
2は、メチル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェノキシ、置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和の炭化水素環基、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基、または(メタ)アクリロイルオキシを表し;
9は、置換されていてもよいC1-8アルキルを表し;
ここにおいて、R2が、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェノキシのときは、W1がC2-20アルキレンである]で表される1以上の化合物であり、
モノマーBが、式(II):
Figure 2022123808000002
[式中、R3は、水素原子またはメチルを表し;
2は、-O-、-NH-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
2は、単結合、または置換されていてもよいC1-20アルキレンを表し;
3は、単結合、-O-、-CH(OH)-、-NH-、-NHC(O)-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NH-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-OC(O)NH-、または-OC(O)O-を表し;
3は、単結合、C1-6アルキレン、またはC2-6アルケニレンを表し;
4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル、またはB(OH)2を表し;
ここにおいて、R4およびR5がいずれも水素原子であることはない]で表される1以上の化合物であり、
モノマーCが、
Figure 2022123808000003
[式中、R6a、R6b、およびR6cは、それぞれ水素原子またはメチルを表し;
4a、およびW4bは、それぞれC1-20アルキレンを表し;
nは、1~3の整数を表し;
7b、R7c、R8b、およびR8cは、それぞれヒドロキシル、またはC1-6アルコキシを表す]で表される1以上の化合物である硬化性樹脂組成物。
〔2〕式(I)中、L1が-O-であり;式(II)中、L2が-O-、または-NH-である上記〔1〕記載の硬化性樹脂組成物。
〔3〕式(I)中、R2が、メチル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよい4員~7員の含酸素飽和ヘテロ環基、または置換されていてもよいフェニルである上記〔1〕または〔2〕記載の硬化性樹脂組成物。
〔4〕式(II)中、L2が-NH-であり、W2が、単結合であり;L3が、単結合であり;W3が、C1-6アルキレンである上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
〔5〕式(II)中、L2が-O-であり、W2が、置換されていてもよいC1-20アルキレンであり、L3が、-OC(O)-であり;W3が単結合である上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
〔6〕モノマーBが、R4および/またはR5がヒドロキシルである化合物を含む上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
〔7〕組成物中のモノマーBの含有量が0.1~10.0質量%である上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
〔8〕モノマーCが、式(IIIa):
Figure 2022123808000004
[式中、R6aは、水素原子またはメチルを表し;
4aは、C1-20アルキレンを表し;
nは、1~3の整数を表す]で表される1以上の化合物である上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
〔9〕モノマーCが、式(IIIa)中、nが1の化合物、nが2の化合物およびnが3の化合物を含む上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
〔10〕架橋性モノマーをさらに含有する上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
〔11〕架橋性モノマーが、多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能イソシアネートである上記〔10〕記載の硬化性樹脂組成物。
〔12〕モノマーA、モノマーBおよびモノマーCを構成単位として含むポリマーを含有する粘接着剤であって、
モノマーAが、式(I):
Figure 2022123808000005
[式中、R1は、水素原子またはメチルを表し;
1は、単結合、-O-、-NH-、-NR9-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
1は、単結合、またはC1-20アルキレンを表し;
2は、メチル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェノキシ、置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和の炭化水素環基、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基、または(メタ)アクリロイルオキシを表し;
9は、置換されていてもよいC1-8アルキルを表し;
ここにおいて、R2が、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェノキシのときは、W1がC2-20アルキレンである]で表される1以上の化合物であり、
モノマーBが、式(II):
Figure 2022123808000006
[式中、R3は、水素原子またはメチルを表し;
2は、-O-、-NH-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
2は、単結合、または置換されていてもよいC1-20アルキレンを表し;
3は、単結合、-O-、-CH(OH)-、-NH-、-NHC(O)-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NH-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-OC(O)NH-、または-OC(O)O-を表し;
3は、単結合、C1-6アルキレン、またはC2-6アルケニレンを表し;
4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル、またはB(OH)2を表し;
ここにおいて、R4およびR5がいずれも水素原子であることはない]で表される1以上の化合物であり、
モノマーCが、
Figure 2022123808000007
[式中、R6a、R6b、およびR6cは、それぞれ水素原子またはメチルを表し;
4a、およびW4bは、それぞれC1-20アルキレンを表し;
nは、1~3の整数を表し;
7b、R7c、R8b、およびR8cは、それぞれヒドロキシル、またはC1-6アルコキシを表す]で表される1以上の化合物である粘接着剤。
〔13〕モノマーCが、式(IIIa):
Figure 2022123808000008
[式中、R6aは、水素原子またはメチルを表し;
4aは、C1-20アルキレンを表し;
nは、1~3の整数を表す]で表される1以上の化合物である上記〔12〕記載の粘接着剤。
〔14〕架橋性モノマーをさらに含有する上記〔12〕または〔13〕記載の粘接着剤。
〔15〕モノマーA、モノマーBおよびモノマーCを構成単位として含むポリマーを含有する表面コート剤であって、
モノマーAが、式(I):
Figure 2022123808000009
[式中、R1は、水素原子またはメチルを表し;
1は、単結合、-O-、-NH-、-NR9-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
1は、単結合、またはC1-20アルキレンを表し;
2は、メチル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェノキシ、置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和の炭化水素環基、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基、または(メタ)アクリロイルオキシを表し;
9は、置換されていてもよいC1-8アルキルを表し;
ここにおいて、R2が、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェノキシのときは、W1がC2-20アルキレンである]で表される1以上の化合物であり、
モノマーBが、式(II):
Figure 2022123808000010
[式中、R3は、水素原子またはメチルを表し;
2は、-O-、-NH-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
2は、単結合、または置換されていてもよいC1-20アルキレンを表し;
3は、単結合、-O-、-CH(OH)-、-NH-、-NHC(O)-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NH-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-OC(O)NH-、または-OC(O)O-を表し;
3は、単結合、C1-6アルキレン、またはC2-6アルケニレンを表し;
4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル、またはB(OH)2を表し;
ここにおいて、R4およびR5がいずれも水素原子であることはない]で表される1以上の化合物であり、
モノマーCが、
Figure 2022123808000011
[式中、R6a、R6b、およびR6cは、それぞれ水素原子またはメチルを表し;
4a、およびW4bは、それぞれC1-20アルキレンを表し;
nは、1~3の整数を表し;
7b、R7c、R8b、およびR8cは、それぞれヒドロキシル、またはC1-6アルコキシを表す]で表される1以上の化合物である表面コート剤。
〔16〕モノマーCが、式(IIIa):
Figure 2022123808000012
[式中、R6aは、水素原子またはメチルを表し;
4aは、C1-20アルキレンを表し;
nは、1~3の整数を表す]で表される1以上の化合物である上記〔15〕記載の表面コート剤。
〔17〕架橋性モノマーをさらに含有する上記〔15〕または〔16〕記載の表面コート剤。
本開示によれば、多様な種類の材質に、強固に結合する硬化性樹脂組成物、粘接着剤、および表面コート剤を提供することができる。
本明細書において「置換基」の定義における炭素の数を、例えば、「C1-6」等と表記する場合もある。具体的には、「C1-6アルキル」なる表記は、炭素数1から6のアルキル基と同義である。
「C1-20アルキレン」は、炭素数1~20個を有する直鎖状もしくは分枝状の二価の飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、「C1-8アルキレン」であり、より好ましくは、「C1-6アルキレン」であり、さらに好ましくは、「C1-4アルキレン」である。「C1-20アルキレン」の具体例としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、1-メチルメチレン、1-エチルメチレン、1-プロピルメチレン、1-メチルエチレン、2-メチルエチレン、1-エチルエチレン等が挙げられる。
「C2-6アルケニレン」は、炭素数2~6個を有する直鎖状もしくは分枝状の二重結合を有する二価の炭化水素基を意味する。好ましくは、「C2-4アルキレン」である。「C2-6アルケニレン」の具体例としては、例えば、エチレニレン、プロピレニレン、ブチレニレン、ペンタレニレン、ヘキサレニレン、1-メチルエチニレニン、2-メチルエチニレニン、1-メチルプロピニレン等が挙げられる。
「C1-8アルキル」は、炭素数1~8個を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、「C1-6アルキル」であり、より好ましくは、「C1-4アルキル」である。「C1-8アルキル」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル等が挙げられる。
「C1-6アルコキシ」は、酸素原子にC1-6アルキルが結合した置換基を意味し、酸素原子により親分子と結合するものである。「C1-6アルコキシ」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1-4アルコキシ」である。「C1-6アルコキシ」の具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
「5員もしくは6員のヘテロアリール」としては、例えば、5員もしくは6員の単環式の芳香族ヘテロ環基等が挙げられ、該基は、環を構成する原子として、窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択される同種または異種のヘテロ原子を1個以上(例えば1~4個)含有する。「5員もしくは6員のヘテロアリール」の具体例としては、例えば、ピリジル、ピリミジル、ピラジル、ピリダジル、トリアジル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾイル、テトラゾイル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル等が挙げられる。
「3員~8員の飽和または部分不飽和の炭化水素基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
「3員~8員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基」としては、例えば、環を構成する原子として、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同種または異種のヘテロ原子を1~3個含有する3員~8員の単環式の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基等が挙げられる。好ましくは4員~6員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基であり、より好ましくは、環を構成する原子として酸素原子を1~2個含む4員~6員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基であり、さらに好ましくは環を構成する原子として酸素原子を1~2個含む4員~6員の飽和ヘテロ環基である。「3員~8員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基」の具体例としては、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロフリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、オキサゾリジニル、オキセパニル、オキセカニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、アゼカニル、モルホリニル、チオモルホリニル等が挙げられ、オキセタニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、およびジオキソラニルが好ましく、テトラヒドロフリルおよびジオキソラニルがより好ましい。該基の結合手は、環を構成する炭素原子および窒素原子のいずれであってもよい。
「3員~8員の含酸素飽和ヘテロ環基」としては、例えば、酸素原子を1~2個含み、任意に窒素原子および硫黄原子から選択される同種または異種の原子を1~2個有する3員~8員の単環式の飽和ヘテロ環基等が挙げられる。前記酸素原子、窒素原子および硫黄原子はいずれも環を構成する原子である。4員~6員の含酸素飽和ヘテロ環基が好ましい。具体的には、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、オキサゾリジニル、オキセパニル、オキセカニル、モルホリニル等が挙げられ;オキセタニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、およびジオキソラニルが好ましく;オキセタニルおよびテトラヒドロフリルがより好ましい。
「置換されていてもよいC1-8アルキル」、「置換されていてもよいC1-6アルコキシ」、および「置換されていてもよいC1-20アルキレン」または「置換されていてもよいC3-20アルキレン」における置換基としては、ヒドロキシル、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ等が挙げられる。
「置換されていてもよいフェニル」「置換されていてもよいフェノキシ」、「置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール」、「置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和の炭化水素環基」、および「置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基」における置換基としては、例えば、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン原子、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ等が挙げられる。
「ハロゲン原子」の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において「(メタ)アクリロイルオキシ」は、メタクリロイルオキシ基およびアクリロイルオキシ基を含むものとする。
本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
<モノマー成分>
本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、硬化することで基材に結合する組成物である。本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、第1のモノマー(モノマーA)と第2のモノマー(モノマーB)と第3のモノマー(モノマーC)を含有することを特徴とする。
(モノマーA)
本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、第1のモノマー(モノマーA)として、下記式(I):
Figure 2022123808000013
[式中、R1は、水素原子またはメチルを表し;L1は、単結合、-O-、-NH-、-NR9-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;W1は、単結合、またはC1-20アルキレンを表し;R2は、メチル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェノキシ、置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和の炭化水素環基、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基、または(メタ)アクリロイルオキシを表し;R9は、置換されていてもよいC1-8アルキルを表し;ここにおいて、R2が、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェノキシのときは、W1がC2-20アルキレンである]で表される1以上の化合物を含有する。
1として好ましくは、単結合、または-O-であり;より好ましくは-O-である。L1が-O-である式(I)の化合物は、本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物が含み得る後述するモノマーBとの相溶性が良いので好ましい。
1として好ましくは、単結合、またはC1-6アルキレンであり;より好ましくは、単結合、またはC1-4アルキレンである。また、W1の別の態様として、C1-8アルキレン、C1-6アルキレン、C2-6アルキレン、C1-4アルキレン、C2-4アルキレン等が挙げられる。
2として好ましくは、
(1)メチル、
(2)ヒドロキシル、
(3)置換されていてもよいC1-6アルコキシ、例えば、ヒドロキシルまたはC1-6アルコキシで置換されていてもよいC1-6アルコキシ、
(4)置換されていてもよい3員~8員の飽和ヘテロ環基、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択される同種または異種の1~4個の基で置換されていてもよい4員~7員の含酸素飽和ヘテロ環基(例えば、オキセタニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、オキサゾリジニル、オキセパニル、モルホリニル等)、
(5)置換されていてもよいフェニル、または
(6)(メタ)アクリロイルオキシであり;
より好ましくは、
(1)メチル、
(2)ヒドロキシル、
(3)C1-4アルコキシ、
(4)1~4個のC1-6アルキルで置換されていてもよい4員~7員の含酸素飽和ヘテロ環基、または
(5)置換されていてもよいフェニルであり;
さらに好ましくは、C1-4アルコキシ、1~4個のC1-6アルキルで置換されていてもよい4員~6員の含酸素飽和ヘテロ環基、またはフェニルである。
密着性の観点からは、ターゲットとする基材の材質に合わせて使用するモノマーAを選択することも可能であり、有機系基材には、R2が置換されていてもよい3員~8員の含酸素飽和ヘテロ環基であるモノマーAを用いることが好ましい。無機系基材にはR2がヒドロキシルであるモノマーAを用いることにより、モノマーBの添加の効果がより得られやすい傾向がある。また、接着性の観点からは、モノマーAとして、R2がヒドロキシルである化合物と、R2が置換されていてもよいC1-6アルコキシである化合物とを併用することがより好ましい。
2がヒドロキシルであるモノマーAと、R2が置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェニルであるモノマーAとを併用する場合、モノマーA中のR2がヒドロキシルであるモノマーAとR2が置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェニルであるモノマーAの質量割合[R2がヒドロキシルであるモノマーA:R2が置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェニルであるモノマーA]は、R2が置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェニルであるモノマーAの特性が密着性、粘着性、接着性において発現されるという観点から0.5:99.5~20:80が好ましく、1:99~10:90がより好ましい。
モノマーBの良好な溶解性という観点からは、式(I)中、L1が-O-であり、R2が、メチル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよい4員~7員の含酸素飽和ヘテロ環基、または置換されていてもよいフェニルであるモノマーAを用いることが好ましく、後述のモノマーCの添加効果が得られやすいという観点からは、式(I)中、L1が-O-であり、R2が、メチル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよい4員~7員の含酸素飽和ヘテロ環基、または置換されていてもよいフェニルであるモノマーAを用いることが好ましい。
モノマーAの別の態様としては、式(I)におけるL1およびW1が単結合であり、R2がヒドロキシルであるか、L1が-O-であり、W1がC2-20アルキレンであり、R2が、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1-6アルコキシであるか、L1が-O-であり、W1がC1-8アルキレンであり、R2が、置換されていてもよい3員~8員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基、または置換されていてもよいフェニルであるか、L1が-O-であり、W1が単結合、またはC1-6アルキレンであり、R2がメチルである1以上の化合物を含むことが好ましく;L1が-O-であり、W1がC2-8アルキレンであり、R2が、ヒドロキシル、または置換されていてもよいC1-4アルコキシであるか、L1が-O-であり、W1がC1-4アルキレンであり、R2が、置換されていてもよい4員~6員の含酸素飽和ヘテロ環基、または置換されていてもよいフェニルであるか、L1が-O-であり、W1が単結合、またはC1-4アルキレンであり、R2がメチルである1以上の化合物を含むことがより好ましい。
モノマーの合計量に対するモノマーAの含有量は特に制限されず、後記のモノマーB、架橋性モノマー、およびその他のモノマーを除いた残部をその含有量とすることができるが、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。また、硬化性樹脂組成物を希釈することなく粘接着剤や表面コート剤に使用する場合には、モノマーAの含有量は、75質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましい。モノマーAの含有量を75質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、93質量%以上とすることで、モノマーAの特性を発揮させることができる。モノマーの合計量に対するモノマーAの含有量の上限は、モノマーBの含有量を確保するためには、90質量%未満が好ましく、80%以下がより好ましい。また、硬化性樹脂組成物を希釈することなく粘接着剤や表面コート剤に使用する場合には、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下がさらに好ましい。モノマーAの特性の一例としては、柔軟性等が挙げられる。
モノマーAは、公知化合物と公知の合成方法を組み合わせた方法により合成される。また、モノマーAとして市販品を使用してもよい。
(モノマーB)
本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、第2のモノマー(モノマーB)として、式(II):
Figure 2022123808000014
[式中、R3は、水素原子またはメチルを表し;L2は、-O-、-NH-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;W2は、単結合、または置換されていてもよいC1-20アルキレンを表し;L3は、単結合、-O-、-CH(OH)-、-NH-、-NHC(O)-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NH-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-OC(O)NH-、または-OC(O)O-を表し;W3は、単結合、C1-6アルキレン、またはC2-6アルケニレンを表し;R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル、またはB(OH)2を表し;ここにおいて、R4およびR5がいずれも水素原子であることはない]で表される1以上の化合物を含有する。
モノマーBは、上記のように、ベンゼン環に、ヒドロキシルまたはB(OH)2を有している。本開示の一実施形態である硬化性樹脂組成物および後述の粘接着剤および表面コート剤は、これらの基が接着表面に配向することにより、より多くの種類の材料に対してより強固に結合できる一つの要因となっていると考えられる。
2として好ましくは、-O-または-NH-であり;より好ましくは-NH-である。L2が-NH-である式(II)の化合物は、硬化性樹脂組成物が硬化した後に加水分解しにくい粘接着剤や表面コート剤となるので好ましい。
2として好ましくは、単結合、または置換されていてもよいC1-8アルキレンであり;より好ましくは、単結合、または置換されていてもよいC1-4アルキレンであり;さらに好ましくは、単結合、C1-2アルキレン、またはヒドロキシルで置換されているC2-4アルキレンである。また、R4およびR5がいずれもヒドロキシルのときは、W2はエチレン、またはヒドロキシルで置換されているトリメチレンが好ましく、R4またはR5がB(OH)2のときは、W2は単結合が好ましい。
3として好ましくは、単結合、-O-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NH-、または-OC(O)-であり;より好ましくは単結合、または-OC(O)-である。
3として好ましくは、単結合である。
4およびR5は、いずれもヒドロキシルであることが好ましい。また、別の態様として、R4がB(OH)2であり、かつR5が水素原子であるか、R4が水素原子であり、かつR5がB(OH)2であることが接着性を向上させる観点から好ましい。
モノマーBの一態様として、R4および/またはR5がB(OH)2である化合物を含む。また、別の態様として、R4および/またはR5がヒドロキシルである化合物を含む。なかでも、R4がB(OH)2であり、かつR5が水素原子であるか、R4が水素原子であり、かつR5がB(OH)2である化合物(モノマーB-a)、および、R4ならびにR5が、いずれもヒドロキシルである化合物(モノマーB-b)が好ましい態様として挙げられる。
モノマーB-aおよびモノマーB-bは、各材質間の粘接着性に応じて適宜使用量を変更することができ、モノマーB-aおよびモノマーB-bのうちどちらか一方のみを使用してもよく、モノマーB-aおよびモノマーB-bを併用してもよい。モノマーB-aとモノマーB-bとを併用する場合、モノマーB-bの含有量に対するモノマーB-aの含有量の質量割合[モノマーB-a/モノマーB-b]としては、例えば、0.01~100、0.05~20、0.1~10、0.2~5.0、0.4~2.5、0.5~2.0、0.7~1.4の範囲を挙げることができる。
モノマーBは、モノマーCの密着特性を阻害することなくより多様な材質に密着性を示す傾向があるという観点から、モノマーB-aおよびモノマーB-bを含むことがより好ましく、モノマーB-aおよびモノマーB-bのみからなることがさらに好ましい。
モノマーBは、公知化合物と公知の合成方法を組み合わせた方法により合成される。また、モノマーBとして市販品を使用してもよい。
モノマーBのうち、式(IIa):
Figure 2022123808000015
[式中、R3aは、水素原子またはメチルを表し;W2aは、単結合、または置換されていてもよいC3-20アルキレンを表し;L2aは、単結合、-O-、-CH(OH)-、-C(O)O-、-OC(O)-、または-OC(O)O-を表し;W3aは、C2-6アルケニレンを表し;R4aおよびR5aは、それぞれ独立して、水素原子、またはヒドロキシルを表し;ここにおいて、R4aおよびR5aがいずれも水素原子であることはない]で表される化合物は新規な化合物であり、例えば次の方法により合成することができる。
1.カテコール基含有カルボン酸化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの脱水縮合反応
この反応は、例えば、式(IIa)においてW2aが置換されていないアルキレンである場合などに適用することができ、具体的には(E)-4-((3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリロイル)オキシ)ブチルアクリレートを、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリル酸と4-ヒドロキシブチルアクリレートとの脱水縮合反応により合成する方法が挙げられる。脱水縮合による合成方法は、比較的温和な条件で目的物を合成可能なので、作業性が良い。脱水縮合の方法は特に限定されることはない。
2.カテコール基含有カルボン酸化合物によるグリシジル基含有(メタ)アクリレートの開環反応
この反応は、例えば、式(IIa)においてW2aがヒドロキシル基で置換されたアルキレンである場合などに適用することができ、具体的には(E)-3-((3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリロイル)オキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリル酸によるグリシジルメタクリレートの開環反応により合成する方法が挙げられる。この開環反応では、グリシジル基がカテコール基のいずれかのヒドロキシル基と反応して得られる化合物などの複数の副生成物が生成され得るが、得られるモノマーBをその特性を発揮することのできる量で含有させることができる限り、特別に精製、単離することなく副生成物との混合物の状態で使用することもできる。開環反応による合成方法は、他の方法と比べて比較的安価に目的物を合成可能なので、生産性が良い。開環反応の方法は特に限定されることはない。
3.カテコール基含有脂肪族アルコール化合物によるカルボン酸基含有(メタ)アクリレートとの縮合反応
この反応は、例えば、式(IIa)においてW2aがカルボン酸基で置換されたアルキレンである場合などに適用することができ、具体的には、2-((3,4-ジヒドロキシベンジル)オキシ)-2-オキシエチルメタクリレートを、メタクリル酸ナトリウムなどとモモノクロロ酢酸の置換反応で得られるヒドロキシカルボニルメチルメタクリレートと3,4-ジヒドロキシベンジルアルコールとの脱水縮合により合成する方法が挙げられる。
4.塩基性条件下におけるカテコール基含有カルボン酸化合物と脱離基を有するアルキル(メタ)アクリレートとの置換反応
さらに別の例としては、(E)-4-((3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリロイル)オキシ)ブチルアクリレートを、トリエチルアミン存在下で、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリル酸と4-ブロモブチル(メタ)アクリレートとの置換反応により合成する方法が挙げられる。置換反応の方法は特に限定されることはない。
なお、式(II)や式(IIa)で表されるモノマーBを製造する際、上述した通り副生成物が生じる場合があるが、モノマーBの特性を発揮することのできる量でモノマーBを含有させることができる限り、モノマーBを精製、単離することなく副生成物との混合物の状態で使用することもできる。
2aとして好ましくは、置換されていてもよいC3-8アルキレンであり;より好ましくは、置換されていてもよいC3-6アルキレンであり;さらに好ましくは、置換されていないC3-4アルキレン、またはヒドロキシル基で置換されたC3-4アルキレンである。
2aとして好ましくは、-O-、-C(O)O-、または-OC(O)-であり;より好ましくは-OC(O)-である。
2aとして好ましくは、C2-4アルケニレンであり;より好ましくはエテニルである。
3aおよびR4aは、いずれもヒドロキシルであることが好ましい。
組成物中のモノマーBの含有量は、特に限定されるものではないが、2.0質量%超かつ50.0質量%未満が好ましく、5.0~40.0質量%がより好ましく、10.0~30.0質量%がさらに好ましい。組成物中のモノマーBの含有量を10.0質量%超とすることで、モノマーBの含有量を高めた硬化性樹脂組成物を流通させることができ、適宜用途に応じて希釈して使用することが可能となる。組成物中のモノマーBの含有量の上限は、モノマーBのモノマーAへの溶解性によるところが大きいため、特に制限されるものではないが、50.0質量%未満、40.0質量%以下が好ましい。また、硬化性樹脂組成物を希釈することなく使用する場合には、モノマーBの機能の発揮とコストの両面から、組成物中のモノマーBの含有量は、0.10~10.0質量%が好ましく、0.50~5.0質量%がより好ましい。組成物中のモノマーBの含有量を0.10質量%以上とすることで、多様な種類の材料に、強固に結合する硬化性樹脂組成物、粘接着剤、および表面コート剤とすることができる。
(モノマーC)
本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、第3のモノマー(モノマーC)として、
Figure 2022123808000016
[式中、R6a、R6b、およびR6cは、それぞれ水素原子またはメチルを表し;W4a、およびW4bは、それぞれC1-20アルキレンを表し;nは、1~3の整数を表し;
7b、R7c、R8b、およびR8cは、それぞれヒドロキシル、またはC1-6アルコキシを表す]で表される1以上の化合物を含有する。
モノマーCは、上記のように、リン酸基を有している、本開示の一実施形態である硬化性樹脂組成物および後述の粘接着剤および表面コート剤は、モノマーCを用いることにより、より多くの材質への密着性が向上されるものである。さらに、モノマーCは、ベースモノマー(モノマーA)へのモノマーBの溶解性を向上させる効果も有する。これにより、接着性、粘着性に優れたモノマーBの使用量を増やすことができ、より接着剤および表面コート剤として有用なものとすることができる。さらには、本開示の一実施形態である硬化性樹脂組成物としては、流通段階においてモノマーBの含有量を高めることができ、使用時に、その用途に合わせた種々の希釈剤等で希釈して用いることができ、流通コストを抑えることができる。モノマーBの代表的な例であるドーパミンアクリルアミド(N-(3,4-ジヒドロキシフェネチル)アクリルアミド)は、ベースモノマーに対する溶解性があまり高いものではなく、組成物中の濃度を上げることが困難であった。これに対し、本開示にかかるモノマーCを併用することにより、種々のベースモノマー(モノマーA)、とりわけ脂溶性のモノマーAに対するモノマーBの溶解性が向上することを見出した。ドーパミンアクリルアミドについてはX線結晶構造解析を行い検討したところ、カテコール-OHの水素とアミド基COの酸素との間の水素結合が強固であることがわかった。そして、このような水素結合を切ることのできるメタノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどに対してドーパミンアクリルアミドは高い溶解性を示す。リン酸系モノマーであるモノマーCも同様に高極性であり、上記溶媒と同様にこの固いドーパミンアクリルアミド分子間の水素結合を切ることができ、これによりモノマーCを加えるとモノマーBのモノマーAに対する溶解性が向上するものと推認される。
4aは、好ましくはC2-16アルキレンであり、W4bは、好ましくはC1-8アルキレン、より好ましくはC1-6アルキレン、さらに好ましくはC1-4アルキレン、特に好ましくはC2-4アルキレン、最も好ましくはエチレンである。
上記式(IIIb)においては、式中、R6bがメチルを表し;W4bがC2-8アルキレンを表し;R7b、R8bが、いずれもC1-4アルコキシを表す化合物であることが好ましく、R6bがメチルを表し;W4bがC2-4アルキレンを表し;R7b、R8bが、いずれもC1-2アルコキシを表す化合物であることがより好ましい。
上記式(IIIc)においては、式中、R6cが水素を表し;R7c、R8cが、いずれもヒドロキシルを表す化合物であることが好ましく、R6bが水素;R7c、R8cが、いずれもC1-2アルコキシを表す化合物であることがより好ましい。
本開示の一実施形態において、モノマーCは、上記式(IIIa)で表される1以上の化合物を含むことがより好ましい。式(IIIa)で表される化合物は、合成の際、式中nが1の化合物、nが2の化合物およびnが3の化合物の混合物として得ることができ、その混合物を用いることができる。たとえば、市販されている2-(ホスホノオキシ)エチルメタクリレート(商品名:MR-200、大八化学工業(株)製)や10-(ホスホノオキシ)デシルメタクリレート(商品名:10-MDP、富士フイルム和光純薬(株)製)もnが1の化合物、nが2の化合物およびnが3の化合物の混合物である。
モノマー合計量に対するモノマーCの含有量は、特に限定されるものではないが、0.10~50.0質量%が好ましく、0.10~40.0質量%がより好ましく、0.20~35.0質量%がさらに好ましい。モノマー合計量に対するモノマーCの含有量を0.10質量%以上とすることにより、モノマーBのモノマーAへの溶解性を向上させることができ、モノマーBと同程度の使用量により、モノマーBの有する粘着性および接着性を維持したまま、より多様な種類の材料に、強固に結合する硬化性樹脂組成物、粘接着剤、および表面コート剤とすることができる。また、モノマー合計量に対するモノマーCの含有量は、硬化性樹脂組成物を希釈することなく使用する場合には、モノマーBの機能の発揮とコストの両面から、組成物中のモノマーBの含有量は、0.10~10.0質量%が好ましく、0.50~5.0質量%がより好ましいが、モノマーCの特性を更に必要とする場合には、モノマーBをモノマーAよりも過剰に使用することもできる。
モノマーCは、公知化合物と公知の合成方法を組み合わせた方法により合成される。また、モノマーCとして市販品を使用してもよい。
(架橋性モノマー)
本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物には、本開示の目的を阻害しない範囲内で架橋性モノマーを配合してもよい。架橋性モノマーは、少なくとも2つの重合性官能基を有するモノマーである。架橋性モノマーとしては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基を2個以上(好ましくは2個)有する多官能(メタ)アクリルアミド;エチレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個以上(好ましくは2個または3個)有する多官能(メタ)アクリレート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、リシントリイソシアネート、メチリジントリフェニレントリイソシアネート等のイソシアネート基を2個以上(好ましくは2個または3個)有する多官能イソシアネート;ジアリルアミン、トリアリルアミン等の炭素-炭素二重結合を2個以上(好ましくは2個または3個)有する多官能アミン;ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼン等の炭素-炭素二重結合を2個以上(好ましくは2個または3個)有する芳香族化合物等の多官能モノマーが挙げられる。これらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマーの合計量に対する架橋性モノマーの含有量は、0.10~20質量%が好ましく、0.50~15質量%がより好ましく、1.0~10質量%がさらに好ましい。モノマーの合計量に対する架橋性モノマーの含有量を0.10質量%以上、0.50質量%以上、1.0質量%以上とすることで、多様な種類の材料に、より強固に結合する硬化性樹脂組成物、粘接着剤、および表面コート剤とすることができる。また、モノマーの合計量に対する架橋性モノマーの含有量を20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下とすることで、多様な種類の材質へ強固に結合する硬化性樹脂組成物、粘接着剤、および表面コート剤とすることができる。
(その他のモノマー)
本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物には、本開示の目的を阻害しない範囲内で、上述したモノマーA、モノマーB、モノマーCおよび架橋性モノマー以外のその他のモノマーを配合してもよい。他のモノマーの一例としては、上記式(I)、式(II)、式(IIIa)、式(IIIb)および式(IIIc)に含まれないアクリレートやメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物に用いるモノマーとしては、炭素数10以上のアルキル-(メタ)アクリレートは含有しないことが好ましい。なお、本明細書において「炭素数10以上のアルキル-(メタ)アクリレート」とは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルであって、アルキルエステル部分を構成するアルキル基が、炭素数10以上の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であるアルキル-(メタ)アクリレートを意味する。すなわち、前記の炭素数に、(メタ)アクリル酸部分を構成する炭素は含まれない。
モノマーの合計量に対するその他のモノマーの含有量は特に制限されず、モノマーA、モノマーB、モノマーCおよび架橋性モノマーを除いた残部をその含有量とすることができる。
上述したモノマー成分(モノマーA、モノマーB、モノマーC、架橋性モノマー、およびその他のモノマー)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示の一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、本開示の目的を阻害しない範囲内で、上述したモノマー成分(モノマーA、モノマーB、モノマーC、架橋性モノマー、およびその他のモノマー)以外に、さらに溶媒や、粘着剤または接着剤に一般的に添加される添加剤を含有していてもよい。前記の添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、架橋剤、重合開始剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、接着付与剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、および充填剤等が挙げられる。なかでも、後記の重合開始剤を含有することが好ましい。
<粘接着剤およびその製造方法>
本開示の一実施形態に係る粘接着剤は、一方の基材と他方の基材との両方に結合し、一方の基材が他方の基材に対して相対的に移動することを防止する材料をいう。一方の基材に対して他方の基材が相対的に移動することを防止するとは、一方の基材が他方の基材からみて完全に動かない場合だけではなく、一方の基材が他方の基材に対して一定の範囲で移動することを許容するように固定することも含む。換言すれば、本開示の一実施形態に係る粘接着剤は、完全に硬化している必要はない。一定の範囲は、両基材の配置される場所や利用目的等によって決定すればよい。いわば、粘接着剤は、剥がれ難い接着性を有する粘着剤、あるいは粘着剤に似た柔らかさを有する接着剤といえる場合がある。粘接着剤は、強度が要求されない接合などにおいて、軽量化や作業の簡素化等の観点から、ボルトによる締結や溶接といった接合方法に変えて用いられることがある。また、柔らかさを有する粘接着剤は、耐振性等が求められる用途に好適に用いられる。
本実施形態に係る粘接着剤は、モノマーAおよびモノマーBを構成単位として含むポリマー(共重合体)を含有するものであり、さらに架橋性モノマーを構成単位として含むことが好ましい。また、必要に応じて、さらに溶媒や、シランカップリング剤、架橋剤、重合開始剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、接着付与剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、および充填剤等の、粘着剤または接着剤に一般的に添加される添加剤を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態に係る粘接着剤は、多様な材質の基材に対して強固な粘接着性を有する。本開示の一実施形態に係る粘接着剤により接合可能な基材の材質としては、例えば、ガラス、ハイドロキシアパタイト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化インジウムスズ(ITO)、モリブデン-アルミニウム-モリブデンの積層構造(MAM)のような無機材料;アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Pt)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、チタン(Ti)およびこれらの合金等の金属材料;PVC:ポリ塩化ビニル、PC:ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂(ABS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、繊維強化プラスチック(FRP)等の有機材料等が挙げられる。また、本開示の一実施形態に係る粘接着剤は、多様な材質の基材に対して良好な粘接着性を有するため、異なる材質の基材同士を接合する粘接着剤として好適である。もちろん、本開示の一実施形態に係る粘接着剤は、同一の材質の基材同士を接合するために用いてもよい。
さらに、本開示の一実施形態に係る粘接着剤は、いわゆる下塗り塗料や中塗り塗料、プライマー等の、塗料等の表面コート剤と基材とを接合させる目的での使用も意図される。
本開示の一実施形態に係る粘接着剤が固定する基材同士の形状も特に限定されない。基材の形状の一例としては、一方および他方の形状が、板状、シート状、および棒状等から選ばれる形状のいずれかであることが挙げられる。
粘接着剤に含まれるポリマーは、モノマーA、モノマーB、モノマーCおよび架橋性モノマーを重合させることによって得ることができる。重合方法としては、特に限定されないが、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。特に、製造性や取扱い性等の観点から、塊状重合法および溶液重合法が好ましく、塊状重合法がより好ましい。
モノマー成分を溶液重合法によって重合させる際の溶媒としては、製造性や取扱い性等の観点から、非水系有機溶媒が好ましい。非水系有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、流動パラフィン等の炭化水素系有機溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩化物系有機溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、通常、モノマー成分100質量部あたり、100~1000質量部程度であるが、この範囲に限定されるものではない。
モノマー成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。なかでも、粘接着剤に熱履歴を残さないようにする観点から、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,1’-ビイミダゾール、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(p-メトキシフェニルビニル)-1,3,5-トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’-ジ-tert-ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4-ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド(TPO)、トリフェニルブチルボレートテトラエチルアンモニウム、ジフェニル-4-フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(o-ベンゾイルオキシム)]、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス〔2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニルチタニウム〕等の光ラジカル重合開始剤;2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(p-メトキシフェニルビニル)-1,3,5-トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4,4’-ジ-tert-ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4-ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル-4-フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン開環重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤としては、例えば、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。これらの熱重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の添加量は、モノマー成分100質量部に対し、0.01~20質量部が好ましく、0.1~15質量部がより好ましく、0.5~10質量部がさらに好ましい。
各モノマーを重合して粘接着剤を製造する際の各モノマーを配合する順番は、特に限定されない。一例としては、モノマーA、モノマーBを、および架橋性モノマーを配合した後に各モノマーを重合させて粘接着剤を製造することが挙げられる。他の一例としては、モノマーA、モノマーBを配合した後に両モノマーを重合させて第1のポリマーを製造し、その後、第1のポリマーと架橋性モノマーとを配合し、第1のポリマーが架橋性モノマーにより架橋した第2のポリマー(粘接着剤)を製造してもよい。
<表面コート剤>
本開示の一実施形態に係る表面コート剤は、基材に結合して硬化し、基材の表面を保護する材料をいう。表面コート剤の一例としては、塗料が挙げられる。また、基材には、上述した各材料のほかに、下塗り塗料や中塗り塗料、プライマー等も含まれる。
本開示の一実施形態に係る表面コート剤は、上述した本開示の一実施形態に係る粘接着剤と同様に、モノマーAおよびモノマーBを構成単位として含むポリマー(共重合体)を含有するものであり、さらに架橋性モノマーを構成単位として含むことが好ましい。いわば、本開示の一実施形態である硬化性樹脂組成物が、基材の表面で硬化した硬化物であって、この硬化物の基材側の面が基材と結合し、他の面(代表的には基材の対向面)が露出する態様である。したがって、基本的な構成や製造方法は上述した発明の一実施形態に係る粘接着剤と同様であるので、記載を省略する。
以上説明した、本開示の一実施形態に係る粘接着剤および表面コート剤は、多様な種類の材質に対して、密着性、粘着性、および接着性の少なくとも一つを発揮することで、より強固に基材に結合すると考えられる。密着性、粘着性、および接着性は、一般的には粘接着剤の使用される用途や目的に応じて、後述の実施例に掲げるような試験方法で各性能を評価することができる。したがって、いずれの性能も、本開示の一実施形態に係る粘接着剤および表面コート剤の基材に対する結合の強さを評価する性能である。
密着性(密着力の大きさ)とは、基材と粘接着剤や硬化した表面コート剤(塗料)の界面との付着力を示すものであり、一般的には分子間力、イオン結合、水素結合が、基材と粘接着剤との付着力の大きさに関与する。また、基材の凹凸と粘接着性樹脂とのアンカー効果なども密着性の向上に寄与する。従って、密着性の向上により、例えば、塗料と基材との剥離を抑制することができる。
粘着性(粘着力の大きさ)とは、例えば、粘接着剤により張り付けた2つの基材を剥がす力を示すものであり、基材と粘接着剤との密着性、および粘接着剤自体の粘弾性および靱性を合わせた力となる。粘接着剤である樹脂の粘弾性および靱性のそれぞれの大きさは、一般的には、樹脂の分子量や立体構造とともに、密着性と同様、分子間力、イオン結合、水素結合が関与する。一例として、密着性が抑制される一方で、粘弾性や靱性に優れた粘接着剤とすると、剥離可能な粘着テープなどを作製することができる。また、粘接着剤の密着性、粘弾性、靱性を向上させると、例えば比較的長期間の接合を保証できる粘着テープなどを作製することができる。
接着性(接着力の大きさ)とは、例えば、粘接着剤により接合した2つの基材において、粘接着剤と基材との界面剥離(密着性)と、粘接着剤である樹脂の破壊を起こす際に必要な力(靱性)を合わせた力である。一般的に、接着性を測定する場合には、粘接着剤が破断したり、基材と粘接着剤と結合が切断したりすることで、2つの基材同士の接合が崩壊する。接着性と粘着性との違いは、一般的には、粘着性が易接着や易剥離の指標であり、接着性は2つの基材の接合の強さの指標となる。強固な接合が可能な粘接着剤は、耐久性や耐熱性が必要な建築分野や自動車分野等、強度が求められる分野で粘接着剤として使用することができる。また、粘弾性を有する接着剤は、建築分野や自動車分野における基材と内装材と接合などに用いることができる。
本開示の一実施形態に係る粘接着剤が、より多くの種類の基材により強固に結合する理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。粘接着剤により一方の基材を他方の基材に対して接合した場合、基材同士の間に粘接着剤が介在し、代表的には、基材同士の間に粘接着剤の硬化した硬化物が形成される。同様に、表面コート剤は、硬化性樹脂組成物後硬化した硬化物が基材に接合した硬化物といえる。これらの硬化物には、基材の設置場所や用途等によっては、直接または間接的に振動や衝撃等の応力が加わることにより、硬化物が破壊されたり、基材の表面と硬化物表面との結合が破壊されたりすることがある。すなわち、粘接着剤においては基材同士の接合(いわば、基材同士の相対的な位置関係)を、表面コート剤においては表面コート剤と基材との接合を維持できなくなるおそれがある。本開示の実施形態に係る粘接着剤および表面コート剤は、密着性、粘着性、および接着性の少なくとも一つに優れるため、硬化物に直接または間接的に応力が加わった場合でも基材との接合を維持することができると考えられる。
また、本開示の一実施形態に係る粘接着剤および表面コート剤を構成するモノマーBは、ヒドロキシルまたはB(OH)2を有している。これらの基が基材の表面側に配向することにより、本開示の一実施形態に係る粘接着剤および表面コート剤が多様な種類の材質に対して強固に結合できる一つの要因となっていると考えられる。
さらに、本開示の一実施形態に係る粘接着剤および表面コート剤を構成するモノマーCは、リン酸基を有している。カテコール基やフェニルボロン酸基と特性が異なる、リン原子と二重結合を有する酸素原子(P=O)、リン原子と単結合を有する水酸基(OH基)、リン原子と結合するアルコキシ基と、材質との親和性により、本開示の一実施形態に係る粘接着剤および表面コート剤が多様な種類の材質に対して強固に結合できる一つの要因となっていると考えられる。
以下に本発明を、実施例および比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
本実施例において、以下の略号を使用することがある。
<モノマーA>
モノマーA1:4-ヒドロキシブチルアクリレート(商品名:4-HBA、大阪有機化学工業(株)製)
モノマーA2:テトラヒドロフルフリルアクリレート(商品名:THFA、大阪有機化学工業(株)製)
モノマーA3:2-メトキシエチルアクリレート(商品名:2-MTA、大阪有機化学工業(株)製)
モノマーA4:2-ヒドロキシエチルアクリレート(商品名:HEA、大阪有機化学工業(株)製)
モノマーA5:アクリル酸(商品名:98%アクリル酸、大阪有機化学工業(株)製)
モノマーA6:(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート(商品名:MEDOL-10、大阪有機化学工業(株)製)
モノマーA7:メチルアクリレート(東京化成工業(株)製)
モノマーA8:ベンジルアクリレート(商品名:ビスコート#160(略称BZA)、大阪有機化学工業(株)製)
モノマーA9:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:ビスコート#230(略称1,6-HDDA)、大阪有機化学工業(株)製)
<モノマーB>
モノマーB1:N-(3,4-ジヒドロキシフェネチル)アクリルアミド(商品名:DopAm、大阪有機化学工業(株)製)
モノマーB2:4-MAPB:4-(メタクリルアミド)フェニルボロン酸(商品名:4-MAPB、大阪有機化学工業(株)製)
モノマーB3:2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロピル 3,4-ジヒドロキシベンゾエート(DHBA-GMA)(後述の合成例2により製造)
<モノマーC>
モノマーC1:2-(ホスホノオキシ)エチルメタクリレート(商品名:MR-200、大八化学工業(株)製)
モノマーC2:10-(ホスホノオキシ)デシルメタクリレート(商品名:10-MDP、富士フイルム和光純薬(株)製)
モノマーC3:2-(ホスホン酸ジメチル)エチルメタクリレート(後述の合成例1により製造)
モノマーC4:ビニルホスホン酸(東京化成工業(株)製)
モノマーC5:ビニルホスホン酸ジメチル(東京化成工業(株)製)
<架橋性モノマー>
架橋性モノマー1:トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:TMP3A、大阪有機化学工業(株)製)
架橋性モノマー2:トルエンジイソシアネート(商品名:コロネートT-80、東ソー(株)製(2,4-トリレンジイソシアネート/2,6-トリレンジイソシアネート=80:20の混合物))
<重合開始剤>
重合開始剤:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド(東京化成工業(株)製)
<基材>
PVC:ポリ塩化ビニル
PC:ポリカーボネート
PET:ポリエチレンテレフタレート
PP:ポリプロピレン
PE:ポリエチレン
ABS:アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂
FRP:ガラス繊維強化エポキシ樹脂
PEEK:ポリエーテルエーテルケトン
PPS:ポリフェニレンスルファイド
EP:エポキシ樹脂
Cu:銅
Al:アルミニウム
ITO:酸化インジウムスズ(ガラス上にコーティングされたもの)
合成例1:2-(ホスホン酸ジメチル)エチルメタクリレートの合成
(2-ヒドロキシエチル)ホスホン酸ジメチル(0.500g、3.25mmol)、トリエチルアミン(0.415g、4.10mmol)をテトラヒドロフラン(2.00g)に溶解させ、水浴中で、メタクリル酸クロライド(0.390g、3.73mmol)を滴下した。滴下中に発熱し、5時間撹拌後、水(5.00g)を加え、トルエン(5.00g)で2回抽出した。有機層を3N 塩酸(4.01g)で洗浄後、引き続き、5wt%炭酸水素ナトリウム溶液(4.00g)、水(4.00g)で洗浄した。洗浄後、有機層を40℃程度の湯浴で減圧濃縮し、油状物として2-(ホスホン酸ジメチル)エチルメタクリレート(0.350g、収率49%)を得た。
合成例2:DHBA-GMA(モノマーB3)の合成
3,4-ジヒドロキシ安息香酸8.00g(51.9mmol)、グリシジルメタクリレート(GMA)14.8g(103.8mmol)、および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.44g(3.6mmol)を容器中のシクロペンタノン(72.0g)に溶かし、80℃に維持した湯浴中で21時間攪拌した。その後、容器内に水を加え、酢酸エチルを添加すると共に、3N HClで洗浄することでDMAPを除去し、得られた有機層を減圧濃縮することで油状物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製、濃縮することにより、DHBA-GMA(4.61g、収率30%)を得た。
<密着性試験>
≪試験片の作製≫
表1および表2の組成にしたがい、モノマーA、モノマーB、モノマーC、架橋性モノマーを配合した配合物に、重合開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド(TPO)を、各配合物に含まれるモノマーの総量100質量部に対して10質量部加え、よく混合して表1および表2に記載の各実施例および比較例に係る各硬化性樹脂組成物(以下、モノマー溶液ともいう)を調製した。次に、調整した各モノマー溶液を、バーコーターNo.10(第一理化(株)製、ウエットフィルム膜厚:約22.90μm)を用いて表1および2に記載の各材質で形成された試験板上に塗布した。次に、UV露光機を用いて、露光量3000mJ/cm2のUVを照射して塗膜を完全に硬化させて各試験片を作製し、室温で24時間静置した(膜厚約20μm)。
≪試験方法≫
密着性試験は、JIS K 5600-5-6:1999「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠して実施した。上記の試験片について、カッターナイフを使用して、塗膜を2×2mmの碁盤目状にクロスカット(25マス)した。続いて、このマス上にニチバン(株)製の24mm幅のセロハンテープを貼り付け、このセロハンテープを試験者の手で押圧することで2分間圧着した。その後、セロハンテープを基盤に対し45°の角度で、0.5秒以内に剥いだ場合と、2秒で剥いだ場合の基盤に残ったマス数をそれぞれ数えて平均をとり、以下の基準で評価した。
[評価基準]
0:カットの線が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない。
1:カットの交差点における小さな剥がれ。
クロスカットの部分で影響を受けるものは5%未満。
2:塗膜がカットの縁に沿って、および/または交差点において剥がれている。
クロスカットの部分で影響を受けるものは5~15%。
3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、および/または目のいろいろな部分が、部分的または全面的に剥がれている。
クロスカットの部分で影響を受けるものは15~35%。
4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、および/または数か所の目が、部分的または全面的に剥がれている。
クロスカットの部分で影響を受けるものは35%未満。
5:上記4でも分類できない程度の大きな剥がれ。
≪結果≫
結果を表1および表2に示す。なお、数値が小さいほど、基盤との密着性が良好であることを示し、評価が3以下であることが使用の好ましい可能性を示す。実施例1および4と比較例1および2とを比較すると、モノマーBとモノマーCの併用により、良好な密着性を示す材質が増加し、特に金属に対する密着性が向上していることがわかる。実施例2および5と比較例1および3とを比較すると、モノマーBとモノマーCの併用により、良好な密着性を示す材質が増加し、特に金属に対する密着性が向上していることがわかる。実施例3および6と比較例1、4、6および7とを比較すると、モノマーBとして、モノマーB1(モノマーB-b)およびモノマーB2(モノマーB-a)を併用し、モノマーCをさらに用いることにより、モノマーCの密着性を低下させにくいことがわかる。また、実施例7~9と比較例1および5を比較すると、モノマーBとモノマーCの併用により、良好な密着性を示す材質が増加し、特に金属に対する密着性が向上していることがわかる。さらに、モノマーBとモノマーCの併用により、良好な密着性を示す材質が増加し、特に金属に対する密着性が向上しているこれらの傾向はモノマーAの種類を変えた場合においても同様にみられることがわかる(表2)。
Figure 2022123808000017
Figure 2022123808000018
<粘着性試験>
≪試料の作製≫
モノマーA、モノマーBおよびモノマーCを表3または表4に記載の割合で配合した各配合物を作製した後、各配合物に、重合開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド(TPO)を、各配合物に含まれるモノマーの総量100質量部に対して10質量部加え、よく混合して表3および表4に記載の各実施例および比較例に係るモノマー溶液を調製した。次に、調製したモノマー溶液を、バーコーターNo.10を用いてAlで形成された試験板上に塗布した。次に、300mm×24mmにカットしたPETフィルムを塗膜上に載せて圧着し、UV露光機を用いて、露光量3000mJ/cm2のUVを照射して塗膜を完全に硬化させて各試料を作製し、室温で24時間静置した。
≪試験方法≫
粘着性試験は、第十七改正日本薬局方6.12に記載の「180°ピール粘着力試験法」に準拠して実施した。上記の各試料において、フィルムの端を把持して180°に折り返して試験板から25mmはがした後、引張試験機の下部チャックに試験板を固定し、上部チャックにフィルムを固定した。引張試験機を、室温、湿度45%の環境下で、剥離速度300mm/秒で動かし測定を開始し、試験板から引き剥がされた50%の長さの粘着力測定値を平均してピール粘着力を測定した。
≪結果≫
結果を表3および表4に示す。実施例17~22および比較例14~18のピール粘着力は比較例14のピール粘着力を100として、実施例23~30および比較例19~26のピール粘着力は比較例19のピール粘着力を100として、それぞれ相対的に表した。なお、粘着性は、数値が大きいほど粘着力が高いことを示す。実施例18以外の実施例は基準となる比較例14または19と比べて試験板(Al)へのPETフィルムの粘着力が向上したことがわかる。実施例18は比較例14よりも粘着力が低下しているが、対応するモノマーBのみを用いた比較例16と比較すると粘着力が向上していることがわかる。モノマーCを併用する実施例は、モノマーBのみを用いた比較例15~17および20~23に対して粘着力が低下しているものもあるが、上記表1および2の密着性試験の結果を考慮すると、実施例17~30はいずれも十分良好な粘着性を示すといえる。
Figure 2022123808000019
Figure 2022123808000020
<接着性試験>
≪試験片の作製≫
モノマーA、モノマーBおよびモノマーCを表5に記載のモノマー組成でそれぞれ混合した混合物(表5中モノマーA~Cの総量)を作製し、各混合物に、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、後添加の架橋性モノマーを加えたモノマーの全量100質量部に対して1質量部加え、85℃で5時間撹拌した。その後、各混合物に、表5に記載の架橋性モノマー2をそれぞれ添加した。その後、PP-Alの組み合わせの2つの試験板(長さ:25mm×幅:10mm)の一方に、長さ方向の一端側から12mmの位置までの全面に各混合物を塗布した。他方の試験板の長さ方向の一端が、一方の試験板の一端側から長さ方向に突出し、かつ、他端が一方の試験板の一端の12mmの位置となるように他方の試験板を配置することで、他方の試験板を各混合物に接触させた。なお、両試験板は、一方の試験板が他方の試験板の幅方向がからはみ出さないように接触させた。その後、両試験板を80℃、3時間の条件で温風循環式恒温槽で暴露することで各混合物を硬化させたものを試験片とした。
≪試験方法≫
JIS K 6850:1999「接着剤-剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法」に準拠し、試験片を構成する一方の試験板をその長手方向に引っ張るとともに、他方の試験片を一方の試験板が引っ張られる方向とは逆方向に引張り、各材料間の接着力を測定した。引張り速度は、いずれの試験片も5.0mm/秒とした。
≪結果≫
結果を表5に示す。実施例31~36および比較例27~31の接着力は、比較例27の接着力を100として、実施例37~40および比較例32~35の接着力は、比較例32の接着力を100として、試験片ごとに相対的に表した。数値が大きいほど接着力が高いことを示す。表5より、モノマーBとモノマーCとを組み合わせることでPP-Alの接着性が向上することがわかる。
Figure 2022123808000021
<溶解性試験1>
≪モノマーBのモノマーA、Cに対する溶解性≫
50℃の湯浴中でモノマーB10.20gに対して表6に記載した各モノマー(モノマーA1~A7、モノマーC1、C4およびC5)をそれぞれ加えて一部を溶解させ(完全には溶解していない状態)、室温で終夜静置し、上澄みに溶解しているモノマーB1をHPLCにより定量し、モノマーB1の室温での各モノマーへの溶解度を飽和濃度(質量%)として求めた。
≪モノマーBのモノマーC存在下におけるモノマーAに対する溶解性≫
次に、モノマーC存在下でのモノマーB1のモノマーAへの溶解度について、50℃の湯浴中でモノマーB10.20gおよび表7に記載のモノマーC0.20gを加えた混合物に対し、表7に記載した種類および分量のモノマーAをそれぞれ加えて一部を溶解させ(完全には溶解していない状態)、室温で終夜静置し、上澄みに溶解しているモノマーB1の量(A)をHPLCにより定量した。
得られた各モノマーへのモノマーB1の飽和濃度(表6)を用いて、モノマーC存在下で溶解するモノマーB1の理論量(B)を求め、この理論量(B)に対するモノマーCを加えたことによる溶解するモノマーB1の実測量(A)の割合を(A)/(B)として求めた。
≪結果≫
結果として、モノマーB1の各モノマーに対する飽和濃度を表6に、モノマーAとモノマーCを併用した場合のモノマーB1の溶解量の理論量に対する割合を表7に示す。表6より、モノマーB1はヒドロキシル基を有するモノマーAに溶解しやすいことがわかる。また、表7より、上記式(I)中、R2がメチル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよい4員~7員の含酸素飽和ヘテロ環基であるモノマーAではモノマーCの併用によりモノマーB1の溶解性が向上していることがわかる。
Figure 2022123808000022
Figure 2022123808000023
<溶解性試験2>
モノマーB3を5.0gとモノマーC1を5.0gとを混合した混合物10gを完全に溶解させることができるモノマーA1、A8、A9の量を調べた。具体的には、50℃の湯浴中で、混合物10gに対して、モノマーA1、A8、A9をそれぞれ10g添加したところ、混合物はすべていずれのモノマーAにも溶解した。一方、モノマーB3に代えてモノマーB1を用いたところ、混合物の全量を溶解するためには、モノマーA1では30g、モノマーA9では240gを必要とした。また、モノマーAで8は250g加えても、すべての混合物が溶解せず、溶け残りが見られた。

Claims (12)

  1. モノマーA、モノマーB、およびモノマーCを含有する硬化性樹脂組成物であって、
    モノマーAが、式(I):
    Figure 2022123808000024
    [式中、R1は、水素原子またはメチルを表し;
    1は、単結合、-O-、-NH-、-NR9-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
    1は、単結合、またはC1-20アルキレンを表し;
    2は、メチル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェノキシ、置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和の炭化水素環基、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基、または(メタ)アクリロイルオキシを表し;
    9は、置換されていてもよいC1-8アルキルを表し;
    ここにおいて、R2が、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェノキシのときは、W1がC2-20アルキレンである]で表される1以上の化合物であり、
    モノマーBが、式(II):
    Figure 2022123808000025
    [式中、R3は、水素原子またはメチルを表し;
    2は、-O-、-NH-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
    2は、単結合、または置換されていてもよいC1-20アルキレンを表し;
    3は、単結合、-O-、-CH(OH)-、-NH-、-NHC(O)-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NH-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-OC(O)NH-、または-OC(O)O-を表し;
    3は、単結合、C1-6アルキレン、またはC2-6アルケニレンを表し;
    4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル、またはB(OH)2を表し;
    ここにおいて、R4およびR5がいずれも水素原子であることはない]で表される1以上の化合物であり、
    モノマーCが、
    Figure 2022123808000026
    [式中、R6a、R6b、およびR6cは、それぞれ水素原子またはメチルを表し;
    4a、およびW4bは、それぞれC1-20アルキレンを表し;
    nは、1~3の整数を表し;
    7b、R7c、R8b、およびR8cは、それぞれヒドロキシル、またはC1-6アルコキシを表す]で表される1以上の化合物である硬化性樹脂組成物。
  2. 式(I)中、L1が-O-であり;式(II)中、L2が-O-、または-NH-である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 式(I)中、R2が、メチル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよい4員~7員の含酸素飽和ヘテロ環基、または置換されていてもよいフェニルである請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 式(II)中、L2が-NH-であり、W2が、単結合であり;L3が、単結合であり;W3が、C1-6アルキレンである請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 式(II)中、L2が-O-であり、W2が、置換されていてもよいC1-20アルキレンであり、L3が、-OC(O)-であり;W3が単結合である請求項1~3記載の硬化性樹脂組成物。
  6. モノマーBが、R4および/またはR5がヒドロキシルである化合物を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 組成物中のモノマーBの含有量が0.1~10.0質量%である請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. モノマーCが、式(IIIa):
    Figure 2022123808000027
    [式中、R6aは、水素原子またはメチルを表し;
    4aは、C1-20アルキレンを表し;
    nは、1~3の整数を表す]で表される1以上の化合物である請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. モノマーCが、式(IIIa)中、nが1の化合物、nが2の化合物およびnが3の化合物を含む請求項1~8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 架橋性モノマーをさらに含有する請求項1~9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 架橋性モノマーが、多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能イソシアネートである請求項10記載の硬化性樹脂組成物。
  12. モノマーA、モノマーBおよびモノマーCを構成単位として含むポリマーを含有する粘接着剤または表面コート剤であって、
    モノマーAが、式(I):
    Figure 2022123808000028
    [式中、R1は、水素原子またはメチルを表し;
    1は、単結合、-O-、-NH-、-NR9-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
    1は、単結合、またはC1-20アルキレンを表し;
    2は、メチル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェノキシ、置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和の炭化水素環基、置換されていてもよい3員~8員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロ環基、または(メタ)アクリロイルオキシを表し;
    9は、置換されていてもよいC1-8アルキルを表し;
    ここにおいて、R2が、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、または置換されていてもよいフェノキシのときは、W1がC2-20アルキレンである]で表される1以上の化合物であり、
    モノマーBが、式(II):
    Figure 2022123808000029
    [式中、R3は、水素原子またはメチルを表し;
    2は、-O-、-NH-、-NHC(O)O-、または-NHC(O)NH-を表し;
    2は、単結合、または置換されていてもよいC1-20アルキレンを表し;
    3は、単結合、-O-、-CH(OH)-、-NH-、-NHC(O)-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NH-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-OC(O)NH-、または-OC(O)O-を表し;
    3は、単結合、C1-6アルキレン、またはC2-6アルケニレンを表し;
    4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル、またはB(OH)2を表し;
    ここにおいて、R4およびR5がいずれも水素原子であることはない]で表される1以上の化合物であり、
    モノマーCが、
    Figure 2022123808000030
    [式中、R6a、R6b、およびR6cは、それぞれ水素原子またはメチルを表し;
    4a、およびW4bは、それぞれC1-20アルキレンを表し;
    nは、1~3の整数を表し;
    7b、R7c、R8b、およびR8cは、それぞれヒドロキシル、またはC1-6アルコキシを表す]で表される1以上の化合物である粘接着剤または表面コート剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024111659A1 (ja) * 2022-11-25 2024-05-30 パナソニックIpマネジメント株式会社 光硬化性樹脂組成物、光学部品、光学部品の製造方法、発光装置及び発光装置の製造方法

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