JP2022122185A - 加湿用多層織物構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、保水性が高くかつ通気性の良好で空気中への水の蒸散能力の高い特性を有し、空隙率が大きくかつ長時間使用しても立体形態の変形等が小さい加湿用多層織物構造体を提供しようというものである。【解決手段】本発明に係る加湿用多層織物構造体は、経糸である低収縮糸A及び緯糸Cからなる地組織Nに経糸である高収縮糸Bが織り込まれた多層織組織からなり、一方向に沿って複数の連通空隙部Gが配列された層構造Mを少なくとも1層有する構造体であって、見掛け空隙率が93%以上99%以下、保水度が150%以上350%以下、通気度が300cm3/cm2/s以上550cm3/cm2/s以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、加湿器又は加湿空気清浄機等に内蔵される加湿エレメントとして好適に使用しうる加湿用多層織物構造体に関するものである。
近年、一般家庭においても、乾燥した室内の相対湿度を上げるために、水道水を蒸発させることにより室内を加湿する加湿器又は加湿空気清浄器が利用されている。加湿器又は加湿空気清浄器には、水を吸水及び保水すると共に、保水した水を蒸散させる加湿エレメントが内蔵されている。加湿エレメントは、水貯留槽から水を吸い上げると共に保水し、加湿エレメントを通過する空気中に蒸散させて加湿空気とするものである。加湿空気は室内に送られて、室内が適度な湿度に保たれるのである。
従来、加湿エレメントとして不織布が用いられており、例えば吸水性能を向上させるため3~15μmの繊維を用いた吸水不織布シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような不織布の吸水性シート構造体は、高い吸水性が得られにく通気性が低いため、不織布を構成する繊維間に入り込んだ水を十分蒸散させることが出来ず、また浸みこんだ汚れを落としきることができないため、長期間にわたって安定的に加湿性能を得ることが難しいという課題を有していた。
このような問題を解決する目的で、近年多くの立体編物加湿エレメントが提案されている。これら立体編物は、ダブルラッセル編物等で、表編地、裏編地及び両者を繋ぐ連結糸よりなるものである。例えば、特許文献2には、吸水繊維と非吸水繊維の糸を束ねて構成され、編地のウェール方向を加湿フィルタの高さ方向と略一致させる加湿エレメントが記載されている。また、特許文献3には、ウェール方向に編成された編目列間に透孔が形成された経編地と、経編地の編目列に対応してウェール方向に直進する鎖編糸の列と、鎖編糸の各編目に絡められると共に経編地の各編目に絡められて、鎖編糸と経編地間を繋ぐ連結糸とよりなり、鎖編糸から延びる連結糸は、鎖編糸が対応する経編地の編目列には絡められておらず、鎖編糸が対応する経編地の編目列に対して1列又は2列以上左右に離れた経編地の編目列に絡められており、連結糸が各コース間で交差している立体編物が記載されており、保水量の増加及びヘタリにくい加湿エレメントを提供することが可能となったと記載されている。
このような立体編物加湿エレメントを用いることにより、保水性や耐ヘタリ性が改善されてきているが、そのためには目付(布地1平方メートル当たりの重量:単位g/m2)を増やす必要があるため、通気性が悪くなって加湿性能の低下や、送風機の圧損の増大の原因ともなっている。また、編物であるため長時間使用すると立体形態の変形等を引き起こし、加湿エレメントの交換頻度が高いという問題もあった。
一方、従来より、繊維から実質的に構成される織組織からなり、一方向に沿って多数の連通空隙部が配列された層構造を有する構造体として、クッション構造体が知られている(例えば、特許文献4参照)。こうしたクッション構造体は、寝具、車両用シート、椅子用シート、座布団用シート、応接セット用シート及びスポーツ用具等、医療用、介護用の床ずれ防止シート、大型犬やペット用のシートを目的に開発され、実用化されている。
特開2005-156006号公報 特許第5493888号公報 特許第6053148号公報 特許第4362465号公報
加湿エレメントの素材として従来より用いられてきた不織布シートや立体編物シートでは、上述したような課題があることから、検討の余地がある。
そこで、本発明は、保水性が高くかつ通気性の良好で空気中への水の蒸散能力の高い特性を有し、空隙率が大きくかつ長時間使用しても立体形態の変形等が小さい加湿用多層織物構造体を提供しようというものである。
本発明に係る加湿用多層織物構造体は、繊維から実質的に構成される多層織組織からなり、一方向に沿って複数の連通空隙部が配列された層構造を少なくとも1層有する構造体であって、見掛け空隙率が93%以上99%以下、保水度が150%以上350%以下、通気度が300cm3/cm2/s以上550cm3/cm2/s以下である。
さらに、前記多層織組織は、下記(1)を満足する複数本の経糸及び下記(2)を満足する複数本の緯糸により構成されており、前記多層織組織を熱処理して立体構造となっている。
(1)経糸は、少なくとも次の糸A及び糸Bにより構成される。
糸A:繊度50dtex以上600dtex以下で、乾熱収縮率が10%以下であるモノフィラメント
糸B:繊度50dtex以上600dtex以下で、乾熱収縮率が20%以上50%以下であるモノフィラメント又はマルチフィラメント
(2)緯糸は、少なくとも次の糸Cにより構成される。
糸C:繊度50dtex以上300dtex以下のモノフィラメントを芯糸とし、繊度50dtex以上500dtex以下のマルチフィラメントを鞘糸とした意匠撚糸
さらに、緯糸には、前記連通空隙部内に配置された遊び糸として次の糸Dを含む。
糸D:2種以上のマルチフィラメントをエアー加工した繊度200dtex以上1000dtex以下の嵩高加工糸
さらに、糸A及び糸Cに含まれるモノフィラメントは、異型断面形状に形成されている。
本発明は、上記の構成を有することで、多層織組織からなるとともに一方向に沿って複数の連通空隙部が配列された層構造を少なくとも1層有しているので、空隙率を大きくして高い通気性を実現することが可能となり、さらに多層構造により保水性の大幅な向上を図ることができる。また、多層織組織で構成されていることから、保形性に優れており、湿潤状態での長期間の使用に対しても十分な耐久性を備えている。
そして、こうした多層織組織の構造体は、見掛け空隙率Eが93%以上99%以下、保水度Wが150%以上350%以下、通気度Pが300cm3/cm2/s以上550cm3/cm2/s以下の特性を実現することが可能となり、加湿器又は空気清浄機等に内蔵される加湿エレメントとして優れた性能を備えたものとなっている。
本発明に係る実施形態に関する断面を示す説明図である。 加湿用多層織物構造体の連通空隙部を部分的に拡大して模式的に示す部分拡大斜視図である。 多層織物構造体の断面部分を斜め上方から撮影した外観画像である。 モノフィラメントの断面形状に関する模式図である。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る実施形態に関する経方向に沿った断面図を模式的に示しており、図2は、加湿用多層織物構造体の連通空隙部を部分的に拡大して模式的に示す部分拡大斜視図である。
地組織Nは、経方向に配列された複数本の経糸である低収縮糸A及び緯方向に配列された複数本の緯糸C(○印で表示)により平織に織成されて上下に多重に組織されており、経方向に低収縮糸A及び高収縮糸Bが多数配列されて織り込まれている。そして、地組織Nが上下の高収縮糸Bに交互に交絡して織り込まれている。
地組織Nは、高収縮糸Bとの交絡部分Fの間では波状に湾曲した状態に形成されており、地組織Nが波状に湾曲することで多数の連通空隙部Gが緯方向に沿って配列された層構造Mが形成される。高収縮糸Bは、熱処理により大きく収縮するため、交絡部分F以外の地組織Nの部分が湾曲形成されて連通空隙部Gが形成されるようになる。
この例では、3層構造の多層織物構造体となっているが、多層織組織の層数を適宜増減することで、3層以外の多層構造に構成することができ、特に限定されない。
層構造Mでは、交絡部分Fにおいて地組織Nを構成する低収縮糸Aが上下の高収縮糸Bとともに間隔を保持することで連通空隙部Gが維持されるようになっており、低収縮糸A及び高収縮糸Bがトラス構造を形成して連通空隙部Gの骨格形成を担っている。そして、地組織Nを構成する緯糸Cが低収縮糸Aに織り込まれることで、低収縮糸A全体が一体化して機能するようになっている。
そのため、保形性に優れており、長期間の使用に対してもほとんどヘタリ等の変形がなく十分な耐久性を備えている。こうした優れた保形性により連通空隙部が維持されるようになり、長期間にわたり大きな空隙率が確保されて高い通気性を備えている。
また、連通空隙部G内には、緯糸として意匠撚糸からなる遊び糸D(●印で表示)が配置されており、遊び糸Dは、経糸と交差することなく連通空隙部G内に遊挿された状態で配置されている。遊び糸Dは複数本配置することもでき特に限定されない。
図3は、本発明の加湿用多層織物構造体の一例に関する撮影画像を示している。地組織Nを構成する経糸A及び緯糸Cが構造体の全面にわたって格子状に拡がり、多層構造を形成しているため、地組織N全体で保水するとともに通過する空気全体をほぼ均一に加湿するようになる。また、連通空隙部G内に遊び糸Dを遊挿した状態で配置しておくことで、保水性を高めるとともに蒸散能力を高めることが可能となる。
そして、多層織物構造体において、層数、経糸A及びB、緯糸C及び遊び糸Dの選択、製造の際の熱処理条件等により幅広い性能を有する加湿用エレメントの製造が可能となる。このように、多層織物構造体では、保水性が高くかつ通気性が良好で空気中への水の蒸散能力が高い特性及び空隙率が大きくかつ長時間使用しても立体形態の変形等の少ない特性を満足する性能を実現することができ、加湿用エレメントとして好適なものである。
こうした多層織物構造体に関する特性については、具体的には、見掛け空隙率E、保水度W及び通気度Pにより定量的に示すことができる。
ここで、「見掛け空隙率E」については、次式(f1)により算出される。
E(%)=V/U×100 ・・・(f1)
ただし、Vは、試料(縦10cm×横10cm×厚みhcm)の見かけ体積(cm3)、Uは、試料の繊維体積で、試料の重量(g)を繊維の比重(g/cm3)で除した値
「保水度W」については、次式(f2)により算出される。
W(%)=WG/G×100 ・・・(f2)
ただし、Gは、試料 (縦10cm×横10cm×厚みhcm) の重量(g)、WGは、試料を20℃の水に1分間浸漬した後、空気中で垂直状態で1分間放置した後の重量(g)
「通気度P」については、JIS L 1096に準じ、フラジール形試験機に試験片を取り付け、125Paの圧力になるように空気を吸引し、その時の空気流量を測定し、空気流量と試験面積から通気度(cm3/cm2/s)を算出する。
見掛け空隙率Eについては93%以上99%以下であることが好ましい。見掛け空隙率Eが93%未満では通気性が劣り空気中への水の蒸散能力が十分発揮されない。また、見掛け空隙率Eが99%を超えると十分な保水量を確保できなくなる。
保水度Wについては150%以上350%以下であることが好ましい。保水度Wが150%未満では十分な加湿性能が得られない。また、保水度Wが350%超えると繊維自体に吸水されているので送風による蒸散性が悪くなり好ましくない。
通気度Pについては300cm3/cm2/s以上550cm3/cm2/s以下であることが好ましい。通気度Pが300cm3/cm2/s未満では、送風された空気が加湿用エレメントを通過しにくく空気中への水の蒸散が著しく低下する。また、送風機の圧損も大きく電力消費も大きくなる。通気度Pが550cm3/cm2/sを超えると送風された空気が十分加湿されなくなり好ましくない。
経糸として用いられる低収縮糸Aとしては、繊度50dtex以上600dtex以下で、乾熱収縮率が10%以下であるモノフィラメントが好ましい。
ここで、本発明にいう「乾熱収縮率S」については、次式(f3)により算出される。
S(%)=(L-LS)/L×100 ・・・(f3)
ただし、Lは、繊度T(dtex)の試料にT/10(g)の荷重を加えた時の糸長、LSは、繊度T(dtex)の試料を160℃の乾燥機で5分間加熱処理した後、T/10(g)の荷重を加えた時の糸長
低収縮糸Aは、連通空隙部Gの骨格を形成ためモノフィラメントが適しているが、繊度50dtex未満では剛性が不足し骨格となるトラス構造が変形しやすくなる。また、600dtex超えると通気度Pが低下するため蒸散性が悪化し、保水度Wが低下することから好ましくない。より好ましい繊度は、200dtex以上350dtex以下である。乾熱収縮率Sは、10%を超えると形成する連通空隙部Gが縮小するため好ましくない。より好ましくは、乾熱収縮率Sが3%以下である。
経糸として用いられる高収縮糸Bとしては、繊度50dtex以上600dtex以下で、乾熱収縮率が20%以上50%以下であるモノフィラメント又はマルチフィラメントが好ましい。
多層織物構造体は、製織後の熱処理により主に高収縮糸Bが収縮して連通空隙部Gが形成された立体構造体となるが、高収縮糸Bの繊度が50dtex未満では収縮力が弱く、600dtexを超えると層間の圧損が大きくなり通気度が低下するため好ましくない。また、乾熱収縮率Sが20%未満では形成される連通空隙部Gが狭くなるため空隙率Eが小さくなって通気性も低下する。
乾熱収縮率Sが50%を超えると連通空隙部Gの湾曲形状が鋭角となってヘタリ等の変形が生じやすくなる。より好ましくは、乾熱収縮率Sが25%以上40%以下である。
高収縮糸Bがマルチフィラメントの場合には、繊維自体の収縮ではなく捲縮による収縮でも構わない。また、高収縮糸Bは、上述したモノフィラメント又はマルチフィラメントと別のマルチフィラメントとの合撚糸を用いることもできる。例えば、別のフィラメントとして繊度50dtex以上300dtex以下で、乾熱収縮率Sが10%以下であるマルチフィラメントを用いて得られた合撚糸は、保水性を備えることからより好ましい。
緯糸Cは、繊度50dtex以上300dtex以下のモノフィラメントを芯糸とし、繊度50dtex以上500dtex以下のマルチフィラメントを鞘糸とした意匠撚糸が好ましい。ここで、「意匠撚糸」については、芯糸に対し鞘糸を5%から40%オーバーフィードし撚糸したものである。
緯糸Cは、芯糸が経糸により形成された連通空隙部を連結保持する機能を備えるため、芯糸としては繊度50dtex以上300dtex以下のモノフィラメントが好ましい。繊度が50dtex未満では剛性が小さく連結部分が変形しやすくなり、300dtexを超えると緯糸の間隔が密になって通気度が低下するため好ましくない。また、緯糸Cは、マルチフィラメントからなる鞘糸を絡ませた意匠撚糸とすることで保水性を向上させることができる。意匠撚糸を用いることで、芯糸と鞘糸との間に空隙が生じるようになり、毛細管現象で水分を保持することが可能となる。鞘糸としては、繊度が50dtex以上500dtex以下のマルチフィラメントが好ましい。繊度が50dtex未満では十分な保水性は得られず、500dtexを超えると保水した水分が短時間で蒸発しにくくなって加湿することが難しくなる。また、鞘糸は、2種類以上のマルチフィラメントで構成することもできる。
緯糸として用いられる遊び糸Dは、2種以上のマルチフィラメントをエアー加工した繊度200dtex以上1000dtex以下の嵩高加工糸が好ましい。ここで、「遊び糸」とは、連通空隙部に存在する経糸との交差の無い緯糸である。遊び糸Dは連通空隙部に1本又は複数本配置することができる。
また、エアー加工としては、タスラン加工が好ましい。タスラン加工によりループ状突起が多数形成されることで、保水性が高くなり、さらに連通空隙部に配置するため、通気性を損なうことがなく、水分の蒸散もしやすくなる。遊び糸Dは、繊度が300dtex未満では保水性が十分ではなく、1000dtexを超えると連通空隙部に占める割合が高くなって通気性が低下するため好ましくない。
低収縮糸A及び緯糸Dに含まれるモノフィラメントは、毛細管による保水性を向上させるため異型断面形状であることがより好ましい。ここで、「異形断面形状」とは、モノフィラメントの断面形状が丸断面以外の断面形状である。例えば、図4に示すように、糸長方向に溝部が形成された異形断面形状のマルチフィラメントがより好ましい。図4(a)では、断面形状が十字型となっており、糸長方向に4本の溝部が直角に切り欠いて形成されている。図4(b)では、断面形状がY字型となっており、糸長方向に3本の溝部が切り欠いて形成されている。図4(c)ではW字型となっており、互い違いに鋭角状に切り欠いた3本の溝部が糸長方向に形成されている。図4(d)では、糸長方向に4本の溝部が幅広に切り欠いて形成されている。
上述した糸A~糸Dに含まれるモノフィラメントまたはマルチフィラメントは、ポリマーからなるものが好ましく、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール及びポリオレフィン等のポリマーからなるものが挙げられる。より好ましくは、変形復元性が優れているポリエステル、ポリアミドといったポリマーからなるものを用いるとよい。
加湿用多層織物構造体は、経糸として低収縮糸A及び高収縮糸Bを配列し、緯糸として緯糸C及び遊び糸Dを用いてレピア織機等の公知の織機を用いて多重織組織で製織して製造することができる。製織後、熱セットにより高収縮糸Bを収縮あるいは捲縮発現させることにより縮ませる。その際に、低収縮糸Aはほとんど収縮しないため交絡部分Fの間で地組織Nが波状に湾曲変形して連通空隙部Gが形成されるようになる。
加湿用多層織物構造体は、円盤状や長方形状に裁断して従来の加湿エレメントと同様に使用することができる。例えば、円盤状の加湿エレメントをフレーム枠に装着し、その下部が加湿器等の貯水槽に浸るようにして使用してもよい。また、加湿エレメントを回転させると共にその上部で空気を通過させて、加湿空気を室内に供給することもでき、従来の加湿器において使用することが可能である。
以下、実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<低収縮糸Aに用いるモノフィラメントの製造>
市販のポリエチレンテレフタレートを用いて繊度230dtexのモノフィラメントを紡糸装置(ユニプラス株式会社製)により作成した。モノフィラメントの断面形状は図4(a)に示す十字型で、乾熱収縮率Sは2.3%であった。
<高収縮糸Bに用いるマルチフィラメントの製造>
イソフタール酸を10モル%共重合した市販のポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて90dtex/32フィラメントのマルチフィラメントを紡糸装置(株式会社テクノベル製)により作成した。乾熱収縮率Sは33%であった。作製したマルチフィラメントを、ポリエチレンテレフタレートからなる繊度85dtex/36フィラメント及び乾熱収縮率Sが3%のマルチフィラメントと撚数160t/mで合撚したものを高収縮糸Bとして用いた。
<緯糸Cの製造>
芯糸として、市販のポリエチレンテレフタレートを用いて繊度140dtexのモノフィラメントを紡糸装置(ユニプラス株式会社製)により作成した。モノフィラメントの断面は図4(a)に示す十字型で、乾熱収縮率Sは3.0%であった。鞘糸として、ポリエチレンテレフタレートからなる繊度165dtex/48フィラメントの仮撚加工糸及びポリエチレンテレフタレートからなる繊度85dtex/36フィラメントの仮撚加工糸を用い、芯糸に対して10%オーバーフィードし、650t/mの撚りをかけて意匠撚糸を製造し、緯糸Cとして用いた。
<遊び糸Dの製造>
ポリエチレンテレフタレートからなる繊度170dtex/48フィラメントを芯糸とし、ポリエチレンテレフタレートからなる繊度85dtex/36フィラメント2本を鞘糸としてタスラン加工し、繊度410dtexの嵩高加工糸を製造した。得られた嵩高加工糸を遊び糸として用いた。
<多層織物構造体の製造>
製造した糸A~Dを用いて、レピア織機(ドルニエ社製)により3層の多層織物を製織した。得られた多層織物を160℃で熱処理し、3層の多層織物構造体を製造した。図3は、多層織物構造体の断面部分を斜め上方から撮影した外観画像である。図1に示す断面図と同様に、3層の地組織が波形に湾曲して緯方向に連通空隙部が形成されており、連通空隙部に遊び糸が遊挿した状態で配置されているのがわかる。
多層織物構造体は、熱処理による経方向の収縮は27%、緯方向の収縮は7%であった。また、多層織物構造体の目付は332g/m2、見掛け空隙率Eは98%、保水度Wは255%、通気度Pは441m3/cm2/sであった。
多層織物構造体を径180mmの円形に切断した加湿エレメントを市販の空気清浄機(ダイキン株式会社製ACK55)に組み込み、加湿量(1時間当たりの水分蒸散量)を貯水タンクの水の重量減少により測定したところ、514g/hrであった。従来の加湿エレメントでは460g/hrであることから、十分な加湿性能を備えていることが確認された。
[実施例2]
実施例1に用いた糸において、低収縮糸Aに用いるモノフィラメントの繊度を330dtex、緯糸Cのモノフィラメントからなる芯糸の繊度を220dtexとした以外同じ糸を用い、実施例1と同様の方法で3層の多層織物構造体を製造した。得られた多層織物構造体の目付は407g/m2、見掛け空隙率Eは97.4%、保水度Wは275%、通気度Pは403m3/cm2/sであった。実施例1と同様に空気清浄機に組み込んで加湿量を測定したところ554g/hrであった。
[比較例1]
低収縮糸Aとしてポリエチレンテレフタレートからなる丸断面形状のモノフィラメント(乾熱収縮率Sが3%;繊度600dtex)を使用し、高収縮糸Bとしてイソフタール酸を10モル%共重合したポリエチレンテレフタレートからなる550dtex/96フィラメントのマルチフィラメント(乾熱収縮率Sが35%)を使用し、緯糸Cとしてポリエチレンテレフタレートからなる丸断面形状のモノフィラメント(乾熱収縮率Sが3%;繊度220dtex)を使用して、実施例1と同様の方法で3層の多層織物構造体を作成した。得られた多層織物構造体の目付は698g/m2、見掛け空隙率Eは96%、保水度Wは75%、通気性Pは460m3/cm2/sであった。保水度Wが小さいため加湿用エレメントとして十分な性能を備えていないものであった。
[実施例3]
実施例2に用いた糸において、低収縮糸Aとして用いるモノフィラメント及び緯糸Cの芯糸に用いるモノフィラメントをそれぞれ丸断面形状とした以外同じ糸を用い、実施例1と同様の方法で3層の多層織物構造体を製造した。得られた多層織物構造体の目付は410g/m2、見掛け空隙率Eは97.5%、保水度Wは205%、通気度Pは413m3/cm2/sであった。加湿エレメントとしての性能を備えたものであることが確認されたが、十字型断面形状のモノフィラメントを用いた実施例1と比べて保水度Wがやや低下しており、十字型断面形状による毛細管現象の効果が確認された。
[実施例4]
実施例2に用いた糸において、遊び糸Dを用いないこと以外同じ糸を用い、実施例1と同様の方法で3層の多層織物構造体を製造した。遊び糸がない多層織物構造体の目付は380g/m2、見掛け空隙率Eは98.1%、保水度Wは187%、通気度Pは453m3/cm2/sであった。加湿エレメントとしての性能を備えたものであることが確認されたが、遊び糸が連通空隙部に内蔵された実施例2と比べて保水度Wが低下しており、遊び糸Dが保水性の向上に寄与していることが確認された。
[比較例2]
実施例2に用いた糸において、緯糸Cを芯糸のモノフィラメントのみとし、遊び糸Dを用いないこと以外同じ糸を用い、実施例1と同様の方法で3層の多層織物構造体を製造した。得られた多層織物構造体の目付は340g/m2、見掛け空隙率Eは98.3%、保水度Wは135%、通気度Pは460m3/cm2/sであった。保水度Wが低く、加湿用エレメントとしての十分な性能を備えていないものであった。
本発明に係る加湿用多層織物構造体は、空気清浄機、加湿器等の加湿エレメントとして好適に用いることができる。例えば、貯水トレイから十分な水量を吸水する機能及び加湿エレメントの受風部分に十分な水量を保水する機能を備え、高い通気性により蒸散による高い加湿性能を得ることができる。そのため、家庭用・業務用加湿装置、加湿機能付空気清浄装置、空気調和装置、冷風扇といった幅広い空調関係機器に有用である。
A・・・経糸(低収縮糸)、B・・・経糸(高収縮糸)、C・・・緯糸、D・・・緯糸(遊び糸)、G・・・連通空隙部、M・・・層構造、N・・・地組織

Claims (4)

  1. 繊維から実質的に構成される多層織組織からなり、一方向に沿って複数の連通空隙部が配列された層構造を少なくとも1層有する構造体であって、見掛け空隙率が93%以上99%以下、保水度が150%以上350%以下、通気度が300cm3/cm2/s以上550cm3/cm2/s以下である加湿用多層織物構造体。
  2. 前記多層織組織は、下記(1)を満足する複数本の経糸及び下記(2)を満足する複数本の緯糸により構成されており、前記多層織組織を熱処理して立体構造となっている請求項1に記載の加湿用多層織物構造体。
    (1)経糸は、少なくとも次の糸A及び糸Bにより構成される。
    糸A:繊度50dtex以上600dtex以下で、乾熱収縮率が10%以下であるモノフィラメント
    糸B:繊度50dtex以上600dtex以下で、乾熱収縮率が20%以上50%以下であるモノフィラメント又はマルチフィラメント
    (2)緯糸は、少なくとも次の糸Cにより構成される。
    糸C:繊度50dtex以上300dtex以下のモノフィラメントを芯糸とし、繊度50dtex以上500dtex以下のマルチフィラメントを鞘糸とした意匠撚糸
  3. 緯糸には、前記連通空隙部内に配置された遊び糸として次の糸Dを含む請求項2に記載の加湿用多層織物構造体。
    糸D:2種以上のマルチフィラメントをエアー加工した繊度200dtex以上1000dtex以下の嵩高加工糸
  4. 糸A及び糸Cに含まれるモノフィラメントは、異型断面形状に形成されている請求項2又は3に記載の加湿用多層織物構造体。
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