JP2022104694A - 複合吸収体及び衛生用品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、吸収効率の高い吸収体を提供するものである。【解決手段】本発明の複合吸収体(4)は、体液を吸収するための衛生用品用の複合吸収体であって、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤を含み、前記高分子吸収剤は、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であることを特徴とするものである。【選択図】図3
Description
本発明は、複合吸収体及びそれを有する衛生用品に関する。
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の衛生用品においては、高い吸収量を有する高吸収性ポリマー(いわゆる「SAP」)を用いたものが知られている。例えば、特許文献1には、吸収量が優れた吸収性樹脂粒子(高吸収性ポリマー)と、吸収速度が優れたパルプ繊維等の親水性繊維とを組み合わせてなる吸収体を用いた吸収性物品が開示されている。
このような高吸収性ポリマー(SAP)は、多量の水分を保水することができる(すなわち、保水能力が高い)一方で、吸水速度が遅いため、従来の吸収体においては、一時的に素早く保水できるようにパルプと併せて用いられている。かかる従来の吸収体では、衛生用品の着用者から尿や経血等の体液が排出されると、体液は、吸収体内のパルプによって素早く吸収され、パルプ内に一時的に保持された後、保水能力の高いSAPへ受け渡されて、SAP内で保持されることとなる。
しかしながら、このような従来の吸収体では、パルプの保水能力が低いため、吸収の初期段階で保水可能な限界量を超えてしまうことで、体液が拡散して、SAPによって吸収・保持されにくくなり、結果的に体液の吸収効率が低くなる恐れがあった。
しかしながら、このような従来の吸収体では、パルプの保水能力が低いため、吸収の初期段階で保水可能な限界量を超えてしまうことで、体液が拡散して、SAPによって吸収・保持されにくくなり、結果的に体液の吸収効率が低くなる恐れがあった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、吸収効率の高い吸収体を提供することを目的とする。
本発明の一態様(態様1)は、体液を吸収するための衛生用品用の複合吸収体であって、
親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤を含み、
前記高分子吸収剤は、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であることを特徴とする複合吸収体である。
親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤を含み、
前記高分子吸収剤は、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であることを特徴とする複合吸収体である。
本態様1の複合吸収体は、毛細管現象によって体液を連続空孔に取り込み得る高分子吸収剤が、上記特定の初期吸収量及び20秒以上経過後の吸収量を有していることで、吸収の初期段階における吸収量が大きく、体液を一時的に保持することができるとともに、所定時間経過後においても体液を吸収することができる。
これにより本態様1の複合吸収体は、吸収体として高い吸収効率を発揮することができる。
これにより本態様1の複合吸収体は、吸収体として高い吸収効率を発揮することができる。
また、本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1の複合吸収体において、前記複合吸収体が高吸収性ポリマーを更に含むことを特徴とする。
本態様2の複合吸収体は、上述の高分子吸収剤とともに高吸収性ポリマー(SAP)を含んでいるため、体液を複合吸収体内の高分子吸収剤によって素早く吸収し、一時的に保持した後、保水能力の高いSAPへ受け渡して、SAP内で保持することができる。
これにより本態様2の複合吸収体は、より高い吸収効率を発揮することができる。
これにより本態様2の複合吸収体は、より高い吸収効率を発揮することができる。
本発明の更に別の態様(態様3)では、上記態様2の複合吸収体において、前記高分子吸収剤から前記高吸収性ポリマーへの液移行量が5.0g/g以上であることを特徴とする。
本態様3の複合吸収体は、高分子吸収剤からSAPへの液移行量が5.0g/g以上であるため、高分子吸収剤が一時的に保持した体液を、より確実にSAPへ受け渡すことができる。
これにより、本態様3の複合吸収体は、高い吸収効率を更に確実に発揮することができる。
これにより、本態様3の複合吸収体は、高い吸収効率を更に確実に発揮することができる。
本発明の更に別の態様(態様4)では、上記態様2又は3の複合吸収体において、前記高分子吸収剤は、吸収した水分の液吐出し率が65%以上であることを特徴とする。
本態様4の複合吸収体は、高分子吸収剤の液吐出し率が65%以上であり、高分子吸収剤が吸収した水分を放出しやすいため、高分子吸収剤が一時的に保持した体液を、より容易にSAPへ受け渡すことができる。
本発明の更に別の態様(態様5)では、上記態様1~4のいずれかの複合吸収体において、前記高分子吸収剤は、モノリス状の吸収剤であることを特徴とする。
本態様5の複合吸収体は、高分子吸収剤がモノリス状の吸収剤であるため、体液を素早く吸収することができる上、一時的に保持した体液をより着実にSAPへ受け渡すことができる。
本発明の更に別の態様(態様6)では、上記態様1~5のいずれかの複合吸収体において、前記高分子吸収剤は、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、且つ、少なくとも1個以上の-COONa基を含有することを特徴とする。
本態様6の複合吸収体は、高分子吸収剤が上記特定の構成を備えていることで、体液を吸収する時に、親水性の連続骨格が伸長しやすく、連続空孔も広がりやすいため、より多くの体液をより素早く連続空孔に取り込むことができ、吸収体として更に優れた吸収効率を発揮することができる。
また、本発明の更に別の態様(態様7)は、上記態様1~6のいずれかの複合吸収体を有することを特徴とする衛生用品である。
本態様7の衛生用品は、上述の態様1~6のいずれかの複合吸収体を有しているため、衛生用品として優れた吸収効率を発揮することができる。
本発明によれば、吸収効率の高い吸収体を提供することができる。
以下、本発明の複合吸収体の好適な実施形態について、当該複合吸収体が適用される衛生用品の一例である軽失禁パッド1を用いて、詳細に説明する。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開状態で水平面上に置いた対象物(例えば、軽失禁パッド、複合吸収体等)を、垂直方向の上方側(対象物が衛生用品の場合は表面シート側)から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開状態で水平面上に置いた対象物(例えば、軽失禁パッド、複合吸収体等)を、垂直方向の上方側(対象物が衛生用品の場合は表面シート側)から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。
なお、本明細書において、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物(例えば、展開状態の軽失禁パッド、複合吸収体等)の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向」を指し、「厚さ方向」は、「展開状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。
また、本明細書では、特に断りのない限り、軽失禁パッド1の厚さ方向において、「軽失禁パッド1の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌対向面側」といい、「軽失禁パッド1の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌対向面側」という。
[軽失禁パッド]
図1は、本発明の一実施形態に係る複合吸収体4が適用された、展開状態の軽失禁パッド1の概略平面図である。
軽失禁パッド1は、図1に示すように、平面視にて、長手方向L及び幅方向Wを有し、且つ2つの長手方向端縁が長手方向外方側に向かって円弧状に突出してなる縦長の外形形状を有している。なお、軽失禁パッド1の外形形状はこのような態様に限定されず、縦長の形状のものであれば、各種用途や使用態様等に応じた任意の形状(例えば、長円形状、矩形状、砂時計形状など)を採用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る複合吸収体4が適用された、展開状態の軽失禁パッド1の概略平面図である。
軽失禁パッド1は、図1に示すように、平面視にて、長手方向L及び幅方向Wを有し、且つ2つの長手方向端縁が長手方向外方側に向かって円弧状に突出してなる縦長の外形形状を有している。なお、軽失禁パッド1の外形形状はこのような態様に限定されず、縦長の形状のものであれば、各種用途や使用態様等に応じた任意の形状(例えば、長円形状、矩形状、砂時計形状など)を採用することができる。
軽失禁パッド1は、厚さ方向において、軽失禁パッド1の肌対向面側の表面を形成する液透過性の表面シート2と、軽失禁パッド1の非肌対向面側の表面を形成する裏面シート3と、これらのシートの間に位置する複合吸収体4とを、基本構成として備えている。
また、軽失禁パッド1においては、裏面シート3の非肌対向面側の表面に配置され、軽失禁パッド1を着用者の下着等の着衣の内面に粘着固定する粘着部(不図示)を更に備えている。
また、軽失禁パッド1においては、裏面シート3の非肌対向面側の表面に配置され、軽失禁パッド1を着用者の下着等の着衣の内面に粘着固定する粘着部(不図示)を更に備えている。
なお、軽失禁パッド1は、このような構成のものに限定されず、例えば、表面シート2よりも肌対向面側の位置において軽失禁パッド1の幅方向Wの両端部に位置し且つ長手方向Lに延在するように配置された、防漏壁形成用の一対のサイドシートと、当該一対のサイドシートの各々において長手方向Lに沿うように配置された複数本の弾性部材と、を備えていてもよい。
そして、軽失禁パッド1において、複合吸収体4は、表面シート2と裏面シート3との間に位置し、着用者から排出されて表面シート2を透過してきた尿などの体液を吸収し得る吸水性部材によって形成されており、かかる複合吸収体4は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤を含んでいる。
さらに、この高分子吸収剤は、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であるという特定の吸水性を有している。
さらに、この高分子吸収剤は、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であるという特定の吸水性を有している。
このような高分子吸収剤は、毛細管現象によって体液を連続空孔に取り込むことができ、さらに、上記特定の初期吸収量及び20秒以上経過後の吸収量を有していることで、吸収の初期段階における吸収量が大きく、体液を一時的に保持することができるとともに、所定時間経過後においても体液を吸収することができるため、かかる高分子吸収剤を含む複合吸収体4は、吸収体として高い吸収効率を発揮することができる。
したがって、このような複合吸収体4を備えた軽失禁パッド1もまた、軽失禁パッドとして優れた吸収効率を発揮することができる。
ここで、上記の40g/cm2という荷重は、一般的な体圧を想定した荷重であり、また、20秒以上経過後の吸水量は、所定温度条件下で上記荷重を掛けてから20秒経過後からそれ以降のいずれのタイミング(例えば、20秒経過後、60秒経過後、300秒経過後、3600秒経過後等のいずれのタイミング)における吸水量(質量;g/g)を意味する。なお、高分子吸収剤の上記特定荷重下における吸水量の測定方法については後述する。
さらに、上記の20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上とは、初期吸水量である5秒経過後の吸水量を100%としたときに、これに対して110%以上であることを意味する。
以下、本発明の複合吸収体が適用される衛生用品の各種構成部材について、上述の軽失禁パッド1を用いて更に詳細に説明する。
(表面シート)
上述の軽失禁パッド1において、表面シート2は、図1に示すように、平面視にて、軽失禁パッド1の長手方向Lの一方側端縁から他方側端縁にわたって延在し、且つ、軽失禁パッド1の幅方向Wの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたって延在する、縦長の外形形状を有している。かかる表面シート2は、軽失禁パッド1の厚さ方向において肌対向面側の位置に配置され、着用者の肌に当接し得る接触面、すなわち軽失禁パッド1の肌対向面側の表面を形成する、液透過性のシート状部材によって構成されている。
上述の軽失禁パッド1において、表面シート2は、図1に示すように、平面視にて、軽失禁パッド1の長手方向Lの一方側端縁から他方側端縁にわたって延在し、且つ、軽失禁パッド1の幅方向Wの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたって延在する、縦長の外形形状を有している。かかる表面シート2は、軽失禁パッド1の厚さ方向において肌対向面側の位置に配置され、着用者の肌に当接し得る接触面、すなわち軽失禁パッド1の肌対向面側の表面を形成する、液透過性のシート状部材によって構成されている。
また、表面シート2は、図1に示すように、当該表面シート2の非肌対向面側に配置される複合吸収体4に比べて、長手方向L及び幅方向Wにやや大きいサイズを有しており、周縁部において非肌対向面側に位置する裏面シート3と接合されている。
本発明において、表面シートの外形形状や各種寸法、坪量等は、衛生用品の表面シートとして用い得るものであれば特に制限されず、所望の液透過性や肌触り、柔軟性、強度等に応じた任意の外形形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。
(裏面シート)
上述の軽失禁パッド1において裏面シート3は、平面視にて、軽失禁パッド1の長手方向Lの一方側端縁から他方側端縁にわたって延在し、且つ、軽失禁パッド1の幅方向Wの一方側端縁から他方側端縁にわたって延在する、縦長の外形形状を有している。かかる裏面シート3は、軽失禁パッド1の厚さ方向において非肌対向面側の位置に配置されて、軽失禁パッド1の非肌対向面を形成するとともに、複合吸収体4を透過してきた尿などの体液が軽失禁パッド1の外部へ漏出するのを防ぐ、液不透過性のシート状部材によって構成されている。
上述の軽失禁パッド1において裏面シート3は、平面視にて、軽失禁パッド1の長手方向Lの一方側端縁から他方側端縁にわたって延在し、且つ、軽失禁パッド1の幅方向Wの一方側端縁から他方側端縁にわたって延在する、縦長の外形形状を有している。かかる裏面シート3は、軽失禁パッド1の厚さ方向において非肌対向面側の位置に配置されて、軽失禁パッド1の非肌対向面を形成するとともに、複合吸収体4を透過してきた尿などの体液が軽失禁パッド1の外部へ漏出するのを防ぐ、液不透過性のシート状部材によって構成されている。
本発明において、裏面シートの外形形状や各種寸法、坪量等は、衛生用品の裏面シートとして用い得るものであれば特に制限されず、所望の防漏性能や通気性、強度等に応じた任意の外形形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。
(複合吸収体)
上述の軽失禁パッド1において複合吸収体4は、図1に示すように、平面視にて、軽失禁パッド1の長手方向L及び幅方向Wの中央部を中心にして、長手方向Lの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたる長手方向Lの広範囲の領域に延在するとともに、幅方向Wにおいても、当該幅方向Wの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたる広範囲の領域に延在しており、さらに2つの長手方向端縁が長手方向外方側に向かって円弧状に突出してなる、縦長の外形形状を有している。
上述の軽失禁パッド1において複合吸収体4は、図1に示すように、平面視にて、軽失禁パッド1の長手方向L及び幅方向Wの中央部を中心にして、長手方向Lの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたる長手方向Lの広範囲の領域に延在するとともに、幅方向Wにおいても、当該幅方向Wの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたる広範囲の領域に延在しており、さらに2つの長手方向端縁が長手方向外方側に向かって円弧状に突出してなる、縦長の外形形状を有している。
より具体的には、複合吸収体4は、平面視にて長手方向中央部に、他の部分と比べて幅方向長さが相対的に小さい括れ部を有しており、さらに、この括れ部において複合吸収体4の最小幅を有する最小幅部と、上記括れ部の長手方向外方側において複合吸収体4の最大幅を有する最大幅部とを有している。
複合吸収体4は、軽失禁パッド1の厚さ方向において表面シート2と裏面シート3との間に配置されて、表面シート2を透過してきた尿などの体液を吸収して保持し得る、所定の吸水性部材によって形成され、かかる吸水性部材は、後述する高分子吸収剤や親水性繊維、高吸収性ポリマー等の吸水性材料と、それを保持するティッシュ等のシートと、によって構成されている。すなわち、複合吸収体は、体液を吸収して保持し得る吸水性材料と、それを保持するシートによって構成される吸水性部材を意味する。
なお、軽失禁パッド1においては、複合吸収体4は、表面シート2及び裏面シート3の各々と、ホットメルト型接着剤等の任意の接着剤によって接合されている。
そして、複合吸収体4は、上述のとおり親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた、特定の吸水性を有する高分子吸収剤を含んでいる。この高分子吸収剤については後述する。
なお、複合吸収体4は、吸水性材料として上述の高分子吸収剤のみを含むものであっても、上述の高分子吸収剤のほかに、当分野において公知の吸水性材料を更に含むものであってもよい。そのような吸水性材料としては、例えば、親水性繊維や高吸収性ポリマーなどが挙げられ、更に具体的には、パルプ繊維(例えば、粉砕パルプ等)、コットン、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維;アクリル酸ナトリウムコポリマー等の高吸収性ポリマー(SAP)からなる粒状物;これらを任意に組み合わせた混合物などが挙げられる。
なお、複合吸収体4は、このような高分子吸収剤や吸水性材料が親水性を有するティッシュ等のラップシートによって覆われた構成を有している。
本発明において、複合吸収体の外形形状や各種寸法、坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の吸水性や柔軟性、強度等に応じた任意の外形形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。
以下、本発明の複合吸収体に用いられる高分子吸収剤について、更に詳細に説明する。
[高分子吸収剤]
高分子吸収剤は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤であって、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であるという特定の吸水性を有するものであれば特に限定されず、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む2個以上のモノマーの架橋重合体の加水分解物であり、官能基に少なくとも1個以上の親水基を有する高分子化合物が挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、少なくとも-COONa基を有する高分子化合物が挙げられる。かかる高分子吸収剤は、一分子中に少なくとも1個以上の-COONa基を有する有機多孔質体であり、さらに、-COOH基を有していてもよい。多孔質体の骨格中には、-COONa基が略均一に分布している。
高分子吸収剤は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤であって、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であるという特定の吸水性を有するものであれば特に限定されず、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む2個以上のモノマーの架橋重合体の加水分解物であり、官能基に少なくとも1個以上の親水基を有する高分子化合物が挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、少なくとも-COONa基を有する高分子化合物が挙げられる。かかる高分子吸収剤は、一分子中に少なくとも1個以上の-COONa基を有する有機多孔質体であり、さらに、-COOH基を有していてもよい。多孔質体の骨格中には、-COONa基が略均一に分布している。
高分子吸収剤がこのような(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、且つ、少なくとも1個以上の-COONa基を含有するものであると、後述するように、尿などの体液を吸収する時に親水性の連続骨格が伸長しやすくなり、連続空孔も広がりやすくなるため、より多くの体液をより素早く連続空孔に取り込むことができ、吸収体として更に優れた吸収効率を発揮することができる。
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルをいう。
このような(メタ)アクリル酸エステルと、ジビニルベンゼンとの架橋重合体の加水分解物によって形成される高分子吸収剤においては、少なくとも-COONa基を有する有機ポリマーによって親水性の連続骨格が形成され、骨格間に吸収対象液(すなわち、尿などの体液)の吸収場となる連通孔(連続空孔)を有している。
なお、加水分解処理は、架橋重合体の-COOR基(すなわち、カルボン酸エステル基)を-COONa基又は-COOH基にするものであるため(図2を参照)、高分子吸収剤は、-COOR基を有していてもよい。
なお、加水分解処理は、架橋重合体の-COOR基(すなわち、カルボン酸エステル基)を-COONa基又は-COOH基にするものであるため(図2を参照)、高分子吸収剤は、-COOR基を有していてもよい。
親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の-COOH基及び-COONa基の存在は、赤外分光光度法及び弱酸性イオン交換基の定量法で分析することにより確認することができる。
ここで、図2は、高分子吸収剤の一例である吸収剤Aの製造過程について説明する図である。この図2において、上図は、重合の構成原料を示し、中図は、(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体であるモノリスAを示し、下図は、中図のモノリスAに加水分解及び乾燥処理をして得られる吸収剤Aを示している。
以下、高分子吸収剤の一例である、(メタ)アクリル酸エステルと、ジビニルベンゼンとの架橋重合体の加水分解物によって形成される吸収剤Aを用いて説明する。
なお、高分子吸収剤としては、このような吸収剤Aに限られず、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を有する化合物の架橋重合体の加水分解物、或いは、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む2種類以上のモノマーの架橋重合体の加水分解物などであってもよい。
なお、以下の説明において、「モノリスA」とは、加水分解処理がなされる前の(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体からなる有機多孔質体であり、「モノリス状有機多孔質体」と称することがある。
また、「吸収剤A」は、加水分解処理及び乾燥処理がなされた後の(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体(モノリスA)の加水分解物である。なお、以下の説明において、吸収剤Aは乾燥状態のものをいう。
また、「吸収剤A」は、加水分解処理及び乾燥処理がなされた後の(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体(モノリスA)の加水分解物である。なお、以下の説明において、吸収剤Aは乾燥状態のものをいう。
まず、吸収剤Aの構造について説明する。
吸収剤Aは、上述のとおり親水性の連続骨格と連続空孔を有している。親水性の連続骨格を有する有機ポリマーである吸収剤Aは、図2に示すように、重合モノマーである(メタ)アクリル酸エステルと、架橋モノマーであるジビニルベンゼンとを架橋重合し、得られた架橋重合体(モノリスA)を更に加水分解することにより得られる。
吸収剤Aは、上述のとおり親水性の連続骨格と連続空孔を有している。親水性の連続骨格を有する有機ポリマーである吸収剤Aは、図2に示すように、重合モノマーである(メタ)アクリル酸エステルと、架橋モノマーであるジビニルベンゼンとを架橋重合し、得られた架橋重合体(モノリスA)を更に加水分解することにより得られる。
親水性の連続骨格を形成する有機ポリマーは、構成単位として、エチレン基の重合残基(以下、「構成単位X」と称する。)と、ジビニルベンゼンの架橋重合残基(以下、「構成単位Y」と称する。)と、を有する。
さらに、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中のエチレン基の重合残基(構成単位X)は、カルボン酸エステル基の加水分解により生成する-COONa基、又は-COOH基と-COONa基の両方の基を有する。なお、重合モノマーが(メタ)アクリル酸エステルである場合、エチレン基の重合残基(構成単位X)は、-COONa基、-COOH基及びエステル基を有する。
さらに、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中のエチレン基の重合残基(構成単位X)は、カルボン酸エステル基の加水分解により生成する-COONa基、又は-COOH基と-COONa基の両方の基を有する。なお、重合モノマーが(メタ)アクリル酸エステルである場合、エチレン基の重合残基(構成単位X)は、-COONa基、-COOH基及びエステル基を有する。
吸収剤Aにおいて、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の、ジビニルベンゼンの架橋重合残基(構成単位Y)の割合は、全構成単位に対し、例えば0.1~30モル%であり、好ましくは0.1~20モル%である。例えば、メタクリル酸ブチルを重合モノマーとし、ジビニルベンゼンを架橋モノマーとした吸収剤Aにおいては、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の、ジビニルベンゼンの架橋重合残基(構成単位Y)の割合は、全構成単位に対し、例えば約3%であり、好ましくは0.1~10モル%であり、より好ましくは0.3~8モル%である。
なお、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中のジビニルベンゼンの架橋重合残基の割合が0.1モル%以上であると、吸収剤Aの強度が低下しにくくなり、また、このジビニルベンゼンの架橋重合残基の割合が30モル%以下であると、吸収対象液の吸収量が低下しにくくなる。
なお、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中のジビニルベンゼンの架橋重合残基の割合が0.1モル%以上であると、吸収剤Aの強度が低下しにくくなり、また、このジビニルベンゼンの架橋重合残基の割合が30モル%以下であると、吸収対象液の吸収量が低下しにくくなる。
また、吸収剤Aにおいて、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマーは、構成単位X及び構成単位Yのみからなるものであってもよいし、或いは、構成単位X及び構成単位Yに加えて、構成単位X及び構成単位Y以外の構成単位、すなわち(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外のモノマーの重合残基を有していてもよい。
構成単位X及び構成単位Y以外の構成単位としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、(メタ)アクリル酸グリシジル、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのモノマーの重合残基が挙げられる。
なお、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の、構成単位X及び構成単位Y以外の構成単位の割合は、全構成単位に対し、例えば0~50モル%であり、好ましくは0~30モル%である。
また、吸収剤Aは、親水性の連続骨格の厚みが0.1~100μmであることが好ましい。吸収剤Aの親水性の連続骨格の厚みが0.1μm以上であると、多孔質体における吸収対象液(体液)を取り込むための空間(空孔)が吸収時に潰れにくくなり、吸収量が低下しにくくなる。一方、親水性の連続骨格の厚みが100μm以下であると、優れた吸収速度が得られやすくなる。
なお、吸収剤Aの親水性の連続骨格の細孔構造は、連続気泡構造であるため、連続骨格の厚みの測定は、電子顕微鏡測定用の試験片に現れる骨格断面を厚みの評価箇所とする。連続骨格は、加水分解後の脱水・乾燥処理で取り除かれる水(水滴)同士の間隔で形成されるため、多角形の形状であることが多い。そのため、連続骨格の厚みは、多角形断面に外接する円の直径(μm)の平均値とする。また、稀に多角形の中に小さな穴が開いている場合もあるが、その場合は、小さな穴を囲んでいる多角形の断面の外接円を測定する。
さらに、吸収剤Aは、連続空孔の平均直径が1~1000μmであることが好ましい。吸収剤Aの連続空孔の平均直径が1μm以上であると、多孔質体の吸収対象液(体液)を取り込むための空間(空孔)が吸収時に潰れにくくなり、吸収速度が低下しにくくなる。一方、連続空孔の平均直径が1000μm以下であると、優れた吸収速度が得られやすくなる。
なお、吸収剤Aの連続空孔の平均直径(μm)は、水銀圧入法によって測定することができ、かかる水銀圧入法によって得られた細孔分布曲線の最大値を採用する。連続空孔の平均直径の測定用試料については、吸収剤Aのイオン形によらず、50℃の温度に設定した減圧乾燥器で18時間以上乾燥させたものを試料として用いる。なお、最終到達圧力は0Torrとする。
ここで、図3は、吸収剤Aの拡大倍率50倍のSEM写真であり、図4は、吸収剤Aの拡大倍率100倍のSEM写真であり、図5は、吸収剤Aの拡大倍率500倍のSEM写真であり、図6は、吸収剤Aの拡大倍率1000倍のSEM写真であり、さらに、図7は、吸収剤Aの拡大倍率1500倍のSEM写真である。
これら図3~図7に示す吸収剤Aは、メタクリル酸ブチルを重合モノマーとし、ジビニルベンゼンを架橋モノマーとする吸収剤の一例であり、それぞれ2mm角の立方体の構造を有している。
これら図3~図7に示す吸収剤Aは、メタクリル酸ブチルを重合モノマーとし、ジビニルベンゼンを架橋モノマーとする吸収剤の一例であり、それぞれ2mm角の立方体の構造を有している。
図3~図7に示す吸収剤Aは、多数の気泡状のマクロポアを有しており、さらに、これら気泡状のマクロポア同士が重なる部分を有している。吸収剤Aは、このマクロポア同士が重なる部分が共通の開口(メソポア)となる連続気泡構造を有している、すなわち、連続気泡構造体(連続マクロポア構造体)となっている。
このマクロポア同士が重なる部分は、乾燥状態の平均直径が1~1000μm、好ましくは10~200μm、特に好ましくは20~100μmである共通の開口(メソポア)となっており、その大部分がオープンポア構造となっている。メソポアの乾燥状態の平均直径が1μm以上であると、吸収対象液の吸収速度がより良好なものとなる。一方、メソポアの乾燥状態の平均直径が1000μm以下であると、吸収剤Aが脆化しにくくなる。
なお、このようなマクロポア同士の重なりは、1個のマクロポアで1~12個程度、多くのものは3~10個程度である。
なお、このようなマクロポア同士の重なりは、1個のマクロポアで1~12個程度、多くのものは3~10個程度である。
また、吸収剤Aがこのような連続気泡構造を有することにより、マクロポア群やメソポア群を均一に形成することができるとともに、特開平8-252579号公報などに記載されているような粒子凝集型多孔質体に比べて、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができるという利点がある。
なお、吸収剤Aの細孔(空孔)の全細孔容積は、0.5~50mL/gが好ましく、2~30mL/gがより好ましい。吸収剤Aの全細孔容積が0.5mL/g以上であると、多孔質体の吸収対象液(体液)を取り込むための空間(空孔)が吸収時に潰れにくくなり、吸収量及び吸収速度が低下しにくくなる。一方、吸収剤Aの全細孔容積が50mL/g以下であると、吸収剤Aの強度が低下しにくくなる。
なお、全細孔容積は、水銀圧入法で測定することができる。全細孔容積の測定用試料は、吸収剤Aのイオン形によらず、50℃の温度に設定した減圧乾燥器で18時間以上乾燥させたものを用いる。なお、最終到達圧力は0Torrとする。
以下、吸収剤Aと体液等の液体(以下、単に「体液」と称する。)が接触した場合の様子について説明するが、吸収剤Aを含む複合吸収体4と体液が接触した場合についても同様である。また、吸収された体液の質量は、体液量に略比例するため、以下の説明においては、体液の質量を単に「体液量」と称することがある。
まず、図3~図7に示す吸収剤Aが備える連続空孔は、複数の細孔(空孔)が互いに連通している空孔であり、外観からも空孔が多数設けられていることを肉眼で視認することができる。体液がこのような多数の空孔を備えた吸収剤Aに接触すると、毛細管現象によって、一定量の体液がこの多数の空孔内に入り込み、吸収剤Aに吸収されることとなる。このとき、吸収剤Aに吸収された体液のうち、一部の体液が、浸透圧によって親水性の連続骨格内に吸収されて、連続骨格が伸長する。一方、吸収剤Aに吸収された体液のうち、親水性の連続骨格内に吸収されない体液が、空孔内に留められた状態で吸収される。
このように吸収剤Aは、体液を吸収する時に親水性の連続骨格が伸長する性質を有している。この連続骨格の伸長は、ほぼ全方位に亘って生じる。さらに、このような連続骨格の伸長によって吸収剤Aの外形が大きくなるのに伴い、各空孔の大きさも大きくなる。このように空孔の大きさが大きくなると、空孔内の容積が大きくなるため、空孔内に留めることができる体液の量も増えることとなる。
つまり、一定量の体液を吸収して大きくなった吸収剤Aは、毛細管現象によって、さらに所定量の体液を拡大した空孔内に吸収することができる。
さらに、吸収剤Aは、毛細管現象によって体液を吸収するものであるため、体液の吸収を素早く行うことができる。
つまり、一定量の体液を吸収して大きくなった吸収剤Aは、毛細管現象によって、さらに所定量の体液を拡大した空孔内に吸収することができる。
さらに、吸収剤Aは、毛細管現象によって体液を吸収するものであるため、体液の吸収を素早く行うことができる。
また、吸収剤Aに吸収された体液は、親水性の連続骨格内に吸収される体液よりも、空孔内に留まる体液の方が多くなっている。吸収剤Aによる体液の吸収の大部分は、毛細管現象によって空孔内に体液を留めることによって行われるため、空孔の空隙の体積(全細孔容積)の割合である空隙率(吸収剤Aの体積に対する空孔の空隙の体積)が大きいほど、より多くの体液を吸収することができる。なお、この空隙率は85%以上であることが好ましい。
例えば、上述の図3~図7に示す吸収剤Aの空隙率を求めると、以下のようになる。
まず、水銀圧入法によって得られた吸収剤Aの比表面積は400m2/gであり、細孔容積は15.5mL/gである。この細孔容積15.5mL/gは、1gの吸収剤Aの中にある細孔の容積が15.5mLであることを意味する。
ここで、吸収剤Aの比重を仮に1g/mLと仮定すると、1gの吸収剤Aの中で細孔が占める体積、すなわち細孔容積は15.5mLとなり、また、1gの吸収剤Aの体積は1mLとなる。
そうすると、1gの吸収剤Aの全容積(体積)は、15.5+1(mL)となり、そのうちの細孔容積の比率が空隙率となるため、吸収剤Aの空隙率は、15.5/(15.5+1)×100≒94%となる。
まず、水銀圧入法によって得られた吸収剤Aの比表面積は400m2/gであり、細孔容積は15.5mL/gである。この細孔容積15.5mL/gは、1gの吸収剤Aの中にある細孔の容積が15.5mLであることを意味する。
ここで、吸収剤Aの比重を仮に1g/mLと仮定すると、1gの吸収剤Aの中で細孔が占める体積、すなわち細孔容積は15.5mLとなり、また、1gの吸収剤Aの体積は1mLとなる。
そうすると、1gの吸収剤Aの全容積(体積)は、15.5+1(mL)となり、そのうちの細孔容積の比率が空隙率となるため、吸収剤Aの空隙率は、15.5/(15.5+1)×100≒94%となる。
そして、本発明においては、このような親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた吸収剤A、すなわち高分子吸収剤は、例えば粒子状やシート状等の形態で、上述の軽失禁パッド1の複合吸収体4のような尿などの体液を吸収するための複合吸収体に適用される。
さらに、この高分子吸収剤は、上述のとおり、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であるという特定の吸水性を有している。
さらに、この高分子吸収剤は、上述のとおり、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であるという特定の吸水性を有している。
かかる高分子吸収剤は、毛細管現象によって体液を連続空孔に取り込むことができ、さらに、上記特定の初期吸収量及び20秒以上経過後の吸収量を有していることにより、吸収の初期段階における吸収量が大きく、体液を一時的に保持することができるとともに、所定時間経過後においても体液を吸収することができるようなっている。
これにより、このような高分子吸収剤を含む本発明の複合吸収体は、吸収体として高い吸収効率を発揮することができる。
なお、高分子吸収剤の初期吸水量及び所定時間経過後の吸水量は、次のようにして測定することができる。
これにより、このような高分子吸収剤を含む本発明の複合吸収体は、吸収体として高い吸収効率を発揮することができる。
なお、高分子吸収剤の初期吸水量及び所定時間経過後の吸水量は、次のようにして測定することができる。
<特定荷重下における吸水量の測定方法>
(1)生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)25gを台座付きのシャーレ(内径:85mm、深さ:20mm、台座配置:底面(内面側)中央部に2個の台座を24mm間隔で平行に配置、台座幅:2mm、台座高さ:2mm、台座長さ:25mm)に入れる。なお、本測定方法は、温度25℃、湿度60%の条件下で行う。
(2)底面にナイロン製メッシュ材((株)NBCメッシュテック製、N-NO255HD 115(規格巾:115cm、255メッシュ/2.54cm、オープニング:57μm、線径:43μm、厚さ:75μm))を貼り付けたプラスチック製の円筒(内径:26mm、外径:32mm、高さ:33mm)の中に、測定用の試料(高分子吸収剤)0.16gを入れて、均一に広げる。なお、測定用の試料(高分子吸収剤)を衛生用品の製品から回収して用いる場合は、後述する<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>に従って得ることができる。
(3)円筒内の試料の上に円柱状のプラスチックピストン(直径:25mm、質量:5g)を載せ、さらに、そのプラスチックピストンの上に所定質量(200g;荷重40g/cm2用)の分銅を載せて、円筒の質量(g)を測定する。
(4)試料、プラスチックピストン及び分銅の入った円筒をシャーレの中央部の台座の上に置いて、円筒の底面を生理食塩水に浸し、生理食塩水を円筒内の試料に吸水させる。
(5)所定時間経過後(例えば、5秒経過後、20秒経過後、60秒経過後、300秒経過後、3600秒経過後等)に円筒を引き上げ、円筒を45°傾けて1分間水切りし、円筒の質量(g)を測定する。
(6)上記(5)で測定した吸水後の円筒の質量から上記(3)で測定した吸水前の円筒の質量を差し引くことにより試料の吸水量(g)を算出し、さらにこの吸水量を試料の質量(=0.16g)で除することにより試料(高分子吸収剤)の単位質量当たりの吸水量(g/g)を得る。
なお、上記(5)の所定時間(すなわち、吸水時間)が5秒の場合の吸水量(g/g)が、「40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量」となり、上記の吸水時間が20秒以上の場合の吸水量(g/g)が、「20秒以上経過後の吸水量」となる。
(1)生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)25gを台座付きのシャーレ(内径:85mm、深さ:20mm、台座配置:底面(内面側)中央部に2個の台座を24mm間隔で平行に配置、台座幅:2mm、台座高さ:2mm、台座長さ:25mm)に入れる。なお、本測定方法は、温度25℃、湿度60%の条件下で行う。
(2)底面にナイロン製メッシュ材((株)NBCメッシュテック製、N-NO255HD 115(規格巾:115cm、255メッシュ/2.54cm、オープニング:57μm、線径:43μm、厚さ:75μm))を貼り付けたプラスチック製の円筒(内径:26mm、外径:32mm、高さ:33mm)の中に、測定用の試料(高分子吸収剤)0.16gを入れて、均一に広げる。なお、測定用の試料(高分子吸収剤)を衛生用品の製品から回収して用いる場合は、後述する<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>に従って得ることができる。
(3)円筒内の試料の上に円柱状のプラスチックピストン(直径:25mm、質量:5g)を載せ、さらに、そのプラスチックピストンの上に所定質量(200g;荷重40g/cm2用)の分銅を載せて、円筒の質量(g)を測定する。
(4)試料、プラスチックピストン及び分銅の入った円筒をシャーレの中央部の台座の上に置いて、円筒の底面を生理食塩水に浸し、生理食塩水を円筒内の試料に吸水させる。
(5)所定時間経過後(例えば、5秒経過後、20秒経過後、60秒経過後、300秒経過後、3600秒経過後等)に円筒を引き上げ、円筒を45°傾けて1分間水切りし、円筒の質量(g)を測定する。
(6)上記(5)で測定した吸水後の円筒の質量から上記(3)で測定した吸水前の円筒の質量を差し引くことにより試料の吸水量(g)を算出し、さらにこの吸水量を試料の質量(=0.16g)で除することにより試料(高分子吸収剤)の単位質量当たりの吸水量(g/g)を得る。
なお、上記(5)の所定時間(すなわち、吸水時間)が5秒の場合の吸水量(g/g)が、「40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量」となり、上記の吸水時間が20秒以上の場合の吸水量(g/g)が、「20秒以上経過後の吸水量」となる。
なお、上述の測定用の試料(高分子吸収剤)を衛生用品の製品から回収して用いる場合は、次のようにして得ることができる。
<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>
(1)衛生用品の製品から表面シート等を剥がして、複合吸収体を露出させる。
(2)露出させた複合吸収体から測定対象物(高分子吸収剤)を落下させ、(粒子状の)測定対象物以外のもの(例えば、パルプや合成樹脂繊維等)を、ピンセット等を用いて取り除く。
(3)拡大観察手段として顕微鏡又は簡易ルーペを使用し、SAPとの違いを認識できる倍率又は多孔質体の空孔を視認できる倍率で観察しながら、ピンセット等を用いて測定対象物を回収する。なお、簡易ルーペの倍率は、多孔質体の空孔を視認できる倍率であれば特に限定されず、例えば25倍~50倍の倍率が挙げられる。
(4)このようにして回収した測定対象物を、各種測定方法における測定用の試料とする。
(1)衛生用品の製品から表面シート等を剥がして、複合吸収体を露出させる。
(2)露出させた複合吸収体から測定対象物(高分子吸収剤)を落下させ、(粒子状の)測定対象物以外のもの(例えば、パルプや合成樹脂繊維等)を、ピンセット等を用いて取り除く。
(3)拡大観察手段として顕微鏡又は簡易ルーペを使用し、SAPとの違いを認識できる倍率又は多孔質体の空孔を視認できる倍率で観察しながら、ピンセット等を用いて測定対象物を回収する。なお、簡易ルーペの倍率は、多孔質体の空孔を視認できる倍率であれば特に限定されず、例えば25倍~50倍の倍率が挙げられる。
(4)このようにして回収した測定対象物を、各種測定方法における測定用の試料とする。
ここで、本発明例としての高分子吸収剤と、比較例としてのパルプ繊維(フラッフパルプ)と、同じく比較例としてのInfinity粒子体と、同じく比較例としての高吸収性ポリマー(SAP)とを用意し、それぞれの特定荷重下(すなわち、40g/cm2の荷重下)及び非荷重下(すなわち、0g/cm2の荷重下)における初期吸水量及び所定時間経過後の吸水量を測定した。この吸水量の測定結果を下記の表1に示す。
なお、上記のInfinity粒子体とは、P&G社製の吸収剤であり、高分子吸収剤と似た構造(発泡構造)を有しているものの、高分子吸収剤とは異なり、吸液して膨張する機能は備えていない。
なお、上記のInfinity粒子体とは、P&G社製の吸収剤であり、高分子吸収剤と似た構造(発泡構造)を有しているものの、高分子吸収剤とは異なり、吸液して膨張する機能は備えていない。
表1に示すように、高分子吸収剤は、特定荷重下及び非荷重下のいずれにおいても、パルプ繊維及びInfinity粒子体と同様に、SAPに比べて吸収の初期段階における吸収量が大きくなっている。さらに、20秒以上経過後の吸収量においては、パルプ繊維及びInfinity粒子体が共に飽和量に達しているのに対し、高分子吸収剤は、このような所定時間経過後においても更に吸水量が増大しており、従来のパルプ繊維やInfinity粒子体、SAP等にはない特有の優れた吸水性を有していることがわかる。
また、本発明においては、複合吸収体が、上述の高分子吸収剤のほかに、従来の高吸収性ポリマー(SAP)を更に含んでいることが好ましい。複合吸収体が高分子吸収剤とともにSAPを含んでいると、尿などの体液を複合吸収体内の高分子吸収剤によって素早く吸収して、一時的に保持した後、体液を保水能力の高いSAPへ受け渡して、SAP内で保持することができるため、吸収体として、より高い吸収効率を発揮することができる。
さらに、複合吸収体がこのような高分子吸収剤とSAPを含む場合、高分子吸収剤からSAPへの液移行量が5.0g/g以上であることが好ましい。高分子吸収剤からSAPへの液移行量が5.0g/g以上であると、高分子吸収剤が一時的に保持した体液を、より確実にSAPへ受け渡すことができるため、吸収体として、高い吸収効率を更に確実に発揮することができる。なお、高分子吸収剤からSAPへの液移行量は、23.0g/g以上がより好ましく、27.0g/g以上が更に好ましく、33.0g/g以上が特に好ましい。
この高分子吸収剤からSAPへの液移行量は、次のようにして測定することができる。
この高分子吸収剤からSAPへの液移行量は、次のようにして測定することができる。
<高分子吸収剤からSAPへの液移行量の測定方法>
(1)底面にナイロン製メッシュ材((株)NBCメッシュテック製、N-NO255HD 115(規格巾:115cm、255メッシュ/2.54cm、オープニング:57μm、線径:43μm、厚さ:75μm))を貼り付けたプラスチック製の円筒(内径:60mm、外径:70mm、高さ:52mm、質量:64g)の中に、測定用の試料(高分子吸収剤)を0.3g入れて、均一にならし、円筒の質量(g)を測定する。なお、本測定方法は、温度25℃、湿度60%の条件下で行う。また、測定用の試料(高分子吸収剤)を衛生用品の製品から回収して用いる場合は、前述の<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>に従って得ることができる。
(2)シャーレ(内径:85mm、深さ:20mm)の中にプラスチック製の円筒(内径:60mm、外径:70mm、高さ:52mm、質量:64g)を置き、高吸収性ポリマー(SAP)0.3gを円筒内に均等に振り入れた後、円筒を外し、シャーレの質量(g)を測定する。
(3)台座付きのシャーレ(内径:85mm、深さ:20mm、台座配置:底面(内面側)中央部に2個の台座を24mm間隔で平行に配置、台座幅:2mm、台座高さ:2mm、台座長さ:25mm)に生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)を60mL入れる。
(4)測定用の試料(高分子吸収剤)の入った円筒を台座付きのシャーレの中央部の台座の上に置いて、円筒の底面を生理食塩水に浸し、生理食塩水を円筒の中の試料に3分間吸水させる。
(5)3分間の吸水後に円筒を引き上げ、円筒を45°傾けて1分間水切りした後、円筒の質量(g)を測定する。
(6)上記(5)で測定した吸水後の円筒の質量(g)を上記(1)で測定した吸水前の円筒の質量(g)から差し引くことにより試料の吸水量(g)を算出し、さらにこの吸水量を試料の質量(=0.3g)で除することにより試料の単位質量当たりの吸水量(g/g)を得る。
(7)そして、上記(5)で水切りした後の円筒を、SAPを入れたシャーレの上に置き、円筒の中の試料とシャーレ内のSAPとを、円筒の底面(メッシュ材)を介して接触させる。
(8)試料とSAPを接触させてから3分後に、円筒を取り外し、シャーレの質量(g)を測定する。
(9)上記(8)で測定したシャーレの質量(g)を上記(2)で測定したシャーレの質量(g)で差し引くことによりSAPの吸水量(g)を算出し、さらにこの吸水量を試料の質量(=0.3g)で除することにより試料の単位質量当たりのSAPの吸水量(g/g)、すなわち試料の単位質量当たりのSAPへの液移行量(g/g)を得る。
(1)底面にナイロン製メッシュ材((株)NBCメッシュテック製、N-NO255HD 115(規格巾:115cm、255メッシュ/2.54cm、オープニング:57μm、線径:43μm、厚さ:75μm))を貼り付けたプラスチック製の円筒(内径:60mm、外径:70mm、高さ:52mm、質量:64g)の中に、測定用の試料(高分子吸収剤)を0.3g入れて、均一にならし、円筒の質量(g)を測定する。なお、本測定方法は、温度25℃、湿度60%の条件下で行う。また、測定用の試料(高分子吸収剤)を衛生用品の製品から回収して用いる場合は、前述の<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>に従って得ることができる。
(2)シャーレ(内径:85mm、深さ:20mm)の中にプラスチック製の円筒(内径:60mm、外径:70mm、高さ:52mm、質量:64g)を置き、高吸収性ポリマー(SAP)0.3gを円筒内に均等に振り入れた後、円筒を外し、シャーレの質量(g)を測定する。
(3)台座付きのシャーレ(内径:85mm、深さ:20mm、台座配置:底面(内面側)中央部に2個の台座を24mm間隔で平行に配置、台座幅:2mm、台座高さ:2mm、台座長さ:25mm)に生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)を60mL入れる。
(4)測定用の試料(高分子吸収剤)の入った円筒を台座付きのシャーレの中央部の台座の上に置いて、円筒の底面を生理食塩水に浸し、生理食塩水を円筒の中の試料に3分間吸水させる。
(5)3分間の吸水後に円筒を引き上げ、円筒を45°傾けて1分間水切りした後、円筒の質量(g)を測定する。
(6)上記(5)で測定した吸水後の円筒の質量(g)を上記(1)で測定した吸水前の円筒の質量(g)から差し引くことにより試料の吸水量(g)を算出し、さらにこの吸水量を試料の質量(=0.3g)で除することにより試料の単位質量当たりの吸水量(g/g)を得る。
(7)そして、上記(5)で水切りした後の円筒を、SAPを入れたシャーレの上に置き、円筒の中の試料とシャーレ内のSAPとを、円筒の底面(メッシュ材)を介して接触させる。
(8)試料とSAPを接触させてから3分後に、円筒を取り外し、シャーレの質量(g)を測定する。
(9)上記(8)で測定したシャーレの質量(g)を上記(2)で測定したシャーレの質量(g)で差し引くことによりSAPの吸水量(g)を算出し、さらにこの吸水量を試料の質量(=0.3g)で除することにより試料の単位質量当たりのSAPの吸水量(g/g)、すなわち試料の単位質量当たりのSAPへの液移行量(g/g)を得る。
さらに、複合吸収体が上述のような高分子吸収剤とSAPを含む場合、高分子吸収剤は、吸収した水分の液吐出し率が65%以上であることが好ましい。高分子吸収剤の液吐出し率が65%以上であると、高分子吸収剤が吸収した水分を放出しやすいため、高分子吸収剤が一時的に保持した体液を、より容易にSAPへ受け渡すことができる。なお、高分子吸収剤の液吐出し率は、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが特に好ましい。
この高分子吸収剤の液吐出し率は、次のようにして測定することができる。
この高分子吸収剤の液吐出し率は、次のようにして測定することができる。
<高分子吸収剤の液吐出し率の測定方法>
(1)測定用の試料(高分子吸収剤)1gを10cm四方に切断したメッシュ袋((株)NBCメッシュテック製、N-NO255HD 115(規格巾:115cm、255メッシュ/2.54cm、オープニング:57μm、線径:43μm、厚さ:75μm))に封入する。なお、メッシュ袋は、予め質量(g)を測定しておく。また、本測定方法は、温度25℃、湿度60%の条件下で行う。さらに、測定用の試料(高分子吸収剤)を衛生用品の製品から回収して用いる場合は、前述の<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>に従って得ることができる。
(2)試料を封入したメッシュ袋を生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)に1時間浸漬する。
(3)メッシュ袋を5分間吊るして水切りした後の質量(g)を測定する。
(4)上記(3)で測定した水切り後のメッシュ袋の質量から試料の質量(=1g)及びメッシュ袋の合計質量を差し引くことにより試料の吸水量(g)を算出し、さらにこの吸水量を試料の質量(=1g)で除することにより試料(高分子吸収剤)の単位質量当たりの吸水量(g/g)を得る。
(5)さらに、上記(3)で水切りした後のメッシュ袋に、150Gで90秒間の遠心処理を施し、その遠心処理後のメッシュ袋の質量(g)を測定する。
(6)上記(5)で測定した遠心処理後のメッシュ袋の質量から試料の質量(=1g)及びメッシュ袋の合計質量を差し引くことにより試料の液吐出し量(g)を算出し、さらにこの液吐出し量を試料の質量(=1g)で除することにより試料(高分子吸収剤)の単位質量当たりの液吐出し量(g/g)を得る。
(7)上記(6)で得た単位質量当たりの液吐出し量を上記(4)で得た単位質量当たりの吸水量で除して100を乗ずることにより、試料(高分子吸収剤)の吸水量に対する液吐出し量、すなわち液吐出し率(%)を得る。
(1)測定用の試料(高分子吸収剤)1gを10cm四方に切断したメッシュ袋((株)NBCメッシュテック製、N-NO255HD 115(規格巾:115cm、255メッシュ/2.54cm、オープニング:57μm、線径:43μm、厚さ:75μm))に封入する。なお、メッシュ袋は、予め質量(g)を測定しておく。また、本測定方法は、温度25℃、湿度60%の条件下で行う。さらに、測定用の試料(高分子吸収剤)を衛生用品の製品から回収して用いる場合は、前述の<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>に従って得ることができる。
(2)試料を封入したメッシュ袋を生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)に1時間浸漬する。
(3)メッシュ袋を5分間吊るして水切りした後の質量(g)を測定する。
(4)上記(3)で測定した水切り後のメッシュ袋の質量から試料の質量(=1g)及びメッシュ袋の合計質量を差し引くことにより試料の吸水量(g)を算出し、さらにこの吸水量を試料の質量(=1g)で除することにより試料(高分子吸収剤)の単位質量当たりの吸水量(g/g)を得る。
(5)さらに、上記(3)で水切りした後のメッシュ袋に、150Gで90秒間の遠心処理を施し、その遠心処理後のメッシュ袋の質量(g)を測定する。
(6)上記(5)で測定した遠心処理後のメッシュ袋の質量から試料の質量(=1g)及びメッシュ袋の合計質量を差し引くことにより試料の液吐出し量(g)を算出し、さらにこの液吐出し量を試料の質量(=1g)で除することにより試料(高分子吸収剤)の単位質量当たりの液吐出し量(g/g)を得る。
(7)上記(6)で得た単位質量当たりの液吐出し量を上記(4)で得た単位質量当たりの吸水量で除して100を乗ずることにより、試料(高分子吸収剤)の吸水量に対する液吐出し量、すなわち液吐出し率(%)を得る。
以下、このような高分子吸収剤の製造方法について、上述の吸収剤Aを例にして詳細に説明する。
[高分子吸収剤の製造方法]
上述の吸収剤Aは、図2に示すように、架橋重合工程と加水分解工程を経ることにより得ることができる。以下、これらの各工程について説明する。
上述の吸収剤Aは、図2に示すように、架橋重合工程と加水分解工程を経ることにより得ることができる。以下、これらの各工程について説明する。
(架橋重合工程)
まず、架橋重合用の油溶性モノマーと、架橋性モノマーと、界面活性剤と、水と、必要に応じて重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルションを得る。この油中水滴型エマルションは、油相が連続相となって、その中に水滴が分散したエマルションである。
まず、架橋重合用の油溶性モノマーと、架橋性モノマーと、界面活性剤と、水と、必要に応じて重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルションを得る。この油中水滴型エマルションは、油相が連続相となって、その中に水滴が分散したエマルションである。
そして、上述の吸収剤Aにおいては、図2の上図に示すように、油溶性モノマーとして、(メタ)アクリル酸エステルであるメタクリル酸ブチルを用い、架橋性モノマーとして、ジビニルベンゼンを用い、界面活性剤としてソルビタンモノオレエートを用い、さらに重合開始剤としてイソブチロニトリルを用いて架橋重合させ、モノリスAを得る。
具体的には、吸収剤Aにおいては、図2の上図に示すように、まず、油溶性モノマーとしてのメタクリル酸t-ブチル9.2gと、架橋性モノマーとしてのジビニルベンゼン0.28gと、界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート(以下、「SMO」と略す。)1.0gと、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.4gとを混合し、均一に溶解させる。
次に、メタクリル酸t-ブチル/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)の混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて減圧下で撹拌し、油中水滴型エマルションを得る。
次に、メタクリル酸t-ブチル/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)の混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて減圧下で撹拌し、油中水滴型エマルションを得る。
さらに、このエマルションを速やかに反応容器に移して密封し、静置下で60℃、24時間の条件で重合させる。重合終了後に内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリスAを得る。なお、モノリスAの内部構造をSEMにより観察した結果、モノリスAは、連続気泡構造を有しており、連続骨格の厚みは5.4μmであった。また、水銀圧入法により測定した連続空孔の平均直径は36.2μm、全細孔容積は15.5mL/gであった。
なお、全モノマーに対するジビニルベンゼンの含有量は、0.3~10モル%であることが好ましく、0.3~5モル%であることがより好ましい。また、メタアクリル酸ブチルとジビニルベンゼンの合計に対するジビニルベンゼンの割合が0.1~10モル%であることが好ましく、0.3~8モル%であることがより好ましい。なお、上述の吸収剤Aにおいては、メタアクリル酸ブチルとジビニルベンゼンの合計に対するメタアクリル酸ブチルの割合が97.0モル%であり、ジビニルベンゼンの割合が3.0モル%である。
界面活性剤の添加量は、油溶性モノマーの種類及び所望のエマルション粒子(マクロポア)の大きさに応じて設定することができ、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2~70%の範囲とすることが好ましい。
なお、モノリスAの気泡形状やサイズなどを制御するために、メタノール、ステアリルアルコール等のアルコール;ステアリン酸等のカルボン酸;オクタン、ドデカン、トルエン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなどを重合系内に共存させてもよい。
また、油中水滴型エマルションを形成させる際の混合方法は特に制限されず、例えば各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などの任意の混合方法を採用することができる。
さらに、エマルションを形成させるための混合装置も特に制限されず、所望のエマルション粒径に応じて、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等の任意の装置を採用することができ、さらには、被処理物を混合容器に入れ、該混合容器を傾斜させた状態で公転軸の周りに公転させながら自転させることにより被処理物を攪拌混合する、いわゆる遊星式攪拌装置なども用いることができる。
また、混合条件についても特に制限されず、所望のエマルション粒径に応じて、攪拌回転数や攪拌時間等を任意に設定することができる。なお、上記の遊星式攪拌装置では、W/Oエマルション中の水滴を均一に生成させることができ、その平均径を幅広い範囲で任意に設定することができる。
油中水滴型エマルションの重合条件は、モノマーや開始剤の種類等に応じて様々な条件を採用することができる。例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等を用いる場合は、不活性雰囲気下の密封容器内において、30~100℃の温度で1~48時間加熱重合すればよく、重合開始剤として過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム-酸性亜硫酸ナトリウム等を用いる場合は、不活性雰囲気下の密封容器内において、0~30℃の温度で1~48時間重合すればよい。
なお、重合終了後は、内容物を取り出して、イソプロパノール等の溶剤でソックスレー抽出を行うことにより未反応モノマーと残留界面活性剤を除去し、図2の中図に示すモノリスAを得ることができる。
(加水分解工程)
続いて、モノリスA(架橋重合体)を加水分解して、吸収剤Aを得る工程(加水分解工程)について説明する。
続いて、モノリスA(架橋重合体)を加水分解して、吸収剤Aを得る工程(加水分解工程)について説明する。
まず、モノリスAを、臭化亜鉛を加えたジクロロエタンに浸漬させて40℃で24時間撹拌し、メタノール、4%塩酸、4%水酸化ナトリウム水溶液及び水にこの順で接触させて加水分解を行った後、乾燥させてブロック状の吸収剤Aを得る。さらに、このブロック状の吸収剤Aを所定の大きさに粉砕して粒子状の吸収剤Aを得る。なお、この吸収剤Aの形態は粒子状に限定されず、例えば、乾燥させる際に又は乾燥後にシート状に成形してもよい。
また、モノリスAの加水分解の方法は特に制限されず、種々の方法を採用することができる。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフランやイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒、酢酸やプロピオン酸等のカルボン酸系溶媒または水を溶媒として、水酸化ナトリウム等の強塩基と接触させる方法、或いは、塩酸等のハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のブレンステッド酸または臭化亜鉛、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化チタン(IV)、塩化セリウム/ヨウ化ナトリウム、ヨウ化マグネシウム等のルイス酸と接触させる方法などが挙げられる。
また、吸収剤Aの親水性の連続骨格を形成する有機ポリマーの重合原料のうち、(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸のC1~C10(すなわち、炭素数1~10)のアルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸のC4(すなわち、炭素数4)のアルキルエステルが特に好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸のC4のアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸t-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸n-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸iso-ブチルエステルが挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸のC4のアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸t-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸n-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸iso-ブチルエステルが挙げられる。
また、架橋重合に用いるモノマーは、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼンのみであってもよいし、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼンに加えて、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外の他のモノマーを含有していてもよい。
後者の場合、他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えばスチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、イソブテン、ブタジエン、イソブレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なお、架橋重合に用いる全モノマー中の、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外の他のモノマーの割合は、0~80モル%が好ましく、0~50モル%がより好ましい。
後者の場合、他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えばスチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、イソブテン、ブタジエン、イソブレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なお、架橋重合に用いる全モノマー中の、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外の他のモノマーの割合は、0~80モル%が好ましく、0~50モル%がより好ましい。
また、界面活性剤は、上述のソルビタンモノオレエートに限定されず、架橋重合用モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルションを形成し得るものであればよい。そのような界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン基ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン基ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン基ソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤、オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は一種類を単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。
また、重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。さらに、重合開始剤は、水溶性でも油溶性でもよく、例えば、アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム-酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。ただし、場合によっては、重合開始剤を添加しなくても加熱のみや光照射のみで重合が進行する系もあるため、そのような系では重合開始剤の添加は不要である。
なお、本発明の複合吸収体は、上述の実施形態の軽失禁パッドのほかに、例えば、パンツ型使い捨ておむつ、テープ型使い捨ておむつ、生理用ナプキン、吸収ライナー、吸収パッド(例えば、褥瘡パッドや産褥パッド等)、吸収シート、母乳パッド、ペット用の使い捨ておむつ、ペット用の吸収パッド、ペット用の***物処理シート、ウェットシート、ウェットティッシュ、化粧用拭き取りシート、マスク等の様々な衛生用品に適用することができる。したがって、複合吸収体の吸収対象液である体液は、衛生用品の着用者から排出される液体であり、例えば、尿、汗、便、経血、おりもの、母乳、血液、滲出液などが挙げられる。
また、本発明は、上述の実施形態等に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。
1 軽失禁パッド
2 表面シート
3 裏面シート
4 複合吸収体
2 表面シート
3 裏面シート
4 複合吸収体
Claims (7)
- 体液を吸収するための衛生用品用の複合吸収体であって、
親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤を含み、
前記高分子吸収剤は、40g/cm2の荷重を掛けてから5秒経過後の初期吸水量が5g/g以上であり、且つ、20秒以上経過後の吸水量が前記初期吸水量の110%以上であることを特徴とする複合吸収体。 - 前記複合吸収体が高吸収性ポリマーを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合吸収体。
- 前記高分子吸収剤から前記高吸収性ポリマーへの液移行量が5.0g/g以上であることを特徴とする、請求項2に記載の複合吸収体。
- 前記高分子吸収剤は、吸収した水分の液吐出し率が65%以上であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の複合吸収体。
- 前記高分子吸収剤は、モノリス状の吸収剤であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合吸収体。
- 前記高分子吸収剤は、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、且つ、少なくとも1個以上の-COONa基を含有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合吸収体。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の複合吸収体を有することを特徴とする衛生用品。
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