JP2022103108A - 光学フィルター、固体撮像装置およびカメラモジュール - Google Patents

光学フィルター、固体撮像装置およびカメラモジュール Download PDF

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Abstract

【課題】遮蔽したい特定の波長領域の光線の遮蔽特性に優れる光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置を提供すること。【解決手段】特定波長領域に吸収を有する基材を含む光学フィルターであって、前記光学フィルターは、前記基材の一方の面に第一の誘電体多層膜を有し、他方の面に第二の誘電体多層膜を有し、該第一の誘電体多層膜と第二の誘電体多層膜との合計層数が60層以下であり、前記特定波長領域において下記要件(A)~(C)を満たす、光学フィルター。(A)前記基材の透過率の平均値が90%未満である(B)前記第一の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上である(C)前記第二の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上である【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルター、固体撮像装置およびカメラモジュールに関する。
特定の波長領域の光線を利用する様々な装置では、光学フィルターが使用され、該光学フィルターは、通常、特定の波長領域の光線を透過し、特定の波長領域の光線を遮蔽する。これらの特定の波長領域は、光学フィルターが用いられる用途に応じて決定される。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話、スマートフォンなどの固体撮像装置には、カラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されている。これら固体撮像素子は、その受光部において、近赤外線に感度を有するセンサーを使用しているため、視感度補正を行うことが必要である。このような視感度補正を行う際には、例えば、前記光学フィルターとして、可視光領域の光線を透過し、特定の近赤外線領域の光線を遮蔽する近赤外線カットフィルター(例:特許文献1等に記載の近赤外線カットフィルター)が用いられている。
また、近年、スマートフォンなどの携帯電話や車載端末等において、セキュリティや安全性を向上させる目的で、可視光線を利用した撮像と同時に、他の波長領域(例:近赤外~赤外光線領域)の光線を利用した距離測定や顔認証等を行う動きが広がっている。このような距離測定や顔認証等を行う際には、例えば、前記光学フィルターとして、近赤外~赤外光線領域のうちの特定波長の光線を透過し、その他の特定の波長領域の光線を遮蔽する光学フィルター(例:近赤外線透過フィルター(IRPF))が用いられている。
さらに、可視光線と近赤外光線領域のうちの特定波長の光線とを利用する装置があり、該装置では、例えば、前記光学フィルターとして、近赤外光線領域のうちの特定の波長領域の光線と可視光領域の光線とを透過し、その他の特定の波長領域の光線を遮蔽する光学フィルター(例:可視光-近赤外線選択透過フィルター(DBPF))が用いられている。
特開平6-200113号公報
前記のような光学フィルターでは、遮蔽したい特定の波長領域の光線の透過率は、できる限り低い(遮蔽特性に優れる)ことが好ましい。しかし、従来の光学フィルターでは、遮蔽したい特定の波長領域の光線の透過率をある程度低くはできているが、さらなる遮蔽特性の向上が求められていた。
本発明は以上のことに鑑みてなされたものであり、遮蔽したい特定の波長領域の光線の遮蔽特性に優れる光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記構成例によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の構成例を以下に示す。
なお、本発明において、数値範囲を表す「A~B」等の記載は、「A以上、B以下」と同義であり、AおよびBをその数値範囲内に含む。また、本発明において、波長A~Bnmとは、波長Anm以上、波長Bnm以下の波長領域における波長分解能1nmにおける特性を表す。
[1] 特定波長領域に吸収を有する基材を含む光学フィルターであって、
前記光学フィルターは、前記基材の一方の面に第一の誘電体多層膜を有し、他方の面に第二の誘電体多層膜を有し、該第一の誘電体多層膜と第二の誘電体多層膜との合計層数が60層以下であり、
前記特定波長領域において下記要件(A)~(C)を満たす、
光学フィルター。
(A)前記基材の透過率の平均値が90%未満である
(B)前記第一の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上である
(C)前記第二の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上である
[2] 前記基材が、
前記特定波長領域に吸収を有する吸収層1のみからなる、または、
前記特定波長領域に吸収を有する吸収層1と他の層2とを含む、
[1]に記載の光学フィルター。
[3] 前記特定波長領域の基材の透過率の平均値が20%以上90%未満である、[1]または[2]に記載の光学フィルター。
[4] 前記特定波長領域の幅が5~300nmである、[1]~[3]のいずれかに記載の光学フィルター。
[5] 前記特定波長領域が波長700~1200nmの範囲にある、[1]~[4]のいずれかに記載の光学フィルター。
[6] 前記第一の誘電体多層膜は、該第一の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上となる領域を、波長700~1000nmの範囲に有する、[1]~[5]のいずれかに記載の光学フィルター。
[7] 前記第二の誘電体多層膜は、該第二の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上となる領域を、波長800~1100nmの範囲に有する、[1]~[6]のいずれかに記載の光学フィルター。
[8] 前記特定波長領域において、透過率の平均値が0.01%以下である領域Aを有する、[1]~[7]のいずれかに記載の光学フィルター。
[9] 波長400~630nmの範囲において、透過率の平均値が85%以上である領域Bを有する、[1]~[8]のいずれかに記載の光学フィルター。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載の光学フィルターを具備する固体撮像装置。
[11] [1]~[9]のいずれかに記載の光学フィルターを具備するカメラモジュール。
本発明によれば、遮蔽したい特定の波長領域の光線の遮蔽特性に優れる光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置を提供することができる。
光学フィルターでは、透過したい特定の波長領域の光線の透過率は高く、遮蔽したい特定の波長領域の光線を透過率は低くすること、つまり、高い透過率の領域と低い透過率の領域のコントラストが高い(以下「高いコントラスト」ともいう。)ことが求められている。
例えば、前記近赤外線カットフィルターが高いコントラストを有していない場合、この近赤外線カットフィルターを用いると、近赤外光線領域の光線を由来とするゴーストと呼称される画像不良によって、画質が低下する場合があった。
前記高いコントラストを実現するための一つの方法として、近赤外線カットフィルター等の光学フィルターに通常用いられている誘電体多層膜の層数を増やす方法が考えられる。
このように誘電体多層膜の層数を増やすと、特定の波長領域の遮蔽性を向上させることが可能である。一方で、誘電体多層膜の層数の増加は、光学フィルターへの応力の増加をもたらし、光学フィルターの変形による、該フィルターの外観や光学特性の悪化が問題となる場合があった。
また、前記遮蔽したい特定の波長領域の光線の遮蔽特性を向上させるための方法として、遮蔽したい特定の波長領域に吸収を有する色素を多量に添加することなどより、遮蔽したい特定の波長領域の光線の吸収に優れる基材を用いる方法も挙げられる。
しかしながら、このように色素を多量に用いた場合、透過したい特定の波長領域の光線の高い透過率を維持することができず、高いコントラストを実現することができなかった。
一方、本発明によれば、誘電体多層膜による光学フィルターへの応力を低く保ちながら、高いコントラスト(特に、可視光線領域の光線の高い透過率と、近赤外~赤外光線領域の光線の低い透過率)を有する光学フィルターを提供することができる。
また、本発明によれば、該光学フィルターを用いることで、得られる画像におけるゴーストが抑制された固体撮像装置およびカメラモジュールを提供することができる。
本発明の光学フィルターの一例を示す概略模式図である。 本発明の光学フィルターの一例を示す概略模式図である。 実施例1で得られた基材の分光透過率曲線を示す図である。 実施例1で得られた第一の誘電体多層膜の分光反射率曲線を示す図である。 実施例1で得られた第二の誘電体多層膜の分光反射率曲線を示す図である。 実施例1で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を示す図である。 図6の波長700~1200nmの領域の拡大図である。 図6の波長700~1200nmの領域の拡大図である。 実施例2で得られた基材の分光透過率曲線を示す図である。 実施例2で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を示す図である。 図10の波長700~1200nmの領域の拡大図である。 図10の波長700~1200nmの領域の拡大図である。 実施例3で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を示す図である。 実施例4で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を示す図である。 実施例5で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を示す図である。 比較例1で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を示す図である。 図16の波長700~1200nmの領域の拡大図である。 比較例2で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を示す図である。 比較例3で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を示す図である。
≪光学フィルター≫
本発明に係る光学フィルター(以下「本フィルター」ともいう。)は、特定波長領域に吸収を有する基材を含み、
前記光学フィルターは、前記基材の一方の面に第一の誘電体多層膜を有し、他方の面に第二の誘電体多層膜を有し、該第一の誘電体多層膜と第二の誘電体多層膜との合計層数が60層以下であり、
前記特定波長領域において下記要件(A)~(C)を満たす。
(A)前記基材の透過率の平均値が90%未満である
(B)前記第一の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上である
(C)前記第二の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上である
要件(A)~(C)を満たすことで、特定波長領域の光が光学フィルターに入射した際に、第一の誘電体多層膜と第二の誘電体多層膜との間で多重反射を起こしながら、基材に吸収され、効果的にゴーストの発生を防ぐことができると考えられる。
本フィルターは、前記特定波長領域において、前記要件(A)~(C)を満たすため、該特定波長領域は、遮蔽領域ともいえる。
前述の通り、本フィルターの種類(例:近赤外線カットフィルター、近赤外線透過フィルター、可視光-近赤外線選択透過フィルター)によって、遮蔽したい波長領域が変わるため、前記特定波長領域は、本フィルターの種類に応じて適宜選択される。
本フィルターは、近赤外線カットフィルターとして好適に用いられるため、この場合、前記特定波長領域の具体例は、好ましくは波長700~1200nmの範囲、より好ましくは波長800~1000nmの範囲にある。
特定波長領域が前記範囲にあることで、ゴーストの主原因となる、近赤外線から赤外線領域の特定の領域を遮蔽することで、さらなる画質の向上が図れる。
前記特定波長領域の幅は、好ましくは5~300nmである。
特定波長領域の幅が前記範囲にあることで、誘電体多層膜の層数をより低減することができるため、光学フィルターへの応力が軽減され、光学フィルターの変形をより一層防ぐことができる。
なお、本発明において、特定波長領域とは、光学フィルターの面に対し垂直方向から入射した光の透過率が、連続して0.01%を超えない波長領域のことをいう。ここで、「連続する」とは、ある波長Anmにおける透過率と、A-1nmまたはA+1nmにおける透過率の関係のことをいう。
以下、基材や光学フィルターの透過率は、基材や光学フィルターの面に対し垂直方向から入射した光の透過率のことをいう。ここで基材や光学フィルターの面とは、基材や光学フィルターの最も面積の大きい面(主面)のことをいう。
本フィルターを近赤外線の一部または全部をカットするフィルターとする場合、本フィルターは、特定波長領域において、透過率の平均値が0.01%以下、好ましくは0.001%以下である領域Aを有することが望ましい。
なお、本発明において、ある波長領域(波長A~Bnm)の透過率の平均値(平均透過率)は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における透過率を測定し、その透過率の合計を、測定した透過率の数(波長範囲、B-A+1)で除すことで算出した値である。
本フィルターを、可視光を透過するフィルターとする場合、本フィルターは、波長400~630nmの領域において、透過率の平均値が、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である領域Bを有することが望ましい。
本フィルターの厚みは、好ましくは32~220μmであり、この範囲であれば、固体撮像装置の薄型化に有用である。
また、本フィルターの厚みは、より好ましくは32~160μm、さらに好ましくは42~120μmである。この範囲であれば、総厚み6.5mm以下の薄型固体撮像装置にも好適に用いることができる。
本フィルターの一実施形態として、図1や図2に示す構成のフィルターが挙げられる。
本発明の実施の形態について、必要に応じて図面に基づいて説明するが、該図面は単に図解のために提供されるものであり、本発明はこれらの図面に何ら限定されない。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。
本フィルターは、例えば、カットしたい領域の波長の光のカット能と、透過したい波長の光の透過能に優れ、これらのコントラストが高い。従って、カメラモジュールのCCDやCMOSイメージセンサー等の固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、赤外線カメラ、テレビ、カーナビゲーション、携帯情報端末、ビデオゲーム機、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー、各種センシングシステム、赤外線通信等に有用である。さらに、自動車や建物等のガラス板等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
<基材>
本フィルターに用いられる基材は、前記特定波長領域に吸収を有する基材であり、前記要件(A)を満たせば特に制限されない。
前記基材は、本フィルターの種類にもよるが、可視光領域(例:波長400~630nm)の波長の光を透過する、具体的には、該可視光領域における透過率の平均値が、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である基材が望ましい。
また、より効果的にゴーストの発生を防ぐことができる等の点から、前記特定波長領域における基材の透過率の平均値は、好ましくは20%以上90%未満、より好ましくは40%以上90%未満、さらに好ましくは60%以上90%未満である。
前記基材の材質としては、例えば、ガラス、強化ガラス、特殊ガラス、樹脂が挙げられる。前記基材は、ガラス(ガラス、強化ガラス、特殊ガラスを含む)製の層を2層以上有していてもよく、樹脂製の層を2層以上の有していてもよく、1層以上のガラス製の層と1層以上の樹脂製の層とを有していてもよい。
前記基材は、ガラス転移温度が140℃以上の層を含むことが好ましく、割れにくいことから樹脂製の層(樹脂層)を含むことがより好ましい。
前記基材の好適例としては、特定波長領域に吸収を有する吸収層1のみからなる基材A、または、前記特定波長領域に吸収を有する吸収層1と他の層2とを含む基材Bが挙げられる。基材Aを含む本フィルターの一例としては、図1に示すような、基材(基材A)10と、第一の誘電体多層膜21と、第二の誘電体多層膜22とからなるフィルターが挙げられる。また、基材AおよびBを含む本フィルターの一例としては、図2に示すような、吸収層1(11)と、他の層2(12、13)と、第一の誘電体多層膜21と、第二の誘電体多層膜22とからなるフィルターが挙げられる。
基材Aは、吸収層1を2層以上有していてもよく、この場合、2層以上の吸収層1は、同様の層であっても、異なる層であってもよい。
基材Bは、吸収層1を2層以上有していてもよく、他の層2を2層以上有していてもよい。この場合、2層以上の吸収層1は、同様の層であっても、異なる層であってもよく、2層以上の他の層2は、同様の層であっても、異なる層であってもよい。
前記吸収層1の具体例としては、光吸収剤を含む層が挙げられ、前記特定波長領域が近赤外線領域である場合、近赤外線吸収剤を含むことが好ましい。つまり、光吸収剤としては、前記特定波長領域において、基材が要件(A)を満たすような光吸収剤を用いることが好ましい。
近赤外線吸収剤としては、酸化セシウムタングステンや酸化銅(II)等の無機系近赤外線吸収剤、金ナノロッド等の表面プラズモンを利用した近赤外線吸収剤、シアニン系色素やスクアリリウム系色素などの有機系近赤外線吸収剤、および、金属ジチオール錯体、金属フタロシアニン錯体等の金属錯体系の近赤外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種を含んでいることが好ましい。
前記他の層2としては、特定波長領域に吸収を有さない層であれば特に制限されず、例えば、ガラス、強化ガラス、特殊ガラスなどからなる光吸収剤を含まないガラス層;光吸収剤を含まない樹脂層;機能層が挙げられる。
前記機能層における機能としては、導電性、帯電防止効果、異物付着防止効果、傷つき防止効果、防曇性、耐熱性向上効果、ガスバリア性、高弾性、傷消し効果、平坦性、粗面性、吸湿性、老化防止効果等が挙げられる。
前記基材の層数は、好ましくは1~5層である。
前記基材の層数が6層以上の場合、各層間の密着性の懸念や製造コストの増加が懸念される。
各層の屈折率は近いほどよく、各層の屈折率の差は0.3以下であることが好ましい。
前記基材の総膜厚は、好ましくは30~200μmであり、この範囲であれば、固体撮像装置の薄型化に有用である。
また、前記基材の総厚みは、より好ましくは30~150μm、さらに好ましくは40~110μmである。この範囲であれば、総厚み6.5mm以下の薄型固体撮像装置にも好適に用いることができる。
前記基材の総厚みが30μm未満の場合、反りやすさまたは割れやすさが懸念される。
[ガラス]
前記ガラスとしては、例えば、ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、リン酸ガラス、リン酸銅ガラス、フツリン酸ガラス、フツリン酸銅ガラスが挙げられる。
前記ケイ酸ガラスとしては、例えば、SCHOTT社製のD263が挙げられる。
前記リン酸ガラスや前記フツリン酸ガラスとしては、例えば、松浪硝子工業(株)製のBS3、BS4、BS6、BS7、BS8、BS10、BS11、BS12、BS13、BS16、BS17が挙げられる。
[強化ガラス]
前記強化ガラスとしては、例えば、物理強化ガラス、強化合わせガラス、化学強化ガラスが挙げられる。これらの中では、圧縮層の厚みが薄く、基材の厚みを薄く加工することができる化学強化ガラスが好ましい。化学強化ガラスの具体例としては、AGC(株)製「Dragontrail」、Corning社製「Gorilla Glass」が挙げられる。
[特殊ガラス]
前記特殊ガラスとしては、例えば、アルミナガラス、アルミン酸イットリウム、酸化イットリウムが挙げられる。
前記アルミナガラスとしては、例えば、日本ガイシ(株)製「ハイセラム」が挙げられる。前記アルミン酸イットリウムや前記酸化イットリウムとしては、例えば、クアーズテック(株)製「EXYRIA」が挙げられる。
[樹脂]
前記樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エン・チオール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が挙げられる。これらの中では、ノルボルネン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂が好ましい。
前記樹脂は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記樹脂は、原料成分の分子構造を調整する方法等により、屈折率を調整できる。屈折率を調整する方法としては、具体的には、原料成分のポリマーの主鎖や側鎖に特定の構造を付与する方法等が挙げられる。ポリマーに付与する構造は特に限定されないが、例えば、ノルボルネン骨格、フルオレン骨格が挙げられる。
前記樹脂の波長500nmの光の屈折率は、好ましくは1.40~1.7である。
前記樹脂としては、市販品を用いてもよい。該市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル(株)製「オグソール EA-F5003」(アクリル系樹脂、屈折率:1.60)、東京化成工業(株)製「ポリメチルメタクリレート」(屈折率:1.49)、東京化成工業(株)製「ポリイソブチルメタクリレート」(屈折率:1.48)、三菱ケミカル(株)製「BR50」(屈折率:1.56)が挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂の市販品としては、例えば、大坂ガスケミカル(株)製「OKP4HT」(屈折率:1.64)、「OKP4」(屈折率:1.61)、「B-OKP2」(屈折率:1.64)、「OKP-850」(屈折率:1.65)、東洋紡(株)製「バイロン 103」(屈折率:1.55)が挙げられ、ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、例えば、SABIC社製「LeXan ML9103」(屈折率:1.59)、「xylex 7507」、三菱ガス化学(株)製「EP5000」(屈折率:1.63)、帝人(株)製「SP3810」(屈折率:1.63)、「SP1516」(屈折率:1.60)、「TS2020」(屈折率:1.59)が挙げられ、ノルボルネン系樹脂の市販品としては、例えば、JSR(株)製「ARTON」(屈折率:1.52)、日本ゼオン(株)製「ZEONEX」(屈折率:1.53)が挙げられる。
ポリエーテル系樹脂は、下記式(1)および(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する重合体であることが好ましい。また、下記式(3)や(4)で表される構造単位を有してもよい。
Figure 2022103108000001
Figure 2022103108000002
Figure 2022103108000003
Figure 2022103108000004
前記式(1)中、R1~R4はそれぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。a~dはそれぞれ独立に、0~4の整数を示し、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
前記式(2)中、R1~R4およびa~dはそれぞれ独立に、前記式(1)中のR1~R4およびa~dと同義であり、Yは、単結合、-SO2-または-CO-を示し、R7およびR8はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~12の1価の有機基またはニトロ基を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。gおよびhはそれぞれ独立に、0~4の整数を示し、好ましくは0である。
前記式(3)中、R5およびR6はそれぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、-O-、-S-、-SO2-、-CO-、-CONH-、-COO-または炭素数1~12の2価の有機基を示し、nは0または1を示す。eおよびfはそれぞれ独立に、0~4の整数を示し、好ましくは0である。
前記式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhはそれぞれ独立に、前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfはそれぞれ独立に、前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。
前記基材は、前記吸収層1または他の層2として、好ましくは前記吸収層1として、樹脂層を有することが好ましい。
前記基材が、該樹脂層を有することにより、波長400~630nmの光の透過率が高く、耐熱性が高く、反りにくい、破断しにくい、面内位相差R0が低い光学フィルターを容易に得ることができる。そのため、前記樹脂層を有する光学フィルターを具備する固体撮像装置は、画質が高く、容易に製造することができる。
前記樹脂層を厚み1μmの層とした場合の波長430~630nmにおける透過率の平均値は、固体撮像装置が高感度となる等の点から、好ましくは90%以上である。
前記樹脂層のガラス転移温度は、固体撮像装置を低温リフロー工程で製造することができる等の点から、140℃以上であることが好ましい。
前記樹脂層は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および帯電防止剤等から選ばれる少なくとも1種のコーティング剤をコーティングする方法により前記基材を製造することができる。
・溶融成形
前記樹脂層は、樹脂、好ましくは樹脂と近赤外線吸収剤とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂、好ましくは樹脂と近赤外線吸収剤とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、樹脂および溶剤、好ましくは樹脂、近赤外線吸収剤および溶剤を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などにより製造することができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形を挙げることができる。
・キャスト成形
前記樹脂層は、樹脂および溶剤、好ましくは樹脂、近赤外線吸収剤および溶剤を含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;反射防止剤、ハードコート剤および帯電防止剤等から選ばれる少なくとも1種のコーティング剤と、近赤外線吸収剤と、樹脂とを含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングする方法;または、反射防止剤、ハードコート剤および帯電防止剤等から選ばれる少なくとも1種のコーティング剤と、近赤外線吸収剤と、樹脂とを含む硬化性組成物を適当な支持体の上にキャスティングして硬化および乾燥させる方法などにより製造することもできる。
このようにして得られた樹脂層は、支持体から剥離して用いてもよいし、支持体から剥離せずに、支持体と樹脂層との積層体を前記基材としてもよい。
さらに、ガラス板、石英またはプラスチック製等の光学部品に、前記樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させる方法、または、前記硬化性組成物をコーティングして硬化および乾燥させる方法などにより、光学部品上に直接樹脂層を形成することもできる。
前記方法で得られた樹脂層中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよく、樹脂層100質量%に対し、通常3質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。残留溶剤量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる基材を容易に得ることができる。
また、本フィルターが用いられる用途によっては、配置された本フィルター周囲の電気回路を腐食する懸念があるため、樹脂層中のハロゲン含有溶剤の残留溶剤量は50ppm以下であることが望ましい。
[近赤外線吸収剤]
前記近赤外線吸収剤は、好ましくは波長650~1200nmの範囲に吸収極大波長を有する。
吸収極大波長が前記範囲にある近赤外線吸収剤を用いることにより、高いコントラスト、特に、可視光線領域の光線の高い透過率と、近赤外~赤外光線領域の光線の低い透過率を有する光学フィルターを容易に得ることができる。
前記近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素、リン酸銅塩、ポリメチン系色素が挙げられる。これら化合物の構造は特に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわないものであれば一般的に知られているものや市販品を使用することができる。また、本発明の効果を損なわないものであれば、用いる近赤外線吸収剤は、1種でも複数種でもよい。
前記近赤外線吸収剤の含有量は、樹脂層中に含まれる樹脂100質量部に対し、好ましくは0.01~10.0質量部である。
近赤外線吸収剤の含有量が前記範囲にあると、適切な光学特性の基材を容易に得ることができる。
・シアニン系色素
前記シアニン系色素としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、特開2009-108267号公報、特開2010-72575号公報、特開2016-060774号公報等に記載のシアニン系色素が挙げられる。
・フタロシアニン系色素
前記フタロシアニン系色素としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えば、特開2005-220060号公報、特開2007-169343号公報、特開2013-195480号公報の段落[0026]~[0027]、国際公開第2015/025779号の表1等に記載の化合物が挙げられる。
フタロシアニン系色素を用いる場合には、少なくとも1種の他の近赤外線吸収剤と併用することが好ましい。
・ジチオール系色素
前記ジチオール系色素としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、特開2006-215395号公報、国際公開第2008/086931号等に記載のジチオール系色素が挙げられる。
また、例えば、国際公開第1998/034988号に記載のようにジチオール系色素の塩化物を用いてもよい。
・スクアリリウム系色素
前記スクアリリウム色素としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、下記式(4)で表されるスクアリリウム系色素、特開2014-074002号公報、特開2014-052431号公報等に記載のスクアリリウム系色素が挙げられ、一般に知られている方法で合成すればよい。
Figure 2022103108000005
前記式(4)中のRsq1~Rsq6の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基などのアルキル基;2-ヒドロキシエチル基、2-シアノエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、3-シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などのアルキル基の一部が置換基で置換された基;フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などのアリール基またはアリール基の一部が置換基で置換された基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などのアルケニル基;ベンジル基、p-フルオロベンジル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などのアラルキル基またはアラルキル基の一部が置換基で置換された基が挙げられる。これらRsq1~Rsq6が有する水素基は、任意の個数を置換基Lで置換されていてもよい。ここで置換基Lは、フッ素、塩素、臭素、(アルキル化してもよい)アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、水酸基、チオール基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基またはエステル基を含む基が挙げられる。
樹脂への溶解性から、式(4)におけるRsq1~Rsq6は、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、およびこれらの基の任意の個数の水素原子が置換基Lで置換された基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基およびこれらの基の任意の個数の水素原子が置換基Lで置換された基である。
・ジイモニウム系色素
前記ジイモニウム系色素としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えば、下記式(5)で表されるジイモニウム系色素、特許第4168031号公報、特許第4252961号公報、国際公開第2004/048480号等に記載のジイモニウム系色素が挙げられ、一般的に知られている方法で合成すればよい。
Figure 2022103108000006
Rdi1~Rdi12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、-NRgh基、-SRi基、-SO2i基、-OSO2i基または下記La~Lhのいずれかを表し、RgおよびRhはそれぞれ独立に、水素原子、-C(O)Ri基または下記La~Leのいずれかを表し、Riは下記La~Leのいずれかを表し、
(La)炭素数1~12の脂肪族炭化水素基
(Lb)炭素数1~12のハロゲン置換アルキル基
(Lc)炭素数3~14の脂環式炭化水素基
(Ld)炭素数6~14の芳香族炭化水素基
(Le)炭素数3~14の複素環基
(Lf)炭素数1~12のアルコキシ基
(Lg)置換基Lを有してもよい炭素数1~12のアシル基、
(Lh)置換基Lを有してもよい炭素数1~12のアルコキシカルボニル基
置換基Lは、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数1~12のハロゲン置換アルキル基、炭素数3~14の脂環式炭化水素基、炭素数6~14の芳香族炭化水素基および炭素数3~14の複素環基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
Xは電荷を中和させるのに必要なアニオンを表す。
前記Rdi1~Rdi8としては、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基であり、より好ましくはイソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ベンジル基である。
前記Rdi9~Rdi12としては、好ましくは、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、N-メチルアセチルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、tert-ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基、n-ブチルスルホニル基、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基であり、より好ましくは塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、水酸基、ジメチルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、tert-ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基である。同じ芳香環に結合しているRdi9~Rdi12それぞれの数は、0~4であれば特に制限されないが、0または1であることが好ましい。
前記Xは電荷を中和するのに必要なアニオンであり、アニオンが2価である場合には1分子、アニオンが1価の場合には2分子が必要となる。後者の場合は2つのアニオンは同一であっても異なっていてもよいが、合成上の観点から同一である方が好ましい。Xはアニオンであれば特に制限されないが、一例として、下記表1に記載のアニオンを挙げることができる。
Figure 2022103108000007
Xとしては、酸とした際の酸性度が高いものであれば、ジイモニウム系色素のアニオンとした際にジイモニウム系色素の耐熱性を向上できる傾向にあることから、表1中の(X-10)、(X-16)、(X-17)、(X-21)、(X-22)、(X-24)、(X-28)が特に好ましい。
・ポリメチン系色素
前記ポリメチン系色素としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば特開2021-134350号公報、国際公開第2021/085372号等に記載のポリメチン系色素が挙げられる。
前記近赤外線吸収剤の中でも、式(4)で表される化合物、式(5)で表される化合物、ポリメチン系色素が、可視光透過率の高さ、波長700~750nmの範囲の吸収特性、波長800~1100nmの範囲の吸収特性から好ましい。
[近紫外線吸収剤]
前記基材には、本フィルターを用いて近紫外線をカットしたい場合、近紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
前記近赤外線吸収剤に加え、近紫外線吸収剤を用いることにより、近紫外波長領域においても入射角依存性が小さい光学フィルターを得ることができる。
本発明の効果を損なわないものであれば、用いる近紫外線吸収剤は、1種でも複数種でもよい。
前記近紫外線吸収剤としては、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、メロフタロシアニン系化合物、オキサゾール系化合物、ナフタルイミド系化合物、オキサジアゾール系化合物、オキサジン系化合物、オキサゾリジン系化合物およびアントラセン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、波長300~420nmに少なくとも一つの吸収極大を持つ化合物であることが好ましい。
前記近紫外線吸収剤としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、Exiton社製「A BS 407」、QCRSolutions社製「UV 381A」、「UV 381B」、「UV 382A」、「UV 386A」、BASF社製「TINUVIN 326」、「TINUVIN 460」、「TINUVIN 479」、オリエント化学工業(株)製「BONA3911」が挙げられる。
前記近紫外線吸収剤の含有量は、樹脂層中に含まれる樹脂100質量部に対し、通常0.01~5.0質量部、好ましくは0.05~2.0質量部である。
近紫外線吸収剤の含有量が前記範囲にあると、適切な光学特性の基材を容易に得ることができる。
・アゾメチン系化合物
前記アゾメチン系化合物は特に限定されないが、例えば、下記式(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022103108000008
式(6)中、Ra1~Ra5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、炭素数1~15のアルキル基、炭素数1~9のアルコキシ基または炭素数1~9のアルコキシカルボニル基を表す。
・インドール系化合物
前記インドール系化合物は特に限定されないが、例えば、下記式(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022103108000009
式(7)中、Rb1~Rb5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、フェニル基、アラルキル基、炭素数1~9のアルキル基、炭素数1~9のアルコキシ基または炭素数1~9のアルコキシカルボニル基を表す。
・ベンゾトリアゾール系化合物
前記ベンゾトリアゾール系化合物は特に限定されないが、例えば、下記式(8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022103108000010
式(8)中、Rc1~Rc3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アラルキル基、炭素数1~9のアルキル基、炭素数1~9のアルコキシ基、または、炭素数1~9のアルキル基の一部が炭素数1~9のアルコキシカルボニル基で置換された基を表す。
・トリアジン系化合物
前記トリアジン系化合物は特に限定されないが、例えば、下記式(9)、(10)または(11)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022103108000011
Figure 2022103108000012
Figure 2022103108000013
式(9)~(11)中、Rd1は独立に、水素原子、炭素数1~15のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数3~8のアルケニル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数7~18のアルキルアリール基またはアリールアルキル基を表す。ただし、これらアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基およびアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基またはアルコキシ基で置換されてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基またはイミノ基が含まれていてもよい。Rd2~Rd9はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~15のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数3~8のアルケニル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数7~18のアルキルアリール基またはアリールアルキル基を表す。
・メロフタロシアニン系化合物
前記メロフタロシアニン系化合物としては、例えば、FewChemicals社製「S0511」が挙げられる。
・オキサゾール系化合物
前記オキサゾール系化合物としては、例えば、BASF社製「Uvitex OB」、昭和化学工業(株)製「Hakkol RF-K」、日本化学工業(株)製「Nikkafluor EFS」、「Nikkafluor SB-conc」が挙げられる。
・ナフタルイミド系化合物
前記ナフタルイミド系化合物としては、例えば、BASF社製「Lumogen Fviolet 570」が挙げられる。
[その他成分]
前記基材は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、難燃剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤および金属錯体系化合物等の添加剤を含有してもよい。また、前述のキャスト成形により樹脂層を形成する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することで樹脂層の製造を容易にすることができる。
これらその他成分はそれぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種を用いてもよい。
なお、これらその他成分は、樹脂層を形成する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を製造する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、樹脂100質量部に対して、通常0.01~5.0質量部、好ましくは0.05~2.0質量部である。
前記酸化防止剤としては、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,2'-ジオキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-5,5'-ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンが挙げられる。
<誘電体多層膜>
本フィルターは、基材の一方の面に第一の誘電体多層膜を有し、他方の面に第二の誘電体多層膜を有し、該第一の誘電体多層膜と第二の誘電体多層膜との合計層数が60層以下であることを一つの特徴とする。
第一の誘電体多層膜と第二の誘電体多層膜の層数の合計が60層以下であることで、誘電体多層膜による応力を軽減し、本フィルターの変形を防ぐことができる。より本フィルターの変形を防ぐためには、前記合計層数は、好ましくは54層以下、より好ましくは50層以下である。前記合計層数の下限は、好ましくは5層、より好ましくは10層である。
なお、基材の一方の面とは、基材の主面の一方のことをいい、基材の面積の最も大きな面の一方のことをいう。この場合、基材の面積の最も大きな面の他方が他方の面である。
特定波長領域において、前記第一の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値は、80%以上であり、好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上である。
また、特定波長領域において、前記第二の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の平均値は、80%以上であり、好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上である。
本発明において、特定波長領域(例:波長A~Bnm)の反射率の平均値(平均反射率)は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における反射率を測定し、その反射率の合計を、測定した反射率の数(波長範囲、B-A+1)で除すことで算出した値である。
なお、誘電体多層膜の面に対し垂直方向から入射する無偏光光線の反射率を測定することは、限りなく困難であるため、本発明では、誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度から入射する無偏光光線の反射特性を測定している。
「無偏光光線」とは、偏光方向の偏りを持たない光線のことであり、電場が全ての方向に概ね均一に分布している波の集合体のことをいう。「無偏光光線の透過率の平均値」は「S偏光光線の透過率の平均値」と「P偏光光線の透過率の平均値」の平均値を用いてもよい。「無偏光光線の平均反射率」は、「S偏光光線の平均反射率」と「P偏光光線の平均反射率」の平均値を用いてもよい。
第一の誘電体多層膜は、該第一の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が前記範囲となる波長範囲が、好ましくは700~1000nm、より好ましくは800~950nmとなる誘電体多層膜であることが望ましい。
また、第二の誘電体多層膜は、該第二の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が前記範囲となる波長範囲が、好ましくは800~1100nm、より好ましくは800~1000nmとなる誘電体多層膜であることが望ましい。
第一の誘電体多層膜および第二の誘電体多層膜の反射率の平均値が前記範囲となる波長範囲が前記範囲にあると、より幅広い近赤外線領域から赤外線領域の光を遮蔽することのできる光学フィルターを容易に得ることができる。
前記誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した積層体等が挙げられる。
高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常は1.7~2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、チタニア、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、または、酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウムなどを少量(例えば、主成分に対し0~10質量%)含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常は1.2~1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これら材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、前記基材上に、直接、CVD法、真空蒸着法、スパッタ法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、ラジカルアシストスパッタ法、などにより、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、ラジカルアシストスパッタ法は、得られる多層膜の光学膜厚が環境に応じて変化しにくい良質な膜が得られる等の点から好ましい。イオンアシスト蒸着法は得られる光学フィルターの反りを少なくできるためさらに好ましい。
さらに、誘電体多層膜を形成した際に基材にソリが生じてしまう場合には、これを解消するために、基材の誘電体多層膜を形成した面に紫外線等の電磁波を照射してもよい。なお、電磁波を照射する場合、誘電体多層膜の形成中に照射してもよいし、誘電体多層膜を形成後別途照射してもよい。
前記第一および第二の誘電体多層膜はそれぞれ、例えば、下記表2に記載の設計1および設計2のように設計することで形成することができる。
この場合、各層の厚さと層数については、例えば、可視域の反射防止効果と近赤外域の選択的な透過・反射性能を達成できるよう基材の屈折率の波長依存特性や、用いた光吸収剤の光吸収特性に合わせて、光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行うことができる。最適化を行う際のソフトへの入力パラメーター(Target値)の例としては、下記表2の入力パラメーターが挙げられる。
Figure 2022103108000014
≪固体撮像装置≫
本発明に係る固体撮像装置は、本フィルターを具備する。ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSイメージセンサー等の固体撮像素子を備えた装置である。固体撮像素子を構成する部材としては、シリコンフォトダイオードや有機半導体などの特定の波長の光を電荷に変換する光電変換素子が使用される。
≪カメラモジュール≫
本発明に係るカメラモジュールは、本フィルターを具備する。ここで、カメラモジュールとしては、イメージセンサーや焦点調整機構、位相検出機構、距離測定機構等を備え、画像や距離情報を電気信号として出力する装置等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例における各種物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
<ガラス転移温度>
以下で用いた樹脂のガラス転移温度は、(株)日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量計「DSC6200」を用いて、昇温速度:20℃/分の条件下、窒素気流下で測定した。
<透過率>
透過率は、(株)日立ハイテク製の分光光度計「U-4100」を用いて測定した。基材や光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率は、基材や光学フィルターに対し垂直に透過した無偏光光線を測定した。
<反射率>
分光反射率は、(株)日立ハイテク製の分光光度計「U-4100」を用いて、5°入射における無偏光光線の、第一の誘電体多層膜または第二の誘電体多層膜で反射される光の強度を絶対反射率測定法より測定した。
<コントラスト評価>
光学フィルターにおいて、波長465~680nmの領域における透過率の平均値をTra.Visとし、波長880~1010nmの領域における透過率の平均値をTra.IRとし、Tra.Vis/Tra.IRの値を求めた。この値が大きいほど可視光線領域と、可視光線領域とは異なる特定波長領域(近赤外領域)とのコントラストが高く、暗所でも画質が良好となる。
<ゴースト評価>
シリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いた撮像装置((株)シキノハイテック製「KBCR-M04VG」)に用いられているレンズとセンサーとの間に、得られた光学フィルターを配置した。外光の影響のない暗室にて、周囲の迷光を遮断し、波長850nmから970nmの間に最大強度を持つLEDライトを光源として撮像した。撮像の結果、撮像に用いた光源とは異なる場所に現れる像をゴーストとし、ゴーストが観察された場合をゴースト性能が不良とし、ゴーストが観察されない場合をゴースト性能が良好とした。
[実施例1]
JSR(株)製のノルボルネン系樹脂「ARTON」(波長550nmの光の屈折率:1.52、ガラス転移温度:160℃)100質量部、赤外線吸収剤Aとして日本カーリット(株)製CIR-RL 0.1質量部、および、フェノール系酸化防止剤((株)ADEKA製、「アデカスタブAO-20」)0.05質量部に、塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が30質量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で8時間乾燥し、さらに減圧下100℃で1時間乾燥し、その後、ガラス板から剥離することで、厚さ0.1mmの基材を得た。
得られた基材の光学特性(透過率)を図3に示し、評価結果を表7に示す。
得られた基材の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、誘電体多層膜(近赤外線反射膜)[シリカ(SiO2:波長550nmの光の屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:波長550nmの光の屈折率2.48)層とが交互に積層された積層体]を、下記表3に記載の設計(1)および設計(2)の通り形成することで、厚さ0.106mmの光学フィルターを作製した。なお、表3中の厚さは、物理膜厚を示す。
Figure 2022103108000015
設計(1)で得られた誘電体多層膜(第一の誘電体多層膜)の反射率を測定した。その光学特性を図4に示す。
設計(2)で得られた誘電体多層膜(第二の誘電体多層膜)の反射率を測定した。その光学特性を図5に示す。
作製した光学フィルターの光学特性を図6に示す。また、図7および8に、図6の波長700~1200nmの領域を拡大した図を示す。
実施例1で得られた光学フィルターの評価結果を表7に示す。
表7の結果より、実施例1で得られた光学フィルターは固体撮像装置やカメラモジュールに好適であった。
[実施例2]
実施例1において、赤外線吸収剤Aの含有量を0.01質量部とした以外は実施例1と同様にして、厚さ0.1mmの基材を得た。
得られた基材の光学特性(透過率)を図9に示し、評価結果を表7に示す。
得られた基材の両面に、実施例1と同様にして、第一および第二の誘電体多層膜を形成することで、厚さ0.106mmの光学フィルターを作製した。
作製した光学フィルターの光学特性を図10に示す。また、図11および12に、図10の波長700~1200nmの領域を拡大した図を示す。
実施例2で得られた光学フィルターの評価結果を表7に示す。
表7の結果より、実施例2で得られた光学フィルターは固体撮像装置やカメラモジュールに好適であった。
[実施例3]
実施例1において、赤外線吸収剤A 0.1質量部の代わりに、赤外線吸収剤Bとして下記式(12)で表される化合物0.06質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ0.1mmの基材を得た。
得られた基材の評価結果を表7に示す。
Figure 2022103108000016
[Ph:フェニル基]
得られた基材の両面に、下記表4に記載の設計(3)および設計(4)の誘電体多層膜(それぞれ、第一および第二の誘電体多層膜)を形成することで、厚さ0.105mmの光学フィルターを作製した。
Figure 2022103108000017
作製した光学フィルターの光学特性を図13に示す。
実施例3で得られた光学フィルターの評価結果を表7に示す。
表7の結果より、実施例3で得られた光学フィルターは固体撮像装置やカメラモジュールに好適であった。
[実施例4]
実施例1において、赤外線吸収剤A 0.1質量部の代わりに、赤外線吸収剤Cとして下記式(13)で表される化合物0.04質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ0.1mmの基材を得た。
得られた基材の評価結果を表7に示す。
Figure 2022103108000018
得られた基材の両面に、下記表5に記載の設計(5)および設計(6)の誘電体多層膜(それぞれ、第一および第二の誘電体多層膜)を形成することで、厚さ0.105mmの光学フィルターを作製した。
Figure 2022103108000019
作製した光学フィルターの光学特性を図14に示す。
実施例3で得られた光学フィルターの評価結果を表7に示す。
表7の結果より、実施例4で得られた光学フィルターは固体撮像装置やカメラモジュールに好適であった。
[実施例5]
JSR(株)製のノルボルネン系樹脂「ARTON」100質量部、前記赤外線吸収剤B 0.3質量部、および、フェノール系酸化防止剤((株)ADEKA製、「アデカスタブAO-20」)0.05質量部に、塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が30質量%の溶液(A)を得た。
同様に、JSR(株)製のノルボルネン系樹脂「ARTON」100質量部、前記赤外線吸収剤C 0.2質量部、および、フェノール系酸化防止剤((株)ADEKA製、「アデカスタブAO-20」)0.05質量部に、塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が30質量%の溶液(B)を得た。
次いで、得られた溶液(A)を平滑なガラス板上に、得られる膜の厚みが0.05mmとなるようにキャスト成形し、50℃で8時間乾燥し、さらに減圧下100℃で1時間乾燥した。得られた膜の上に、さらに、溶液(B)を、得られる膜の厚みが0.05mmとなるようにキャスト成形し、50℃で8時間乾燥し、さらに減圧下100℃で1時間乾燥した。その後、ガラス板から剥離することで、合計厚さ0.1mmの基材を得た。
得られた基材の評価結果を表7に示す。
得られた基材の両面に、実施例4と同様にして、第一および第二の誘電体多層膜を形成することで、厚さ0.105mmの光学フィルターを作製した。
作製した光学フィルターの光学特性を図15に示す。
実施例5で得られた光学フィルターの評価結果を表7に示す。
表7の結果より、実施例5で得られた光学フィルターは固体撮像装置やカメラモジュールに好適であった。
[比較例1]
基材として、厚さ0.1mmの透明ガラスD263(SCHOTT社製)を用い、該基材の両面に、実施例1と同様にして、第一および第二の誘電体多層膜を形成することで、厚さ0.106mmの光学フィルターを作製した。
用いた基材の評価結果を表7に示し、作製した光学フィルターの光学特性を図16に示す。また、図17に、図16の波長700~1200nmの領域を拡大した図を示す。
比較例1で得られた光学フィルターの評価結果を表7に示す。
比較例1で得られた光学フィルターは固体撮像装置やカメラモジュールに不適であった。
[比較例2]
実施例1において、赤外線吸収剤A 0.1質量部の代わりに、赤外線吸収剤Dとして下記式(14)で表される化合物0.06質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ0.1mmの基材を得た。
得られた基材の評価結果を表7に示す。
Figure 2022103108000020
[Me:メチル基、i-Pr:イソプロピル基]
得られた基材の両面に、実施例4と同様にして、第一および第二の誘電体多層膜を形成することで、厚さ0.105mmの光学フィルターを作製した。
作製した光学フィルターの光学特性を図18に示す。
比較例2で得られた光学フィルターの評価結果を表7に示す。
表7の結果より、比較例2で得られた光学フィルターは固体撮像装置やカメラモジュールに不適であった。
[比較例3]
実施例1において、赤外線吸収剤A 0.1質量部の代わりに、赤外線吸収剤B 0.06質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ0.1mmの基材を得た。
得られた基材の評価結果を表7に示す。
得られた基材の両面に、下記表6に記載の設計(7)および設計(8)の誘電体多層膜(それぞれ、第一および第二の誘電体多層膜)を形成することで、厚さ0.107mmの光学フィルターを作製した。
Figure 2022103108000021
作製した光学フィルターの光学特性を図19に示す。
比較例3で得られた光学フィルターの評価結果を表7に示す。
比較例3で得られた光学フィルターは誘電体多層膜の内部応力により変形してしまい、固体撮像装置やカメラモジュールに組付けができず、不適であった。
Figure 2022103108000022
本フィルターは、カメラモジュールのCCDやCMOSなどの固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、スマートフォン用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、携帯ゲーム機、指紋認証システム、虹彩認証システム、顔認証システム、距離測定センサー、距離測定カメラ、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。
加えて、本フィルターは、視感度補正用とは異なるセンシング用とのシグナル・ノイズのコントラストを向上させる用途としても有用である。例えば、植生センシングにおいては、可視光に限らず特定の波長領域のシグナル・ノイズのコントラストが必要であり、赤血球の濃度をモニタリングするような生体モニタリングにおいては、赤色の波長領域のシグナルのシグナル・ノイズのコントラストが必要である。
1:本フィルター
10:基材
11:吸収層1
12、13:他の層2
21:第一の誘電体多層膜
22:第二の誘電体多層膜

Claims (11)

  1. 特定波長領域に吸収を有する基材を含む光学フィルターであって、
    前記光学フィルターは、前記基材の一方の面に第一の誘電体多層膜を有し、他方の面に第二の誘電体多層膜を有し、該第一の誘電体多層膜と第二の誘電体多層膜との合計層数が60層以下であり、
    前記特定波長領域において下記要件(A)~(C)を満たす、
    光学フィルター。
    (A)前記基材の透過率の平均値が90%未満である
    (B)前記第一の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上である
    (C)前記第二の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上である
  2. 前記基材が、
    前記特定波長領域に吸収を有する吸収層1のみからなる、または、
    前記特定波長領域に吸収を有する吸収層1と他の層2とを含む、
    請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 前記特定波長領域の基材の透過率の平均値が20%以上90%未満である、請求項1または2に記載の光学フィルター。
  4. 前記特定波長領域の幅が5~300nmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  5. 前記特定波長領域が波長700~1200nmの範囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  6. 前記第一の誘電体多層膜は、該第一の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上となる領域を、波長700~1000nmの範囲に有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  7. 前記第二の誘電体多層膜は、該第二の誘電体多層膜の面に対し、垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率の平均値が80%以上となる領域を、波長800~1100nmの範囲に有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  8. 前記特定波長領域において、透過率の平均値が0.01%以下である領域Aを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  9. 波長400~630nmの範囲において、透過率の平均値が85%以上である領域Bを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備する固体撮像装置。
  11. 請求項1~9のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備するカメラモジュール。
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