JP2022102349A - 繊維強化複合材料用樹脂組成物及びそれを用いた繊維強化複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】低粘度性と耐熱性を損なうことなく破壊靭性に優れた繊維強化複合材料用の樹脂組成物、およびその製造方法を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂の主剤と、硬化剤とからなる2液型の樹脂組成物であって、主剤がビスフェノールF型やフェノールノボラック型等のエポキシ樹脂(A)を30重量%以上含み、硬化剤が下記式(2)で表される脂環ジアミン化合物(B)を70重量%以上含み、主剤と硬化剤との配合比(硬化剤の重量/硬化剤の活性水素当量)/(主剤の重量/主剤のエポキシ当量)が0.90~1.30の範囲であり、150℃、2時間で硬化させたときの硬化物の破壊靭性(K1c)が1.5MPa/√m以上であることを特徴とする繊維強化複合材用樹脂組成物。TIFF2022102349000007.tif32164(式中、R1、R2は独立にH、CH3を表す)【選択図】なし
Description
本発明は、低粘度かつ破壊靭性に優れた繊維強化複合材料用の樹脂組成物と、それを用いた繊維強化複合材料及びこれを用いた繊維強化成形体の製造方法に関する。
繊維強化複合材料は、一般に、ガラス繊維、アラミド繊維や炭素繊維等の強化繊維と、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性マトリクス樹脂から構成され、軽量かつ、強度、耐食性や耐疲労性等の機械物性に優れることから、航空機、自動車、土木建築およびスポーツ用品等の構造材料として幅広く適応されている。
近年、環境問題の高まりから自動車等において従来のガソリンを用いる内燃機関からより環境負荷の低い天然ガスを使用した内燃機関、さらには二酸化炭素を排出しない水素ガスを用いた燃料電池自動車が実用化されている。これら自動車等の移動体に搭載する天然ガスや水素ガスの貯蔵タンクにはその軽量性からタンクライナーを繊維強化複合材料で補強した圧力容器が利用されている。ここで使用される強化繊維としてはガラス繊維、炭素繊維等が使用できるが、中でも炭素繊維は比強度が高く圧力容器軽量化のメリットが大きく、天然ガスの貯蔵タンクよりも高い耐圧性能が要求される水素ガスの貯蔵タンクに好適に使用されている。この貯蔵タンクに用いられる繊維強化複合材料には繊維の強度が必要なことはもちろんのこと、マトリックス樹脂についても高い破壊靭性と耐熱性が要求される。
これら繊維強化複合材料の製造方法は、熱硬化性のマトリクス樹脂が予め強化繊維へ含浸されたプリプレグを用いたオートクレーブ成形法またはプレス成形法、マトリックス樹脂を含侵したトウプリプレグをライナーに巻き付けたのちに硬化させるフィラメントワインディング成形法、強化繊維へ液状のマトリクス樹脂を含浸させる工程と熱硬化による成形工程を含むレジントランスファー成形法等の手法によって実施される。このうちプリプレグを用いずに含浸と成形を行うレジントランスファー成形法は、成型速度を早くすることが可能なことから生産性を向上させる成形法として検討が進められている。
このレジントランスファー成形法においては高い生産性を確保する目的から、速やかに強化繊維に含浸させるためにマトリックス樹脂の粘度は充填温度では十分に低いことが求められている。また、マトリックス樹脂を強化繊維に含浸させた後、生産性を高めるために速やかに硬化することが求められることから、硬化速度の速いマトリクス樹脂が求められている。さらに、これらの成形法では、硬化後において成形物を金型から脱型する工程が含まれており、高い生産性を確保するためには硬化速度が速いだけでなく脱型性にも優れるマトリクス樹脂組成物が求められている。
従来、レジントランスファー成形法では、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられてきた。ラジカル重合性を有する不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂は低粘度であり速硬化性に優れるものの、成形時の硬化収縮が大きく、成形物の耐熱性、強度や靱性等の機械物性が相対的に低いという課題がある。ウレタン樹脂は速硬化性に優れ、強度や靱性の高い成形物が得られるものの、成形物の耐熱性が低い、吸水率が高いという課題がある。エポキシ樹脂は硬化性が遅く、破壊靭性が十分でないという課題がある。
特許文献1、2には、エポキシ樹脂と特定のフェノール化合物の組み合わせにより樹脂組成物の速硬化性を付与させた取り組みがなされているものの、貯蔵タンクに用いられる繊維強化複合材料のマトリックス樹脂としては十分な破壊靭性を有しているかについては記載がない。
特許文献3にはマトリックス樹脂を高破壊靭性化する方法として、マトリックス樹脂に熱可塑性樹脂やゴム粒子などの高靭性高分子化合物を添加する方法が提案されている。しかしながら、高分子化合物を添加すると靭性は高まるものの、マトリックス樹脂組成物の粘度が高くなるため、レジントランスファー成形法、リキッドコンプレッション成形法への適用は困難である。
特許文献4には60℃以下の比較的低温において、粘度上昇が小さいために樹脂含浸性に優れ、しかも1時間以内の短時間で脱型可能な硬化物となるエポキシ樹脂が提案されている。しかしながら、このエポキシ樹脂組成物については意匠性に優れた表面平滑性の高い成形物を得ることが目的であり、貯蔵タンクに用いられる繊維強化複合材料のマトリックス樹脂としては十分な破壊靭性を有しているかについては記載がない。
特許文献5にはエポキシ樹脂と開鎖ポリアミンとメチレンビスシクロヘキシル構造を有するアミン化合物を含有する硬化性組成物について破壊靭性が高くなると記載されている。しかしながら実施例に示されている破壊靭性は1.0MPa/√m程度であることから、貯蔵タンクに用いられる繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として用いるには不十分であり、より破壊靭性の高いマトリックス樹脂が要求されている。
本発明は、低粘度性と耐熱性を損なうことなく、破壊靭性に優れた繊維強化複合材料用の樹脂組成物を提供することを目的とする。更に、繊維強化複合材料及び繊維強化成形体を生産性良く得ることができる樹脂組成物又は製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述の課題を解決するため検討を行った結果、特定の構造を有するエポキシ樹脂を含む主剤と、特定の構造を有するアミン化合物を硬化剤に用いることにより、前記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、 エポキシ樹脂の主剤と、硬化剤とからなる2液型の樹脂組成物であって、主剤が下記式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)を30重量%以上含み、硬化剤が下記式(2)で表される脂環ジアミン化合物(B)を70重量%以上含み、主剤と硬化剤との配合比(硬化剤の重量/硬化剤の活性水素当量)/(主剤の重量/主剤のエポキシ当量)が0.90~1.30の範囲であり、150℃、2時間で硬化させたときの硬化物の破壊靭性(K1c)が1.5MPa/√m以上であることを特徴とする繊維強化複合材用樹脂組成物である。
(式中、nは0以上の整数を表し、0~5である)
(式中、R1、R2は独立にH、CH3を表す)
(式中、nは0以上の整数を表し、0~5である)
(式中、R1、R2は独立にH、CH3を表す)
本発明の繊維強化複合材用樹脂組成物は、150℃、2時間で硬化させたときの硬化物のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする。
本発明の他の形態は、上記繊維強化複合材料用樹脂組成物に、強化繊維を配合してなることを特徴とする繊維強化複合材料である。この場合、強化繊維の体積含有率が45~70%であることが好ましい。
本発明は、上記繊維強化複合材料を、レジントランスファー成形法、またはリキッドコンプレッション成形法で成形することを特徴とする成形体の製造方法である。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、低粘度で良好な強化繊維への含浸性を有し、かつ比較的短時間での硬化性を示す。そのため、繊維強化複合材料をレジントランスファー成形法によって成形体とするために使用される繊維強化複合材料用樹脂組成物として適する。更に、硬化して得られる成形物は破壊靭性が高く、かつガラス転移温度が高いものとなる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、これに強化繊維を配合して繊維強化複合材料となり、この繊維強化複合材料を硬化又は成形することにより硬化物又は成形体となる。以下、繊維強化複合材料用樹脂組成物を樹脂組成物とも言い、繊維強化複合材料を複合材料とも言う。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、これに強化繊維を配合して繊維強化複合材料となり、この繊維強化複合材料を硬化又は成形することにより硬化物又は成形体となる。以下、繊維強化複合材料用樹脂組成物を樹脂組成物とも言い、繊維強化複合材料を複合材料とも言う。
本発明の樹脂組成物は、上記式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)を含む主剤と、上記式(2)で表される脂環ジアミン化合物(B)を含む硬化剤からなる2液硬化型の樹脂組成物である。
主剤成分として使用するエポキシ樹脂は、上記式(1)で表される2官能以上のエポキシ樹脂(A)を必須成分として含む。具体的には、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
主剤には、式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)の他に、必要に応じて、それ以外のエポキシ樹脂を加えることができる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、イソホロンビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂や、これらビスフェノール型エポキシ樹脂のハロゲン、アルキル置換体、水素化物などの他、単量体に限らず複数の繰り返し単位を有する高分子量体、アルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルや、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂や、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレ-ト、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂や、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂や、フタル酸ジグリシジルエステルや、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルや、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルや、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミン等のグリシジルアミン類等が挙げられる。
主剤については、上記式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)が30重量%以上含まれることが必要である。上記式(1)で示されるエポキシ樹脂が30重量%未満では破壊靭性(K1c)が低くなり、繊維強化複合材料としての性能が担保できなくなる。好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。
硬化剤成分としては、上記式(2)で表されるメチレンビスシクロヘキシル構造を有する脂環ジアミン化合物(B)を必須成分として含む。具体的には4、4‘-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)又は4、4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)である。これらジアミン化合物には2,4‘-及び2,2’-の異性体が含まれていてもよい。また、これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環ジアミン化合物(B)を含む硬化剤は、他の脂環構造を有するアミン化合物を含めることができる。具体的には、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンなどがある。
硬化剤は、上記式(2)で表される脂環ジアミン化合物(B)が70重量%以上、好ましくは90重量%以上含まれることが必要である。脂環ジアミン化合物(B)が70重量%未満では破壊靭性(K1c)が低くなり、貯蔵タンク用の繊維強化複合材料としての性能が担保できなくなる。
本発明の樹脂組成物では主剤と硬化剤の2液型となっている。この主剤と硬化剤の配合比率は、主剤中のエポキシ基のモル数と硬化剤中の活性水素のモル数の比率で決まる。この配合比率は(硬化剤の重量/硬化剤の活性水素当量)/(主剤の重量/主剤のエポキシ当量)で計算される値(以下当量比と記載)で示され、この値の範囲が0.90~1.30、好ましくは0.95~1.25、より好ましくは1.00~1.20であることが必要である。この値が0.90未満では樹脂の破壊靭性及びガラス転移温度が低くなる傾向があり、1.30を超えると破壊靭性は高くなるもののガラス転移温度が低くなる傾向にある。
主剤の粘度(25℃)は、好ましくは8500mPa・s以下、より好ましくは6500mPa・s以下、さらに好ましくは3000mPa・s以下である。硬化剤の粘度(25℃)は、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以下、さらに好ましくは150mPa・s以下である。
これは後述するレジントランスファー成形法、リキッドコンプレッション成形法において繊維中に樹脂を充填しやすくするためであり、前述の粘度を超えると主剤、硬化剤を混合した後の粘度も高くなるため、樹脂が繊維内への充填不良、さらには成形金型への充填不良を引き起こすため、好ましくない。
これは後述するレジントランスファー成形法、リキッドコンプレッション成形法において繊維中に樹脂を充填しやすくするためであり、前述の粘度を超えると主剤、硬化剤を混合した後の粘度も高くなるため、樹脂が繊維内への充填不良、さらには成形金型への充填不良を引き起こすため、好ましくない。
本発明の樹脂組成物には、必要により他の硬化剤成分、硬化促進剤、又は硬化触媒を含むことができる。上記他の硬化剤成分又は硬化促進剤、硬化触媒としては、例えば、三級アミン、カルボン酸、スルホン酸、ルイス酸錯体、オニウム塩、アルコール類、フェノール、フェノールノボラック、クレゾール、クレゾールノボラック、アリルフェノール、ニトロフェノール、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、モノ-t-ブチルフェノール、ジ-t-ブチルフェノール等のフェノール性水酸基を一つ有する化合物等が挙げられる。これらについては1種または2種以上を用いてもよい。
主剤および硬化剤には、その他の成分として、可塑剤、染料、有機顔料や無機充填剤、高分子化合物、カップリング剤、界面活性剤および溶剤など適宜配合することもできる。これらを配合する場合は反応性を考慮して主剤または硬化剤のどちらかに配合する。ただし、主剤及び硬化剤の両方に反応性がない場合は主剤、硬化剤のどちらにも配合することができる。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂と異なる硬化性樹脂を配合することもできる。このような硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、硬化性アミノ樹脂、硬化性メラミン樹脂、硬化性ウレア樹脂、硬化性シアネートエステル樹脂、硬化性ウレタン樹脂、硬化性オキセタン樹脂、硬化性エポキシ/オキセタン複合樹脂等が挙げられるがこれらに限定されない。これらは、主剤および硬化剤に含まれる成分との反応性や粘度等を考慮して、いずれかに配合することができる。
本発明の樹脂組成物は、150℃、2時間で硬化させたときのガラス転移温度が120℃以上であるとよい。ガラス転移温度が120℃未満の場合は成形時の金型からの脱型時に変形を起こしやすくなる。
本発明の樹脂組成物は、150℃、2時間で硬化させたときの硬化物の破壊靭性(K1c)が1.5MPa/√m以上である。水素ガス貯蔵タンク等の繊維強化複合材料として使用するマトリックス樹脂として有用である。好ましくは硬化物の破壊靭性(K1c)が1.7MPa/√m以上である。
本発明の繊維強化複合材料に用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等から選ばれるが、強度に優れた繊維強化複合材料を得るためには炭素繊維を使用するのが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料は、上記樹脂組成物と強化繊維を含む。繊維強化複合材料における強化繊維の体積含有率は、好ましくは30~75%、より好ましくは45~75%の範囲である。この範囲にすることにより、空隙が少なく、かつ強化繊維の体積含有率が高い成形体が得られるため、優れた強度の成形材料が得られる。
繊維強化複合材料の硬化は、好ましくは主剤を50~90℃の範囲、硬化剤を20~60℃の範囲の温度で予め繊維を配置した金型等に注入し、90~160℃の温度、好ましくは100~140℃で、5~15分、好ましくは7~10分加熱硬化することで1次硬化を行う。1次硬化終了後、金型から成形体を取り出し、その後、120~160℃、好ましくは140~150℃の温度にて10~120分、好ましくは15~30分にて後硬化をおこなうことで目的とする繊維強化複合材料を得ることができる。この時、主剤と硬化剤は前述の配合比率の範囲で同時に金型へ注入してもよいが、均一性を高めるため、直前に混合してから注入することが望ましい。しかし、混合すること無く金型に注入し、繊維の存在下で混合してもよい。混合方式としては衝突混合、スタティックミキサー方式等特に制限はないが、短時間で均一混合が完了する衝突混合方式が好ましい。
また、金型への樹脂の注入温度は温度が低すぎると流動性が低下し、成形型及び繊維への充填不良が起こり好ましくない。反対に注入温度が高いとバリが発生したり、注入時に樹脂の硬化が始まりタンク内や成形型内での樹脂の硬化が速くなり、樹脂の充填が完了する前に硬化が進行することで充填不良が発生するため好ましくない。また、金型内での1次硬化時間を含む成形時間は短すぎると十分に充填されず、さらには硬化不良により脱型時に成形体が変形する恐れがあり、長すぎると生産性の低下が起こるため好ましくない。後硬化の温度は低すぎると硬化が十分に進行せず、所定の機械物性、ガラス転移温度を発現しない恐れがあり、高すぎると樹脂の酸化劣化、熱劣化を引き起こす恐れがある。
また、金型への樹脂の注入温度は温度が低すぎると流動性が低下し、成形型及び繊維への充填不良が起こり好ましくない。反対に注入温度が高いとバリが発生したり、注入時に樹脂の硬化が始まりタンク内や成形型内での樹脂の硬化が速くなり、樹脂の充填が完了する前に硬化が進行することで充填不良が発生するため好ましくない。また、金型内での1次硬化時間を含む成形時間は短すぎると十分に充填されず、さらには硬化不良により脱型時に成形体が変形する恐れがあり、長すぎると生産性の低下が起こるため好ましくない。後硬化の温度は低すぎると硬化が十分に進行せず、所定の機械物性、ガラス転移温度を発現しない恐れがあり、高すぎると樹脂の酸化劣化、熱劣化を引き起こす恐れがある。
本発明の樹脂組成物から繊維強化複合材料又は成形体を作製する方法は、特に限定されないが、レジントランスファー成形法又はリキッドコンプレッション成形法が好適である。
レジントランスファー法とは、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームを成形型内に設置し、その成形型内に液状の繊維強化複合材料用樹脂組成物を注入して強化繊維に含浸させて、繊維強化複合材料とし、その後に加熱して繊維強化複合材料を硬化させて、成形体を得る方法である。硬化条件は前述の樹脂組成物の硬化で説明した条件が適する。
リキッドコンプレッション成形法とは、あらかじめ樹脂をなじませた強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームを成形型内に成形圧力を解放した状態で設置し、成形型を型締めすることで含浸と成形を同時に行い繊維強化複合材料とした後に金型を加熱して繊維強化複合材料を硬化させて、成形体を得る方法である。リキッドコンプレッション成形法の硬化条件も、前述の樹脂組成物の硬化で説明した条件が適する。
レジントランスファー法とは、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームを成形型内に設置し、その成形型内に液状の繊維強化複合材料用樹脂組成物を注入して強化繊維に含浸させて、繊維強化複合材料とし、その後に加熱して繊維強化複合材料を硬化させて、成形体を得る方法である。硬化条件は前述の樹脂組成物の硬化で説明した条件が適する。
リキッドコンプレッション成形法とは、あらかじめ樹脂をなじませた強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームを成形型内に成形圧力を解放した状態で設置し、成形型を型締めすることで含浸と成形を同時に行い繊維強化複合材料とした後に金型を加熱して繊維強化複合材料を硬化させて、成形体を得る方法である。リキッドコンプレッション成形法の硬化条件も、前述の樹脂組成物の硬化で説明した条件が適する。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。配合量を示す部は、特に断りがない限り質量部である。
実施例及び比較例で使用した各成分の略号は、以下の通りである。
YD-127:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)
YDF-1500:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)
PACM:4、4‘-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)
MACM:4、4‘-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)
NBDA:ビス(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(別名:ノルボルナンジアミン)
YD-127:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)
YDF-1500:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)
PACM:4、4‘-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)
MACM:4、4‘-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)
NBDA:ビス(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(別名:ノルボルナンジアミン)
各物性の測定または試験方法は以下のとおりである。
(エポキシ当量)
JIS K7236に準拠して測定を実施した。
(硬化剤中の活性水素当量)
JIS K7234に準拠した方法によりアミン価を求めたのち、活性水素当量を計算にて求めた。
(粘度)
主剤、硬化剤の粘度についてはE型粘度計コーンプレートタイプ(東機産業製:RE80H)を用いて25℃で測定し、測定開始から60秒経過後の値を、粘度の値とした。
(機械物性)
JIS K7162に準拠して測定を実施した。
(破壊靭性)
ASTM D5045に準拠して測定を実施した。
(ガラス転移温度)
JIS K7121に準拠し、温度範囲20~200℃、昇温速度20℃/minで2回測定をおこない、2回目の測定値をガラス転移温度とした。
(エポキシ当量)
JIS K7236に準拠して測定を実施した。
(硬化剤中の活性水素当量)
JIS K7234に準拠した方法によりアミン価を求めたのち、活性水素当量を計算にて求めた。
(粘度)
主剤、硬化剤の粘度についてはE型粘度計コーンプレートタイプ(東機産業製:RE80H)を用いて25℃で測定し、測定開始から60秒経過後の値を、粘度の値とした。
(機械物性)
JIS K7162に準拠して測定を実施した。
(破壊靭性)
ASTM D5045に準拠して測定を実施した。
(ガラス転移温度)
JIS K7121に準拠し、温度範囲20~200℃、昇温速度20℃/minで2回測定をおこない、2回目の測定値をガラス転移温度とした。
実施例1
主剤としてYDF-1500 100g、硬化剤としてPACM 31.1gをポリ容器に取り、自転・公転真空ミキサーを用いて2000rpmで20秒撹拌を実施した。得られた樹脂組成物を事前にオーブン内にて150℃に余熱した160mm×160mm×2mm厚のスペースを有する金型に流し込み、そのまま150℃で2時間して硬化物を得た。得られた硬化物の板からCNCフライス盤を用いて試験片を切り出し、それぞれの測定を実施した。その結果を表1に示す。
主剤としてYDF-1500 100g、硬化剤としてPACM 31.1gをポリ容器に取り、自転・公転真空ミキサーを用いて2000rpmで20秒撹拌を実施した。得られた樹脂組成物を事前にオーブン内にて150℃に余熱した160mm×160mm×2mm厚のスペースを有する金型に流し込み、そのまま150℃で2時間して硬化物を得た。得られた硬化物の板からCNCフライス盤を用いて試験片を切り出し、それぞれの測定を実施した。その結果を表1に示す。
実施例2~8
樹脂組成物の配合を表1の配合比で行った以外は、実施例1と同様の手順にて硬化物を作成し、測定を実施した。その結果を表1に示す。
樹脂組成物の配合を表1の配合比で行った以外は、実施例1と同様の手順にて硬化物を作成し、測定を実施した。その結果を表1に示す。
実施例9
硬化条件を150℃、20分にした以外は実施例1と同様の手順にて硬化物を作成し、測定を実施した。その結果を表1に示す。
硬化条件を150℃、20分にした以外は実施例1と同様の手順にて硬化物を作成し、測定を実施した。その結果を表1に示す。
比較例1~6
樹脂組成物の配合を表2の配合比で行った以外は、実施例1と同様の手順にて硬化物を作成し、測定を実施した。その結果を表2に示す。
樹脂組成物の配合を表2の配合比で行った以外は、実施例1と同様の手順にて硬化物を作成し、測定を実施した。その結果を表2に示す。
Claims (6)
- 150℃、2時間で硬化させたときの硬化物のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1記載の繊維強化複合材用樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物に、強化繊維を配合してなることを特徴とする繊維強化複合材料。
- 強化繊維の体積含有率が30~75%である請求項3に記載の繊維強化複合材料。
- 請求項3または4に記載の繊維強化複合材料の硬化物。
- 請求項3または4に記載の繊維強化複合材料を、レジントランスファー成形法、またはリキッドコンプレッション成形法で成形することを特徴とする成形体の製造方法。
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2020
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