JP2022086822A - 抵抗変化型記憶装置および抵抗変化型記憶装置の使用方法 - Google Patents

抵抗変化型記憶装置および抵抗変化型記憶装置の使用方法 Download PDF

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章伸 寺本
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Abstract

【課題】カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置において、抵抗変化層が高抵抗状態から低抵抗状態に変化する際に抵抗変化層が破壊されるのを防止できる抵抗変化型記憶装置および抵抗変化型記憶装置の使用方法を提案する。【解決手段】抵抗変化型記憶装置1は、上部電極105と下部電極102との間に第1の極性のパルス電圧を印加すると抵抗変化層104が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化する一方、上部電極105と下部電極102との間に第2の極性のパルス電圧を印加すると高抵抗状態から低抵抗状態へ変化する抵抗変化型記憶装置1において、上部電極105と下部電極102との間に第2の極性のパルス電圧を印加する際に、抵抗変化層104を流れる電流を制限する電流コンプライアンス値を設定する制御回路12を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、抵抗変化型記憶装置および抵抗変化型記憶装置の使用方法に関する。
近年、フラッシュメモリに代わる不揮発性記憶装置として、メモリセルの電気抵抗値を高抵抗状態と低抵抗状態とに変化させてデータを記憶する抵抗変化型記憶装置(ReRAM)が注目されている。抵抗変化型記憶装置は、消費電力が低く、高密度化が可能であり、さらに読み出しが高速である等の利点を有している。
例えば、特許文献1には、抵抗変化層が金属酸化物で構成された抵抗変化型不揮発性記憶装置が記載されている。また、特許文献2には、抵抗変化層がMn、Fe、Ni、Co、Ti、Cu、Vなどの変化金属を含む酸化物または酸窒化物で構成された可変抵抗素子について記載されている。
ところで近年、力学的強度、光学特性、電気特性、熱特性、分子吸着能等の各種特性に優れ、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料等の機能性材料として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」とも称する。)が使用されるようになってきている。そして、特許文献3には、抵抗変化層をカーボンナノチューブで構成することが記載されている。
特許第4705998号明細書 特開2007-188603号公報 特開2012-22742号公報
本発明者らが、特許文献3に記載されたように、カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置を作製して動作させたところ、抵抗変化層が高抵抗状態から低抵抗状態に変化する際に抵抗変化層が破壊され、メモリ機能を失ってしまう場合があることが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置において、抵抗変化層が高抵抗状態から低抵抗状態に変化する際に抵抗変化層が破壊されるのを防止することができる抵抗変化型記憶装置および抵抗変化型記憶装置の使用方法を提案することにある。
上記課題を解決する本発明は、以下の通りである。
[1]カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置であって、前記上部電極と前記下部電極との間に第1の極性のパルス電圧を印加することによって前記抵抗変化層が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化する一方、前記上部電極と前記下部電極との間に前記第1の極性とは逆の第2の極性のパルス電圧を印加することによって前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ変化する抵抗変化型記憶装置において、
前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ変化させる前記第2の極性のパルス電圧を印加する際に、前記抵抗変化層を流れる電流を制限する制御回路を備えることを特徴とする抵抗変化型記憶装置。
[2]前記制御回路は、前記第2の極性のパルス電圧を印加する際に、1.0×1010(A/m)の電流密度を上限とした電流制限をかける、前記[1]に記載の抵抗変化型記憶装置。
[3]前記制御回路は、前記抵抗変化型記憶装置を製造後最初に使用する際に、前記上部電極と前記下部電極との間に、両電極間の抵抗値が4.0×10-10Ω・m以上となるように前記第1の極性のパルス電圧を印加してフォーミング処理を施して、前記抵抗変化層を前記高抵抗状態と前記低抵抗状態とに可逆的に変化することが可能な状態にする、前記[1]または[2]に記載の抵抗変化型記憶装置。
[4]カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置であって、前記上部電極と前記下部電極との間に第1の極性のパルス電圧を印加することによって前記抵抗変化層が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化する一方、前記上部電極と前記下部電極との間に前記第1の極性とは逆の第2の極性のパルス電圧を印加することによって前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ変化する抵抗変化型記憶装置を使用する方法であって、
前記上部電極と前記下部電極との間に、前記抵抗変化層を前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ変化させる前記第2の極性のパルス電圧を印加する際に、前記抵抗変化層を流れる電流を制限する電流コンプライアンス値を設定することを特徴とする抵抗変化型記憶装置の使用方法。
[5]前記第2の極性のパルス電圧を印加する際に、1.0×1010(A/m)の電流密度を上限とした電流制限をかける、前記[4]に記載の抵抗変化型記憶装置の使用方法。
[6]前記抵抗変化型記憶装置を製造後最初に使用する際に、前記上部電極と前記下部電極との間に、両電極間の抵抗値が4.0×10-10Ω・m以上となるように前記第1の極性のパルス電圧を印加してフォーミング処理を施して、前記抵抗変化層を前記高抵抗状態と前記低抵抗状態とに可逆的に変化することが可能な状態にする、前記[4]または[5]に記載の抵抗変化型記憶装置の使用方法。
本発明によれば、カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置において、抵抗変化層が高抵抗状態から低抵抗状態に変化する際に抵抗変化層が破壊されるのを防止することができる。
抵抗変化層がカーボンナノチューブを有する抵抗変化型記憶装置の電流-電圧特性の模式図である。 本発明による抵抗変化型記憶装置の一例を示す模式図であり(a)は全体図、(b)はメモリセルの一例を示す図である。 カーボンナノチューブのt-プロットの一例を示す図である。 実施例1の抵抗変化型記憶装置の電流-電圧特性を示す図である。 実施例2の抵抗変化型記憶装置の電流-電圧特性を示す図である。 実施例3の抵抗変化型記憶装置の電流-電圧特性を示す図である。 比較例1の抵抗変化型記憶装置の電流-電圧特性を示す図である。 比較例2の抵抗変化型記憶装置の電流-電圧特性を示す図である。
(抵抗変化型記憶装置)
以下、図面を参照して本発明による実施形態について説明する。本発明による抵抗変化型記憶装置は、カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置であって、上部電極と下部電極との間に第1の極性のパルス電圧を印加することによって抵抗変化層が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化する一方、上部電極と下部電極との間に第1の極性とは逆の第2の極性のパルス電圧を印加することによって高抵抗状態から低抵抗状態へ変化する抵抗変化型記憶装置である。ここで、高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる第2の極性のパルス電圧を印加する際に、抵抗変化層を流れる電流を制限する制御回路を備えることを特徴とする。
図1は、抵抗変化層がカーボンナノチューブを有する抵抗変化型記憶装置(以下、単に「記憶装置」とも称する。)の電流-電圧特性の模式図を示している。図1に示したような電流-電圧特性を有する記憶装置において、抵抗変化層が低抵抗状態Sにある場合に、抵抗変化層を挟み込む上部電極と下部電極との間に第1の極性(図1においては負の電圧)のパルス電圧を印加すると、電圧VLHにおいて、抵抗変化層は低抵抗状態Sから高抵抗状態Sに変化する。
一方、抵抗変化層が高抵抗状態Sにある場合に、第2の極性(図1においては正の電圧)のパルス電圧を印加すると、電圧VHLにおいて、抵抗変化層は高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する。なお、抵抗変化層がカーボンナノチューブを有する場合、図1に示すように、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する電圧VHLの絶対値は、低抵抗状態Sから高抵抗状態Sに変化する電圧VLHの絶対値よりも小さい。
図1のような電流-電圧特性を示す記憶装置において、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する際に抵抗変化層が破壊される原因を鋭意検討した。その結果、上述のように、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する電圧VHLの絶対値が低抵抗状態Sから高抵抗状態Sに変化する電圧VLHの絶対値よりも小さいため、電圧VHLにて高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化した際に、抵抗変化層に過大な電流が流れたためではないかと考えた。
すなわち、低抵抗状態Sから高抵抗状態Sに変化する場合には、電圧VLH以上になると高抵抗状態Sに変化し、流れる電流は自ずと制限がかかる。一方で、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する場合には、電圧VHL以上となると低抵抗状態Sに変化し、印加電圧の上昇に伴いCNTを有する抵抗変化層を流れる電流も増大する。このため、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する場合には、抵抗変化層に過大な電流が流れうる。
そこで、本発明者らは、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化した際に抵抗変化層が破壊されるのを防止する方途について鋭意検討した。その結果、上部電極と下部電極との間に抵抗変化層が高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化させる第2の極性のパルス電圧を印加する際に、抵抗変化層を流れる電流を制限する、すなわち電流の上限値である電流コンプライアンス値Iを設定する制御回路を設けることが極めて有効であることを見出し、本発明を完成させたのである。
以上の説明から明らかなように、本発明による記憶装置は、カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルと、抵抗変化層が高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する際に第2の極性のパルス電圧を印加する際に、抵抗変化層の破壊を防止するように抵抗変化層を流れる電流を制限する制御回路とを備えることを特徴としており、その他の構成要件は特に限定されない。以下、本発明による記憶装置を具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されない。
図2は、本発明による抵抗変化型記憶装置の模式図を示しており、(a)は全体図、(b)はメモリセルの一例をそれぞれ示している。図2(a)に示した記憶装置1は、複数のメモリセル(図示せず)で構成されたメモリセルアレイ11と、制御回路12とを備える。メモリセルは、カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなる。
制御回路12は、抵抗変化層を高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化させる第2の極性のパルス電圧を印加する際に、抵抗変化層を流れる電流を制限する。これにより、上部電極と下部電極との間に印加される電圧がVHLに到達した際、抵抗変化層は高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化しようとするが、電流値は電流コンプライアンス値Iを超えないため、抵抗変化層に過大な電流が流れるのを防止して抵抗変化層が破壊されるのを防止することができる。制御回路12は、第2の極性のパルス電圧を印加する際に、1.0×1010(A/m)の電流密度を上限とした電流制限をかけることが好ましい。すなわち、制御回路12は、第2の極性のパルス電圧を印加する際に、抵抗変化層を流れる電流の密度が1.0×1010(A/m)以下となるような電流コンプライアンス値Icを設定することが好ましい。
なお、抵抗変化層を流れる電流の密度(A/m)は、上部電極と下部電極との間を流れる電流値を抵抗変化層の面積で割ることによって求めることができる。
一方、抵抗変化層を流れる電流の密度の下限値については、高抵抗状態Sに対する電流-電圧曲線における電圧VHLでの電流値に対応する密度以上であればよく、例えば2.5×10(A/m)である。
抵抗変化層を高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化させる場合に、抵抗変化層を流れる電流を上述のように制限すれば、抵抗変化層を電圧がVHLに到達して高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化し、印加電圧の上昇に伴って電流値が増大した際にも、抵抗変化層を流れる電流値はIに保持される。
一方、抵抗変化層が低抵抗状態Sから高抵抗状態Sに変化する際には、図1に示すように、低抵抗状態Sに対する電流-電圧曲線における電圧VLHでの電流値は、高抵抗状態Sに対する電流-電圧曲線における電流値よりも大きいため、状態の変化により抵抗変化層が破壊されることはない。従って、抵抗変化層を低抵抗状態Sから高抵抗状態Sに変化させる際には、抵抗変化層を流れる電流を制限する、すなわち電流コンプライアンス値Iを必ずしも設定する必要はないが、適切な値に設定しても構わない。
なお、制御回路12は、抵抗変化型記憶装置1を製造後最初に使用する際に、上部電極と下部電極との間に、両電極間の抵抗値が4.0×10-10Ω・m以上となるように第1の極性のパルス電圧を印加してフォーミング処理を施すことが好ましい。これにより、抵抗変化層を高抵抗状態と低抵抗状態とに可逆的に変化させることができる。
図2(b)はメモリセルの一例を示している。図2(b)に示したメモリセル10は、基板としてシリコン基板100を備える。シリコン基板100の直径、面方位、導電型などは、設計に応じて適宜設定することができる。例えば、シリコン基板100の直径は、150mm、200mm、300mm、450mmなどとすることができる。また、シリコン基板100の面方位は、(001)、(110)、(111)などとすることができる。さらに、シリコン基板100の導電型は、適切なドーパントを用いてn型またはp型とすることができ、p型ドーパントとしてはホウ素(B)など、n型ドーパントとしてはリン(P)などを用いることができる。また、シリコン以外の半導体基板を用いても構わない。
シリコン基板100上には、絶縁膜101が形成されている。絶縁膜101は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si)などで構成された絶縁膜101が形成されている。絶縁膜101は、CVD法、スパッタリング法などにより形成することができる。
絶縁膜101上には、下部電極102が形成されている。下部電極102は、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)などで構成することができる。下部電極102は、CVD法、スパッタリング法などにより形成することができる。下部電極102は、電子ビーム(EB)リソグラフィー法、ドライエッチング法などによりピラー状にパターニングされている。
ピラー状にパターニングした下部電極102上には、絶縁膜103が形成されている。絶縁膜103は、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(Si)などで構成することができる。絶縁膜103は、ピラー状の下部電極102の表面が露出するように形成されている。このような絶縁膜103は、CVD法、ALD法、スパッタリング法などにより絶縁膜103を堆積した後、化学機械研磨(CMP)法などを用いて、堆積した絶縁膜103の表面を研磨することにより形成することができる。
ピラー状の下部電極102が露出した表面には、抵抗変化層104が形成されている。本発明においては、抵抗変化層104はカーボンナノチューブ(以下、「CNT」とも言う。)を有するように構成されている。下部電極102と、後述する上部電極105との間に、第1の極性のパルス電圧を印加すると、抵抗変化層104を構成するCNT間の距離が変化し、抵抗変化層104が低抵抗状態Sから高抵抗状態Sに変化する。一方、下部電極102と上部電極105との間に、第1の極性とは逆の第2の極性のパルス電圧を印加すると、抵抗変化層104が高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する。
上記CNTを有する抵抗変化層104は、例えばCNTの分散液(以下、「CNT分散液」とも言う。)をピラー状の下部電極102が露出した表面に塗布することにより形成することができる。CNTの詳細、CNT分散液の調製方法および抵抗変化層104の形成方法については、後に詳述する。
抵抗変化層104の厚みは、特に限定されないが、一層構造の場合には、例えば10nm~30nmとすることができる。抵抗変化層104の厚みを10nm以上とすることにより、抵抗変化層104の膜厚均一性を確保して記憶装置1がショートするのを防止することができる。一方、抵抗変化層104の厚みを30nm以下とすることによってスイッチング電圧VLH、VLHが過大になるのを防止することができる。
抵抗変化層104上には上部電極105が形成されている。この上部電極105は、窒化チタン(TiN)や、タングステン(W)、アルミニウム(Al)などで構成することができ、CVD法やスパッタリング法などにより形成することができる。
上記抵抗変化層104および上部電極105は、フォトリソグラフィー法およびドライエッチング法により連続的にパターニングして、素子分離されている。その際、上部電極105のパターニングを、上部電極105と下部電極102との間に上部電極105のチャージアップによる電位差が生じないエッチング方法により上部電極105をエッチングすることにより行うことが好ましい。これは、例えばマイクロ波励起表面波プラズマエッチング法により行うことができる。これにより、カーボンナノチューブで構成された抵抗変化層104の破壊を抑制して、記憶装置の製造の歩留まりを向上させることができる。
素子分離された抵抗変化層104および上部電極105上には、これらを覆うように、保護膜106が形成されている。保護膜106は、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(Si)などで構成することができ、CVD法やスパッタリング法などにより形成することができる。
そして、保護膜106には、抵抗変化層104および上部電極105の上方にて保護膜106を貫通して上部電極105を露出する貫通孔h1が設けられている、また、抵抗変化層104および上部電極105が存在しない部分において、保護膜106および絶縁膜103を貫通して下部電極102を露出する貫通孔h2が設けられている。
<カーボンナノチューブ>
ここで、抵抗変化層104に含まれるCNTについて説明する。CNTとしては、特に限定されることなく、単層CNTおよび/または多層CNTを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのCNTであることが好ましく、単層CNTであることがより好ましい。単層CNTを使用すれば、多層CNTを使用した場合と比較し、CNTの分散性に優れる分散液を得ることができる。
また、CNTとしては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満のCNTを用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超のCNTを用いることがより好ましく、3σ/Avが0.40超のCNTを用いることがさらに好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満のCNTを使用することにより、CNTの分散性に一層優れる分散液を得ることができる。
なお、「CNTの平均直径(Av)」および「CNTの直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて無作為に選択したCNT100本の直径(外径)を測定して求めることができる。そして、CNTの平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、CNTの製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られたCNTを複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
そして、CNTとしては、前述のようにして測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。
さらに、CNTは、ラマン分光法を用いて評価した際に、RadialBreathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層CNTのみからなるCNTのラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、CNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上20以下であることが好ましい。G/D比が1以上20以下であれば、CNTの分散性に一層優れる分散液を得ることができる。
さらに、CNTの平均直径(Av)は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがさらに好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。CNTの平均直径(Av)が0.5nm以上15nm以下であれば、CNTの分散性に一層優れる分散液を得ることができる。
また、CNTは、合成時におけるCNTの平均長さが100μm以上であることが好ましい。なお、合成時のCNTの長さが長いほど、分散時にCNTに破断や切断等の損傷が発生し易いので、合成時のCNTの平均長さは5000μm以下であることが好ましい。
そして、CNTのアスペクト比(長さ/直径)は、10を超えることが好ましい。なお、CNTのアスペクト比は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて無作為に選択しCNT100本の直径および長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
さらに、CNTのBET比表面積は、400m/g以上であることが好ましく、800m/g以上であることがより好ましく、2500m/g以下であることが好ましく、1200m/g以下であることがより好ましい。CNTのBET比表面積が400m/g以上であれば、得られる分散液を用いて形成した抵抗変化層104の強度および自立性をさらに高めることができる。また、CNTのBET比表面積が2500m/g以下であれば、得られる分散液中のCNTの分散性を一層高めることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
ここで、上述したCNTは、後述のスーパーグロース法によれば、CNT成長用の触媒層を表面に有する基材上に、基材に略垂直な方向に配向した集合体(配向集合体)として得られるが、当該集合体としての、CNTの質量密度は、0.002g/cm以上0.2g/cm以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm以下であれば、液中でのCNT同士の結びつきが弱くなるため、CNT分散液中でCNTを均質に分散させることができる。また、質量密度が0.002g/cm以上であれば、CNTの一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため、取り扱いが容易になる。
さらに、CNTは、複数の微小孔を有することが好ましい。CNTは、中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。CNTが上記のようなマイクロ孔を有することで、液中でのCNTの凝集が抑制され、得られる分散液中のCNTの分散性を一層高めることができる。なお、マイクロ孔容積は、例えば、CNTの調製方法および調製条件を適宜変更することによって調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、CNTの液体窒素温度(77K)での窒素吸脱着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cmである。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を使用して求めることができる。
上記CNTは、例えば、CNT製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることによって、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行うことで、効率的に製造することができる。
なお、CNTは、CNTの開口処理が施されておらず、t-プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。ここで、一般に、吸着とは、ガス分子が気相から固体表面に取り去られる現象であり、その原因から、物理吸着と化学吸着に分類される。そして、t-プロットの取得に用いられる窒素ガス吸着法では、物理吸着を利用する。なお、通常、吸着温度が一定であれば、CNTに吸着する窒素ガス分子の数は、圧力が大きいほど多くなる。また、横軸に相対圧(吸着平衡状態の圧力Pと飽和蒸気圧P0の比)、縦軸に窒素ガス吸着量をプロットしたものを「等温線」といい、圧力を増加させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「吸着等温線」、圧力を減少させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「脱着等温線」という。
そして、t-プロットは、窒素ガス吸着法により測定された吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得られる。すなわち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、CNTのt-プロットが得られる(de Boerらによるt-プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する試料の典型的なt-プロットを図3に示す。表面に細孔を有する試料では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)~(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)~(3)の過程によって、図3に示すようにt-プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、本発明で用いるCNTのt-プロットは、図3に示すように、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となり、上に凸な形状を示す。このようなt-プロットの形状は、CNTの全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、CNTに多数の開口が形成されていることを示しており、その結果として、CNTは、凝集しにくくなる。
なお、CNTのt-プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0を満たす範囲にあることがさらに好ましい。t-プロットの屈曲点の位置が上記範囲であるとCNTがさらに凝集しにくくなり、CNTの分散性に一層優れる分散液が得られる。ここで、「屈曲点の位置」とは、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
さらに、CNTは、t-プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。S2/S1が0.05以上0.30以下であれば、CNTがさらに凝集しにくくなり、CNTの分散性に一層優れる分散液が得ることができる。
また、CNTの全比表面積S1および内部比表面積S2は、特に限定されないが、個別には、S1は、600m/g以上1400m/g以下であることが好ましく、800m/g以上1200m/g以下であることが更に好ましい。一方、S2は、30m/g以上540m/g以下であることが好ましい。
ここで、CNTの全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt-プロットから求めることができる。具体的には、図3に示すt-プロットにより説明すると、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、CNTの吸着等温線の測定、t-プロットの作成、および、t-プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
((CNT分散液の調製方法))
次に、抵抗変化層104の形成に用いるCNT分散液の調製方法について説明する。抵抗変化層104の形成に用いるCNT分散液は、上述したCNTと、溶媒とを含み、任意に、分散剤などの添加剤をさらに含むことができる。
<溶媒>
上記溶媒としては、例えば、非ハロゲン系溶媒、非水溶媒等が挙げられる。具体的には、上記溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコール、メトキシプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、α-ヒドロキシカルボン酸のエステル、ベンジルベンゾエート(安息香酸ベンジル)等のエステル類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノメチルエーテル等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系極性有機溶媒;トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、等の芳香族炭化水素類;サリチルアルデヒド、ジメチルスルホキシド、4-メチル-2-ペンタノン、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。中でも、分散性に特に優れる観点から、水、乳酸エチル、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンが好ましい。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のCNT分散液中のCNTの濃度は、上記溶媒1Lに対して、上記CNTが1mg以上含まれることが好ましく、100mg以上含まれることがより好ましい。また、10,000mg以下であることが好ましい。溶媒1Lに対してCNTが1mg以上含まれれば、導電性や強度に優れる抵抗変化層104を形成することができる。また、溶媒1Lに対して含まれるCNTが10,000mg以下であれば、CNTの凝集を抑制して、CNTの分散性に一層優れる分散液を得ることができる。
CNT分散液中のCNTの濃度は、0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。CNTの濃度が0.005質量%以上であれば、導電性や強度に優れる抵抗変化層104を形成することができる。また、CNTの濃度が5質量%以下であれば、CNTの凝集を抑制して、CNTの分散性に一層優れる分散液を得ることができる。
CNT分散液は、分散剤を実質的に含まないことが好ましい。本明細書において、「実質的に含まない」とは、不可避的に混入する場合を除いて能動的に配合はしないことをいい、具体的には、CNT分散液中の含有量が、0.05質量%未満であることが好ましく、0.01質量%未満であることがより好ましく、0.001質量%未満であることがさらに好ましい。
なお、上記分散剤としては、界面活性剤、合成高分子、天然高分子等が挙げられる。
また、界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、合成高分子としては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセタール基変性ポリビニルアルコール、ブチラール基変性ポリビニルアルコール、シラノール基変性ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合樹脂、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、変性フェノキシ系樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
また、天然高分子としては、例えば、多糖類であるデンプン、プルラン、デキストラン、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、カードラン、キチン、キトサン、セルロース、並びに、その塩または誘導体等が挙げられる。
CNT分散液は、CNTの分散性が一層向上し、これにより均一な抵抗変化層を形成できて、特性の安定した電子部品を作成できる観点から、個数基準のモード径が500nmより大きい粒子が実質的に含まれないことが好ましい。特に、個数基準モード径が300nmより大きい粒子が実質的に含まれないことが好ましい。
本明細書において、個数基準モード径とは、以下の方法で求めることができる。
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、型式「LA-960」等)を用いて、CNT分散液中に含まれるCNTの粒子径を測定する。そして、横軸を粒子径、縦軸をCNTの個数とした粒子径分布曲線を得て、その極大値における粒子径を、CNTの個数基準のモード径として求める。
なお、CNT分散液中に含有されているCNTのモード径は、CNTやCNT分散液の製造条件を調節することによって、任意に変更することができる。
CNT分散液は、CNT分散液中の不純物が少なくなり、また、特性の安定した長寿命の電子部品を作製できる観点から、CNT分散液中の金属不純物の濃度が、1×1018原子/cm未満であることが好ましく、15×1010原子/cm未満であることがより好ましい。
CNT分散液は、CNT分散液中の不純物が少なくなり、また、特性の安定した長寿命の電子部品を作製できる観点から、CNT分散液中の重金属不純物の濃度が、1×1018原子/cm未満であることが好ましく、1×1011原子/cm未満であることがより好ましい。本明細書において、重金属とは、比重5g/mL以上の金属をいう。
CNT分散液は、CNT分散液中の不純物が少なくなり、また、特性の安定した長寿命の電子部品を作製できる観点から、CNT分散液中の第1属元素および第2族元素の不純物の濃度が、1×1018原子/cm未満であることが好ましく、1×1011原子/cm未満であることがより好ましい。
CNT分散液は、CNT分散液中の不純物が少なくなり、また、特性の安定した長寿命の電子部品を作製できる観点から、CNT分散液中の変化金属元素の不純物の濃度が、1×1018原子/cm未満であることが好ましく、1×1011原子/cm未満であることがより好ましい。
CNT分散液は、CNTの分散性が一層向上する観点から、CNTの沈殿物および凝集物が実質的に含まれないことが好ましい。なお、本明細書において、沈殿物、凝集物とは、10,000Gで20分間遠心して沈殿するCNTをいう。
CNT分散液は、CNTの分散性が一層向上し、また、均一な抵抗変化層104を形成し特性の安定した電子部品を作製できる観点から、粒径が300nm超の粒子状不純物が実質的に含まれないことが好ましく、粒径が100nm超の粒子状不純物が実質的に含まれないことがより好ましく、粒径が45nm超の粒子状不純物が実質的に含まれないことがさらに好ましい。
なお、本明細書において、粒子状不純物の粒径および濃度は、基板上にCNT分散液を塗布し、表面を、パターンなしウェーハ表面検査装置(例えば、商品名「surfscan」KLATencor Corporation製)等を用いて測定することができる。
<物性>
CNT分散液の粘度は、0.5mPa・s以上であることが好ましく、1mPa・s以上であることがより好ましく、1000mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以下であることがより好ましい。CNT分散液の粘度が0.5mPa・s以上1000mPa・s以下であれば、CNTの分散性に優れる。なお、本発明において、「CNT分散液の粘度」は、JISZ8803に準拠して、温度25℃で測定することができる。
CNT分散液の、分光光度計を用いて測定した吸光度は、分散性の観点から、光路長:1mm、波長:1000nmにおいて、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、5.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。CNT分散液の吸光度が0.1以上であれば、CNT分散液中のCNTの量を十分に確保することができる。また、CNT分散液の吸光度が5.0以下であれば、CNT分散液中に含まれている分散性の高いCNTの割合を高め、また、導電性および強度に優れる抵抗変化層104を形成することができる。
CNT分散液の吸光度比は、凝集物が少なく高純度となり、また、CNTの分散性に優れる観点から、0.5以上であることが好ましく、0.7~1.0であることがより好ましい。
なお、本発明において「吸光度比」は、以下の方法によって求めることができる。まず、後述する精製処理を施す前と施した後のCNTそれぞれを、乳酸エチルに添加して分散液を調製する。次いで、各分散液について、分光光度計(日本分光社製、商品名「V670」)等を用いて、光路長10mm、波長550nmでの吸光度を測定する。精製処理を施す前と施した後のサンプルの吸光度を、それぞれ「未精製分散液の吸光度」および「精製後分散液の吸光度」としたとき、吸光度比は、(精製後分散液の吸光度)/(未精製分散液の吸光度)として求められる。
抵抗変化層104を形成するためのCNT分散液の調製方法としては、複数本のCNTと、溶媒とを含む分散液を遠心分離し、複数本のCNTの一部を沈殿させる工程(遠心分離工程)と、遠心分離工程で遠心分離した分散液から上澄み液を分取する工程(分取工程)とを含む方法などが挙げられる。
CNT分散液の調製方法としては、例えば、多量のCNTを溶媒中に添加して粗分散液を形成し、粗分散液を超音波等により撹拌して分散させて分散液を得てもよい。また、超音波処理した撹拌後の分散液を遠心分離して、CNTを含む上澄み液を回収してもよい。また、遠心分離後の沈殿物に、再度溶媒を添加して混合し、超音波処理で分散させた後に、遠心分離をして、CNTを含む上澄み液を回収してもよい。また、遠心分離後の沈殿物に溶媒を添加して混合し、超音波処理で分散させた後に、遠心分離をして上澄み液を回収する処理を、複数回繰り返してもよい。
上記調製方法において、遠心分離工程前の分散液や粗分散液には、任意により分散剤を添加することができる。しかし、安定した特性を有する抵抗変化層104を製造する観点から、分散剤を添加しないことが好ましい。
上記CNT分散液の製造方法によれば、凝集したCNTや不純物が少ない、CNTの分散性に優れるCNT分散液が得られる。
<分散液調製工程>
上記分散液調製工程では、溶媒中に複数本のCNTを添加してなる粗分散液を分散処理に供して、複数本のCNTと溶媒とを含む分散液を得ることができる。なお、上記分散液は、分散液調製工程を実施することなく、複数本のCNTを溶媒に分散させてなる市販のCNTの分散液を用いて後述する遠心分離工程を実施してもよいが、所望の分散性を有するCNT分散液を容易に得る観点からは、分散液調製工程を実施して調製した分散液を用いることが好ましい。
溶媒に添加するCNTは、添加する前に、金属や非晶性炭素等の粒子状不純物を分離し、アルカリ金属イオン、ハロゲンイオン、オリゴマー、ポリマーを減らすために、前処理を行ってもよい。
金属を分離する精製処理としては、例えば、硝酸、塩酸等の酸溶液中にCNTを分散させて金属不純物を溶解させる精製処理、磁力精製処理等が挙げられる。中でも、酸溶液中にCNTを分散させて金属不純物を溶解させる精製処理が好ましい。
また、粒子状不純物を分離する前処理としては、例えば、超高速遠心機等を用いた高速遠心処理;重力ろ過、クロスフローろ過、真空ろ過等を用いたフィルターろ過処理;非フラーレン炭素材料の選択的酸化;これらの組み合わせ;などの精製処理が挙げられる。
[粗分散液]
上記粗分散液は、特に限定されることなく、上述したCNTと、上述した溶媒とを既知の方法で混合することにより得ることができる。
また、粗分散液には、上述した成分以外に、CNT分散液の製造に一般に用いられる添加剤を更に添加してもよい。なお、分散液には、界面活性剤や樹脂などの高分子(イオン粒子に属するイオン性ポリマーを除く)を添加しないことが好ましい。
[分散処理]
上記粗分散液を分散処理に供して分散液を調製する際の分散処理方法としては、特に限定されることなく、CNTを含む液の分散に使用されている既知の分散処理方法を用いることができる。中でも、粗分散液に施す分散処理としては、キャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理が好ましい。キャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理を使用すれば、CNTを良好に分散させることができるため、得られるCNT分散液の分散性をさらに高めることができる。
[[キャビテーション効果が得られる分散処理]]
ここで、キャビテーション効果が得られる分散処理は、液体に高エネルギーを付与した際、水に生じた真空の気泡が破裂することにより生じる衝撃波を利用した分散方法である。この分散方法を用いることにより、CNTを良好に分散させることができる。
そして、キャビテーション効果が得られる分散処理の具体例としては、超音波による分散処理、ジェットミルによる分散処理および高剪断撹拌による分散処理等が挙げられる。これらの分散処理は一つのみを行なってもよく、複数の分散処理を組み合わせて行なってもよい。より具体的には、例えば、超音波ホモジナイザー、ジェットミルおよび高剪断撹拌装置が好適に用いられる。これらの装置は従来公知のものを使用すればよい。
CNTの分散に超音波ホモジナイザーを用いる場合には、粗分散液に対し、超音波ホモジナイザーにより超音波を照射すればよい。照射する時間は、CNTの量等により適宜設定すればよく、例えば、3分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、また、5時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましい。また、例えば、出力は20W以上500W以下が好ましく、100W以上500W以下がより好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
また、ジェットミルを用いる場合、処理回数は、CNTの量などにより適宜設定すればよく、例えば、2回以上が好ましく、100回以下が好ましく、50回以下がより好ましい。また、例えば、圧力は20MPa以上250MPa以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
さらに、高剪断撹拌装置を用いる場合には、粗分散液に対し、高剪断撹拌装置により撹拌および剪断を加えればよい。旋回速度は速ければ速いほどよい。例えば、運転時間(機械が回転動作をしている時間)は3分以上4時間以下が好ましく、周速は5m/秒以上50m/秒以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
なお、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理は、50℃以下の温度で行なうことがより好ましい。溶媒の揮発による濃度変化が抑制されるからである。
[[解砕効果が得られる分散処理]]
また、解砕効果が得られる分散処理は、CNTを溶媒中に均一に分散できることは勿論、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理に比べ、気泡が消滅する際の衝撃波によるCNTの損傷を抑制することができる点で有利である。
この解砕効果が得られる分散処理では、粗分散液にせん断力を与えてCNTの凝集体を解砕・分散させ、さらに粗分散液に背圧を負荷し、また必要に応じ、粗分散液を冷却することで、気泡の発生を抑制しつつ、CNTを溶媒中に均一に分散させることができる。
なお、粗分散液に背圧を負荷する場合、粗分散液に負荷した背圧は、大気圧まで一気に降圧させてもよいが、多段階で降圧することが好ましい。
ここに、粗分散液にせん断力を与えてCNTをさらに分散させるには、例えば、以下のような構造の分散器を有する分散システムを用いればよい。すなわち、分散器は、粗分散液の流入側から流出側に向かって、内径がd1の分散器オリフィスと、内径がd2の分散空間と、内径がd3の終端部と(但し、d2>d3>d1である。)、を順次備える。
そして、この分散器では、流入する高圧(例えば10~400MPa、好ましくは50~250MPa)の粗分散液が、分散器オリフィスを通過することで、圧力の低下を伴いつつ、高流速の流体となって分散空間に流入する。その後、分散空間に流入した高流速の粗分散液は、分散空間内を高速で流動し、その際にせん断力を受ける。その結果、粗分散液の流速が低下すると共に、CNTが良好に分散する。そして、終端部から、流入した粗分散液の圧力よりも低い圧力(背圧)の流体が、CNTが分散した液として流出することになる。
なお、粗分散液の背圧は、粗分散液の流れに負荷をかけることで粗分散液に負荷することができ、例えば、多段降圧器を分散器の下流側に配設することにより、粗分散液に所望の背圧を負荷することができる。そして、粗分散液の背圧を多段降圧器により多段階で降圧することで、最終的に分散液を大気圧に開放した際に、分散液中に気泡が発生するのを抑制できる。
また、この分散器は、粗分散液を冷却するための熱交換器や冷却液供給機構を備えていてもよい。というのは、分散器でせん断力を与えられて高温になった粗分散液を冷却することにより、粗分散液中で気泡が発生するのをさらに抑制できるからである。なお、熱交換器等の配設に替えて、粗分散液を予め冷却しておくことでも、CNTを含む液中で気泡が発生することを抑制できる。
上記したように、この解砕効果が得られる分散処理では、キャビテーションの発生を抑制できるので、時として懸念されるキャビテーションに起因したCNTの損傷、特に、気泡が消滅する際の衝撃波に起因したCNTの損傷を抑制することができる。加えて、CNTへの気泡の付着や、気泡の発生によるエネルギーロスを抑制して、CNTを均一かつ効率的に分散させることができる。
以上のような構成を有する分散システムとしては、特に限定されないが、例えば、製品名「BERYU SYSTEM PRO」(株式会社美粒製)等の高圧乳化分散装置等を用いることができる。そして、解砕効果が得られる分散処理は、このような分散システムを用い、分散条件を適切に制御することで、実施することができる。
<遠心分離工程>
遠心分離工程では、複数本のCNTと、溶媒とを含む分散液を遠心分離し、複数本のCNTの一部を沈殿させることができる。そして、遠心分離工程では、凝集性の高いCNTが沈殿し、分散性に優れるCNTは上澄み液中に残存する。
分散液の遠心分離は、特に限定されることなく、既知の遠心分離機を用いて行うことができる。中でも、得られる上澄み液中に分散性に優れるCNTを適度に残存させ、分散性に優れるCNT分散液を得る観点からは、分散液を遠心分離する際の遠心加速度は、2000G以上であることが好ましく、5000G以上であることがより好ましく、20000G以下であることが好ましく、15000G以下であることがより好ましい。
また、得られる上澄み液中に分散性に優れるCNTを適度に残存させ、分散性に優れるCNT分散液を得る観点からは、分散液を遠心分離する際の遠心分離時間は、20分間以上であることが好ましく、30分間以上であることがより好ましく、120分間以下であることが好ましく、90分間以下であることがより好ましい。
<分取工程>
分取工程では、遠心分離工程で遠心分離した分散液から上澄み液を分取することができる。そして、上澄み液の分取は、例えば、デカンテーションやピペッティング等により、沈殿層を残して上澄み液を回収することにより行うことができる。具体的には、例えば、遠心分離後の分散液の液面から5/6の深さまでの部分に存在する上澄み液を回収すればよい。
((抵抗変化層の形成方法))
続いて、抵抗変化層104の形成方法について説明する。抵抗変化層104の形成は、上述した方法で調整されたCNT分散液を用いて形成することができる。
<成膜工程>
成膜工程では、CNT分散液から溶媒を除去して、抵抗変化層104を成膜する。具体的には、成膜工程では、CNT分散液をピラー状にパターニングした下部電極102上に塗布した後、塗布したCNT分散液を乾燥させることにより、CNT分散液から溶媒を除去し、抵抗変化層104を成膜する。
[塗布]
CNT分散液を下部電極102上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を採用できる。具体的には、塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法、ミストコート法などを用いることができる。
[乾燥]
下部電極102上に塗布したCNT分散液を乾燥する方法としては、公知の乾燥方法を採用できる。乾燥方法としては、熱風乾燥法、真空乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、通常、室温~400℃、乾燥時間は、特に限定されないが、通常、0.1~150分である。
なお、成膜工程では、上澄み液中の溶媒は完全に除去する必要はなく、溶媒の除去後に残ったCNTが膜状の集合体(抵抗変化層104)としてハンドリング可能な状態であれば、多少の溶媒が残留していても問題はない。
なお、上記抵抗変化層104の形成方法では、CNTの分散性に優れるCNT分散液を成膜することにより、下部電極102への密着性に優れる抵抗変化層104が得られると推察される。
<抵抗変化層の後処理>
また、上記抵抗変化層104の形成方法では、任意に、成膜工程において成膜した抵抗変化層104をプレス加工して密度を更に高めてもよい。CNTの損傷または破壊による特性低下を抑制する観点からは、プレス加工する際のプレス圧力は3MPa未満であることが好ましく、プレス加工を行なわないことがより好ましい。
(抵抗変化型記憶装置の使用方法)
本発明による抵抗変化型記憶装置の使用方法は、カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置であって、前記上部電極と前記下部電極との間に第1の極性のパルス電圧を印加することによって前記抵抗変化層が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化する一方、前記上部電極と前記下部電極との間に前記第1の極性とは逆の第2の極性のパルス電圧を印加することによって前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ変化する抵抗変化型記憶装置を使用する方法である。ここで、上部電極と下部電極との間に、抵抗変化層を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる第2の極性のパルス電圧を印加する際に、抵抗変化層を流れる電流を制限することを特徴とする。
上述のように、カーボンナノチューブを有する抵抗変化層を備える抵抗変化型記憶装置は、図1に示したような電流-電圧特性を有し、抵抗変化層がカーボンナノチューブを有する場合、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する電圧VHLの絶対値は、低抵抗状態Sから高抵抗状態Sに変化する電圧VLHの絶対値よりも小さい。そのため、電圧VHLにて抵抗変化層が高抵抗状態SLから低抵抗状態Sに変化する際に、抵抗変化層に過大な電流が流れうる。
すなわち、低抵抗状態Sから高抵抗状態Sに変化する場合には、電圧VLH以上になると高抵抗状態Sに変化し、流れる電流は自ずと制限がかかる。一方で、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する場合には、電圧VHL以上となると低抵抗状態Sに変化し、印加電圧の上昇に伴いCNTを有する抵抗変化層を流れる電流も増大する。このため、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化する場合には、抵抗変化層に過大な電流が流れうる。
そこで、本発明による抵抗変化型記憶装置の使用方法においては、抵抗変化層が高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化させる第2の極性のパルス電圧を印加する際に、抵抗変化層を流れる電流を制限する。これにより、抵抗変化層に過大な電流が流れるのを防止して抵抗変化層が破壊されるのを防止することができる。
第2の極性のパルス電圧を印加する際に、1.0×1010(A/m)の電流密度を上限とした電流制限をかけることが好ましい。すなわち、第2の極性のパルス電圧を印加する際に、抵抗変化層を流れる電流の密度が1.0×1010(A/m)以下となるような電流コンプライアンス値Icを設定することが好ましい。
本発明による抵抗変化型記憶装置の使用方法において、抵抗変化型記憶装置を製造後最初に使用する際に、上部電極と下部電極との間に、両電極間の抵抗値が4.0×10-10Ω・m以上となるように第1の極性のパルス電圧を印加してフォーミング処理を施すことが好ましい。これにより、抵抗変化層を高抵抗状態と低抵抗状態とに可逆的に変化することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されない。
(実施例1)
図2に示した抵抗変化型記憶装置1を作製した。具体的には、まずシリコン基板100上に絶縁膜101としてのSiO層を形成した。次いで、下部電極102としてのTiN層をSiO層の上に形成し、EBリソグラフィー法およびドライエッチング法によってTiN層をピラー状にパターニングした。続いて、ピラー状にパターニングしたTiN層上に絶縁膜103としてのSiO層を形成した。次に、CMP法を用いて、SiO層の表面を研磨して、ピラー状のTiN層を表面に露出させた。続いて、CNT分散液を調製し、TiN層上に塗布して抵抗変化層104としてのカーボンナノチューブ層(CNT:単層スーパーグロースCNT)を形成した。その後、カーボンナノチューブ層上に上部電極105としてのTiN層を形成した。そして、TiN層およびカーボンナノチューブ層を、RLSA装置を用いたマイクロ波励起(2.45GHz)プラズマにより、上部電極105としてのTiN層およびカーボンナノチューブ層をパターニングして素子分離させた。続いて、素子分離されたTiN層およびカーボンナノチューブ層を覆うように、保護膜106としてのSiN層を形成した。最後に、上部電極105としてのTiN層およびカーボンナノチューブ層の上方にてSiN層を貫通して上部電極105としてのTiN層を露出する貫通孔107を形成するとともに、上部電極105としてのTiN層およびカーボンナノチューブ層が存在しない部分において、保護膜106としてのSiN層および絶縁膜103としてのSiO層を貫通して下部電極102としてのTiN層を露出する貫通孔108を形成した。こうして、抵抗変化型記憶装置1を作製した。抵抗変化型記憶装置1における抵抗変化層104の電圧印加方向に垂直な面の形状は正方形であり、その面積は200nm×200nm=4×10-14、抵抗値は10kΩ×200nm×200nm=4.0×10-10Ω・mである。
上述のように作製した抵抗変化型記憶装置1を動作させ、データの書き込みおよび消去動作を繰り返し行った。その際、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化させる際に、電流コンプライアンス値Icを、抵抗変化層104に流れる電流の密度が2.5×10(A/m)となるように100μAに設定した。その結果、全ての書き込みおよび消去動作を正常に行うことができた。得られた電流-電圧特性を図4に示す。
(実施例2)
実施例1と同様に、カーボンナノチューブで抵抗変化層が構成された抵抗変化型記憶装置を作製して動作させた。ただし、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化させる際に、電流コンプライアンス値Icを、抵抗変化層104に流れる電流の密度が7.5×10(A/m)となるように30μAに設定した。その結果、全て正常に書き込みおよび消去を行うことができた。得られた電流-電圧特性を図5に示す。
(実施例3)
実施例1と同様に、カーボンナノチューブで抵抗変化層が構成された抵抗変化型記憶装置を作製して動作させた。ただし、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化させる際に、電流コンプライアンス値を、抵抗変化層104に流れる電流の密度が1.0×1010(A/m)となるように400μAに設定した。その結果、全て正常に書き込みおよび消去を行うことができた。得られた電流-電圧特性を図6に示す。
(比較例1)
実施例1と同様に、カーボンナノチューブで抵抗変化層が構成された抵抗変化型記憶装置を作製して動作させた。ただし、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化させる際に、電流コンプライアンス値を、抵抗変化層104に流れる電流の密度が2.5×1010(A/m)となるように1mAに設定した。その結果、3回目の書き込み動作において、抵抗変化層が破壊されて記憶装置として機能させることができなかった。得られた電流-電圧特性を図7に示す。
(比較例2)
実施例1と同様に、カーボンナノチューブで抵抗変化層が構成された抵抗変化型記憶装置を作製して動作させた。ただし、高抵抗状態Sから低抵抗状態Sに変化させる際に、電流コンプライアンス値を設定しなかった。その結果、1回目の書き込み動作にて抵抗変化層が破壊されて記憶装置として機能させることができなかった。得られた電流-電圧特性を図8に示す。
本発明によれば、カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置において、抵抗変化層が高抵抗状態から低抵抗状態に変化する際に抵抗変化層が破壊されるのを防止することができる。
1 抵抗変化型記憶装置
10 メモリセル
11 メモリセルアレイ
12 制御回路
100 シリコン基板
101,103 絶縁膜
102 下部電極
104 抵抗変化層
105 上部電極
106 保護膜
h1,h2 貫通孔

Claims (6)

  1. カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置であって、前記上部電極と前記下部電極との間に第1の極性のパルス電圧を印加することによって前記抵抗変化層が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化する一方、前記上部電極と前記下部電極との間に前記第1の極性とは逆の第2の極性のパルス電圧を印加することによって前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ変化する抵抗変化型記憶装置において、
    前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ変化させる前記第2の極性のパルス電圧を印加する際に、前記抵抗変化層を流れる電流を制限する制御回路を備えることを特徴とする抵抗変化型記憶装置。
  2. 前記制御回路は、前記第2の極性のパルス電圧を印加する際に、1.0×1010(A/m)の電流密度を上限とした電流制限をかける、請求項1に記載の抵抗変化型記憶装置。
  3. 前記制御回路は、前記抵抗変化型記憶装置を製造後最初に使用する際に、前記上部電極と前記下部電極との間に、両電極間の抵抗値が4.0×10-10Ω・m以上となるように前記第1の極性のパルス電圧を印加してフォーミング処理を施して、前記抵抗変化層を前記高抵抗状態と前記低抵抗状態とに可逆的に変化することが可能な状態にする、請求項1または2に記載の抵抗変化型記憶装置。
  4. カーボンナノチューブを有する抵抗変化層が上部電極と下部電極とで挟まれてなるメモリセルを備える抵抗変化型記憶装置であって、前記上部電極と前記下部電極との間に第1の極性のパルス電圧を印加することによって前記抵抗変化層が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化する一方、前記上部電極と前記下部電極との間に前記第1の極性とは逆の第2の極性のパルス電圧を印加することによって前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ変化する抵抗変化型記憶装置を使用する方法であって、
    前記上部電極と前記下部電極との間に、前記抵抗変化層を前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ変化させる前記第2の極性のパルス電圧を印加する際に、前記抵抗変化層を流れる電流を制限する電流コンプライアンス値を設定することを特徴とする抵抗変化型記憶装置の使用方法。
  5. 前記第2の極性のパルス電圧を印加する際に、1.0×1010(A/m)の電流密度を上限とした電流制限をかける、請求項4に記載の抵抗変化型記憶装置の使用方法。
  6. 前記抵抗変化型記憶装置を製造後最初に使用する際に、前記上部電極と前記下部電極との間に、両電極間の抵抗値が4.0×10-10Ω・m以上となるように前記第1の極性のパルス電圧を印加してフォーミング処理を施して、前記抵抗変化層を前記高抵抗状態と前記低抵抗状態とに可逆的に変化することが可能な状態にする、請求項4または5に記載の抵抗変化型記憶装置の使用方法。
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