JP2022083843A - 配線部品 - Google Patents

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裕也 横山
Hironari Yokoyama
範夫 坂田
Norio Sakata
誠 今井
Makoto Imai
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Abstract

【課題】本発明の目的は、高容量の電気を流しても、被覆材が破損したり位置ずれを起こしたりしにくい配線部品を提供することにある。【解決手段】本発明の配線部品は、延在長さの総和が300mm以上の導電性部材と該導電性部材を覆う被覆部材とを含む配線部品であり、前記導電性部材と前記被覆部材との間の距離Cの平均(クリアランスCの平均)が、5mm以下であり、前記被覆部材はポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物からなり、前記被覆部材の150℃、24時間の熱エージング後の延在長さ方向の二次収縮A(mm)が式(1)を満たすことを特徴としている。【選択図】図1

Description

本発明は、配線部品に関する。
非常用電源設備等に用いられる複数個の電池を接続した組電池等の電気設備内の配線に、電池の端子間を接続する等の目的で金属製の配線部品が用いられることがある。この配線部品は、作業時に金属製の工具と接触してショートする等の危険があるため、絶縁性の樹脂で覆うことが多い(特許文献1参照)。
特開2003-86167号公報
近年、電気設備の高容量化、大型化が進み、電気設備等の内部に用いられる配線部品が長くなってきている。長い配線部品に高容量の電気が流れると、発熱し、被覆する樹脂が熱収縮して、被覆する樹脂が割れたり、位置がずれたりすることがあった。
従って、本発明の目的は、高容量の電気を流しても、被覆材が破損したり位置ずれを起こしたりしにくい配線部品を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
延在長さの総和が300mm以上の導電性部材と該導電性部材を覆う被覆部材とを含む配線部品であり、
前記導電性部材と前記被覆部材との間の距離Cの平均(クリアランスCの平均)が、5mm以下であり、
前記被覆部材はポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物からなり、
前記被覆部材の150℃、24時間の熱エージング後の延在長さ方向の二次収縮A(mm)が以下の式(1)
A<9.6×e-0.93t・・・(1)
(式(1)中、e:自然対数の底、t:厚み(mm))
を満たす、
ことを特徴とする、配線部品。
[2]
前記樹脂組成物がさらにポリフェニレンエーテルを含む、[1]に記載の配線部品。
[3]
前記被覆部材が、前記被覆部材に銅箔を挟み込んで150℃、1000時間の熱エージング後に破断が発生しない部材である、[1]又は[2]に記載の配線部品。
[4]
前記導電性部材がバスバーである、[1]~[3]のいずれかに記載の配線部品。
[5]
前記樹脂組成物のビカット軟化点が130℃以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の配線部品。
本発明の配線部品は、上記構成を有するため、高容量の電気を流しても、破損したり位置ずれを起こしたりしにくい。また導電性部材との接触による被覆材の金属劣化を起こしたりしにくい。
本実施形態の一例の配線部品の一部を示す斜視図である。 (A)本実施形態の一例の配線部品をその延在方向に対して直交する面(図1に示す線B-Bに沿う面)により切断したときの断面図である。(B)本実施形態の一例の配線部品をその延在方向に沿う面(図1に示す線A-Aに沿う面)により切断したときの断面図である。 (A)本実施形態の別の例の配線部品をその延在方向に対して直交する面により切断したときの断面図である。(B)本実施形態の更なる例の配線部品をその延在方向に対して直交する面により切断したときの断面図である。 (A)本実施形態の第一変形例の配線部品の一部を示す斜視図である。(B)本実施形態の第二変形例の配線部品の一部を示す斜視図である。(C)本実施形態の第三変形例の配線部品の一部を示す斜視図である。 実施例8の嵌合連結後の配線部品の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細説明する。本発明は、以下の実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
[配線部品]
本実施形態の配線部品は、延在長さの総和が300mm以上の導電性部材と該導電性部材を覆う被覆部材とを含む配線部品であり、上記導電性部材と上記被覆部材との間の距離Cの平均(クリアランスCの平均)が、5mm以下であり、上記被覆部材はポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物からなり、上記被覆部材の150℃、24時間の熱エージング後の延在長さ方向の二次収縮A(mm)が以下の式(1)を満たす。
A<9.6×e-0.93t・・・(1)
(式(1)中、e:自然対数の底、t:厚み(mm))
なお、延在方向とは、導電性部材の、一方の端から他方の端に向かう導電性部材表面に沿う方向としてよい。
図1は、本実施形態の配線部品1の一例である。導電性部材2は少なくとも一部が被覆部材3に覆われている。
本実施形態の配線部品1は、1つの導電性部材2の少なくとも一部が被覆部材3に覆われていてもよいし、複数の導電性部材2の少なくとも一部が被覆部材3に覆われていてもよい。
本実施形態の配線部品1は、被覆部材3の延在方向の一方の端から他方の端に導電性部材2が貫通していてよい。また、導電性部材2への入力部と出力部とは、被覆部材3に覆われず露出していてよい(図1、4)。例えば、導電性部材が入力部から出力部に向けて延びる構造である場合、入力部側を一方の端とし、出力部側を他方の端としてもよい。
被覆部材3は、導電性部材2に接触しない状態で設けられていてもよいし(図2A、3A)、導電性部材2の一部に接触する状態で設けられていてもよいし(図3B)、導電性部材の周囲全面に接触する状態で設けられていてもよい。
本実施形態の配線部品1は、直線状であってもよいし(図1~3)、少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上)の屈曲部を有していてもよい(図4)。
導電性部材2及び被覆部材3は、延在方向に、厚みが同じであってもよいし(図1、4)、厚みが異なっていてもよい。また、導電性部材2と被覆部材との間の距離Cは、一定であってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態の配線部品1は、導電性部材2と、導電性部材2を覆う被覆部材3とが、さらに他の被覆材で覆われていてもよい。
本実施形態の配線部品において、上記被覆部材の厚みは、導電性、漏電防止性と、省スペース化、軽量化を両立する観点から、0.4~2.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.6~2.0mm、さらに好ましくは0.8~1.5mmである。なお、上記被覆部材の厚みは、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
上記被覆部材は、150℃、24時間の熱エージング後の延在長さ方向の二次収縮A(mm)が、高容量の電気を流した時の被覆部材の破損や位置ずれを起こしにくくする観点から、9.6×e-0.93tmm未満であることが好ましく、さらに好ましくは9.0×e-1.1tmm未満である。
なお、被覆部材の延在方向の二次収縮Aは、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
ここで、本発明者らは、配線部品中の被覆部材の破損や位置ずれの原因について鋭意検討を進めたところ、高容量の電気を流した際に起こる、被覆部材の延在方向に対して直交する周方向の二次収縮よりも、延在方向の二次収縮が主要因であることを見出した。そして、破損や位置ずれの課題解決には、被覆部材の延在方向の二次収縮を抑えることが特に有効であることを見出した。
二次収縮Aは、例えば、被覆部材を構成する樹脂組成物の組成を調整し、ビカット軟化点を高くすることで小さくすることができる。ビカット軟化点を高くするための組成の具体的な調整方法としては、樹脂組成物中のポリフェニレンエーテルの含有比率を高めること、後述のポリプロピレン系樹脂以外の樹脂成分としてTg及び/又は融点の高い樹脂を用いること、等が挙げられる。
また、射出成形時に、金型温度を高くすること(例えば60℃以上、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上)、樹脂温度を高くすること(例えば230℃以上、好ましくは240℃以上、さらに好ましくは250℃以上)、保圧を高くすること(例えば20%以上)、射出時間を長くすること(例えば15秒以上)等によっても、二次収縮Aを小さくすることができる。
本実施形態の配線部品において、上記導電性部材の上記被覆部材による被覆率は、導電性、漏電防止性の観点から、50~100%であることが好ましく、より好ましくは55~95%、さらに好ましくは60~90%、特に好ましくは70~90%である。
なお、被覆率とは、導電性部材の外表面の面積に対する、被覆部材の内部空間の外表面を構成する被覆部材の内面の面積の割合をいう。
ここで、被覆部材の内部空間とは、被覆部材の収容可能領域をいう。より具体的には、被覆部材の内面が閉じた系(閉鎖系)を形成している場合には、被覆部材の内部空間は、被覆部材の内面で画成される領域をいう。また、被覆部材の内面が、延在方向の周囲に関して、及び/又は延在方向に関して、開いた系(開放系)を少なくとも一部で形成している場合(図1参照)には、被覆部材の内部空間は、被覆部材の内面、及び開いた系(開放系)の周囲の内面間を繋ぐ仮想内面で画成される領域をいう。
被覆部材が導電性部材をその延在方向の周囲(延在方向周り)の全部又は一部について被覆していてよい。また、導電性部材への入力部と出力部とを除き、被覆部材が導電性部材をその延在方向の全部又は一部について被覆していてよい。
本実施形態の配線部品において、上記被覆部材は、被覆部材に銅箔を挟み込んで150℃、1000時間の熱エージング後に破断が発生しない部材であることが好ましい。
上記破断の発生は、後述の実施例に記載の方法により判定することができる。
本実施形態の配線部品において、上記導電性部材と上記被覆部材との間の距離Cの平均(クリアランスCの平均)は、導電性部材の熱を外部に放出しやすくすることと、被覆部材の位置ずれを起こしにくくすることを両立する観点から、5mm以下であり、2mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下、特に好ましくは0mm(上記導電性部材と上記被覆部材とが全被覆領域で接している)である。また、0mm超であってもよい。
なお、導電性部材と被覆部材との間の距離Cは、配線部品をその延在方向に直交する面により切断したときの断面における両部材間の最小距離をいう(図2A)。そして、導電性部材と被覆部材との間の距離Cの平均は、上記両部材間の最小距離を配線部品の延在方向について平均したものをいう。なお、上記最小距離は、延在方向にわたり、一定であってもよいし異なっていてもよいが、一定であることが好ましい。延在方向にわたる上記最小距離の最大値と最小値との差(mm)が、上記クリアランスCの平均値(mm)の60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
導電性部材が被覆部材の内部において揺動可能である場合には、導電性部材と被覆部材との間の距離は変動し得ることとなるが、この場合、水平面上に任意に静置した状態における上記両部材間の最小距離を導電性部材と被覆部材との間の距離Cとしてよい。なお、上記クリアランスCの平均は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の配線部品の表面硬度は、配線部品が変形しにくくなる観点から、60以上であることが好ましく、より好ましくは80以上、さらに好ましくは90以上である。
なお、表面硬度は、JIS K 7202-2に準拠し、Mスケールにて測定されるロックウェル硬さである。
上記配線部品の表面硬度は、配線部品の表面を構成する被覆部材表面の表面硬度としてよい。
本実施形態の配線部品の曲げ弾性率は、配線部品が変形しにくくなる観点から、1800MPa以上であることが好ましく、より好ましくは2000~3000MPa、さらに好ましくは2200~3000MPaである。
なお、曲げ弾性率は、ISO178に準拠して測定される値である。
上記配線部品の曲げ弾性率は、配線部品の表面を構成する被覆部材の曲げ弾性率としてよい。
本実施形態の配線部品において、上記被覆部材の内部空間における上記導電性部材の占有率は、導電性部材の熱を外部に放出しやすくすることと、被覆部材の位置ずれを起こしにくくすることを両立する観点から、40~100体積%であることが好ましく、より好ましくは40~90体積%、さらに好ましくは50~90体積%、特に好ましくは60~90体積%である。
なお、上記占有率とは、上述の被覆部材の内部空間の体積に対する、被覆部材の内部空間に存在する導電性部材の体積の割合をいう。
(導電性部材)
上記導電性部材の延在長さは、その総和が300mm以上であることが好ましく、より好ましくは400~1500mm、さらに好ましくは500~1200mm、特に好ましくは600~700mmである。なお、延在長さ(延在方向長さ)とは、導電性部材の、一方の端から他方の端に向かう方向の導電性部材表面に沿う長さとしてよい。
上記延在長さの総和は、本実施形態の配線部品が複数の導電性部材を含む場合、全導電性部材の延在長さの合計としてよい。例えば、本実施形態の配線部品が、複数の導電性部材が同一方向に整列して間隔をあけて並んでいる場合、導電性部材が並ぶ方向を延在方向とし、各導電性部材の延在方向長さの合計を、延在長さの総和としてよい。複数の導電性部材が同一方向に複数列に整列している場合(図5)、各列の各導電性部材の延在方向長さの合計を測定し、該各列の延在方向の長さの合計を足した長さを延在長さの総和としてよい。
導電性部材の形状は、目的や用途に応じて適宜選択されてよく、特に限定されない。断面形状(延在方向に対して直交する断面)は、図1に示すような長方形であってもよいが、これに限定されず、長方形以外の矩形、円形、楕円形等としてよい。上記断面形状は、延在方向の全長さにわたって同じであってもよいし異なっていてもよい。
全体形状は、図1に示すような直線形状であってもよいが、図4(A)~(C)に示すように、屈曲形状や捻れ形状を備える形状としてもよい。
また、本実施形態の配線部品に複数の導電性部材が含まれる場合、各導電性部材の形状は同じであってもよいし異なっていてもよい。
上記導電性部材の断面形状の平均面積は、例えば、10.0~150mmとしてよく、12.5~120mm、15.0~100mmであってもよい。なお、断面形状の平均面積とは、導電性部材の延在方向の全長さの断面積の平均をいう。平均面積が10.0mm以上であることで、高容量の電気をより流しやすくなる傾向にある。平均面積が150mm以下であることで、電気設備が省スペース化できる傾向にある。また、上記省スペース化の観点に加えて、配線部品の製造を容易とする観点から、上記導電性部材は単一の部品からなることが好ましい。例えば、複数の部品を、連結したり、編み込んだり、積層したり、していない構造であることが好ましい。
なお、本実施形態の配線部品に複数の導電性部材が含まれる場合、上記平均面積は、各導電性部材の断面形状の平均面積を相加平均した値としてよい。
上記導電性部材は、導電性部材と被覆部材とが位置ずれを起こしにくくなる観点から、屈曲部を有していてもよい。屈曲部の数は、1個であってもよいし、2個以上であってもよい(図4)。
上記導電性部材を構成する材料としては、導電性を有する限り特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、銀、これらの組み合わせ等の金属等が挙げられる。導電性部材は、表面をめっき処理した導体を用いてもよい。
上記導電性部材は、例えば、バスバー、電線等であってよい。中でも、省スペース化の観点から、バスバーであることが好ましい。
(被覆部材)
上記被覆部材は、一つの部材からなっていてもよいし(図4)、互いに嵌合することが可能な複数の部材を含んでいてもよい(図1~3)。中でも、製造が容易であることから、互いに嵌合することが可能な複数の部材(例えば、2個の部材)を含むことが好ましい。複数の部材は、例えば、嵌合部4で接続されていてよい(図1)。
嵌合の態様としては、図1等に示すようなものに限定されることなく、例えば、延在方向に複数の部材をつなぎ合わせてもよい。
上記被覆部材は、樹脂組成物からなる。上記被覆部材は樹脂組成物のみを含むことが好ましい。
上記樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂を含み、さらにポリプロピレン系樹脂以外の樹脂成分、その他の成分を含んでいてもよい。中でも、上記樹脂組成物は、高容量の電気を流した時に被覆材の破損や位置ずれが一層起こりにくくなる観点及び導電性部材との接触による被覆材の金属劣化を防止する観点から、樹脂成分としてポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂(好ましくは、ポリフェニレンエーテル)を含むことが好ましく、樹脂成分がポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂(好ましくは、ポリフェニレンエーテル)とのみであることが好ましい。
上記被覆部材は、上記樹脂組成物からなる被覆部材のみから構成されていてもよいし、上記樹脂組成物からなる被覆部材と、他の素材からなる被覆部材とから構成されていてもよい。中でも、上記樹脂組成物からなる被覆部材のみから構成されていることが好ましい。
-ポリプロピレン系樹脂-
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマー、プロピレンと他のモノマーとの共重合体、これらの変性物等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、結晶性であることが好ましく、結晶性プロピレンホモポリマー又は結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体であることがより好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂は、結晶性プロピレンホモポリマーと結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体との混合物であってもよい。
ポリプロピレン系樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プロピレンと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、ブテン-1、ヘキセン-1等のα-オレフィン等が挙げられる。その重合形態は、特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体等であってもよい。
上記結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体の製造方法としては、例えば、重合の第一工程で結晶性プロピレンホモポリマー部分を合成し、重合の第二工程以降でプロピレン、エチレン、及び必要に応じて併用される他のα-オレフィンを、結晶性プロピレンホモポリマー部分と共重合させて得る方法等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂の製造方法としては、特に限定されず、触媒存在下でプロピレンやその他のモノマーを重合させる方法等の公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、上記触媒とアルキルアルミニウム化合物との存在下、重合温度0~100℃、重合圧力3~100気圧の範囲で、プロピレンやその他のモノマーを重合させる方法が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂の製造に用いる上記触媒としては、三塩化チタン触媒、塩化マグネシウム等の担体に担持したハロゲン化チタン触媒等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂の製造において、重合体の分子量を調整するために、水素等の連鎖移動剤を添加してもよい。
ポリプロピレン系樹脂の製造における重合の方式としては、バッチ式、連続式いずれの方式も選択できる。重合方法は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の溶媒下での溶液重合、スラリー重合、無溶媒下モノマー中での塊状重合、ガス状モノマー中での気相重合等の方法等から選択できる。
ポリプロピレン系樹脂の製造において、上記触媒の他に、ポリプロピレンのアイソタクティシティや重合活性を高めるため、第三成分として、電子供与性化合物を内部ドナー成分又は外部ドナー成分として用いることができる。上記電子供与性化合物としては、公知のものが使用でき、例えば、ε-カプロラクトン、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチル、芳香族モノカルボン酸エステル、アルコキシエステル等のエステル化合物;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチル等の亜リン酸エステル;ヘキサメチルホスホリックトリアミド等のリン酸誘導体;芳香族アルキルアルコキシシラン、脂肪族炭化水素アルコキシシラン等のアルコキシシラン;各種エーテル類;各種アルコール類;各種フェノール類;等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(230℃、荷重2.16kgf)は、0.01~300g/10分であることが好ましく、0.1~100g/10分であることがより好ましく、0.1~30g/10分であることがさらに好ましい。MFRを上記範囲とすることによって、成形流動性、衝撃強度、ウェルド強度のバランスを取ることができる。
また、MFRがこれらの範囲のポリプロピレン系樹脂であれば、単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂組成物がポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する場合、ポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性を改善する観点から、混和剤を含むことが好ましい。ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混和剤としては、公知の混和剤を用いることができるが、例えば後述の水素添加ブロック共重合体を好適に用いることができる。
上記樹脂組成物100質量%中の上記ポリプロピレン系樹脂の質量割合としては、高容量の電気を流した時に被覆材の破損や位置ずれが一層起こりにくくなる観点及び導電性部材との接触による被覆材の金属劣化を防止する観点、さらには電気特性(特に耐トラッキング性)の観点から、5~90質量%であることが好ましく、より好ましくは8~80質量%、さらに好ましくは10~70質量%である。
-ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂成分-
上記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂成分としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ビニル芳香族化合物を主体とする2個以上の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする1個以上の重合体ブロックBとを含むブロック共重合体及び/又はビニル芳香族化合物を主体とする2個以上の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする1個以上の重合体ブロックBとを含むブロック共重合体を水素添加してなる水素添加ブロック共重合体;ポリアミド系樹脂;ポリフェニレンスルフィド;熱可塑性エラストマー(ポリオレフィン系エラストマー等);等が挙げられる。この中でも、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むことが好ましく、ポリフェニレンエーテル系樹脂と水素添加ブロック共重合体とを含むことがより好ましい。
-ポリフェニレンエーテル系樹脂-
上記樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んでいてもよい。ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むことにより、高容量の電気を流した時でも被覆材が破損や位置ずれを一層起こしにくくなる。さらには、導電性部材との接触による被覆材の金属劣化を防止できる。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテル(本明細書において、「PPE」と記載する場合がある)を含み、さらにポリスチレン系樹脂を含んでいてもよい。すなわち、上記PPE系樹脂は、PPEとポリスチレン系樹脂とからなる混合樹脂であってもよいし、PPEのみからなる樹脂であってもよい。
上記PPEとしては、例えば、下記化学式(1)で表される繰り返し単位構造からなるホモ重合体、下記化学式(1)で表される繰り返し単位構造を有する共重合体が挙げられる。
上記PPEは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2022083843000002
上記化学式(1)中、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~7の第1級アルキル基、炭素数1~7の第2級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、及び少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択される一価の基である。
上記PPEは、加工時の流動性、靭性及び耐熱老化性の観点から、0.5g/dLの濃度のクロロホルム溶液を用いて、30℃の条件下、ウベローデ型粘度管で測定した還元粘度が、0.15~2.0dL/gであることが好ましく、より好ましくは0.20~1.0dL/g、さらに好ましくは0.30~0.70dL/gである。
上記PPEとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレンエーテル)等のホモ重合体;2,6-ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6-トリメチルフェノールや2-メチル-6-ブチルフェノール)との共重合体等の共重合体;等が挙げられる。中でも、樹脂組成物としたときの靭性と剛性のバランスや、原料の入手のし易さの観点から、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)がより好ましい。
上記PPEは、公知の方法により製造することができる。PPEの製造方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、米国特許第3306874号明細書に記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6-キシレノールを酸化重合する方法、米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、米国特許第3257358号明細書、特公昭52-17880号公報、特開昭50-51197号公報、特開昭63-152628号公報等に記載の方法等が挙げられる。
上記PPEは、上記ホモ重合体及び/又は上記共重合体と、スチレン系モノマー若しくはその誘導体、及び/又はα,β-不飽和カルボン酸若しくはその誘導体と、を反応させることによって得られる変性PPEであってもよい。ここで、上記スチレン系モノマー若しくはその誘導体、及び/又はα,β-不飽和カルボン酸若しくはその誘導体のグラフト量又は付加量としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂100質量%に対して、0.01~10質量%であることが好ましい。
上記変性PPEの製造方法としては、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下で、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80~350℃の温度下で反応させる方法等が挙げられる。
上記PPEとしては、上記ホモ重合体及び/又は上記共重合体と、上記変性PPEとの、任意の割合の混合物を用いてもよい。
上記ポリスチレン系樹脂としては、アタクチックポリスチレン、ゴム補強されたポリスチレン(ハイインパクトポリスチレン、HIPS)、スチレン含有量が50質量%以上のスチレン-アクリロニトリル共重合体(AS)、及び該スチレン-アクリロニトリル共重合体がゴム補強されたAS樹脂等が挙げられ、アタクチックポリスチレン及び/又はハイインパクトポリスチレンが好ましい。
上記ポリスチレン系樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、PPEとポリスチレン系樹脂とからなり、PPEとポリスチレン系樹脂との質量割合(PPE/ポリスチレン系樹脂)が、97/3~5/95であるポリフェニレンエーテル系樹脂を用いることができる。このような樹脂を被覆部材に用いることで、被覆部材の反りを防止し、高容量の電気を流した際の、被覆部材の破損や位置ずれをより防止できる傾向にある。PPEとポリスチレン系樹脂との質量割合(PPE/ポリスチレン系樹脂)としては、高流動性かつ高いビカット軟化点の組成物とする観点から、90/10~40/60であることがより好ましく、90/10~50/50であることがさらに好ましく、90/10~60/40であることが特に好ましい。
上記樹脂組成物100質量%中の上記ポリフェニレンエーテル系樹脂の質量割合としては、高容量の電気を流した時に被覆材の破損や位置ずれが一層起こりにくくなる観点および導電性部材との接触による被覆材の金属劣化を防止する観点から、3~90質量%であることが好ましく、より好ましくは5~80質量%、さらに好ましくは8~70質量%である。
上記樹脂組成物中の、上記ポリプロピレン系樹脂と上記ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計質量100質量部に対する、上記ポリプロピレン系樹脂の質量割合としては、高容量の電気を流した時に被覆材の破損や位置ずれが一層起こりにくくなる観点および導電性部材との接触による被覆材の金属劣化を防止する観点から、30~100質量部であることが好ましく、より好ましくは40~90質量部、さらに好ましくは50~80質量部である。
上記樹脂組成物は、樹脂成分がポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とのみからなる混合物であってもよい。
-水素添加ブロック共重合体-
本実施形態で用いられる水素添加ブロック共重合体としては、特に限定されることなく、例えば、未変性水素添加ブロック共重合体、変性水素添加ブロック共重合体、及び両者の混合物等が挙げられる。上記水素添加ブロック共重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
上記水素添加ブロック共重合体は、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂と上記ポリプロピレン系樹脂との混和剤又は耐衝撃性付与剤として作用する。
水素添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとを含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されたものである。ここで、重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計(以下、「全ビニル結合量」ともいう、後述)が30~90%である。
以下、未変性及び変性水素添加ブロック共重合体に関する事項について記載する。
---ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA---
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとしては、特に限定されることなく、例えば、ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックAにおいて「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックAにおけるビニル芳香族化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、特に限定されることなく、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-tert-ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。上記のビニル芳香族化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
重合体ブロックAの数平均分子量(Mn)は、樹脂組成物の耐熱クリープ性を向上させる観点から、15,000以上であることが好ましく、20,000以上であることが更に好ましく、25,000以上であることが特に好ましく、また、100,000以下であることが好ましい。
なお、数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。数平均分子量(Mn)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
---共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB---
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとしては、特に限定されることなく、例えば、共役ジエン化合物の単独重合体ブロック、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックBにおいて「共役ジエン化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、樹脂組成物の流動性を高める観点から、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、特に限定されることなく、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられ、ブタジエン、イソプレン、及びこれらの組み合わせが好ましく、ブタジエンが更に好ましい。上記の共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
ここで、重合体ブロックBのミクロ構造(共役ジエン化合物の結合形態)において、1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計(全ビニル結合量)は、重合体ブロックBの上記ポリプロピレン系樹脂への相溶性を高める観点から、30%以上であり、45%以上であることが好ましく、65%以上であることが更に好ましく、また、90%以下である。
なお、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量の合計(全ビニル結合量)とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける、1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計の、1,2-ビニル結合量と、3,4-ビニル結合量と、1,4-共役結合量との合計に対する割合を指す。全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定し、Analytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて算出することができる。
上記の重合体ブロックAと重合体ブロックBとを含むブロック共重合体の合成方法としては、特に限定されることなく、例えば、アニオン重合等の公知の方法が挙げられる。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体のブロック共重合体のブロック構造としては、特に限定されることなく、例えば、重合体ブロックAを「A」と、重合体ブロックBを「B」と表すと、水素添加ブロック共重合体としては、A-B、A-B-A、B-A-B-A、(A-B-)4M、A-B-A-B-A等の構造が挙げられる。ここで、(A-B-)4Mは、四塩化ケイ素(M=Si)、四塩化スズ(M=Sn)等といった多官能カップリング剤の反応残基、又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基等である。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体のブロック共重合体の分子構造としては、特に限定されることなく、例えば、直鎖状、分岐状、放射状、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
ブロック共重合体に含まれる重合体ブロックAにおける分子鎖中のビニル芳香族化合物、及び重合体ブロックBにおける分子鎖中の共役ジエン化合物の分布としては、特に限定されることなく、例えば、ランダム、テーパード(分子鎖に沿って単量体部分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状、又はこれらの組み合わせ挙げられる。
ブロック共重合体中に重合体ブロックA又は重合体ブロックBのいずれかが複数個以上含まれる場合には、複数の重合体ブロックA又は複数の重合体ブロックB同士は、それぞれ同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
重合体ブロックAと重合体ブロックBとを含むブロック共重合体全体について、水素添加ブロック共重合体の流動性、耐衝撃性、外観性を向上させ、ウェルド発生を低減する観点から、水素添加前のブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、また、95質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定することができる。
水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることが更に好ましく、30,000以上であることが特に好ましく、また、1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下であることが更に好ましく、500,000以下であることが特に好ましい。
なお、数平均分子量は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。
水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、10以下であることが好ましく、8以下であることが更に好ましく、5以下であることが特に好ましい。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、前述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出することができる。
ブロック共重合体を水素添加する方法としては、特に限定されることなく、例えば、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒を用いて、例えば、反応温度0~200℃、水素圧力0.1~15MPaの条件下で、水素添加する方法が挙げられる。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体中の重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物部分に対する水素添加率は、特に限定されることなく、樹脂組成物の耐熱性を高める観点から、共役ジエン化合物に由来する二重結合の総量に対して、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
なお、水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されることなく、公知の製造方法を用いることができる。公知の製造方法の具体例としては、例えば、特開昭47-11486号公報、特開昭49-66743号公報、特開昭50-75651号公報、特開昭54-126255号公報、特開昭56-10542号公報、特開昭56-62847号公報、特開昭56-100840号公報、特開平2-300218号公報、英国特許第1130770号明細書、米国特許第3281383号明細書、米国特許第3639517号明細書、英国特許第1020720号明細書、米国特許第3333024号明細書、及び米国特許第4501857号明細書に記載の方法等が挙げられる。
上記樹脂組成物における上記水素添加ブロック共重合体の含有量は、流動性、耐熱性及び耐衝撃性の観点から、樹脂組成物100質量%に対して、1~40質量%であることが好ましく、より好ましくは2~30質量%、さらに好ましくは3~20質量%である。
--ポリアミド系樹脂--
上記樹脂組成物は、ポリアミド系樹脂を含んでいてもよい。上記ポリアミド系樹脂としては、ポリマー主鎖の繰り返し単位中にアミド結合{-NH-C(=O)-}を有するものであれば、いずれも使用することができる。
上記ポリアミド系樹脂は、例えば、アミノ酸、ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とする重合体又は共重合体である。
ポリアミド系樹脂の原料の代表例としては、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等の脂環族ジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
本実施形態においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマー又はコポリマーを2種以上配合してもよい。
ポリアミド系樹脂の具体的な例としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド410、ポリアミド56、ポリアミド510、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド106、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4T、ポリアミド5T、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10I、ポリアミド10T、MXD6、MXD10、PXD6、PXD10ならびにこれらのうち少なくとも2種類の異なるポリアミド成分を含むポリアミド共重合体あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
上記樹脂組成物がポリアミド系樹脂を含有する場合、ポリプロピレン系樹脂とポリアミド系樹脂との相溶性を改善する観点から、相溶化剤を含むことが好ましい。
本実施形態で使用することのできる相溶化剤の例としては、特開平8-48869号公報及び特開平9-124926号公報等に詳細に記載されており、これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、併用使用も可能である。
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、クエン酸、マレイン酸、イタコン酸及びそれらの無水物から選ばれる1種以上が挙げられる。なかでも、無水マレイン酸及びクエン酸がより好ましい。
--ポリフェニレンスルフィド--
上記樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィドを含んでいてもよい。上記ポリフェニレンスルフィドは、その製造方法によりリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、「リニアPPS」と略記する場合がある。)及び架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、「架橋PPS」と略記する場合がある。)に二分される。
前者のリニアPPSは、下記式(3)で示されるアリーレンスルフィドの繰返し単位を通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上を含む重合体である。
[-Ar-S-] ・・・(3)
(ここで、Arはアリーレン基を示し、アリーレン基として、例えばp-フェニレン基、m-フェニレン基、置換フェニレン基(置換基としては炭素数1~10のアルキル基、フェニル基が好ましい。)、p,p’-ジフェニレンスルホン基、p,p’-ビフェニレン基、p,p’-ジフェニレンカルボニル基、ナフチレン基等が挙げられる。)
リニアPPSは構成単位であるアリーレン基が1種であるホモポリマーであってもよく、加工性や耐熱性の観点から、2種以上の異なるアリーレン基を混合して用いて得られるコポリマーであってもよい。中でも、主構成要素としてp-フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂が、加工性、耐熱性に優れ、かつ、工業的に入手が容易なことから好ましい。
後者の架橋型(半架橋型も含む)ポリフェニレンスルフィド樹脂は、上記したリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂を重合した後に、更に酸素の存在下でポリフェニレンスルフィド樹脂の融点以下の温度で加熱処理し、酸化架橋を促進してポリマー分子量、粘度を適度に高めたものである。
更にこれらのPPS(リニアPPS、架橋PPS)は酸変性されたPPSでも構わない。ここで酸変性したPPSとは、上記PPSを酸化合物で変性する事によって得られるものであり、該酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物や、飽和型の脂肪族カルボン酸や芳香族置換カルボン酸等を挙げることができる。更に、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、ケイ酸、炭酸等の無機化合物系の酸化合物も該酸化合物として挙げることができる。
-その他の成分-
上記その他の成分としては、高級脂肪酸ビスアミド;難燃剤;無機又は有機の充填材や強化材;熱安定剤;酸化防止剤;金属不活性化剤;結晶核剤;可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等);耐候(光)性改良剤;スリップ剤;各種着色剤;離型剤;相溶化剤;混和剤;等が挙げられる。
--高級脂肪酸ビスアミド--
上記樹脂組成物は、耐衝撃性、流動性、金型汚染性及び離型性の観点から、高級脂肪酸ビスアミドを含んでいてもよい。
上記樹脂組成物においては、高級脂肪酸ビスアミドを使用することにより、他の樹脂添加剤(例えば、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸とマグネシウム、亜鉛、カルシウム等との金属塩;高級脂肪酸とモノアミンとの化合物;高級脂肪酸とアルコール類とによるエステル化合物;等)を用いた樹脂組成物と比較して、耐衝撃性、流動性、金型汚染性及び離型性のバランスの点でより優れる。
上記高級脂肪酸ビスアミドは、高級脂肪酸のビスアミドであり、高級脂肪酸とジアミンとの脱水反応によって得られる化合物が好ましい。高級脂肪酸ビスアミドとしては、高級脂肪酸と、炭素数2~6の直鎖脂肪族ジアミンとのビスアミド化合物が、耐衝撃性の観点から好ましい。
上記脂肪族ジアミンとしては、メチレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
上記高級脂肪酸としては、耐衝撃性の観点から、炭素数が10~25の脂肪酸が好ましく、炭素数12~22の脂肪酸ものがより好ましく、炭素数14~22の脂肪酸がさらに好ましい。また、上記高級脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれでもよいが、飽和脂肪酸であることが好ましい。
上記高級脂肪酸ビスアミドとしては、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸と、メチレンビスアミン、エチレンビスアミン、ヘキサメチレンビスアミン等のジアミンとの反応によって得られるビスアミド化合物が挙げられる。
上記樹脂組成物における上記高級脂肪酸ビスアミドの含有量は、耐衝撃性、流動性、金型汚染性及び離型性の観点から、樹脂組成物100質量%に対して、0.5~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量%、さらに好ましくは0.5~3質量%である。
--難燃剤--
上記樹脂組成物は、難燃性を付与する観点から、難燃剤を含んでいてもよい。
上記難燃剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記難燃剤としては、例えば、リン含有難燃剤、シリコーン系難燃剤等が挙げられ、有機リン化合物、赤リン、及び無機系リン酸塩等の当業界で知られたリン含有難燃剤が好ましく、その中でもリン酸エステル化合物がより好ましい。
上記難燃剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル化合物;これらを各種置換基で変性した変性リン酸エステル化合物;各種の縮合タイプの縮合リン酸エステル系化合物等が挙げられる。これらの中でも、縮合リン酸エステル系化合物が好ましい。
--無機又は有機の充填材や強化材--
上記樹脂組成物は、機械強度向上の観点から、無機又は有機の充填材や強化材を含んでいてもよい。
上記無機又は有機の充填材や強化材としては、以下に制限されないが、例えば、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ゾノトライト、アパタイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン、炭素繊維、カーボンブラック、ポリアクリロニトリル繊維、及びアラミド繊維といった、繊維状、粒状、板状、及び針状の強化材が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ガラス繊維、タルク、及びウォラストナイトであり、より好ましくはガラス繊維である。
これらの無機又は有機の充填材や強化材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、無機又は有機の充填材や強化材は、シランカップリング剤等の表面処理剤を用いて公知の方法により表面処理したものを使用してもよい。
無機又は有機の充填材や強化材の含有量は、延在長さの大きい被覆部材を好適に製造する観点から、樹脂組成物100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
上記相溶化剤としては、クエン酸、マレイン酸、イタコン酸及びそれらの無水物から選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、無水マレイン酸及びクエン酸がより好ましい。
-樹脂組成物の製造方法-
上記樹脂組成物は、例えば、上記ポリプロピレン系樹脂、さらに必要に応じて上記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂成分、上記その他の成分を溶融混練することにより製造することができる。
溶融混練を行う溶融混練機としては、以下に限定されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機が挙げられるが、特に、混練性の観点から、二軸押出機が好ましい。具体的には、WERNER&PFLEIDERER社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズ等が挙げられる。
以下に、押出機を用いた製造方法を説明する。
押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は、20以上60以下であることが好ましく、より好ましくは30以上50以下である。
押出機の構成については、特に限定されないが、例えば、原料の流れ方向に対し、上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口より下流に第1真空ベント、該第1真空ベントの下流に第2原料供給口を設け(必要に応じて、第2原料供給口の下流に、さらに第3、第4原料供給口を設けてもよい)、さらに該第2原料供給口の下流に第2真空ベントを設けたものが好ましい。特に、第1真空ベントの上流にニーディングセクションを設け、第1真空ベントと第2原料供給口との間にニーディングセクションを設け、第2~第4原料供給口と第2真空ベントとの間にニーディングセクションを設けたものがより好ましい。
上記第2~第4原料供給口への原材料供給方法は、特に限定されるものではないが、押出機第2~第4原料供給口の開放口よりの単なる添加供給よりも、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する方法がより安定して供給できる傾向にあるため好ましい。
特に、原料に粉体が含まれ、樹脂の熱履歴による架橋物や炭化物の発生を低減したい場合は、押出機サイドから供給する強制サイドフィーダーを用いた方法がより好ましく、強制サイドフィーダーを第2~第4原料供給口に設け、これら原料の粉体を分割して供給する方法がさらに好ましい。
また、液状の原材料を添加する場合は、プランジャーポンプ、ギアポンプ等を用いて押出機中に添加する方法が好ましい。
そして、押出機第2~第4原料供給口の上部開放口は、同搬する空気を抜くための開放口として使用することもできる。
樹脂組成物の溶融混練工程における溶融混練温度、スクリュー回転数に関しては、特に限定されないが、結晶性樹脂においてはその結晶性樹脂の融点温度以上、非結晶性樹脂においてはそのガラス転移温度以上で加熱溶融して無理なく加工できる温度を選ぶことができ、通常200~370℃の中から任意に選び、スクリュー回転数を100~1200rpmとする。
樹脂の酸素存在下における熱履歴による架橋物や炭化物の発生を低減化させる場合、各原材料の押出機への添加経路における個々の工程ラインの酸素濃度を1.0体積%未満に保持することが好ましい。上記添加経路としては、特に限定されないが、具体例としては、ストックタンクから順に、配管、リフィルタンクを保有した重量式フィーダー、配管、供給ホッパー、二軸押出機、といった構成を挙げることができる。上記のような低い酸素濃度を維持するための方法としては、特に限定されないが、気密性を高めた個々の工程ラインに不活性ガスを導入する方法が有効である。通常、窒素ガスを導入して酸素濃度1.0体積%未満に維持することが好ましい。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む樹脂組成物の製造方法は、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂がパウダー状(体積平均粒径が10μm未満)の成分を含む場合、二軸押出機を用いて樹脂組成物を製造する際に、二軸押出機のスクリューにおける残留物をより低減する効果をもたらし、さらには上述した製造方法で得られた樹脂組成物において、黒点異物や炭化物等の発生を低減化する効果をもたらす。
-樹脂組成物の特性-
上記樹脂組成物のビカット軟化点としては、被覆部材の熱収縮(例えば、150℃24時間の熱エージング後の二次収縮A)を一層低くすることができる観点から、130℃以上であることが好ましく、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150~200℃、特に好ましくは160~200℃である。
なお、ビカット軟化点は、JIS K 7206 A50に準拠して測定される値であり、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
上記樹脂組成物の表面硬度は、配線部品が変形しにくくなる観点から、60以上であることが好ましく、より好ましくは80以上、さらに好ましくは90以上である。
なお、表面硬度は、樹脂組成物のペレットを、シリンダー270~320℃、金型60~120℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、ISO 10724-1に従い試験片タイプAを成形し、このテストピースを用いて、JIS K 7202-2に準拠し、Mスケールにて測定されるロックウェル硬さとしてよい。
上記樹脂組成物の曲げ弾性率は、配線部品が変形しにくくなる観点から、1800MPa以上であることが好ましく、より好ましくは2000~3000MPa、さらに好ましくは2200~3000MPaである。
なお、曲げ弾性率とは、樹脂組成物のペレットを、シリンダー270~320℃、金型60~120℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、ISO 10724-1に従い試験片タイプAを成形し、このテストピースを用いて、ISO178に準拠して測定される曲げ弾性率(MPa)としてよい。
-被覆部材の製造方法-
上記被覆部材は、例えば、上記樹脂組成物を射出成形することにより製造することができる。例えば、必要に応じてペレットの形態で得られた上記樹脂組成物を射出成形機の金型キャビティ内に投入し、射出成形して製造することができる。
射出成形時の金型温度は、被覆部材の熱収縮(例えば、150℃24時間の熱エージング後の二次収縮A)を一層低くすることができる観点から、50~90℃であることが好ましく、より好ましくは60~90℃、さらに好ましくは70~90℃である。
射出成形時の樹脂温度は、被覆部材の熱収縮(例えば、150℃24時間の熱エージング後の二次収縮A)を一層低くすることができる観点から、240~290℃であることが好ましく、より好ましくは250~290℃、さらに好ましくは260~290℃である。
射出成形時の保圧(最大射出圧力に対する保圧)は、被覆部材の熱収縮(例えば、150℃24時間の熱エージング後の二次収縮A)を一層低くすることができる観点から、20~90%であることが好ましく、より好ましくは50~90%、さらに好ましくは70~90%である。
射出成形時の射出時間は、被覆部材の熱収縮(例えば、150℃24時間の熱エージング後の二次収縮A)を一層低くすることができる観点から、15秒以上であることが好ましく、より好ましくは20秒以上である。
上記被覆部材は、二次収縮Aを測定する際の延在方向が、一方の端から他方の端に向かう導電性部材表面に沿う方向となるように、導電性部材を覆っていてよい。
本実施形態の配線部品の用途としては、特に限定されることなく、例えば、組電池、二次電池、分電盤等の電気設備;建造物内の電気配線;家電製品内部品;路上又は軌道上を複数輪で駆動する物体内の電気回路;等が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた原材料を以下に示す。
-(a)ポリプロピレン系樹脂-
MFR=20g/10分のポリプロピレン単独重合体
なお、MFRは、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
-(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂-
2,6-キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度(ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液)0.42のポリフェニレンエーテル
なお、還元粘度は、ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて、温度30℃の条件下測定した。
-(c)水素添加ブロック共重合体-
下記の通り、合成される重合体
公知の方法により、重合体ブロックAをポリスチレンからなるものとし、重合体ブロックBをポリブタジエンからなるものとして、ブロック構造を有するブロック共重合体を合成した。公知の方法により、合成したブロック共重合体に水素添加を行った。重合体の変性は行わなかった。得られた未変性水素添加ブロック共重合体の物性を下記に示す。
(c-i)B-A-B-A型
水素添加前のブロック共重合体におけるポリスチレンの含有量:44%、水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn):95,000、ポリスチレンブロックの数平均分子量(Mn):41,800、ポリブタジエンブロックの数平均分子量(Mn):53,200、水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn):1.06、水素添加前のポリブタジエンブロックにおける全ビニル結合量(1,2-ビニル結合量):75%、ポリブタジエンブロックを構成するポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.9%
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定した。数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた。分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、前述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出した。全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定し、Analytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて算出した。水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定した。
-(d)ホスフィン酸塩類-
クラリアントジャパン社製「Exolit OP1230」
-(e)ポリリン酸メラミン-
BASF製「Melapur 200 70」
-(f)リン酸エステル系化合物-
大八化学社製「E890」(縮合リン酸エステル系化合物)
-(g)タルク-
日本タルク社製「タルクMS」(レーザー回折法により測定した平均粒子径(D50)=14μm)
-導電性部材-
実施例1~7及び比較例1~2では、導電性部材として、銅板として、JIS-H-3100銅、アルミニウム板として、JIS-H-4000アルミニウム合金を材質とし、図4(A)の形状で、
板厚:2.0mm、幅:20mm、延在長さ:480mm、または
板厚:3.0mm、幅:30mm、延在長さ:620mmの
板材を準備した。なお、上述の2種の導電性部材は、単一の部品からなる部材である。
また、実施例8では、以下の導電性部材を使用した。
銅板として、JIS-H-3100銅とし、図1の形状で板厚:2.0mm、幅:10mm、延在長さ:30mmの板材の単一の部品からなる部材を13個用いた。
また、実施例9では、以下の導電性部材を使用した。
銅板として、JIS-H-3100銅とし、図1の形状で板厚:3.0mm、幅:30mm、延在長さ:110mmの板材の単一の部品からなる部材を3個用いた。
(実施例1~9、比較例1、2)
-樹脂組成物-
樹脂組成物の製造に用いる溶融混練機として、二軸押出機(コペリオン社製、ZSK-25)を用いた。押出機のL/Dは、35とした。
二軸押出機の構成は、原料が流れる方向について上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口よりも下流に真空ベント、真空ベントよりも下流に液添ポンプ、液添ポンプよりも下流に第2原料供給口、第2原料供給口よりも下流に真空ベントを備えるものとした。
また、第2原料供給口における原料の供給方法としては、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて添加する方法とした。
そして、上記の通り設定した二軸押出機に、成分(a)~成分(g)を表1に示す組成で、成分(a)~成分(e)は第1原料供給口から、成分(f)は第1原料供給口から、成分(g)は第2原料供給口から供給し、これらを溶融混練して、ペレット体の樹脂組成物を製造した。混練条件は、押出機バレル温度(第1原料供給口から第2原料供給口まで):270~320℃、押出機バレル温度(第2原料供給口からダイヘッドまで):270~320℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量15kg/時間とした。
表1中、「PPE/PP割合」とは、PPEとPPとの合計質量100質量%に対する質量割合を表す。また、「(c-i)の質量割合」、「(d)/(e)/(f)の質量割合」、「(g)の質量割合」とは、樹脂組成物100質量%に対する質量割合を表す。また、実施例、比較例の樹脂組成物は、(c-i)、(d)、(e)、(f)及び(g)以外の成分は、PPE又はPPである。
-被覆部材による導電性部材の被覆-
得られた樹脂組成物のペレットを、射出成形機(商品名:SE-180-HP、住友重機械製)に供給し、表1の樹脂温度、金型温度、最大射出圧力に対する保圧、射出時間、冷却時間の成形条件として、表1に記載した厚み、被覆率、クリアランスの平均の被覆部材を成形した。
導電性部材として表1に記載の部材を使用し、一体型の場合は、導電性部材をインサート成形することで被覆をし、嵌合型の場合は、射出成形にて得られた複数の成形品を導電性部材に取り付けて嵌合することで被覆を行った。
実施例8、9ではヒンジ部を有する1つの被覆部材で1個の導電性部材を嵌合して被覆した。実施例8では導電性部材6個又は7個を延在方向に並べ、それらをコの字に連結させた(図5)。なお、図5は、嵌合し連結させた後の図である。導電性部材2(図5中、上列に2つの穴が開いた長方形状の導電性部材を7個(左右端の導電性部材は半分のみ露出させ、中間の導電性部材は中間部分等を被覆部材で覆った)下列には2つの穴が開いた長方形状の導電性部材を6個(導電性部材の中間部分を被覆部材で覆った)配置)は表面が露出しているものの、他の面は被覆部材3で覆われている。実施例8の配線部品は、導電性部材が延在方向に一列に整列した形状を対向する位置に2つ用意し(図5)、コの字に連結するため、得られる配線部品中の導電性部材は13個となる。実施例9では導電性部材3個を延在方向に並べ、それらを導電性部材の延在方向に連結させた。導電性部材2(2つの穴が開いた長方形状の導電性部材を3個(導電性部材の中間部分を被覆部材で覆った)配置)は表面が露出しているものの、他の面は被覆部材3で覆われている。また、実施例8、9において、延在方向とは、導電性部材が整列して並ぶ方向(図5の左右方向)である。
[評価]
実施例及び比較例で得られた配線部品について、下記の測定を行った。
-クリアランスCの平均-
各実施例及び比較例の被覆部材により被覆された導電性部材を延在方向に4等分した際の断面方向の3か所で、X線CTによる測定(装置:inspeXio SMX-255CT(島津製作所製)、X線条件(X線ターゲット:W、X線管電圧/管電流:210))を行った。なお、上記4等分後の測定箇所が被覆部材の屈曲部である場合又は導電性部材が存在しない箇所である場合は、上記箇所から一番近い直線部分又は導電性部材が存在する断面にて測定した。3か所のクリアランスCの平均値(mm)を、クリアランスCの平均(mm)とした。
-厚み、二次収縮-
各実施例及び比較例の被覆部材を7日間23℃50%RHの環境に静置した。静置後、延在方向に4等分し、かつ幅方向の中心部の3箇所を、延在方向と幅方向それぞれの辺が10mmの正方形となるように平板を切り出した。なお、上記4等分後の切り出し箇所が被覆部材の屈曲部である場合又は導電性部材が存在しない箇所である場合は、上記箇所から一番近い直線部分又は導電性部材が存在する断面にて平板を切り出してよい。なお、幅方向の長さが10mm未満の場合は、切り出せる最大の幅にて平板を切り出してよい。
切り出した平板において、中央部の厚み(mm)をマイクロメータにて測定した。続いて、被覆部材の延在方向に該当する長さを予めマクロスコープ(3D形状測定機 VR-3000(キーエンス製))にて測定した(寸法Lとする)。続いて、平板をオーブンに入れ、130℃24時間の熱エージングを実施した。熱エージング完了後に平板を取り出し、23℃50%RHの環境に1日間静置した。静置後、熱エージング前と同様に被覆部材の延在方向に該当する長さをマクロスコープにて測定した(寸法L’とする)。各サンプルの熱収縮率を下記式(3)で求め、平均値を二次収縮A(%)とした。
熱収縮率(%)=(L-L’)/L×100・・・(3)
-耐金属劣化性の評価-
高温下での耐金属劣化性(クラック発生)の評価試験方法は以下のとおりである。
「厚み、二次収縮」に記載の方法により切り出した10mm角の平板の隣接部より同様に10mm角の平板を切り出し、平板を10mm×10mm×厚み0.127mmの2枚の銅箔で挟み込み、平板の中央部をバインダークリップで留めて平板に銅箔を固定した。この銅箔付きの平板を熱風オーブン内に静置し、オーブン設定温度150℃×1000時間の加熱試験を実施した。加熱試験開始後、銅箔付きの平板の破断状況を確認した。
-ビカット軟化点-
各実施例及び比較例の樹脂組成物のペレットを、シリンダー270~320℃、金型60~120℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、ISO 10724-1に従い試験片タイプAを成形した。このテストピースを用いて、JIS K 7206 A50に準拠し、ビカット軟化点(℃)を測定した。
-ヒートサイクル試験-
各実施例及び比較例の配線部品を7日以上23℃50%RHの環境に静置した。静置後、冷熱衝撃試験機(結露サイクル試験機 DC2010S(楠本化成製))を用いて120℃にて30分加熱、-10℃に降温して30分冷却、さらに120℃に昇温する過程を1サイクルとする耐ヒートショック試験を500サイクル実施し、被覆部材の割れや位置ずれの有無を目視にて観察した。そして、割れおよび位置ずれの発生がない場合を○(良好)とし、割れ及び/又は位置ずれが見られた場合を×(不良)として評価した。
Figure 2022083843000003
本発明の配線部品は、例えば、組電池、二次電池、分電盤等の電気設備内の配線部品;建造物内の電気配線部品;家電製品内の配線部品;路上又は軌道上を複数輪で駆動する物体内の電気回路の配線部品;等に用いることができる。
1 配線部品
2 導電性部材
3 被覆部材
4 嵌合部

Claims (5)

  1. 延在長さの総和が300mm以上の導電性部材と該導電性部材を覆う被覆部材とを含む配線部品であり、
    前記導電性部材と前記被覆部材との間の距離Cの平均(クリアランスCの平均)が、5mm以下であり、
    前記被覆部材はポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物からなり、
    前記被覆部材の150℃、24時間の熱エージング後の延在長さ方向の二次収縮A(mm)が以下の式(1)
    A<9.6×e-0.93t・・・(1)
    (式(1)中、e:自然対数の底、t:厚み(mm))
    を満たす、
    ことを特徴とする、配線部品。
  2. 前記樹脂組成物がさらにポリフェニレンエーテルを含む、請求項1に記載の配線部品。
  3. 前記被覆部材が、前記被覆部材に銅箔を挟み込んで150℃、1000時間の熱エージング後に破断が発生しない部材である、請求項1又は2に記載の配線部品。
  4. 前記導電性部材がバスバーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の配線部品。
  5. 前記樹脂組成物のビカット軟化点が130℃以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の配線部品。
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