JP2022073361A - 波長変換部材、その製造方法、および発光装置 - Google Patents

波長変換部材、その製造方法、および発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基材の変形が抑制されており、均一な変換光を得ることができる波長変換部材、その製造方法、および発光装置を提供する。【解決手段】波長変換部材10であって、一方の主面に光を反射する反射面13を有する基材12と、前記基材12の前記反射面13に設けられ、蛍光体粒子16と透光性セラミックス18とで形成された蛍光体層14と、を備え、前記基材12の前記蛍光体層14が設けられた前記反射面13は、平面度が0.10mm以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、波長変換部材、その製造方法、および発光装置に関する。
発光素子であるLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の光源から照射された光を、蛍光体層により異なる波長の変換光として放出する波長変換部材を用いた発光装置が知られている。近年では、エネルギー効率が高く、小型化、高出力化に対応しやすいLDを光源として用いたアプリケーションが増えている。
蛍光体層は、エポキシやシリコーンなどに代表される樹脂に蛍光体粒子を分散させて配置したものが知られているが、LDは局所的に高いエネルギーの光を照射することから、発熱を原因とする樹脂の変質・劣化により発光装置として性能低下することが考えられる。
このような波長変換部材の耐熱性を向上させるため、蛍光体層としてガラスマトリクスにより蛍光体を分散させることや(特許文献1)、蛍光体同士および蛍光体と基材を結合するため、透光性を有する無機材料をバインダとした波長変換部材(特許文献2)が開示されている。また、このような波長変換部材の用途として、特許文献1および特許文献2ではホイール形状の基材表面に蛍光体層を形成した波長変換部材を画像や映像をスクリーンに投影するための装置であるプロジェクターに用いることが開示されている。
特開2015-094777号公報 特開2019-039992号公報
波長変換部材の基材を金属の板材で作製した場合に、製品間の発光のバラツキが生じていた。また、ホイール状の波長変換部材では、明るさの増減に伴う明滅を生じさせるフリッカーノイズが発生するものもあった。金属の板材は主にロール圧延加工により製造される。ロール圧延加工は、金属地金を溶解・鋳造によりスラブとし、このスラブを均質化のため熱処理したのち、一対の円柱状のロールを回転させながら素材を巻き込んで所定の厚みとなるまで熱間圧延することで製造する。また、必要に応じて冷間圧延や焼鈍しが行われることもある。
このような金属の板材から所定形状に基材を形成する方法は種々あるが、本発明者らにより、レーザ加工のような加工時に熱が加わる方法を用いて基材を形成した場合に熱による反りや歪みが発生することがあることが分かった。これは圧延の製造工程に由来する残留応力が原因であると考えられる。また、蛍光体層の形成時の熱も高すぎると基材の反りや歪みが発生することがあり、本発明者らは、これらが製品間の発光のバラツキやフリッカーノイズの原因であることを突き止めた。
波長変換部材の蛍光体層は所定の範囲に形成されるが、発光素子から入射される入射光がその範囲のどこに照射されるかは、波長変換部材を発光装置に組み込む段階で決定される場合もある。そのため、基材に反りや歪みが発生し反射面の平面度が低くなると、発光装置の製品間の発光のバラツキを低減させるため、波長変換部材を組み込むたびに照射位置等の微調整が必要となる。また、ホイール状の波長変換部材では、基材の反りや歪みが大きくなると、フリッカーノイズをなくすことはできなかった。しかしながら、特許文献1も特許文献2も、反射面の平面度が低いことにより、このような課題が生じることを考慮していない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、基材の変形が抑制されており、均一な変換光を得ることができる波長変換部材、その製造方法、および発光装置を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の波長変換部材は、波長変換部材であって、一方の主面に光を反射する反射面を有する基材と、前記基材の前記反射面に設けられ、蛍光体粒子と透光性セラミックスとで形成された蛍光体層と、を備え、前記基材の前記蛍光体層が設けられた前記反射面は、平面度が0.10mm以下であることを特徴としている。
このように、基材の蛍光体層が形成される反射面の平面度が十分に高いので、波長変換部材を発光装置に組み込んだときの発光装置の製品間の出射光の発光強度のバラツキを低減できる。また、蛍光体層への照射箇所が照射中に動的に変更される場合や照射箇所を事後的に変更する必要が生じた場合等に、変更前後の出射光の発光強度のバラツキを低減できる。
(2)また、本発明の波長変換部材において、前記蛍光体層の厚みの最大値および最小値と前記蛍光体層の平均厚みの差が前記蛍光体層の平均厚みに対して10%以下であることを特徴としている。
このように、蛍光体層の膜厚の最大値および最小値の平均膜厚からのずれがそれぞれ平均膜厚の10%以下となるように蛍光体層が形成されることにより、蛍光体層の厚みのバラツキが抑制されるため、発光強度のバラツキや色ムラをより低減した出射光を出射することができる。
(3)また、本発明の波長変換部材において、前記基材は、円盤状に形成され、前記蛍光体層は、前記基材の半径方向に所定の幅を有する円環状に形成されていることを特徴としている。
本発明の波長変換部材は、基材の蛍光体層が設けられた反射面の平面度が十分に高いため、蛍光体層への照射箇所が照射中に次々に動的に変更される場合であっても、変更中の出射光の発光強度のバラツキを低減できる。そのため、円盤状に形成された波長変換部材は、蛍光体ホイールとしてプロジェクター等の発光装置の用途に好適に使用される。また、発光素子からの入射光は、波長変換部材を周方向に回転させながら局所的に照射されるため、蛍光体層は少なくとも入射光が照射される部分に円環状に形成されていれば問題ない。このようにすることで、波長変換部材の軽量化および原料コストの低減につながる。
(4)また、本発明の発光装置は、発光装置であって、特定範囲の波長の光を発する発光素子と、上記(1)から(3)のいずれかに記載の波長変換部材と、を備えることを特徴としている。
このように、波長変換部材の基材の蛍光体層が設けられた反射面の平面度が十分に高いので、発光装置の製品間の発光強度のバラツキを低減できる。また、蛍光体層への照射箇所が照射中に動的に変更される場合や照射箇所を事後的に変更する必要が生じた場合等に、変更前後の発光強度のバラツキを低減できる。
(5)また、本発明の波長変換部材の製造方法は、波長変換部材の製造方法であって、金属板を打抜きプレス加工し、所定の形状の基材を作製する基材作製工程と、前記基材の所定の位置における平面度を測定し、基準を満たす前記基材を選別する平面度測定選別工程と、蛍光体粒子と無機バインダとを混合して蛍光体ペーストを作製する蛍光体ペースト作製工程と、前記平面度測定選別工程において選別した前記基材の表面に前記蛍光体ペーストを塗布する蛍光体ペースト塗布工程と、前記塗布した蛍光体ペーストを、300℃以下の温度で熱処理することで蛍光体層を形成する熱処理工程と、を含むことを特徴としている。
本発明の製造方法は、平面度の高い基材が得られる打抜きプレス加工により基材を作製し、さらに平面度を測定し基準を満たす基材のみ使用し、基材の平面度が熱変形しないような温度で熱処理することで、基材の平面度が十分に高い波長変換部材を製造できる。その結果、基材の蛍光体層が設けられた反射面の平面度が十分に高いので、波長変換部材を発光装置に組み込んだときの発光装置の製品間の発光強度のバラツキを低減できる。また、蛍光体層への照射箇所が照射中に動的に変更される場合や照射箇所を事後的に変更する必要が生じた場合等に、変更前後の発光強度のバラツキを低減できる。
本発明によれば、基材の蛍光体層が形成される反射面の平面度が十分に高いので、波長変換部材を発光装置に組み込んだときの発光装置の製品間の出射光の発光強度のバラツキを低減でき、また、蛍光体層への照射箇所が照射中に動的に変更される場合や照射箇所を事後的に変更する必要が生じた場合等に、変更前後の出射光の発光強度のバラツキを低減できる波長変換部材を構成できる。
(a)および(b)は、それぞれ第1の実施形態の波長変換部材を模式的に表した断面図、および平面図である。 波長変換部材の蛍光体層部分の断面を拡大した模式図である。 第1の実施形態の波長変換部材の平面度および蛍光体層の厚みを測定する点の例を示す模式図である。 (a)~(c)は、それぞれ第2の実施形態の波長変換部材を模式的に表した断面図、斜視図および平面図である。 第2の実施形態の波長変換部材をモーターに接続したホイールデバイスを表す模式図である。 第2の実施形態の波長変換部材の平面度および蛍光体層の厚みを測定する点の例を示す模式図である。 本発明の発光装置の一部を表す概念図である。 本発明の波長変換部材の製造方法を示すフローチャートである。 波長変換部に対する発光強度試験のための反射型の評価システムを示す概念図である。 各試料の各種測定結果を表す表である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
[第1の実施形態]
(波長変換部材の構成)
図1は、第1の実施形態の波長変換部材を表す模式図である。図2は、波長変換部材の蛍光体層部分の断面を拡大した模式図である。本実施形態の波長変換部材10は、基材12上に蛍光体層14が形成されている。波長変換部材10は、光源から照射された光源光を反射させつつ、光源光により励起して波長の異なる変換光を発生させる。例えば、青色光の光源光を反射させつつ、蛍光体層14で変換された緑と赤や黄色の変換光を放射させて、変換光と光源光を合わせて、または、変換光のみを利用し、様々な色の光に変換できる。蛍光体層14の蛍光体粒子を2種類以上使用することで、変換光を吸収して、別の変換光を出射させることもできる。
波長変換部材10の基材12は、一方の主面に反射面13を備える板状に形成される。基材12の主面の形状は、使用される発光装置に応じて四角形、多角形、円形、楕円形など様々な形状であってよい。基材12が矩形に形成される場合、短辺3mm~30mm、長辺5mm~40mmであることが好ましい。また、厚みはt0.5mm~t1.5mmであることが好ましい。これにより、波長変換部材10の軽量化ができ、波長変換部材10を使用した発光装置の小型化ができる。
基材12が矩形状に形成された波長変換部材10は、蛍光体層14をスキャンする形で面発光を得るプロジェクターや、照射方向を制御する機構が加えられた照明、また、照射点によらず安定した光量を得ることが重要となる測定機器用センサなどに好適に使用される。
基材12の蛍光体層14が設けられた反射面13は、平面度が0.10mm以下である。また、平面度が0.06mm以下であることが好ましい。このように、基材12の蛍光体層14が形成される反射面13の平面度が十分に高いので、波長変換部材10を発光装置に組み込んだときの発光装置の製品間の出射光の発光強度のバラツキを低減できる。また、蛍光体層への光源光の照射箇所が照射中に動的に変更される場合や照射箇所を事後的に変更する必要が生じた場合等に、変更前後の出射光の発光強度のバラツキを低減できる。
反射面13の平面度は、反射面13の蛍光体層14が設けられる領域から端部を除いた所定の領域内の格子点や等間隔にとった8点~9点において、各点でレーザ顕微鏡を用いて測定した高さの値について、最大値から最小値を引いた差の値とする。蛍光体層14が設けられる領域の端部は、蛍光体層14が設けられる領域の端から一定の距離であってもよいし、蛍光体層14が設けられる領域が複数の辺を有する場合に辺ごとに異なる距離であってもよい。
図3は、本実施形態の波長変換部材10の平面度および蛍光体層14の厚みを測定する点の例を示す模式図である。例えば、蛍光体層14が矩形に形成されている場合、図3に示されるように、蛍光体層14の縦の長さをL、横の長さをLとして、縦方向の端部をそれぞれ0.1Lずつ、横方向の端部をそれぞれ0.1Lずつ除いた矩形の領域(所定の領域)の周上および中心に格子点を9点(図3の●)とって測定することが好ましい。これらの各点でレーザ顕微鏡を用いて測定した値の最大値から最小値を引いた差の値を、基材12の平面度とする。製品において所定の領域の外側に光を照射して出射光を取り出すことはほとんどないので、所定の領域の外側で平面度が悪くなっていても問題ない。
基材12の材料は、アルミニウム、鉄、銅等を用いることができる。基材12のすべてを、光を反射する材料で製造することもできるが、光の反射を考慮しない材料の一面に銀などの光を反射する材料をメッキなどで設けて反射層としたり、TiOなどの増反射膜を形成したりしてもよい。反射層や増反射膜を設ける場合、それらを設けた後の平面度を基材12の平面度とする。蛍光体層14に高エネルギーの光が照射されて温度が高くなる場合があるので、基材12は熱伝導性が高い方がよい。そのため、基材12は、アルミニウムで形成されていることが好ましい。
蛍光体層14は、基材12の反射面13上に層状に設けられ、蛍光体粒子16、および透光性セラミックス18により構成されている。透光性セラミックス18は、蛍光体粒子16同士を結合するとともに蛍光体粒子16と基材12とを結合している。これにより、高エネルギー密度の光の照射に対して、放熱材として機能する基材12と接合しているため効率よく放熱でき、蛍光体層14の光変換時に生じる熱が蓄積することで起こる温度消光を抑制できる。
蛍光体層14の厚みは、50μm以上300μm以下であることが好ましく、80μm以上200μm以下であることがより好ましい。蛍光体層14が薄すぎると、光路において蛍光体粒子16の存在が薄い箇所が存在し、必要な変換光が得られなくなる虞がある。一方で厚すぎると、蛍光体層14の蓄熱による特性低下の恐れがあるためである。
蛍光体層14の厚みは、蛍光体層14の端部を除いた所定の領域内の格子点や等間隔にとった8点~9点において、各点を含む基材の平面方向と垂直な断面についてSEM画像を解析することで測定する。蛍光体層14の端部は、蛍光体層14の端から一定の距離であってもよいし、蛍光体層14が複数の辺を有する場合に辺ごとに異なる距離であってもよい。これらの点は、平面度を測定した点と一致していてもよいし、異なっていてもよい。例えば、蛍光体層14が矩形に形成されている場合、図3に示されるように、蛍光体層14の縦の長さをL、横の長さをLとして、縦方向の端部をそれぞれ0.1Lずつ、横方向の端部をそれぞれ0.1Lずつ除いた矩形の領域(所定の領域)の周上および中心に格子点を9点(図3の●)とって、それぞれの点を含む断面で測定することが好ましい。
上記の各断面について、SEM断面写真を1000倍の倍率で撮影し、例えば、20μmの等間隔で10本の垂線を引き、蛍光体層14のトップ面から基材12のトップ面(反射面13)までの距離を測定し、10本の線の長さの平均値をその断面の厚みとする。そして、各断面の厚みの平均値を蛍光体層14の厚み(平均厚み)とする。
蛍光体層14の厚みの最大値および最小値と蛍光体層14の平均厚みの差が蛍光体層14の平均厚みに対して10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。このように、蛍光体層14の厚みの最大値および最小値の平均厚みとの差が、それぞれ平均厚みの10%以下となるように蛍光体層14が形成されることにより、蛍光体層14の厚みのバラツキが抑制されるため、発光強度のバラツキや色ムラをより低減した出射光を出射することができる。蛍光体層14の厚みの最大値および最小値は、蛍光体層14の厚みを算出する際に使用した各断面の厚みの値の最大値および最小値とする。
蛍光体層14は、蛍光体粒子16および透光性セラミックス18の他に無機粒子を含んでもよい。無機粒子を混合する場合には、様々な目的にかなった無機粒子を混合できる。例えば、蛍光体ペーストの粘度を調整する目的、蛍光体ペーストの蛍光体粒子の密度を調整する目的、蛍光体層で光を散乱させる目的、蛍光体層の熱伝導率をよくする目的、蛍光体層の空隙を減少させる目的等が挙げられる。無機粒子の平均粒子径は、蛍光体層14に含まれる蛍光体粒子の平均粒子径と同等または小さいことが好ましい。
蛍光体粒子16の平均粒子径は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。10μm以上である場合、変換光の発光強度が大きくなり、ひいては波長変換部材10の発光強度が大きくなる。また、50μm以下である場合、蛍光体層14の厚みの調整が容易となり、蛍光体粒子16の脱粒のリスクを低減できる。また、個々の蛍光体粒子16の温度を低く維持でき、温度消光を抑制できる。なお、本明細書において平均粒子径とは、メジアン径(D50)である。平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置の乾式測定または湿式測定を用いて計測することができる。
蛍光体粒子16は、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG系蛍光体)およびルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG系蛍光体)を用いることができる。その他、蛍光体粒子16は、発光させる色の設計に応じて以下のような材料から選択できる。例えば、BaMgAl1017:Eu、ZnS:Ag,Cl、BaAl:EuあるいはCaMgSi:Euなどの青色系蛍光体、ZnSiO:Mn、(Y,Gd)BO:Tb、ZnS:Cu,Al、(M1)2SiO:Eu、(M1)(M2)2S:Eu、(M3)Al12:Ce、SiAlON:Eu、CaSiAlON:Eu、(M1)SiN:Euあるいは(Ba,Sr,Mg)2SiO:Eu,Mnなどの黄色または緑色系蛍光体、(M1)SiO:Euあるいは(M1)S:Euなどの黄色、橙色または赤色系蛍光体、(Y,Gd)BO:Eu,YS:Eu、(M1)Si:Eu、(M1)AlSiN:EuあるいはYPVO:Euなどの赤色系蛍光体が挙げられる。なお、上記化学式において、M1は、Ba,Ca,SrおよびMgからなる群のうちの少なくとも1つが含まれ、M2は、GaおよびAlのうちの少なくとも1つが含まれ、M3は、Y、Gd、LuおよびTeからなる群のうち少なくとも1つが含まれる。なお、上記の蛍光体粒子16は一例であり、波長変換部材10に用いられる蛍光体粒子16が必ずしも上記に限られるわけではない。
透光性セラミックス18は、無機バインダが加水分解または酸化されて形成されたものであり、透光性を有する無機材料により構成されている。透光性セラミックス18は、例えばシリカ(SiO)、リン酸アルミニウムで構成される。透光性セラミックス18は無機材料からなるので、レーザダイオード等の高エネルギーの光が照射されても変質しない。また、透光性セラミックス18は透光性を有するので、吸収光や変換光を透過させることができる。無機バインダとしては、エチルシリケート、第一リン酸アルミニウム水溶液等を用いることができる。
なお、透光性を有する物質とは、0.5mmの対象物質に対して、可視光の波長領域(λ=380~780nm)で光を垂直に入射したとき、反対側から抜けた光の放射束が入射光の80%を超える特性を有する物質をいう。
[第2の実施形態]
(波長変換部材の構成)
図4(a)~(c)はそれぞれ、第2の実施形態の波長変換部材を模式的に表した断面図、斜視図および平面図である。図2は、波長変換部材の蛍光体層部分の断面を拡大した模式図である。本実施形態の波長変換部材20は、基材12上に蛍光体層14が形成されている。波長変換部材20は、基材12の形状以外の基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるので、異なる点のみ説明する。
波長変換部材20の基材12は、円盤状に形成される。基材12の径は、φ50mm~φ100mmであることが好ましい。また、厚みはt0.5mm~t1.5mmであることが好ましい。これにより、波長変換部材20の軽量化ができ、波長変換部材20を使用した発光装置の小型化ができる。波長変換部材20の径や厚みが大きすぎる場合、波長変換部材20の重量が増大し、発光装置の小型化の阻害、モーターの負荷が増加することにより装置寿命を低下させる虞が生じる。
基材12の中心にはモーター30の回転軸に取り付けるための貫通孔22が形成されることが好ましい。波長変換部材20をモーター30に取り付ける方法はどのようなものであってもよいので、貫通孔22を設けなくてもモーター30に取り付けることができる場合は、貫通孔22は形成しなくてもよい。貫通孔22を形成する場合、貫通孔22は径φ10mm~φ12mmであることが好ましい。貫通孔22は真円に形成されるが、位置決めや使用時の滑り等を抑制する観点から、貫通孔の周方向の一部に凹部や凸部を形成することが好ましい。図5は、本実施形態の波長変換部材20をモーター30に接続したホイールデバイス50を表す模式図である。
基材12の蛍光体層14が設けられた反射面13は、平面度が0.10mm以下である。また、平面度が0.06mm以下であることが好ましい。波長変換部材20は、基材12の蛍光体層14が設けられた反射面13の平面度が十分に高いため、波長変換部材20がモーターに取り付けられ、蛍光体層14への照射箇所が照射中に次々に動的に変更される場合であっても、変更中の出射光の発光強度のバラツキを低減できる。そのため、基材12が円盤状に形成された波長変換部材20は、蛍光体ホイールとしてプロジェクター等の発光装置の用途に好適に使用される。
反射面13の平面度は、蛍光体層14が設けられる領域から端部を除いた所定の領域内の格子点や等間隔にとった8点~9点において、各点でレーザ顕微鏡を用いて測定した高さの値について、最大値から最小値を引いた差の値とする。図6は、本実施形態の波長変換部材20の平面度および蛍光体層14の厚みを測定する点の例を示す模式図である。例えば、蛍光体層14が所定の幅を有する円環状に形成されている場合、図6に示されるように、蛍光体層14の幅をLとして、内側0.1L、外側0.1Lを除いた円環状の領域(所定の領域)内に周方向に等間隔に8点(図6の●)とって、各点でレーザ顕微鏡を用いて測定した値の最大値から最小値を引いた差の値とする。このとき、蛍光体層14の幅Lの中心を通る円周上に点をとることがより好ましい。入射光の照射箇所は、蛍光体層14の中心付近に設定されることが多いからである。製品において所定の領域の外側に光を照射して変換光を取り出すことはほとんどないので、所定の領域の外側で平面度が悪くなっていても問題ない。
蛍光体層14は、基材12の中心から所定の距離に一定の幅を有する円環状に形成されることが好ましい。このとき、蛍光体層14の幅は、4mm~10mmであることが好ましい。発光素子からの入射光は、波長変換部材を周方向に回転させながら局所的に照射されるため、蛍光体層14は少なくとも入射光が照射される部分に円環状に形成されていれば問題ない。このようにすることで、波長変換部材20の軽量化および原料コストの低減につながる。
蛍光体層14の厚みは、蛍光体層14の端部を除いた所定の領域内の格子点や等間隔にとった8点~9点において、各点を含む基材の平面方向と垂直な断面についてSEM画像を解析することで測定する。例えば、蛍光体層14が所定の幅を有する円環状に形成されている場合、図6に示されるように、蛍光体層14の幅をLとして、内側0.1L、外側0.1Lを除いた円環状の領域(所定の領域)内に周方向に等間隔に8点(図6の●)とって、それぞれの点を含む断面で測定することが好ましい。このとき、蛍光体層14の幅Lの中心を通る円周上に点をとることがより好ましい。また、断面は、波長変換部材20の中心を通る面であることが好ましい。
蛍光体粒子16の平均粒径は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。10μm以上である場合、変換光の発光強度が大きくなり、ひいては波長変換部材20の発光強度が大きくなる。また、50μm以下である場合、個々の蛍光体粒子16の温度を低く維持でき、温度消光を抑制できる。また、波長変換部材20を回転させた際の蛍光体粒子16の脱粒を抑制できる。
蛍光体粒子16は、入射光(光源光)を吸収して、変換光を放射する。例えば、YAG系蛍光体は、入射光を吸収して、黄色の変換光を放射する。LAG系蛍光体は、入射光を吸収して、緑色の変換光を放射する。したがって、例えば、光源光が青色または紫色であるときは、光源光と変換光を合わせて、白色の出射光を出射することができる。
基材12が円盤状に形成されている波長変換部材20は、円環状の蛍光体層14が周方向に複数の領域に分割され、各領域に異なる種類の蛍光体粒子16が使用されていてもよい。例えば、蛍光体層14が周方向に3等分され、2つの領域にそれぞれ青色の光源光を吸収して赤色の変換光を放射する蛍光体粒子、青色の光源光を吸収して緑色の変換光を放射する蛍光体粒子が使用され、1つの領域が青色の光源光を反射する領域として設定されると、青色の光源光に対し、見かけ上白色の放射光を得ることができる。このとき、青色の光源光を反射する領域は、蛍光体粒子を含まない透光性セラミックスの層としてもよいし、反射面上に層を設けなくてもよい。なお、このように円環状の蛍光体層14が周方向に複数の領域に分割され、各領域に異なる種類の蛍光体粒子16が使用される場合、蛍光体層14の平均厚みと最大値および最小値の蛍光体層の平均厚みからのずれは、各領域ごとに測定する。
波長変換部材20は、基材12の蛍光体層14が設けられた反射面13の平面度が十分に高いため、波長変換部材20がモーターに取り付けられ、蛍光体層14への照射箇所が照射中に次々に動的に変更される場合であっても、変更中の出射光の発光強度のバラツキを低減できる。
[発光装置の構成]
図7は、第2の実施形態の波長変換部材20を用いた発光装置100を表す模式図である。以下の説明では、波長変換部材20を用いた発光装置100について説明するが、発光装置100は、第1の実施形態の波長変換部材10を用いたものであってもよい。その場合、以下の構成の中には、必要でないものも含まれる。発光装置100は、少なくとも波長変換部材10または波長変換部材20と、発光素子110とを備える。
発光装置100は、上記の構成のほか、モーター30、表示デバイス120、投射光学系130、レンズ131、ダイクロイックミラー132などにより構成される。また、発光装置100の設計に応じて、図に記載していない、ミラー、ダイクロイックミラー、レンズ、プリズムなどを使用することもできる。
発光素子110は、発光装置100に用いられる蛍光体を励起する入射光(励起光)を照射する。発光素子110は、発光装置100に用いられる蛍光体の種類に応じて、蛍光体を励起させる入射光を発するものを選択することができるが、発光素子110が照射する入射光は、様々な蛍光体に対応できる青色光、紫色光、または紫外光であることが好ましい。また、発光装置100に用いられる波長変換部材10または波長変換部材20はハイパワーの用途に適しているため、発光素子110は、レーザダイオードであることが好ましい。
表示デバイス120は、発光装置100が投影する画像を表示する。表示デバイス120は、液晶パネル、デジタルミラーデバイス(DMD)などを用いることができる。
投射光学系130は、波長変換部材10または波長変換部材20から射出された放射光を用いて表示デバイス120に表示された画像を外部に投射する。投射光学系130は、複数のレンズ131からなり、ズームやピントの調整をする。
本発明の発光装置100は、出射光のバラツキを低減した波長変換部材20を用いて構成されるので、明るさの増減に伴う明滅を生じさせるフリッカーノイズの発生を低減できる。また、出射光のバラツキを低減した波長変換部材10を用いて発光装置100を構成する場合、本発明の発光装置100は、波長変換部材10の組み込み時に微調整をしない場合でも、製品間の発光のバラツキを低減できる。
[波長変換部材の製造方法]
波長変換部材の製造方法の一例を説明する。図8は、本発明の波長変換部材の製造方法を示すフローチャートである。最初に、金属板を打抜きプレス加工し、所定の形状に形成された基材を作成する(ステップS1)。次に、基材の所定の位置における平面度を測定し、基準を満たす基材を選別する(ステップS2)。平面度の測定は、レーザ顕微鏡を用いて行なう。基材の平面度は、0.10mm以下のものを合格品として使用する。
これらとは別に、蛍光体粒子と無機バインダとを混合して蛍光体ペーストを作製する(ステップS3)。まず、所定の平均粒径を有する蛍光体粒子を準備する。蛍光体粒子は、波長変換部材の設計に応じて、様々なものを用いることができる。2種類以上を使用してもよい。次に、準備した蛍光体粒子を秤量し、溶剤に分散させ、無機バインダと混合し、印刷用の蛍光体ペーストを作製する。混合にはボールミルやプロペラ撹拌などを用いることができる。混合時間は、ボールミルの場合、3分以上30分以下であることが好ましい。プロペラ撹拌の場合、5分以上120分以下であることが好ましい。これにより、蛍光体層の厚みのバラツキを低減できる。溶剤は、α-テルピネオール、ブタノール、イソホロン、グリセリン等の高沸点溶剤を用いることができる。
また、無機バインダは、エチルシリケート等の有機シリケートであることが好ましい。有機シリケートを用いることで蛍光体粒子が蛍光体ペースト全体に分散し、適切な粘度の蛍光体ペーストを作製することができる。例えば、無機バインダとしてエチルシリケートを用いるときは、水および触媒の質量に対して、エチルシリケートを70wt%以上100wt%以下、好ましくは80wt%以上90wt%以下の質量とする。その他、無機バインダは、加水分解あるいは酸化により酸化ケイ素となる酸化ケイ素前駆体、ケイ酸化合物、シリカ、およびアモルファスシリカからなる群のうちの少なくとも1種を含む原料を、常温で反応させるか、または、300℃以下の温度で熱処理することにより得られたものであってもよい。熱処理を行い固化させるバインダを用いる場合、常温での経時変化が小さく、インクの流動性を安定して保つことができるため、蛍光体層の厚みのバラツキを小さくできる点で好ましい。酸化ケイ素前駆体としては、例えば、ペルヒドロポリシラザン、エチルシリケート、メチルシリケートを主成分としたものが挙げられる。
次に、平面度測定選別工程において選別した基材の表面に蛍光体ペーストを塗布してペースト層を形成する(ステップS4)。蛍光体ペーストの塗布は、スクリーン印刷法、スプレー法、ディスペンサーによる描画法、インクジェット法を用いることができる。スクリーン印刷法を用いると、厚みの均一なペースト層を安定的に形成できるので好ましい。また、ペースト層の厚みは、焼成後に所定の厚みになるように調整する。円盤状の基材を用いる場合、ペースト層は円環状に形成することが好ましい。
そして、塗布した蛍光体ペーストを、300℃以下の温度で熱処理することで蛍光体層を形成する(ステップS5)。熱処理温度は、150℃以上300℃以下であることが好ましく、熱処理時間は、0.5時間以上2.0時間以下であることが好ましい。また、昇温速度は、50℃/h以上200℃/h以下であることが好ましい。また、熱処理前に乾燥工程を設けてもよい。乾燥工程を設ける場合も、その温度は300℃以下とする。熱処理温度や乾燥温度が300℃より大きくなると、基材が熱変形する虞が増大し、平面度を維持できなくなる場合がある。乾燥温度は100℃以上150℃以下が好ましく、乾燥時間は20分以上60分以下であることが好ましい。
このような製造工程により、基材の平面度が高く、蛍光体層の厚みが均一な波長変換部材を容易に製造できる。得られた波長変換部材は、基材の蛍光体層が形成される反射面の平面度が十分に高いので、波長変換部材を発光装置に組み込んだときの発光装置の製品間の出射光の発光強度のバラツキを低減できる。また、蛍光体層への照射箇所が照射中に動的に変更される場合や照射箇所を事後的に変更する必要が生じた場合等に、変更前後の出射光の発光強度のバラツキを低減できる。また、ハイパワーで発光強度を高くできる。
[実施例および比較例]
(試料の作製)
(実施例1)
基材として打抜きプレス加工により直径φ70mm、中心の貫通孔φ10.8mm、厚みt0.5mmの円板状のアルミニウム基材を準備した。次に、基材の蛍光体層を形成する反射面の平面度を測定して選別した。実施例1の基材の平面度は0.10mmであった。
蛍光体層として、平均粒子径15μmのYAG系蛍光体と、溶媒としてα‐テルピネオール、無機バインダとしてエチルシリケートを秤量し、プロペラ撹拌で30分間混合することで原料ペーストを作製した。得られた原料ペーストを熱処理後の層の平均厚みが100μmとなるようにスクリーン印刷により基材上に塗布し、塗布後の基材を100℃で20分乾燥した後、電気炉を用いて非酸化性雰囲気で150℃/hで150℃まで昇温し、60分熱処理をすることにより実施例1の試料を作製した。
(実施例2)
基材の平面度が0.03mmであるものを使用したことを除き、実施例1と同様の水準で試料を作製した。
(実施例3)
プロペラ撹拌による混合時間を5分間に変更して原料ペーストを作製したことを除き、実施例1と同様の水準で試料を作製した。
(実施例4)
プロペラ撹拌による混合時間を3分間に変更して原料ペーストを作製したことを除き、実施例1と同様の水準で試料を作製した。
(比較例1)
基材をレーザ加工により形成したことを除き、実施例1と同様の水準で試料を作製した。なお、このときの基材の平面度は0.21mmであった。
(比較例2)
実施例1と同様の基材を蛍光体層形成前に350℃で熱処理し、意図的に平面度を0.14mmとしたことを除き、実施例1と同様の水準で試料を作製した。
[試料の評価]
(波長変換部材の発光の均一性の評価)
作製したそれぞれの試料について、周方向に等間隔な8点に対し、青色レーザ光を1.0Wの出力で照射し、放射光の照度(lx)を照度計で測定することで、蛍光の状態について確認した。図9は、波長変換部材に対する発光強度試験のための反射型の評価システムを示す概念図である。測定結果について、光量の最大値または最小値と平均値との差がそれぞれ8%以下の場合を特に発光のバラツキが抑えられたと判断し合格(◎)、それぞれ10%以下の場合も前記には及ばないが発光のバラツキが抑えられたと判断し合格(〇)、いずれかが10%より大きかった場合を不合格(×)とした。
(平面度の測定)
熱処理後の基材の平面度が変化していないかどうかについて、レーザ顕微鏡を用いて非接触により、基材の平面度を測定した8点に対応する基材裏面(蛍光体層の反対面)の8点の高さを測定し、測定値の最大値と最小値の差をとることで算出した。試料の基材は、厚みの均一性が高く表面および裏面の平行度も高いので、このような方法でも平面度の変化を測定することができる。
(層厚の測定)
平面度を測定した8点それぞれを通り、基材の平面方向と垂直な断面についてSEM画像で確認することで、層厚(蛍光体層の厚み)を測定した。層厚の平均値(平均厚み)を算出し、最大値および最小値と平均厚みとの差を求め、平均厚みに対する割合を%で求めた。図10の表には、そのうちの大きい方を記載している。数値が大きいものほど、層厚のバラツキが大きいことを示している。
図10は、各試料の各種測定結果を表す表である。基材の平面度および蛍光体層の厚みバラツキが共に良好である実施例1~3の波長変換部材は、蛍光体層のいずれの場所においても、変換光の照度に均一性があった。これにより、製品間の照度のバラツキも生じにくく、また、光源光の照射箇所が一点の留まらない回転ホイール用途としても好適に使用することができることを確認した。
また、混合時間を特に短くした実施例4は、蛍光体層の厚みのバラツキが大きくなっていた。蛍光体層の厚みのバラツキが大きかった実施例4は、実施例1~3と比較して若干照度のバラツキが生じたものの、基材の平面度が優れるため回転ホイール用途としたときに基材のブレが生じることなく使用することができることを確認した。
一方、比較例においては照射箇所により照度にバラツキが生じており、回転ホイール用途として使用した場合に、明るさの増減に伴う明滅が生じた。比較例1、2は、いずれも基材の平面度が大きいだけでなく蛍光体層の厚みのバラツキも大きくなった。これは蛍光体ペーストの印刷の際に基材の平面度が大きかったことが影響を与えたためと考えられる。これにより、蛍光体ペースト塗布時の基材の平面度が小さい場合、同一の蛍光体ペーストを使用しても蛍光体層の厚みのバラツキが小さくなることが確かめられた。
また、平面度の測定では、実施例1から4および比較例1および2について、300℃で熱処理した後の基材の平面度に変化はなかった。一方、比較例2では、蛍光体層を形成する熱処理前に基材を350℃で熱処理したところ、基材の平面度が0.10mmから0.14mmに変化していた。これにより、300℃以下で熱処理をしても、基材の平面度に変化はないことが確かめられた。
以上の結果によって、本発明の波長変換部材は、波長変換部材を発光装置に組み込んだときの発光装置の製品間の出射光の発光強度のバラツキを低減できることが確かめられた。また、蛍光体層への照射箇所が照射中に動的に変更される場合や照射箇所を事後的に変更する必要が生じた場合等に、変更前後の出射光の発光強度のバラツキを低減できることが確かめられた。また、円盤状に形成された波長変換部材は、プロジェクター等の発光装置の用途に好適に使用できることが確かめられた。また、本発明の波長変換部材の製造方法は、上記のような波長変換部材を製造できることが確かめられた。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形および均等物に及ぶことはいうまでもない。また、各図面に示された構成要素の構造、形状、数、位置、大きさ等は説明の便宜上のものであり、適宜変更しうる。
10、20 波長変換部材
12 基材
13 反射面
14 蛍光体層
16 蛍光体粒子
18 透光性セラミックス
22 貫通孔
30 モーター
50 ホイールデバイス
100 発光装置
110 発光素子
120 表示デバイス
130 投射光学系
131 レンズ
132 ダイクロイックミラー

Claims (5)

  1. 波長変換部材であって、
    一方の主面に光を反射する反射面を有する基材と、
    前記基材の前記反射面に設けられ、蛍光体粒子と透光性セラミックスとで形成された蛍光体層と、を備え、
    前記基材の前記蛍光体層が設けられた前記反射面は、平面度が0.10mm以下であることを特徴とする波長変換部材。
  2. 前記蛍光体層の厚みの最大値および最小値と前記蛍光体層の平均厚みの差が前記蛍光体層の平均厚みに対して10%以下であることを特徴とする請求項1記載の波長変換部材。
  3. 前記基材は、円盤状に形成され、
    前記蛍光体層は、前記基材の半径方向に所定の幅を有する円環状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の波長変換部材。
  4. 発光装置であって、
    特定範囲の波長の光を発する発光素子と、
    請求項1から請求項3のいずれかに記載の波長変換部材と、を備えることを特徴とする発光装置。
  5. 波長変換部材の製造方法であって、
    金属板を打抜きプレス加工し、所定の形状の基材を作製する基材作製工程と、
    前記基材の所定の位置における平面度を測定し、基準を満たす前記基材を選別する平面度測定選別工程と、
    蛍光体粒子と無機バインダとを混合して蛍光体ペーストを作製する蛍光体ペースト作製工程と、
    前記平面度測定選別工程において選別した前記基材の表面に前記蛍光体ペーストを塗布する蛍光体ペースト塗布工程と、
    前記塗布した蛍光体ペーストを、300℃以下の温度で熱処理することで蛍光体層を形成する熱処理工程と、を含むことを特徴とする波長変換部材の製造方法。
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