JP6902373B2 - 波長変換部材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光体粒子を含む波長変換部材およびその製造方法に関する。
蛍光体を用いた発光装置は、LED等の光源からの吸収光によって励起した蛍光体が異なる波長の変換光を放出する現象を利用している。近年、エネルギー効率が高く、小型化、高エネルギー密度に対応しやすい高出力のレーザダイオード(LD)を励起源として用いたアプリケーションが増えている。
しかし、従来用いられていたエポキシやシリコーンなどに代表される樹脂に蛍光体を分散させた構造では、レーザ照射箇所の樹脂が焼け焦げてしまい、長寿命化することができなかった。これに対し、樹脂の代わりに無機バインダを使用し、無機材料のみからなる波長変換部材が考案され、レーザをはじめとした高エネルギーの励起源を用いた場合の耐熱性の課題が解決された。
特許文献1は、基板上に透光性層を介して設けられた粒状の無機蛍光体を含有する蛍光体層を有しており、無機蛍光体は、無機蛍光体の粒子を被覆し粒子同士を互いに固着させるセラミックスからなる被覆層により被覆される、透過型の色変換用無機成形体等を開示している。この技術は、無機蛍光体が被覆層に被覆されることで透光性層に固着されている。
特開2013−216800号公報
従来技術に用いられる無機バインダは脆性材料であり、内部クラックや外部粒子との間の隙間等により表面硬度が低下し、脱粒が発生することがある。また、特許文献1記載の技術は、蛍光体層の内部に空隙が形成されているので、その空隙を起点としてクラックが発生し脱粒が発生する虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、蛍光体層上に被覆層を形成することで、表面硬度が向上し、蛍光体粒子の脱粒を防止できる波長変換部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の波長変換部材は、基材と前記基材上に設けられ、吸収光に対し変換光を発する蛍光体粒子と透光性の無機材料と空隙とからなる蛍光体層を備える、特定範囲の波長の光を他の波長の光に変換する波長変換部材であって、前記蛍光体層上に設けられ、前記蛍光体粒子の劣化温度以下の融点または軟化点を有する透光性の無機材料からなる被覆層と、を備え、前記被覆層の厚さが、7μm以上25μm以下であることを特徴としている。
これにより、蛍光体層上に被覆層が形成されているため、表面硬度が向上し、蛍光体粒子の脱粒を防止できる。被覆層は、透光性の無機材料からなるため、蛍光体層による発光を透過できる。また、被覆層の軟化点または融点が、蛍光体層を構成する蛍光体粒子の劣化温度よりも低いため、被覆層形成時に蛍光体粒子の蛍光機能の低下が抑制される。さらに、波長変換部材の表面硬度が向上するとともに、波長変換部材からの蛍光体粒子の脱粒を防止できる。
なお、蛍光体粒子の劣化温度とは、未加熱処理の蛍光体粒子発光強度の90%の発光強度になるときの熱処理温度とした。
(2)また、本発明の波長変換部材は、前記被覆層が、Si−Bi−B系材料で形成されていることを特徴としている。これにより、波長変換部材の表面硬度が向上するとともに、波長変換部材からの蛍光体粒子の脱粒を防止できる。
(3)また、本発明の製造方法は、上記(1)または(2)に記載の波長変換部材の製造方法であって、蛍光体層上に前記蛍光体層を構成する蛍光体粒子の劣化温度よりも低い軟化点または融点を有する無機材料を含む被覆ペーストを塗布する工程と、前記無機材料が軟化する温度で熱処理し、透光性を有する被覆層を形成する工程と、を含むことを特徴としている。このように、蛍光体層の形成後に前記蛍光体層を構成する蛍光体粒子の劣化温度よりも低い軟化点または融点を有する無機材料を軟化させることで、蛍光体粒子の蛍光機能を損なわずに蛍光体層上に被覆層を形成できる。その結果、表面硬度を高め、蛍光体粒子の脱粒を防止した波長変換部材を容易に製造できる。
本発明によれば、蛍光体層上に被覆層が形成されているため、表面硬度が向上し、蛍光体粒子の脱粒を防止できる。被覆層は、透光性の無機材料からなるため、蛍光体層による発光を透過できる。また、被覆層の軟化点または融点が蛍光体層を構成する蛍光体粒子の劣化温度よりも低いため、被覆層形成時に蛍光体粒子の蛍光機能の低下が抑制される。
本発明の波長変換部材を表す模式図である。 本発明の波長変換部材の製造方法を示すフローチャートである。 鉛筆硬度試験および発光強度試験の条件および結果を表す表である。 波長変換部材に対する発光強度試験のための透過型の評価システムを示す断面図である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
[波長変換部材の構成]
図1は、本発明の波長変換部材10を表す模式図である。波長変換部材10は、基材12上に蛍光体層14が形成され、蛍光体層14上に被覆層16が形成されている。波長変換部材10は、光源から照射された吸収光を透過または反射させつつ、吸収光により励起して波長の異なる光を発生させる。例えば、青色光の吸収光を透過または反射させつつ、蛍光体層14で変換された緑と赤や黄色の変換光を放射させて、変換光と吸収光を合わせて、または、変換光のみを利用し、様々な色の光に変換できる。
基材12の材料は、アルミニウム、サファイア、ガラス等を用いることができる。透過型の基板は、透光性を有する材料で製造する。反射型の基板は、基材のすべてを、光を反射する材料で製造することもできるが、透光性を有する材料の一面に光を反射する材料をメッキなどで設けてもよい。発光強度の観点から、光が透過する部分は少なくとも吸収光を吸収しにくい材料とする。また、高エネルギーの光が照射されて温度が高くなるので、熱伝導性が高い方がよい。
蛍光体層14は、基材12上に膜として設けられ、蛍光体粒子18、結合材20および空隙22により形成されている。結合材20は、蛍光体粒子18同士を結合するとともに蛍光体粒子18と基材12とを結合している。これにより、高エネルギー密度の光の照射に対して、放熱材として機能する基材12と接合しているため効率よく放熱でき、蛍光体の温度消光を抑制できる。蛍光体層14の厚さは、ペースト状態で5μm以上200μm以下であればよく、10μm以上100μm以下であることが好ましい。
蛍光体粒子18は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG系蛍光体)およびルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG系蛍光体)を用いることができる。その他、蛍光体粒子18は、発光させる色の設計に応じて以下のような材料から選択できる。例えば、BaMgAl1017:Eu、ZnS:Ag,Cl、BaAl:EuあるいはCaMgSi:Euなどの青色系蛍光体、ZnSiO:Mn、(Y,Gd)BO:Tb、ZnS:Cu,Al、(M1)SiO:Eu、(M1)(M2)S:Eu、(M3)Al12:Ce、SiAlON:Eu、CaSiAlON:Eu、(M1)SiN:Euあるいは(Ba,Sr,Mg)SiO:Eu,Mnなどの黄色または緑色系蛍光体、(M1)SiO:Euあるいは(M1)S:Euなどの黄色、橙色または赤色系蛍光体、(Y,Gd)BO:Eu,YS:Eu、(M1)Si:Eu、(M1)AlSiN:EuあるいはYPVO:Euなどの赤色系蛍光体が挙げられる。なお、上記化学式において、M1は、Ba,Ca,SrおよびMgからなる群のうちの少なくとも1つが含まれ、M2は、GaおよびAlのうちの少なくとも1つが含まれ、M3は、Y、Gd、LuおよびTeからなる群のうち少なくとも1つが含まれる。なお、上記の蛍光体粒子18は一例であり、波長変換部材10に用いられる蛍光体粒子18が必ずしも上記に限られるわけではない。
結合材20は、無機バインダが加水分解または酸化されて形成されたものであり、透光性を有する無機材料により構成されている。結合材20は、例えばシリカ(SiO)、リン酸アルミニウムで構成される。結合材20は無機材料からなるので、レーザダイオード等の高エネルギーの光が照射されても変質しない。また、結合材20は透光性を有するので、吸収光や変換光を透過させることができる。無機バインダとしては、エチルシリケート、リン酸アルミニウム水溶液等を用いることができる。
空隙22は、基材12、蛍光体粒子18、結合材20のうちのいくつかで囲まれた部分であり、内部に空気等の気体を含む。空隙22を有することにより、使用時の発熱による蛍光体層14の膨張を緩和することができるが、空隙22はクラックの起点になるので、その表面硬度は低下する。
被覆層16は、透光性を有する無機材料により構成されている。これにより、レーザダイオード等の高エネルギーの光が照射されても変質せず、吸収光や変換光を透過させることができる。被覆層16を形成する無機材料は、蛍光体粒子18の劣化温度よりも低い温度の軟化点または融点を有する。これにより、被覆層16の形成時に加えられる熱による蛍光体粒子18の蛍光機能の低下が抑制される。また、被覆層16を形成する無機材料は、熱処理後に透光性を発現する物質であってもよい。
被覆層16の厚さは、7μm以上25μm以下であることが好ましい。7μmより小さいと表面硬度があまり向上せず、25μmより大きいと発光強度が低くなるからである。また、被覆層16部分には、蛍光体層14に存在する空隙よりも大きいサイズの空隙が存在しないことが好ましい。また、被覆層16を形成する無機材料は、ガラスであることが好ましく、Si−Bi−B系ガラスであることがさらに好ましい。軟化点または融点が600℃以下であるため、蛍光体粒子18がYAG粒子である場合でも、被覆層16形成の際の熱処理による蛍光体粒子18の蛍光機能の低下を抑制できるからである。また、Na、Kなどのアルカリ成分を添加することで軟化点を低下させることも可能であるが、可視光の透過率に影響を及ぼすことから好ましくない。
被覆層16を形成する無機材料は、結合材20を形成する無機材料よりも、鉛筆硬度が高いほうが好ましい。また、被覆層16の鉛筆硬度は、3H以上であることが好ましい。これにより、波長変換部材10の表面硬度がより向上する。鉛筆硬度については後述する。
なお、透光性を有する物質とは、0.5mmの対象物質に対して、可視光の波長領域(λ=380〜780nm)で光を垂直に入射したとき、反対側から抜けた光の放射束が入射光の80%を超える特性を有する物質をいう。
[波長変換部材の製造方法]
波長変換部材の製造方法の一例を説明する。図2は、本発明の波長変換部材の製造方法を示すフローチャートである。最初に蛍光体ペーストを作製する。まず、蛍光体粒子を準備する(ステップS1)。蛍光体粒子には、例えばYAG、LAG等の粒子を用いることができる。蛍光体粒子の平均粒子径は、1μm以上30μm以下であり、5μm以上20μm以下であることが好ましい。蛍光体の粒子径が5μm以上となることで、励起光(光源光)の吸収率が向上し、光の変換効率が向上するからである。また、20μm以下とすることで、蛍光体と無機材料で構成される蛍光体層の膜厚の均一性、発光の面内均一性が向上するからである。なお、本明細書において平均粒子径とは、メジアン径(D50)である。平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置の乾式測定または湿式測定を用いて計測することができる。
次に、準備した蛍光体粒子を溶剤に分散させ、無機バインダと混合し、蛍光体ペーストを作製する(ステップS2)。混合にはボールミル等を用いることができる。溶剤は、α−テルピネオール、ブタノール、イソホロン、グリセリン等の高沸点溶剤を用いることができる。無機バインダは、エチルシリケート等の有機シリケートを用いることができる。その他、無機バインダは、加水分解あるいは酸化により酸化ケイ素となる酸化ケイ素前駆体、ケイ酸化合物、シリカ、およびアモルファスシリカからなる群のうちの少なくとも1種を含む原料を、常温で反応させるか、または、500℃以下の温度で熱処理することにより得られたものであってもよい。酸化ケイ素前駆体としては、例えば、ペルヒドロポリシラザン、エチルシリケート、メチルシリケートを主成分としたものが挙げられる。
ここで、蛍光体ペーストには、蛍光体粒子以外の無機粒子を混合することもできる。無機粒子を混合する場合には、様々な目的にかなった無機粒子を混合できる。例えば、蛍光体ペーストの粘度を調整する目的、蛍光体ペーストの蛍光体粒子の密度を調整する目的、蛍光体層で光を散乱させる目的、蛍光体層の熱伝導率をよくする目的、蛍光体層の空隙を減少させる目的等が挙げられる。しかし、無機粒子を添加しすぎると蛍光体層に占める蛍光体粒子の体積割合が低下するので好ましくない。
蛍光体ペーストの作製後、基材上に蛍光体ペーストを塗布して蛍光体ペースト層を形成する(ステップS3)。基材は板状であることが好ましい。蛍光体ペーストの塗布は、スクリーン印刷法、スプレー法、ディスペンサーによる描画法、インクジェット法を用いることができる。スクリーン印刷法を用いると、厚さの薄い蛍光体ペースト層を安定的に形成できるので好ましい。蛍光体ペースト層の厚さは、5μm以上200μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下であることがより好ましい。
そして、蛍光体ペースト層を形成した基材を焼成し、蛍光体層を作製する(ステップS4)。焼成温度は、150℃以上500℃以下であることが好ましく、焼成時間は、0.5時間以上2.0時間以下であることが好ましい。また、昇温速度は、50℃/h以上200℃/h以下であることが好ましい。
蛍光体層の作製後、蛍光体層上に被覆ペーストを塗布して被覆ペースト層を形成する(ステップS5)。被覆ペーストの塗布も、スクリーン印刷法、スプレー法、ディスペンサーによる描画法、インクジェット法を用いることができ、これらのうち、スクリーン印刷法が好ましい。被覆ペースト層の厚さは、被覆層として、7μm以上25μm以下となるように厚さを適宜調整し設定することが好ましい。
そして、被覆ペースト層を形成した基材を熱処理し、被覆層を作製する(ステップS6)。このようにして、蛍光体層上に被覆層が形成された波長変換部材を作製する。熱処理温度は、380℃以上900℃以下であることが好ましく、熱処理時間は、1分以上1時間以下であることが好ましい。
このような製造工程により、表面硬度が高く、蛍光体粒子の脱粒を防止できる波長変換部材を容易に製造できる。また、本発明の波長変換部材は、蛍光体層の表面が無機材料からなる被覆層を備えるので、高出力のレーザダイオードを励起源として用いた発光装置に好適に使用でき、蛍光体層の表面硬度が被覆層を備えない従来の蛍光体層よりも高いので、長寿命の発光装置を構成できる。
[実施例および比較例]
(試料の作製方法)
蛍光体粒子(YAG粒子)とα−テルピネオール(溶剤)を混合した分散材と、エチルシリケート(無機バインダ)をそれぞれ作製した。次に、分散材とエチルシリケートを7:3の質量割合で混合して蛍光体ペーストを作製した。そして、スクリーン印刷法を用いてサファイア基板に蛍光体ペーストを30μmの厚さになるよう塗布した。塗布後に150℃/hで350℃まで昇温し、30分焼成して蛍光体層を作製した。
次に、低融点ガラスとα−テルピネオールを混合し、印刷用ガラスペースト(被覆ペースト)を作製した。実施例1〜5および比較例2〜5は、Si−Bi−B系材料の低融点ガラス(日本フリット(株) EY0077U30)を用いた。実施例6および7は、それぞれ、Si−B−Zn系材料のガラス(日本フリット(株) CY0090)およびSi−B−Ca−Sr−Ba系材料のガラス(日本フリット(株) CK5454)を用いた。そして、蛍光体層を形成したサファイア基板に、スクリーン印刷法を用いて印刷用ガラスペーストを塗布した。塗布後に420〜730℃で5分の熱処理を行い、実施例および比較例の波長変換部材を作製した。被覆層の組成は、図3の表のとおりであった。また、被覆ペーストを塗布しない比較例1の波長変換部材も作製した。なお、実施例および比較例の蛍光体層を形成する無機材料の融点または軟化点は、1500℃以上であるため、被覆層を形成するための熱処理によって蛍光体層を形成する無機材料は変質しない。
(蛍光体粒子の劣化温度の測定)
熱処理していない蛍光体粒子(YAG粒子)、400〜1000℃の一定の温度で60分間熱処理した蛍光体粒子(YAG粒子)を準備した。これらの蛍光体粒子を用いて、上記の試料の作製方法と同じ方法で蛍光体層を作製し、被覆層のない波長変換部材を作製した。作製した波長変換部材に対して、透過型のレーザ照射試験(後述)を行った。そして、熱処理していない蛍光体粒子を用いた波長変換部材の発光強度を基準(100)とし、各温度で熱処理した蛍光体粒子を用いた波長変換部材の発光強度の相対値を算出した。その結果、蛍光体粒子としてYAG粒子を用いた場合、YAG粒子は熱処理温度の上昇により徐々に発光強度が小さくなり特性劣化は進むものの、合格基準(相対値で90)を切るのは900℃であった。
蛍光体粒子の劣化温度の測定の結果、YAG粒子の劣化温度は900℃であることがわかった。そのため、蛍光体粒子としてYAG粒子を用いる場合、被覆層を形成する無機材料の融点または軟化点は、900℃以下とすることができる。つまり、蛍光体粒子としてYAG粒子を用いる場合、融点または軟化点が900℃以下の無機材料を用いて、被覆層を形成することができる。蛍光体粒子の劣化温度は蛍光体粒子の種類毎に異なるため、被覆層を形成する無機材料として使用できる材料も、蛍光体粒子毎に適切なものを選択すればよい。
(試料の評価方法)
図3は、上記の製造方法で製造した実施例および比較例の試料の鉛筆硬度試験および発光強度試験の条件および結果を表す表である。被覆層の厚さは、各試料のSEM断面写真を1000倍の倍率で撮影し、等間隔で10本の垂線を引き、被覆層のトップ面から蛍光体層のトップ面の距離を測定し、10本の線の平均長さから被覆層の厚さを算出した。鉛筆硬度試験は、JIS K5600−5−4の引っかき硬度(鉛筆法)による試験を実施して被覆層および蛍光体層の膜の硬度を測定した。
発光強度試験は、透過型のレーザ照射試験を行い、レーザパワー密度に対して透過した吸収光の強度を確認し、被覆層がない波長変換部材の発光強度を100としたときの発光強度の相対値を表した。引っかき硬度は3H以上、発光強度は90%以上を合格とし、総合判定はいずれも合格した試料を○、いずれか一方でも不合格の試料を×で表した。図4は、波長変換部材に対する発光強度試験のための透過型の評価システムを示す断面図である。図4に示すように、透過型の評価システム700は、光源710、平面凸レンズ720、両凸レンズ730、バンドパスフィルタ735、パワーメータ740で構成されている。波長変換部材10からの透過光を集光して測定できるように各要素が配置されている。
バンドパスフィルタ735は、波長480nmを閾値として光をカットするフィルタであり、透過した光源光(吸収光)を測定する際には波長の大きい側をカットするフィルタが用いられる。また、変換光の発光強度を測定する際には波長の小さい側をカットするフィルタが用いられる。このように、透過した光源光を変換光と切り分けるために、両凸レンズ730とパワーメータ740の間に設置される。
このように構成されたシステムにおいて、平面凸レンズ720に入った光源光は、波長変換部材の試料S上の焦点へ集光される。そして、試料Sから生じた放射光を両凸レンズ730で集光し、その集光された光についてバンドパスフィルタ735でカットした光の強度をパワーメータ740で測定する。この測定値を変換光の発光強度とする。レーザ光をレンズで集光し、照射面積を絞ることで、低出力のレーザでも単位面積あたりのエネルギー密度が上げられる。このエネルギー密度をレーザパワー密度とする。
比較例1は、蛍光体層上に被覆層を設けていない波長変換部材である。これによると、発光強度に問題はなかったが、蛍光体層の鉛筆硬度は非常に低いので、表面にクラック等が生じ蛍光体粒子の脱粒が生じる虞がある。
比較例2、3、実施例1〜5、比較例4、5は、同じ組成を有するガラスペーストを用いて被覆層を形成し、被覆層の厚さを変化させた試料である。これによると、比較例2、3は、発光強度に問題はなかったが、被覆層の厚さが5μm以下と薄すぎたため、鉛筆硬度の大きな向上がみられず、被覆層および蛍光体層の硬度は大きくは改善しなかった。
実施例1〜5は、被覆層の厚さが十分だったため、被覆層および蛍光体層の膜の硬度は改善した。また、発光強度も基準を満たしていた。そして、被覆層を厚くすると鉛筆硬度も徐々に高くなることが分かる。
比較例4、5は、被覆層および蛍光体層の硬度は改善したが、被覆層の厚さが厚すぎたため、発光強度が弱くなってしまった。被覆層が厚いため発生した熱が十分放熱されず、蓄熱による蛍光体の温度消光が起きたため、および、厚い被覆層により光が吸収や散乱されたためと考えられる。
実施例6、7は、被覆層の組成が、Si−Bi−Bではないが、被覆層の硬度が改善し、発光強度も90%以上の値を有していた。しかしながら、実施例1〜5の発光強度の値よりは若干ではあるが、低い値であった。
以上の結果によって、本発明の波長変換部材は、表面硬度が高い、蛍光体粒子の脱粒を防止できる波長変換部材である。また、本発明の波長変換部材の製造方法により、表面硬度が高い、蛍光体粒子の脱粒を防止でき、発光強度の高い波長変換部材を容易に製造できることが分かる。
10 波長変換部材
12 基材
14 蛍光体層
16 被覆層
18 蛍光体粒子
20 結合材
22 空隙
700 評価システム
710 光源
720 平面凸レンズ
730 両凸レンズ
735 バンドパスフィルタ
740 パワーメータ

Claims (3)

  1. 基材と前記基材上に設けられ、吸収光に対し変換光を発する蛍光体粒子と透光性の無機材料と空隙とからなる蛍光体層を備える、特定範囲の波長の光を他の波長の光に変換する波長変換部材であって、
    前記蛍光体層上に設けられ、前記蛍光体粒子の劣化温度以下の融点または軟化点を有する透光性の無機材料からなる被覆層と、を備え、
    前記被覆層の厚さは、15μm以上25μm以下であることを特徴とする波長変換部材。
  2. 前記被覆層は、Si−Bi−B系材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の波長変換部材。
  3. 請求項1または請求項2記載の波長変換部材の製造方法であって、
    蛍光体層上に前記蛍光体層を構成する蛍光体粒子の劣化温度よりも低い融点または軟化点を有する無機材料を含む被覆ペーストを塗布する工程と、
    前記無機材料が軟化する温度で熱処理し、透光性を有する被覆層を形成する工程と、を含むことを特徴とする波長変換部材の製造方法。

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