JP2022064857A - 時計部品用射出成形金型 - Google Patents

Abstract

【課題】時計部品用射出成形金型、射出成形金型用中板、及びその製造方法を提供する。【解決手段】金型コアは、第１射出位置と第２離型位置の間で互いに対して可動な第１パーツ（１’）と第２パーツとを含み、第１射出位置は少なくとも１つの部品を含む射出パーツ（５０’）を形成するよう素材の射出を許可する射出キャビティを形成するため２つのパーツが集合する位置であり、第２離型位置は射出パーツ（５０’）の離型を許可するよう２つのパーツが互いに離れる位置であり、少なくとも１つのエジェクタは、射出部品の離型に寄与し、射出成形金型は、金型コアの２つのパーツと別個であり、可動であり、金型コアの２つのパーツ間に配置される、少なくとも１つの中板（１０’、２０’）を含み、少なくとも１つの中板は、射出成形金型の射出キャビティの少なくとも一部を形成する少なくとも１つの第１切欠き（１２’、２２’）を含む、射出成形金型。【選択図】図５

Description

本発明は、射出成形金型と、当該射出成形金型の中板に関する。本発明は、特に時計部品製造用の、特にマイクロインジェクションに適した射出成形金型に関する。本発明はまた、当該射出成形金型から時計部品及び時計を製造する方法に関する。

時計部品の製造は、特に当該部品は非常に小さい寸法を有し、非常に高度な機械的性質を必要とするという事実から、特に難しい。

時計部品の製造の一解決策は、マイクロインジェクションの使用からなり、これは離型後に部品を得るために、素材を、例えばポリマー、複合素材、金属、またはセラミックを、射出成形金型内へ射出することからなる。上述の要求により、現存の解決策は、更なる改善の余地を残している。より具体的には、現存の解決策は、欠点を有する。特に、マイクロインジェクションの型は非常に高額であり、部品の調節または部品の改善のために、簡単な態様での、多数の試験や寸法の変更を実施することが許されない。更に、非常に小さな寸法で非常に細長い形状の部品を含む、特定の部品は、特に射出成形金型からの取り出し段階中にその完全性を保証することが複雑なため、マイクロインジェクションでの製造が難しい。

欧州特許出願公開第３６７０４４０号明細書 欧州特許出願公開第３６７０４４１号明細書

このため、本発明は、以下の目的の全部または一部を達成することを目的とする。

本発明の第１目的は、時計部品の製造と両立可能な、素材の射出を用いた部品の製造の解決策を提案することからなる。

本発明の第２目的は、堅固な態様で、高いレベルの精度を得ることを許可する射出成形による部品の製造の解決策を提案することからなる。

本発明の第３目的は、信頼性のある形状精度を有する一方、射出成形金型の変更に著しい追加費用または過度な時間を必要とすることのない、調節のための繰り返し及びまたは様々な形状の変形例の射出成形を許可するために十分に柔軟である、部品の製造の解決策を提案することからなる。

このため、本発明は、金型コアと、少なくとも１つのエジェクタとを含む、射出成形金型であって、前記金型コアは、第１射出位置と第２離型位置の間で互いに対して可動な第１パーツと第２パーツとを含み、前記第１射出位置は少なくとも１つの部品を含む射出パーツを形成するよう素材の射出を許可する射出キャビティを形成するため前記２つのパーツが集合する位置であり、前記第２離型位置は前記射出パーツの離型を許可するよう前記２つのパーツが互いに離れる位置であり、前記少なくとも１つのエジェクタは、射出部品の離型に寄与するよう設計される、射出成形金型において、前記射出成形金型は、前記金型コアの前記２つのパーツと別個であり、可動であり、前記金型コアの前記２つのパーツ間に配置される、少なくとも１つの中板を含み、前記少なくとも１つの中板は、前記射出成形金型の前記射出キャビティの少なくとも一部を形成する少なくとも１つの第１切欠きを含む、射出成形金型に基づく。

本発明は具体的には請求項により定義される。

こうした本発明の主題、特徴及び利点は、添付の図面に対して非限定的な態様でなされる、特定の実施形態の以下の説明において、より詳細に説明される。

図１は、本発明の第１実施形態にかかる射出成形金型の部分組立品の概略断面図である。 図２は、本発明の第１実施形態にかかる射出成形金型の部分組立品の断面の斜視図である。 図３は、本発明の第１実施形態にかかる射出成形金型内へ射出することで得られるブランクの断面図である。 図４は、図３の射出パーツから得られる素地の斜視図である。 図５は本発明の第２実施形態にかかる射出成形金型の部分組立品の概略断面図である。 図６は、本発明の第１または第２実施形態にかかる射出成形金型の第１中板の上面からの図である。 図７は、本発明の第２実施形態にかかる第２中板２０’の上面からの図である。 図８は、本発明にかかる射出成形金型で形成された巻き上げ爪の斜視図である。 図９は、本発明にかかる射出成形金型で形成された巻き上げ爪の上面からの図である。 図１０は、本発明にかかる射出成形金型で形成された巻き上げ爪の側面図である。

理解を促進するため、２つの実施形態で同一の特徴を示すために、同一の参照番号が用いられ、第２実施形態の特徴には「’」が付される。

以下に詳細に説明するように、本発明のコンセプトは、少なくとも１つの可動中板を含む、モジュール式射出成形金型の使用に基づくものである。当該設計により、単に１以上の中板を変更することにより、変更毎に金型全体を製造する必要なく、柔軟な態様で射出成形金型を修正することが許可される。このため、本発明は、信頼且つ頑強な態様で、射出成形金型の多用途性を許可する。

より具体的には、本発明は、第１パーツと第２パーツを含む金型コアを含む射出成形金型に基づき、第１パーツと第２パーツは、当該２つのパーツが集合して射出キャビティを形成し、少なくとも１つの中板は当該２つのパーツ間に配置され両者に貢献し、射出ブランクまたは最終パーツの形成のために素材の射出を許可する第１射出位置と、射出パーツまたは最終パーツの除去を許可する第２離型位置との間で、互いに可動である。このような射出ブランクは、少なくとも１つの部品を含み、好ましくは複数の部品の同時射出成形を許可するスプルーツリー及びまたは支持物により接続された複数の部品を含む。この場合、同時に射出された部品と、その支持物は、その後、切断ステップによりスプルーツリーから分離される。射出成形金型の射出キャビティは、１以上の部品を同時に製造することを可能にする。こうした潜在的に複数の部品は、同一でもよく異なってもよい。

射出成形金型のコアの２つの可動パーツはまた、当該２つのパーツが互いに離れて、射出ブランクの離型を許可する、第２離型位置を取ることもできる。これを達成するため、射出成形金型は、射出ブランク（または部品）の離型に貢献するよう設計された、少なくとも１つのエジェクタを含む。

本発明によれば、射出成形金型はまた、金型コアの当該２つのパーツと別個であり可動であり、金型コアの当該２つのパーツ間に配置され、射出成形金型の射出キャビティの一部を形成する少なくとも１つの第１切欠きを含む、少なくとも１つの中板を含む。

図１は、図６に示す中板１０と協働する、第１実施形態に従った射出成形金型コアの第１パーツ１を示す。当該中板は、切欠き１２を含む。第１パーツ１と中板１０により形成される部分組立品は、射出段階中に射出パーツ５０の形成を許可するキャビティを画定する。注目すべきは、このような段階において、射出成形金型のコアの図示しない第２パーツは、閉鎖キャビティを形成するため、当該部分組立品１、１０と協働することである。

第２パーツは、金型の射出方向または閉鎖方向と呼ばれる、並進の方向Ｄに、第１パーツに接近するまたは離脱するよう動かされる。素材は、同じ方向Ｄに、射出キャビティ内へ射出スクリューから射出される。有利には、射出成形金型のコアの２つのパーツと中板は、射出方向に垂直な、実質的に平らな面を有する。更に、以下で詳細に説明されるように、この同じ射出方向Ｄに、異なるエジェクタ２、３が可動である。

第１パーツ１はまた、中板１０の切欠き１２に対して射出方向Ｄに重ね合わされる、切欠き５を含む。第１部品エジェクタ２が、第１パーツ１の切欠き５に配置される。射出構成において、当該エジェクタ２は、その端部が第１パーツの表面の延長に位置されるように、位置される。このように、当該端部は、射出キャビティの表面の一部を形成する。換言すれば、当該端部は、部品の形状を画定することに貢献する。加えて、第１エジェクタ２の近傍で、射出成形金型の第１パーツ１の切欠き５の領域内に、第２エジェクタ３が配置される。射出段階において、当該第２エジェクタ３もまた、射出キャビティの表面を形成する。当該表面は、第１エジェクタ２の末端面に対して後退される。当該表面は、以下に詳細に説明するように、射出パーツ５０の厚肉部を画定することを許可する。

中板１０の切欠き１２は、貫通開口である。切欠き１２はまた、中板の切欠き１２に正確に対応する形状に従ってエジェクタ２、３が位置されるよう、第１パーツの切欠き５の反対に位置される。中板の切欠き１２は、射出成形金型の射出キャビティの、特に製造すべき部品を正確に画定する射出キャビティの一部の形成に寄与する。より具体的には、中板１０の切欠き１２の側面が、射出部品の輪郭を画定する。切欠き１２はまた、主として射出成形金型のコアの第１パーツにより案内される少なくとも１つのエジェクタ２、３の変位を許可し、射出段階後の部品の取り出しを許可する。

この射出成形金型の設計により、射出キャビティは、別個の部品を互いに接続するものの製造すべき部品の一部を形成しない支持物５６を含む射出パーツ５０を形成することが可能になる。部品は、第１エジェクタ２に重ね合わされる射出パーツ５０の第１部分５２と、第２エジェクタ３に重ね合わされる射出パーツ５０の第２部分５３により、形成される。

このため、射出パーツ５０を形成するよう設計された射出成形金型の射出キャビティは、射出成形金型の第１射出位置において、主として、
－ 中板１０の第１切欠き１２と、
－ 第１エジェクタ２の端部であり、中板１０の面の１つと同一平面に位置される当該第１エジェクタ２の端部と、第２エジェクタ３の端部と、であって、当該２つのエジェクタは、金型の金型コアの第１パーツに配置され案内される、端部、及び
－ 射出パーツ５０の背面を、例えば平面を、画定する、図示しない金型コアの第２パーツ、
により区切られることが明らかである。

より具体的には、中板１０の切欠き１２の断面は、ほぞ以外の、時計部品の周囲、時計部品の側面６２を画定する射出成形金型のキャビティの表面を形成する。注目すべきは、図示した実施形態において、射出成形金型は、時計部品を、より具体的には特に図８から図１０に示される巻き上げ爪６０を製造するために用いられていることである。第２上述部分５３は、巻き上げ爪６０のほぞ６３を形成し、第１部分５２は、巻き上げ爪６０の側部６２を、特にくちばし６５を形成する。

もちろん、本発明は、上述の射出キャビティの特定の形状に限定されるものではない。より具体的には、中板１０と射出成形金型の２つの可動パーツの形状は、あらゆる他の所望の部品を形成するために適切であってもよい。同様に、射出成形金型は、異なる数の及びまたは異なる形状の部品エジェクタを含んでもよい。更に、射出成形金型の中板１０は、説明した切欠きとは別に、異なる形状を有する射出キャビティの少なくとも１つのパーツを形成するため、少なくとも１つの非貫通切欠き及びまたは少なくとも１つの表面のテクスチャ化を含んでもよい。

図２は、射出成形金型の部分組立品の斜視図をより詳細に示し、図によれば、射出成形金型は全般的に円筒形状を有し、その周囲で環状部分４６を形成し、その中において上述のエジェクタ２、３の複数の対の領域内に複数のキャビティが配置され、当該キャビティは、例えば本実施形態では複数の同一の巻き上げ爪といった、複数の部品を形成するよう設計されるように見える。

図３に示す射出パーツ５０は、このような射出成形金型を用いて射出段階中に形成される。射出素材は、環状形状の支持物５６により連結される、製造すべき様々な部品を含む環状部分４６にわたり、連続的に分布される。射出素材はまた、射出成形金型の中心部４４のより深いキャビティにも存在し、射出パーツ５０の取り扱いを可能にする、「スプルー引手インサート」と一般に呼ばれる、射出パーツ５０のロッドまたはバー５４を形成し、図示しない素材の射出チャネル内で射出スプルー５１を形成する。射出素材はまた、中央部４４と環状部分４６との間の中間区域４５にも存在し、射出パーツ５０の射出シート５５を形成する。周囲環状部分４６と中間区域４５との間の接続の領域において、切欠き線４７が形成され、当該切断線は、結果として生じる射出パーツの事前切断線５７を形成する。方法は、このため、事前切断線５７に沿った切断ステップを実施し、図４に示す部品５２、５３を含む支持物５６のみを保持することを許可する。

このような射出パーツ５０の形成後の取り出しを簡単にするため、射出成形金型はまた、射出パーツのバー５４と協働するよう設計される中央エジェクタ４を含む。射出成形金型はまた、環状部分４６上で製造される様々な部品の間に配置される、支持物５６エジェクタ６を含む。このように、第１実施形態にかかる射出金型の取り出しシステムは、これらエジェクタの案内機能を発揮する、射出成形金型のコアの第１パーツの内側に移動可能に搭載された、複数の補完的エジェクタを含む。

このように、中板１０は、取り出し段階中に、エジェクタの中板を通過する変位を許可するために、射出成形金型コアの第１パーツのエジェクタ６の領域に、貫通開口である補完的切欠き１６を含み、取り出し段階において、エジェクタは、図示の部分組立品から射出パーツを取り外すため、射出パーツと直接接触する。

上述のように、取り出しシステムは、製造すべき部品に適合することができ、様々な形状を取ることができる。しかしながら、製造すべき部品にかかわらず、少なくとも１つの支持物エジェクタを有することが有利である。このために、中板は、有利には、貫通開口であり、第１切欠き１２とは別個の、少なくとも１つの第２切欠き１６を含み、第１切欠きの主たる機能が製造すべき部品を具体的に形成する射出キャビティを画定することである一方、当該第２切欠きは、エジェクタの通過のためだけに設けられる。

当該実施形態において、複数のエジェクタは、製造すべき部品の領域で作用し、特に、ほぞと、ほぞを取り囲む部品の表面の領域、及び複数の部品を接続する支持物及びまたは射出シートからなる中央部の領域において、別個に作用する。当該アプローチは、金型からの取り出し中に射出パーツの変形を防ぐことを可能にし、大きな表面積を有しかつ薄いパーツに特に適している。当該アプローチはまた、例えばセラミックの射出により形成され、射出中にセラミックの粒子と結合剤とを含む、脆弱なブランクを取り出すために特に適している。

このように、射出成形金型コアの第１パーツ１は、異なるエジェクタが並進可動に配置される、複数の開口を含む。当該射出成形金型コアの第１パーツ１は、これらエジェクタの案内を形成する。中板１０は、これらエジェクタの領域で、エジェクタが取り出し段階中に射出素材と接触できるよう、当該中間板を貫通可能となるよう、貫通開口を含む。

上述のように、図３に示す、射出シート５５を形成する射出パーツ５０の中央部は、金型を開く際に、事前切断線５７に沿った切断と、中央エジェクタを用いた取り出しとにより、一般的に除去される。この結果、図４に図示され、支持物５６に固定された複数の部品を含む、環状形状のリングが得られる。例えば金属またはポリマー製のリングの場合には冷却により、またはセラミック製のリングの場合には結合剤の除去と焼結とにより、当該リングが固まると、個々の部品は、平坦精密研削により支持物５６から分離され、これにより各部品の面６６を画定することが可能になる。説明した例において、部品は、具体的には図８から１０に示す、巻き上げ爪である。

有利には、中板１０は、ＬＩＧＡ技術により製造される。当該アプローチは、既知の態様でのフォトリソグラフィーによる金型の形成と、その後の金型内への金属の堆積を含む。ＬＩＧＡ技術は、同じマスクを用いて複数の同一の中板の複製を可能にする一方、高いレベルの精度の中板を得ることを可能にするため、有利である。当該中板の側面は、射出部品の最終形状を画定することから、重要である。これを達成するため、中板１０の製造中に、特許文献１及びまたは特許文献２の教示内容を使用することが有利となるかもしれない。

変形例として、中板はまた、金属板への従来の機械加工によりまたはワイヤ加工によりまたはスタンピングによりまたはレーザ加工により、製造されてもよい。

射出方法の圧力及び温度は、十分な機械抵抗（Ｒｍ）と、少なくとも１００℃までの、または３００℃までの温度での形状安定性とを有する素材を必要とする。このため、中板は、ニッケルまたはニッケルの合金、高速度鋼、粉末冶金で製造されたＡＳＰ（登録商標）鋼、炭化タングステン、または金型の製造に従来から用いられているあらゆる鋼製であってよい。

中板の使用は、非常に多くの利点を有することに言及すべきであろう。特に、当該中板は、射出キャビティの著しい部分を、特に今回の場合は巻き上げ爪６０のくちばし６５の形状を、画定する。この当初の形状は、研磨といった仕上げステップで再加工されるものの、部品の信頼性ある将来の性能のために必須である。このため、中板が摩耗したときまたは時計部品の性能を向上させるためにわずかな変更が必要な場合、中板と、潜在的にエジェクタとを変更するだけで足りる。この射出成形金型のモジュール式構成は、中板の形状に柔軟性を与え、その切欠きは、１以上のエジェクタの通過を許可する一方でわずかに変更されることができる。

説明した射出成形金型は、マイクロインジェクションを許可することを強調することが重要である。射出成形金型は、ポリマー、複合材料、金属、またはより具体的にはセラミックを含む、様々な素材の使用を可能にする。このため、射出成形金型は、特にセラミック製の、時計部品の製造を可能にする。

本発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。特に、複数の、特に２つ、３つ、またはそれ以上の中板を用いることで、より複雑な形状を形成することもできる。

図５から７は、２つの中板を含む、第２実施形態にかかる射出成形金型を図示する。当該第２実施形態は、ブランクと、第１実施形態にかかる射出成形金型の例で説明した部品と同一の部品の製造の場合を例として、説明される。

図５は、第１中板１０’と第２中板２０’と協働する、第２実施形態にかかる射出成形金型コアの第１パーツ１’を示す。それぞれ図６と図７に図示されるこれら２つの中板１０’、２０’は、それぞれ切欠き１２’、２２’（貫通開口）を含み、その切欠き１２’、２２’は少なくとも部分的に重なり合う。射出成形金型コアの第１パーツ１’と２つの中板１０’、２０’とにより形成される部分組立品は、射出方向への３つの要素の重なり合わせに基づくもので、第２中板２０’は 射出成形金型コアの第１パーツ１’と第１中板１０’との間に位置される。当該部分組立品は、射出段階中に射出パーツ５０’の形成を許可する、キャビティを画定する。この段階において、射出成形コアの図示しない第２パーツは、閉鎖キャビティを形成するために当該部分組立品と協働することを注記する。

射出成形金型コアの第２パーツは、上述のように、金型の射出方向または閉鎖方向と呼ばれる、並進の方向Ｄ’に、第１パーツに接近するまたは離脱するよう動かされる。素材は、同じ方向Ｄ’に、射出キャビティ内へ射出される。有利には、射出成形金型のコアの２つのパーツと中板は、射出方向に垂直な、実質的な平面を有する。更に、この同じ射出方向Ｄ’に、異なるエジェクタが可動である。

射出成形金型コアの第１パーツ１’はまた、中板１０’、２０’の切欠き１２’、２２’上に、金型の射出方向及び閉鎖方向Ｄ’に少なくとも部分的に重ね合わされる、切欠き５’を含む。部品エジェクタ３’が、第１パーツ１’の切欠き５’に配置される。射出構成において、当該エジェクタ３’は、その末端表面がほぞ５３’の高さを画定するよう位置されるように、位置される。このように、当該末端表面は、射出キャビティの表面の一部を形成する。換言すれば、当該末端表面は、部品の形状を画定することに貢献する。当該表面は、射出キャビティを画定する２つの中板１０’、２０’の表面に対して後退される。当該表面は、以下に詳細に説明するように、射出パーツ５０’の厚肉部を画定することを可能にする。

図６に図示するように、第１中板１０’の切欠き１２’は、貫通開口である。これはまた、第２中板２０’の切欠き２２’にも適用される。これら２つの切欠き１２’、２２’は、エジェクタ３’が第２中板２０’の切欠き２２’の形状に実質的に対応する形状に従って位置されるように、第１パーツ１’の切欠き５’の反対に位置される。第２中板２０’の切欠き２２’は、射出成形金型の射出キャビティの、より詳細には製造すべき射出パーツ５０’のほぞ５３’を画定する射出キャビティの一部の形成に寄与する。切欠き２２’はまた、主として射出成形金型のコアの第１パーツ１’により案内され、射出段階後の部品の取り出しを許可する、より詳細には当該ほぞ５３’に作用するよう設計される、少なくとも１つのエジェクタ３’の変位を許可する。第１中板１０’の切欠き１２’はまた、射出成形金型の射出キャビティの、より具体的にはほぞ５３’以外の射出パーツ５０’の部品５２’を画定する射出キャビティの一部の、形成に寄与する。

この射出成形金型の設計により、射出キャビティは、第１実施形態にかかる射出成形金型により得られる射出パーツと同様の、別個の部品を互いに接続するものの製造すべき部品の一部を形成しない支持物５６’を含む射出パーツ５０’を形成することが可能になる。部品は、射出パーツ５０’の第１部分５２’と、エジェクタ３’に重ね合わされる射出パーツ５０’の第２部分５３’により、形成される。

図示した例において、第２実施形態にかかる射出成形金型は、第１実施形態で示された例の場合のように、時計部品の、より具体的には特に図８から１０に示す巻き上げ爪６０の製造に用いられることに言及すべきであろう。

このため、射出成形された射出パーツ５０’を形成するよう設計された射出成形金型の射出キャビティは、射出成形金型の第１射出位置において、主として、
－ 少なくとも１つの第１中板１０’の第１切欠き１２’と、
－ 少なくとも１つの第２中板２０’の第１切欠き２２’と、
－ エジェクタ３’の端部であり、中板の１つの厚み内に位置され、または１以上の中板を超える端部であって、当該エジェクタ３’は、金型コアの第１パーツ１’に配置され案内される、端部、及び
－ 射出パーツ５０’の背面を、例えば平面を画定する、図示しない金型コアの第２パーツ、
により区切られることが明らかである。

より具体的には、第１中板１０’の切欠き１２’の側面は、ほぞ６３以外の、時計部品の周囲、側面６２を画定する、射出成形金型のキャビティの表面を形成する。第２中板２０’の切欠き２２’の側面は、時計部品のほぞの周囲を画定する、射出成形金型のキャビティの表面を形成する。第２中板２０’の上面はまた、時計部品の表面６７を画定し、金型コアの第２パーツは射出パーツ５０’の背面を画定する。

当該第２実施形態は、同一部品の別個の部分が、最終的に射出成形金型の別個且つ可動の中板により画定されることから、第１実施形態に対して追加的な柔軟性を与える。このため、第２実施形態は、他の部分や他の中板を変更することなく、単一の中板を修正することで２つの部分のうちの１つのみを修正することができる。他方で、ほぞの端部のみは、２つの中板とは異なるパーツ（エジェクタ３’）により画定される。このため、中板及びまたはエジェクタ３’の位置に対してのみ介入することで、部品の形状を、特に爪のくちばしを、より多目的な態様で変更する及びまたは特に射出成形金型コアの第１パーツ１’を変更することなくほぞの高さを変更することが可能である。

最後に、当該第２実施形態は、少なくとも部分的に重ね合わされた、それぞれ射出キャビティの表面を区切る少なくとも１つの第１切欠きを含む、少なくとも２つの中板を含むあらゆる射出成形金型に延長可能であり、ここでそれぞれの第１切欠きは、当該射出キャビティの補完的形状を画定するために重ね合わされる。中板のこれら第１切欠き及びまたは更なる切欠きは、少なくとも２つの中板を通して射出パーツの同じエジェクタの通過を許可するよう設計される。

図６及び７は、２つの中板１０’と２０’を図示する。第１実施形態の場合と同様、射出成形金型は、実質的に円筒形状が与えられ、複数の部品を含む環状形状の素地を得ることを可能にする、ブランクを形成する。このように中板は、射出キャビティの一部を形成するため及びまたは異なるエジェクタの通過のための切欠きを含む、円板形状を有する。このため、上述の第１切欠き１２’、２２’とは別に、これら中板１０’、２０’はそれぞれ、第１実施形態と同様の態様で、特に図２に関して説明したように、図示しない射出パーツ５０’の補完的エジェクタの通過を許可する、追加的な重ね合わされた切欠き１６’、２６’を含む。

中板１０’と２０’は、第１実施形態の文脈内で説明されたものと同じ方法により製造されてもよいことを言及すべきであろう。

もちろん、本発明は上述の実施形態に限定されず、板は説明したものとは異なる形状を取ることができる。中板は、例えば、射出成形金型の射出キャビティの領域に非貫通の切欠き及びまたは凸のレリーフ及びまたはテクスチャ化を有してもよい。更に、中板は、必要に応じて互いに独立して変更されることを許可するように、射出成形金型に移動可能に搭載される。

本発明はまた、中板そのものに関する。このような中板は、少なくとも１つの第１切欠きを含み、少なくとも１つの第１切欠きが、当該射出成形金型の射出キャビティの一部を形成するよう、射出成形金型の２つの可動パーツ間に移動可能に配置されるよう設計される。少なくとも１つの第１切欠きは、貫通開口である。中板はまた、射出キャビティを形成する板の表面に少なくとも１つの非貫通の切欠き及びまたは少なくとも１つのテクスチャ化を含んでもよい。中板はまた、射出成形金型のエジェクタの通過を許可するために、少なくとも１つの第２切欠きを含んでもよい。中板は、射出成形金型の圧力を支持するよう設計された機械抵抗を有し、少なくとも１００℃までの、または３００℃までの温度での形状安定性を有する素材で存在してもよく、特に鋼といった金属製、または炭化タングステン製であってもよい。

本発明はまた、ガルバニック堆積、特にＬＩＧＡ方法による、または金属板の機械加工、特にワイヤまたはレーザ加工による、またはスタンピングによる、前記中板の製造ステップを含む、上述の射出成形金型の中板の製造方法に関する。

本発明はまた、上述の射出成形金型の射出キャビティ内に素材を射出するステップを含む、時計部品と時計、特に腕時計の製造方法に関する。有利には、このような素材は、セラミック系の素材である、即ち少なくとも５０重量％のセラミックを含む素材である。時計の製造は、上述のように、本発明にかかる射出成形金型へ素材を射出することで全部または一部が製造された、１以上の時計部品の一体化を含んでもよい。

時計部品の製造方法は、部品の形状を決定するために、射出成形金型に適合された様々な中板から、当該射出成形金型の少なくとも１つの中板を選択することからなるステップを含んでもよい。

時計部品の製造方法はまた、ガルバニック堆積、特にＬＩＧＡ方法による、または金属板の機械加工、特にワイヤまたはレーザ加工による、またはスタンピングによる、前記中板の製造ステップの前に、別個のステップを含んでもよい。

本発明は、時計部品の製造の文脈内で実施された。本発明はまた、小さい寸法の、即ち一般的にマイクロインジェクション分野の、あらゆる部品の製造に適応可能である。より一般的な態様として、本解決策は、その寸法にかかわらず、あらゆる射出成形金型により実施可能である。

１ 第１パーツ
２ エジェクタ
３ エジェクタ
４ 中央エジェクタ
６ エジェクタ
１０ 中板
１０’ 第１中板
１２ 第１切欠き
１６ 第２切欠き
２０’ 第２中板
２２’ 切欠き
２６’ 切欠き
５０ 射出パーツ
６０ 巻き上げ爪

Claims (22)

1. 金型コアと、少なくとも１つのエジェクタ（２、３；３’）とを含む、射出成形金型であって、前記金型コアは、第１射出位置と第２離型位置の間で互いに対して可動な第１パーツ（１；１’）と第２パーツとを含み、前記第１射出位置は、少なくとも１つの部品（６０）を含む射出パーツ（５０；５０’）を形成するよう素材の射出を許可する射出キャビティを形成するため前記２つのパーツが集合する位置であり、前記第２離型位置は、前記射出パーツ（５０；５０’）の離型を許可するよう前記２つのパーツが互いに離れる位置であり、前記少なくとも１つのエジェクタ（２、３；３’）は、前記射出パーツ（５０；５０’）の離型に寄与するよう設計される、射出成形金型において、
   前記射出成形金型は、前記金型コアの前記２つのパーツと別個であり、可動であり、前記金型コアの前記２つのパーツ間に配置される、少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）を含み、前記少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）は、前記射出成形金型の前記射出キャビティの少なくとも一部を形成する少なくとも１つの第１切欠き（１２；１２’、２２’）を含む、
   射出成形金型。
2. 前記金型コアの前記２つのパーツは、前記金型の方向に並進で互いに対して可動であり、前記少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）は、前記金型の前記方向に垂直な平面に位置される、実質的に平面の板として存在する、
   請求項１に記載の射出成形金型。
3. 前記少なくとも１つの中板（１０：１０’、２０’）の前記少なくとも１つの切欠き（１２；１２’、２２’）は、貫通開口である、
   請求項１または２に記載の射出成形金型。
4. 前記少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）はまた、少なくとも１つの非貫通切欠き及びまたは前記射出キャビティの少なくとも一部を形成する前記板の表面の少なくとも１つのテクスチャ化を含む、
   請求項１から３のいずれか一項に記載の射出成形金型。
5. 前記射出成形金型は、少なくとも部分的に重なり合う少なくとも２つの中板（１０’、２０’）を含み、前記中板のそれぞれは、それぞれ前記射出キャビティの少なくとも一部を区切る少なくとも１つの第１切欠き（１２；２２’）を含み、前記第１切欠き（１２；２２’）のそれぞれは、重なり合う、
   請求項１から４のいずれか一項に記載の射出成形金型。
6. 前記少なくとも１つのエジェクタ（２、３；３’）は、前記少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）の前記少なくとも１つの第１切欠き（１２；１２’、２２’）を通過することで、射出パーツ（５０、５０’）の取り出しを可能にする、
   請求項１から５のいずれか一項に記載の射出成形金型。
7. 前記少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）は、貫通開口であり、前記第１切欠き（１２；１２’、２２’）とは別個であり、エジェクタ（４、６；４’、６’）の通過のために設計された、少なくとも１つの第２切欠き（１６;１６’）を含む、
   請求項１から６のいずれか一項に記載の射出成形金型。
8. 前記中板（１０’；２０’）は、それぞれ、貫通開口である少なくとも１つの第２切欠き（１６’、２６’）を含み、前記それぞれの第２切欠き（１６’、２６’）は、同一のエジェクタの前記通過を許可するよう、少なくとも部分的に重なり合う、
   請求項５に記載の射出成形金型。
9. 少なくとも１つの部品を含む射出パーツ（５０；５０’）を形成するよう設計された前記射出キャビティは、
   前記金型コアの前記第１パーツ（１；１’）、及びまたは前記第１パーツ（１；１’）の少なくとも１つのエジェクタ（４、４’）と、
   前記少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）の前記少なくとも１つの切欠き（１２；１２’、２２’）と、
   少なくとも１つの第２エジェクタ（３、３’）の少なくとも一端と、
   前記金型コアの前記第２パーツと、
   により主として区切られる、
   請求項１から８のいずれか一項に記載の射出成形金型。
10. 前記少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）が当接する、前記金型コアの前記第１パーツ（１；１’）、及びまたは前記金型コアの前記第２パーツは、平面状である、
    請求項１から９のいずれか一項に記載の射出成形金型。
11. 前記少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）は、複数の射出部品の形状を同時に画定するよう設計された、複数の第１切欠き（１２；１２’、２２’）を含み、前記射出キャビティは、前記様々な射出部品が前記射出成形金型からの取り出し後に射出成形支持物（５６；５６’）により連結が維持されるように構成された、前記少なくとも１つの中板（１０；１０’、２０’）の平面と平行な平面に位置される断面を含む、
    請求項１から１０のいずれか一項に記載の射出成形金型。
12. 前記射出支持物の範囲で作用することにより、前記射出パーツを取り出すことを可能にする、少なくとも１つの可動エジェクタ（１６、１６’）を含む、
    請求項１１に記載の射出成形金型。
13. 射出成形金型用中板（１０；１０’、２０’）であって、少なくとも１つの第１切欠き（１２；１２’、２２’）を含み、前記少なくとも１つの第１切欠き（１２；１２’、２２’）が射出成形金型の前記射出キャビティの一部を形成するよう、前記射出成形金型の２つの可動パーツ間での可動配置用に設計された、射出成形金型用中板。
14. 前記少なくとも１つの第１切欠き（１２；１２’、２２’）は貫通開口である、
    請求項１３に記載の射出成形金型用中板（１０；１０’、２０’）。
15. 少なくとも１つの非貫通切欠き、及びまたは前記射出キャビティを形成する前記中板（１０；１０’、２０’）の表面に少なくとも１つのテクスチャ化を更に含む、
    請求項１４に記載の射出成形金型用中板（１０；１０’、２０’）。
16. 射出成形金型のエジェクタ（４、６；４’、６’）の通過を許可する少なくとも１つの第２切欠き（１６、４７；１６’、４７’、２６’）を含む、
    請求項１３から１５のいずれか一項に記載の中板（１０；１０’、２０’）。
17. 射出成形金型の圧力を支持するよう設計された機械抵抗を有し、少なくとも１００℃まで、または３００℃までの温度での形状安定性を有する素材で存在する、特に鋼といった金属製、または炭化タングステン製である、
    請求項１３から１６のいずれか一項に記載の中板（１０；１０’、２０’）。
18. ガルバニック堆積、特にＬＩＧＡ方法による、または金属板の機械加工、特にワイヤまたはレーザ加工による、またはスタンピングによる、前記中板の製造ステップを含む、
    請求項１３から１７のいずれか一項に記載の射出成形金型用の中板の製造方法。
19. 請求項１から１２のいずれか一項に記載の射出成形金型の前記射出キャビティ内へ素材を射出するステップを含む、
    時計部品または時計の製造方法。
20. 前記素材はセラミック系の素材である、
    請求項１９に記載の時計部品または時計の製造方法。
21. 前記時計部品は爪である、
    請求項１９または２０に記載の時計部品または時計の製造方法。
22. 前記射出成形金型に適合された少なくとも１つの中板を選択し、前記素材の射出のステップ前に前記中板を前記射出成形金型内に挿入することからなるステップを含む、
    請求項１９から２１のいずれか一項に記載の時計部品または時計の製造方法。

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