JP2022058108A - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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JP2022058108A JP2021047421A JP2021047421A JP2022058108A JP 2022058108 A JP2022058108 A JP 2022058108A JP 2021047421 A JP2021047421 A JP 2021047421A JP 2021047421 A JP2021047421 A JP 2021047421A JP 2022058108 A JP2022058108 A JP 2022058108A
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啓介 鶴田
Keisuke Tsuruta
洋平 清水
Yohei Shimizu
孝志 土井
Takashi Doi
宏樹 河西
Hiroki Kasai
哲 小川
Satoru Ogawa
真次 岩田
Shinji Iwata
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Abstract

【課題】十分な触感を有しており、耐傷性、耐摩耗性、及び、耐汚染性に優れており、かつ生産性が低下しない化粧シート、及び当該化粧シートを用いてなる化粧材を提供する。【解決手段】基材シート上に、絵柄層、透明性樹脂層及び表面保護層を少なくともこの順に有する化粧シートであって、上記化粧シートは、上記表面保護層を有する側の面に凹部を有し、上記透明性樹脂層のインデンテーション硬さが40MPa以上であり、上記表面保護層のインデンテーション硬さが100MPa以上であり、上記凹部は、以下の(A)~(D)の条件を満たすことを特徴とする化粧シート。(A)上記化粧シートを平面視した際の上記凹部の密度が20%以上である。(B)上記凹部の平均深度が40μm以上である。(C)上記凹部の平均深度に対する平均幅の比率(平均幅/平均深度)が5以上である。(D)上記凹部の最大深度が上記化粧シートの総厚みに対して80%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シート及び化粧材に関する。
建材、家具、家電製品等において、使用する部材を加飾したい場合には、化粧材が一般的に用いられている。
通常、化粧材では、基材上に直接絵柄層を設けただけの構成では耐傷性、耐汚染性、耐候性等の表面性能が不十分となるため、基材上に設けた絵柄層上に透明性樹脂フィルムを積層した化粧シートをラミネートすることにより、表面性能を付与している。
このような化粧シートでは、本物の木目等に近い触感を付与することを目的として、化粧シートの表面に凹部を形成する手法が用いられることがある。
例えば、特許文献1では、基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層を順に有する化粧シートであって、(1)前記化粧シートの表面に、凹凸模様が形成されており、(2)前記凹凸模様の十点平均粗さRz(JIS B 0601:1982)が、40μm以上であり、(3)前記透明性樹脂層の厚さが70μm以上であり、(4)前記透明性樹脂層のマルテンス硬さが30N/mm未満である、ことを特徴とする、化粧シートが開示されている。
しかしながら、従来の化粧シートでは、凹部に起因する下記(1)~(4)の課題について検討が十分では無く、更なる改善の余地があった。
(1)現在の市場が求める触感を満たすには未だ十分ではない。(2)凹部の引っ掛かりにより、耐傷性、耐摩耗性が低下することがある。(3)凹部の底部の汚れを除去し難くなることがある(耐汚染性の低下)。(4)凹部を形成する際に化粧シートが大きく変形することにより、シート切れ等を起こして生産性が低下することがある。
特開2015-66791号公報
本発明は、上述した課題を解決するものであり、十分な触感を有しており、耐傷性、耐摩耗性、及び、耐汚染性に優れており、かつ、生産性が低下しない化粧シート、及び、当該化粧シートを用いてなる化粧材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するため鋭意検討したところ、化粧シートを構成する透明性樹脂層及び表面保護層のインデンテーション硬さを適切に付与し、かつ、化粧シートの表面に形成される凹部の密度、凹部の形状(間口の幅、平均深度及び最大深度)を適切な範囲に設定することにより、現在の市場が求める触感を有するとともに、上述した耐傷性、耐摩耗性、耐汚染性、及び、生産性の課題をも解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、基材シート上に、絵柄層、透明性樹脂層及び表面保護層を少なくともこの順に有する化粧シートであって、上記化粧シートは、上記表面保護層を有する側の面に凹部を有し、上記透明性樹脂層のインデンテーション硬さが40MPa以上であり、上記表面保護層のインデンテーション硬さが100MPa以上であり、上記凹部は、以下の(A)~(D)の条件を満たすことを特徴とする化粧シートである。
(A)上記化粧シートを平面視した際の上記凹部の密度が20%以上である。
(B)上記凹部の平均深度が40μm以上である。
(C)上記凹部の平均深度に対する平均幅の比率(平均幅/平均深度)が5以上である。
(D)上記凹部の最大深度が上記化粧シートの総厚みに対して80%以下である。
本発明の化粧シートは、上記凹部の密度が、35%以下であることが好ましい。
また、上記凹部の平均深度が、60μm以上であることが好ましい。
また、上記凹部の平均深度に対する平均幅の比率(平均幅/平均深度)が、6以上であることが好ましい。
また、上記表面保護層は、抗ウイルス剤を含有することが好ましい。
また、上記凹部の最大深度が上記化粧シートの総厚みに対して65%以下であることが好ましい。
また、本発明は、本発明の化粧シートと、基材とが積層されたものであることを特徴とする化粧材でもある。
本発明は、十分な触感を有しており、耐傷性、耐摩耗性、及び、耐汚染性に優れており、かつ、生産性が低下しない化粧シート、及び、当該化粧シートを用いてなる化粧材を提供することができる。
図1(a)は、本発明の化粧シートの模式的な断面図であり、図1(b)は、本発明の化粧シートの模式的な平面図である。 図2(a)は、本発明の化粧シートの総厚みを説明する模式的な断面図であり、図2(b)は、別の態様に係る本発明の化粧シートの総厚みを説明する模式的な断面図である。 本発明の化粧材の好ましい一例を模式的に示す断面図である。 凹部の計測エリアを説明する模式図である。 凹部の選択方法を説明する模式図である。 図6(a)~図6(c)は、インデンテーション硬さの測定方法を説明する図である。
以下、本発明の化粧シート及び化粧材について説明する。
なお、以下の記載において、「~」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α~βならば、α以上β以下である)。
<化粧シート>
本発明の化粧シートは、基材シート上に、絵柄層、透明性樹脂層及び表面保護層を少なくともこの順に有する化粧シートであって、上記化粧シートは、上記表面保護層を有する側の面に凹部を有し、上記透明性樹脂層のインデンテーション硬さが40MPa以上であり、上記表面保護層のインデンテーション硬さが100MPa以上であり、上記凹部は、以下の(A)~(D)の条件を満たすことを特徴とする。
(A)上記化粧シートを平面視した際の上記凹部の密度が20%以上である。
(B)上記凹部の平均深度が40μm以上である。
(C)上記凹部の平均深度に対する平均幅の比率(平均幅/平均深度)が5以上である。
(D)上記凹部の最大深度が上記化粧シートの総厚みに対して80%以下である。
図1(a)は、本発明の化粧シートの模式的な断面図であり、図1(b)は、本発明の化粧シートの模式的な平面図である。
図1(a)に示すように、本発明の化粧シート10は、表面保護層1、透明性樹脂層2、絵柄層3及び基材シート4を備える。
図1(a)、(b)に示したように本発明の化粧シート10は、表面保護層1、透明性樹脂層2、絵柄層3及び基材シート4を備えており、化粧シート10は、表面保護層1を有する側の面に溝状の凹部aを有する。
(凹部)
本発明の化粧シート10の表面に溝状の凹部aが形成されている。
凹部aは、化粧シート10の表面保護層1に少なくとも存在していればよく、凹部aの深さは表面保護層1内に留まるものであってもよいし、また後述する基材シート4まで至るもの、その下の層や裏面に凸となって現れるものがあってもよい。
優れた質感(触感)を得る観点から、表面保護層1内に留まるものだけでなく、基材シート4まで至るもの、後述する透明性樹脂層2まで至るものが組み合わされていることが好ましい。
凹部aの模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。意匠性を向上させる観点から、凹部aの模様は、後述する絵柄層3の絵柄と同調させた模様であることが好ましい。
例えば、絵柄層3が木目模様の場合は、凹部の模様として木目板導管溝を選択し、かつ、絵柄層3の木目と凹部の木目とを同調させると、よりリアルで質感に溢れた、高級感のある化粧シートが得られる。
(凹部の密度)
本発明の化粧シート10において、凹部aは、化粧シートを平面視した際の密度が20%以上である。
密度が20%未満であると、化粧シート10の触感が不十分となる。
上記凹部aの密度は、45%以下であることが好ましい。45%を超えると、耐傷性が低下することがある。上記凹部aの密度の好ましい下限は25%であり、より好ましい上限は40%であり、さらに好ましい上限は35%である。
なお、本明細書において「凹部の密度」は、以下の方法により測定される。
(1)図4に示したように、本発明の化粧シートを100mm×100mmにカットしてサンプル40を作製し、サンプル40の表面において10カ所の測定領域41を任意に選択する。このとき、測定領域41は、サンプル40において偏りがないよう均等な間隔で選択する。
なお、凹部の密度の計測においては、1つの測定領域41のサイズは20mm×15mmとする。
(2)選択した各測定領域41において、以下の方法で凹部の密度を計測する。
(2-1)測定環境
測定装置:KEYENCE社製、形状解析レーザー顕微鏡「VK-X1000」
解析ソフト:Adobe社製、Adobe Photoshop
(2-2)測定手順
(i)サンプル40をVK-X1000の試料台に置きピントを合わせる。
(ii)1の測定領域41を選択し、表面形状の計測を行う。
(iii)計測された表面形状からうねりの除去を行う。
(iv)うねりを除去した計測データの高さ表示を白黒に変更する。
(v)得られた画像をTIF画像として保存しAdobe Photoshopへ取り込んだ後、画像のトリミングを行う。トリミングは、処理前の画像に対し縦横の長さが90%となるよう元画像の周囲で均等に行う。
(vi)トリミング後の画像において凹部にあたる部分を選択し、画像中で凹部の占める面積(ピクセル数)を計測する。
具体的には、
(a)画像上の最も黒色のセル(K値:100%)を選択する。
(b)色域指定の処理を実施する(指定色に近い色のセルを選択する)。
凹部のみを指定するために、色域指定の許容量(色差の判断パラメータ)を調整する。
凹部の大半を選択でき、かつ平面(非凹部)はほとんど選択されていないようにする。
(c)(b)で指定された面積のピクセル数を計測する。
(vii)1の測定領域41における凹部の密度(%)を以下の式により計算する。
Figure 2022058108000002
(viii)(i)~(vii)の手順を選択した全て(合計10点)の測定領域41で行い得られた数値を平均することで本発明の化粧シートにおける「凹部の密度」を算出する。
(凹部の形状)
本発明の化粧シート10は、凹部aの平均深度が40μm以上である。
凹部aの平均深度が40μm未満であると、化粧シート10の触感が不十分となる。
凹部aの平均深度は、60μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることが更に好ましい。
本発明の化粧シート10において、凹部aの平均深度に対する平均幅の比率(平均幅/平均深度)が5以上である。
上記比率(平均幅/平均深度)が5以下であると、耐傷性、耐汚染性が低下する。
上記比率(平均幅/平均深度)は、5.5以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、6.5以上であることが更に好ましく、7以上であることが特に好ましい。
また、上記比率(平均幅/平均深度)は、化粧シート10の表面の触感を好適に付与する観点から、30未満であることが好ましい。
本発明の化粧シート10において、凹部aの平均幅は、上記比率(平均幅/平均深度)を満たす範囲であれば特に限定されないが、例えば、300μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましく、500μm以上であること更に好ましい。また、好ましい上限としては、1000μmである。
本発明の化粧シート10において、凹部aの最大深度は、化粧シート10の総厚みに対して80%以下である。
凹部aの最大深度が化粧シート10の総厚みに対して80%を超えると、シート切れが起こり易くなり生産性が低下してしまう。
本発明の化粧シート10は、凹部aの最大深度が化粧シート10の総厚みに対して75%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、65%以下であることが更に好ましい。
本発明の化粧シート10において、凹部aの最大深度は、60μm以上であることが好ましい。
凹部aの最大深度が60μm以上であることにより、化粧シート10の触感を好適に付与することができる。
上記凹部aの最大深度は、70μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることが更に好ましい。
上記凹部aの最大深度の上限は、耐汚染性を好適に付与する観点から、130μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましい。
本明細書において「凹部の平均幅」は、以下の方法により測定される。
(1)図4に示したように、本発明の化粧シートを100mm×100mmにカットしてサンプル40を作製し、サンプル40の表面において10カ所の測定領域41を任意に選択する。このとき、測定領域41は、サンプル40において偏りがないよう均等な間隔で選択する。
なお、凹部の平均幅の計測においては、1つの測定領域41のサイズは4mm×4mmとする。
(2)選択した各測定領域41において、以下の方法で凹部の平均幅を計測する。
(2-1)測定環境
測定装置:KEYENCE社製、形状解析レーザー顕微鏡「VK-X1000」
(2-2)測定手順
(i)サンプル40をVK-X1000の試料台に置きピントを合わせる。
(ii)1の測定領域41を選択し、表面形状の計測を行う。
(iii)計測された表面形状からうねりの除去を行う。
(iv)うねりを除去した後の画像より1の測定領域における凹部の幅の計測を行う。
まず、測定する凹部を以下の基準で3点選択する。
(A)凹部であること。
(B)2つ以上の凹部同士が重なっていないこと。
(C)凹部のアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)が10以上であること。
「長軸の長さ」とは凹部の描く輪郭上の最大の2点間の長さ。
「短軸の長さ」とは凹部の描く輪郭上の長軸に対し垂直な方向の最大の2点間長さ。
図5に示した溝状の凹部の破線の長さが「長軸の長さ」、細線の長さが「短軸の長さ」。
上記基準に基づくと、図5に示した凹部ではA-1、B-1、C-1、C-2、Dは、上記基準(A)~(C)を全て満たすため選択可能である。なお、B-1は凹部の全体が測定領域に含まれないが、最大幅が測定領域の端近傍でないため選択可能である。
凹部B-2は、アスペクト比が10以上であるが、全体が測定領域に含まれず最大幅が測定領域の端近傍であるため、選択できる他の凹部が無い場合にのみ選択可能である。
一方、凹部B-3、E-1、E-2はアスペクト比が10未満であるため選択不可であり、凹部Fは2つの凹部が重なっているため選択不可である。
上記で選択した凹部において、幅が最大になる場所を選びその長さを計測する。このとき、測定する幅の長さの方向は溝状の凹部の短軸と平行となる。選択した3点の溝状の凹部の幅の長さを測定した後、それらを平均して得られた数値を1の測定領域における凹部の幅とする。
(v)(i)~(iv)の手順を選択した全ての測定領域41(合計10点)で行い得られた数値を平均することで本発明の化粧シートにおける「凹部の平均幅」を算出する。
本明細書において「凹部の平均深度」、「凹部の最大深度」とは、以下の方法により測定される。
上記「凹部の平均幅」と同様の(i)~(iii)の手順を行う。
(vi)「凹部の平均幅」と同様の基準で深さを測定する溝状の凹部を3点選択する。
(vii)(iii)で得られた画像データに対し、スムージング(条件:±8)を行う。
(viii)選択した凹部の最大の深さを測定する。このとき「最大の深さ」とは、凹部の底部から表面の平面部までの厚み方向に平行な距離の最大値である。選択した3点の溝状の凹部の最大の深さを測定した後、3点の中で最大のものを1の測定領域における溝状の凹部の最大深度とする。
(ix)(i)~(viii)の手順を選択した全ての測定領域41(合計10点)で行い得られた凹部の深度の平均値から平均深度を算出することができる。
また、上記測定領域41(合計10点)で行い得られた凹部のうち最大のものを本発明の化粧シートにおける「凹部の最大深度」とする。
(総厚み)
本発明の化粧シート10は、総厚みが130μm以上であることが好ましい。
化粧シート10の総厚みが130μm未満であると、シートの生産性が低下することがある。化粧シート10は、総厚みが150μm以上であることがより好ましく、160μm以上であることが更に好ましい。
化粧シート10は、総厚みの上限は特に限定されないが500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましい。
ここで、化粧シート10の総厚みについて説明する。
図2(a)は、本発明の化粧シートの模式的な断面図であり、図2(b)は、別の形態に係る本発明の化粧シートの模式的な断面図である。
本発明の化粧シート10が一方の面にのみ凹部を有する場合には、図2(a)に示すように、表面Aから表面Bまでの厚み方向の長さが化粧シート10の「総厚み」である。
一方、本発明の化粧シート10が一方の面に凹部を、他方の面に突起部B′を有する場合であっても、図2(b)に示すように、表面Aから平滑面である表面Bまでの厚み方向の長さが化粧シート10の「総厚み」である。
続いて、化粧シート10を構成する各層について説明する。
(表面保護層)
本発明の化粧シート10は、表面保護層1を有する。
表面保護層1は、インデンテーション硬さが100MPa以上であることが好ましい。
表面保護層1のインデンテーション硬さが100MPa未満の場合には、耐傷性を十分に付与することができないことがある。
表面保護層1は、インデンテーション硬さが160MPa以上であることがより好ましく、200MPa以上であることが更に好ましい。
一方、表面保護層1は、インデンテーション硬さが300MPa以下であることが好ましく、290MPa以下であることがより好ましい。
表面保護層1のインデンテーション硬さが300MPaを超えると、脆くなってしまい、化粧シート10の取り扱い時や意匠性を付与するためのエンボス賦形時に割れが生じ易くなることがある。
本明細書において、各層の「インデンテーション硬さ」は、表面皮膜物性試験機トライボインデンター(登録商標)「TI-950」(HYSITRON社製)を用いて測定されるナノインデンテーション硬さで示す。
なお、トライボインデンター(登録商標)「TI-950」を用いた各層のインデンテーション硬さ(HIT)の測定方法は次の通りである。
(1)図6(a)に示されるバーコビッチ圧子31を用いて、図6(b)に示すように測定試料30にバーコビッチ圧子31を後述の押込み条件にて、荷重をかける方向32の矢印方向に押込み、表面にできた三角錐型の幾何学的形状から、「装置標準の方法で補正した接触投影面積(Ap)(mm)」を計算し、最大試験荷重(Fmax)を前記Apで除することにより硬さを求める。
すなわち、HIT=Fmax/Apである。
(2)ここで、押込み条件は、室温(実験室環境温度)において、図6(c)に示される通り、表面保護層1については、先ず0~100μNまでの負荷を10秒間で加え(すなわち10μN/s)、次に100μN(Fmax)の負荷で5秒間保持し、最後に100~0μNまでの除荷を10秒間で行う。
また、後述する透明性樹脂層2については、先ず0~50μNまでの負荷を5秒間で加え(すなわち10μN/s)、次に50μN(Fmax)の負荷で5秒間保持し、最後に50~0μNまでの除荷を10秒間で行う。
通常、押し込み量(h)は100~150nm程度であるため、測定試料となる層の押し込み方向の厚さは1.0μm以上(好適には1.5μm以上)であればよい。Apは、24.50〔hmax-ε(hmax-hr)〕で算出される(ここで、εは圧子の幾何学的形状による補正係数であり、hrは除荷後の表面に残存している三角錐型の幾何学的形状の深さである。)。
(3)なお、硬さの測定に際し、測定試料30となる層以外の層の硬さの影響を回避するために測定対象の層の断面の硬さを測定する。すなわち、化粧シートを樹脂(冷間硬化タイプのエポキシ2液硬化性樹脂)で包埋し、室温で24時間以上放置して硬化させた後、硬化した埋包サンプルを機械研磨して測定対象の層の断面を露出させ、測定対象の層の断面(充填剤等の微粒子が層中に含まれる場合には当該微粒子を避けた位置)にバーコビッチ圧子31を押込むことにより各層の断面の硬さを測定する。
(4)各層について、それぞれ偏りが生じないように10箇所のインデンテーション硬さを測定し、10箇所の平均値をそれぞれ「表面保護層1のインデンテーション硬さ」、「透明性樹脂層2のインデンテーション硬さ」とする。
表面保護層1は、本発明の化粧シート10の耐汚染性、耐擦傷性、耐薬品性等の表面特性を向上させ、更に上述したインデンテーション硬さを満足させる観点から、硬化性樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。
上記硬化性樹脂組成物としては、例えば、熱硬化性樹脂、2液硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を含む樹脂組成物が挙げられ、より優れた表面特性を得る観点から、硬化性樹脂として2液硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物が好ましい。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化性ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
上記熱硬化性樹脂で表面保護層1を形成する方法は、例えば、熱硬化性樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥及び硬化させる方法が挙げられる。
上記2液硬化性樹脂としては、主剤と硬化剤とにより硬化する樹脂であれば特に制限はなく、好ましくは主剤をポリオール(多価アルコール)とし、硬化剤をイソシアネート硬化剤とする2液硬化性ウレタン樹脂が挙げられる。
上記主剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のポリオール;アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の官能基として水酸基を有するポリオール;等が好ましく挙げられる。これらは単独又は複数種を混合して使用できる。
上記イソシアネート硬化剤としては、従来公知の化合物を適宜使用すればよく、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネート;等のポリイソシアネートが用いられる。また、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)なども用いられる。
上記電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線、すなわち電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)の他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線を照射することにより硬化する樹脂である。具体的には、電離放射線硬化性樹脂としては、慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマー及びプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
上記重合性モノマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられる。
これらの重合性オリゴマーは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記硬化性樹脂組成物は、上記の硬化性樹脂の他、後述する分散剤等が含まれていてもよい。
上記硬化性樹脂組成物は、添加剤として、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、光安定剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、ブロッキング防止剤、分散剤、溶剤、消臭剤、抗菌剤、抗アレルゲン剤、防カビ剤等を添加することができる。中でも、耐候性向上のために、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤等を含有することが好ましい。また、抗ウイルス性を付与するために、抗ウイルス剤を含有することが好ましい。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチレート系、アクリロニトリル系等が挙げられ、光安定剤としては、ヒンダードアミン系、アクリレート系、オキサミド系、シアノアクリレート系等が挙げられる。
上記表面保護層1は、分散剤を含有することができる。
上記分散剤としては、高分子界面活性剤、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル、ワックス、変性樹脂等が挙げられる。
また、国際公開第2018/159660号等に記載のナノシェルを好適に用いることもできる。
これらの分散剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散剤の含有量は、表面保護層1を形成する樹脂成分100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下が好ましく、0.05質量部以上15質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上10質量部以下が更に好ましく、0.3質量部以上5質量部以下が特に好ましい。
表面保護層1は、さらに、耐擦傷性を向上する観点から、無機微粒子を含有することが好ましい。
上記無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、カオリナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及びガラス等が挙げられる。
また、上記無機微粒子の種類や含有量を制御することにより、表面保護層1のインデンテーション硬さを調節することもできる。
上記無機微粒子の平均粒子径は限定的ではないが、20μm以下が好ましく、その中でも1μm以上20μm以下が好ましく、2μm以上15μm以下がより好ましい。
上記無機微粒子の平均粒子径は、溶液中の該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を体積累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)である。50%粒子径は、例えば、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
上記無機微粒子の含有量は、表面保護層1を形成する樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、2質量部以上25質量部以下がより好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。
表面保護層1は、抗ウイルス剤を含有することが好ましい。
ここで抗ウイルスとは、ウイルスを分解するだけでなく、成長又は発生を抑制することを意味する。
また、抗ウイルス剤は、ウイルスだけでなく、細菌、カビ等にも作用し、殺菌、滅菌、静菌又は除菌するだけでなく、これらの成長又は発生を抑制(カビに対しては除黴、防黴等)するものであってもよい。
表面保護層1が上記抗ウイルス剤を含有することにより、化粧シートに抗ウイルス性を付与することができる。
表面保護層1に抗ウイルス剤を含有させる方法としては特に限定されないが、例えば、上記硬化性樹脂組成物中に抗ウイルス剤を含有させればよい。
上記抗ウイルス剤としては一般的に有機系と無機系とに大別することが出来る。有機系の抗ウイルス剤としては、第4級アンモニウム塩系、第4級ホスホニウム塩系、ピリジン系、ピリチオン系、ベンゾイミダゾール系、有機ヨード系、イソチアゾリン系、アニオン系、エーテル系等がある。無機系の抗ウイルス剤としては、銀、銅、亜鉛等の金属イオンをゼオライト、アパタイト、ジルコニア、ガラス、酸化モリブデン等に担持させたものがある。
上記有機系の抗ウイルス剤の内、特に粒子形状を保つベンゾイミダゾール系の抗ウイルス剤又はアニオン系の抗ウイルス剤が好適に用いられる。
粒子形状を保つとは、つまり表面保護層1の硬化性樹脂組成物(硬化前のインキ)内で溶解することなく、粒子の状態で存在する。このため、表面保護層1を形成する過程において、イミダゾール系化合物の粒子又は化合物の粒子或いはアニオン系化合物の粒子を偏在させやすくすることができる。そして、表面保護層1の最表面側にイミダゾール系化合物の粒子又はアニオン系化合物の粒子を偏在させることにより、所定の抗ウイルス性を得るために必要な抗ウイルス剤の添加量を抑制することができるため、表面保護層1の耐擦傷性の低下を抑制しやすくできる。
上記アニオン系の抗ウイルス剤としては、例えばスチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含むものが好ましい。
また、上記スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物は、スチレン、スルホン酸Na、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸の構造の内、少なくとも一種の構造を含むことが好ましく、全ての構造を含むことが更に好ましい。
これは、ウイルスにはエンベロープ有無の2種類が存在し、それぞれに対し効果的に活性阻害しうる抗ウイルス剤の構造は異なると考えられるためである。
例えば、ノンエンベロープウイルスであるインフルエンザウイルスのみの効果を期待するのであれば、スチレンポリマー誘導体化合物のみ含まれれば良く、その中でもスチレン樹脂単体のみ含まれれば十分に効果が得られる。
上記無機系の抗ウイルス剤としては、生体毒性が無く安全性に優れる観点から銀系の抗ウイルス剤が好ましく、中でもリン酸系ガラス銀担持化合物または銀ゼオライト化合物、及び、酸化モリブデン銀複塩化合物は少量でも抗ウイルス性能を発現することから添加量を抑制することができるため、更に好ましい。
上記無機系の抗菌剤や抗ウイルス剤の平均粒子径としては、例えば0.1~10μmであることが好ましい。
上記平均粒子径であれば、上記抗菌剤や抗ウイルス剤が好適に分散して、抗菌性及び抗ウイルス性をムラが生じることなく好適に付与することができる。
上記銀系の抗菌剤や抗ウイルス剤を上記表面保護層に添加する場合、表面保護層1によっては変色する(添加した塗料の状態で熱・光により変色する場合や、上記表面保護層形成後に熱・光により変色する場合がある)が、この場合は紫外線防止剤や光安定剤等を適時添加することにより改善することが可能である。
例えば、上記酸化モリブデン銀複塩化合物に対しては、ベンゾトリアゾール化合物を用いると変色改善効果が期待できる。
上記抗ウイルス剤の含有量は、表面保護層1を形成する樹脂成分100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下が好ましく、0.05質量部以上3質量部以下がより好ましい。
表面保護層1の厚さは、10μm以上30μm以下であることが好ましい。
表面保護層1の厚さが10μm以上30μm以下であることにより、耐傷性と耐摩耗性とを好適に付与することができ、更に、本発明の化粧シート10の割れを好適に防止することができ、生産性を向上することもできる。
表面保護層1の厚さは、12μm以上25μm以下であることがより好ましく、15μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
(透明性樹脂層)
透明性樹脂層2は、インデンテーション硬さが40MPa以上である。
透明性樹脂層2のインデンテーション硬さが40MPa未満であると、化粧シート10の耐傷性が不十分になる。
透明性樹脂層2は、インデンテーション硬さが45MPa以上であることがより好ましく、50MPa以上であることがさらに好ましい。
また、透明性樹脂層2は、インデンテーション硬さが200MPa以下であることがより好ましく、180MPa以下であることがさらに好ましい。
なお、透明性樹脂層2のインデンテーション硬さの測定方法は、上述した方法と同様の方法が挙げられる。
透明性樹脂層2は、オレフィン樹脂からなる層であることが好ましい。
上記オレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンの単独重合体;エチレン-プロピレンのブロック共重合体、ランダム共重合体;エチレン及びプロピレンの少なくとも一種と、ブテン、ペンテン、ヘキセン等の少なくとも一種の他のオレフィンとの共重合体;エチレン及びプロピレンの少なくとも一種と、酢酸ビニル、ビニルアルコール等の少なくとも一種の他の単量体との共重合体;等が挙げられる。
なかでも、優れた耐擦傷性と良好な曲げ加工性とを得る観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
上記ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であってもよいし、エチレンと、エチレンと共重合可能な他のコモノマー(例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、酢酸ビニル、ビニルアルコール等)との共重合体であってもよい。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、架橋ポリエチレン(PEX)等が挙げられる。
これらのポリエチレンは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレンと、プロピレンと共重合可能な他のコモノマー(例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン;酢酸ビニル、ビニルアルコール等)との共重合体であってもよい。
これらのポリプロピレンは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、優れた耐擦傷性と曲げ加工性の観点から、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)であることが特に好ましい。
透明性樹脂層2を微結晶化オレフィン樹脂層とすることもできる。
上記微結晶化オレフィン樹脂層を得るためには、例えば、透明性樹脂層2を形成するオレフィン樹脂組成物に結晶核剤を含有させて溶融し、次いで冷却することにより行うことができる。
この場合、冷却方法としては、例えば、押出し成型時において冷却水を通した冷却ロール(チルロール)にダイから押し出された材料を接触させて冷却を行なうチルロール法による冷却が挙げられる。
上記結晶核剤としては、例えば脂肪酸金属塩、ホスホン酸の金属塩、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩等の金属塩系結晶核剤;脂肪酸エステル、脂肪族アミド、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー等の有機系結晶核剤;タルク等の無機系結晶核剤;等が挙げられる。
また、上記結晶核剤としては、上記の結晶核剤がナノシェルに内包されたものを用いることもできる。ナノシェルに内包された結晶核剤を用いることにより、透明性樹脂層2中において結晶核剤がより均一に分散するため、溶融条件、冷却条件等の諸条件によらず、容易にかつ安定的に、インデンテーション硬さを好適に調節することができ、また優れた耐擦傷性と良好な曲げ加工性とが得られる。
なお、上記ナノシェルとしては、国際公開第2018/159660号等に記載のものを適宜選択して用いることができる。
透明性樹脂層2における上記結晶核剤の含有量は、透明性樹脂層2を形成する樹脂成分100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.02~3質量部がより好ましく、0.03~1質量部が更に好ましく、0.05~0.5質量部が特に好ましい。
上記結晶核剤の含有量が上記範囲内であると、透明性樹脂層2を形成する樹脂中に均一に分散しやすく、結晶核剤としての効果が得られやすく、透明性樹脂層2のインデンテーション硬さを好適に調節することができ、また優れた耐擦傷性と曲げ加工性とが得られる。
透明性樹脂層2の厚さは、優れた耐擦傷性と曲げ加工性とを得る観点から、30μm以上120μm以下が好ましく、40μm以上110μm以下がより好ましく、50μm以上100μm以下が更に好ましく、55μm以上85μm以下が特に好ましい。
透明性樹脂層2の厚さが30μm未満であると、耐擦傷性や耐衝撃性(特に耐凹み性)が劣ったり、印刷機で印刷やコーティングを施す際に印刷時に加わる張力で透明性樹脂層2が伸びてしまうおそれがある。
また、透明性樹脂層2の厚さが120μmを超えると、曲げ加工において表面保護層1に亀裂や破断を生じてしまうことや耐衝撃性(特に耐割れ性)が劣ってしまうおそれがある。
(絵柄層)
本発明の化粧シート10は、意匠性を向上させる観点から、絵柄層3を有することができる。
絵柄層3は、例えば、透明性樹脂層2と基材シート4との間、又は透明性樹脂層2と表面保護層1との間、表面保護層1上等に設けることができる。
絵柄層3は、例えば、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ層)であってもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される絵柄層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。
更に、絵柄層は同一層内で複数箇所に設けてもよいし、一層だけでなく複数の層で設けてもよい。
例えば、後述する基材の地色を着色隠蔽する場合には、ベタ層とすることで、着色隠蔽しつつ、意匠性を向上させることができる。更に意匠性を向上させる観点から、ベタ層と絵柄層とを組み合わせてもよいし、一方、化粧板基材の地模様を生かす場合は、ベタ層とせずに絵柄層のみを設ければよい。
絵柄層3に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合したものが使用される。
上記バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられる。これらのバインダーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
上記着色剤としては、後述する基材の地色を着色隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、例えば、白色顔料、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤を用いることもできる。
絵柄層3として絵柄層を有する場合、その模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層3の厚さは、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよいが、化粧板基材の地色を着色隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、0.5~20μmが好ましく、1~10μmがより好ましく、2~5μmが更に好ましい。
(基材シート)
基材シート4は、オレフィン樹脂からなる層であることが好ましい。
基材シート4を形成するオレフィン樹脂としては、透明性樹脂層2を形成し得るオレフィン樹脂と同じものが例示できる。
なかでも、優れた耐擦傷性と曲げ加工性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
基材シート4は、必要に応じて着色されていてもよい。
この場合は、上記オレフィン樹脂に着色剤を添加すればよい。上記着色剤としては、上述した絵柄層3で用いる顔料又は染料が使用できる。
基材シート4は、優れた耐擦傷性と曲げ加工性の観点から、厚さが30μm以上120μm以下であることが好ましく、40μm以上110μm以下であることがより好ましく、50μm以上100μm以下であることが更に好ましく、55μm以上95μm以下であることが特に好ましい。
(バッカー層)
本発明の化粧シート10は、化粧シート10の最下層、すなわち、化粧シート10の基材シート4側にバッカー層を備えていてもよい。
バッカー層を備えることにより、耐傷性及び耐摩耗性を好適に防止することができ、耐衝撃性を好適に付与することができる。
上記バッカー層としては、合成樹脂バッカー層及び発泡樹脂バッカー層が挙げられ、化粧シート10の最下層(表面保護層1が積層される側と反対側)に有することが好ましい。
上記合成樹脂バッカー層を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体、非晶性ポリエステル(A-PET)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。
上記合成樹脂バッカー層は、中空ビーズを含有してもよい。
上記中空ビーズの種類、粒子径、及び、含有量等は、特開2014-188941号公報に記載のものを適用することができる。
上記合成樹脂バッカー層を形成する方法としては、カレンダー成形、溶融樹脂の押出し成形等が挙げられる。なかでも溶融樹脂の押出し成形が好適であり、例えば、Tダイを用いた押出し成形がより好適である。
上記発泡樹脂バッカー層は、上記合成樹脂バッカー層よりも更に下層(凹凸形状を有する側と反対側)に有していてもよい。
上記発泡樹脂バッカー層は、特開2014-188941号公報に記載のものを適用することができる。
上記バッカー層は、厚みが100μm以上であることが好ましい。
上記バッカー層の厚みが100μm以上であることにより、凹み傷をより好適に防止することができ、耐衝撃性にも優れたものとすることができる。
上記バッカー層は、厚みが120μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることが更に好ましい。
上記バッカー層の厚みの上限としては、1000μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、400μm以下がさらに好ましい。
(その他)
本発明の化粧シート10は、プライマー層を有していてもよい。
上記プライマー層は、主に各層の密着性の向上を図るために設けられる層である。
本発明の化粧シート10において、プライマー層は、例えば、透明性樹脂層2の片面又は両面、基材シート4の片面又は両面、等に設けることができる。
また、プライマー層と同様に、各層の密着性の向上を図るため、透明性樹脂層2、基材シート4の片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施してもよい。
上記プライマー層は、例えば、上記の装飾層に用い得るバインダーとして例示したバインダーに、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合した樹脂組成物により形成することができる。
上記プライマー層の厚さは、密着性を向上させる観点から、0.2μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上8μm以下がより好ましく、1μm以上5μm以下が更に好ましい。
(化粧シートの製造方法)
本発明の化粧シート10の製造方法について、本発明の化粧シート10の好ましい態様の一つである、厚さ方向において、表面保護層1、透明性樹脂層2、絵柄層3及び基材シート4を順に有する化粧シート10を例にとって、その製造方法の一例を説明する。
まず、基材シート4を形成する樹脂組成物を用意して、溶融押出法等の方法により透明性樹脂層2を製膜し、該基材シート4の上に、絵柄層3を形成する。
また、これとは別に、透明性樹脂層2を形成する樹脂組成物を用意して、溶融押出法等の方法により透明性樹脂層2を製膜し、該透明性樹脂層2の上に、硬化性樹脂組成物を塗布した未硬化層に、加熱又は電離放射線を照射して硬化させて、表面保護層1を形成する。
次いで、絵柄層3及び透明性樹脂層2の少なくとも一方の面に接着剤を塗布し、絵柄層3と透明性樹脂層2とが対向するようにして貼着することにより、表面保護層1、透明性樹脂層2、絵柄層3及び基材シート4を順に有する化粧シート10を製造することができる。
また、バッカー層を形成する場合は、例えば、Tダイ押出し法などで作製したバッカー層と、基材シート4とを、熱ラミネートや接着剤を介してドライラミネートにより積層するなど、公知の方式で形成することができる。
上記製造方法において、絵柄層3を形成した後、透明性樹脂層2を形成する樹脂組成物を用いて、透明性樹脂層2を押出ラミネーション、ドライラミネーション、ウエットラミネーション、サーマルラミネーション等の方法により接着剤及び/又は酸変性ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂を介して接着及び圧着させて積層して形成し、次いで、該透明性樹脂層2の上に、硬化性樹脂組成物を塗布した未硬化層に、加熱又は電離放射線を照射して硬化させて、表面保護層1を形成することによっても、基材シート4、絵柄層3、透明性樹脂層2、及び表面保護層1を順に有する化粧シートを製造することができる。
絵柄層3は、透明性樹脂層2又は基材シート4上に絵柄層3の形成に用いられるインキを塗布して所望の着色層、絵柄層を設けることにより形成される。
該インキの塗布は、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式、好ましくはグラビア印刷法により行うことができる。
表面保護層1の形成において、硬化性樹脂組成物の塗布は、硬化後の厚さが所定の厚さとなるように、好ましくはグラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式により、より好ましくはグラビアコートにより行う。
表面保護層1の形成に電離放射線樹脂組成物を用いる場合、該樹脂組成物の塗布により形成した未硬化樹脂層は、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して硬化物とすることで、表面保護層1となる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70~300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
照射線量は、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~50kGy(1~5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
上記電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190~380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
表面保護層1の形成に熱硬化性樹脂組成物を用いる場合は、使用する樹脂組成物に応じた熱処理を施して、硬化させて表面保護層1を形成すればよい。
上記プライマー層を設ける場合は、上記プライマー層を形成する樹脂組成物を、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布して形成することができる。
次いで、表面保護層1に上述した形状の凹部を形成する。
作業の容易さを考慮すると、上記凹部の形成はエンボス加工を採用することが好ましい。上記エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式のエンボス機を使用する通常の方法により行えばよい。
上述した構成の本発明の化粧シートは、透明性樹脂層及び表面保護層の硬さを適切に付与し、表面保護層を有する側の面に所定の凹部を有するため、十分な触感を有しており、耐傷性、耐摩耗性、及び、耐汚染性に優れており、かつ、生産性が低下しない。
本発明の化粧シートと、基材とが積層されたものである化粧材もまた、本発明の一つである。
<基材>
基材20としては、例えば、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板、パーティクルボード、針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板、コルクシート、コルク含有複合基材といった木質基材や、熱可塑性樹脂板(ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等を主成分とする樹脂板、又はそれらを発泡させたもの)等の少なくとも1種が挙げられる。
ここで、針葉樹としては、例えば、椴松、唐松、蝦夷松、杉、ヒノキ、パイン、セコイヤ、トウヒ等が挙げられる。広葉樹としては、例えば、ラワン、シナ、カバ、セン、ブナ、ナラ、メランチ等が挙げられる。また、早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。
針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板等の木質合板を用いる場合の木質単板の積層数(プライ数)は限定的ではないが、通常3~7枚が好ましく、5~7枚がより好ましい。また、木質合板作製時に用いる接着剤も限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。
上記接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。また、熱硬化性接着剤として、メラミン系、フェノール系、ユリア系(酢酸ビニル-尿素系など)等の接着剤も挙げられる。
基材20の厚さは限定的ではないが、2mm以上15mm以下程度が好ましく、2mm以上12mm以下がより好ましい。
本発明の化粧シート10と、基材20とを積層する積層方法は限定されず、例えば、接着剤によりそれぞれを貼着する方法等を採用することができる。
上記接着剤は、公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー、ウレタン系反応型ホットメルト(以下、「PUR系接着剤」という。)などの反応型ホットメルト接着剤等や、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。
これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によって限定されるものではない。
(実施例1)
基材シートとして60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムを準備し、その一方の面上にグラビア印刷機にて絵柄層(5μm厚) を積層した。
その一方で、透明性樹脂層として80μm厚、インデンテーション硬さが50MPaのオレフィン系フィルム(ランダムポリプロピレン、クリヤー)を準備し、ウレタン樹脂からなる2液硬化性接着剤2μmを介して、上記絵柄層と貼り合わせた。
上記透明性樹脂層の面上に、グラビアコートにて硬化性樹脂組成物(多官能ウレタンアクリレートオリゴマー)を塗布した後、電離線を照射して硬化させることで、13μm厚、インデンテーション硬さが160MPaの表面保護層を設けた。
その後、表面保護層が形成された側から熱圧によるエンボス加工を施すことにより、木目導管柄(溝状)の凹凸模様(凹部)を形成した。形成した凹部の密度は27%、凹部の平均深度は75μm、凹部の最大深度は80μm、凹部の平均幅は510μmであった。また、得られた化粧シートの総厚みは160μmであった。
(実施例2)
凹部の密度が35%、凹部の平均深度が60μm、凹部の最大深度が80μm、凹部の平均幅が510μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例3)
凹部の密度が35%、凹部の平均深度が90μm、凹部の最大深度が110μm、凹部の平均幅が510μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例4)
凹部の密度が40%、凹部の平均深度が87μm、凹部の最大深度が120μm、凹部の平均幅が440μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例5)
表面保護層のインデンテーション硬さを250MPaに変更し、凹部の密度が35%、凹部の平均深度が90μm、凹部の最大深度が110μm、凹部の平均幅が500μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例6)
透明性樹脂層を60μm厚に変更し、凹部の密度が35%、凹部の平均深度が90μm、凹部の最大深度が110μm、凹部の平均幅が500μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例7)
凹部の密度が20%、凹部の平均深度が60μm、凹部の最大深度が80μm、凹部の平均幅が510μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例8)
凹部の密度が35%、凹部の平均深度が40μm、凹部の最大深度が60μm、凹部の平均幅が350μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例9)
表面保護層のインデンテーション硬さを100MPaに変更し、凹部の密度が35%、凹部の平均深度が90μm、凹部の最大深度が110μm、凹部の平均幅が510μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例10)
透明性樹脂層のインデンテーション硬さを40MPaに変更し、凹部の密度が35%、凹部の平均深度が90μm、凹部の最大深度が110μm、凹部の平均幅が510μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例11)
表面保護層を形成する硬化性樹脂組成物(多官能ウレタンアクリレートオリゴマー)に、リン酸系ガラス銀担持化合物(興亜硝子製)を樹脂成分100質量部に対して、3.0質量部含有させたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例1)
凹部の密度が5%、凹部の平均深度が15μm、凹部の最大深度が20μm、凹部の平均幅が300μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例2)
凹部の密度が35%、凹部の平均深度が90μm、凹部の最大深度が110μm、凹部の平均幅が400μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例3)
凹部の密度が20%、凹部の平均深度が75μm、凹部の最大深度が90μm、凹部の平均幅が350μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例4)
透明性樹脂層を40μm厚に変更し、凹部の密度が35%、凹部の平均深度が90μm、凹部の最大深度が110μm、凹部の平均幅が510μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例5)
透明性樹脂層のインデンテーション硬さを30MPaに変更し、凹部の密度が35%、凹部の平均深度が90μm、凹部の最大深度が110μm、凹部の平均幅が510μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例6)
表面保護層のインデンテーション硬さを90MPaに変更し、凹部の密度が35%、凹部の平均深度が90μm、凹部の最大深度が110μm、凹部の平均幅が510μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例7)
凹部の密度が40%、凹部の平均深度が27μm、凹部の最大深度が40μm、凹部の平均幅が500μmとなるよう溝状の凹部を設けたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
<評価方法>
(インデンテーション硬さ)
表面保護層及び透明性樹脂層のインデンテーション硬さは、明細書本文に記載の方法により測定した。
(凹部の平均幅、平均深度及び最大深度)
凹部の平均幅、平均深度及び最大深度は、明細書本文に記載の方法により測定した。
下記の方法にて、耐傷性、耐摩耗性、耐汚染性、生産性及び触感を評価した。すべての評価で「+/-」以上のものを総合評価で合格とした。
(1)耐傷性
実施例及び比較例で作製した化粧シートについて、ホフマンスクラッチ試験機(BYK-GARDNER社製)を用いて試験を行った。具体的には、化粧材の化粧シート表面に対して45°の角度で接するようにスクラッチ刃(φ7mmの円柱形の刃)をセットし、試験機を化粧材上で移動させた。100g荷重ずつ徐々に荷重(錘)を高めていき、化粧シート表面に擦り傷、圧痕等が生じるまで試験を繰り返し行い、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示した。
+:傷付初期荷重が300g荷重以上である
+/-:傷付初期荷重が100g荷重以上300g荷重未満である
-:傷付初期荷重が100g荷重未満である
(2)耐汚染性
実施例及び比較例で作製した化粧シートについて、表面に赤クレヨンを1cm×7cm長さの範囲を3回重ね塗りした後に15分放置し、ティッシュをエタノールで浸して拭き取りを行い、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示した。
+:赤クレヨンが完全に拭き取れた
+/-:一部で赤クレヨンが拭き取れなかった
-:大部分で赤クレヨンが拭き取れなかった
(3)耐摩耗性
実施例及び比較例で作製した化粧シートについて、JAS フローリングの日本農林規格に規定される耐磨耗試験を実施して、絵柄の消失が始まるまでの回転数を確認し、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示した。
+:連続1000回転しても絵柄の消失がなかった
+/-:連続500回転以上、1000回転未満で絵柄の消失が発生した
-:連続500回転未満で絵柄の消失が発生した
(4)化粧シートの生産性
実施例及び比較例において、表面保護層を形成した後に、シート温度160℃、圧力40kg/cmの条件にてエンボス加工を行った際の生産状態を確認し、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示した。
+:問題無く生産可能であった
+/-:凹部の底部に一部割れが起こったが生産は可能であった
-:シート切れを起こす等により生産ができなかった
(5)触感
20代~40代の成人男女10人が、手触りにて実施例及び比較例で作製した化粧シート表面の凹凸感を確認し、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示した。
++:10人全員が凹凸感を感じることができた
+:8人又は9人が凹凸感を感じることができた
+/-:4人以上8人未満が凹凸感を感じることができた
-:凹凸感を感じることができたのが3人以下であった
Figure 2022058108000003
透明性樹脂層及び表面保護層のインデンテーション硬さを所定の範囲とし、かつ、凹部の密度及び形状を所定の範囲とした実施例の化粧シートでは、耐傷性、耐摩耗性、耐汚染性、生産性及び触感のすべての評価が「+/-」以上であり、総合評価で合格であった。
一方で、凹部の密度が20%未満であり、凹部の平均深度が40μm未満であった比較例1の化粧シートでは、触感が不十分であった。
また、凹部の平均深度に対する平均幅の比率(平均幅/平均深度)が5未満であった比較例2及び3の化粧シートでは、耐汚染性が不十分であった。
また、凹部の最大深度が化粧シートの総厚みに対して80%を超えていた比較例4の化粧シートでは、シートの生産性が低下した。
また、透明性樹脂層のインデンテーション硬さが40MPa未満であった比較例5の化粧シートでは、耐傷性が不十分であった。
また、表面保護層のインデンテーション硬さが100MPa未満であった比較例6の化粧シートでは、耐傷性が不十分であった。
また、凹部の平均深度が40μm未満であった比較例7は、比較例1と比較して凹部の深度が深いものであるが、触感が不十分であった。
(6)抗ウイルス試験
実施例11で作製した化粧シートについて、抗ウイルス試験方法(ISO21702)に準拠した方法で試験を実施し、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性値を算出し、抗ウイルス活性値2.0以上を合格として評価した。
その結果、実施例11で作製した化粧シートでは、表面の抗ウイルス活性が3.1であり、抗ウイルス性を有することが確認された。
本発明によれば、十分な触感を有しており、耐傷性、耐摩耗性、及び、耐汚染性に優れており、かつ、生産性が低下しない化粧シート、及び、当該化粧シートを用いてなる化粧材を得ることができる。
1 表面保護層
2 透明性樹脂層
3 絵柄層
4 基材シート
10 化粧シート
20 基材
30 測定試料
31 バーコビッチ圧子
32 荷重をかける方向
40 サンプル
41 測定領域
100 化粧材

Claims (7)

  1. 基材シート上に、絵柄層、透明性樹脂層及び表面保護層を少なくともこの順に有する化粧シートであって、
    前記化粧シートは、前記表面保護層を有する側の面に凹部を有し、
    前記透明性樹脂層のインデンテーション硬さが40MPa以上であり、
    前記表面保護層のインデンテーション硬さが100MPa以上であり、
    前記凹部は、以下の(A)~(D)の条件を満たす
    ことを特徴とする化粧シート。
    (A)前記化粧シートを平面視した際の前記凹部の密度が20%以上である。
    (B)前記凹部の平均深度が40μm以上である。
    (C)前記凹部の平均深度に対する平均幅の比率(平均幅/平均深度)が5以上である。
    (D)前記凹部の最大深度が前記化粧シートの総厚みに対して80%以下である。
  2. 前記凹部の密度が、35%以下である請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記凹部の平均深度が、60μm以上である請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記凹部の平均深度に対する平均幅の比率(平均幅/平均深度)が、6以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧シート。
  5. 前記表面保護層は、抗ウイルス剤を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧シート。
  6. 前記凹部の最大深度が前記化粧シートの総厚みに対して65%以下である請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧シート。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の化粧シートと、基材とが積層されたものであることを特徴とする化粧材。
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