JP2022044877A - ハイブリッド車両の潤滑装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の潤滑装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022044877A
JP2022044877A JP2020150243A JP2020150243A JP2022044877A JP 2022044877 A JP2022044877 A JP 2022044877A JP 2020150243 A JP2020150243 A JP 2020150243A JP 2020150243 A JP2020150243 A JP 2020150243A JP 2022044877 A JP2022044877 A JP 2022044877A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gear
motor
engine
torque
mode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020150243A
Other languages
English (en)
Inventor
秀和 永井
Hidekazu Nagai
陽一郎 勇
Yoichiro Yu
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2020150243A priority Critical patent/JP2022044877A/ja
Publication of JP2022044877A publication Critical patent/JP2022044877A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles

Landscapes

  • Structure Of Transmissions (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • General Details Of Gearings (AREA)

Abstract

【課題】効率的にピニオンギヤやそれを支持する部材を冷却・潤滑することが可能なHV車両の潤滑装置を提供する。【解決手段】駆動力源としてエンジンおよびモータと、エンジンが連結されているキャリヤと、モータが連結されているサンギヤと、出力部材が連結されたリングギヤとによって差動作用を行う遊星歯車機構と、遊星歯車機構に冷却・潤滑のためのオイルを供給する電動オイルポンプとを備えた潤滑装置において、遊星歯車機構のピニオンギヤに焼き付きが発生するか否かをピニオンギヤの動作点に関するパラメータの値に基づいて判断し(S1~3)、焼き付きが発生すると判断された場合に、ピニオンギヤにオイルを供給する(S4)。【選択図】図11

Description

この発明は、エンジンおよびモータが出力する動力を遊星歯車機構を介して駆動軸へ伝達するように構成されたハイブリッド車両の潤滑装置に関するものである。
従来、遊星歯車機構における各潤滑供給部にオイルを供給する構成が知られている。特許文献1には、EV走行時などエンジンが停止している状態で、ピニオン軸受にオイルを供給することが可能な車両用駆動装置が記載されている。エンジンが始動している場合には、エンジンの駆動に伴ってオイルポンプを駆動し、そのオイルポンプからピニオン軸受にオイルを供給する。一方、EV走行時などは、エンジンを停止した状態であるから、前記オイルポンプを駆動できない。そこで、特許文献1に記載された装置では、遊星歯車機構や出力ギヤ列によって掻き上げたオイルを遊星歯車機構の上方に設けられたオイル貯留部に溜め、そのオイル貯留部からキャリヤに設けられたオイルレシーバーにオイルを供給してピニオン軸受を潤滑するように構成されている。
また、特許文献2には、エンジンが連結されたキャリヤの回転をロックした状態で、遊星歯車機構のピニオンギヤに対して、潤滑および冷却のためのオイルを適切に供給するように構成されたハイブリッド車両の潤滑装置が記載されている。この特許文献2に記載された潤滑装置は、オイルポンプをモータによって駆動する電動オイルポンプを備え、エンジンが停止している際に、その電動オイルポンプで油圧を発生させることにより、オイルを遊星歯車機構のピニオンギヤの軸心部分へ圧送するように構成されている。
なお、特許文献3には、駆動力源としてエンジンと二つのモータとを備えたハイブリッド車両の制御装置が記載されている。この特許文献3に記載されたハイブリッド車両は、エンジンの出力トルクを、動力分割機構により第1モータ側と出力側とに分割し、第1モータ側に伝達された動力を電力として第2モータに伝達し、第2モータから出力されたトルクを、エンジンから直接伝達されるトルクに加算して走行する。動力分割機構は、第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とを選択的に係合することによりハイブリッド・ローモードとハイブリッド・ハイモードとを設定することができるように構成されている。なお、ハイブリッド・ローモードとハイブリッド・ハイモードとは、エンジン回転数と出力回転数との回転数比がそれぞれ異なる走行モードである。
特開2011-214715号公報 特許第6194911号公報 特許第6451524号公報
特許文献1に記載された装置では、ピニオン軸受に対して差動機構や出力ギヤによって掻き上げたオイルを供給するように構成されている。ギヤによる掻き上げ潤滑では、上記のようなピニオンギヤの表面の潤滑や冷却を行うことはできるが、ピニオンギヤの内部やピニオンギヤを支持している軸や軸受に対しては潤滑・冷却が十分ではない場合がある。また、上記のような掻き上げ潤滑によって供給されるオイルは、油温や車速によってその供給量や供給状態が変化する。例えば、油温が高くオイルの粘度が低い場合や、高車速でピニオンギヤの回転数が高い場合には、ピニオンギヤに供給されたオイルが遠心力によってピニオンギヤに付着せずに弾き飛ばされてしまい、結果的にピニオンギヤに対するオイルの供給量が減少してしまう。そのような場合、ピニオンギヤの一部に微小な焼き付きが生じてピニオンギヤの表面が損傷する、いわゆるスミアリングが発生するおそれがある。低車速の場合は、オイルを掻き上げるギヤの回転数が低いことにより、高車速の場合と比較してオイルの供給量が減少する。なお、特許文献2に記載された装置のように、電動オイルポンプを用いて、ピニオンギヤにオイルを供給することも想定されるが、常にオイルを供給するとすれば、潤滑過多による引き摺りが生じ、遊星歯車機構の動力伝達効率が低下する、あるいは、その潤滑過多によりコストが増大するなどの不都合が生じるおそれがある。したがって、遊星歯車機構のピニオンギヤに対して、潤滑および冷却のためのオイルを適切に供給するには、未だ改善の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、効率的(あるいは効果的)にピニオンギヤやピニオンギヤを支持する部材を冷却・潤滑することが可能なハイブリッド車両の潤滑装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、駆動力源としてエンジンおよびモータと、前記エンジンが連結されているキャリヤと、前記モータが連結されているサンギヤと、出力部材が連結されたリングギヤとによって差動作用を行う遊星歯車機構と、前記遊星歯車機構に冷却および潤滑のためのオイルを供給する電動オイルポンプとを備えたハイブリッド車両の潤滑装置において、前記電動オイルポンプを制御するコントローラを備え、前記コントローラは、前記遊星歯車機構のピニオンギヤに焼き付きが発生するか否かを前記ピニオンギヤの動作点に関する所定のパラメータの値に基づいて判断し、前記ピニオンギヤに焼き付きが発生すると判断された場合に、前記電動オイルポンプにより前記ピニオンギヤに前記オイルを供給するように構成されていることを特徴とするものである。
この発明のハイブリッド車両の潤滑装置によれば、遊星歯車機構を構成するピニオンギヤの焼き付きが発生する条件が成立する場合には、ピニオンギヤに対してオイルを供給するように構成されている。具体的には、ピニオンギヤの動作点に関する所定のパラメータ(例えばキャリヤ回転数、ピニオン差回転数、キャリヤトルク)の値が、焼き付きが発生する条件をそれぞれ満たす場合に、焼き付きが発生すると判断し、ピニオンギヤへオイルを供給、あるいは、オイルの供給量を増大させるなどの制御を行う。したがって、オイルが供給されることによりピニオンギヤの冷却・潤滑が促進され、ひいてはピニオンギヤの焼き付きが発生することを回避もしくは抑制できる。なお、オイルの供給量は、電動オイルポンプによって制御され、したがって、ピニオンギヤの焼き付きが発生するおそれがないと判断された場合には、オイルの量は適量に制御される。そのため、例えばピニオンギヤの焼き付きを防止するために、常にオイルを供給し続けるような場合に比べて、潤滑過多になることを抑制でき、それによるコストが増大することを抑制できる。
駆動装置の一例を説明するためのスケルトン図である。 オイルポンプの構成を模式的に説明するための図である。 電子制御装置(ECU)の構成を説明するためのブロック図である。 各走行モードでのクラッチ機構、ブレーキ機構の係合および解放の状態、モータの運転状態、エンジンの駆動の有無をまとめて示す図表である。 HV-Hiモードでの動作状態を説明するための共線図である。 HV-Loモードでの動作状態を説明するための共線図である。 直結モードでの動作状態を説明するための共線図である。 EV-Loモードでの動作状態を説明するための共線図である。 EV-Hiモードでの動作状態を説明するための共線図である。 シングルモードでの動作状態を説明するための共線図である。 この発明の実施形態における制御例を説明するためのフローチャートである。 スミアリングが発生する領域を説明するための図である。 この発明の実施形態における他の制御例を説明するためのフローチャートである。 図13に示す制御例を実行した場合における各パラメータの変化を説明するためのタイムチャートである。
この発明を図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態はこの発明を具体化した場合の一例に過ぎないのであって、この発明を限定するものではない。この発明の実施形態におけるハイブリッド車両(以下、車両と記す)Veの一例を図1を参照して説明する。図1は、前輪(駆動輪)1R,1Lを駆動するための駆動装置2を示し、駆動装置2は、エンジン(ENG)3と二つのモータ4,5とを駆動力源として備えたいわゆる2モータタイプの駆動装置である。第1モータ4は発電機能のあるモータ(すなわちモータ・ジェネレータ:MG1)によって構成され、エンジン3の回転数を第1モータ4によって制御するとともに、第1モータ4で発電した電力により第2モータ5を駆動し、その第2モータ5が出力するトルクを走行のための駆動力に加えるように構成されている。なお、第2モータ5は発電機能のあるモータ(すなわちモータ・ジェネレータ:MG2)によって構成することができる。
エンジン3には、この発明の実施形態における差動機構に相当する動力分割機構6が連結されている。この動力分割機構6は、エンジン3が出力したトルクを第1モータ4側と出力側とに分割する機能を主とする分割部7と、そのトルクの分割率を変更する機能を主とする変速部8とにより構成されている。
分割部7は、三つの回転要素によって差動作用を行う構成であればよく、遊星歯車機構PLを採用することができる。図1に示す例では、シングルピニオン型の遊星歯車機構(第1差動機構)によって構成されている。図1に示す分割部7は、サンギヤ9と、サンギヤ9に対して同心円上に配置された、内歯歯車であるリングギヤ10と、これらサンギヤ9とリングギヤ10との間に配置されてサンギヤ9とリングギヤ10とに噛み合っているピニオンギヤ11と、ピニオンギヤ11を自転および公転可能に保持するキャリヤ12とを有している。
エンジン3が出力した動力が前記キャリヤ12に入力されるように構成されている。具体的には、エンジン3の出力軸13に、動力分割機構6の入力軸14が連結され、その入力軸14がキャリヤ12に連結されている。なお、キャリヤ12と入力軸14とを直接連結する構成に替えて、歯車機構などの伝動機構(図示せず)を介してキャリヤ12と入力軸14とを連結してもよい。また、その出力軸13と入力軸14との間にダンパ機構やトルクコンバータなどの機構(図示せず)を配置してもよい。
サンギヤ9に第1モータ4が連結されている。図1に示す例では、分割部7および第1モータ4は、エンジン3の回転中心軸線と同一の軸線上に配置され、第1モータ4は分割部7を挟んでエンジン3とは反対側に配置されている。さらに、変速部8が、この分割部7とエンジン3との間で、これら分割部7およびエンジン3と同一の軸線上に、その軸線の方向に並んで配置されている。
変速部8は、シングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。すなわち、変速部8は、上記の分割部7と同様に、サンギヤ15と、サンギヤ15に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ16と、これらサンギヤ15とリングギヤ16との間に配置されてこれらサンギヤ15およびリングギヤ16に噛み合っているピニオンギヤ17と、ピニオンギヤ17を自転および公転可能に保持しているキャリヤ18とを有している。したがって、変速部8は、サンギヤ15、リングギヤ16、およびキャリヤ18の三つの回転要素によって差動作用を行う差動機構(第2差動機構)となっている。この変速部8におけるサンギヤ15に分割部7におけるリングギヤ10が連結されている。また、変速部8におけるリングギヤ16に、この発明の実施形態における「出力部材」に相当する出力ギヤ19が連結されている。
上記の分割部7と変速部8とが複合遊星歯車機構を構成するように第1クラッチ機構(第1係合機構)CL1が設けられている。第1クラッチ機構CL1は、変速部8におけるキャリヤ18を、分割部7におけるキャリヤ12および入力軸14に選択的に連結するように構成されている。具体的には、第1クラッチ機構CL1は、互いに係合することによりトルクを伝達し、また互いに解放することによりトルクを遮断する回転部材12a,12bを有している。一方の回転部材12aは入力軸14に連結され、他方の回転部材12bはキャリヤ18に連結されている。この第1クラッチ機構CL1は、湿式多板クラッチなどの摩擦式のクラッチ機構であってもよく、あるいはドグクラッチなどの噛み合い式のクラッチ機構であってもよい。または、制御信号が入力されることにより連結状態と解放状態とを切り替え、かつ制御信号が入力されていない場合に、制御信号が入力されなくなる直前の状態(連結状態または解放状態)を維持するように構成されたいわゆるノーマルステイ型のクラッチ機構であってもよい。この第1クラッチ機構CL1を係合させることにより分割部7におけるキャリヤ12と変速部8におけるキャリヤ18とが連結されてこれらが入力要素となり、また分割部7におけるサンギヤ9が反力要素となり、さらに変速部8におけるリングギヤ16が出力要素となった複合遊星歯車機構が形成される。すなわち、入力軸14と第1モータ4の出力軸4aと、後述するドリブンギヤ21とが差動回転できるように複合遊星歯車機構が構成されている。
さらに、変速部8の全体を一体化させるための第2クラッチ機構(第2係合機構)CL2が設けられている。この第2クラッチ機構CL2は、変速部8におけるキャリヤ18とリングギヤ16もしくはサンギヤ15、あるいはサンギヤ15とリングギヤ16とを連結するなどの少なくともいずれか二つの回転要素を連結するためのものであって、摩擦式、噛み合い式、あるいは、ノーマルステイ型のクラッチ機構によって構成することができる。図1に示す例では、第2クラッチ機構CL2は、変速部8におけるキャリヤ18とリングギヤ16とを連結するように構成されている。具体的には、第2クラッチ機構CL2は、互いに係合することによりトルクを伝達し、また互いに解放することによりトルクを遮断する回転部材18a,18bを有している。一方の回転部材18aはキャリヤ18に連結され、他方の回転部材18bはリングギヤ16に連結されている。
上記のエンジン3や分割部7あるいは変速部8の回転中心軸線と平行にカウンタシャフト20が配置されている。前記出力ギヤ19に噛み合っているドリブンギヤ21がこのカウンタシャフト20に取り付けられている。また、カウンタシャフト20にはドライブギヤ22が取り付けられており、このドライブギヤ22が終減速機であるデファレンシャルギヤユニット23におけるリングギヤ24に噛み合っている。さらに、前記ドリブンギヤ21には、第2モータ5におけるロータシャフト25に取り付けられたドライブギヤ26が噛み合っている。したがって、前記出力ギヤ19から出力された動力もしくはトルクに、第2モータ5が出力した動力もしくはトルクを、上記のドリブンギヤ21の部分で加えるように構成されている。このようにして合成された動力もしくはトルクをデファレンシャルギヤユニット23から左右のドライブシャフト27に出力し、その動力やトルクが前輪1R,1Lに伝達されるように構成されている。
なお、駆動装置2には、第1モータ4を走行のための駆動力源とする場合に、エンジン3の回転を止めるための摩擦式あるいは噛み合い式のブレーキ機構(第3係合機構)B1が設けられている。すなわち、ブレーキ機構B1は所定の固定部と出力軸13または入力軸14との間に設けられ、係合して出力軸13または入力軸14を固定することにより、分割部7におけるキャリヤ12や、変速部8におけるキャリヤ18を反力要素として機能させ、分割部7におけるサンギヤ9を入力要素として機能させることができるように構成されている。なお、ブレーキ機構B1は、第1モータ4が駆動トルクを出力した場合に、反力トルクを発生させることができればよく、出力軸13または入力軸14を完全に固定する構成に限らず、要求される反力トルクを出力軸13または入力軸14に作用させることができればよい。または、出力軸13や入力軸14が、エンジン3がその駆動時に回転する方向とは逆方向に回転することを禁止するワンウェイクラッチをブレーキ機構B1として設けてもよい。
また、車両Veには、動力分割機構6を構成する遊星歯車機構の潤滑および冷却のためのオイルポンプが設けられている。図2は、この発明の実施形態の車両Veにおける、オイルポンプを模式的に説明するための図であって、この発明の実施形態では、オイルポンプとして、メカオイルポンプ28(以下、MOP28とも記す)と、電動オイルポンプ29(以下、EOP29とも記す)とが設けられている。先ず、MOP28は、オイルの供給用および油圧制御用のポンプとして、従来、車両のエンジンや変速機に用いられている一般的な構成の機械式オイルポンプである。このMOP28は、エンジン3が出力するトルクによって駆動されて油圧を発生するように構成されている。具体的には、MOP28のロータ(図示せず)がエンジン3の出力軸13と共に回転するように構成されている。したがって、エンジン3が燃焼運転されて出力軸13からトルクを出力する際には、MOP28も駆動されて油圧を発生する。MOP28が油圧を発生することによってMOP28から吐出されるオイルが、油路(図示せず)を介して、遊星歯車機構に供給されるように構成されている。なお、遊星歯車機構には、デファレンシャルギヤユニット23のリングギヤ24による掻き上げ潤滑によってもオイルが供給されるように構成されている。
一方、MOP28は、エンジン3の出力軸13の回転が停止している場合には油圧を発生することができない。車両Veが走行中であれば、掻き上げ潤滑によって遊星歯車機構にオイルを供給することができる。しかしながら、掻き上げ潤滑は、デファレンシャルギヤユニット23のリングギヤ24によって一旦上方へ掻き上げたオイルを、重力の作用によって遊星歯車機構に供給する構成であるため、油圧を用いてオイルを圧送する強制潤滑方式の潤滑機構と比較して潤滑および冷却性能が低い。そこで、この車両Veには、エンジン3が停止している場合や、掻き上げ潤滑の潤滑・冷却が不足する場合であっても、遊星歯車機構へのオイルの供給を維持し、遊星歯車機構を適切に潤滑および冷却するために、EOP29が設けられている。
EOP29は、電気モータが出力するトルクによって駆動されて油圧を発生する電動オイルポンプによって構成されている。したがって、このEOP29には、EOP29を駆動するためのポンプ用モータ30が備えられている。ポンプ用モータ30は、エンジン3ならびに第1モータ4や第2モータ5などの車両Veの駆動力源とは別の第3の電気モータであって、この図2に示す例ではEOP29専用に設けられている。
EOP29が油圧を発生することによってEOP29から吐出されるオイルが、遊星歯車機構に供給されるように構成されている。具体的には、遊星歯車機構の各ピニオンギヤ11,17の軸心部分に、オイルが圧送されて供給されるように構成されている。なお、各ピニオンギヤ11,17へのオイルの圧送は、キャリヤ12,18の内部に形成された油路(図示せず)を介して行われる。
また、図1に示すように、第1モータ4にインバータやコンバータなどを備えた第1電力制御装置31が接続され、第2モータ5にインバータやコンバータなどを備えた第2電力制御装置32が接続され、それらの各電力制御装置31,32は、リチウムイオン電池、キャパシタ、全固体電池などから構成された蓄電装置33に電気的に連結されている。また、上記第1電力制御装置31と第2電力制御装置32とが相互に電力を供給できるように構成されている。具体的には、第1モータ4が反力トルクを出力することに伴って発電機として機能する場合には、第1モータ4で発電された電力を第2モータ5に供給することができるように構成されている。
なお、上記の蓄電装置33は、上述したようにリチウムイオン電池、キャパシタ、全固体電池などによって構成される。それら蓄電装置33は、それぞれ特性が異なるから、車両Veは、蓄電装置33を単一種類の装置から構成することに限られず、複数の蓄電装置33を、各装置の特性を考慮して組み合わせて構成してもよい。
上記の各電力制御装置31,32におけるインバータやコンバータ、エンジン3、各クラッチ機構CL1,CL2およびブレーキ機構B1を制御するための電子制御装置(ECU)34が設けられている。このECU34は、この発明の実施形態における「コントローラ」に相当するものであり、マイクロコンピュータを主体にして構成されている。図3は、ECU34の構成の一例を説明するためのブロック図である。図3に示す例では、統合ECU35、MG-ECU36、エンジンECU37、および、クラッチECU38によりECU34が構成されている。
統合ECU35は、車両Veに搭載された種々のセンサから入力されたデータと、予め記憶されているマップや演算式などとに基づいて演算を行い、その演算結果を、MG-ECU36、エンジンECU37、およびクラッチECU38に指令信号を出力するように構成されている。統合ECU35に入力される各種センサからのデータの一例を図3に示してある。車速、アクセル開度、第1モータ(MG1)4の回転数、第2モータ(MG2)5の回転数、エンジン3の出力軸13の回転数(エンジン回転数)、変速部8におけるカウンタシャフト20の回転数である出力回転数、動力分割機構におけるキャリヤ回転数、キャリヤトルク、ピニオンギヤの回転数、各クラッチ機構CL1,CL2やブレーキ機構B1に設けられたピストン(アクチュエータ)のストローク量、蓄電装置33の温度、各電力制御装置31,32の温度、第1モータ4の温度、第2モータ5の温度、分割部7や変速部8などを潤滑するオイル(ATF)の温度、オイルの量、蓄電装置33の充電残量(SOC)などのデータが、統合ECU35に入力される。
そして、統合ECU35に入力されたデータなどに基づいて第1モータ4の運転状態(出力トルクや回転数)、第2モータ5の運転状態(出力トルクや回転数)を求めて、それらの求められたデータを指令信号としてMG-ECU36に出力する。同様に、統合ECU35に入力されたデータなどに基づいてエンジン3の運転状態(出力トルクや回転数)を求めて、その求められたデータを指令信号としてエンジンECU37に出力する。同様に、統合ECU35に入力されたデータなどに基づいて各クラッチ機構CL1,CL2、およびブレーキ機構B1の伝達トルク容量(「0」を含む)を求めて、それらの求められたデータを指令信号としてクラッチECU38に出力する。
MG-ECU36は、上記のように統合ECU35から入力されたデータに基づいて各モータ4,5に通電するべき電流値を求めて、各モータ4,5に指令信号を出力する。各モータ4,5は、交流式のモータであるから、上記の指令信号は、インバータで生成するべき電流の周波数や、コンバータで昇圧するべき電圧値などが含まれる。
エンジンECU37は、上記のように統合ECU35から入力されたデータに基づいて電子スロットルバルブの開度を定めるための電流値やパルス数、点火装置で燃料を着火するための電流値やパルス数、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブの開度を定めるための電流値やパルス数、吸気バルブや排気バルブの開度を定めるための電流値やパルス数などの指令値を求め、それぞれのバルブや装置に指令信号を出力する。すなわち、エンジン3の出力(パワー)や、エンジン3の出力トルク、もしくはエンジン回転数を制御するための指示信号を、エンジンECU37から出力する。
クラッチECU38は、上記のように統合ECU35から入力されたデータに基づいて各クラッチ機構CL1,CL2およびブレーキ機構B1の係合圧を定めるアクチュエータに通電するべき指令値を求めて、それぞれのアクチュエータに指令信号を出力する。
上記の駆動装置2は、エンジン3から駆動トルクを出力して走行するHV走行モードと、エンジン3から駆動トルクを出力することなく、第1モータ4や第2モータ5から駆動トルクを出力して走行するEV走行モードとを設定することが可能である。さらに、HV走行モードは、第1モータ4を低回転数で回転させた場合(「0」回転を含む)において、変速部8のリングギヤ16の回転数よりもエンジン3(または入力軸14)の回転数が高回転数となるHV-Loモードと、変速部8のリングギヤ16の回転数よりもエンジン3(または入力軸14)の回転数が低回転数となるHV-Hiモードと、変速部8のリングギヤ16の回転数とエンジン3(または入力軸14)の回転数が同一である直結モード(固定段モード)とを設定することが可能である。なお、HV-LoモードとHV-Hiモードとでは、トルクの増幅率はHV-Loモードの方が大きくなる。
またさらに、EV走行モードは、第1モータ4および第2モータ5から駆動トルクを出力するデュアルモードと、第1モータ4から駆動トルクを出力せずに第2モータ5のみから駆動トルクを出力するシングルモード(切り離しモード)とを設定することが可能である。更にデュアルモードは、第1モータ4から出力されたトルクの増幅率が比較的大きいEV-Loモードと、第1モータ4から出力されたトルクの増幅率がEV-Loモードより小さいEV-Hiモードとを設定することが可能である。なお、シングルモードでは、第1クラッチ機構CL1を係合した状態で第2モータ5のみから駆動トルクを出力して走行することや、第2クラッチ機構CL2を係合した状態で第2モータ5のみから駆動トルクを出力して走行すること、あるいは各クラッチ機構CL1,CL2を解放した状態で第2モータ5のみから駆動トルクを出力して走行することが可能である。
それらの各走行モードは、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、ブレーキ機構B1、およびエンジン3、各モータ4,5を制御することにより設定される。図4に、これらの走行モードと、各走行モードにおける、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、ブレーキ機構B1の係合および解放の状態、第1モータ4および第2モータ5の運転状態、エンジン3からの駆動トルクの出力の有無の一例を図表として示してある。図中における「●」のシンボルは係合している状態を示し、「-」のシンボルは解放している状態を示し、「G」のシンボルは主にジェネレータとして運転することを意味し、「M」のシンボルは主にモータとして運転することを意味し、空欄はモータおよびジェネレータとして機能していない、または第1モータ4や第2モータ5が駆動のために関与していない状態を意味し、「ON」はエンジン3から駆動トルクを出力している状態を示し、「OFF」はエンジン3から駆動トルクを出力していない状態を示している。
各走行モードを設定した場合における動力分割機構6の各回転要素の回転数、およびエンジン3、各モータ4,5のトルクの向きを説明するための共線図を図5ないし図10に示している。共線図は、動力分割機構6における各回転要素を示す直線をギヤ比の間隔をあけて互いに平行に引き、これらの直線に直交する基線からの距離をそれぞれの回転要素の回転数として示す図であり、それぞれの回転要素を示す直線に重ねてある矢印がトルクの向きを示すとともに、そのトルクの大きさを矢印の長さで示している。
図5に示すようにHV-Hiモードでは、エンジン3から駆動トルクを出力し、第2クラッチ機構CL2を係合するとともに、第1モータ4から反力トルクを出力する。また、図6に示すようにHV-Loモードでは、エンジン3から駆動トルクを出力し、第1クラッチ機構CL1を係合するとともに、第1モータ4から反力トルクを出力する。上記HV-HiモードやHV-Loモードが設定されている場合の第1モータ4の回転数は、エンジン3の燃費や第1モータ4の駆動効率などを考慮した駆動装置2全体としての効率(消費エネルギー量を前輪1R,1Lのエネルギー量で除算した値)が最も良好となるように制御される。上記の第1モータ4の回転数は無段階に連続的に変化させることができ、その第1モータ4の回転数と車速とに基づいてエンジン回転数が定まる。したがって、動力分割機構6は、無段変速機として機能できる。
上記のように第1モータ4から反力トルクを出力することにより、第1モータ4が発電機として機能する場合には、エンジン3の動力の一部が第1モータ4により電気エネルギーに変換される。そして、エンジン3の動力から第1モータ4により電気エネルギーに変換された動力分を除いた動力が変速部8におけるリングギヤ16に伝達される。その第1モータ4から出力する反力トルクは、動力分割機構6を介してエンジン3から第1モータ4側に伝達されるトルクの分割率に応じて定められる。この動力分割機構6を介してエンジン3から第1モータ4側に伝達されるトルクと、リングギヤ16側に伝達されるトルクとの比、すなわち動力分割機構6におけるトルクの分割率は、HV-LoモードとHV-Hiモードとで異なる。
具体的には、第1モータ4側に伝達されるトルクを「1」とした場合、HV-Loモードではリングギヤ16側に伝達されるトルクの割合であるトルク分割率は、「1/(ρ1×ρ2)」となり、HV-Hiモードではそのトルク分割率は、「1/ρ1」となる。すなわち、エンジン3から出力されたトルクのうちリングギヤ16に伝達されるトルクの割合は、HV-Loモードでは、「1/(1-(ρ1×ρ2))」となり、HV-Hiモードでは、「1/(ρ1+1)」となる。ここで、「ρ1」は分割部7のギヤ比(リングギヤ10の歯数とサンギヤ9の歯数との比率)であり、「ρ2」は変速部8のギヤ比(リングギヤ16の歯数とサンギヤ15の歯数との比率)である。なお、ρ1およびρ2は、「1」よりも小さい値である。したがって、HV-Loモードが設定されている場合には、HV-Hiモードが設定されている場合と比較して、リングギヤ16に伝達されるトルクの割合が大きくなる。
なお、エンジン3の出力を増大させてエンジン3の回転数を増大させている場合には、エンジン3の出力のうちエンジン3の回転数を増大させるために要したパワーを減じたパワーに相当するトルクが、エンジン3から出力されるトルクとなる。そして、第1モータ4により発電された電力が第2モータ5に供給される。その場合、必要に応じて蓄電装置33に充電されている電力も第2モータ5に供給される。
直結モードでは、各クラッチ機構CL1,CL2が係合されることにより、図7に示すように動力分割機構6における各回転要素が同一回転数で回転する。すなわち、エンジン3の動力の全てが動力分割機構6から出力される。言い換えると、エンジン3の動力の一部が、第1モータ4や第2モータ5により電気エネルギーに変換されることがない。したがって、電気エネルギーに変換する際に生じるジュール損などを要因とした損失がないため、動力の伝達効率が良好になる。
さらに、図8および図9に示すようにEV-LoモードとEV-Hiモードとでは、ブレーキ機構B1を係合するとともに各モータ4,5から駆動トルクを出力して走行する。具体的には、図8に示すようにEV-Loモードでは、ブレーキ機構B1および第1クラッチ機構CL1を係合するとともに、各モータ4,5から駆動トルクを出力して走行する。すなわち、ブレーキ機構B1により、出力軸13またはキャリヤ12が回転することを制限するための反力トルクを作用させる。その場合における第1モータ4の回転方向は、正方向になり、かつ出力トルクの向きは、その回転数を増大させる方向となる。また、図9に示すようにEV-Hiモードでは、ブレーキ機構B1および第2クラッチ機構CL2を係合するとともに、各モータ4,5から駆動トルクを出力して走行する。すなわち、ブレーキ機構B1により、出力軸13またはキャリヤ12が回転することを制限するための反力トルクを作用させる。その場合における第1モータ4の回転方向は、エンジン3の回転方向(正方向)とは反対方向(負方向)になり、かつ出力トルクの向きは、その回転数を増大させる方向となる。
また、変速部8のリングギヤ16の回転数と第1モータ4の回転数との回転数比は、EV-Loモードの方がEV-Hiモードよりも大きくなる。すなわち、同一車速で走行している場合には、EV-Loモードを設定する場合の方が、EV-Hiモードを設定する場合よりも第1モータ4の回転数が高回転数になる。つまり、EV-Loモードの方が、EV-Hiモードよりも減速比が大きい。そのため、EV-Loモードを設定することにより大きな駆動力を得ることができる。なお、上記のリングギヤ16の回転数は、出力部材(あるいは出力側)の回転数であって、図1のギヤトレーンでは、便宜上リングギヤ16から駆動輪までの各部材のギヤ比は1とする。そして、シングルモードでは、図10に示すように第2モータ5のみから駆動トルクを出力しており、かつ各クラッチ機構CL1,CL2が解放されていることにより、動力分割機構6の各回転要素は停止した状態になる。したがって、エンジン3や第1モータ4を連れ回すことによる動力損失を低減することができる。
このように構成された車両Veは、上述したように、動力分割機構6における遊星歯車機構を潤滑・冷却するためのオイルポンプとしてメカオイルポンプ28と電動オイルポンプ29とを備えている。一方、例えば車両Veが高車速で走行している場合には、ピニオンギヤ11,17の回転数が高回転数になり、オイルの供給が不十分となることがある。その場合には、ピニオンギヤ11,17あるいはそれを支持する軸受の一部に微小な焼き付きが生じてピニオンギヤ11,17の表面が損傷するいわゆるスミアリングが発生することがある。なお、そのようなスミアリングに加えて通常の焼き付き(あるいは摩耗)が生じることもある。そこで、この発明の実施形態では、上記のようなスミアリングあるいは通常の焼き付きを抑制するように構成されている。なお、これ以降の説明では、特に説明する場合を除いて、スミアリングも含めて、単に焼き付きと記す。
図11は、その制御の一例を示すフローチャートであり、所定の条件が成立した場合には、ピニオンギヤの焼き付きが発生することがあると判断し、その場合には、オイルの供給量を増大させるように構成されている。なお、この図11に示すフローチャートは、エンジン3や各モータ4,5を動力源として、LoモードあるいはHiモードのいずれかの走行モードで走行している際に実行される。
先ず、キャリヤ回転数がピニオンギヤ11,17の焼き付き発生条件を満たす所定の回転数域であるか否かを判断する(ステップS1)。ピニオンギヤ11(17)は、キャリヤ12(18)に保持され回転している。したがって、キャリヤ12(18)の回転数を検出あるいは取得することによりピニオンギヤ11(17)の焼き付きが発生することがあるか否かを判断できる。なお、所定の回転数域とは、実験や予め定めたマップによって定められる回転数域である。
図12は、スミアリング(焼き付き)の発生を示すマップであって、ステップS1で判断するキャリヤ回転数、後述のステップS2で判断するピニオン差回転数、ステップS3で判断するキャリヤトルクをパラメータとしたものであり、それぞれのパラメータごとに、スミアリングが発生する領域が定められている。なお、図示した矢印の大きさは、それぞれ所定の回転数範囲やトルク範囲を示し、同じ文言で示した矢印は同じ大きさを意味する。したがって、このステップS1で否定的に判断された場合、すなわちキャリヤ回転数が、焼き付き発生条件を満たす所定の回転数域でない場合には、これ以降の制御を実行することなく図11のルーチンを一旦終了する。
それとは反対に、このステップS1で肯定的に判断された場合、すなわちピニオン差回転数が焼き付き発生条件を満たす所定の差回転数か否かを判断する(ステップS2)。ここでいうピニオン差回転数とはキャリヤ回転数とピニオン回転数との差回転数をいう。つまり、このステップS2では、その差回転数に応じてピニオンギヤ11(17)に焼き付きが発生するか否かを判断するように構成されている。なお、所定の差回転数とは、実験や図12に示す予め定めたマップによって定められる。図12で示すピニオン差回転数は、正の差回転数と負の差回転数で示しており、それぞれ同じ差回転数とされている。したがって、このステップS2で否定的に判断された場合、すなわちピニオン差回転数が、焼き付き発生条件を満たす所定の差回転数でない場合には、これ以降の制御を実行することなく図11のルーチンを一旦終了する。
一方、このステップS2で肯定的に判断された場合、すなわちピニオン差回転数が焼き付き発生条件を満たす所定の差回転数である場合には、キャリヤトルクが焼き付き発生条件を満たすか否かを判断する(ステップS3)。これはピニオンギヤ11(17)を保持しているキャリヤ12(18)に作用するトルクから、ピニオンギヤ11(17)の焼き付きを判断するものである。このキャリヤトルクが図12に示す所定のトルク範囲である場合には、このステップS3で肯定的に判断される。したがって、このステップS3で否定的に判断された場合、すなわちキャリヤトルクが、焼き付き発生条件を満たす所定のトルク範囲外の場合には、これ以降の制御を実行することなく図11のルーチンを一旦終了する。
それとは反対に、このステップS3で肯定的に判断された場合、すなわちキャリヤトルクが、焼き付き発生条件を満たす所定のトルク範囲内の場合には、ピニオンギヤ11(17)、ピニオンギヤ11(17)を支持するニードル軸受、および、軸心へのオイルの供給量を増大させる(ステップS4)。つまり、上述のステップS1~ステップS3の焼き付き発生条件を満たすことから、ピニオンギヤ11(17)に焼き付きが生じる、あるいは、焼き付きが生じるおそれがあると判断できる。なお、図12のマップで説明すると、それぞれのパラメータにおいて、スミアリングが発生する領域が重なった場合に、ピニオンギヤ11(17)に焼き付きが発生することがあると判断する。そのスミアリング発生領域が重なる部分を、図12では、直方体のブロックで示している。したがって、このステップS4では、そのような焼き付きが生じるピニオンギヤ11(17)、ならびに、それを支持する軸受や軸に対して、オイルの供給量を増大させる。つまり、電動オイルポンプ29から圧送するオイルの供給量を制御して、ピニオンギヤ11(17)に供給するオイルの量を増大させる。
なお、オイルの供給量は、キャリヤ回転数、ピニオン差回転数、および、キャリヤトルクの値に応じて適宜決定される。また、ピニオンギヤ11(17)の焼き付きが発生する場合には、オイルの温度が高温になっていることが予想される。したがって、上記のステップS4では、オイルの温度を適切な所定の温度に制御するように構成してもよい。すなわちオイルの温度が適温となるようにオイル量を制御してもよい。
このように、この発明の実施形態では、遊星歯車機構を構成するピニオンギヤ11(17)の焼き付きが発生する(あるいは発生するおそれの)条件が成立する場合には、ピニオンギヤ11(17)、および、それを支持する軸受や軸に対してオイルの供給量を増大するように構成されている。したがって、オイルの供給量が増大することにより、ピニオンギヤ11(17)の冷却が促進され、ひいてはピニオンギヤ11(17)の焼き付きを抑制もしくは回避できる。また、オイルの供給量は、EOP29によって制御され、したがって、ピニオンギヤ11(17)の焼き付きが発生するおそれがないと判断された場合、すなわちステップS1~S3のいずれかのステップで否定的に判断された場合には、油量は適量に制御される。したがって、例えばピニオンギヤ11(17)の焼き付きを防止するために、常にオイルを供給し続けるような場合に比べて、潤滑過多になることを抑制でき、それによるコストが増大することを抑制できる。言い換えれば、所定の条件が成立する場合のみに、オイルの供給量を増大せるため、それによって生じる損失を低下させることができる。
また、そのように、潤滑過多になることを抑制できることにより、遊星歯車機構において、オイルの引き摺りが発生することを抑制できる。言い換えればオイルの抵抗により各ギヤの回転を妨げることを回避でき、ひいては、潤滑過多によって動力伝達効率が低下することを抑制できる。
つぎに、この発明の実施形態における他の制御例について説明する。上述した例では、ピニオンギヤ11(17)の焼き付き発生条件が成立する場合には、オイルの量を制御することで焼き付きを回避するように構成されていたものの、ピニオンギヤ11(17)の焼き付きを回避する制御はこれに限られない。上述したように、図1に示す車両Veでは、複数の走行モードの設定が可能である。したがって、ピニオンギヤ11(17)の焼き付きが発生するおそれがある場合には、そのピニオンギヤ11(17)の焼き付きを抑制可能な走行モードに変更するように構成してもよい。
図13は、その制御の一例を示すフローチャートであり、上述のピニオンギヤ11(17)がスミアリングが発生あるいは焼き付きが発生する条件が成立する場合には、そのスミアリングや焼き付きを抑制できる走行モードへ変更するように構成されている。なお、この制御例は、LoモードあるいはHiモードのいずれかの走行モードが設定されている状態を前提とし、図13に示す例ではLoモードが設定されている。また、図11の制御例と同様のステップについては、同じステップ番号を付し、その制御の内容についての説明は省略あるいは簡略化する。
先ず、キャリヤ回転数が焼き付きが発生する条件である所定の回転数域であるか否かを判断し、この判断において肯定的に判断された場合には、ピニオン差回転数が焼き付きが発生する条件である所定の差回転数域であるか否かを判断し、さらにこの判断において肯定的に判断された場合には、キャリヤトルクが焼き付きが発生する条件である所定のトルク域であるか否かを判断する(ステップS1~S3)。そして、ステップS3で肯定的に判断された場合、すなわちステップS1~ステップS3のいずれのパラメータにおいてスミアリングの発生条件を満たすと判断された場合には、ステップS10へ進む。なお、各パラメータにおいて、スミアリングが発生するか否かの判断は、例えば上述の図12のマップによって判断する。
ステップS10では、走行モードを変更することにより、ピニオンギヤ11(17)のスミアリングや通常の焼き付きを抑制あるいは回避することが可能か否かを判断する。上述のように、現在の走行モード(Loモード)では、ピニオンギヤ11(17)が焼き付くおそれがある。したがって、現在の走行モード以外でピニオンギヤ11(17)の焼き付きを回避あるいは抑制できる走行モードがあるか否かを判断する。なお、変更する走行モードは、HV走行モードおよびEV走行モードにおけるLoモードやHiモード、HV走行モードにおける直結モード、あるいは、EV走行モードにおけるシングルモードである。また、ピニオンギヤ11(17)の焼き付きを回避することが可能な走行モードが複数存在する場合には、運転者のアクセル開度や要求駆動力に応じて最適な走行モードを選択する。したがって、このステップS10で肯定的に判断された場合、すなわちピニオンギヤ11(17)の焼き付きを回避あるいは抑制できる走行モードが存在する場合には、その走行モードに変更する(ステップS20)。すなわち、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、ブレーキ機構B1などを制御して、走行モードを切り替える。
それとは反対に、このステップS10で否定的に判断された場合、すなわち、ピニオンギヤ11(17)の焼き付きを回避あるいは抑制できる走行モードが存在しないと判断された場合には、現在の走行モードでのピニオンギヤ11(17)の動作点を変更する(ステップS30)。すなわち、キャリヤ回転数、ピニオン差回転数、キャリヤトルクの少なくともいずれかのパラメータを変更し、ピニオンギヤ11(17)の焼き付きを回避あるいは抑制可能な動作点に制御する。
なお、この図13に示すフローチャートにおいて、上述のステップS1~ステップS3のいずれかのステップで否定的に判断された場合には、図13のルーチンを一旦終了する。
つぎに、図13の制御例を実行した場合のタイムチャートについて説明する。この図14に示すタイムチャートは、HV走行においてLoモードからHiモードへ切り替えることにより、ピニオンギヤ11(17)の焼き付きを回避もしくは抑制する例であって、走行モード、キャリヤ回転数、ピニオン差回転数、キャリヤトルク、および、車速の変化について示してある。
先ず、t0時点では、Loモードが設定されている。このt0時点では、キャリヤ回転数とキャリヤトルクとが、スミアリング発生領域内であり、ピニオン差回転数はスミアリング発生領域から外れており、全てのパラメータがスミアリング発生領域内ではないので、スミアリング発生するおそれがない(あるいは低い)と判断できる。
その状態から、アクセル開度(図示せず)が増大するなどのよって、車速が増大すると、ピニオン差回転数が増大し、それによって、ピニオン差回転数がスミアリング発生領域に遷移する(t1時点)。つまり、上述のフローチャートにおいてステップS1~S3のいずれのステップにおいても肯定的に判断された状態となる。
したがって、このt1時点で、スミアリングを回避あるいは抑制することが可能な走行モードであるHiモードへ移行する。つまり、第1クラッチ機構CL1を解放し、第2クラッチ機構CL2を係合する。図14に示す例では、Hiモードに変更することにより、キャリヤ回転数、ピニオン差回転数、および、キャリヤトルクのうち、ピニオン差回転数とキャリヤトルクとがスミアリング発生領域から外れている。なお、このスミアリング発生領域から外れるパラメータは、全てのパラメータがその領域(あるいは動作点)から外れることが好ましいものの、少なくとも一つのパラメータがその領域から外れればよい。
このように、図13および図14の実施形態では、ピニオンギヤ11(17)のスミアリングあるいは焼き付きが発生すると判断した場合には、そのスミアリングや焼き付きを回避もしくは抑制できる走行モードに切り替えるように構成されている。それにより、キャリヤ差回転数、ピニオン差回転数、キャリヤトルクの少なくともいずれかのパラメータの値が焼き付きが発生する動作点を回避でき、したがって、ピニオンギヤ11(17)が焼き付くこと、ならびに、スミアリングが発生することを回避もしくは抑制できる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。上述した実施形態では、LoモードとHiモードとを切り替えることが可能な車両を対象として説明したものの、車両Veの構成は、図1の例に限られない。つまり、電動オイルポンプによって、遊星歯車機構におけるピニオンギヤの焼き付きを抑制できればよく、したがって、例えば特許文献1や特許文献2に記載された車両を対象としてもよい。また上述した車両Veは、エンジンとモータとを備えたHV車であればよく、したがって、プラグインハイブリッド車(PHV)を含んでよい。
1R,1L 前輪
2 駆動装置
3 エンジン
4 第1モータ
6 動力分割機構
7 分割部
8 変速部
9,15 サンギヤ
10,16 リングギヤ
11,17 ピニオンギヤ
12,18 キャリヤ
19 出力ギヤ
28 メカオイルポンプMOP
29 電動オイルポンプ(EOP)
30 ポンプ用モータ
34 ECU(電子制御装置)
Ve 車両

Claims (1)

  1. 駆動力源としてエンジンおよびモータと、
    前記エンジンが連結されているキャリヤと、前記モータが連結されているサンギヤと、出力部材が連結されたリングギヤとによって差動作用を行う遊星歯車機構と、
    前記遊星歯車機構に冷却および潤滑のためのオイルを供給する電動オイルポンプとを備えたハイブリッド車両の潤滑装置において、
    前記電動オイルポンプを制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、
    前記遊星歯車機構のピニオンギヤに焼き付きが発生するか否かを前記ピニオンギヤの動作点に関する所定のパラメータの値に基づいて判断し、
    前記ピニオンギヤに焼き付きが発生すると判断された場合に、前記電動オイルポンプにより前記ピニオンギヤに前記オイルを供給するように構成されている
    ことを特徴とするハイブリッド車両の潤滑装置。
JP2020150243A 2020-09-08 2020-09-08 ハイブリッド車両の潤滑装置 Pending JP2022044877A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020150243A JP2022044877A (ja) 2020-09-08 2020-09-08 ハイブリッド車両の潤滑装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020150243A JP2022044877A (ja) 2020-09-08 2020-09-08 ハイブリッド車両の潤滑装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022044877A true JP2022044877A (ja) 2022-03-18

Family

ID=80681895

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020150243A Pending JP2022044877A (ja) 2020-09-08 2020-09-08 ハイブリッド車両の潤滑装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022044877A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3067588B1 (en) Lubricating structure for hybrid vehicle
JP6863231B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP4852474B2 (ja) 動力装置
US9475378B2 (en) Driving device for hybrid vehicle
US10295052B2 (en) Vehicle shift control device
EP2937237B1 (en) Hybrid vehicle drive device
JP6128154B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
US20140357441A1 (en) Powersplit powertrain for a hybrid electric vehicle
US20130035186A1 (en) Reconfigurable Powersplit Powertrain for an Electric Vehicle
JP6191585B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP6897512B2 (ja) ハイブリッド車両の駆動力制御装置
US9440642B2 (en) Drive system for hybrid vehicle
JP2010095066A (ja) ハイブリッド自動車の駆動装置
CN109383267B (zh) 混合动力车辆的驱动力控制装置
JP2015051686A (ja) 車両の駆動制御装置
JP2021187332A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2013203386A (ja) ハイブリッド車両の駆動制御装置
JP2022044877A (ja) ハイブリッド車両の潤滑装置
JP6514085B2 (ja) ハイブリッド車両用駆動装置の制御装置
JP2022023569A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP7081439B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2022020924A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2022052079A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2022042168A (ja) 車両の制御装置