以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~図5を参照して、本発明の一実施形態による電力変換装置100の構成について説明する。
図1に示すように、電力変換装置100は、インバータ10と、遮断器盤20と、を備える。インバータ10は、直流電源200から入力される直流電力を交流電力に変換して負荷300に出力するように構成されている。すなわち、インバータ10の入力側には、バッテリなどの直流電源200が設けられている。また、インバータ10の出力側には、モータなどの負荷300が設けられている。なお、遮断器盤20は、特許請求の範囲の「遮断部」の一例である。
インバータ10は、電力変換部11と、コンデンサ12と、放電抵抗13と、初期充電回路14と、制御部15aと、入力電圧検出部16と、コンデンサ電圧検出部17と、を備える。
電力変換部11は、上位側の直流電源200から入力される直流電力を交流電力に変換して負荷300に出力するように構成されている。電力変換部11は、複数のスイッチング素子を含む。スイッチング素子は、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である。
コンデンサ12は、電力変換部11の入力側に電力変換部11に対して並列に接続されている。コンデンサ12は、電力変換部11に入力される電圧を平滑するために設けられている。
放電抵抗13は、コンデンサ12の電力変換部11側に、コンデンサ12に対して並列に接続されている。放電抵抗13は、インバータ10の動作が停止した後、コンデンサ12が充電された状態が維持されないように、コンデンサ12の放電を行うために設けられている。
初期充電回路14は、コンデンサ12の入力側かつ正極側にコンデンサ12に対して直列に接続されている。初期充電回路14は、抵抗器Rと、リレーRY1と、リレーRY2と、を含む。抵抗器RとリレーRY2とは、互いに直列接続されている。また、抵抗器RおよびリレーRY2と、リレーRY1とは、互いに並列接続されている。抵抗器Rは、1つの抵抗器または複数の抵抗器を含む。なお、リレーRY1およびリレーRY2は、それぞれ、特許請求の範囲の「第2スイッチ」および「第1スイッチ」の一例である。
リレーRY1およびリレーRY2は、有接点リレー(機械式リレー)である。また、リレーRY1およびリレーRY2は、補助接点を有する電磁接触器と異なり、主接点とは別途設けられる補助接点を有さない。
初期充電回路14は、抵抗器Rを介してコンデンサ12を初期充電するために設けられている。また、電力変換装置100は、リレーRY2がON状態(閉状態)かつリレーRY1がOFF状態(開状態)において、抵抗器Rを介してコンデンサ12を初期充電するように構成されている。具体的には、直流電源200から直流電力が入力されている状態において、リレーRY1およびリレーRY2がOFF状態(開状態)から、リレーRY1がOFF状態(開状態)かつリレーRY2がON状態(閉状態)にされる。そして、直流電源200から入力された直流電力が、抵抗器Rを介して、コンデンサ12に供給される。これにより、コンデンサ12に過大な突入電流が流れるのを防止しながら、コンデンサ12が初期充電される。
制御部15aは、電力変換部11の動作を制御するように構成されている。具体的には、制御部15aは、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、スイッチング素子を動作させるように構成されている。また、制御部15aは、リレーRY1およびリレーRY2を動作させる(ON状態(閉状態)とOFF状態(開状態)とを切り換える)制御を行うように構成されている。
入力電圧検出部16は、直流電源200から入力される直流電力の入力電圧Vinを検出するように構成されている。なお、入力電圧Vinは、実際に検出される値(検出値)には変動があるが、変動範囲が電力変換装置100の仕様で定められている。
コンデンサ電圧検出部17は、コンデンサ12の電圧Edcを検出するように構成されている。図2に示すように、コンデンサ12の電圧Edcは、コンデンサ12が正常に充電された場合、時間の経過に伴って、入力電圧Vinに近づくように徐々に大きくなる。
図1に示すように、遮断器盤20は、インバータ10と直流電源200との間に設けられている。また、遮断器盤20は、初期充電回路14の入力側に設けられている。遮断器盤20は、上位ブレーカ21と、トリップ装置22と、を含む。上位ブレーカ21は、直流電源200からインバータ10に入力される電流を遮断可能に構成されている。トリップ装置22は、上位ブレーカ21を遮断させる制御を行う装置である。
ここで、本実施形態では、電力変換装置100は、コンデンサ12の初期充電が完了した後、コンデンサ12の電圧Edcに基づいて、リレーRY2およびリレーRY1が異常状態であるか否かを検出する異常検出部15bを備える。なお、異常検出部15bは、制御部15aとともに、インバータ制御部15の構成要素として設けられている。インバータ制御部15は、たとえば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(Micro Controller)等である。
本実施形態では、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2(RY2)がOFF状態(開状態)にされた場合に、充電されたコンデンサ12の電圧Edcが低下するか否かに基づいて、リレーRY2が溶着状態であるか否かを検出するように構成されている。詳細には、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2がOFF状態にされてから時間t1(図2参照)が経過した時点で、コンデンサ電圧検出部17により検出されたコンデンサ12の電圧Edcが、リレーRY2がOFF状態にされる直前の電圧よりも所定量以上低下しているか否かに基づいて、リレーRY2が溶着状態であるか否かを判断するように構成されている。なお、(リレーRY2の)溶着状態は、特許請求の範囲の「(第1スイッチの)異常状態」の一例である。また、時間t1は、特許請求の範囲の「所定の第1時間」の一例である。
具体的には、図2に示すように、コンデンサ12の初期充電が完了している状態(コンデンサ12が満充電に近い状態)において、リレーRY2(RY2)がON状態(閉状態)かつリレーRY1(RY1)がOFF状態(開状態)から、リレーRY2がOFF状態にされると、リレーRY2が正常にOFF状態となっている場合、リレーRY2を介したコンデンサ12への電力の供給が停止されるので、充電されたコンデンサ12の電圧Edcは低下する。一方、図3に示すように、リレーRY2が正常にOFF状態となっていない場合(溶着状態である場合)、リレーRY2を介したコンデンサ12への電力の供給が停止されないので、充電されたコンデンサ12の電圧Edcは低下しない(直流電源200の電圧に維持されるか直流電源200の電圧に向かって上昇する)。したがって、異常検出部15b(図1参照)は、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2がOFF状態にされてから時間t1が経過する間に、コンデンサ12の電圧Edcが、リレーRY2がOFF状態にされる直前の電圧よりも所定量以上低下するか否かに基づいて、リレーRY2が溶着状態であるか否かを判断することができる。なお、時間t1は、たとえば、コンデンサ12および放電抵抗13(図1参照)からなるRC回路の時定数と、コンデンサ12の電圧Edcの低下を判別可能な所定量とに基づいて設定される。
また、図1に示すように、本実施形態では、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2がOFF状態(開状態)かつリレーRY1がON状態(閉状態)にされた場合に、充電されたコンデンサ12の電圧Edcが維持されるか否かに基づいて、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを検出するように構成されている。詳細には、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2がOFF状態かつリレーRY1がON状態にされてから時間t2(図4参照)が経過した時点で、コンデンサ電圧検出部17により検出されたコンデンサ12の電圧Edcが、リレーRY2がOFF状態かつリレーRY1がON状態にされる直前の電圧よりも所定量以上低下しているか否かに基づいて、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを判断するように構成されている。なお、(リレーRY1の)接触不良状態は、特許請求の範囲の「(第2スイッチの)異常状態」の一例である。また、時間t2は、特許請求の範囲の「所定の第2時間」の一例である。
具体的には、図2に示すように、コンデンサ12の初期充電が完了している状態(コンデンサ12が満充電に近い状態)において、リレーRY2がON状態(閉状態)かつリレーRY1がOFF状態(開状態)から、リレーRY2がOFF状態かつリレーRY1がON状態にされると、リレーRY1が正常にON状態になっている場合、リレーRY1を介したコンデンサ12への電力の供給が行われるので、充電されたコンデンサ12の電圧は維持される。一方、図4に示すように、リレーRY1が正常にON状態になっていない場合(接触不良状態である場合)、リレーRY1を介したコンデンサ12への電力の供給が行われないので、充電されたコンデンサ12の電圧は低下する。したがって、異常検出部15b(図1参照)は、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2がOFF状態かつリレーRY1がON状態にされてから時間t2が経過する間に、コンデンサ12の電圧Edcが、リレーRY2がOFF状態かつリレーRY1がON状態にされる直前の電圧よりも所定量以上低下するか否かに基づいて、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを判断することができる。なお、電力変換装置100では、時間t2は、時間t1と略等しい期間に設定されている。
また、本実施形態では、異常検出部15b(図1参照)は、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2が溶着状態であるか否かを検出した後、リレーRY2が溶着状態でない場合、再度、コンデンサ12が充電された後、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを検出するように構成されている。具体的には、リレーRY2が溶着状態である場合、リレーRY2を介したコンデンサ12への電力の供給が継続されるので、リレーRY1のON/OFF状態に関係なく、充電されたコンデンサ12の電圧は低下しない。すなわち、リレーRY2が溶着状態である場合、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを正しく検出できない。したがって、まず、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2が溶着状態であるか否かを検出する。そして、リレーRY2が溶着状態ではない場合のみ、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを更に検出する。なお、リレーRY1が接触不良状態であるか否かの検出は、リレーRY2が溶着状態であるか否かを検出した際に低下したコンデンサ12の電圧Edcを、再度、Vth2に達するまで充電した後に行われる。
また、図1に示すように、本実施形態では、遮断器盤20は、リレーRY2およびリレーRY1の異常状態を検出した場合に、電力変換部11に入力される電流を遮断するように構成されている。具体的には、異常検出部15bは、リレーRY2およびリレーRY1の異常状態を検出した場合に、電力変換部11に入力される電流を遮断するように、遮断器盤20のトリップ装置22に上位ブレーカ遮断信号(図3等参照)を送信する。トリップ装置22は、異常検出部15bから送信された上位ブレーカ遮断信号を受信すると、上位ブレーカ21を遮断させる制御を行う。
なお、トリップ装置22、異常検出部15bおよび制御部15aには、制御電源400が接続されている。トリップ装置22、異常検出部15bおよび制御部15aは、制御電源400から電力が供給されることによって、動作するように構成されている。
また、本実施形態では、異常検出部15bは、コンデンサ12の電圧Edcに基づいて、コンデンサ12の初期充電を開始してから完了するまでの間に、コンデンサ12が正常に充電されない充電異常状態であるか否かを検出するように構成されている。すなわち、異常検出部15bは、リレーRY2およびリレーRY1が異常状態であるか否かのみならず、初期充電異常も検出するように構成されている。
具体的には、図2に示すように、コンデンサ12が正常に充電された場合、コンデンサ12の初期充電を開始してから、時間t3が経過した時点で、コンデンサ12の電圧Edcは、Vth2となる。Vth2は、コンデンサ12の初期充電が完了したと判断するための閾値である。Vth2は、直流電源200から入力される直流電力の入力電圧Vinに基づいて設定される。Vth2は、初期充電が完了したと見なす時間が長くなることを抑制するために、たとえば、略0.95Vinに設定される。一方、図5に示すように、コンデンサ12が正常に充電されない場合、コンデンサ12の初期充電を開始してから、コンデンサ12の電圧Edcは殆ど上昇しない。なお、コンデンサ12が正常に充電されないよう原因としては、コンデンサ12や電力変換部11の部品(スイッチング素子等)の故障、リレーRY2の接触不良等がある。したがって、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電を開始してから、時間t3よりも短い時間t4が経過した時点で、Vth2よりも小さいVth1よりも大きくなっているか否かに基づいて、コンデンサ12が正常に充電されているか否かを判断するように構成されている。
また、図示しないが、コンデンサ12が正常に充電されない場合、コンデンサ12の初期充電を開始してから、コンデンサ12の電圧Edcが時間t4が経過した時点でVth1よりも大きくなるものの、その後、正常に上昇せずに、時間t3が経過した時点でVth2よりも大きくならない場合もある。したがって、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電を開始してから時間t4が経過した時点で、Vth1よりも大きくなっていた場合に、コンデンサ12の初期充電を開始してから時間t3が経過した時点で、Vth2よりも大きくなっているか否かに基づいて、コンデンサ12が正常に充電されているか否かを判断するように構成されている。なお、図1に示すように、遮断器盤20は、コンデンサ12が正常に充電されない場合、リレーRY2およびリレーRY1の異常状態を検出した場合と同様に、電力変換部11に入力される電流を遮断するように構成されている。
(初期充電のフロー)
次に、図6および7を参照して、電力変換装置100における初期充電のフローを説明する。なお、初期充電のフローが開始される時点では、リレーRY1およびリレーRY2は、OFF状態(開状態)になっている。
まず、図6に示すように、ステップS1において、作業者が制御電源400を動作させることにより、制御電源400から、トリップ装置22、異常検出部15bおよび制御部15aに制御電圧を給電する。また、作業者が手動により、上位ブレーカ21を投入することにより、直流電源200からインバータ10に入力される電力の遮断状態を解除する。
次に、ステップS2において、制御部15aによる制御により、リレーRY2をON状態(閉状態)にする。すなわち、コンデンサ12の初期充電を開始する。
次に、ステップS3において、コンデンサ電圧検出部17により、コンデンサ12の初期充電を開始してから時間t4が経過した時点のコンデンサ12の電圧Edc(Edc1)を検出する。
次に、ステップS4において、異常検出部15bにより、Edc1がVth1よりも大きくなっているか否かを判断する。ステップS4において、Edc1がVth1よりも大きくなっていると判断された場合には、ステップS5に進む。ステップS4において、Edc1がVth1よりも大きくなっていないと判断された場合には、ステップS7に進む。
ステップS5において、コンデンサ電圧検出部17により、コンデンサ12の初期充電を開始してから時間t3が経過した時点のコンデンサ12の電圧Edc(Edc2)を検出する。
次に、ステップS6において、異常検出部15bにより、Edc2がVth2よりも大きくなっているか否か(コンデンサ12の初期充電が完了したか否か)を判断する。ステップS7において、Edc1がVth1よりも大きくなっていると判断された場合には、ステップS9(図7参照)に進む。ステップS6において、Edc2がVth2よりも大きくなっていないと判断された場合には、ステップS7に進む。
ステップS7において、異常検出部15bにより、RY2が接触不良状態または初期充電異常であると判断する。
次に、ステップS8において、異常検出部15bにより、遮断器盤20に上位ブレーカ遮断信号を送信して、フローを終了する。
図7に示すように、ステップS9において、コンデンサ電圧検出部17により、コンデンサ12の電圧Edc(Edc3)を検出する。
次に、ステップS10において、制御部15aによる制御により、リレーRY2をOFF状態(開状態)にする。すなわち、コンデンサ12の初期充電を終了する。
次に、ステップS11において、コンデンサ電圧検出部17により、リレーRY2をOFF状態(開状態)にしてから時間t1が経過した時点のコンデンサ12の電圧Edc(Edc4)を検出する。
次に、ステップS12において、異常検出部15bにより、Edc4が入力電圧Vinと異なっており、かつ、Edc4がEdc3よりも小さくなっているか否かを判断する。ステップS12において、Edc4が入力電圧Vinと異なっており、かつ、Edc4がEdc3よりも小さくなっていると判断された場合には、ステップS13に進む。ステップS12において、Edc4が入力電圧Vinと異なっていないか、または、Edc4がEdc3よりも小さくなっていないと判断された場合には、ステップS14に進む。
次に、ステップS13において、制御部15aによる制御により、リレーRY2をON状態(閉状態)にして、EdcがVth2になるまでコンデンサ12を充電する。そして、ステップS15に進む。
また、ステップS14において、異常検出部15bにより、RY2が溶着状態であると判断する。そして、ステップS8(図6参照)に進む。
次に、ステップS15において、制御部15aによる制御により、リレーRY1をON状態(閉状態)にする。
次に、ステップS16において、コンデンサ電圧検出部17により、コンデンサ12の電圧Edc(Edc5)を検出する。
次に、ステップS17において、制御部15aによる制御により、リレーRY2をOFF状態(開状態)にする。
次に、ステップS18において、コンデンサ電圧検出部17により、リレーRY2をOFF状態(開状態)にしてから時間t2が経過した時点のコンデンサ12の電圧Edc(Edc6)を検出する。
次に、ステップS19において、異常検出部15bにより、Edc6が入力電圧Vinと異なっており、かつ、Edc6がEdc5よりも小さくなっているか否かを判断する。ステップS19において、Edc6が入力電圧Vinと異なっており、かつ、Edc6がEdc5よりも小さくなっていると判断された場合には、ステップS20に進む。ステップS19において、Edc6が入力電圧Vinと異なっていないか、または、Edc6がEdc5よりも小さくなっていないと判断された場合には、フローを終了する(インバータ運転の準備が完了した状態となる)。
ステップS20において、異常検出部15bにより、RY1が接触不良状態であると判断する。そして、ステップS8(図6参照)に進む。
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、電力変換装置100は、コンデンサ12の初期充電が完了した後、コンデンサ12の電圧Edcに基づいて、リレーRY2およびリレーRY1が異常状態であるか否かを検出する異常検出部15bを備える。これにより、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了している状態において、コンデンサ12の電圧Edcに基づいて、リレーRY2およびリレーRY1が異常状態であるか否かを検出することができる。すなわち、リレーRY2およびリレーRY1が異常状態であるか否かを検出する際に、コンデンサ12の電圧Edcが変化するように、リレーRY2およびリレーRY1の開閉状態を変更した場合でも、コンデンサ12の初期充電が完了している状態であるので、コンデンサ12が殆ど充電されていない場合と異なり、コンデンサ12に過大な突入電流が流れない。その結果、初期充電回路14のリレー(リレーRY2およびリレーRY1)の異常に起因してコンデンサ12に過大な突入電流が流れるのを抑制しながら、初期充電回路14のリレー(リレーRY2およびリレーRY1)の異常状態を検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、電力変換装置100は、初期充電回路14の入力側に設けられ、電力変換部11に入力される電流を遮断するための遮断器盤20を備える。そして、遮断器盤20は、リレーRY2およびリレーRY1の異常状態を検出した場合に、電力変換部11に入力される電流を遮断するように構成されている。これにより、異常検出部15bがリレーRY2およびリレーRY1の異常状態を検出した場合に、初期充電回路14およびコンデンサ12に入力される電流を遮断することができる。その結果、リレー(リレーRY2およびリレーRY1)の異常状態を検出するために、リレー(リレーRY2およびリレーRY1)の開閉状態を変更した場合に、初期充電回路14およびコンデンサ12に過大な突入電流が流れることに起因して、初期充電回路14およびコンデンサ12が加熱・焼損してしまうのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2が開状態にされた場合に、充電されたコンデンサ12の電圧Edcが低下するか否かに基づいて、リレーRY2が溶着状態であるか否かを検出するように構成されている。これにより、コンデンサ12の初期充電が完了した後、充電されたコンデンサ12の電圧Edcが低下するか否かに基づいて、リレーRY2が溶着状態であるか否かを検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、電力変換装置100は、コンデンサ12の電圧Edcを検出するコンデンサ電圧検出部17を備える。そして、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2が開状態にされてから時間t1が経過した時点で、コンデンサ電圧検出部17により検出されたコンデンサ12の電圧Edcが、リレーRY2が開状態にされる直前の電圧よりも所定量以上低下しているか否かに基づいて、リレーRY2が溶着状態であるか否かを判断するように構成されている。これにより、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2が開状態にされた場合に、充電されたコンデンサ12の電圧Edcが低下するか否かを容易に判断することができるので、リレーRY2が溶着状態であるか否かを容易に検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2が開状態かつリレーRY1が閉状態にされた場合に、充電されたコンデンサ12の電圧Edcが維持されるか否かに基づいて、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを検出するように構成されている。これにより、コンデンサ12の初期充電が完了した後、充電されたコンデンサ12の電圧Edcが維持されるか否かに基づいて、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2が開状態かつリレーRY1が閉状態にされてから時間t2が経過した時点で、コンデンサ電圧検出部17により検出されたコンデンサ12の電圧Edcが、リレーRY2が開状態かつリレーRY1が閉状態にされる直前の電圧よりも所定量以上低下しているか否かに基づいて、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを判断するように構成されている。これにより、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2が開状態かつリレーRY1が閉状態にされた場合に、充電されたコンデンサ12の電圧Edcが維持されるか否かを容易に判断することができるので、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを容易に検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、異常検出部15bは、コンデンサ12の初期充電が完了した後、リレーRY2が溶着状態であるか否かを検出した後、リレーRY2が溶着状態でない場合、再度、コンデンサ12が充電された後、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを検出するように構成されている。これにより、リレーRY2が溶着状態でない場合のみ、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを検出するので、リレーRY2が溶着状態であるか否かを検出していない場合やリレーRY2が溶着状態であると判断された場合にリレーRY1が接触不良状態であるか否かを検出する場合と異なり、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを正しく検出することができる。また、再度、コンデンサ12が充電された後、リレーRY1が接触不良状態であるか否かを検出するので、コンデンサ12の電圧Edcが低下した状態においてリレーRY1が開状態にされることにより、コンデンサ12に過大な突入電流が流れるのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、異常検出部15bは、コンデンサ12の電圧Edcに基づいて、コンデンサ12の初期充電を開始してから完了するまでの間に、コンデンサ12が正常に充電されない充電異常状態であるか否かを検出するとともに、コンデンサ12の初期充電が完了した後、コンデンサ12の電圧Edcに基づいて、リレーRY2およびリレーRY1が異常状態であるか否かを検出するように構成されている。これにより、共通の異常検出部15bにより、リレーRY2およびリレーRY1が異常状態であるか否かのみならず、コンデンサ12の初期充電を開始してから完了するまでの間に、コンデンサ12が正常に充電されない充電異常状態であるか否か(初期充電異常であるか否か)も検出することができる。
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、異常検出部15bを、コンデンサ12の初期充電を開始してから完了するまでの間に、コンデンサ12が正常に充電されない充電異常状態であるか否かを検出するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、異常検出部を、コンデンサの初期充電を開始してから完了するまでの間に、コンデンサが正常に充電されない充電異常状態であるか否かを検出しないように構成してもよい。
また、上記実施形態では、異常検出部15bを、リレーRY2(第1スイッチ)が溶着状態(異常状態)であるか否かを検出するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、異常検出部を、第1スイッチが異常状態であるか否かを検出しないように構成してもよい。
また、上記実施形態では、特許請求の範囲の「(第1スイッチの)異常状態」が、(リレーRY2の)溶着状態である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、特許請求の範囲の「(第1スイッチの)異常状態」が、(リレーRY2の)動作不良であってもよい。
また、上記実施形態では、異常検出部15bを、リレーRY1(第2スイッチ)が接触不良状態(異常状態)であるか否かを検出するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、異常検出部を、第2スイッチが異常状態であるか否かを検出しないように構成してもよい。
また、上記実施形態では、特許請求の範囲の「(第2スイッチの)異常状態」が、(リレーRY1の)接触不良状態である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、特許請求の範囲の「(第2スイッチの)異常状態」が、(リレーRY1の)動作不良であってもよい。
また、上記実施形態では、電力変換装置100が、初期充電回路14の入力側に設けられ、電力変換部11に入力される電流を遮断するための遮断器盤20(遮断部)を備え、遮断器盤20(遮断部)を、リレーRY2(第1スイッチ)およびリレーRY1(第2スイッチ)の異常状態を検出した場合に、電力変換部11に入力される電流を遮断するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力変換装置が、(第1スイッチおよび第2スイッチの異常状態を検出した場合に、電力変換部に入力される電流を遮断する)遮断部を備えないように構成してもよい。
また、上記実施形態では、特許請求の範囲の「第1スイッチ」および「第2スイッチ」が、主接点とは別途設けられる補助接点を有さないリレー、かつ、有接点リレー(機械式リレー)である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、特許請求の範囲の「第1スイッチ」および「第2スイッチ」が、主接点とは別途設けられる補助接点を有する電磁接触器であってもよいし、サイリスタのように、無接点リレー(半導体スイッチ)であってもよい。