JP2022033464A - き裂進展評価装置、及びき裂進展評価プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】現在のき裂の深さと将来のき裂の深さを高精度に推定できる、き裂進展評価装置を提供する。【解決手段】本発明によるき裂進展評価装置は、機器に生じる応力を推定する応力推定式をセンサで計測される機器の状態を含む多項式として作成する応力推定式作成部230と、機器の状態の計測値を応力推定式に入力することで応力を推定する応力推定部250と、応力推定部250が推定した応力を基に応力の振幅の出現頻度分布を求める応力振幅の出現頻度カウント部260と、過去のき裂の深さの計測値と出現頻度分布とを用いて現在のき裂の深さを求める現在のき裂深さ計算部280と、プラントの運転計画を入力する運転計画入力部310と、将来の運転計画が反映された出現頻度分布の確率密度関数を求める応力振幅の出現頻度取得部320と、現在のき裂の深さと確率密度関数とを用いて将来のき裂の深さを計算して求める将来のき裂深さ計算部330を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、き裂の進展を評価する装置とプログラムに関する。
機器を構成する金属材料の表面や内部には初期欠陥が存在し、機器の運用中に繰り返し荷重が加わることによって、初期欠陥からき裂が発生し進展することが知られている。信頼性の維持が重要である航空機や発電プラントでは、き裂の発生と進展の状況を監視するために定期的に非破壊検査を行い、規定以上の大きさのき裂が発見された場合にはき裂を補修することで機器の信頼性を維持している。非破壊検査は、一般に機器の運転を止めた状態で行われる。このため、き裂の進展状況を監視することは機器の信頼性を維持する上で重要であるが、過度な頻度の非破壊検査は、機器の稼働率の低下を招いてしまう。従って、機器の運転中にき裂の進展量を推定し、合理的な頻度で非破壊検査を行うことが、機器の信頼性と稼働率を両立するために重要である。
き裂の進展量を推定する技術として、確率論的破壊力学(PFM:Probabilistic Fracture Mechanics)が提案されている。PFMでは、き裂の進展に関わる影響パラメータを確率変数で表し、そのパラメータに固有の確率分布に基づいてき裂の評価を行う。PFMでは、影響パラメータのばらつきや不確かさを考慮することができるので、より高精度にき裂の進展を推定できる。
特許文献1には、確率論的破壊力学を用いて、経過時間とともに進展するき裂の理論サイズを計算する技術の例が開示されている。
従来の技術では、加わる荷重も確率変数として与えてき裂の進展量を評価するので、運転中に実際に加わる荷重に対して現時点でき裂がどの程度進展しているのかを推定することが困難である。このため、機器が設けられたプラントの将来の運転計画に基づいて、現時点でのき裂が将来どの程度進展するのかを推定することも困難である。つまり、従来の技術では、機器の現在のき裂や将来のき裂の進展の傾向(すなわち、き裂の深さの変化)を推定することが難しく、機器に行う非破壊検査の実施時期や頻度を策定することが困難である。
本発明は、現在のき裂の深さと将来のき裂の深さを高精度に推定できる、き裂進展評価装置とき裂進展評価プログラムを提供することを目的とする。
本発明によるき裂進展評価装置は、き裂の進展が評価される機器のき裂評価対象位置に生じる応力を推定する式である応力推定式を、センサで計測される前記機器の状態であるセンサ計測対象項目を含む多項式として作成する応力推定式作成部と、前記センサで計測された前記機器の状態の計測値を前記応力推定式に入力することで、前記応力を推定する応力推定部と、前記応力推定部が推定した前記応力を基に、前記応力の振幅の出現頻度分布を求める応力振幅の出現頻度カウント部と、前記き裂評価対象位置に対して、過去の前記き裂の深さの計測値と、前記出現頻度分布とを用いて、現在のき裂の深さを計算して求める現在のき裂深さ計算部と、前記機器が設けられたプラントの運転計画を入力する運転計画入力部と、前記応力振幅の出現頻度カウント部から取得した前記出現頻度分布に、将来の前記運転計画を反映させて、将来の前記運転計画が反映された前記出現頻度分布の確率密度関数を求める応力振幅の出現頻度取得部と、前記き裂評価対象位置に対して、前記現在のき裂の深さと前記確率密度関数とを用いて、将来のき裂の深さを計算して求める将来のき裂深さ計算部とを備える。
本発明による裂進展評価プログラムは、コンピュータに、き裂の進展が評価される機器のき裂評価対象位置に生じる応力を推定する式である応力推定式を、センサで計測される前記機器の状態であるセンサ計測対象項目を含む多項式として作成する応力推定式作成ステップと、前記センサで計測された前記機器の状態の計測値を前記応力推定式に入力することで、前記応力を推定する応力推定ステップと、前記応力推定ステップで推定した前記応力を基に、前記応力の振幅の出現頻度分布を求める応力振幅の出現頻度カウントステップと、前記き裂評価対象位置に対して、過去の前記き裂の深さの計測値と、前記出現頻度分布とを用いて、現在のき裂の深さを計算して求める現在のき裂深さ計算ステップと、前記機器が設けられたプラントの運転計画を入力する運転計画入力ステップと、前記応力振幅の出現頻度カウントステップで求めた前記出現頻度分布に、将来の前記運転計画を反映させて、将来の前記運転計画が反映された前記出現頻度分布の確率密度関数を求める応力振幅の出現頻度取得ステップと、前記き裂評価対象位置に対して、前記現在のき裂の深さと前記確率密度関数とを用いて、将来のき裂の深さを計算して求める将来のき裂深さ計算ステップとを実行させる。
本発明によると、現在のき裂の深さと将来のき裂の深さを高精度に推定できる、き裂進展評価装置とき裂進展評価プログラムを提供することができる。
本発明によるき裂進展評価装置は、機器を構成する金属部材の表面や内部に存在するき裂について、非破壊検査で過去に計測されたき裂の深さと、現在に計測された機器の状態を用いて、現在のき裂の深さを高精度に推定し、推定した現在のき裂の深さと機器が設けられたプラントの将来の運転計画に基づいて、将来のき裂の深さを高精度に推定することができ、き裂の進展を評価することができる。本発明によるき裂進展評価プログラムは、コンピュータに、上記の現在のき裂の深さと将来のき裂の深さを推定する処理を実行させる。
以下、本発明の実施例によるき裂進展評価装置とき裂進展評価プログラムについて、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例によるき裂進展評価装置140を備える、き裂進展評価システム100のブロック図である。
き裂進展評価システム100は、評価対象機器110と、センサ計測部120と、き裂深さ計測部130と、本実施例によるき裂進展評価装置140とを備える。
評価対象機器110は、プラント(例えば、原子力発電プラント)に設けられている複数の機器であり、そのき裂の進展がき裂進展評価装置140により評価される。図1には、v個の機器EQ1~EQvを備える評価対象機器110を示している。機器EQ1~EQvは、例えば、原子力発電プラントの圧力容器や配管である。vは、機器の数を示す。
センサ計測部120は、評価対象機器110に設置された複数のセンサ(図示せず)を備える。センサ計測部120は、機器EQ1~EQvの状態(例えば、温度や圧力)をセンサで計測し、計測結果(センサによる計測値)を原計測値群DG2としてき裂進展評価装置140に出力する。センサ計測部120は、例えばp個(pは2以上の自然数)のセンサ計測対象項目DM1~DMpについて、機器EQ1~EQvの状態をセンサで計測する。pは、センサ計測対象項目の数を示す。
センサ計測対象項目DM1~DMpは、例えば、圧力容器の温度、圧力容器の圧力、配管の圧力、及び配管の温度等の、機器EQ1~EQvのp個の状態である。pは、センサ計測対象項目の数を示す。
き裂深さ計測部130は、非破壊検査により機器EQ1~EQvのき裂の深さを計測し、計測結果を原計測値群DG1としてき裂進展評価装置140に出力する。き裂深さ計測部130は、例えばm個(mは2以上の自然数)のき裂評価対象位置DN1~DNmについて、き裂の深さを計測する。
き裂評価対象位置DNr(1≦r≦m)は、例えば、圧力容器の胴体母材部、圧力容器の胴体溶接部、及び配管の溶接部等の、き裂を評価するm個の位置である。mは、き裂評価対象位置の数を示す。
本実施例によるき裂進展評価装置140は、コンピュータで構成され、原計測値群DG1と原計測値群DG2を用いて、現在のき裂の深さと将来のき裂の深さを推定する。き裂進展評価装置140は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びSSD(Solid State Drive)等の、一般的なコンピュータとしてのハードウエアを備える。SSDには、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種データ等が格納されている。OSおよびアプリケーションプログラムは、RAMに展開され、CPUによって実行される。図1において、き裂進展評価装置140の内部は、アプリケーションプログラム等によって実現される機能をブロックで示している。
き裂進展評価装置140は、入力部370と、き裂深さ計測値取得部210と、センサ計測値取得部220と、応力推定式作成部230と、応力推定式データベース240と、応力推定部250と、応力振幅の出現頻度カウント部260と、応力振幅の出現頻度データベース270と、現在のき裂深さ計算部280と、運転計画入力部310と、応力振幅の出現頻度取得部320と、将来のき裂深さ計算部330と、表示部340とを備える。
初めに、現在のき裂の深さの計算方法を、き裂進展評価装置140の構成の説明とともに説明する。
入力部370は、ユーザーに操作され、き裂進展評価装置140の処理に必要な情報を入力する。き裂進展評価装置140のユーザーは、入力部370を操作して、き裂進展評価装置140の処理に必要な情報をき裂進展評価装置140に入力する。
き裂深さ計測値取得部210は、き裂深さ計測部130から原計測値群DG1(機器EQ1~EQvのき裂の深さ)を取得する。き裂深さ計測値取得部210は、き裂深さ計測部130から取得した、現在である第i時点ti(iは自然数)より過去の第k時点tk(kは自然数、かつk<i)におけるき裂の深さakの計測値である原計測値群DG1に基づいて、計測値群DH1を出力する。計測値群DH1は、過去の時点tkにおける、き裂評価対象位置DN1~DNmでのき裂の深さakの計測値が蓄積したものである。
図2は、計測値群DH1の例を示す図である。図2には、一例として、過去の第(k-2)時点tk-2、第(k-1)時点tk-1、及び第k時点tkのそれぞれにおける、き裂評価対象位置DN1~DNmでのき裂の深さの計測値を、計測値群DH1として示している。図2に示した例では、き裂評価対象位置DNr(1≦r≦m)として、圧力容器の胴体母材部、圧力容器の胴体溶接部、及び配管の溶接部を示している。
図1に戻り、き裂進展評価装置140の説明を続ける。
センサ計測値取得部220は、センサ計測部120から原計測値群DG2(センサ計測対象項目DM1~DMpについての、センサで計測された機器EQ1~EQvの状態の値)を取得する。センサ計測値取得部220は、現在の第i時点tiに機器EQ1~EQvの運転中にセンサ計測部120から取得した原計測値群DG2に基づいて、計測値群DH2を出力する。計測値群DH2は、現在の時点tiにおける、センサによる機器EQ1~EQvの状態の計測値、すなわちセンサ計測対象項目DM1~DMpの計測値が蓄積したものである。
図3は、計測値群DH2の例を示す図である。図3には、一例として、第(i-2)時点ti-2、第(i-1)時点ti-1、及び第i時点tiのそれぞれにおける、センサ計測対象項目DM1~DMpの計測値を、計測値群DH2として示している。図3に示した例では、センサ計測対象項目DM1~DMpとして、圧力容器の温度、圧力容器の圧力、及び配管の圧力を示している。図3には示していないが、例えば配管の温度もセンサ計測対象項目に含め、配管の温度の計測値を計測値群DH2に含めることができる。
図1に戻り、き裂進展評価装置140の説明を続ける。
応力推定式作成部230は、き裂評価対象位置DN1~DNmのそれぞれに生じる応力を推定する式を作成する。応力推定式作成部230は、この応力推定式を、センサ計測対象項目DM1~DMpをパラメータに含む多項式で近似的に表された式として、応答曲面法を用いて導出する。
図4は、応力推定式作成部230の構成の一例を示すブロック図である。応力推定式作成部230は、設計変数設定部231と、構造解析計画部232と、構造解析実行部233と、応力推定式導出部234とを備える。
設計変数設定部231は、評価対象機器110についてのq個の設計変数DV1~DVqを定め、これらの設計変数DV1~DVqが取る値の確率密度関数PDFd1~PDFdqを設定する。qは、2以上の自然数であり、設計変数の数を示す。設計変数DV1~DVqは、き裂評価対象位置DN1~DNmに生じる応力に影響を与えるパラメータ、すなわち、き裂評価対象位置DN1~DNmに生じるき裂の進展に関わるパラメータである。設計変数設定部231は、設定した確率密度関数PDFd1~PDFdqを、設計変数DV1~DVqが取る値の確率密度関数群PDFdGとして、構造解析計画部232に出力する。
き裂進展評価装置140のユーザーは、入力部370を操作して、q個の設計変数DV1~DVqの種類と、設計変数DV1~DVqが取る値の確率密度関数PDFd1~PDFdqを、き裂進展評価装置140に入力する。入力部370は、ユーザーに操作され、設計変数DV1~DVqと確率密度関数PDFd1~PDFdqを設計変数設定部231に入力する。設計変数設定部231は、入力部370を介したユーザーの入力により、設計変数DV1~DVqを定め、確率密度関数PDFd1~PDFdqを設定する。
設計変数DV1~DVqの種類は、特に限定されるものではなく、評価対象機器110の設計に用いられる変数であれば、任意に設定することができる。但し、設計変数DV1~DVqは、センサ計測対象項目DM1~DMpが含まれるように設定する。すなわち、q個の設計変数DV1~DVqのうち一部のp個の設計変数は、センサ計測対象項目DM1~DMpである。例えば、設計変数DV1~DVqには、センサ計測対象項目DM1~DMpに含まれる変数として、圧力容器の温度、圧力容器の圧力、及び配管の圧力を含めることができる。また、例えば、設計変数DV1~DVqには、センサ計測対象項目DM1~DMp以外の変数として、圧力容器の外径、圧力容器の厚さ、配管の外径、配管の厚さ、及び圧力容器や配管の母材と溶接材のヤング率などの物性値等の、評価対象機器110に関する値を含めることができる。
設計変数DV1~DVqのうち、センサ計測対象項目DM1~DMp以外の変数の値は、き裂進展評価装置140のユーザーが、入力部370を操作して、き裂進展評価装置140に入力する。
設定される確率密度関数PDFd1~PDFdqは、特に限定されるものではなく、設計変数DV1~DVqのばらつきを表すために適切な確率密度関数であれば、任意に設定することができる。
構造解析計画部232は、設計変数設定部231が設定した設計変数DV1~DVqが取る値の確率密度関数PDFd1~PDFdqのそれぞれに従った乱数により、設計変数DV1~DVqについての、構造解析のs組(sは自然数)の入力条件の組み合わせを決定する。構造解析計画部232は、決定したs組の構造解析の入力条件の組み合わせを、入力条件群DIとして、構造解析実行部233に出力する。sは、構造解析の入力条件の組み合わせの数を示し、き裂進展評価装置140のユーザーが定める。
き裂進展評価装置140のユーザーは、入力部370を操作して、設計変数DV1~DVqについての、構造解析の入力条件の組み合わせの数sを、き裂進展評価装置140に入力する。入力部370は、ユーザーに操作され、入力条件の組み合わせの数sを構造解析計画部232に入力する。
構造解析の入力条件の組み合わせは、通常は、モンテカルロ法によってランダムで決定されることが多い。本実施例では、構造解析計画部232は、構造解析の入力条件である設計変数DV1~DVqについてのs組の組み合わせを、実験計画法に基づいて決定する。実験計画法を用いることにより、構造解析計画部232は、モンテカルロ法を用いた場合に比べて重複なく効率よく組み合わせを決定することができる。構造解析計画部232が用いる実験計画法の手法は、特に限定されず、例えばラテン超方格法などの任意の手法を用いることができる。
図5は、構造解析計画部232が決定した、設計変数DV1~DVqについての構造解析のs組の入力条件の組み合わせ(入力条件群DI)の例を示す図である。図5には、一例として、圧力容器の外径、圧力容器の厚さ、及び圧力容器の温度を設計変数DV1~DVqとして示し、これらの設計変数DV1~DVqに対するs組の入力条件の組み合わせを示している。圧力容器の温度は、センサ計測対象項目DM1~DMpに含まれる設計変数である。
図4に戻り、応力推定式作成部230の説明を続ける。
構造解析実行部233は、構造解析計画部232が決定したs組の構造解析の入力条件の組み合わせに基づいてs回の構造解析を実施し、き裂評価対象位置DN1~DNmのそれぞれに生じる応力を求める。構造解析実行部233は、有限要素法を用いて構造解析を実施する。設計変数DV1~DVqについての構造解析の入力条件の組み合わせの数は、通常多数あり、全ての組合せについて有限要素法で構造解析を行うと長い時間がかかる。本実施例では、多数の入力条件のうちs組の入力条件について構造解析を行うので、計算に要する時間を短縮することができる。この構造解析の結果は、き裂評価対象位置DN1~DNmのそれぞれに生じる応力を推定する式を応力推定式導出部234で導出するのに用いられる。
構造解析実行部233は、求めたき裂評価対象位置DN1~DNmのそれぞれに生じる応力Sr(rは1≦r≦mの自然数)を、構造解析結果群DAとして、応力推定式導出部234に出力する。
応力推定式導出部234は、構造解析実行部233で実施したs回の構造解析の結果(構造解析結果群DA)から、き裂評価対象位置DN1~DNmのそれぞれに生じる応力Sr(rは1≦r≦mの自然数)を推定する式を導出する。応力推定式導出部234は、応答曲面法を用いて、応力Srを設計変数DV1~DVqの多項式で近似して表すことで、応力Srの推定式をm個導出する。応力推定式導出部234は、従来の技術を用いて、応答曲面法により応力Srの推定式を導出することができる。応力推定式導出部234は、m個の応力Srの推定式を応力推定式群ESとして応力推定式データベース240に出力する。
式(1)は、き裂評価対象位置DNr(1≦r≦m)のそれぞれに生じる応力Srの推定式の例である。応力Srは、設計変数DV1~DVqの多項式で近似的に表されている。
式(1)において、rは1≦r≦mであり、b0r、b1r、b2r、・・・、bqrは、定数である。
図1に戻り、き裂進展評価装置140の説明を続ける。
応力推定式データベース240は、応力推定式作成部230が作成した応力推定式群ESを蓄積する。
応力推定部250は、現在の時点tiにおける計測値群DH2の値(センサ計測対象項目DM1~DMpの計測値)と、センサ計測対象項目DM1~DMp以外の設計変数DV1~DVqの値とを、応力推定式データベース240から取得した応力推定式群ESに入力することで、第i時点tiにおけるき裂評価対象位置DNr(1≦r≦m)のそれぞれに生じる応力Srを計算して推定する。応力推定部250は、現在の時点tiにおけるセンサ計測対象項目DM1~DMpの計測値を、センサ計測値取得部220から取得する。応力推定部250は、センサ計測対象項目DM1~DMp以外の設計変数DV1~DVqの値を、入力部370から取得する。ユーザーは、入力部370を操作して、センサ計測対象項目DM1~DMp以外の設計変数DV1~DVqの値を入力する。応力推定部250は、推定したm個の応力Srを応力群STとして出力する。
応力推定部250が応力Srの計算に要する時間は、計測回数1回あたり数ミリ秒程度である。有限要素解析によって応力の推定を行うと、計算に計測回数1回あたり数時間を要する。本実施例では、応力推定部250は、応力推定式を用いて応力Srを計算するので、短い時間で応力Srを計算でき、現在の時点tiから少ない時間遅れで応力Srを推定できる。
応力振幅の出現頻度カウント部260は、応力推定部250が推定した応力Srを基にして、現在までの時間範囲Dtiにおける応力の振幅の出現頻度分布を求める。例えば、応力振幅の出現頻度カウント部260は、応力推定部250から取得した応力群STを用いて、評価対象機器110の供用期間中の第(i-1)時点ti-1から第i時点tiまでの時間範囲Dtiに加わった応力の振幅の出現頻度分布を、レインフロー法を用いて求める。この結果、応力振幅の出現頻度カウント部260は、時間範囲Dtiにおける応力振幅の出現頻度群FQ1と、時間範囲Dtiにおける単位時間当たりの応力振幅の出現頻度群FQ2を得ることができる。応力振幅の出現頻度カウント部260は、時間範囲Dtiの応力振幅の出現頻度群FQ1と、単位時間当たりの応力振幅の出現頻度群FQ2を出力する。
図6は、時間範囲Dtiにおける応力振幅SAw(1≦w≦Y)の出現頻度群FQ1と、時間範囲Dtiにおける単位時間当たりの応力振幅SAwの出現頻度群FQ2の例を示す図である。Yは、応力振幅の出現頻度分布における、応力振幅の値の数を示す。出現頻度群FQ1は、時間範囲Dtiについての、き裂評価対象位置DNr(1≦r≦m)のそれぞれにおける、応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)で構成されている。出現頻度群FQ2は、時間範囲Dtiにおける単位時間当たりについての、き裂評価対象位置DNr(1≦r≦m)のそれぞれにおける、応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)tで構成されている。単位時間当たりの応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)tは、時間範囲Dtiの応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)を時間範囲Dtiで除することで得られる。
図1に戻り、き裂進展評価装置140の説明を続ける。
応力振幅の出現頻度データベース270は、応力振幅の出現頻度カウント部260が出力した、時間範囲Dtiにおける単位時間当たりの応力振幅SAwの出現頻度群FQ2を蓄積する。
現在のき裂深さ計算部280は、き裂評価対象位置DNr(1≦r≦m)のそれぞれに対して、現在の第i時点tiでのき裂の深さaiを、式(2)から式(4)に示すき裂の進展予測式を用いて計算する。このき裂の進展予測式は、公知である。現在のき裂深さ計算部280は、き裂深さ計測値取得部210から、過去の時点tkでのき裂の深さakの計測値群DH1を取得するとともに、応力振幅の出現頻度カウント部260から、時間範囲Dtiの応力振幅の出現頻度群FQ1を得て応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)を取得する。そして、現在のき裂深さ計算部280は、き裂評価対象位置DNrのそれぞれに対して、過去の第(i-1)時点ti-1でのき裂深さai-1の計測値群DH1と応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)とを用いて、現在の第i時点tiでのき裂の深さaiを、式(2)から式(4)に従って計算して求める。
なお、式(2)から(4)において、第(i-1)時点ti-1のき裂深さai-1を用いて計算を行っているが、もし第(i-1)時点が第k時点であれば、ai-1=akとして計算する。
現在のき裂深さ計算部280は、求めたき裂の深さaiを、現在の第i時点tiでのき裂の深さ群Aiとして出力する。
次に、将来のき裂の深さの計算方法を、き裂進展評価装置140の構成の説明とともに説明する。
運転計画入力部310は、ユーザーに操作され、評価対象機器110(機器EQ1~EQv)が設けられたプラントの運転計画OFを入力する。き裂進展評価装置140のユーザーは、運転計画入力部310を操作して、運転計画OFをき裂進展評価装置140に入力する。運転計画OFは、例えば、評価対象機器110が設けられたプラントの出力(最大出力に対する割合)の計画である。運転計画入力部310は、将来の第f時点tf(fは自然数、かつf>i)におけるプラントの出力を、プラントの将来の運転計画OFとして入力する。
応力振幅の出現頻度取得部320は、応力振幅の出現頻度データベース270から、時間範囲Dtiにおける単位時間当たりの応力振幅の出現頻度群FQ2を取得する。出現頻度群FQ2は、上述したように、時間範囲Dtiにおける単位時間当たりについての、き裂評価対象位置DNr(1≦r≦m)のそれぞれにおける、応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)tで構成されている。
そして、応力振幅の出現頻度取得部320は、将来の運転計画OFを応力振幅の出現頻度群FQ2に反映させることで、応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)tを将来の運転計画OFに合わせて調整する。応力振幅の出現頻度取得部320は、例えば、出現頻度群FQ2の値(応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)t)に将来の運転計画OF(最大出力に対するプラントの出力の割合)を乗じることで、将来の運転計画OFを出現頻度群FQ2に反映させる。
そして、応力振幅の出現頻度取得部320は、将来の運転計画OFが反映された応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)tの確率密度関数PDFr(1≦r≦m)を求め、求めた確率密度関数PDFrを確率密度関数群PDFGとして出力する。応力振幅の出現頻度取得部320は、将来の運転計画OFが反映された応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)tから、任意の公知の技術を用いて、確率密度関数PDFrを求めることができる。求める確率密度関数PDFrの種類は、特に限定されるものではなく、将来の運転計画OFが反映された応力振幅SAwの出現頻度DNr(w)tを適切に表すことができれば、任意の確率密度関数を採用することができる。
将来のき裂深さ計算部330は、き裂評価対象位置DNr(1≦r≦m)のそれぞれに対して、将来の第f時点tfでのき裂の深さafを、式(5)から(7)に示すき裂の進展予測式を用いて、モンテカルロ法に基づくモンテカルロ・シミュレーションを行って計算する。このき裂の進展予測式は、公知である。将来のき裂深さ計算部330は、現在のき裂深さ計算部280から、現在の第i時点tiでのき裂の深さ群Ai(き裂評価対象位置DN1~DNmのそれぞれに対する現在の第i時点tiでのき裂の深さai)を取得するとともに、応力振幅の出現頻度取得部320から、確率密度関数群PDFGを得て確率密度関数PDFr(1≦r≦m)を取得する。そして、将来のき裂深さ計算部330は、き裂評価対象位置DNrのそれぞれに対して、現在の第(f-1)時点tf-1でのき裂深さaf-1と確率密度関数PDFrとを用いて、将来の第f時点tfでのき裂の深さafを、式(5)から式(7)に従って計算して求める。
将来のき裂深さ計算部330は、モンテカルロ法に基づき、確率密度関数PDF1~PDFmに従った乱数で応力振幅の大きさと出現頻度DNr(w)の値を決定し、決定した値を用いてき裂の深さafを求める計算を複数回繰り返すことで、応力振幅の分布を考慮したき裂の深さafのばらつきを求める。
なお、式(5)から(7)において、第(f-1)時点tf-1のき裂深さaf-1を用いて計算を行っているが、もし第(f-1)時点が第i時点であれば、af-1=aiとして計算する。
将来のき裂深さ計算部330は、求めたき裂の深さafを、将来の第f時点tfでのき裂の深さ群Afとして出力する。
表示部340は、き裂評価対象位置DN1~DNmのそれぞれにおけるき裂の深さの時間変化などの、き裂進展評価装置140の計算結果などを表示画面に表示する。表示部340は、現在のき裂深さ計算部280から現在の第i時点tiでのき裂の深さ群Aiを取得し、将来のき裂深さ計算部330から将来の第f時点tfでのき裂の深さ群Afを取得し、き裂の深さaiとき裂の深さafを表示する。また、表示部340は、き裂深さ計測値取得部210から過去の第k時点tkでのき裂の深さakを取得し、き裂の深さakを表示する。
図7は、表示部340が表示する表示画面350の一例を示す図である。図7の表示画面350には、き裂評価対象位置選択欄351と、運転実績/計画表示欄352と、き裂深さの時刻歴表示欄353と、時刻表示欄354とが表示される。
き裂評価対象位置選択欄351は、き裂評価対象位置DN1~DNmの位置番号を表示し、き裂進展評価装置140のユーザーが、表示したいき裂評価対象位置を選択できる機能を有する。図7には、き裂評価対象位置DN4が選択された例を示している。
運転実績/計画表示欄352は、評価対象機器110が設けられたプラントの運転計画OF(実際のプラント出力や、ユーザーが入力したプラント出力)を表示する。
き裂深さの時刻歴表示欄353は、き裂評価対象位置選択欄351で選択したき裂評価対象位置における、過去の第k時点tkにき裂深さ計測部130から取得したき裂の深さakと、現在のき裂深さ計算部280が計算した現在の第i時点tiでのき裂の深さaiと、将来のき裂深さ計算部330が計算した将来の第f時点tfでのき裂の深さafとを表示する。また、き裂深さの時刻歴表示欄353は、将来の第f時点tfでのき裂の深さafには、平均値であるaf50と、信頼区間の上限(例えば99%信頼区間)であるafUと、信頼区間の下限であるafLとを表示することもできる。
時刻表示欄354は、現在の第i時点tiでの日付と時間を表示する。
図8は、表示部340が表示する表示画面350の別の一例を示す図である。図8の表示画面350には、き裂深さの表示欄361と、時刻表示欄362とが表示される。
き裂深さの表示欄361は、き裂評価対象位置DN1~DNmのそれぞれに対し、現在のき裂深さ計算部280が計算した現在の第i時点tiでのき裂の深さaiと、将来のき裂深さ計算部330が計算した将来の第f時点tfでのき裂の深さafとを表示する。図8には、将来の第f時点tfの例として、現在から2週間後と4週間後を示している。なお、図8には示していないが、き裂深さの表示欄361は、過去の第k時点tkにき裂深さ計測部130から取得したき裂の深さakを表示することもできる。
以上説明したように、本実施例によるき裂進展評価装置140は、過去の第k時点tkにおけるき裂深さakの計測値を取得するき裂深さ計測値取得部210と、センサ計測値取得部220が取得したセンサによる計測値に基づいて、現在の第i時点tiでのき裂の深さaiを推定する現在のき裂深さ計算部280と、運転計画入力部310が入力した将来の運転計画OFと、現在のき裂深さ計算部280が推定した現在の第i時点tiでのき裂の深さaiに基づいて、将来の第f時点tfでのき裂深さafを推定する将来のき裂深さ計算部330とを備える。この構成により、本実施例によるき裂進展評価装置140は、非破壊検査のために評価対象機器110の運転を停止することなく、少ない時間遅れで、運転中に実際に加わる荷重によって進展する現在のき裂の深さを、ばらつきを考慮して高精度に計算することができ、さらに、将来の運転計画OFによって推定される将来のき裂深さも高精度に計算することができる。
本実施例によるき裂進展評価装置140を用いると、ユーザーは、例えば、き裂の進展速度を鑑みて非破壊検査の頻度を決めることができる。また、ユーザーは、現在のき裂の深さが規定のき裂の深さに達する可能性があると判断した場合には、速やかに保全の手段を検討することができる。また、ユーザーは、将来計画している定期点検の期間に、保全を行う対象機器の数や保全の手段を予め検討することができる。さらに、ユーザーは、き裂の進展が遅くなるように運転計画OFを変更する延命運転を検討することができる。
なお、以上に説明した実施例では、き裂進展評価装置140を原子力発電プラントに適用した例を説明したが、き裂進展評価装置140の適用対象は、原子力発電プラントに限られない。例えば、き裂進展評価装置140は、火力発電や水力発電などの各種プラント、風力発電の風力発電機、及び鉄道車両などに適用することができる。
応力推定式データベース240と応力振幅の出現頻度データベース270は、き裂進展評価装置140の内部に設置しても外部に設置してもよい。応力推定式データベース240と応力振幅の出現頻度データベース270をき裂進展評価装置140の外部に設置する場合は、例えば、これらのデータベース240、270をき裂進展評価装置140とは異なるコンピュータに設置し、データベース240、270とき裂進展評価装置140とをネットワークを介して接続することができる。
き裂進展評価装置140のハードウエア構成は、一般的なコンピュータによって実現できる。このため、き裂進展評価装置140が実施する各種処理をコンピュータに実行させるき裂進展評価プログラムは、記憶媒体に格納して提供したり、電気通信回線を通じて提供したりすることができる。
き裂進展評価装置140が実施する各種処理は、上記の実施例で説明したようにプログラムを用いたソフトウエアによる処理としてもよく、処理の一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエアによる処理としてもよい。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
また、図面には、説明上必要と考えられる制御線や情報線を描いており、必ずしも製品として必要な全ての制御線や情報線を描いているとは限らない。
100…き裂進展評価システム、110…評価対象機器、120…センサ計測部、130…き裂深さ計測部、140…き裂進展評価装置、210…き裂深さ計測値取得部、220…センサ計測値取得部、230…応力推定式作成部、231…設計変数設定部、232…構造解析計画部、233…構造解析実行部、234…応力推定式導出部、240…応力推定式データベース、250…応力推定部、260…応力振幅の出現頻度カウント部、270…応力振幅の出現頻度データベース、280…現在のき裂深さ計算部、310…運転計画入力部、320…応力振幅の出現頻度取得部、330…将来のき裂深さ計算部、340…表示部、350…表示画面、351…き裂評価対象位置選択欄、352…運転実績/計画表示欄、353…き裂深さの時刻歴表示欄、354…時刻表示欄、361…き裂深さの表示欄、362…時刻表示欄、370…入力部、Af…将来の第f時点tfでのき裂の深さ群、Ai…現在の第i時点tiでのき裂の深さ群、DA…構造解析結果群、DG1…原計測値群、DG2…原計測値群、DH1…計測値群、DH2…計測値群、DI…入力条件群、DM1~DMp…センサ計測対象項目、DN1~DNm、DNr(1≦r≦m)…き裂評価対象位置、DNr(w)(1≦w≦Y)…応力振幅の出現頻度、Dti…時間範囲、DV1~DVq…設計変数、EQ1~EQv…機器、ES…応力推定式群、FQ1…応力振幅の出現頻度群、FQ2…単位時間当たりの応力振幅の出現頻度群、OF…運転計画、PDF1~PDFm…確率密度関数、PDFd1~PDFdq…確率密度関数、PDFdG…確率密度関数群、PDFG…確率密度関数群、PDFr(1≦r≦m)…確率密度関数、SAw(1≦w≦Y)…応力振幅、Sr(1≦r≦m)…応力、ST…応力群、m…き裂評価対象位置の数、p…センサ計測対象項目の数、q…設計変数の数、s…構造解析の入力条件の組み合わせの数、v…機器の数、Y…応力振幅の値の数。
Claims (4)
- き裂の進展が評価される機器のき裂評価対象位置に生じる応力を推定する式である応力推定式を、センサで計測される前記機器の状態であるセンサ計測対象項目を含む多項式として作成する応力推定式作成部と、
前記センサで計測された前記機器の状態の計測値を前記応力推定式に入力することで、前記応力を推定する応力推定部と、
前記応力推定部が推定した前記応力を基に、前記応力の振幅の出現頻度分布を求める応力振幅の出現頻度カウント部と、
前記き裂評価対象位置に対して、過去の前記き裂の深さの計測値と、前記出現頻度分布とを用いて、現在のき裂の深さを計算して求める現在のき裂深さ計算部と、
前記機器が設けられたプラントの運転計画を入力する運転計画入力部と、
前記応力振幅の出現頻度カウント部から取得した前記出現頻度分布に、将来の前記運転計画を反映させて、将来の前記運転計画が反映された前記出現頻度分布の確率密度関数を求める応力振幅の出現頻度取得部と、
前記き裂評価対象位置に対して、前記現在のき裂の深さと前記確率密度関数とを用いて、将来のき裂の深さを計算して求める将来のき裂深さ計算部と、
を備えることを特徴とするき裂進展評価装置。 - 前記き裂評価対象位置における前記き裂の深さの計測値を取得するき裂深さ計測値取得部と、
前記センサで計測された、前記センサ計測対象項目についての前記機器の状態の値を取得するセンサ計測値取得部と、
を備え、
前記応力推定部は、前記センサ計測値取得部が取得した前記機器の状態の計測値を前記応力推定式に入力し、
前記現在のき裂深さ計算部は、前記き裂深さ計測値取得部から過去の前記き裂の深さの計測値を取得する、
請求項1に記載のき裂進展評価装置。 - 前記応力推定式作成部は、
前記き裂評価対象位置に生じる応力に影響を与える設計変数が取る値の確率密度関数を設定する設計変数設定部と、
前記設計変数が取る値の前記確率密度関数に基づいて、構造解析の入力条件である、前記設計変数についての組み合わせを、実験計画法を用いて決定する構造解析計画部と、
前記組み合わせに基づいて、有限要素法を用いて前記構造解析を実施し、前記き裂評価対象位置に生じる応力を求める構造解析実行部と、
応答曲面法を用いて、前記構造解析実行部が求めた前記応力を前記設計変数の多項式で表すことで、前記応力推定式を作成する応力推定式導出部と、
を備え、
前記設計変数には、前記センサ計測対象項目が含まれている、
請求項1に記載のき裂進展評価装置。 - コンピュータに、
き裂の進展が評価される機器のき裂評価対象位置に生じる応力を推定する式である応力推定式を、センサで計測される前記機器の状態であるセンサ計測対象項目を含む多項式として作成する応力推定式作成ステップと、
前記センサで計測された前記機器の状態の計測値を前記応力推定式に入力することで、前記応力を推定する応力推定ステップと、
前記応力推定ステップで推定した前記応力を基に、前記応力の振幅の出現頻度分布を求める応力振幅の出現頻度カウントステップと、
前記き裂評価対象位置に対して、過去の前記き裂の深さの計測値と、前記出現頻度分布とを用いて、現在のき裂の深さを計算して求める現在のき裂深さ計算ステップと、
前記機器が設けられたプラントの運転計画を入力する運転計画入力ステップと、
前記応力振幅の出現頻度カウントステップで求めた前記出現頻度分布に、将来の前記運転計画を反映させて、将来の前記運転計画が反映された前記出現頻度分布の確率密度関数を求める応力振幅の出現頻度取得ステップと、
前記き裂評価対象位置に対して、前記現在のき裂の深さと前記確率密度関数とを用いて、将来のき裂の深さを計算して求める将来のき裂深さ計算ステップと、
を実行させるためのき裂進展評価プログラム。
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