JP2022028088A - ステント、及びステントの製造方法 - Google Patents

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Keiji Okada
昌宏 仲山
Masahiro Nakayama
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Nakayama Kikinzoku Mekki Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】血栓が付着し難いステント及びステントの製造方法を提供する。【解決手段】血管内に配置され、網状部材で構成される筒体を有するステントであって、前記網状部材は、金属からなる線状体で構成され、前記網状部材のうち、前記筒体の軸方向に交差する箇所を構成する前記線状体の横断面における周縁は、前記線状体の最大幅をとる線分と交差し、前記血管内において血流の上流側に配置される第一の側端及び前記血流の下流側に配置される第二の側端と、前記線状体の最大厚さをとる線分と交差する内周端とを含み、前記第一の側端と前記内周端とを結ぶ線分と前記最大幅をとる線分とがつくる角度を第一の角度とし、前記第二の側端と前記内周端とを結ぶ線分と前記最大幅をとる線分とがつくる角度を第二の角度とし、前記第一の角度は、前記第二の角度よりも大きい鋭角である、ステント。【選択図】図2A

Description

本開示は、ステント、及びステントの製造方法に関する。
血管が狭窄や血栓症等になった場合に、血管の内径を所定の大きさに保持する医用部材として、ステントが利用されている。従来、鋼やニッケルチタンといった金属からなるステント(特許文献1)が汎用されている。
金属製のステントは代表的には以下のように製造される。金属管をレーザーによって切断して、網状の円筒管にする。切断後、網目を構成する線状体の横断面形状は代表的には長方形である(特許文献1の図9)。そのため、切断後、上記線状体の角部を研磨する。特許文献1は、上記線状体の角部を細かく研磨することで、上記線状体の横断面形状をドーム形状とすることを開示する。
特表2002-501409号公報
血栓が付着し難いステントが望まれている。また、血栓が付着し難いステントを生産性よく製造できる方法が望まれている。
特許文献1は、ステントを構成する線状体の横断面形状をドーム形状とすることで、血液の流れの乱れを最小限に抑えるとする。しかし、線状体の横断面形状がドーム形状であるステントは製品化されていない。この理由の一つとして、研磨では、線状体の横断面形状がドーム形状のステントを実質的に量産できないためと考えられる。従って、血液の流通性に優れて、血栓が付着し難い形状のステントが望まれる。また、血栓が付着し難い形状のステントを量産できる製造方法が望まれる。
そこで、本開示は、血栓が付着し難いステントを提供することを目的の一つとする。また、本開示は、血栓が付着し難いステントを生産性よく製造できるステントの製造方法を提供することを別の目的の一つとする。
本開示のステントは、
血管内に配置され、網状部材で構成される筒体を有するステントであって、
前記網状部材は、金属からなる線状体で構成され、
前記網状部材のうち、前記筒体の軸方向に交差する箇所を構成する前記線状体の横断面における周縁は、
前記線状体の最大幅をとる線分と交差し、前記血管内において血流の上流側に配置される第一の側端及び前記血流の下流側に配置される第二の側端と、
前記線状体の最大厚さをとる線分と交差する内周端とを含み、
前記第一の側端と前記内周端とを結ぶ線分と前記最大幅をとる線分とがつくる角度を第一の角度とし、前記第二の側端と前記内周端とを結ぶ線分と前記最大幅をとる線分とがつくる角度を第二の角度とし、前記第一の角度は、前記第二の角度よりも大きい鋭角である。
本開示のステントの製造方法は、
所定の形状の溝が形成された型材を用意する工程と、
前記型材において前記溝を含めた表面に純鉄めっきを施す工程と、
前記型材に形成された純鉄めっき部において、前記溝から突出する箇所を除去する工程と、
前記溝に残存する純鉄めっき部と前記型材とを分離する工程とを備える。
本開示のステントは、血栓が付着し難い。
本開示のステントの製造方法は、血栓が付着し難いステントを生産性よく製造できる。
図1Aは、実施形態のステントの一例を示す概略側面図である。 図1Bは、図1Aに示す実施形態のステントにおいて、線状体の一部を拡大して示す部分拡大図である。 図1Cは、図1Aに示す実施形態のステントにおいて、線状体の別の一部を拡大して示す部分拡大図である。 図1Dは、図1Aに示す実施形態のステントにおいて、線状体の更に別の一部を拡大して示す部分拡大図である。 図1Eは、図1Aに示す実施形態のステントにおいて、一つの環状部を構成する線状体の断面形状を説明する図である。 図2Aは、実施形態のステントにおいて、線状体の横断面形状の一例を示す説明図である。 図2Bは、実施形態のステントにおいて、図2Aに示す線状体の横断面形状を示す断面図である。 図2Cは、実施形態のステントにおいて、線状体の横断面形状の別例を示す説明図である。 実施形態のステントを血管内に配置した状態を示す説明図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係るステントは、
血管内に配置され、網状部材で構成される筒体を有するステントであって、
前記網状部材は、金属からなる線状体で構成され、
前記網状部材のうち、前記筒体の軸方向に交差する箇所を構成する前記線状体の横断面における周縁は、
前記線状体の最大幅をとる線分と交差し、前記血管内において血流の上流側に配置される第一の側端及び前記血流の下流側に配置される第二の側端と、
前記線状体の最大厚さをとる線分と交差する内周端とを含み、
前記第一の側端と前記内周端とを結ぶ線分と前記最大幅をとる線分とがつくる角度を第一の角度とし、前記第二の側端と前記内周端とを結ぶ線分と前記最大幅をとる線分とがつくる角度を第二の角度とし、前記第一の角度は、前記第二の角度よりも大きい鋭角である。
本開示のステントは、筒体の軸方向に交差する箇所を構成する線状体の横断面形状を、線状体における幅方向の両端部近くの角部が鋭角となるという特定の形状とする。このような特定の横断面形状を有する線状体を含む本開示のステントは、横断面形状が長方形である線状体で構成されるステントに比較して、血流を阻害し難く血液の流通性に優れて、血栓が付着し難い(詳細は後述する)。血栓の付着を抑制することで、本開示のステントは、血管の再狭窄の防止に寄与すると期待される。なお、ここでの線状体の横断面とは、線状体の厚さ方向に平行な平面であって、線状体の延伸方向に直交する平面で切断した断面である。横断面の詳細は後述する。
また、本開示のステントは、例えば、後述する本開示のステントの製造方法によって製造できる。本開示のステントの製造方法では、上述の研磨を行う場合に比較して、血栓が付着し難い形状の線状体を高精度に成形できる。また、血栓が付着し難い形状の線状体を含むステントを量産できる。従って、本開示のステントは、生産性にも優れる。
(2)本開示のステントの一例として、
前記周縁は、
前記第一の側端から前記内周端までの領域、及び前記内周端から前記第二の側端までの領域の少なくとも一方に湾曲部を含む形態が挙げられる。
上記形態は、線状体における血流に接する内周面に曲面、即ち周縁が湾曲部で描かれる部分を含む。そのため、上記形態は、血液の流通性により優れて、血栓が付着し難い。
(3)上記(2)のステントの一例として、
前記周縁は、
前記第一の側端から前記内周端までの領域に、前記最大厚さの1倍以上3倍以下である曲げ半径を有する第一の湾曲部を含み、
前記内周端から前記第二の側端までの領域に、前記第一の湾曲部の曲げ半径よりも大きな曲げ半径を有する第二の湾曲部を含む形態が挙げられる。
上記形態は、血流の上流側に配置される第一の湾曲部によって血流を阻害し難い上に、血液が血管の内壁面から立ち上がる(離れる)ように流れ易い。更に、血液は、第一の湾曲部を経て第二の湾曲部に沿って流れ易く、下流側に向い易い。そのため、上記形態は、血液の流通性により優れて、血栓が付着し難い。
(4)上記(3)のステントの一例として、
前記周縁は、
前記第一の側端から前記内周端を経て前記第二の側端に連続する湾曲部を含む形態が挙げられる。
上記形態では、代表的には、線状体の内周面の実質的に全体が曲面で構成される。このような形態は、第一の湾曲部と第二の湾曲部との間に平面を含む場合に比較して、血液の流通性に更に優れ、血栓が付着し難い。
(5)本開示のステントの一例として、
前記筒体は、
複数の環状部と、
前記筒体の軸方向に隣り合う前記環状部を繋ぐリンク部とを備え、
前記各環状部は、前記筒体の周方向に連続する前記線状体から構成され、
前記リンク部は、前記筒体の軸方向に沿って設けられる直線部を含み、
前記環状部の横断面形状と前記直線部の横断面形状とが異なる形態が挙げられる。
上記形態のリンク部の直線部は血液の流通方向に沿って配置される。そのため、直線部が上述の特定の横断面形状を有していなくても、直線部による血流の抵抗の増大を招き難い。このような形態は、直線部の形状の自由度が大きい点で製造性に優れる。
(6)上記(5)のステントの一例として、
前記直線部の最大厚さは、前記環状部の最大厚さよりも薄い形態が挙げられる。
上記形態は、直線部による血流の抵抗の増大を低減できる。従って、上記形態は、血液の流通性により優れて、血栓が付着し難い。
(7)本開示のステントの一例として、
前記金属は、純鉄である形態が挙げられる。
上記形態は、線状体の構成材料が純鉄であるため、生体分解性にも優れる。
(8)本開示の一態様に係るステントの製造方法は、
所定の形状の溝が形成された型材を用意する工程と、
前記型材において前記溝を含めた表面に純鉄めっきを施す工程と、
前記型材に形成された純鉄めっき部において、前記溝から突出する箇所を除去する工程と、
前記溝に残存する純鉄めっき部と前記型材とを分離する工程とを備える。
本開示のステントの製造方法は、以下の理由(A),(B)により、網状部材の少なくとも一部に、上述の血栓が付着し難いという特定の横断面形状を有する線状体を含むステントを生産性よく製造できる。また、本開示のステントの製造方法は、純鉄からなるステント、即ち生体分解性に優れるステントを製造できる。
(A)ステントの形成にめっき法を利用する。そのため、型材の溝の形状に沿った横断面形状を有する線状体を高精度に、かつ容易に製造できる。例えば、網状部材の一部又は全部に上述の特定の横断面形状を有する線状体を含むステントや、内周面の実質的に全体が湾曲形状である線状体を含むステント等を高精度に、かつ容易に製造できる。
(B)型材の表面全体にめっきを施すと共に、得られためっき部において、溝からの突出箇所を除去する。そのため、溝のみにめっきを施す場合に比較して、マスキングが不要であり、作業性に優れる。
このような本開示のステントの製造方法は、上述のレーザーを用いる製法と比較して、上述の特定の横断面形状を有する線状体を含むステントを量産できる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を具体的に説明する。図において同一符号は同一名称物を意味する。
[ステント]
以下、図1~図3を参照して、実施形態のステント1を説明する。
図1Aは、実施形態のステント1の一例を示す概略側面図である。図1Aでは、ステント1を筒体15の軸方向(図1Aでは軸63を通る直線の方向)に平行な平面で切断した半分のみを示す。残り半分は省略している。なお、残り半分を省略しなければ、筒体15を構成する網状部材11の網目から、残り半分を構成する線状体10の一部がみえる。
(概要)
実施形態のステント1は、血管5(図3)に配置されて、血管5の内径を所定の大きさに保持するための医用部材である。ステント1は、図1Aに示すように網状部材11で構成される筒体15を有する。網状部材11は、金属からなる線状体10で構成される。筒体15は、線状体10で構成される網目が広げられることで、筒体15の径方向に拡張可能である。代表的には、ステント1は、筒体15の軸63が血液の流通方向に平行するように血管5内に配置され、筒体15が拡張された状態で利用される。このようなステント1は、バルーン拡張型ステントとして利用される。なお、線状体10は、ストラットと呼ばれることがある。
特に、実施形態のステント1では、網状部材11の少なくとも一部を構成する線状体10の横断面形状が特定の形状である。詳しくは、網状部材11のうち、筒体15の軸方向に交差する箇所(以下、交差箇所と呼ぶ)を構成する線状体10の横断面形状は、図2A,図2Cに例示するように、線状体10における幅方向(図2A,図2Cでは左右方向)の両端部近くの角部が鋭角となるような形状である。また、一端側(図2A,図2Cでは左側)の角部の角度θが他端側(図2A,図2Cでは右側)の角部の角度θよりも大きい(θ<θ<90°)。
図1B~図1Dの拡大図を参照して、線状体10の横断面を説明する。
図1B~図1Dは、図1Aに示すステント1に対して破線円を付した箇所を拡大して示す。
図1Bは、筒体15の軸方向に沿って配置される箇所(以下、非交差箇所と呼ぶ)を構成する線状体10を示す。
図1Cは、筒体15の軸方向に直交する箇所(交差箇所の一例)を構成する線状体10を示す。
図1Dは、筒体15の軸方向に非直交に交差する箇所(交差箇所の別例)を構成する線状体10を示す。
まず、線状体10の幅方向の一端部を通る接線61をとる。線状体10の幅方向の一端部とは、ステント1を筒体15の軸63に直交する方向から平面視した場合(図1A)に、線状体10において最大幅wmaxをとる線分との交点に相当する。図1B~図1Dでは、線状体10の幅方向の一端部に黒丸印を付している。
次に、線状体10の厚さ方向に平行な平面であって、接線61に直交する垂線62を通る平面を切断面とする。線状体10の厚さ方向とは、線状体10の外周面21(図1A~図1Dでは紙面手前側の面)から筒体15の軸63側に向かう方向である。図1B~図1Dでは、線状体10の厚さ方向は紙面垂直方向(奥行き方向)に相当する。筒体15が円筒状であり、筒体15の軸方向に沿って配置される箇所や筒体15の軸方向に直交する箇所では、線状体10の厚さ方向は筒体15の径方向に相当する。
上述の切断面で線状体10を切断した断面を線状体10の横断面とする。
以下、ステント1をより詳細に説明する。
(構成材料)
線状体10の構成材料は、金属である。実施形態のステント1の代表例として、金属からなる線状体10で構成される網状部材11のみを備える形態が挙げられる。この形態は、一般に、ベアメタルステント(BMS)と呼ばれる。別例として、上述の網状部材11を基部とし、更に基部に保持される薬剤(図示せず)を備える形態が挙げられる。この形態は、一般に、ドラックエルティングステント(DES)と呼ばれる。
〈線状体〉
線状体10を構成する金属は、ステントに利用されている各種の金属を利用できる。特に、上記金属は、純鉄が好ましい。ここでの純鉄とは、Fe(鉄)を99.5質量%以上含み、残部が不可避不純物からなるものとする。不可避不純物の含有量は0.5質量%以下である。Feは鋼やステンレス鋼といった鉄基合金、ニッケルチタン(ニチノール)に比較して、生体分解性に優れる金属である。そのため、Feの含有量(純度)が99.5質量%以上の純鉄からなる線状体10は、生体分解性に優れる。Feの純度(含有量)が高い純鉄から構成されるステント1は、経時的に体内から消滅可能であり、生体吸収性ステント(生体吸収性スキャフォールド(BVS)と呼ばれることがある)として好適に利用できる。
Feの含有量が高いほど、即ち純度が高いほど、生体分解性に優れる。また、不純物が少ないことで耐食性にも優れる。生体分解性の向上等を望む場合、Feの含有量を99.6質量%以上、更に99.8質量%以上としてもよい。Feの含有量が99.5質量%以上の純鉄からなる線状体10は、例えば、純鉄めっきを行ったり、高純度の純鉄粉を焼結したりすることで製造できる(後述の製造方法参照)。
〈薬剤〉
薬剤は公知のものを利用できる。薬剤の保持方法は、例えば、網状部材11の少なくとも一部を構成する線状体10の表面に薬剤の塗布層を備えることが挙げられる。網状部材11が焼結体であれば、焼結体自体に含まれる気孔を薬剤の保持部として利用してもよい。線状体10の内部(気孔)に薬剤を保持するため、長期に亘り薬剤を保持できると期待される。網状部材11が焼結体から構成され、薬剤が含浸された気孔と、薬剤の塗布層とを備えるステント1としてもよい。
(筒体)
〈全体形状〉
筒体15の代表的な形状として、円筒が挙げられる。円筒状の筒体15は、血管5の内壁面50(図3)に適合し易い。そのため、円筒状の筒体15は、筒体15自体によって血管5の内壁面50を損傷し難いと考えられる。その他、筒体15の形状は、血管5に損傷を与え難く、血流を阻害し難い範囲で、円筒以外の形状でもよい。例えば、筒体15の端面形状は、楕円状、多角形状等が挙げられる。
筒体15は、筒体15の軸方向の各端部に開口部を有し、一端から他端に貫通する中空空間を形成する。また、筒体15は、線状体10が網状に配置されてなる網状部材11によって構成される。そのため、筒体15は、筒体15の内外を貫通する複数の開口部を有する。網状部材11を構成する線状体10は、筒体15の周方向に連続すると共に、筒体15の軸方向にも連続するように設けられる。
筒体15の一例として、図1Aに示すように、複数の環状部16と、少なくとも一つのリンク部17とを備えるものが挙げられる。各環状部16は、筒体15の周方向に連続する線状体10から構成される。各リンク部17は、筒体15の軸方向に隣り合う環状部16を繋ぐ。詳しくは、各リンク部17は、隣り合う環状部16の周方向の少なくとも一カ所を繋ぐように設けられる。また、一つの環状部16に複数のリンク部17が接続される場合、各リンク部17は、代表的には、環状部16の周方向の異なる位置に離間して配置される。
図1Aでは、各環状部16を構成する線状体10は、筒体15の軸方向に進退するように蛇行しながら、筒体15の周方向に連続する場合を例示する。また、図1Aでは、各リンク部17を構成する線状体10が筒体15の軸方向に沿って直線状に設けられる場合を例示する。更に、図1Aでは、一つの環状部16に対して、複数のリンク部17が接続される場合を例示する。各環状部16は、筒体15の一端(図1Aでは左端)及び筒体15の他端(図1Aでは右端)の少なくとも一方にリンク部17との接続箇所を有する。図1Aは例示であり、環状部16及びリンク部17の形状、大きさ、個数、接続箇所等は適宜変更できる。
〈環状部〉
図1Aでは、全ての環状部16の形状及び大きさが実質的に等しい場合を例示する。本例の各環状部16は、曲線の波(例、正弦波)状に配置される線状体10から構成される。このような各環状部16は、主として、筒体15の軸方向に交差するように配置される線状体10で構成される。つまり、この線状体10は、筒体15の交差箇所を構成する。また、本例では、波状に配置される線状体10の振幅が環状部16の全周に亘って実質的に等しい。更に、本例では、各環状部16を構成する線状体10の最大幅wmax及び最大厚さtmaxが線状体10の全長に亘って実質的に等しい。
その他、例えば、環状部16の蛇行形状を三角波状(ジグザグ形状)、矩形波状、鋸波状(直角三角波状)等としてもよい。又は、環状部16を構成する線状体10を図1Aに示す直線状に代えて屈曲形状としてもよい。又は、例えば、一つの環状部16の振幅を周方向に異ならせてもよい。一例として、環状部16の周方向に連続的に振幅を大きくしてもよい。又は、隣り合う環状部16の形状や大きさを異ならせてもよい。このような複雑な形状を有していても、後述する実施形態のステントの製造方法を利用すれば、ステント1を容易に製造できる。
〈リンク部〉
図1Aでは、全てのリンク部17の形状及び大きさが実質的に等しい場合を例示する。本例の各リンク部17は、筒体15の軸方向に沿って直線状に設けられる線状体10を含む。この直線状の線状体10を直線部170と呼ぶ。直線部170を構成する線状体10は、線状体10の延伸方向が筒体15の軸方向に沿っている。つまり、この線状体10は、筒体15の非交差箇所を構成する。本例では、リンク部17の実質的に全体が直線部170である。また、本例では、リンク部17の最大幅及び最大厚さがリンク部17の全長に亘って実質的に等しい。
その他、例えば、リンク部17の一部のみを直線部170としてもよい。この場合、リンク部17の残部は、筒体15の軸方向に交差するように配置される線状体10を含むことが挙げられる。又は、例えば、リンク部17は直線部170を含まなくてもよい。一例として、リンク部17の全体が、筒体15の軸方向に交差するように配置される線状体10で構成されることが挙げられる。別例として、各環状部16が上述の波状等の凹凸形状であり、リンク部17は、隣り合う環状部16の凸部の頂点同士が接続したような形状であることが挙げられる。
〈筒体の大きさ〉
筒体15の拡張前の外径は、用途(人体への配置箇所)にもよるが、例えば1.0mm以上20mm以下が挙げられる。筒体15の拡張前の長さは、用途にもよるが、例えば5mm以上400mm以下が挙げられる。冠動脈用途、頭蓋内用途のステント1では、拡張前の筒体15の外径は、例えば1.0mm以上4.5mm以下が挙げられる。筒体15の長さは例えば5mm以上30mm以下が挙げられる。なお、筒体15の外径とは、筒体15を軸方向に平面視した輪郭に対する外接円をとり、この外接円の直径とする。
(線状体)
〈横断面形状〉
主に図2A~図2Cを参照して、線状体10の横断面形状を説明する。
図2A~図2Cは、上述の切断面で切断した線状体10の横断面図である。図2A,図2Cではハッチングを省略している。
図2Aは、横断面形状の一例として涙型を半分に切断したような形状を示す。
図2Cは、横断面形状の別例として台形状を示す。
筒体15を構成する線状体10の横断面において、線状体10の周縁2は、筒体15の内周側に配置される内周面20と、筒体15の外周側に配置される外周面21とを備える。図3に示すように、ステント1が血管5に配置された状態において、線状体10の外周面21は、血管5の内壁面50に接して配置される。内周面20は、血管5の内壁面50から突出するように配置され、内壁面50に接することなく、血流に接する面である。
線状体10の横断面において周縁2が曲線で描かれる箇所は、曲面で構成される。周縁2が直線で描かれる箇所は、実質的に平面で構成される。なお、図2A~図2C,図3では、説明の便宜上、外周面21を直線で描く。しかし、筒体15が例えば円筒体であれば、外周面21は大きな曲げ半径を有する円弧(緩やかな湾曲線)で描かれ、曲面で構成される。
筒体15の交差箇所は、以下の横断面形状を有する線状体10を含む。線状体10の横断面における周縁2は、内周側に、以下の一対の側端31,32と、内周端30と、内周縁部25,26とを含むと共に、以下の角度θ,θが以下の条件を満たす(図2A,図2C)。
側端31,32は、周縁2において、線状体10の最大幅wmaxをとる線分35と交差する箇所である。第一の側端31は、血管5内において血流の上流側に配置される。第二の側端32は、血管5内において血流の下流側に配置される。内周端30は、周縁2において、線状体10の最大厚さtmaxをとる線分36と交差する箇所である。内周端30は、線状体10の幅方向の中心位置よりも、上流側の第一の側端31寄りに位置する。内周縁部25は、周縁2において、第一の側端31から内周端30までの領域である。この領域を上流側の内周縁部25と呼ぶ。内周縁部26は、周縁2において、第二の側端32から内周端30(図2Cでは後述する下流側の内周端34)までの領域である。この領域を下流側の内周縁部26と呼ぶ。なお、図2A~図2Cでは、紙面左側を上流側と呼び、紙面右側を下流側と呼ぶ。また、図2A~図2Cでは、側端31,32、内周端30,34に黒丸印を付して示す。
第一の側端31と内周端30とを結ぶ線分37と最大幅wmaxをとる線分35とがつくる角度を第一の角度θとする。第二の側端32と内周端30(図2Cでは内周端34)とを結ぶ線分38と最大幅wmaxをとる線分35とがつくる角度を第二の角度θとする。第一の角度θは第二の角度θよりも大きい鋭角である。そのため、第二の角度θも鋭角である。このような横断面形状は、筒体15の外周側(図2A~図2Cでは上側)から筒体15の内周側(図2A~図2Cでは下側)に向かうに従って線状体10の幅が狭くなる形状といえる。
〈主な作用〉
以下、主に図3を参照して、上述の特定の横断面形状を有する線状体10の作用を説明する。筒体15の交差箇所を構成する線状体10は、線状体10の延伸方向に沿った軸が筒体15の軸方向に交差するように設けられる。そのため、筒体15の交差箇所を構成する線状体10は、ステント1が血管5に配置された状態において、血液の流通方向に対して交差するように配置される。このような線状体10における血流の上流側の領域は、血液が勢いよく接触する領域といえる。筒体15の交差箇所を構成する線状体の横断面形状が長方形であれば、この線状体の内周面は、血管5の内壁面50に直交するように配置される。そのため、横断面形状が長方形の線状体は、血流を阻害する。また、横断面形状が長方形の線状体の内周面と血管5の内壁面50とがつくる角部が直角である。そのため、この角部及びその近傍の領域に血流が滞留し易い。
これに対し、筒体15の交差箇所を構成する線状体10が上述の特定の横断面形状を有すると、上述の横断面形状が長方形である場合に比較して、血流を阻害し難い。また、線状体10の内周面20と血管5の内壁面50とがつくる領域に血流が滞留し難い。以下、詳しく説明する。
上述の特定の横断面形状を有する線状体10は、図3に示すように血管5に配置されると、比較的平坦な外周面21に対して、内周面20が筒体15の軸63側に向かって内壁面50から張り出すように配置される。しかし、この線状体10では、上流側の内周縁部25の角部及び下流側の内周縁部26の角部がいずれも鋭角である。そのため、線状体10の内周面20は、血管5の内壁面50に対して鈍角に交差するように配置される。上流側の角度θ51及び下流側の角度θ52はいずれも鈍角である。従って、血流が上流側の内周縁部25に接触すると、内周縁部25に沿って流れ易い。また、血流は、上流側の内周縁部25から内周端30を経て下流側の内周縁部26に沿って、下流側に向い易い。
更に、線状体10の内周面20と、血管5の内壁面50とがつくる角部及びその近傍の領域に血流が滞留し難い。角度θ51,角度θ52が鈍角であるため、上記角部及びその近傍の領域は、血管5の中心軸に向かって開いたような領域であるからである。血流が滞留し難いことで、線状体10に血栓が付着し難い。
特に、線状体10における上流側の内周縁部25の角部の角度θは、下流側の内周縁部26の角部の角度θよりも大きい。そのため、血流は、上流側の内周縁部25に接すると、内周縁部25に沿って、血管5の内壁面50からある程度立ち上がるように流れ易い。このことからも、線状体10に血栓が付着し難い。
従って、上述の特定の横断面形状は、血流の抵抗になり難い形状であり、血栓が付着し難い形状といえる。
《角度》
第一の角度θは、例えば、40°以上85°以下が挙げられる。角度θが40°以上であれば、血流が上流側の内周縁部25に沿って流れることで、下流側に向い易い。また、血流が上流側の内周縁部25に接すると、血管5の内壁面50からある程度立ち上るように流れ易く、線状体10における血栓の付着を低減し易い。第一の角度θが85°以下であれば、上流側の内周縁部25による血流の阻害を低減し易い。また、線状体10における上流側の角部及びその近傍の領域に血流が滞留し難い。この点で、線状体10における血栓の付着を防止し易い。血流の抵抗の更なる低減、血流の滞留の更なる抑制等を望む場合には、第一の角度θを45°以上83°以下、更に80°以下、70°以下、60°以下としてもよい。
第二の角度θは、例えば、20°以上50°以下が挙げられる(但しθ<θ)。角度θが20°以上であれば、線状体10における下流側の角部及びその近傍の領域に血流が滞留し難い。この点で、線状体10における血栓の付着を防止し易い。第二の角度θが50°以下であれば、血流が上流側の内周縁部25を経て下流側の内周縁部26に向い易く、下流側の内周縁部26による血流の阻害を低減し易い。血流の抵抗の更なる低減、血流の滞留の更なる抑制等を望む場合には、第二の角度θを25°以上45°以下、更に40°未満としてもよい。
《内周縁部》
≪湾曲部を含む形状≫
上流側の内周縁部25、及び下流側の内周縁部26の少なくとも一方に湾曲部を含むことが挙げられる。この場合、上流側の内周縁部25及び下流側の内周縁部26の少なくとも一部は、横断面では円弧(曲線)で描かれ、曲面で構成される。筒体15の交差箇所を構成する線状体10が曲面を含むことで、血流を阻害し難い。
図2Aに示すように、上流側の内周縁部25の全てが滑らかに連続する湾曲部250で構成されると共に、下流側の内周縁部26の全てが滑らかに連続する湾曲部260で構成されると、血液の流通性により優れて、線状体10に血栓が付着し難く好ましい。特に、図2Aに示す線状体10では、上流側の内周縁部25を構成する湾曲部250と下流側の内周縁部26を構成する湾曲部260とが滑らかに連続して一つの湾曲部を形成する。つまり、この線状体10は、第一の側端31から内周端30を経て第二の側端32に連続する湾曲部を含む。線状体10における内周面20の実質的に全体が湾曲形状であり、曲面で構成される。このような線状体10は、少なくとも一部に平面を含む場合(例、図2C)に比較して、血液の流通性に更に優れて、血栓が付着し難く好ましい。
その他、例えば、上流側の内周縁部25の少なくとも一部にのみ湾曲部250を含み、下流側の内周縁部26に湾曲部を含まなくてもよい。又は、上流側の内周縁部25に湾曲部を含まず、下流側の内周縁部26の少なくとも一部にのみ湾曲部260を含んでもよい。各内周縁部25,26における湾曲部250,260以外の箇所は、横断面では直線で描かれ、平面で構成される。又は、後述するように、両内周縁部25,26が湾曲部を含まなくてもよい(図2C)。
《曲げ半径》
線状体10が湾曲部250,260を含む場合、湾曲部250,260の曲げ半径は適宜選択できる。例えば、上流側の内周縁部25は、線状体10の最大厚さtmaxの1倍以上3倍以下である曲げ半径R1を有する湾曲部250を含むことが挙げられる(図2B)。
曲げ半径R1が最大厚さtmaxの1倍以上である第一の湾曲部250に血流が接触すると、血管5の内壁面50からある程度立ち上がるように流れ易い。その結果、線状体10における血栓の付着を低減し易い。曲げ半径R1が最大厚さtmaxの3倍以下であれば、第一の湾曲部250による血流の阻害を低減し易い。また、線状体10における上流側の角部及びその近傍の領域に血流が滞留し難い。この点で、線状体10における血栓の付着を防止し易い。血流の抵抗の更なる低減、血流の滞留の更なる抑制等を望む場合には、上流側の内周縁部25は、例えば最大厚さtmaxの1.1倍以上2.5倍以下、更に1.2倍以上2.0倍以下、更に1.5倍以下の曲げ半径R1を有する湾曲部250を含んでもよい。上流側の内周縁部25が、曲げ半径R1が異なる複数の湾曲部250を含む場合には、最大曲げ半径R1maxが最大厚さtmaxの1倍以上3倍以下であることが好ましい。
また、例えば、下流側の内周縁部26は、第一の湾曲部250の曲げ半径R1よりも大きな曲げ半径R2を有する第二の湾曲部260を含むことが挙げられる。このような下流側の内周縁部26は、第一の湾曲部250よりも十分に大きい湾曲部260を有するといえる。そのため、下流側の内周縁部26による血流の阻害を低減し易く、血液の流通性に優れる。下流側の内周縁部26が、曲げ半径R2が異なる複数の湾曲部260を含む場合には、上記最大曲げ半径R1maxよりも大きな曲げ半径R2を有する湾曲部260を含むことが好ましい。また、下流側の内周縁部26に備えられる湾曲部260の最大曲げ半径R2maxが上記最大曲げ半径R1maxよりも大きいことが好ましい。この場合、下流側の内周縁部26による血流の阻害をより低減し易く、血液の流通性に更に優れる。
曲げ半径R2が大きいほど、下流側の内周縁部26によって血流を阻害し難い。血流の抵抗の更なる低減等を望む場合には、下流側の内周縁部26は、例えば最大曲げ半径R1maxの1倍超、更に1.1倍以上、1.2倍以上の曲げ半径R2を有する湾曲部260を含んでもよい。但し、最大曲げ半径R2maxが大き過ぎると平面に近づくため、最大曲げ半径R2maxを最大曲げ半径R1maxの2.0倍以下、更に1.8倍以下としてもよい。
≪湾曲部を含まない形状≫
図2Cに示す線状体10は、上流側の内周縁部25及び下流側の内周縁部26に湾曲部を含まない例である。本例の線状体10の内周面20は、両内周縁部25,26と、平坦部27とを備え、横断面形状が台形状である。各内周縁部25,26、平坦部27はいずれも、横断面では直線で描かれ、平面で構成される。平坦部27は、両内周縁部25,26の間に設けられる。
なお、本例の線状体10のように、最大厚さtmaxを有する領域がある程度の幅で存在すると、最大厚さtmaxをとる線分が複数存在する。この場合、内周端30は、線状体10の横断面の周縁2において、最大厚さtmaxをとる複数の線分のうち、最も上流側(第一の側端31側)に位置する線分と交差する箇所とする。本例では、最大厚さtmaxをとる複数の線分のうち、最も下流側(第二の側端32側)に位置する線分と交差する箇所を下流側の内周端34とする。周縁2において、上流側の内周縁部25は、第一の側端31から内周端30までの領域である。周縁2において、平坦部27は、内周端30から下流側の内周端34までの領域である。周縁2において、下流側の内周縁部26は、下流側の内周端34から第二の側端32までの領域である。
又は、線状体10の横断面形状を、両内周縁部25,26が内周端30で繋がる三角形状としてもよい(図示せず)。
《角部》
その他、線状体10の横断面において、線状体10の周縁2のうち、角部22,23は、図2A~図2Cに例示すように丸められていることが好ましい。ここで、角部22,23を角張らせることができる。しかし、内周面20と外周面21との角部22、即ち外周面21の幅方向の両端に位置する角部22が丸められて曲面から構成されれば、血管5の内壁面50に接触しても、内壁面50を気付つけ難い。内周面20に設けられる角部、例えば図2Cに示す各内周縁部25,26と平坦部27との角部23が丸められており、曲面から構成されれば、血流の乱れを生じ得る変曲点になり難いと考えられる。角部22,23の曲げ半径は、上述の曲げ半径R1に比較して小さくてよい。
《その他》
ステント1が上述の交差箇所と非交差箇所(例、上述のリンク部17の直線部170)とを含む場合、交差箇所を構成する線状体10のみが上述の血栓が付着し難いという特定の横断面形状を有してもよい。非交差箇所を構成する線状体10は、線状体10の延伸方向に沿った軸が筒体15の軸方向に沿って設けられる。いわば、非交差箇所を構成する線状体10は、血液の流通方向に沿って配置される。そのため、非交差箇所を構成する線状体10が上記特定の横断面形状を有していなくても、非交差箇所による血流の抵抗の増大を招き難いからである。非交差箇所を構成する線状体10の横断面形状の自由度が大きい点で、ステント1は製造性に優れる。上記特定の横断面形状以外の横断面形状として、例えば、長方形(正方形を含む)、半円状や半楕円状等の湾曲形状、三角形状や台形状等の平面を含む形状等が挙げられる。また、上記特定の横断面形状以外の横断面形状として、線対称の形状でもよい。長方形のように角部を有する形状では、上述のように角部が丸められていることが好ましい。
又は、交差箇所を構成する線状体10と、非交差箇所の少なくとも一部を構成する線状体10とが上述の特定の横断面形状を有してもよい。非交差箇所を構成する線状体10が上記特定の横断面形状を有することで、血流の抵抗となり難く、血液の流通性に優れる。又は、ステント1を構成する全ての線状体10が上記特定の横断面形状を有していてもよい。この場合、ステント1を構成する全ての線状体10が血流の抵抗になり難く、血液の流通性により優れる。
筒体15の異なる複数の箇所を構成する線状体10の横断面形状が上述の特定の横断面形状である場合、全ての横断面形状が同一形状でもよいし、異なる形状でもよい。例えば、筒体15の或る交差箇所を構成する線状体10の横断面形状は、図2Aに示す湾曲部を含む形状であり、別の箇所を構成する線状体10の横断面形状は、図2Cに示す湾曲部を含まない形状としてもよい。
図1Aの例示では、各環状部16を構成する線状体10の実質的に全てが筒体15の交差箇所を構成する。そのため、各環状部16を構成する線状体10は、上述の特定の横断面形状を有する。本例のように複数の環状部16を備える場合、一つの環状部16を構成する線状体10の横断面形状はその全長に亘って同一形状でもよいし、異なる形状でもよい。図1Eは、一つの環状部16を構成する線状体10がその全長に亘って、図2Aに示す横断面形状を有する場合を例示する。図1Eに示すように、環状部16の任意の箇所において、環状部16を構成する線状体10の第一の側端31及び上流側の内周縁部25が血流の上流側に配置される。上記線状体10の第二の側端32及び下流側の内周縁部26が血流の下流側に配置される。各環状部16は、このような線状体10で構成されることで、血流の抵抗となり難く、血液の流通性に優れる。なお、複数の環状部16のうち、全ての環状部16の横断面形状が同一形状でもよいし、異なる形状でもよい。
複数のリンク部17を備える場合、一つのリンク部17を構成する線状体10の横断面形状は、その全長に亘って同一形状でもよいし、異なる形状でもよい。複数のリンク部17のうち、全てのリンク部17の横断面形状が同一形状でもよいし、異なる形状でもよい。リンク部17を構成する線状体10が筒体15の交差箇所を構成する場合には、この線状体10は、上述の特定の横断面形状を有するとよい。
また、少なくとも一つの環状部16の横断面形状と少なくとも一つのリンク部17の横断面形状とが同一形状でもよいし、異なる形状でもよい。リンク部17が直線部170を含む場合、少なくとも一つの環状部16の横断面形状と少なくとも一つの直線部170の横断面形状とがいずれも上述の特定の横断面形状であり、かつ同一形状でもよいし、異なる形状でもよい。又は、少なくとも一つの直線部170の横断面形状は、上記特定の横断面形状以外でもよい。この場合、この直線部170の横断面形状と、環状部16の横断面形状とは異なる。
このようにステント1は、線状体10の横断面形状の自由度が大きく、製造性に優れる。
〈大きさ〉
線状体10の厚さ、幅は適宜選択できる。筒体15を構成する線状体10の全てが同一の最大厚さtmaxを有すると共に、同一の最大幅wmaxを有してもよい。又は、筒体15を構成する線状体10の一部について、最大厚さtmax及び最大幅wmaxの少なくとも一方が異なってもよい。
最大幅wmaxは、所定の強度を有し、線状体10が網目を確保できる範囲で適宜選択するとよい。
最大厚さtmaxは、例えば30μm以上150μm以下が挙げられる。最大厚さtmaxが150μm以下であれば、線状体10が血流の抵抗になり難い。血流の抵抗の更なる低減等を望む場合では、最大厚さtmaxを140μm以下、更に130μm以下、120μm以下、更には100μm以下としてもよい。特に、上述の交差箇所を構成する線状体10の最大厚さtmaxは小さいほど、線状体10が血流の抵抗になり難く、血液の流通性に優れて好ましい。一方、最大厚さtmaxが30μm以上であれば、強度に優れる。高強度化等を望む場合には、最大厚さtmaxを50μm以上、更に55μm以上、60μm以上としてもよい。
ステント1が上述の環状部16とリンク部17とを備え、リンク部17が直線部170を含む場合、直線部170の最大厚さtmaxは、環状部16の最大厚さtmaxよりも薄いことが挙げられる。血液の流通方向に沿って配置される直線部170の最大厚さtmaxが環状部16の最大厚さtmaxよりも薄ければ、リンク部17を構成する線状体10による血流の抵抗を低減できる。従って、この形態は、血液の流通性により優れる。その他、環状部16の最大幅とリンク部17の最大幅とは等しくてもよいし、異なってもよい。また、環状部16の最大厚さとリンク部17の最大厚さとは等しくてもよいし、異なってもよい。
(主な効果)
実施形態のステント1は、筒体15の交差箇所を構成する線状体10の横断面形状が上述の血流の抵抗になり難いという特定の形状である。そのため、ステント1は、血液の流通性に優れて、血栓が付着し難い。血栓の付着を抑制できることで、ステント1は、血管5の再狭窄の防止に寄与すると期待される。また、実施形態のステント1は、筒体15が純鉄の線状体10から構成される場合には、生体分解性にも優れる。更に、実施形態のステント1は、後述する実施形態のステントの製造方法によって製造できるため、生産性にも優れる。
[ステントの製造方法]
上述の特定の横断面形状を有する線状体10を含むステント1は、例えば、以下の実施形態のステントの製造方法(以下、第一の製法と呼ぶことがある)によって製造できる。第一の製法は、めっき法を利用する製法であり、以下の各工程を備える。
(第一の製法)
〈型材の準備工程〉所定の形状の溝が形成された型材を用意する工程。
〈めっき工程〉上記型材において上記溝を含めた表面に純鉄めっきを施す工程。
〈一部除去工程〉上記型材に形成された純鉄めっき部において、上記溝から突出する箇所を除去する工程。
〈型材の分離工程〉上記溝に残存する純鉄めっき部と上記型材とを分離する工程。
以下、第一の製法を詳細に説明する。
〈概要〉
第一の製法は、純鉄めっきから構成されるステント1を製造する。特に、第一の製法では、型材に形成される溝を埋めるように純鉄めっきを施す。そのため、型材の溝の断面形状に沿った横断面形状を有する純鉄製の線状体を容易に、かつ形状精度よく製造できる。上記溝の断面形状が上述の特定の横断面形状を含めば、実施形態のステント1を容易に、かつ形状精度よく製造できる。また、めっき法を利用すれば、所定の形状の純鉄めっき部を量産できる。
更に、型材の溝の断面形状及び溝の大きさは任意に変更できる。このような第一の製法は、線状体10の横断面形状の自由度及び線状体10の大きさの自由度が上述のレーザーを利用する場合に比較して格段に大きい。また、従来のステントの製法として金属線を所定の形状に曲げ、所定の箇所を溶接して一体化する方法がある。金属線の横断面形状及び線径は、通常、金属線の全長に亘って一様である。このような金属線を利用する従来の製法に比較しても、第一の製法は、線状体10の横断面形状の自由度及び線状体10の大きさの自由度が格段に大きい。この段落に記載の事項は、後述の第二の製法にも適用される。
〈型材の準備工程〉
型材の構成材料は樹脂が挙げられる。樹脂製の型材は、以下に説明するように、型材の製造性に優れる上にステント1の製造性にも優れる。型材には、所定の形状の溝が形成される。型材に形成される溝は、網状に配置され、型材の一端側から他端側に向かって連続する。また、型材に形成される溝の断面形状及び大きさは、型材の各所で異なる場合がある。このような複雑な形状の溝を有する型材であっても、型材の構成材料が樹脂であれば、射出成形等の成形法を利用して、容易に、かつ高精度に型材を量産できる。また、後述するように樹脂製の型材は、めっき後に型材の溝に残存する純鉄めっき部との分離を容易に行える。そのため、樹脂製の型材は、純鉄めっき部との分離作業性に優れる。
《構成材料》
型材の構成樹脂は、後述するめっき工程で使用するめっき液等に対する耐性を有する各種の樹脂を利用できる。特に、ある程度加熱されると変形可能な樹脂を好適に利用できる。純鉄めっき部との分離作業性に優れるからである。このような樹脂の一例として、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の一例として、ポリアミド、スチレン等が挙げられる。別例として、熱硬化性樹脂であって、変形温度が200℃以下程度の樹脂が挙げられる。このような熱硬化性樹脂の一例として、ウレタン、メラミン等が挙げられる。
《形状》
型材の形状は、ステント1の筒体15の形状に応じて選択すればよい。円筒状のステント1を製造する場合には、型材として丸棒材が好適に利用できる。その他、筒体15の形状によっては、端面形状が楕円状、多角形状等の棒材を型材に利用できる。型材は、一体に成形された棒材としてもよい。又は、型材は、複数の分割片を組み合わせて一つの棒状となる組物としてもよい。組物の型材とする場合には、分割片は、型材の端面の周縁を複数に分割可能な割面、即ち型材の軸方向に沿った割面を有するものが挙げられる。このような組物は、めっき後に純鉄めっき部との分離作業性に優れる。組物の具体例として、組み合わせて丸棒状となる組物であって、型材の径方向に分割された半円柱片や円弧状片といった分割片を含むものが挙げられる。
《大きさ》
型材の大きさ(直径や端面の外周長さ、軸方向に沿った長さ等)は、ステント1の筒体15の大きさ(外径、長さ)に応じて選択すればよい。
《溝》
型材の表面には、所定の断面形状及び所定の大きさの溝が形成される。溝の断面形状及び大きさ(溝深さ、溝幅、溝長さ等)は、ステント1を構成する線状体10の横断面形状及び大きさ(最大厚さtmax、最大幅wmax等)に応じて設定すればよい。例えば、筒体15の交差箇所を構成する線状体10の横断面形状が上述の特定の横断面形状となるように溝の断面形状を調整する。溝の断面形状や大きさを型材の各所で異ならせてもよい。この場合、異なる横断面形状や異なる大きさを有する線状体10を含むステント1を製造できる。
〈めっき工程〉
第一の製法では、型材の表面全体にめっきを施す。つまり、型材の表面において、溝の内周面だけでなく、溝以外の箇所にもめっきを施す。めっき直後には、純鉄めっき部は、溝内に充填された箇所と、溝から突出する箇所とを含み、全体として筒状である。後述する一部除去工程で、純鉄めっき部のうち、溝内に充填された箇所を残し、この箇所以外の箇所を除去する。一部除去工程を備えることで、溝のみにめっきを施す場合に比較して、マスキングが不要であり、作業性に優れる。このような第一の製法は、製造性に優れ、ステント1を量産できる。
《めっき条件》
めっき法は、電気めっき法を好適に利用できる。電気めっき法は、通電条件等を制御することで、所定の厚さのめっきを容易に、かつ精度よく形成し易い。この点から、電気めっき法は利用し易い。なお、無電解めっき法を利用してもよい。
電気めっき法を利用する場合には、前処理として、型材の表面には、導通層を設けておく。
導通層の構成材料は、各種の金属、炭素系材料等が挙げられる。具体的な金属は、ニッケル、銅、錫、鉄、タングステン、チタン、ステンレス鋼等が挙げられる。炭素系材料はグラファイト等が挙げられる。
導通層の形成には、例えば以下の手法を利用できる。金属の導通層を形成する場合、無電解めっき法、気相処理法等を利用できる。気相処理法は、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法等が挙げられる。金属粉末又は炭素系材料の粉末を用いて導通層を形成する場合、塗布処理等を利用できる。塗布処理では、微細な粉末とバインダとの混合物を型材の表面に塗着することが挙げられる。導通層は、めっき後に選択的に除去して、純鉄めっき部のみとする。
純鉄めっきに用いるめっき液は、純鉄を生成可能な溶液を利用できる。例えば、電気めっきに用いる溶液として、FeSO(硫酸鉄)とFeCl(塩化鉄)とカルボン酸(例、クエン酸)とを含む酸溶液が挙げられる。具体的な溶液として、FeSO・7HOを250g/L、FeCl・4HOを45g/L、NHCl(塩化アンモニウム)を20g/L、クエン酸を1.5g/Lを含む溶液が挙げられる。
例えば、電気めっきの条件は、pH(水素イオン指数)が4.0以上4.5以下、めっき液の温度が50℃、電流密度が5A/dm以上10A/dm以下が挙げられる。
〈一部除去工程〉
めっき直後には、型材の外形に沿った筒状の純鉄めっき部が形成される。上記筒状の純鉄めっき部のうち、溝内に充填される箇所は、ステント1の形成箇所であり、所定の網状に形成される。但し、この筒状の純鉄めっき部において上記溝内に充填される箇所は、溝から突出する箇所によって連結されている。そのため、上記筒状の純鉄めっき部では、所定の網状が現れていない。そこで、めっき後に、純鉄めっき部における型材の溝から突出する箇所を除去して、溝内に充填される箇所を抽出する。なお、純鉄めっき部において溝から突出する箇所とは、溝の開口部から突出するもの、及び型材の表面であって溝以外の箇所に形成されたものを含む。
この除去作業には、切削や研磨等を利用できる。型材の表面であって、溝以外の箇所が露出されるまで、除去作業を行う。この除去作業によって抽出される「純鉄めっき部における溝内に充填される箇所」は、溝の形状に応じた網状の筒体をなす一体物である。この工程では、この網状の筒体は、型材に保持された状態である。
〈分離工程〉
上述の型材の溝に残存する純鉄めっき部と、型材とを分離する。純鉄めっき部と型材との分離によって、上述の網状の筒体を構成する純鉄めっき部が得られる。型材の構成材料が樹脂であれば、分離前の純鉄めっき部と型材との複合物を所定の温度に加熱したり、型材を溶解したりすれば、純鉄めっき部と型材との分離を容易に行える。樹脂製の型材の分離方法を以下に例示する。
《分離方法》
(a)型材を変形可能な温度に加熱して、型材を延伸して引き抜く。
(b)型材を揮発又は分解可能な温度に加熱して、型材を揮発又は分解する。
(c)型材を溶剤で溶解する。
分離方法(a),(b)では、型材の構成樹脂に応じて加熱温度を選択すればよい。分離方法(a)の加熱温度は、例えば100℃以上200℃以下が挙げられる。分離方法(b)の加熱温度は、例えば400℃以上、更に500℃以上、600℃以上が挙げられる。加熱温度の上限は、純鉄の融点(1535℃)未満とする。加熱時間は、型材を変形、又は揮発、又は分解可能な範囲で適宜選択すればよい。分離方法(a),(b)では、溶剤が不要である。
分離方法(c)では、純鉄が溶解せず、型材の構成樹脂を溶解可能な溶剤を利用できる。溶剤は、構成樹脂に応じて選択すればよい。代表的には、有機溶剤を利用できる。分離方法(c)では、加熱エネルギーが不要である。
〈熱処理工程〉
本発明者らが検討した結果、めっき法によって形成された純鉄材は、熱処理を施すことで、強度及び靭性を向上できるとの知見を得た。従って、第一の製法では、めっき後に熱処理を行ってもよい。熱処理を行うことで、血栓が付着し難い上に、強度及び靭性にも優れる純鉄製のステント1を製造できる。代表的には、バルーン拡張型ステントとして良好に利用できるステント1を製造できる。
《加熱温度》
熱処理を行う場合、加熱温度は、例えば150℃以上1000℃以下が挙げられる。加熱温度が150℃以上であれば、強度及び靭性の向上効果を得られる。加熱温度が高いほど、特に靭性の向上効果を得易い。靭性の向上等を望む場合には、加熱温度を300℃以上、更に400℃以上、450℃以上としてもよい。
樹脂製の型材である場合、上記熱処理時の加熱温度を450℃以上、更に500℃以上と高くすれば、所定の加熱温度に昇温する過程で、型材を変形できる。型材の構成樹脂によっては、型材を揮発又は溶解できる場合がある。そのため、上述の分離工程は、熱処理工程の昇温過程で行ってもよい。熱処理工程の昇温過程に上記分離工程を含むと、加熱エネルギーを低減できる。この点で、低コスト化を図れる。
《雰囲気》
熱処理工程の雰囲気は、大気雰囲気が挙げられる。大気雰囲気とすれば、雰囲気制御が不要であり、作業性に優れる。熱処理対象である純鉄めっき部は、Feの純度が高く、酸化し難い。そのため、大気雰囲気でも、純鉄めっき部が酸化し難い。又は、熱処理工程の雰囲気は、非酸化性雰囲気としてもよい。非酸化性雰囲気とすれば、純鉄めっき部の酸化を防止できる。非酸化性雰囲気は、例えば、真空雰囲気、不活性雰囲気、還元雰囲気等が挙げられる。真空雰囲気は、大気圧以下の低圧雰囲気が挙げられる。不活性雰囲気は、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気等が挙げられる。還元雰囲気は、水素雰囲気、水素ガスと不活性ガスとの混合雰囲気、一酸化炭素雰囲気等が挙げられる。
(第二の製法)
上述の特定の横断面形状を有する線状体10を含むステント1を製造する第二の製法として、焼結法を利用する製法であって、以下の各工程を備えるものが挙げられる。
〈型材の準備工程〉所定の形状の溝が形成された型材を用意する工程。
〈成形工程〉純鉄粉を含む原料を上記型材の溝に充填する工程。
〈焼結工程〉上記型材の溝に充填された上記原料を焼結する工程。
〈概要〉
第二の製法は、純鉄の焼結体から構成されるステント1を製造する。特に、焼結前の粉末成形体は、型材に形成される溝を埋めるように、純鉄粉を含む原料を充填することで形成する。このような粉末成形体の形成には、金属粉末射出成型法(MIM法)を好適に利用できる。MIM法を利用すれば、型材の溝の断面形状に沿った横断面形状を有する粉末成形体を容易にかつ形状精度よく製造できる。この粉末成形体を焼結すれば、型材の溝の断面形状に沿った横断面形状を有する純鉄製の線状体10を容易にかつ形状精度よく製造できる。上記溝の断面形状が上述の特定の横断面形状を含めば、実施形態のステント1を容易に、かつ形状精度よく製造できる。
更に、第二の製法で製造する焼結体は、微細な気孔を有する多孔体である。この気孔は、例えば、薬剤の保持部として利用できる。従って、第二の製法は、薬剤溶出型ステント(DES)とする場合に薬剤の保持性に優れるステント1を製造できる。
〈型材の準備工程〉
第二の製法では、型材として、表面に所定の形状の溝が形成された棒状の第一型材と、第一型材の外周面を覆うように配置される筒状の第二型材とを備えるものを利用するとよい。第二型材は、第一型材の外周面に対応した形状及び大きさを有する内周面を有する。第二型材の内周面で第一型材の外周面を覆った状態では、第一型材の溝の内周面と、第二型材の内周面との間に溝の大きさに応じた所定の隙間が設けられる。この隙間を、原料を充填するキャビティとする。この隙間は、溝の形状に応じて網状に設けられており、第一型材の一端側から他端側に向かって連続する空間である。
所定の溝を有する第一型材の構成材料は、例えば第一の製法と同様に、樹脂としてもよい。第一型材の構成材料が樹脂であれば、第一の製法で説明したように、射出成形等によって所定の溝を有する第一型材を容易に、かつ高精度に製造できる。また、上記型材を量産できる。更に、第二の製法では、焼結工程を備える。焼結工程では、比較的高温(例、800℃以上)の加熱を行う。第一型材の構成材料が樹脂であれば、焼結工程において、焼結温度に昇温する過程で、第一型材を揮発又は溶解させられる。その結果、粉末成形体と第一型材とを容易に分離できる。樹脂製の型材の詳細は、第一の製法を参照するとよい。
又は、第一型材の構成材料は、焼結温度以上の耐熱温度を有する金属としてもよい。第一型材の構成材料を金属とする場合、第一型材は、複数の分割片を組み合わせて一つの棒状となる組物であることが好ましい。組物を分離することで、粉末成形体と第一型材とを分離し易いからである。組物の詳細は、第一の製法を参照するとよい。
第二型材は、複数の分割片を組み合わせて一つの筒体となる組物が挙げられる。第二型材が上記組物であれば、第一型材に対して容易に着脱できて好ましい。第二型材を組物とする場合には、分割片は、第二型材の環状の端面に、この端面の内周縁から外周縁に至る割面、即ち型材の軸方向に沿った割面を有するものが挙げられる。組物の具体例として、組み合わせて円筒状となる組物であって、第二型材の径方向に分割された半円筒片等の分割片を含むものが挙げられる。第二型材の構成材料は、上述の樹脂でも、金属でもよい。
〈成形工程〉
焼結体の素材となる粉末成形体の原料には、代表的には純鉄粉と、バインダとを含む混合物が利用できる。この混合物は、所定の圧力でキャビティに充填可能な程度の流動性を有するように調整する。
純鉄粉は、公知の製法によって製造できる。市販の純鉄粉を用いてもよい。また、純鉄粉は、例えば平均粒径(ここではメジアン径)が10μm以下といった微細な粉末を好適に利用できる。微細な粉末は、原料の流動性に優れる上に、緻密な焼結体を形成し易い。
バインダは、MIM法に利用されている公知のものを利用できる。代表的にはバインダは、樹脂と、ワックス類とを含む有機材料が挙げられる。樹脂の一例として、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。その他、バインダは、結合剤、潤滑剤、可塑剤、界面活性剤等を含んでもよい。
原料の充填後、第二型材を取り外し、充填物と第一型材との複合物のみの状態とする。充填物は、上述の網状のキャビティに沿って網状に形成されている。焼結前に、充填物からバインダを除去する処理を行ってもよい。バインダの除去処理は、例えばバインダを溶融可能な溶剤を用いて行うことが挙げられる。又は、焼結工程の昇温過程で上記バインダの除去処理を行ってもよい。昇温過程の加熱によって、バインダを揮発したり、分解したりすることでバインダを除去できる。
〈焼結工程〉
上述の充填物と第一型材との複合物を焼結温度に加熱して、上記充填物を焼結する。上記複合物を焼結炉内に吊るす等して、焼結することが挙げられる。焼結条件は、以下の通りである。
《焼結条件》
焼結温度は、純鉄粉を焼結可能な温度を選択すればよい。代表的には焼結温度は800℃以上1150℃以下が挙げられる。焼結温度を900℃以上、更に950℃以上としてもよい。特に、焼結温度は1130℃程度が利用し易い。
焼結時の雰囲気は、大気雰囲気でも非酸化性雰囲気でもよい。雰囲気の詳細は、第一の製法を参照するとよい。
《型材の除去》
第一型材が樹脂製の型材であれば、焼結工程の昇温過程で、型材を揮発又は分解することで、上記充填物(粉末成形体)と型材とを分離できる。又は、第一型材が金属製の型材であれば、焼結後、第一型材を分割すれば、焼結体と型材とを分離できる。得られた焼結体は、網状の筒体から構成される。
(第一の製法及び第二の製法に共通事項)
上述のようにして製造された純鉄めっき材や焼結体において、線状体の横断面形状に角張った箇所(例、角部22,23、図2A~図2C)がある場合、角張った箇所を丸める処理を行ってもよい。丸め処理には、電解研磨やバレル研磨等を利用できる。
(主な効果)
実施形態のステントの製造方法は、血栓が付着し難いステント1、更には生体分解性にも優れるステント1を生産性よく製造できる。第二の製法も、血栓が付着し難く、更には生体分解性にも優れるステント1を生産性よく製造できる。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
なお、本開示のステントの製造方法は、純鉄以外の金属にも適用できる。
例えば、めっき可能な金属であって、生体に適用可能な金属に適用できる。このような金属の一例として、鉄合金、金、金合金、プラチナ、プラチナ合金が挙げられる。
1 ステント、10 線状体、11 網状部材
15 筒体、16 環状部、17 リンク部、170 直線部
2 周縁、20 内周面、21 外周面、22,23 角部
25,26 内周縁部、250,260 湾曲部、27 平坦部
30,34 内周端、31,32 側端、35,36,37,38 線分
5 血管、50 内壁面
61 接線、62 垂線、63 軸

Claims (8)

  1. 血管内に配置され、網状部材で構成される筒体を有するステントであって、
    前記網状部材は、金属からなる線状体で構成され、
    前記網状部材のうち、前記筒体の軸方向に交差する箇所を構成する前記線状体の横断面における周縁は、
    前記線状体の最大幅をとる線分と交差し、前記血管内において血流の上流側に配置される第一の側端及び前記血流の下流側に配置される第二の側端と、
    前記線状体の最大厚さをとる線分と交差する内周端とを含み、
    前記第一の側端と前記内周端とを結ぶ線分と前記最大幅をとる線分とがつくる角度を第一の角度とし、前記第二の側端と前記内周端とを結ぶ線分と前記最大幅をとる線分とがつくる角度を第二の角度とし、前記第一の角度は、前記第二の角度よりも大きい鋭角である、
    ステント。
  2. 前記周縁は、
    前記第一の側端から前記内周端までの領域、及び前記内周端から前記第二の側端までの領域の少なくとも一方に湾曲部を含む請求項1に記載のステント。
  3. 前記周縁は、
    前記第一の側端から前記内周端までの領域に、前記最大厚さの1倍以上3倍以下である曲げ半径を有する第一の湾曲部を含み、
    前記内周端から前記第二の側端までの領域に、前記第一の湾曲部の曲げ半径よりも大きな曲げ半径を有する第二の湾曲部を含む請求項2に記載のステント。
  4. 前記周縁は、
    前記第一の側端から前記内周端を経て前記第二の側端に連続する湾曲部を含む請求項3に記載のステント。
  5. 前記筒体は、
    複数の環状部と、
    前記筒体の軸方向に隣り合う前記環状部を繋ぐリンク部とを備え、
    前記各環状部は、前記筒体の周方向に連続する前記線状体から構成され、
    前記リンク部は、前記筒体の軸方向に沿って設けられる直線部を含み、
    前記環状部の横断面形状と前記直線部の横断面形状とが異なる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のステント。
  6. 前記直線部の最大厚さは、前記環状部の最大厚さよりも薄い請求項5に記載のステント。
  7. 前記金属は、純鉄である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のステント。
  8. 所定の形状の溝が形成された型材を用意する工程と、
    前記型材において前記溝を含めた表面に純鉄めっきを施す工程と、
    前記型材に形成された純鉄めっき部において、前記溝から突出する箇所を除去する工程と、
    前記溝に残存する純鉄めっき部と前記型材とを分離する工程とを備える、
    ステントの製造方法。
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