JP2022022682A - モータ制御装置、電動アクチュエータ製品及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ制御装置、電動アクチュエータ製品及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】モータ制御の制御周期を高めることなく、モータの高回転状態で発生する回生電流による部品への影響を抑制する。【解決手段】モータ制御装置は、多相インバータにより駆動される多相モータの回転角速度を演算する角速度演算部50と、回転角速度が閾値以上であるか否かを判定する判定部51と、PWM周期に対する上アームスイッチング素子又は下アームスイッチング素子のオン時間の比であるデューティ比を制御するデューティ制御部52と、を備える。デューティ制御部52は、回転角速度が閾値以上である場合に、多相インバータの全相のデューティ比を同一の所定値に固定する。【選択図】図7

Description

本発明は、モータ制御装置、電動アクチュエータ製品及び電動パワーステアリング装置に関する。
モータの駆動方式として、モータコイルへの印加電圧をパルス幅変調するPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御が広く用いられている。
下記特許文献1には、電動モータをPWM制御することにより操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置が記載されている。また、電動モータの発電状態に応じてステアリング機構に逆入力が働いている逆入力状態であるか否かを判定し、逆入力状態を検出したときにステアリング機構の回転を抑制することが記載されている。
特許第5168362号明細書
モータの回転速度が高くなると、誘起電圧が大きくなるとともに過大な回生電流が発生し、モータ電流が流れる経路上の電気部品や電子部品が影響を受けるおそれがある。例えば、特許文献1に記載されるような電動パワーステアリング装置に設けたモータの場合、運転中の縁石への乗り上げ等の原因により操向車輪に大きな外力が加わり、それによってモータが高速で回わされる状況が想定される。
このような高回転状態における誘起電圧を抑制するようにモータを制御しようとすると、制御周期を高める必要があり演算負荷とコストの増大を招く。
本発明は、上記の事情を鑑みて考案されたものであり、モータ制御の制御周期を高めることなく、モータの高回転状態で発生する回生電流による部品破損を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によるモータ制御装置は、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とを複数相備えた多相インバータと、多相インバータにより駆動される多相モータの回転角速度を演算する角速度演算部と、回転角速度が閾値以上であるか否かを判定する判定部と、上アームスイッチング素子のオン時間の周期又は下アームスイッチング素子のオン時間の周期であるPWM周期に対する上アームスイッチング素子又は下アームスイッチング素子のオン時間の比であるデューティ比を制御するデューティ制御部と、を備える。回転角速度が閾値以上であると判定部が判定した場合に、デューティ制御部は、多相インバータの全相のデューティ比を同一の所定値に固定する。
本発明の他の一形態によれば、上記のモータ制御装置と、モータ制御装置によって制御される多相モータと、を備えることを特徴とする電動アクチュエータ製品が与えられる。
本発明の更なる他の一形態によれば、上記のモータ制御装置と、モータ制御装置によって制御される多相モータと、を備え、多相モータによって車両の操舵系に操舵補助力を付与することを特徴とする電動パワーステアリング装置が与えられる。
本発明によれば、モータ制御の制御周期を高めることなく、モータの高回転状態で発生する回生電流による部品劣化を抑制できる。
本実施形態の電動パワーステアリング装置の一例の概要を示す構成図である。 コントローラの機能構成の一例を説明するためのブロック図である。 電流制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。 U相電圧指令値が印加されているU相モータ巻線(コイル)の等価回路図である。 (a)及び(b)は、低回転状態におけるU相電圧指令値の理想値と離散値の波形の一例を示す模式図であり、(c)は理想値と離散値との誤差の波形を示す図である。 (a)及び(b)は、高回転状態におけるU相電圧指令値の理想値と離散値の波形の一例を示す模式図であり、(c)は理想値と離散値との誤差の波形を示す図である。 PWM制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。 (a)はデューティ指令ゲインの一例を示す図であり、(b)は高回転状態におけるデューティ指令値の変化を示す模式図である。 ゲート信号の第1例を示す図である。 ゲート信号の第2例を示す図である。 (a)及び(b)は、第1例のゲート信号が印加された場合に回生電流が流れる経路を示す模式図である。 本実施形態のモータ制御方法の一例のフローチャートである。
本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構成、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(構成)
図1は、電動パワーステアリング装置の一例の概要を示す構成図である。操向ハンドル1の操舵軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速機構を構成する減速ギア(ウォームギア)3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a、6bを経て、更にハブユニット7a、7bを介して操向車輪8L、8Rに連結されている。
ピニオンラック機構5は、ユニバーサルジョイント4bから操舵力が伝達されるピニオンシャフトに連結されたピニオン5aと、このピニオン5aに噛合するラック5bとを有し、ピニオン5aに伝達された回転運動をラック5bで車幅方向の直進運動に変換する。
操舵軸2には操舵トルクThを検出するトルクセンサ10が設けられている。
また、操向ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介して操舵軸2に連結されている。モータ20として、2相以上のモータコイルを有する多相モータが用いられる。本実施形態では、モータ20が、U相コイル、V相コイル及びW相コイルを有する3相ブラシレスモータである場合を例示するが、本発明の多相モータはこれに限定されない。本発明は、2相以上のモータコイルを有する多相モータの制御であれば広く適用できる。
回転角センサ21は、モータ20の回転角を検出する。回転角センサ21は、検出したモータ20の回転角をコントローラ30に入力する。
コントローラ30は、電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)装置を制御する電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)である。コントローラ30は、特許請求の範囲に記載の「モータ制御装置」の一例である。
コントローラ30には、バッテリ13から電力が供給されるとともに、イグニション(IGN)キー11を経てイグニションキー信号が入力される。
コントローラ30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThに基づいて、操舵補助制御のためのモータ電流の電流指令値である目標アシスト電流を設定する。コントローラ30は、目標アシスト電流を発生させる電圧指令値をモータ20の誘起電圧に応じて演算し、電圧指令値によってモータ20に供給する電流を制御する。
コントローラ30は、例えば、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とにより構成されるコンピュータを含んでいてよい。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。
記憶装置は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
以下に説明するコントローラ30の機能は、例えばコントローラ30のプロセッサが、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ30を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアを含んでいてもよい。
例えば、コントローラ30は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を含んでいてもよい。例えばコントローラ30はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を含んでいてもよい。
図2は、コントローラ30の機能構成の一例を説明するためのブロック図である。コントローラ30は、トルク制御部31と、電流制御部32と、PWM制御部33と、インバータ34と、モータ電流センサ35を備える。電流制御部32は、特許請求の範囲に記載の「電圧指令値演算部」の一例である。
トルク制御部31は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThに基づいて、操舵補助制御のためのモータ電流の電流指令値である目標アシスト電流I_refを設定する。例えば、トルク制御部31は、操舵トルクThに対する目標アシスト電流I_refを定めたアシストマップに基づいて目標アシスト電流I_refを設定してよい。
モータ電流センサ35は、モータ20のU相コイル、V相コイル及びW相コイルをそれぞれ流れるU相電流Iu_act、V相電流Iv_act及びW相電流Iw_actを検出して、電流制御部32に入力する。
電流制御部32は、トルク制御部31が設定した目標アシスト電流I_refを発生させるU相電圧指令値Vu_ref、V相電圧指令値Vv_ref及びW相電圧指令値Vw_refを演算する。
U相電圧指令値Vu_ref、V相電圧指令値Vv_ref及びW相電圧指令値Vw_refは、0[V]を中心とする-Vbat/2~+Vbat/2の範囲の指令値であってよい。
例えばバッテリ電圧Vbatが12[V]である場合には、U相電圧指令値Vu_ref、V相電圧指令値Vv_ref及びW相電圧指令値Vw_refは、0[V]を中心とする-6~+6[V]の範囲の指令値であってよい。
図3は、電流制御部32の機能構成の一例を示すブロック図である。電流制御部32は、角速度演算部40と、d軸電流指令値演算部41と、2相/3相変換部42と、減算器43、44及び45と、PID補償器46、47及び48を備える。
角速度演算部40は、回転角センサ21が検出したモータ20の回転角θmを時間微分して、モータ20の回転角速度(回転速度)ωmを演算する。
d軸電流指令値演算部41は、電流制御部32が設定した目標アシスト電流I_refと回転角速度ωmとに基づいてd軸目標電流Idを算出する。
2相/3相変換部42は、目標アシスト電流I_refをq軸目標電流Iqとして入力し、d軸電流指令値演算部41が演算したd軸目標電流Idを入力する。
2相/3相変換部42は、モータ20の回転角θmに基づいて、q軸目標電流Iq及びd軸目標電流Idを、U相電流指令値Iu_ref、V相電流指令値Iv_ref及びW相電流指令値Iw_refへと変換する。
減算器43は、U相電流Iu_actに対するU相電流指令値Iu_refの電流偏差ΔIu=Iu_ref-Iu_actを演算する。
減算器44は、V相電流Iv_actに対するV相電流指令値Iv_refの電流偏差ΔIv=Iv_ref-Iv_actを演算する。
減算器45は、W相電流Iw_actに対するW相電流指令値Iw_refの電流偏差ΔIw=Iw_ref-Iw_actを演算する。
PID補償器46、47及び48は、電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwをそれぞれ0とするようなU相電圧指令値Vu_ref、V相電圧指令値Vv_ref及びW相電圧指令値Vw_refをPID(Proportional-Integral-Differential)制御に基づいて演算する。
なお、本発明は、PID制御に限られず、P(Proportional)制御、I(Integral)制御、D(Differential)制御の少なくとも1つを含むフィードバック制御に基づいて電圧指令値Vu_ref、Vv_ref及びVw_refを演算してもよい。
図2を再び参照する。PWM制御部33は、電圧指令値Vu_ref、Vv_ref及びVw_refに基づいて、PWM制御によりインバータ34を駆動する。
インバータ34は、U相上アームスイッチング素子Q1と、U相下アームスイッチング素子Q2と、V相上アームスイッチング素子Q3と、V相下アームスイッチング素子Q4と、W相上アームスイッチング素子Q5と、W相下アームスイッチング素子Q6と、を備える。以下の説明において、これらの素子Q1~Q6を総称して「スイッチング素子」と表記することがある。
また、U相上アームスイッチング素子Q1とU相下アームスイッチング素子Q2とを総称して「U相スイッチング素子」と表記し、V相上アームスイッチング素子Q3とV相下アームスイッチング素子Q4とを総称して「V相スイッチング素子」と表記し、W相上アームスイッチング素子Q5とW相下アームスイッチング素子Q6とを総称して「W相スイッチング素子」と表記することがある。
また、U相上アームスイッチング素子Q1とV相上アームスイッチング素子Q3とW相上アームスイッチング素子Q5とを総称して「上アームスイッチング素子」と表記することがある。U相下アームスイッチング素子Q2とV相下アームスイッチング素子Q4とW相下アームスイッチング素子Q6とを総称して「下アームスイッチング素子」と表記することがある。
本実施形態では、スイッチング素子Q1~Q6が電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である場合を例示するが、スイッチング素子Q1~Q6は、他の種類のスイッチング素子(例えばパワー半導体スイッチング素子)であってもよい。
PWM制御部33は、電流制御部32が演算した電圧指令値Vu_ref、Vv_ref及びVw_refに基づいて、スイッチング素子Q1~Q6をオンオフする。本例ではPWM制御部33は、スイッチング素子Q1~Q6をそれぞれオンオフするゲート信号UH、UL、VH、VL、WH及びWLを生成して、FETであるスイッチング素子Q1~Q6のゲート端子にそれぞれ印加する。PWM制御部33の詳細については後述する。
次に、本実施形態におけるモータ制御の特徴について説明する。
上記のとおりモータ20の回転速度が高くなると、誘起電圧が大きくなるとともに過大な回生電流が発生し、モータ電流が流れる経路上の電気部品や電子部品が破損してしまうおそれがある。
このような電気部品や電子部品には、例えば、スイッチング素子Q1~Q6のほか、モータ電流センサ35や、バッテリ13とインバータ34との間に設けられる図示しない電流遮断用のスイッチング素子や逆接続防止素子がある。
例えば、本実施形態のように電動パワーステアリング装置に使用されるモータの場合においては、操向ハンドル1の一般的な回転速度の最大値は、緊急回避等を考慮しても約30[rad/秒]程度である。減速ギア3の減速比が20であると仮定すると、モータ20の回転速度は約6000[rpm]程度になる。
また、モータ20を8極12スロットのモータとすると、モータ機械角1回転あたりのモータ電気角は4回転となる。このため、操向ハンドル1の回転速度が30[rad/秒]であるとき、モータ電気角の回転周波数は、6000/60×4=400[Hz]となり、回転周期は回転周波数の逆数であるため2.5[ミリ秒、以下、msと表記]=2500[マイクロ秒、以下、μsと表記]となる。したがって、モータ20を正弦波通電駆動する場合には、2.5[ms]=2500[μs]の周期で変動するデューティ指令値を生成する。
ここで、例えばトルクセンサ10、モータ電流センサ35、回転角センサ21の検出周期が250[μs]であり、デューティ指令値の出力周期が250[μs]であると仮定する。
この構成では、デューティ指令値の1周期(2.5[ms]=2500[μs])あたり、10回の電流検出とデューティ指令値の更新が可能であり、電流制御をモータ回転に追従させることができる。
一方で、車両走行中の事故や縁石乗り上げなど、非常に強い衝撃が操向車輪に入力された場合、上記30[rad/秒]よりも早い回転速度を考慮する必要がある(ここでは、最大約150[rad/秒]と仮定する)。この場合に、モータ20の回転速度は、約30000[rpm]となり、モータ電気角の回転周期は約500[μs]となる。
したがって、モータ電気角1周期あたりの電流検出及びデューティ指令値更新の回数が2回程度となり、正確に電流制御をモータ回転に追従させることが困難になる。
このような状態では、モータ20の回転に伴って設定したデューティ指令値が、モータ20の誘起電圧に追従できなくなり、過大な誘起電圧が発生するおそれがある。その理由を、U相を例示して以下に説明する。
図4は、U相電圧指令値Vu_refが印加されているU相モータ巻線(コイル)の等価回路図である。
いま、U相モータコイルのインダクタンス及び巻線抵抗がそれぞれL及びRであり、U相モータコイルが誘起電圧Vemfを生じている場合を想定する。U相モータコイルにU相電流指令値Iu_refの目標電流が流れるためには、誘起電圧Vemfに見合った次式(1)のU相電圧指令値Vu_refを出力する必要がある。
Figure 2022022682000002
U相電圧指令値Vu_refの理想値の波形を、図5(a)及び図6(a)に模式的に示す。図5(a)及び図6(a)は、それぞれ低回転状態と高回転状態における波形を示す。
しかしながら、コントローラ30における信号処理は離散時間で行われる。このため、電流制御部32から実際に出力されるU相電圧指令値Vu_refは、図5(b)及び図6(b)に示すような離散値になる。この結果、U相電圧指令値Vu_refの理想値と離散値の間には、図5(c)及び図6(c)に示すような誤差が発生する。
図5(a)~図5(c)から分かるように、低回転状態では誤差が小さくなる。このため、誘起電圧Vemfに見合ったU相電圧指令値Vu_refを出力できる。
一方で高回転状態では、図6(a)~図6(c)から分かるように誤差が大きくなり、誘起電圧Vemfに見合ったU相電圧指令値Vu_refを出力することができない。
この結果、誘起電圧Vemfに追従できないU相電圧指令値Vu_refが誘起電圧Vemfに重畳され、タイミングによっては過大な回生電流が発生する可能性がある。
このような高回転状態において誘起電圧Vemfに対応するには、例えばモータ制御の制御周期を高めて、制御対象とする回転速度の上限を高めるといった処置が考えられる。しかしながら、そのためには処理能力がより高いコントローラを要し、コスト増大などの問題を招く。
そこで、本実施形態のコントローラ30は、モータ制御の制御周期を高めることなく、高回転状態においてデューティ比を固定することにより回生電流を抑制する。
本実施形態のコントローラ30は、モータ20の回転角速度ωmが所定の閾値以上であるか否かを判定し、回転角速度ωmが閾値以上である場合に、インバータ34の全ての相(すなわちU相、V相及びW相)のデューティ比を同一の所定値に固定する。言い換えれば、モータ20の電気角が複数回回転する期間に亘って、インバータ34のU相、V相及びW相のデューティ比を全て同一値に固定する。なお、モータ20の回転角速度ωmの閾値ωm_thは、通常操舵で考慮すべき最大の回転数よりも高く、かつ、まだ制御が可能な回転数より低い値に設定することが望ましい。例えば、閾値ωm_thは、6000~10000rpmの間の値であってよい。
ここで「デューティ比」は、PWM周期を分母とし、上アームスイッチング素子がオン状態且つ下アームスイッチング素子がオフ状態である期間を分子とする比率である。または「デューティ比」は、PWM周期を分母とし、上アームスイッチング素子がオフ状態且つ下アームスイッチング素子がオン状態である期間を分子とする比率であってもよい。
以下の説明において、上アームスイッチング素子がオン状態且つ下アームスイッチング素子がオフ状態である期間を「上アームスイッチング素子のオン時間」と表記することがある。また、上アームスイッチング素子がオフ状態且つ下アームスイッチング素子がオン状態である期間を「下アームスイッチング素子のオン時間」と表記することがある。
また「PWM周期」は、上アームスイッチング素子のオン時間の周期である。または下アームスイッチング素子のオン時間の周期である。
本実施形態では「PWM周期」が、上アームスイッチング素子の連続する1回のオン時間と、下アームスイッチング素子の連続する1回のオン時間と、の合計と等しい。
または、上アームスイッチング素子のオン時間と下アームスイッチング素子のオン時間との間にデッドタイムが挿入される場合には、上アームスイッチング素子の連続する1回のオン時間と下アームスイッチング素子の連続する1回のオン時間との合計に、2回分のデッドタイムを加えた和と等しくてもよい。デッドタイムは、同じ相の上アームスイッチング素子と下スイッチング素子の両方をオフ状態にする期間である。
このように、回転角速度ωmが閾値以上である場合に、インバータ34の全ての相(すなわちU相、V相及びW相)のデューティ比を同一の所定値に固定することにより、インバータ34からモータ20の入力端子に印加される等価的な平均印加電圧が、一定の値に固定される。
この状態では、モータ電流は誘起電圧Vemfのみによって変動する。このため、上記の様に高回転状態で誘起電圧Vemfに追従できないまま制御されたインバータ34の出力電圧が誘起電圧Vemfに重畳して過大な回生電流が発生することを抑制できる。この結果、モータ電流が流れる経路上の電気部品や電子部品が破損するのを抑制できる。
ここで、誘起電圧Vemfはモータ20の回転速度の上昇に伴って上昇する。しかしながら、モータ20の回転速度の上昇に伴ってモータコイルのリアクタンスも上昇するため回生電流の増加が飽和する。したがって、飽和した回生電流に耐えられる部品とモータコイルを選定することにより、これら部品への好ましくないダメージを回避できる。
上記のデューティ指令値の制御は、PWM制御部33によって実行される。以下、本実施形態のPWM制御部33について説明する。図7は、PWM制御部33の機能構成の一例を示すブロック図である。
PWM制御部33は、角速度演算部50と、ゲイン設定部51と、デューティ制御部52と、ゲート信号生成部53を備える。ゲイン設定部51は、特許請求の範囲に記載の「判定部」の一例であり、ゲイン設定部51、デューティ制御部52及びゲート信号生成部53は、特許請求の範囲に記載の「デューティ制御部」の一例である。
角速度演算部50は、回転角センサ21が検出したモータ20の回転角θmを時間微分して、モータ20の回転角速度(回転速度)ωmを演算する。なお、図3を参照して説明した電流制御部32の角速度演算部40と、図7を参照して説明したPWM制御部33の角速度演算部50とを別個に設けてもよく、単一の角速度演算部を設けて兼用してもよい。
ゲイン設定部51は、回転角速度ωmに応じて、デューティ比を制御するデューティ指令ゲインGを設定する。
具体的には、ゲイン設定部51は、回転角速度ωmが閾値以上であるか否かを判定する。回転角速度ωmが閾値以上でない場合には、ゲイン設定部51は、デューティ指令ゲインGの値を「1」に設定する。回転角速度ωmが閾値以上である場合に、ゲイン設定部51は、デューティ指令ゲインGの値を「0」に設定する。
デューティ制御部52は、U相電圧指令値Vu_refとデューティ指令ゲインGに応じて、U相デューティ指令値d_uを演算する。また、V相電圧指令値Vv_refとデューティ指令ゲインGに応じて、V相デューティ指令値d_vを演算する。W相電圧指令値Vw_refとデューティ指令ゲインGに応じて、W相デューティ指令値d_wを演算する。
例えばデューティ制御部52は、次式(2)~(4)に従って、U相デューティ指令値d_u[%]、V相デューティ指令値d_v[%]及びW相デューティ指令値d_w[%]をそれぞれ演算する。
d_u=(G×Vu_ref+Vbat/2)/Vbat×100 …(2)
d_v=(G×Vv_ref+Vbat/2)/Vbat×100 …(3)
d_w=(G×Vw_ref+Vbat/2)/Vbat×100 …(4)
上式(2)~(4)から明らかなように、デューティ指令ゲインGの値が「1」である場合(回転角速度ωmが閾値以上でない場合)には、U相デューティ指令値d_u(~100%)は、U相電圧指令値Vu_ref(±Vbat/2)に対応する値となる。
すなわち、U相電圧指令値Vu_refがVbat/2である場合には、U相デューティ指令値d_uは100%となり、U相電圧指令値Vu_refが-Vbat/2である場合には、U相デューティ指令値d_uは0%となる。V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wについても同様である。
一方で、デューティ指令ゲインGの値が「0」である場合(回転角速度ωmが閾値以上である場合)には、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wは、全て同一の所定値に固定される。一例として、前述の同一の所定値を50[%]にすることができる。
これにより、回転角速度ωmが閾値以上である場合に、インバータ34の全ての相(すなわちU相、V相及びW相)のデューティ比を同一の所定値に固定することができる。
ゲート信号生成部53は、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wで指定されたデューティ比で、スイッチング素子Q1~Q6を正弦波通電駆動(180度通電駆動)するゲート信号UH、UL、VH、VL、WH及びWLを生成する。
なお、ゲイン設定部51は、モータ20の回転角速度ωmが閾値以上であると判定した場合に、デューティ指令ゲインGの値を「1」から「0」へ直接切り替えてもよく、「1」から「0」へ徐変させてもよい。
例えば、ゲイン設定部51は、モータ20の回転角速度ωmが閾値以上であると判定した場合に、回転角速度ωmの上昇にしたがってデューティ指令ゲインGの値を「1」から「0」へ徐変させてもよい。これにより、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wは、U相電圧指令値Vu_ref、V相電圧指令値Vv_ref及びW相電圧指令値Vw_refに対応する値から所定値50[%]へ徐変する。
図8(a)は、回転角速度ωmの上昇にしたがって徐変するデューティ指令ゲインGの一例を示す図である。モータ20の回転角速度ωmが第1閾値ω1未満の場合にデューティ指令ゲインGの値は1であり、モータ20の回転角速度ωmが第2閾値ω2以上の場合にデューティ指令ゲインGの値は0である。
モータ20の回転角速度ωmが第1閾値ω1以上第2閾値ω2未満の範囲では、回転角速度ωmの上昇にしたがってデューティ指令ゲインGは徐変する。例えば第1閾値ω1は6000[rpm]であってよく、第2閾値ω2は10000[rpm]であってよい。
なお、ゲイン設定部51は、回転角速度ωmの上昇にしたがってデューティ指令ゲインGの値を「1」から「0」へ徐変させるのに代えて、時間経過にしたがってデューティ指令ゲインGの値を「1」から「0」へ徐変させてもよい。例えば、ゲイン設定部51は、所定長の期間に亘ってデューティ指令ゲインGの値を「1」から「0」へ徐変させてもよい。
図8(b)は、デューティ指令ゲインGが「1」から「0」へ徐変する際のU相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wの変化を示す模式図である。実線はU相デューティ指令値d_uを示し、破線はV相デューティ指令値d_vを示し、一点鎖線はW相デューティ指令値d_wを示す。
時刻t1にてデューティ指令ゲインGが「1」から減少を開始している。時刻t2にてデューティ指令ゲインGが「0」になり、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wが所定値50[%]に固定されている。
例えば、時刻t1は回転角速度ωmが第1閾値ω1まで上昇した時刻であってよく、時刻t2は回転角速度ωmが第2閾値ω2まで上昇した時刻であってよい。
また、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wが所定値に固定された場合に、ゲート信号生成部53は、上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5のオン時間が等しくなり、下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6のオン時間が等しくなるように、ゲート信号UH、UL、VH、VL、WH及びWLを生成してよい。
すなわち、ゲート信号生成部53は、全相の上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5を同時にオンオフし、全相の下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6を同時にオンオフしてよい。
図9は、上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5のオン時間が等しく、下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6のオン時間が等しい場合のゲート信号UH、UL、VH、VL、WH及びWLの一例を示す図である。
これに代えて、ゲート信号生成部53は、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wが所定値に固定された場合に、上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5のオン時間が一致せず、下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6のオン時間が一致しないように、ゲート信号UH、UL、VH、VL、WH及びWLを生成してもよい。
図10は、上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5のオン時間が一致せず、下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6のオン時間が一致しない場合のゲート信号UH、UL、VH、VL、WH及びWLの一例を示す図である。
図9に示すように上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5のオン時間が等しく、下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6のオン時間が等しい場合には、回生電流の経路は、モータ20のモータコイルとインバータ34内のスイッチング素子Q1~Q6のみに流れる経路となる。
図11(a)及び図11(b)は、上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5のオン時間が等しく、下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6のオン時間が等しい場合の回生電流が流れる経路を示す模式図である。
上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5が全てオンである期間には、回生電流は、図11(a)の破線に示すようにモータ20のモータコイルと上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5のみを流れる。
また、下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6が全てオンである期間には、回生電流は、図11(b)の破線に示すようにモータ20のモータコイルと下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6のみを流れる。
このため、インバータ34の外の部品、例えばバッテリ13とインバータ34との間に設けられる電流遮断用のスイッチング素子や逆接続防止素子には回生電流が流れないため、回生電流によるこれらの部品の破損を回避できる。
また、上述の通り、モータ20の回転速度上昇に伴う回生電流の増加はモータコイルのリアクタンスによって飽和する。このため、飽和した回生電流に耐えられるスイッチング素子Q1~Q6とモータコイルを選定することにより、これらの部品に及ぼす好ましくないダメージも回避できる。
(動作)
図12は、本実施形態のモータ制御方法の一例のフローチャートである。
ステップS1においてトルクセンサ10は、操舵軸2に加えられた操舵トルクThを検出する。
ステップS2においてコントローラ30のトルク制御部31は、操舵トルクThに基づいて、操舵補助制御のためのモータ電流の電流指令値である目標アシスト電流I_refを設定する。
ステップS3において回転角センサ21は、モータ20の回転角θmを検出する。
ステップS4において電流制御部32は、目標アシスト電流I_refと、U相電流Iu_act、V相電流Iv_act及びW相電流Iw_actと、回転角θmに基づいて、U相電圧指令値Vu_ref、V相電圧指令値Vv_ref及びW相電圧指令値Vw_refを演算する。
ステップS5においてPWM制御部33の角速度演算部50は、モータ20の回転角速度ωmを演算する。
ステップS6においてゲイン設定部51は、回転角速度ωmが閾値以上であるか否かを判定する。回転角速度ωmが閾値以上でない場合(ステップS6:N)に処理はステップS7へ進む。回転角速度ωmが閾値以上である場合(ステップS6:Y)に処理はステップS8へ進む。
ステップS7においてゲイン設定部51は、デューティ指令ゲインGの値を「1」に設定する。その後に処理はステップS9へ進む。
ステップS8においてゲイン設定部51は、回転角速度ωmに応じてデューティ指令ゲインGを低減する。例えばゲイン設定部51は、デューティ指令ゲインGの値を「0」に設定してよい。また、回転角速度ωmの上昇にしたがってデューティ指令ゲインGの値を「1」から「0」へ徐変させてもよい。その後に処理はステップS9へ進む。
ステップS9においてデューティ制御部52は、U相電圧指令値Vu_ref、V相電圧指令値Vv_ref及びW相電圧指令値Vw_refとデューティ指令ゲインGに基づいて、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wを演算する。
ステップS10においてゲート信号生成部53は、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wで指定されたデューティ比で、インバータ34のスイッチング素子Q1~Q6を正弦波通電駆動(180度通電駆動)する。その後に処理は終了する。
(変形例)
(1)上記の実施形態において、回転角速度ωmが閾値以上であると判定された場合、PWM制御部33は、インバータ34の全ての相(すなわちU相、V相及びW相)のデューティ比を所定値50[%]に固定したが、50[%]以外の値に固定してもよい。すなわち、所定値は0~100[%]の範囲内の任意の値であってよい。
例えば、所定値を100[%]として上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5をオン状態に固定し下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6をオフ状態に固定してもよい。または、所定値を0[%]として下アームスイッチング素子Q2、Q4及びQ6をオン状態に固定し、上アームスイッチング素子Q1、Q3及びQ5をオフ状態に固定してもよい。
(2)上記の実施形態において、デューティ制御部52は、U相電圧指令値Vu_ref、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wにデューティ指令ゲインGを乗算してU相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wを演算したが、本発明はこれに限定されるものではない。
デューティ制御部52は、回転角速度ωmが閾値以上であると判定された場合に、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wを所定値に固定すれば足りる。
例えば、デューティ制御部52は、U相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wを上下限値で制限してもよい。例えば、回転角速度ωmの上昇にしたがって0[%]から所定値まで増加する下限値と100[%]から所定値まで減少する上限値とによりU相デューティ指令値d_u、V相デューティ指令値d_v及びW相デューティ指令値d_wを制限してよい。
(3)上記の実施形態では、回転角速度ωmが閾値未満の場合にインバータ34を正弦波通電駆動したが、本発明はこれに限定されるものではない。回転角速度ωmが閾値未満である間の駆動方式は他の方式であってもよい。
例えば、回転角速度ωmが閾値未満の場合にインバータ34を矩形波通電駆動(120度通電駆動)し、回転角速度ωmが閾値以上の場合に上記の定義のデューティ比を所定値に固定してもよい。
(実施形態の効果)
(1)コントローラ30のインバータ34は、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とを複数相備える。角速度演算部50は、インバータ34により駆動されるモータ20の回転角速度を演算する。ゲイン設定部51は、回転角速度が閾値以上であるか否かを判定する。デューティ制御部52は、上アームスイッチング素子のオン時間の周期又は下アームスイッチング素子のオン時間の周期であるPWM周期に対する上アームスイッチング素子又は下アームスイッチング素子のオン時間の比であるデューティ比を制御する。
PWM周期は、上アームスイッチング素子のオン時間及び下アームスイッチング素子のオン時間の合計又は当該合計にデッドタイムを加えた和に等しい。
回転角速度が閾値以上であると判定された場合に、ゲイン設定部51、デューティ制御部52及びゲート信号生成部53は、多相インバータの全相のデューティ比を同一の所定値に固定する。
これにより、モータ20が高速で回転している間に過大な回生電流が発生するのを抑制し、モータ電流が流れる経路上の電気部品や電子部品が劣化するのを抑制できる。
(2)回転角速度が閾値以上であると判定された場合に、ゲイン設定部51、デューティ制御部52及びゲート信号生成部53は、全相の上アームスイッチング素子を同時にオンオフし、全相の下アームスイッチング素子を同時にオンオフしてもよい。
これにより、回生電流の経路を、モータ20のモータコイルとインバータ34内のスイッチング素子のみに流れる経路に制限できる。このため、インバータ34の外の部品が回生電流の影響を受けることを回避できる。
また、モータ20の回転速度上昇に伴う回生電流の増加はモータコイルのリアクタンスによって飽和するため、飽和した回生電流に耐えられるスイッチング素子とモータコイルを選定することにより、これらの部品に及ぼす好ましくない影響も回避できる。
(3)所定値は0パーセント、50パーセント又は100パーセントの何れかであってよい。
これにより、インバータ34の全相のデューティ比を同一の所定値に固定することが容易になる。
(4)コントローラ30は、モータ20の各相にそれぞれ印加する相電圧の指令値である相電圧指令値を演算する電流制御部32を更に備えてもよい。ゲイン設定部51、デューティ制御部52及びゲート信号生成部53は、相電圧指令値とデューティ指令ゲインGとの積に応じてデューティ比を設定し、回転角速度が閾値以上であると判定された場合にデューティ指令ゲインGを0にしてよい。
これにより、回転角速度が閾値以上であると判定された場合にデューティ比を所定値に固定できる。
(5)コントローラ30は、モータ20の各相にそれぞれ印加する相電圧の指令値である相電圧指令値を演算する電流制御部32を更に備えてもよい。
ゲイン設定部51、デューティ制御部52及びゲート信号生成部53は、回転角速度が閾値以上であると判定された場合に、回転角速度の上昇にしたがってデューティ比を相電圧指令値に対応する値から所定値へと徐変してよい。
これにより、モータ20のモータ電流制御の連続性が確保され、モータ20の回転速度の急変を回避できる。
1…操向ハンドル、2…操舵軸、3…減速ギア、4a、4b…ユニバーサルジョイント、5…ピニオンラック機構、5a…ピニオン、5b…ラック、6a、6b…タイロッド、7a、7b…ハブユニット、8L、8R…操向車輪、10…トルクセンサ、11…キー、13…バッテリ、20…モータ、21…回転角センサ、30…コントローラ、31…トルク制御部、32…電流制御部、33…PWM制御部、34…インバータ、35…モータ電流センサ、40、50…角速度演算部、41…d軸電流指令値演算部、42…2相/3相変換部、43、44、45…減算器、46、47、48…PID補償器、51…ゲイン設定部、52…デューティ制御部、53…ゲート信号生成部

Claims (7)

  1. 上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とを複数相備えた多相インバータと、
    前記多相インバータにより駆動される多相モータの回転角速度を演算する角速度演算部と、
    前記回転角速度が閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
    前記上アームスイッチング素子のオン時間の周期又は前記下アームスイッチング素子のオン時間の周期であるPWM周期に対する前記上アームスイッチング素子又は前記下アームスイッチング素子のオン時間の比であるデューティ比を制御するデューティ制御部と、
    を備え、
    前記PWM周期は、前記上アームスイッチング素子のオン時間及び前記下アームスイッチング素子のオン時間の合計又は当該合計にデッドタイムを加えた和に等しく、
    前記回転角速度が前記閾値以上であると前記判定部が判定した場合に、前記デューティ制御部は、前記多相インバータの全相のデューティ比を同一の所定値に固定することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記回転角速度が前記閾値以上であると前記判定部が判定した場合に、前記デューティ制御部は、全相の前記上アームスイッチング素子を同時にオンオフし、全相の前記下アームスイッチング素子を同時にオンオフする、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記所定値は0パーセント、50パーセント又は100パーセントの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記多相モータの各相にそれぞれ印加する相電圧の指令値である相電圧指令値を演算する電圧指令値演算部を更に備え、
    前記デューティ制御部は、前記相電圧指令値とゲインとの積に応じて前記デューティ比を設定し、前記回転角速度が前記閾値以上であると前記判定部が判定した場合に前記ゲインを0にする、
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記多相モータの各相にそれぞれ印加する相電圧の指令値である相電圧指令値を演算する電圧指令値演算部を更に備え、
    前記デューティ制御部は、前記回転角速度が前記閾値以上であると前記判定部が判定した場合に、前記回転角速度の上昇にしたがって前記デューティ比を前記相電圧指令値に対応する値から前記所定値へと徐変する、
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  6. 請求項1~5の何れか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置によって制御される多相モータと、
    を備えることを特徴とする電動アクチュエータ製品。
  7. 請求項1~5の何れか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置によって制御される多相モータと、
    を備え、前記多相モータによって車両の操舵系に操舵補助力を付与することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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