JP2022020261A - フィラグリンmRNA発現促進剤およびヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤 - Google Patents

フィラグリンmRNA発現促進剤およびヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性の高い天然物の中から、優れたフィラグリンmRNA発現促進作用またはヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進作用を有するものを見出し、それぞれを有効成分とするフィラグリンmRNA発現促進剤およびヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤を提供する。【解決手段】本発明により、カニナバラ抽出物を有効成分とするフィラグリンmRNA発現促進剤およびヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、フィラグリンmRNA発現促進剤およびヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤に関するものである。
フィラグリンは、皮膚の構成成分であり、皮膚におけるバリア機能に関与し、アレルゲン、毒素、感染性生物の侵入を防ぐ機能を有していると考えられている。フィラグリンの遺伝子の変異等による機能の低下は、アトピー性皮膚炎(湿疹、皮膚の炎症、皮膚のかゆみ等)、アレルギー、喘息等を包含するアトピー性疾患の発症リスクと関連し、さらに重篤な場合は尋常性魚鱗癬等の皮膚疾患につながることが知られている(非特許文献1参照)。
一方、天然保湿因子(Natural Moisturizing Factors;NMF)の主成分であるアミノ酸は、ケラトヒアリン顆粒に由来するフィラグリンが角質層内で分解されて産生される。このフィラグリンは、角質層直下の顆粒層に存在する表皮ケラチノサイトでプロフィラグリンとして発現する。その後、直ちにリン酸化し、ケラトヒアリン顆粒に蓄積され、脱リン酸、加水分解を経てフィラグリンへと分解され、角質層に移行して、ケラチンフィラメントの凝集効率を高め、角質細胞の内部構築に関与することが知られている(非特許文献2参照)。近年、このフィラグリンが、皮膚の水分保持に非常に重要かつ必要不可欠であること、および乾燥等の条件によってフィラグリンの合成力が低下し、角質層におけるアミノ酸量が低下することが知られている(非特許文献3参照)。
したがって、表皮ケラチノサイトにおいて、フィラグリンの発現を促進することにより、アトピー性皮膚炎(湿疹、皮膚の炎症、皮膚のかゆみ等)、アレルギー、喘息等を包含するアトピー性疾患を予防・治療または改善できると考えられる。また、フィラグリンの発現を促進し、それにより角質層内のアミノ酸量を増大させることで、角質層の水分環境を本質的に改善できることが期待される。従来、フィラグリンmRNA発現促進作用を有するものとして、ガイヨウ抽出物(特許文献1参照)等が知られている。
皮膚の表皮および真皮は、表皮細胞、線維芽細胞ならびにこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては線維芽細胞の増殖は活発であり、線維芽細胞、細胞外マトリックス成分等の皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲン、エラスチンおよびヒアルロン酸の産生量が減少するとともに、分解や変質を引き起こす。その結果、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、角質の異常剥離が生じるため、肌は張りや艶を失い、肌荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。このように、皮膚の老化に伴う変化、すなわち、シワ、くすみ、きめの変化、弾力性の低下等には、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等のマトリックス成分の減少・変性等が関与している。したがって、コラーゲン、エラスチンまたはヒアルロン酸の産生を促進することは、皮膚の老化を予防、治療または改善する上で重要である。
前述した細胞外マトリックス成分のうち、ヒアルロン酸は、ムコ多糖の一種であり、細胞間の間隙に充填されることにより細胞を保持する機能を有し、さらに細胞間隙への水分の保持、組織への潤滑性や柔軟性の付与、機械的障害等の外力に対する抵抗等、数多くの機能を有している。ヒアルロン酸の産生を促進することができれば、皮膚の荒れ、しわ、くすみ、きめの変化、弾力性の低下及び保湿機能の低下等といった皮膚の老化症状を予防、治療または改善できると考えられる。また、表皮ヒアルロン酸の合成促進に関与するヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)の発現を促進することで、皮膚の老化を予防、治療または改善することができるものと考えられる。現在までにヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進作用を有するものとして、甘草葉部抽出物(特許文献2参照)等が知られている。
特開2012-219047号公報 特開2010-090035号公報
"Nat Genet.",2006年,Vol.38,No.4,p.441-446 「フレグランスジャーナル臨時増刊」,2000年,Vol.17,p.14-19 "Arch. Dermatol. Res.",1996年,Vol.288,p.442-446
本発明は、安全性の高い天然物の中から、優れたフィラグリンmRNA発現促進作用またはヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進作用を有するものを見出し、それぞれを有効成分とするフィラグリンmRNA発現促進剤およびヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のフィラグリンmRNA発現促進剤およびヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤は、カニナバラ抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
本発明によれば、安全性に優れ、かつ作用効果に優れたフィラグリンmRNA発現促進剤およびヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤は、カニナバラ抽出物を有効成分とするものである。
なお、以下においては、ヒアルロン酸合成酵素3をHAS3と略すことがある。
ここで、本実施形態における「カニナバラ抽出物」には、カニナバラを抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
本実施形態において使用する抽出原料は、カニナバラ(学名:Rosa canina)である。
カニナバラは、バラ科バラ属の常緑木本であり、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア等の地域に自生し、また世界で広く栽培されており、容易に入手可能である。カニナバラの果実は、ローズヒップとも呼ばれ、食用油の原料等として広く用いられている。
抽出原料として使用し得るカニナバラの構成部位は、特に限定されるものではなく、例えば、葉部、茎部、花部、果実部等の地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、中でも果実部を用いることが好ましい。
上記植物の抽出物は、抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性抽出溶媒によって脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用することが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は任意であり、適宜調整することができる。例えば、水と親水性有機溶媒との混合液を抽出溶媒として使用する場合には、任意の比率、すなわち0:100超、100:0未満(容量比,以下同様に表記)の間で混和して用いることができ、適宜調整することができる。
例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を抽出溶媒として使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比(容量比)を9:1以上とすることができ、さらには7:3以上とすることができ、あるいは水と低級脂肪族アルコールとの混合比を1:9以下、さらには2:8以下とすることができる。また、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水と多価アルコールとの混合比を8:2以上、あるいは1:9以下とすることができ、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族ケトンとの混合比を9:1以上、あるいは2:8以下とすることができる。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~50倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
以上のようにして得られるカニナバラ抽出物は、優れたフィラグリンmRNA発現促進作用およびHAS3 mRNA発現促進作用を有しているため、フィラグリンmRNA発現促進剤またはHAS3 mRNA発現促進剤の有効成分として用いることができる。本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品等の幅広い用途に使用することができる。
本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤は、カニナバラ抽出物のみからなるものであってもよいし、カニナバラ抽出物を製剤化したものであってもよい。
本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。フィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤は、他の組成物(例えば、後述する皮膚外用剤、経口組成物等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤を製剤化した場合、カニナバラ抽出物の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
なお、本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤は、必要に応じて、フィラグリンmRNA発現促進作用またはHAS3 mRNA発現促進作用を有する他の物質(例えば、天然抽出物等)を、カニナバラ抽出物とともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤の患者に対する投与方法としては、経皮投与、経口投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤は、カニナバラ抽出物が有するフィラグリンmRNA発現促進作用を通じて、フィラグリンの発現を促進し、皮膚のバリア機能を高めることにより、肌荒れ、乾燥肌等のほか、乾燥性皮膚疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬等)を予防、治療または改善することができる。また、本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤は、カニナバラ抽出物が有するフィラグリンmRNA発現促進作用を通じて、フィラグリンの発現を促進し、皮膚の保湿能力を改善することができ、これにより、皮膚の弾力性を維持し、皮膚の老化、肌荒れ等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤は、これらの用途以外にもフィラグリンmRNA発現促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本実施形態のHAS3 mRNA発現促進剤は、カニナバラ抽出物が有するHAS3 mRNA発現促進作用を通じて、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)の発現を促進することができるため、それによりヒアルロン酸の生成が促進され、皮膚の荒れ、しわ、くすみ、きめの変化、弾力性の低下及び保湿機能の低下等、皮膚の老化症状を予防、治療または改善することができる。ただし、本実施形態のHAS3 mRNA発現促進剤は、これらの用途以外にも上記作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
また、本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤は、それぞれ優れたフィラグリンmRNA発現促進作用およびHAS3 mRNA発現促進作用を有するため、例えば、皮膚外用剤や経口組成物等に配合するのに好適である。この場合に、カニナバラ抽出物をそのまま配合してもよいし、カニナバラ抽出物から製剤化したフィラグリンmRNA発現促進剤またはHAS3 mRNA発現促進剤を配合してもよい。
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、経皮的に使用される皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものであり、具体的には、例えば、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、美容液、ローション、ジェル、美容オイル、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーローション、シャンプー、リンス、石鹸、ボディシャンプー等が挙げられる。
皮膚外用剤におけるカニナバラ抽出物の配合量は、皮膚外用剤の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、カニナバラ抽出物の固形分に換算して0.0001~10質量%であり、特に好適な配合率は、0.001~1質量%である。
経口組成物とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の飲食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「経口組成物」は、経口的に摂取される一般食品、飼料、健康食品、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品,機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
カニナバラ抽出物を経口組成物に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象となる経口組成物の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりの抽出物摂取量が約1~1000mgになるようにするのが好ましい。なお、添加対象経口組成物が顆粒状、錠剤状又はカプセル状の場合、カニナバラ抽出物の添加量は、カニナバラ抽出物の固形分に換算し、添加対象経口組成物に対して通常0.1~100質量%以上であり、好ましくは1~100質量%以上である。
また、本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤は、それぞれ優れたフィラグリンmRNA発現促進作用およびHAS3 mRNA発現促進作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
なお、本実施形態のフィラグリンmRNA発現促進剤およびHAS3 mRNA発現促進剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば,マウス,ラット,ハムスター,イヌ,ネコ,ウシ,ブタ,サル等)に対して適用することもできる。
以下、製造例および試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
〔製造例〕カニナバラ抽出物の製造
カニナバラの果実部の乾燥物100gに100%1,3-ブチレングリコール1200mlを加え、還流抽出器で80~90℃にて14時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥してカニナバラ果実部抽出物(30g,試料1)を得た。
〔試験例1〕フィラグリン(FLG)mRNA発現促進作用試験
カニナバラ抽出物(試料1)について、以下のようにしてフィラグリン(FLG)mRNA発現促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞用増殖培地(KGM)を用いて前培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を15×10cells/mLの細胞密度になるようにKGM培地で希釈した後、35mmシャーレに2mLずつ播種し(30×10cells/シャーレ)、37℃・5%COの条件下で一晩培養した。培養後、培地を正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(KBM,上記KGM培地に増殖因子(hEGF,BPE,インスリン)を添加していないもの)に交換し、さらに24時間培養した。
24時間培養後、培地を除去し、KBM培地に溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表1を参照)を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃・5%COの条件下にて24時間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加のKBM培地を用いて同様に培養した。培養後、培地を除去し、ISOGEN II(ニッポンジーン社製,Cat. No. 311-07361)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、80ng/μLになるように総RNAを調製した。
この総RNAを鋳型とし、フィラグリン(FLG)および内部標準であるGAPDHについて、mRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Thermal Cycler Dice Real Time System III(タカラバイオ社製)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScript RT-PCR kit(Perfect Real Time)(タカラバイオ社製,code No. RR063A)によるリアルタイム2 Step RT-PCR反応により行った。プライマーはタカラバイオ社製のものを使用した。FLG mRNAの発現量は、「被験試料添加」および「試料無添加」にてそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求めた。得られた値から、下記式によりFLG mRNA発現促進率(%)を算出した。
FLG mRNA発現促進率(%)=A/B×100
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:被験試料添加での補正値
B:試料無添加での補正値
結果を表1に示す。
Figure 2022020261000001
表1に示すように、カニナバラ抽出物(試料1)は、優れたFLG mRNA発現促進作用を有していた。
〔試験例2〕ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)mRNA発現促進作用試験
カニナバラ抽出物(試料1)について、以下のようにしてHAS3 mRNA発現促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞用増殖培地(KGM)を用いて前培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を15×10cells/mLの細胞密度になるようにKGM培地で希釈した後、35mmシャーレに2mLずつ播種し(30×10cells/シャーレ)、37℃・5%COの条件下で一晩培養した。培養後、培地を正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(KBM,上記KGM培地に増殖因子(hEGF,BPE,インスリン)を添加していないもの)に交換し、さらに24時間培養した。
24時間培養後、培地を除去し、KBM培地に溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表2を参照)を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃・5%COの条件下にて24時間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加のKBM培地を用いて同様に培養した。培養後、培地を除去し、ISOGEN II(ニッポンジーン社製,Cat. No. 311-07361)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、80ng/μLになるように総RNAを調製した。
この総RNAを鋳型とし、HAS3および内部標準であるGAPDHについて、mRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Thermal Cycler Dice Real Time System III(タカラバイオ社製)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScript RT-PCR kit(Perfect Real Time)(タカラバイオ社製,code No. RR063A)によるリアルタイム2 Step RT-PCR反応により行った。プライマーはタカラバイオ社製のものを使用した。HAS3 mRNAの発現量は、「被験試料添加」および「試料無添加」にてそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求めた。得られた値から、下記式によりHAS3 mRNA発現促進率(%)を算出した。
HAS3 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:被験試料添加での補正値
B:試料無添加での補正値
結果を表2に示す。
Figure 2022020261000002
表2に示すように、カニナバラ抽出物(試料1)は、優れたHAS3 mRNA発現促進作用を有していた。
〔配合例1〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
カニナバラ抽出物 0.05g
クジンエキス 0.1g
オウゴンエキス 0.1g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
スクワラン 10.0g
セタノール 3.0g
ラノリン 2.0g
ステアリン酸 1.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
油溶性カンゾウエキス 0.1g
1,3-ブチレングリコール 6.0g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例2〕
下記組成に従い、乳液を常法により製造した。
カニナバラ抽出物 0.01g
ホホバオイル 4.00g
1,3-ブチレングリコール 3.00g
アルブチン 3.00g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
オリーブオイル 2.00g
スクワラン 2.00g
セタノール 2.00g
モノステアリン酸グリセリル 2.00g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
グリチルレチン酸ステアリル 0.10g
黄杞エキス 0.10g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
イチョウ葉エキス 0.10g
コンキオリン 0.10g
オウバクエキス 0.10g
カミツレエキス 0.10g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例3〕
下記組成の美容液を常法により製造した。
カニナバラ抽出物 0.01g
カミツレエキス 0.1g
ニンジンエキス 0.1g
キサンタンガム 0.3g
ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
1,3-ブチレングリコール 4.0g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
グリセリン 2.0g
水酸化カリウム 0.25g
香料 0.01g
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
エタノール 2.0g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例4〕
常法により、以下の組成を有する錠剤を製造した。
カニナバラ抽出物 5.0mg
ドロマイト(カルシウム20%、マグネシウム10%含有) 83.4mg
カゼインホスホペプチド 16.7mg
ビタミンC 33.4mg
マルチトール 136.8mg
コラーゲン 12.7mg
ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg
〔配合例5〕
常法により、以下の組成を有する経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
カニナバラ抽出物 0.3質量%
ソルビット 12.0質量%
安息香酸ナトリウム 0.1質量%
香料 1.0質量%
硫酸カルシウム 0.5質量%
精製水 残部(100質量%)
本発明のフィラグリンmRNA発現促進剤は、皮膚のバリア機能の改善または強化;皮膚の保湿能力の改善または強化;乾燥性皮膚疾患の予防、治療または改善;等に大きく貢献できる。
また、本発明のHAS3 mRNA発現促進剤は、皮膚の荒れ、しわ、くすみ、きめの変化、弾力性の低下及び保湿機能の低下等の皮膚の老化症状の予防、治療または改善に大きく貢献できる。

Claims (2)

  1. カニナバラ抽出物を有効成分とすることを特徴とするフィラグリンmRNA発現促進剤。
  2. カニナバラ抽出物を有効成分とすることを特徴とするヒアルロン酸合成酵素3 mRNA発現促進剤。
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