JP2021189099A - 装飾成形品及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】特定部位を輝かせる光の色合いの調整が容易で、簡素なシステムで装飾成形品の特定部位を輝かせることができる装飾成形品を提供する。【解決手段】装飾成形品１０は、無性装置であるレーダ装置２が扱う電波であるミリ波を透過させ、発光装置５から照射される光によって特定部位１５を輝かせられる。第１反射層４０は、成形体２０の裏面２２に第１開口部４１を持つように形成され、第１開口部４１から入射した光を反射し且つミリ波を透過する。第１着色部５０は、ミリ波を透過し且つ第１開口部４１から入射した光に着色して第１着色光を発生させる。加飾シート３０の隠蔽層３２は、透光性フィルム３１に固着されてミリ波を透過し且つ第１着色光を遮蔽する。隠蔽層３２は、透光性フィルム３１の特定部位１５に配置されて成形体２０から第１着色光を表面の前方に向かって取り出すための第２開口部３２ａを持つ。【選択図】図６

Description

本発明は、装飾成形品及び装飾成形品の製造方法に関し、特に電波を透過することができ且つ特定部位を光らせることのできる装飾成形品及びその製造方法に関する。

従来から、例えば特許文献１（特許第５１３２６５６号公報）に記載されているように、自動車には、エンブレムと呼ばれる装飾部材が取り付けられる。このような装飾部材には、熱可塑性部材を射出成形して製造される装飾成形品がある。しかも、自動車のフロント部分に取り付けられるエンブレムがレーダ装置の前に取り付けられる場合には、ミリ波と呼ばれる、波長が１ｍｍ〜１０ｍｍの電波が、エンブレムを透過することが求められる。

特許第５１３２６５６号公報

特許文献１の装飾部材は、レーダ装置で送受信されるミリ波及び装飾のための可視光を通過できる材料で構成されている。
しかしながら、装飾部材自身は、装飾部材の特定部位を輝かせられるように光を導く機能を持っていない。そこで、特許文献１では、装飾部材の発光装置が発光装置とは別に、特定部位まで光を導く導光板と、反射面を持つケース体とを有する構成が採用されている。導光板及び反射面を設けるために、発光装置が大掛かりなものとなり、装飾部材及び発光装置が高価なものとなり、装飾部材及び発光装置に必要なスペースが大きくなる。そして、透過光の色を変えるには、光源の色を変えるか透過部を着色する必要がある。このような導光板及び反射面で微妙な色合いを調整するのは難しい。

本発明の課題は、特定部位を輝かせる光の色合いの調整が容易で、簡素なシステムで装飾成形品の特定部位を輝かせることができる装飾成形品を提供することにある。

以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る装飾成形品は、電波の送信及び受信の少なくとも一方を行う無線装置が扱う電波を透過させ、発光装置から照射される光によって特定部位を輝かせられる装飾成形品である。装飾成形品は、成形体と加飾シートと第１反射層と第１着色部とを備える。成形体は、所定形状に成形され、電波を透過し且つ発光装置の光を透過できる透光性高分子を含む。加飾シートは、成形体の表面に成形と同時に接着されている。第１反射層は、成形体の裏面に第１開口部を持つように形成され、第１開口部から入射した光を反射し且つ電波を透過する。第１着色部は、電波を透過し且つ第１開口部から入射した光に着色して第１着色光を発生させる。加飾シートは、電波及び光を透過する透光性フィルムと、透光性フィルムに固着されて電波を透過し且つ第１着色光を遮蔽する隠蔽層とを有し、隠蔽層は、透光性フィルムの特定部位に配置されて成形体から第１着色光を表面の前方に向かって取り出すための第２開口部を持つように構成されている。
なお、ここで、電波とは、１０ｋＨｚ〜３０００ＧＨｚで導体内の電流が反転することにより生じる電磁波をいう。
このように構成されている装飾成形品では、成形された成形体の裏面の第１開口部から例えば発光装置の光が入射し、成形体の透光性高分子の中を光が進み、成形体の表面に接着された加飾シートの隠蔽層の第２開口部から成形体の表面の前方に向かって光が取り出される。第２開口部から取り出される光によって装飾成形品の特定部位を輝かせることができる。また、透光性高分子の中を光が進むように成形体の裏面と表面に設けられた第１反射層で反射される光は、第１着色部で着色されて第１着色光になる。このように導光路を成形体の透光性高分子と加飾シートと第１反射層で形成でき、例えば導光板及び反射層を装飾成形品とは別に設ける必要がなくなり、発光装置によって装飾成形品を輝かせるシステムを簡素化できる。

上述の装飾成形品では、加飾シートは、成形体と隠蔽層との間に形成され、電波を透過し且つ第１反射層で反射される第１着色光を、第１反射層に向けて反射する第２反射層を有していてもよい。このように構成された装飾成形品は、第２反射層で第１着色光を第１反射層に向けて反射することで、第２開口部から取り出される第１着色光の光量を増加させることができる。
上述の装飾成形品は、第１着色部が、成形体の表面に設けられ、透光性フィルムに固着されて電波を透過し且つ第１開口部から入射した光に着色して第１着色光を発生させる加飾シートの第１着色層であることが好ましい。このように構成された装飾成形品は、加飾シートの第１着色層で光を着色できるので、装飾成形品の構成を簡素化できる。
上述の装飾成形品は、第２着色光を発生させる第２着色部を備え、第１反射層が、第２着色部に光を導ける位置に、第１開口部とは異なる第３開口部を持ち、加飾シートは、隠蔽層が、第１反射層で反射した第２着色光を第２開口部から表面の前方に向かって取り出すことができるように配置されてもよい。このように構成された装飾成形品は、第１着色光と第２着色光とで特定部位を選択的に輝かせることができ、意匠性を向上させることができる。
上述の装飾成形品は、第２開口部に対して、電波を透過し且つ成形体よりも透過率の低いスモーク部が配置されてもよい。このように構成された装飾成形品は、第２開口部と隠蔽層との境界を目立ち難くすることができ、美観を向上させることができる。
上述の装飾成形品は、加飾シートは、成形体と隠蔽層との間に形成され、電波を透過し且つ第１反射層で反射される第１着色光を第１反射層に向けて反射する第２反射層を有し、加飾シートは、第２反射層が第２開口部を塞ぐように設けられ、第２反射層がスモーク部として機能するように構成されてもよい。このように構成された装飾成形品は、第２開口部のスモーク部を第２反射層で兼用することができ、第２開口部にスモーク部が配置された装飾成形品の構造を簡素化できる。
本発明の他の見地に係る装飾成形品は、発光装置から照射される光によって特定部位を輝かせられる装飾成形品であって、成形体と加飾シートと第１反射層と第１着色部とを備える。成形体は、所定形状に成形され、発光装置の光を透過できる透光性高分子を含む。加飾シートは、成形体の表面に成形と同時に接着されている。第１反射層は、成形体の裏面に第１開口部を持つように形成され、第１開口部から入射した光を反射する。第１着色部は、第１開口部から入射した光に着色して第１着色光を発生させる。加飾シートは、光を透過する透光性フィルムと、透光性フィルムに固着されて第１着色光を遮蔽する隠蔽層とを有する。隠蔽層は、透光性フィルムの特定部位に配置されて成形体から第１着色光を表面の前方に向かって取り出すための第２開口部を持つように構成されている
このように構成されている装飾成形品では、成形された成形体の裏面の第１開口部から例えば発光装置の光が入射し、成形体の透光性高分子の中を光が進み、成形体の表面に接着された加飾シートの隠蔽層の第２開口部から成形体の表面の前方に向かって光が取り出される。第２開口部から取り出される光によって装飾成形品の特定部位を輝かせることができる。また、透光性高分子の中を光が進むように成形体の裏面と表面に設けられた第１反射層で反射される光は、第１着色部で着色されて第１着色光になる。このように導光路を成形体の透光性高分子と加飾シートと第１反射層で形成でき、例えば導光板及び反射層を装飾成形品とは別に設ける必要がなくなり、発光装置によって装飾成形品を輝かせるシステムを簡素化できる。

本発明の一見地に係る装飾成形品の製造方法は、電波の送信及び受信無線装置の少なくとも一方を行う無線装置が扱う電波を透過させ、発光装置によって特定部位を輝かせられる装飾成形品の製造方法である。装飾成形品の製造方法は、加飾シートを金型にセットして型締めするステップと、金型のキャビティに溶融材料を射出して電波を透過し且つ発光装置の光を透過できる透光性高分子からなる成形体を成形するとともに成形体の表面に加飾シートを接着するステップと、成形体の裏面に第１開口部を持ち且つ電波を透過する第１反射層を形成するステップとを備える。加飾シートは、電波及び光を透過する透光性フィルムと、透光性フィルムに固着されて電波を透過し且つ第１開口部から入射した光に着色して第１着色光を発生させる第１着色層と、透光性フィルムに固着されて電波を透過し且つ第１着色光を遮蔽する隠蔽層と、成形体と隠蔽層との間に形成され、電波を透過し且つ第１反射層で反射される第１着色光を第１反射層に向けて反射する第２反射層とを有し、隠蔽層が、透光性フィルムの特定部位に配置されて成形体から第１着色光を表面の前方に向かって取り出すための第２開口部を持つように構成されている。
上述の装飾成形品の製造方法では、成形体の裏面の第１開口部から例えば発光装置の光が入射し、成形体の透光性高分子の中を光が進み、隠蔽層の第２開口部から成形体の表面の前方に向かって光が取り出される構成を、成形体の表面に接着された加飾シートを用いて成形同時加飾によって製造できる。また、透光性高分子の中を光が進むように成形体の裏面と表面に設けられた第１反射層と第２反射層で反射される光が第１着色層で着色されて第１着色光になる装飾成形品を、加飾シートを用いて簡単に製造することができる。

上述の装飾成形品の製造方法は、第１反射層が、第１開口部とは異なる第３開口部を持ち、加飾シートが、第３開口部から入射した光に着色して第２着色光を発生させる第２着色層を有し、第２反射層が第２着色光を第１反射層に向けて反射するように配置され、隠蔽層が第２着色光を表面の前方に向かって取り出すことができるように構成されている、ものを用いて装飾成形品を製造するものであってもよい。このように構成された装飾成形品の製造方法では、第１着色光と第２着色光とで特定部位を選択的に輝かせることができる、意匠性の向上した装飾成形品を、加飾シートを使って簡単に製造することができる。

本発明に係る装飾成形品は、装飾成形品の特定部位を輝かせる光の色合いの調整が容易で、簡素なシステムで装飾成形品の特定部位を輝かせることができる。また、本発明に係る装飾成形品の製造方法によれば、本発明に係る装飾成形品を容易に製造することができる。

実施形態に係る装飾成形品が使用されている自動車の模式的な平面図。 実施形態に係る装飾成形品が使用されている自動車の模式的な側面図。 装飾成形品とレーダ装置と発光装置の配置例を説明するための断面図。 装飾成形品の裏側に配置されるレーダ装置と発光装置の概要を示す模式図。 実施形態に係る装飾成形品の一例を示す模式図。 実施形態に係る装飾成形品の構成を示す模式的な断面図。 装飾成形品の製造工程の型締めを説明するための模式的な断面図。 装飾成形品の製造工程の溶融材料の射出を説明するための模式的な断面図。 成形体への第１反射層の形成を説明するための模式的な断面図。 変形例Ｃに係る装飾成形品の構成の一例を示す模式的な断面図。 変形例Ｄに係る装飾成形品の構成の一例を示す模式的な断面図。

（１）全体構成
図１及び図２には、自動車１が模式的に示されている。図１には、自動車１を上から見た状態が示され、図２には、自動車１を側面から見た状態が示されている。自動車１のフロント部に、レーダ装置２が取り付けられている。自動車１のフロント部のレーダ装置２は、自動車１の前方に、ミリ波のビーム３を照射する。レーダ装置２から送信されたミリ波は、自動車１の前方に障害物などの検出対象物があれば、検出対象物に当たって反射する。レーダ装置２は、検出対象物に当たって反射したミリ波を受信する。このようなミリ波の送受信により、レーダ装置２は、検出対象物を検出する。検出対象物を精度良く検出するには、レーダ装置２によるミリ波の送受信が重要になる。

図３に示されているように、自動車１のフロント部には、レーダ装置２の前方に、装飾成形品１０が取り付けられている。装飾成形品１０は、例えば、自動車１のエンブレムである。図３に示されているレーダ装置２は、装飾成形品１０を透過させてミリ波を送受信している。言い換えると、装飾成形品１０は、レーダ装置２の送信波と受信波の両方を透過させている。ここでは、装飾成形品１０が送信波と受信波の両方を透過させる場合について説明するが、装飾成形品は、ミリ波の送信波または受信波の一方のみを透過させるものであってもよい。装飾成形品１０は、このように、例えば、ミリ波の送受信により検出対象物を検知するレーダ装置２の少なくとも一部を覆って、自動車１を装飾するものである。この実施形態で説明するミリ波は、装飾成形品１０が透過する電波の一例である。レーダ装置２は、装飾成形品１０が透過する電波を扱う無線装置の一例である。

また、装飾成形品１０には、発光装置５から光が入射する。図４には、自動車１の前方から見たレーダ装置２と発光装置５と装飾成形品１０の位置関係が示されている。図４に示されているように、発光装置５は、例えば、４つのＬＥＤ５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄを含んで構成されている。ＬＥＤは、Light Emitting Diodeの略語である。ＬＥＤ５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄは、装飾成形品１０の裏側の上縁部、下縁部、右縁部及び左縁部に配置されている。最も外側の楕円形が装飾成形品１０の外周に対応する。図５には、自動車１の前方から見た装飾成形品１０の形状の一例が示されている。装飾成形品１０は、楕円形の枠１１の中に、「ｎｉ」の文字が図案化して描かれている。図３に示されている装飾成形品１０の断面は、図５のＩ−Ｉ線に沿って切断した断面に対応する。装飾成形品１０は、楕円形の枠１１と、「ｎｉ」の文字部分１２が凸状に浮き出ている。装飾成形品１０は、成形体２０（図６参照）の有する所定形状によって凸状の「ｎｉ」の文字形状が形作られている。
自動車１は、夜も使用されるため、装飾成形品１０は、発光装置５によって特定部位１５が輝かせられる構成となっている。特定部位１５は、図５に、ドットのハッチングで示されている箇所である。

（２）詳細構成
図６に示されているように、装飾成形品１０は、成形体２０と、加飾シート３０と、第１反射層４０と、第１着色部５０とを備えている。図６において、矢印Ａｒ１は、ミリ波の送信波を示しており、矢印Ａｒ２は、ミリ波の受信波を示しており、矢印Ａｒ３は、発光装置５から照射された光を示している。矢印Ａｒ４は、第２反射層３３で反射された光を示しており、矢印Ａｒ５は、第１反射層４０で反射された光を示している。
成形体２０は、主に、装飾成形品１０の外形を決定している部材である。そのため、成形体２０は、装飾成形品１０に要求される形状を担えるように、所定形状に成形されている。このような成形体２０には、ミリ波を透過する機能と、光を透過する機能が求められる。成形体２０は、射出成形によって製造された部材であり、透光性高分子からなる熱可塑性材料を用いて製造される。
加飾シート３０は、成形体２０の表面２１に成形と同時に接着されているものである。加飾シート３０は、ミリ波を透過することができる材料で構成されている。
成形体２０の裏面２２に第１反射層４０が形成されている。第１反射層４０は、光を反射し、ミリ波を透過する。この第１反射層４０は、第１開口部４１を持つ。第１開口部４１は、第１反射層４０の形成されなかった部分であるかまたは、第１反射層４０が光の入射方向によって光を透過する場合には、第１反射層４０を透過して成形体２０に光を導く箇所を第１開口部とみなすことができる。このように見なすことができる場合は、例えば、斜めから入射する光を反射し、垂直に入射する光を透過するフィルムで第１反射層４０が形成される場合である。

第１着色部５０は、ミリ波を透過し且つ第１開口部４１から入射した光に着色して第１着色光を発生させる。第１着色部５０で発生した第１着色光は、第１反射層４０で反射されて成形体２０の中を進む。成形体２０の中を進んだ第１着色光は、第２開口部３２ａ及び第４開口部３３ａを通って隠蔽層３２の外に出ることによって、特定部位１５を輝かせる。
加飾シート３０は、ミリ波及び光を透過する透光性フィルム３１と、透光性フィルム３１に固着されてミリ波を透過し且つ第１着色光を遮蔽する隠蔽層３２とを有している。隠蔽層３２は、透光性フィルム３１の特定部位１５に配置されている第２開口部３２ａを持っている。第２開口部３２ａは、成形体２０から第１着色光を、成形体２０の表面２１の前方に向かって取り出すための開口部である。例えば、図５に示されている「ｎｉ」の文字の周囲の特定部位１５及び円形の特定部位１５の位置に、第２開口部３２ａが配置される。

（２−１）成形体２０
成形体２０は、透光性高分子からなる熱可塑性材料を射出成形によって成形したものである。成形体２０を構成する熱可塑性材料には、例えば、熱可塑性樹脂、及び熱可塑性エラストマーがある。成形体２０に用いられる熱可塑性樹脂には、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ＡＢＳ樹脂がある。熱可塑性材料のところに特定部位１５を配置して輝かせる場合には、熱可塑性材料には、ミリ波を透過し且つ透光性を有することが要求される。ミリ波が、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂及びＡＢＳ樹脂を透過するので、レーダ装置２は、これらの熱可塑性樹脂からなる成形体２０を備える装飾成形品１０を通してミリ波の送受信が可能である。ここでは、成形体２０が透光性高分子のみで構成されている場合について説明している。しかし、成形体２０には、熱可塑性材料以外のものが含まれてもよい。例えば、ミリ波を透過することができるセラミックまたはガラスを透光性の熱可塑性樹脂とともにインサート成形することが可能である。
図６に示されているように、成形体２０の透過性高分子は、光の通り道である導光路を形成する。この導光路になる部分の成形体２０の厚さは、例えば、１ｍｍ以上であることが好ましい。

（２−２）加飾シート３０
加飾シート３０は、第２反射層３３を有する。第２反射層３３は、成形体２０と隠蔽層３２との間に形成され、ミリ波を透過し且つ第１反射層４０で反射される第１着色光を、第１反射層４０に向けて反射する。第２反射層３３には、第４開口部３３ａが形成されている。第４開口部３３ａは、第２開口部３２ａと重なる位置に配置されている。第１反射層４０で反射された第１着色光は、第２開口部３２ａ及び第４開口部３３ａを通して、成形体２０の前方に放射される。

透光性フィルム３１は、厚さが、例えば１０μｍ〜５００μｍの範囲から選択されるのが一般的である。透光性フィルム３１の厚さは、成形体２０の立体形状に追従しやすくするために、好ましくは、１５μｍ〜１００μｍである。
透光性フィルム３１には、例えば、樹脂またはエラストマーが使用される。樹脂製の透光性フィルム３１は、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン樹脂若しくはＡＢＳ樹脂からなる樹脂フィルム、アクリル樹脂とＡＢＳ樹脂の多層フィルム、またはアクリル樹脂とポリカーボネート樹脂の多層フィルムから選択される。また、透光性フィルム３１に用いられるエラストマーとしては、例えば、熱可塑性エラストマー（ＴＰＥ）を用いることができる。熱可塑性エラストマーには、例えば、アミド系ＴＰＥ（ＴＰＡ）、エステル系ＴＰＥ（ＴＰＣ）、オレフィン系ＴＰＥ（ＴＰＯ）、スチレン系ＴＰＥ（ＴＰＳ）、ウレタン系ＴＰＥ（ＴＰＵ）がある。

隠蔽層３２は、光を遮断するための層である。隠蔽層３２は、装飾成形品１０の全周を覆うように構成してもよい。例えば、隠蔽層３２で、装飾成形品１０の側面を覆う場合には、加飾シート３０をプレフォーミングによって成形し、加飾シート３０が装飾成形品１０の側面に被さるようにする。隠蔽層３２は、透光性フィルム３１に例えばグラビア印刷法またはスクリーン印刷法によって形成される。隠蔽層３２を構成する材料は、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂と、樹脂に添加される顔料または染料を含むものである。顔料及び染料には、ミリ波を減衰させないものが選ばれる。
第２反射層３３は、例えば、白色インキ、インジウム蒸着、スズ蒸着、再帰反射インキ、または、ミリ波透過性のある金属インキで構成される。白色インキ、再帰反射インキまたはミリ波透過性のある金属インキを用いる場合には、第２反射層３３は、例えばグラビア印刷法またはスクリーン印刷法によって形成される。インジウム蒸着及びスズ蒸着は、例えば、真空蒸着法を用いて行われる。
図示を省略しているが、第２反射層３３と成形体２０との間に、接着層が設けられてもよく、第２反射層３３が接着層として機能するように構成されてもよい。接着層には、例えば、熱可塑性樹脂が使用できる。接着層に使用される熱可塑性樹脂としては、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂が挙げられる。接着層は、溶融樹脂の熱によって接着性を発現し、成形体２０との間の接着力を向上させる。接着層の厚さは、例えば乾燥後の膜厚で２μｍ〜２０μｍである。

（２−３）第１反射層４０
第１反射層４０は、例えば、白色インキ、インジウム蒸着、スズ蒸着、再帰反射インキ、金属調フィルム、または、ミリ波透過性のある他のインキで構成される。白色インキ、再帰反射インキまたはミリ波透過性のあるインキを用いる場合には、第１反射層４０は、例えばグラビア印刷法またはスクリーン印刷法によって形成される。インジウム蒸着及びスズ蒸着は、例えば、真空蒸着法を用いて行われる。金属調フィルムとしては、例えば、東レ株式会社製のＰＩＣＡＳＵＳ（登録商標）がある。金属調フィルムの場合は、成形体２０の成形時にインサート成形により成形体２０に金属調フィルムを接着する。

（２−４）第１着色部５０
第１実施形態においては、第１着色部５０は、成形体２０の表面２１に設けられている加飾シート３０の第１着色層３４である。第１着色層３４は、透光性フィルム３１に固着されてミリ波を透過し且つ第１開口部４１から入射した光に着色して第１着色光を発生させる。加飾シート３０の第２反射層３３に例えばグラビア印刷法またはスクリーン印刷法によって形成される。第１着色層３４を構成する材料は、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂と、樹脂に添加される顔料または染料を含むものである。顔料及び染料には、ミリ波を減衰させないものが選ばれる。

（３）装飾成形品１０の製造方法
装飾成形品１０の製造方法について、図７、図８及び図９を用いて説明する。まず、図７に示されているように、上述の加飾シート３０を金型１００にセットして型締めする。加飾シート３０は、透光性フィルム３１と、隠蔽層３２と、第２反射層３３と、第１着色層３４とを有している。例えば、隠蔽層３２で、装飾成形品１０の側面を覆う場合には、金型１００にセットする前に、加飾シート３０をプレフォーミングによって成形しておく。金型１００の第１型１０１と第２型１０２とは、型締めされた状態で、内部にキャビティ１０３を形成する。
図８に示されているように、金型１００のキャビティ１０３に溶融材料２００が射出される。溶融材料２００が冷却固化されて、ミリ波を透過し且つ発光装置５の光を透過できる透光性高分子からなる成形体２０が形成される。このとき同時に、成形体２０の表面に加飾シート３０が接着される。
図９に示されているように、成形体２０の裏面２２に、第１開口部４１を持ち且つミリ波を透過する第１反射層４０が形成される。第１反射層４０は、例えば印刷技術により、第１開口部４１の領域を除く成形体２０の裏面２２に、白色インキを塗布することにより形成される。
なお、第１反射層４０を金属調フィルムによって形成する場合には、型締め前に、金属調フィルムを金型１００にセットして、インサート成形により第１反射層４０を形成してもよい。

（４）特徴
（４−１）
上記実施形態の装飾成形品１０では、成形された成形体２０の裏面２２の第１開口部４１から光が入射し、成形体２０の透光性高分子の中を発光装置５の光が進む。成形体２０の表面２１に接着された加飾シート３０の隠蔽層３２の第２開口部３２ａから成形体２０の表面２１の前方に向かって発光装置５の光が取り出される。第２開口部から取り出される発光装置５の光によって装飾成形品１０の特定部位１５を輝かせることができる。
また、透光性高分子の中を光が進むように成形体２０の裏面２２と表面２１に設けられた第１反射層４０と第２反射層３３で反射される光は、第１着色部５０で着色されて第１着色光になる。このように導光路を成形体２０の透光性高分子と加飾シート３０と第１反射層４０で形成でき、例えば導光板及び反射層を装飾成形品とは別に設ける必要がなくなり、発光装置５によって装飾成形品１０を輝かせるシステムを簡素化できる。

（４−２）
上記実施形態の装飾成形品１０では、加飾シート３０が、成形体２０と隠蔽層３２との間に形成され、ミリ波を透過し且つ第１反射層４０で反射される第１着色光を、第１反射層４０に向けて反射する第２反射層３３を有している。装飾成形品１０は、第２反射層３３で第１着色光を第１反射層４０に向けて反射することで、第２開口部３２ａから取り出される第１着色光の光量を増加させることができる。
（４−３）
上記実施形態の装飾成形品１０では、加飾シート３０の第１着色層３４が、成形体２０の表面２１に設けられ、透光性フィルム３１に固着されてミリ波を透過し且つ第１開口部４１から入射した光に着色して第１着色光を発生させる。このように、装飾成形品１０は、加飾シート３０の第１着色層３４で光を着色できるように簡素化されている。
（４−４）
上記実施形態の装飾成形品１０の製造方法では、装飾成形品１０の構成を、成形体２０の表面２１に接着された加飾シート３０を用いて成形同時加飾によって実現できる。

（５）変形例
（５-１）変形例Ａ
上記実施形態の装飾成形品１０は、図９に示されているように、第２開口部３２ａに対してスモーク部３３ｂを配置してもよい。スモーク部３３ｂは、ミリ波を透過し且つ成形体２０よりも透過率が低い。このような変形例Ａの装飾成形品１０は、第２開口部３２ａと隠蔽層３２との境界をスモーク部３３ｂにより目立ち難くすることができ、美観を向上させることができる。
（５-２）変形例Ｂ
変形例Ａの装飾成形品１０の加飾シート３０において、第２反射層３３が第２開口部３２ａを塞ぐように設け、第２反射層３３をスモーク部として機能するように構成してもよい。このような変形例Ｂの装飾成形品１０は、第２開口部３２ａのスモーク部を第２反射層３３で兼用することができ、第２開口部３２ａにスモーク部が配置された装飾成形品１０の構造を簡素化できる。

（５-３）変形例Ｃ
上記実施形態では、同じ特定部位１５に、第１着色光のみが導かれる場合について説明した。しかし、同じ特定部位１５に、異なる複数色の光を導けるように構成してもよい。図１０に示されている変形例Ｃの装飾成形品１０のように、第１着色光と第２着色光を同じ特定部位１５に導くように構成してもよい。
図１０の装飾成形品１０は、上記実施形態の装飾成形品１０と同様に、成形体２０と、加飾シート３０と、第１反射層４０とを備えている。変形例Ｃの装飾成形品１０は、第２着色光を発生させる第２着色部５１を備えている。第１着色部５０は、加飾シート３０の第２反射層３３と成形体２０との間に配置されたスモーク層で構成された第１着色層３４である。第１反射層４０には、第１着色層３４に光を導ける位置に第１開口部４１が配置されている。第２着色部５１は、加飾シート３０の第２反射層３３と成形体２０との間に配置されたスモーク層で構成された第２着色層３５である。第１反射層４０には、第２着色層３５に光を導ける位置に第３開口部４２が配置されている。加飾シート３０では、隠蔽層３２が、第１反射層４０で反射した第２着色光を第２開口部３２ａから成形体２０の表面２１の前方に向かって取り出すことができるように配置されている。
なお、図１０では、ハーフミラーの第１反射層４０に、隠蔽層４３によって第１開口部４１と第３開口部４２が設けられている。
ここでは、第１開口部４１と第３開口部４２がハーフミラーの第１反射層４０で覆われている場合について説明しているが、第１開口部４１と第３開口部４２の部分と重なる領域の第１反射層４０を取り除いてもよい。
例えば、発光装置５ｍ，５ｎを交互に点灯させると、装飾成形品１０の特定部位１５を、互いに異なる第１着色光と第２着色光で交互に輝かせることができる。

（５-４）変形例Ｄ
上記の変形例Ｃでは、第２反射層３３をハーフミラーで構成する場合について説明した。しかし、第２反射層３３は、他の構成であってもよい。例えば、図１１に示されている装飾成形品１０では、スモーク層により第２反射層３３が形成されている。
（５-５）変形例Ｅ
上記実施形態及び変形例の第１着色部５０及び第２着色部５１は、加飾シート３０に設けられた第１着色層３４及び第２着色層３５である場合について説明した。しかし、第１着色部５０及び第２着色部５１は、第１着色層３４及び第２着色層３５には限られない。例えば、第１反射層４０の第１開口部４１または、第１反射層４０と成形体２０との間に設けられてもよい。
（５-６）変形例Ｆ
上記実施形態では、装飾成形品１０が透過する電波としてミリ波を例に挙げて説明した。しかし、装飾成形品が透過する電波はミリ波に限られるものではない。本発明に係る装飾成形品は、例えば、ミリ波よりも周波数が低い電波を透過するものであってもよい。装飾成形品が、例えば、ミリ波よりも周波数が低い電波を使って車間距離を測る場合に用いられる電波を透過するものであってもよい。あるいは、本発明に係る装飾成形品は、例えば、サブミリ波の周波数帯の電波であってもよい。
（５-７）変形例Ｇ
上記実施形態では、本発明の装飾成形品が透過する電波を扱う無線装置として、送受信機能を備えるレーダ装置２を例に挙げて説明した。しかし、本発明の装飾成形品が透過する電波を扱う無線装置は、送受信機能を備えるレーダ装置には限られない。無線装置は、送信機能だけ、または受信機能だけを有するものであってもよい。無線装置は、例えば、ＥＴＣシステム（自動料金収受システム）の車載器、電波ビーコンの受信アンテナを有する受信機であってもよい。
（５−８）変形例Ｈ
上記実施形態では、装飾成形品１０がレーダ装置２の一部を覆う場合について説明した。しかし、本発明の装飾成形品１０は、レーダ装置２の一部を覆わないように設置されてもよい。例えば、レーダ装置２が他の部材で覆われていて、装飾成形品１０は、レーダ装置２を覆わずにレーダ装置２の電波の通過位置に単に配置されているだけでもよい。
（５−９）変形例Ｉ
上記実施形態では、装飾成形品１０が、レーダ装置２などの無線装置が扱う電波の通過位置に配置され、電波を通過させる機能を有する場合について説明した。しかし、本発明に係る装飾成形品は、電波を通過させる機能を有さないものであってもよい。そのような装飾成形品では、上述の成形体２０を、電波を透過しないが、所定形状に成形され、発光装置５の光を透過できる透光性高分子を含む成形体に置き換えてもよい。そのような装飾成形品では、上述の第１反射層４０を、電波を透過しないが、成形体の裏面に第１開口部４１を持つように形成され、第１開口部４１から入射した光を反射する第１反射層に置き換えてもよい。そのような装飾成形品では、第１着色層３４を、電波を透過しないが、第１開口部４１から入射した光に着色して第１着色光を発生させる第１着色層に置き換えてもよい。そのような装飾成形品では、加飾シート３０の透光性フィルム３１を、電波を透過しないが、光を透過する透光性フィルムに置き換えてもよい。また、そのような装飾成形品では、加飾シート３０の隠蔽層３２を、電波を透過しないが、透光性フィルムに固着されて第１着色光を遮蔽する隠蔽層に置き換えてもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。

１０ 装飾成形品
１５ 特定部位
２０ 成形体
３０ 加飾シート
３１ 透光性フィルム
３２ 隠蔽層
３２ａ 第２開口部
３３ 第２反射層
３３ｂ スモーク部
３４ 第１着色層
３５ 第２着色層
４０ 第１反射層
４１ 第１開口部
４２ 第３開口部

Claims (9)

1. 電波の送信及び受信の少なくとも一方を行う無線装置が扱う電波を透過させ、発光装置から照射される光によって特定部位を輝かせられる装飾成形品であって、
   所定形状に成形され、電波を透過し且つ前記発光装置の光を透過できる透光性高分子を含む成形体と、
   前記成形体の表面に成形と同時に接着されている加飾シートと、
   前記成形体の裏面に第１開口部を持つように形成され、前記第１開口部から入射した光を反射し且つ電波を透過する第１反射層と、
   電波を透過し且つ前記第１開口部から入射した光に着色して第１着色光を発生させる第１着色部と、
   を備え、
   前記加飾シートは、電波及び光を透過する透光性フィルムと、前記透光性フィルムに固着されて電波を透過し且つ前記第１着色光を遮蔽する隠蔽層とを有し、
   前記隠蔽層は、前記透光性フィルムの前記特定部位に配置されて前記成形体から前記第１着色光を前記表面の前方に向かって取り出すための第２開口部を持つように構成されている、装飾成形品。
2. 前記加飾シートは、前記成形体と前記隠蔽層との間に形成され、電波を透過し且つ前記第１反射層で反射される前記第１着色光を前記第１反射層に向けて反射する第２反射層を有する、
   請求項１に記載の装飾成形品。
3. 前記第１着色部は、前記成形体の表面に設けられ、前記透光性フィルムに固着されて電波を透過し且つ前記第１開口部から入射した光に着色して第１着色光を発生させる前記加飾シートの第１着色層である、
   請求項１または請求項２に記載の装飾成形品。
4. 第２着色光を発生させる第２着色部を備え、
   前記第１反射層は、前記第２着色部に光を導ける位置に、前記第１開口部とは異なる第３開口部を持ち、
   前記加飾シートは、前記隠蔽層が、前記第１反射層で反射した前記第２着色光を前記第２開口部から前記表面の前方に向かって取り出すことができるように配置されている、
   請求項１から３のいずれか一項に記載の装飾成形品。
5. 前記第２開口部に対して、電波を透過し且つ前記成形体よりも透過率の低いスモーク部が配置されている、
   請求項１から４のいずれか一項に記載の装飾成形品。
6. 前記加飾シートは、前記成形体と前記隠蔽層との間に形成され、電波を透過し且つ前記第１反射層で反射される前記第１着色光を前記第１反射層に向けて反射する第２反射層を有し、
   前記加飾シートは、前記第２反射層が前記第２開口部を塞ぐように設けられ、前記第２反射層がスモーク部として機能する、
   請求項１に記載の装飾成形品。
7. 発光装置から照射される光によって特定部位を輝かせられる装飾成形品であって、
   所定形状に成形され、前記発光装置の光を透過できる透光性高分子を含む成形体と、
   前記成形体の表面に成形と同時に接着されている加飾シートと、
   前記成形体の裏面に第１開口部を持つように形成され、前記第１開口部から入射した光を反射する第１反射層と、
   前記第１開口部から入射した光に着色して第１着色光を発生させる第１着色部と、
   を備え、
   前記加飾シートは、光を透過する透光性フィルムと、前記透光性フィルムに固着されて前記第１着色光を遮蔽する隠蔽層とを有し、
   前記隠蔽層は、前記透光性フィルムの前記特定部位に配置されて前記成形体から前記第１着色光を前記表面の前方に向かって取り出すための第２開口部を持つように構成されている、装飾成形品。
8. 電波の送信及び受信無線装置の少なくとも一方を行う無線装置が扱う電波を透過させ、発光装置によって特定部位を輝かせられる装飾成形品の製造方法であって、
   加飾シートを金型にセットして型締めするステップと、
   前記金型のキャビティに溶融材料を射出して電波を透過し且つ前記発光装置の光を透過できる透光性高分子からなる成形体を成形するとともに前記成形体の表面に前記加飾シートを接着するステップと、
   前記成形体の裏面に第１開口部を持ち且つ電波を透過する第１反射層を形成するステップと
   を備え、
   前記加飾シートは、電波及び光を透過する透光性フィルムと、前記透光性フィルムに固着されて電波を透過し且つ前記第１開口部から入射した光に着色して第１着色光を発生させる第１着色層と、前記透光性フィルムに固着されて電波を透過し且つ前記第１着色光を遮蔽する隠蔽層と、前記成形体と前記隠蔽層との間に形成され、電波を透過し且つ前記第１反射層で反射される前記第１着色光を前記第１反射層に向けて反射する第２反射層とを有し、前記隠蔽層が、前記透光性フィルムの前記特定部位に配置されて前記成形体から前記第１着色光を前記表面の前方に向かって取り出すための第２開口部を持つように構成されている、装飾成形品の製造方法。
9. 前記第１反射層は、前記第１開口部とは異なる第３開口部を持ち、
   前記加飾シートは、前記第３開口部から入射した光に着色して第２着色光を発生させる第２着色層を有し、前記第２反射層が前記第２着色光を前記第１反射層に向けて反射するように配置され、前記隠蔽層が前記第２着色光を前記表面の前方に向かって取り出すことができるように構成されている、
   請求項８に記載の装飾成形品の製造方法。

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