JP2021173238A - 速度型圧縮機及び冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮過程で発生する過熱度を圧縮過程において効率的に取り除くための技術を提供する。【解決手段】本開示における速度型圧縮機3は、回転軸15及びインペラ16を含む回転体17と、回転体17の周囲に位置し、圧縮されるべき気相の作動流体が流れる冷媒流路18と、回転体17の内部において回転体17の軸方向に延びており、液相の作動流体が流れる主流路19と、回転体17の内部に位置し、主流路19から分岐して主流路19から冷媒流路18まで延びており、主流路19から冷媒流路18に液相の作動流体を導く噴射流路20と、噴射流路20から流入した液相の作動流体の旋回流を生成するように構成された旋回室54と、旋回室54と冷媒流路18とを連通するオリフィス52とを有し、噴射流路20の流出口20bに配置されたノズル50と、を備えている。【選択図】図2

Description

本開示は、速度型圧縮機及び冷凍サイクル装置に関する。
従来の冷凍サイクル装置として、2段の圧縮機を備え、1段目の圧縮機から吐出された冷媒蒸気が2段目の圧縮機に吸入される前に冷却されるように構成された空気調和装置が知られている。
図9は、特許文献1に記載された従来の空気調和装置の構成図である。空気調和装置500は、蒸発器510、遠心圧縮機531、蒸気冷却器533、ルーツ式圧縮機532及び凝縮器520を備えている。遠心圧縮機531が前段に設けられ、ルーツ式圧縮機532が後段に設けられている。蒸発器510は、飽和状態の冷媒蒸気を生成する。冷媒蒸気は、遠心圧縮機531に吸入され、圧縮される。遠心圧縮機531で圧縮された冷媒蒸気がルーツ式圧縮機532でさらに圧縮される。遠心圧縮機531とルーツ式圧縮機532との間に配置された蒸気冷却器533において、冷媒蒸気が冷却される。
特開2008−122012号公報
従来技術においては、圧縮過程で発生する過熱度を圧縮過程において効率的に取り除くことが望まれる。
本開示における速度型圧縮機は、
回転軸及びインペラを含む回転体と、
前記回転体の周囲に位置し、圧縮されるべき気相の作動流体が流れる作動流体流路と、
前記回転体の内部において前記回転体の軸方向に延びており、液相の作動流体が流れる主流路と、
前記回転体の内部に位置し、前記主流路から分岐して前記主流路から前記作動流体流路まで延びており、前記主流路から前記作動流体流路に前記液相の作動流体を導く噴射流路と、
前記噴射流路から流入した前記液相の作動流体の旋回流を生成するように構成された旋回室と、前記旋回室と前記作動流体流路とを連通するオリフィスとを有し、前記噴射流路の流出口に配置されたノズルと、
を備えている。
また、本開示における速度型圧縮機は、
回転軸及びインペラを含む回転体と、
前記回転体の周囲に位置し、圧縮されるべき気相の作動流体が流れる作動流体流路と、
前記回転体の内部において前記回転体の軸方向に延びており、液相の作動流体が流れる主流路と、
前記回転体の内部に位置し、前記主流路から分岐して前記主流路から前記作動流体流路まで延びており、前記主流路から前記作動流体流路に前記液相の作動流体を導く噴射流路と、
前記噴射流路の流出口に配置され、オリフィスを有するノズルと、
を備え、
前記ノズルのオリフィスは、34μm以下の開口直径を有している。
本開示によれば、圧縮過程で発生する過熱度を圧縮過程において効率的に取り除くことができる。
実施の形態における冷凍サイクル装置の構成図 圧縮機の縦断面図 III-III線に沿った回転体の断面図 ノズルの縦断面図 オリフィス板及びノズル本体の分解斜視図 液滴に作用する力を説明する図 液滴の追従性を示すグラフ 液滴の粒子径分布を示すグラフ 液滴の平均粒子径とオリフィスの開口直径の関係を示すグラフ 従来の冷凍サイクル装置の構成図
(本開示の基礎となった知見等)
本発明者らが本開示に想到するに至った当時、特許文献1に記載されているように、蒸気冷却器533において、ルーツ式圧縮機532に吸入されるべき冷媒の過熱度を低減する技術があった。しかし、遠心圧縮機531の圧縮過程で発生する過熱度、及び、ルーツ式圧縮機532の圧縮過程で発生する過熱度を圧縮過程において取り除くことができなかった。
本発明者らは、気相冷媒の過熱度を圧縮過程において取り除くべく、回転軸及びインペラを含む回転体の内部に流路を設け、回転体の内部の流路を通じて気相冷媒の冷媒流路に向けて液相冷媒を噴霧することを想到した。このような構成によれば、圧縮機が必要とする圧縮動力は、完全に断熱された等エントロピー圧縮に必要とされる圧縮動力未満まで低減されうる。
さらに、本発明者らは、噴霧された液相冷媒の液滴の粒子径が大きいと、液滴が気相冷媒の流れに追従せず、インペラの壁面に衝突する場合があることを見出した。インペラの壁面に衝突した液滴は、気相冷媒の冷却に寄与しない。
このような知見に基づき、本発明者らは、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、圧縮過程で発生する過熱度を圧縮過程において効率的に取り除くための技術を提供する。
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態)
以下、図1から図9を用いて、実施の形態を説明する。
[1−1.構成]
[1−1−1.冷凍サイクル装置の構成]
図1は、実施の形態における冷凍サイクル装置100の構成を示している。図1において、冷凍サイクル装置100は、蒸発器2、圧縮機3、凝縮器4及び冷媒供給路9を備えている。
圧縮機3は、吸入配管5によって蒸発器2に接続され、吐出配管6によって凝縮器4に接続されている。詳細には、蒸発器2の出口と圧縮機3の吸入口とに吸入配管5が接続されている。圧縮機3の吐出口と凝縮器4の入口とに吐出配管6が接続されている。凝縮器4は、戻し経路7によって蒸発器2に接続されている。蒸発器2、圧縮機3及び凝縮器4がこの順番で環状に接続されて冷媒回路8が形成されている。
蒸発器2において冷媒が蒸発し、気相冷媒が生成される。蒸発器2で生成された気相冷媒は、吸入配管5を通じて、圧縮機3に吸入されて圧縮される。圧縮された気相冷媒は、吐出配管6を通じて、凝縮器4に供給される。凝縮器4において気相冷媒が冷却されて凝縮し、液相冷媒が生成される。液相冷媒は、戻し経路7を通じて、凝縮器4から蒸発器2に送られる。
冷凍サイクル装置100の冷媒として、フロン系冷媒、低GWP(Global Warming Potential)冷媒及び自然冷媒を用いることができる。フロン系冷媒としては、HCFC(hydrochlorofluorocarbon)、HFC(hydrofluorocarbon)などが挙げられる。低GWP冷媒としては、HFO−1234yfなどが挙げられる。自然冷媒としては、CO2、水などが挙げられる。冷媒は、作動流体の一例である。
冷凍サイクル装置100には、例えば、常温(日本産業規格:20℃±15℃/JIS Z8703)での飽和蒸気圧が負圧(絶対圧で大気圧よりも低い圧力)の物質を主成分として含む冷媒が充填されている。このような冷媒としては、水を主成分として含む冷媒が挙げられる。「主成分」とは、質量比で最も多く含まれた成分を意味する。
冷媒として水を用いた場合、冷凍サイクルにおける圧力比が拡大し、冷媒の過熱度が過大になりがちである。本実施の形態では、圧縮機3の内部の冷媒流路に向かって液相冷媒が噴射され、圧縮過程での冷媒の過熱度の増加に起因する冷媒のエンタルピーの増加が連続的に抑制される。これにより、冷媒の圧力を所定圧力まで上昇させるために圧縮機3がなすべき仕事を大幅に低減できる。つまり、圧縮機3の消費電力を大幅に節約できる。
冷凍サイクル装置100は、さらに、吸熱回路11及び放熱回路12を備えている。
吸熱回路11は、蒸発器2で冷却された液相冷媒を使用するための回路であり、ポンプ、室内熱交換器などの必要な機器を有している。吸熱回路11の一部は蒸発器2の内部に位置している。蒸発器2の内部において、吸熱回路11の一部は、液相冷媒の液面よりも上方に位置していてもよいし、液相冷媒の液面よりも下方に位置していてもよい。吸熱回路11には、水、ブラインなどの熱媒体が充填されている。
本明細書において、「上方」及び「下方」は、鉛直方向における上方及び下方を意味する。
蒸発器2に貯留された液相冷媒は、吸熱回路11を構成する部材(配管)に接触する。これにより、液相冷媒と吸熱回路11の内部の熱媒体との間で熱交換が行われ、液相冷媒が蒸発する。吸熱回路11の内部の熱媒体は、液相冷媒の蒸発潜熱によって冷却される。例えば、冷凍サイクル装置100が室内の冷房を行う空気調和装置である場合、吸熱回路11の熱媒体によって室内の空気が冷却される。室内熱交換器は、例えば、フィンチューブ熱交換器である。
放熱回路12は、凝縮器4の内部の冷媒から熱を奪うために使用される回路であり、ポンプ、冷却塔などの必要な機器を有している。放熱回路12の一部は凝縮器4の内部に位置している。詳細には、凝縮器4の内部において、放熱回路12の一部は、液相冷媒の液面よりも上方に位置している。放熱回路12には、水、ブラインなどの熱媒体が充填されている。冷凍サイクル装置100が室内の冷房を行う空気調和装置である場合、凝縮器4は室外に配置され、放熱回路12の熱媒体によって凝縮器4の冷媒が冷却される。
圧縮機3から吐出された高温の気相冷媒は、凝縮器4の内部において、放熱回路12を構成する部材(配管)に接触する。これにより、気相冷媒と放熱回路12の内部の熱媒体との間で熱交換が行われ、気相冷媒が凝縮する。放熱回路12の内部の熱媒体は、気相冷媒の凝縮潜熱によって加熱される。気相冷媒によって加熱された熱媒体は、例えば、放熱回路12の冷却塔(図示せず)において外気又は冷却水によって冷却される。
蒸発器2は、例えば、断熱性及び耐圧性を有する容器によって構成されている。蒸発器2は、液相冷媒を貯留するとともに、液相冷媒を内部で蒸発させる。蒸発器2の内部の液相冷媒は、蒸発器2の外部からもたらされた熱を吸収し、蒸発する。すなわち、吸熱回路11から熱を吸収することによって加熱された液相冷媒が蒸発器2の中で蒸発する。本実施の形態において、蒸発器2に貯留された液相冷媒は、吸熱回路11を循環する熱媒体と間接的に接触する。つまり、蒸発器2に貯留された液相冷媒の一部は、吸熱回路11の熱媒体によって加熱され、飽和状態の液相冷媒を加熱するために使用される。蒸発器2に貯留された液相冷媒の温度、及び、蒸発器2で生成された気相冷媒の温度は、例えば5℃である。
本実施の形態において、蒸発器2は、間接接触型の熱交換器(例えば、シェルチューブ熱交換器)である。ただし、蒸発器2は、噴霧式又は充填材式の熱交換器のような直接接触型の熱交換器であってもよい。つまり、吸熱回路11に液相冷媒を循環させることによって、液相冷媒を加熱してもよい。さらに、吸熱回路11が省略されていてもよい。
圧縮機3は、蒸発器2で生成された気相冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機3は、速度型圧縮機(dynamic compressor)である。速度型圧縮機は、気相冷媒に運動量を与え、その後、減速させることによって気相冷媒の圧力を上昇させる圧縮機である。速度型圧縮機として、遠心圧縮機、斜流圧縮機、軸流圧縮機などが挙げられる。速度型圧縮機は、ターボ圧縮機とも呼ばれる。圧縮機3は、回転数を変化させるための可変速機構を備えていてもよい。可変速機構の例は、圧縮機3のモータを駆動するインバータである。圧縮機3の吐出口における冷媒の温度は、例えば100から150℃の範囲にある。
凝縮器4は、例えば、断熱性及び耐圧性を有する容器によって構成されている。凝縮器4は、圧縮機3で圧縮された気相冷媒を凝縮させるとともに、気相冷媒を凝縮させることによって生じた液相冷媒を貯留する。本実施の形態では、外部環境に熱を放出することによって冷却された熱媒体に気相冷媒が間接的に接触して凝縮する。つまり、気相冷媒は、放熱回路12の熱媒体によって冷却され、凝縮する。凝縮器4に導入される気相冷媒の温度は、例えば、100℃から150℃の範囲にある。凝縮器4に貯留された液相冷媒の温度は、例えば35℃である。
本実施の形態において、凝縮器4は、間接接触型の熱交換器(例えば、シェルチューブ熱交換器)である。ただし、凝縮器4は、噴霧式又は充填材式の熱交換器のような直接接触型の熱交換器であってもよい。つまり、放熱回路12に液相冷媒を循環させることによって、液相冷媒を冷却してもよい。さらに、放熱回路12が省略されていてもよい。
吸入配管5は、蒸発器2から圧縮機3に気相冷媒を導くための流路である。吸入配管5を介して、蒸発器2の出口が圧縮機3の吸入口に接続されている。
吐出配管6は、圧縮機3から凝縮器4に圧縮された気相冷媒を導くための流路である。吐出配管6を介して、圧縮機3の吐出口が凝縮器4の入口に接続されている。
戻し経路7は、凝縮器4から蒸発器2に液相冷媒を導くための流路である。戻し経路7によって、蒸発器2と凝縮器4とが接続されている。戻し経路7にポンプ、流量調整弁などが配置されていてもよい。戻し経路7は、少なくとも1つの配管によって構成されうる。
冷媒供給路9は、圧縮機3において圧縮過程にある気相冷媒に混合されるべき液相冷媒を圧縮機3に導くための流路である。本実施の形態では、冷媒供給路9は、凝縮器4と圧縮機3とを接続している。冷媒供給路9を通じて、凝縮器4に貯留された液相冷媒が圧縮機3に供給される。圧縮機3に供給された液相冷媒は、圧縮機3の内部において、気相冷媒が流れる冷媒流路に向かって噴射される。冷媒供給路9は、少なくとも1つの配管によって構成されうる。
冷媒供給路9の入口は、凝縮器4において、凝縮器4に貯留された液相冷媒の液面よりも下方に位置している。この場合、凝縮器4から圧縮機3に液相冷媒が安定的に供給されうる。冷媒供給路9には、ポンプ、弁などが配置されていてもよい。
冷凍サイクル装置100は、真空引き経路42をさらに備えている。真空引き経路42は、冷凍サイクル装置100の運転時に気相冷媒で満たされる気相空間に面する位置に設けられている。図1に示す例では、真空引き経路42が凝縮器4に接続されている。真空引き経路42は、蒸発器2、吸入配管5、圧縮機3又は吐出配管6に接続されていてもよい。真空引き経路42には、真空ポンプ401が着脱可能に設けられていてもよい。真空引き経路42には、弁が設けられていてもよい。冷凍サイクル装置100のメンテナンス終了後、真空引き経路42を通じて、気相空間から空気を排出することができる。
冷凍サイクル装置100は、液相冷媒を貯留する予備タンクを備えていてもよい。上記予備タンクは、例えば、蒸発器2に接続されている。この場合、上記予備タンクには、蒸発器2から液相冷媒が移される。
冷媒供給路9は、上記予備タンクから圧縮機3に液相冷媒が供給されるように、上記予備タンクと圧縮機3とを接続していてもよい。上記予備タンクは、吸入配管5に接続されていてもよい。この場合、上記予備タンクは、冷凍サイクル内から供給された液相冷媒を貯留してもよいし、吸入配管5の内周面等を介して外部熱源によって冷却されて生成した液相冷媒を貯留してもよい。
[1−1−2.圧縮機の構成]
次に、圧縮機3について詳細に説明する。
図2は、圧縮機3の縦断面図である。圧縮機3は、遠心圧縮機である。圧縮機3は、回転体17、ハウジング25、シュラウド26、軸受22及びノズル50を備えている。回転体17は、ハウジング25及びシュラウド26によって囲まれた空間に配置されている。ハウジング25の内部には、回転体17を回転させるためのモータ(図示省略)が配置されていてもよい。
回転体17は、回転軸15及びインペラ16を含む。インペラ16は、回転軸15に取り付けられており、回転軸15とともに高速で回転する。インペラ16は、回転軸15と一体に形成されていてもよい。回転軸15及びインペラ16の回転数は、例えば、5000rpmから100000rpmの範囲にある。回転軸15は、S45CHなどの強度の高い鉄系材料で作製されている。インペラ16は、例えば、アルミニウム、ジュラルミン、鉄、セラミックなどの材料で作製されている。
インペラ16は、ハブ31及び複数のブレード32を有する。ハブ31は、回転軸15に嵌め合わされた部分である。回転軸15の中心軸Oを含む断面において、ハブ31は、末広がりの輪郭を有している。複数のブレード32は、回転軸15の周方向に沿ってハブ31の表面31fに、間隔をあけて配置されている。
インペラ16の周囲の空間には、冷媒流路18、ディフューザ27及び渦巻室28が含まれる。冷媒流路18は、回転体17の周囲に位置し、圧縮されるべき気相冷媒が流れる流路である。冷媒流路18は、吸入流路29及び複数の翼間流路30を含む。吸入流路29は、気相冷媒の流れ方向において、ブレード32の上流端32tよりも上流側に位置している。翼間流路30は、回転軸15の周方向において互いに隣り合うブレード32の間に位置している。インペラ16が回転すると、複数の翼間流路30のそれぞれを流れる気相冷媒に回転方向の速度が与えられる。
ディフューザ27は、インペラ16によって回転方向に加速された気相冷媒を渦巻室28に導くための流路である。ディフューザ27の流路断面積は、冷媒流路18から渦巻室28に向かって拡大している。この構造は、インペラ16によって加速された気相冷媒の流速を減速させ、気相冷媒の圧力を上昇させる。ディフューザ27は、例えば、半径方向に延びる流路によって構成されたベーンレスディフューザである。冷媒の圧力を効果的に上昇させるために、ディフューザ27は、複数のベーン及びそれらによって仕切られた複数の流路を有するベーンドディフューザであってもよい。
渦巻室28は、ディフューザ27を通過した気相冷媒が集められる渦巻状の空間である。圧縮された気相冷媒は、渦巻室28を経由して、圧縮機3の外部である吐出配管6へと導かれる。渦巻室28の断面積は円周方向に沿って拡大している。これにより、渦巻室28における気相冷媒の流速及び角運動量が一定に保たれる。
シュラウド26は、インペラ16を覆って、冷媒流路18、ディフューザ27及び渦巻室28を画定している。シュラウド26は、鉄系材料又はアルミニウム系材料によって作製されている。鉄系材料として、FC250、FCD400、SS400などが挙げられる。アルミニウム系材料として、ACD12などが挙げられる。
ハウジング25は、圧縮機3の各種部品を収容するケーシングの役割を担っている。ハウジング25とシュラウド26とが組み合わされることによって、渦巻室28が形成されている。ハウジング25は、上述の鉄系材料又はアルミニウム系材料によって作製されうる。ディフューザ27がベーンドディフューザであるとき、複数のベーンも上述の鉄系材料又はアルミニウム系材料によって作製されうる。
ハウジング25の内部には、軸受22及びシール機構23が配置されている。軸受22は、回転体17を回転可能に支持している。軸受22は、滑り軸受であってもよく、転がり軸受であってもよい。軸受22が滑り軸受であるとき、潤滑剤として、冷凍サイクル装置100の冷媒を使用することができる。軸受22は、直接又は軸受箱(図示省略)を介してハウジング25に接続されている。シール機構23は、軸受22の潤滑剤がインペラ16に向かって流れることを阻止する。シール機構23としては、ラビリンスシール、シールリングなどが挙げられる。軸受22と回転軸15の隙間に軸受隙間が形成されている。潤滑水排出流路24は、軸受隙間を通った液相冷媒を凝縮器4へ導く流路である。冷媒供給路9から供給された液相冷媒が軸受隙間を通ることで、軸受22が潤滑され焼付きが防止されうる。
回転体17の内部には、主流路19及び噴射流路20が設けられている。主流路19は、回転体17の内部において、回転体17の軸方向に延びている。詳細には、主流路19は、回転軸15の内部に設けられており、回転軸15の軸方向に延びている。噴射流路20は、回転体17の内部において主流路19から分岐して主流路19から冷媒流路18まで延びている。主流路19は、冷媒供給路9を通じて、凝縮器4に接続されている。主流路19には、回転体17の外部に位置している冷媒供給路9から導入された液相冷媒が流れる。噴射流路20は、主流路19から冷媒流路18に液相冷媒を導く流路である。
主流路19は、回転軸15の端面15cに位置している流入口20aを有する。端面15cは、インペラ16が位置している側とは反対側に位置している端面である。流入口20aから主流路19に液相冷媒が導入される。このような構成によれば、液相冷媒を主流路19にスムーズに送り込むことが可能である。主流路19は、回転軸15の中心軸Oを含んでいる。回転軸15の横断面において、主流路19は、例えば、円形の断面形状を有する。回転軸15の横断面において、主流路19の中心が中心軸Oに一致している。ただし、主流路19の中心が回転軸15の中心軸Oからオフセットしていてもよい。回転軸15の軸方向において、主流路19は、インペラ16の上面16t付近まで延びている。
冷媒供給路9は、ハウジング25の接続口25aに接続されうる。ハウジング25の内部には接続口25aに連通しているバッファ室25hが設けられており、冷媒供給路9からバッファ室25hに液相冷媒が供給される。回転軸15の端面15cがバッファ室25hに面している。つまり、主流路19がバッファ室25hに向かって開口している。このような構成によれば、バッファ室25hを介して、液相冷媒を冷媒供給路9から主流路19にスムーズに送り込むことが可能である。
バッファ室25hが冷媒供給路9の一部であってもよい。
噴射流路20は、主流路19から分岐し、回転軸15の半径方向に延びている。噴射流路20の中の液相冷媒には遠心力が働く。液相冷媒は、遠心力によって冷媒流路18に噴射され、圧縮機3に吸入された気相冷媒に混合される。本実施の形態では、噴射流路20は、回転軸15の軸方向に垂直な方向に延びている。噴射流路20は、冷媒流路18に面している流出口20bを有する。流出口20bは、気相冷媒の流れ方向において、ブレード32の上流端32tよりも上流側に位置している。噴射流路20の流出口20bには、霧状の液相冷媒が冷媒流路18に供給されるように、ノズル50が配置されている。このような構成によれば、圧縮過程の気相冷媒から効率的に熱を奪うことが可能である。
本実施の形態において、流出口20bは、インペラ16のハブ31の表面31fに位置している。噴射流路20は、回転軸15の半径方向にハブ31を貫通している。このような構成によれば、気相冷媒がブレード32間の翼間流路30に侵入する前に気相冷媒と液相冷媒とを混合することができる。これにより、圧縮過程の気相冷媒から効率的に熱を奪うことが可能である。
流出口20bの位置は、図2に示す位置に限定されない。流出口20bは、気相冷媒の流れ方向において、ブレード32の上流端32tよりも下流側に位置していてもよい。さらに、流出口20bは、気相冷媒の流れ方向において、インペラ16の上面16tよりも上流側に位置していてもよい。この場合、流出口20bは、回転軸15の側面に位置しうる。これらの構成によっても、圧縮過程の気相冷媒から熱を奪うことが可能である。
本実施の形態において、流出口20bの流路断面積は、噴射流路20の流路断面積よりも大きい。流出口20bには、ノズル50が配置される。
噴射流路20の流路断面積は、主流路19の流路断面積よりも小さい。このような構成によれば、冷媒流路18に霧状の液相冷媒を供給しやすい。
図3は、III-III線に沿った回転体17の断面図である。本実施の形態において、複数(2以上)の噴射流路20が設けられている。複数の噴射流路20は、主流路19から放射状に延びている。噴射流路20のそれぞれから冷媒流路18に液相冷媒が噴射される。このような構成によれば、回転軸15の周方向において、気相冷媒を均一に冷却することができる。ただし、圧縮機3が少なくとも1つの噴射流路20を有していれば、上述の効果が得られる。
詳細には、回転軸15の周方向において、噴射流路20の流出口20bは、等角度間隔で並んでいる。噴射流路20の流出口20bは、周方向において隣り合うブレード32とブレード32との間に位置している。ノズル50を介して、各流出口20bから均一な流量にて液相冷媒が各翼間流路30に噴射される。このような構成によれば、回転軸15の周方向において、気相冷媒をより均一に冷却することができる。流出口20bの数は、翼間流路30の数と異なっていてもよく、翼間流路30の数に等しくてもよい。噴射流路20の流出口20bが翼間流路30に一対一で対応していてもよい。
複数のブレード32が複数のフルブレードと複数のスプリッタブレードとを含む場合、回転軸15の周方向において、周方向において隣り合うフルブレードとフルブレードとの間に流出口20bが位置していてもよい。あるいは、周方向において隣り合うフルブレードとスプリッタブレードとの間に流出口20bが位置していてもよい。スプリッタブレードは、フルブレードよりも短いブレードである。複数のフルブレード及び複数のスプリッタブレードは、回転軸15の周方向に沿ってハブ31の表面31fに交互に配置されうる。
本開示の圧縮機3の構造は、多段の圧縮機のそれぞれに適用可能である。各段の圧縮機において、所望の効果が得られる。例えば、圧縮機3が複数のインペラを含む多段圧縮機である場合、複数のインペラのそれぞれに噴射流路20が設けられ、各段の冷媒流路に液相冷媒が噴射されうる。
[1−1−3.ノズルの構成]
次に、ノズル50について詳細に説明する。
図4Aは、ノズル50の縦断面図である。図4Bは、オリフィス板51及びノズル本体53の分解斜視図である。ノズル50は、流入した液相冷媒に旋回運動を与え、中空円錐状の液相冷媒の膜を噴射することが可能な旋回流生成ノズルである。ノズル50から噴射された中空円錐状の液相冷媒の膜は、翼間流路30内の気相冷媒と相互作用して不安定になって***する。これにより、一定の粒子径分布を有する冷媒の液滴が形成される。
ノズル50は、オリフィス板51、ノズル本体53及び筒状部材58を有する。筒状部材58の内部にノズル本体53が挿し込まれている。筒状部材58の先端部59がノズル本体53に対するストッパとして機能するように、筒状部材58の先端部59における内径が縮径している。筒状部材58の先端部59とノズル本体53の先端部との間にオリフィス板51が保持されている。筒状部材58の内周面とノズル本体53の外周面53fとの間には、ノズル本体53の後端部から先端部に向かって延びるノズル流路57が確保されている。オリフィス板51、ノズル本体53及び筒状部材58は、例えば、ステンレスなどの耐食性に優れた金属材料で作製されている。
オリフィス板51は円板状の部材である。オリフィス板51の中心には、オリフィス板51を厚さ方向に貫通するオリフィス52が設けられている。オリフィス52は、ノズル本体53と冷媒流路18とを連通している。
ノズル本体53は、旋回室54及び旋回流路55を有する。旋回室54及び旋回流路55は、ノズル本体53の先端部に位置している。旋回室54に向かってオリフィス52が開口するように、オリフィス板51が旋回室54及び旋回流路55を覆っている。
旋回室54は、噴射流路20から流入した液相冷媒の旋回流を生成するように構成されている。旋回室54において、液相冷媒の圧力エネルギーが旋回速度エネルギーへと変換される。
旋回室54は、ノズル本体53の先端部の円形状の浅い凹部である。旋回流路55は、旋回室54から半径方向の外側に向かって延び、ノズル流路57に連通している。旋回流路55を通じて、ノズル流路57から旋回室54に液相冷媒が導かれる。詳細には、旋回流路55は、旋回室54の内周面54gの接線方向に液相冷媒を導くように設けられている。旋回流路55を介して液相冷媒が旋回室54に導かれることにより、旋回室54内において液相冷媒の旋回流が生成される。
本実施の形態では、旋回室54の周方向の複数箇所(例えば、2箇所)のそれぞれに旋回流路55が設けられている。このような構成によれば、旋回室54に流入した液相冷媒の旋回速度を効果的に上昇させることができる。複数の旋回流路55は、旋回室54の周方向において等角度間隔で設けられている。
ノズル本体53は、流入口56をさらに有する。流入口56から旋回流路55までノズル流路57が延びている。
流入口56は、ノズル本体53の後端部に位置しており、噴射流路20に面している。ノズル流路57は、流入口56から流入した液相冷媒を旋回室54に導く流路である。本実施の形態において、ノズル流路57は、ノズル本体53の外周面53fに、軸方向に延びる溝を形成することによって設けられている。ノズル流路57の後端は流入口56と接続している。ノズル流路57の先端は旋回流路55と接続している。ノズル50の軸方向は、回転軸15の半径方向に一致する。
筒状部材58は、ノズル本体53の外周面53fを覆うように設けられている。筒状部材58は円筒形状を有している。筒状部材58は、ノズル本体53の外周面53fに加えて、オリフィス板51をも覆っている。筒状部材58によって、ノズル流路57を流れる液相冷媒が外部に漏れるのが防止される。筒状部材58の外周面には、ネジ構造(図示せず)が設けられている。筒状部材58の先端部59には、軸方向に複数(例えば、4つ)の穴部59hが設けられている。複数の穴部59hは、筒状部材58の周方向において等角度間隔で設けられている。複数の穴部59hに挿入可能な複数の長尺状のピンを有する治具を使用して、筒状部材58は流出口20bにねじ込まれる。ネジの軸力により、オリフィス板51とノズル本体53とが隙間なく密着する。ねじ込みの際、筒状部材58のネジ構造に、必要に応じて接着剤を塗布して、緩み止めを行ってもよい。筒状部材58のこのような構造は、ノズル50を流出口20bに着脱可能にする。筒状部材58の外周面には、ネジ構造とは異なる位置に、流出口20bとのシール性をさらに向上させるためのOリング61が取り付けられている。
筒状部材58は、オリフィス52と冷媒流路18とを連通する噴射口60を有する。噴射口60は、すり鉢形状を有している。すり鉢形状は、冷媒流路18側の開口直径が大きくなるよう形成されている。
ノズル50は、フィルタ62をさらに備えている。フィルタ62は、ノズル本体53の後端部に取り付けられている。噴射流路20とノズル流路57との間にフィルタ62が位置している。液相冷媒に異物が含まれていたとしても、フィルタ62によって異物が除去されるので、オリフィス52が閉塞することを防止できる。フィルタ62は、例えば、ステンレス粉体などの金属粉体を原料とする多孔質の焼結金属体で作製されている。
[1−2.動作]
以上のように構成された冷凍サイクル装置100について、その動作を以下説明する。
冷凍サイクル装置100が一定期間(例えば夜間)放置された場合、冷凍サイクル装置100の内部の温度は、周囲温度に概ね均衡する。冷凍サイクル装置100の内部の圧力は、特定の圧力に均衡する。圧縮機3を起動すると、蒸発器2の内部の圧力が徐々に低下し、液相冷媒が内気と熱交換する吸熱回路11の熱媒体から吸熱することによって蒸発し、気相冷媒が生成される。気相冷媒は、圧縮機3に吸入されて圧縮され、圧縮機3から吐出される。高圧の気相冷媒は、凝縮器4に導入され、放熱回路12を介して気相冷媒が外気等に放熱することによって凝縮し、液相冷媒が生成される。液相冷媒は、戻し経路7を通じて、凝縮器4から蒸発器2へと送られる。
圧縮機3の内部においては、主流路19、噴射流路20及びノズル50を通じて、冷媒流路18に液相冷媒が噴射される。圧縮機3によって昇圧されて温度が上昇した気相冷媒と霧状の液相冷媒との間で熱交換が起こり、過熱状態の気相冷媒が霧状の液相冷媒の蒸発によって連続的に冷却される。圧縮過程での冷媒の過熱度の増加に起因する冷媒のエンタルピーの増加が連続的に抑制される。圧縮機3が必要とする圧縮動力は、完全に断熱された等エントロピー圧縮に必要とされる圧縮動力未満まで低減されうる。冷媒の圧力を所定圧力まで上昇させるために圧縮機3がなすべき仕事を大幅に低減できる。つまり、圧縮機3の消費電力を大幅に節約できる。その結果、冷凍サイクル装置100の効率が向上する。
ノズル50においては、圧縮機3の回転体17の回転による遠心力で加圧された液相冷媒が、噴射流路20を流れ、ノズル50に流入する。詳細には、流入口56から流入した液相冷媒は、フィルタ62を経てノズル流路57に流入する。液相冷媒は、ノズル流路57に沿って流れ、旋回流路55から旋回室54に流入する。液相冷媒は、旋回室54の内部で旋回しながら、オリフィス52に向かう。オリフィス52に近いほど旋回半径が小さいため、オリフィス52に到達した時点における液相冷媒の旋回速度は、噴射流路20からノズル本体53に流入した時点における液相冷媒の旋回速度よりも大きい。オリフィス52において、液相冷媒はオリフィス52の内壁に沿ってさらに旋回する。これにより、液相冷媒は、遠心力で中空円錐状の液膜となってオリフィス52から噴射される。噴射された液相冷媒の中空円錐状の液膜は、翼間流路30内部の気相冷媒との相互作用で不安定になり、さらに***して微細化された液滴が形成される。
ノズル50から噴射された液相冷媒の液滴は、ある粒子径分布を有する。液滴のザウタ平均粒子径(SMD)Dave(以下、単に「平均粒子径Dave」という。)は、下記式(1)で表されるロジン・ラムラー式から算出した液滴の粒子径分布に基づいて求められる。
Figure 2021173238
上記式(1)において、b及びnは粒子に依存するパラメータである。測定した液相冷媒の液滴の粒子分布結果をロジン・ラムラー線図にプロットし、線形回帰することで、粒子の粒子径分布を求めることができる。
次に、ノズル50から噴射された液相冷媒の液滴の追従性と、ノズル50のオリフィス52の開口直径との関係について詳細に説明する。
図5は、ノズル50から噴射された液相冷媒の液滴に作用する力を説明する図である。図5に示すように、インペラ16のブレード32の間に位置する翼間流路30に噴射された液相冷媒の液滴には、回転によるコリオリ力Fcと、気相冷媒との相対速度に起因する流体力Dとが作用する。液相冷媒の液滴がブレード32に衝突せずに翼間流路30を通過するには、流体力Dがコリオリ力Fcを上回る必要がある。
ここで、流体力Dとは、気相冷媒から液相冷媒の液滴に作用する抗力であって、下記式(2)で表される。
Figure 2021173238
コリオリ力Fcは、下記式(3)で表される。
Figure 2021173238
式(2)において、Cdは抗力係数であって、下記式(4)で表される。
Figure 2021173238
式(2)において、Sは液滴の代表面積であって、下記式(5)で表される。液滴の代表面積とは、液滴を正面から見たときの投影面積を意味する。
Figure 2021173238
式(2)及び(3)において、ρgは気相冷媒の密度である。Uは気相冷媒と液相冷媒の液滴の相対速度である。Dpは液相冷媒の液滴の粒子径である。Reはレイノルズ数である。μは気相冷媒の粘度である。mは液相冷媒の液滴の質量である。ρpは液相冷媒の液滴の密度である。ωはインペラの角速度である。
流体力Dがコリオリ力Fcよりも大きい場合、すなわち、式(3)で表されるコリオリ力Fcに対する式(2)で表される流体力Dの比の値が1以上である場合、液相冷媒の液滴はブレード32に衝突せずに翼間流路30を通過する。したがって、液相冷媒の液滴がブレード32に衝突せずに翼間流路30を通過するには、コリオリ力Fcに対する流体力Dの比の値D/Fcが下記式(6)を満たす必要がある。
Figure 2021173238
式(6)から下記式(7)が導かれる。粒子径Dpが下記式(7)を満たす場合、流体力Dがコリオリ力Fcを上回る。すなわち、液相冷媒の液滴の粒子径Dpが下記式(7)を満たす場合、ブレード32の形状に依らず、ノズル50から翼間流路30に噴射された液相冷媒の液滴がインペラ16の壁面に衝突することを回避できる。
Figure 2021173238
ここで、式(7)を満たす液相冷媒の液滴の粒子径Dpを最大粒子径Dmaxと定義する。最大粒子径がDmax以下であるときの上記液滴の平均粒子径をDaveと定義する。このとき、液滴の粒子径分布に対応した平均粒子径をDaveは、式(1)で表されるロジン・ラムラー式を用いて求めることができる。
求められた液滴の平均粒子径をDaveとオリフィス52の開口直径との関係から、平均粒子径をDave以下の液滴を生成可能なオリフィス52の開口直径を決定することができる。
次に、冷媒として水が使用された冷凍サイクル装置100における、ノズル50から噴射された液相冷媒の液滴の追従性と、ノズル50のオリフィス52の開口直径との関係について、さらに詳細に説明する。
例えば、冷凍能力が125RT、定格運転速度が1309rad/s(12500rpm/min)の圧縮機3を搭載する冷凍サイクル装置100において、気相冷媒の作動圧力が0.98kPaから5.24kPaの場合、気相冷媒の粘度μは9.38×10-6Pa・sから1.01×10-5Pa・sである。液相冷媒の液滴の密度ρpは999.9〜994.4kg/m3である。低作動圧力ほど、気相冷媒の粘度が低く、液相冷媒の密度が高いため、追従性に対して厳しい以下の条件を適用する。
〈条件〉
作動圧力:0.98kPa
気相冷媒の粘度μ:9.38×10-6Pa・s
液相冷媒の密度ρp:999.9kg/m3
上記条件を適用して式(7)の右辺を計算すると、8μmとなる。したがって、液相冷媒の液滴の粒子径Dpが8μm以下の場合に、式(7)が満たされることが分かる。すなわち、液相冷媒の液滴の最大粒子径Dmaxが8μm以下の場合に、流体力Dがコリオリ力Fcを上回り、ノズル50から翼間流路30に噴射された液相冷媒の液滴がインペラ16に衝突するのが抑制される。
図6は、計算結果に基づく、上記液滴の粒子径Dpとコリオリ力Fcに対する流体力Dの比の値の関係を示すグラフである。図6に示すように、水を冷媒とした場合、最大粒子径Dmaxが8μm以下の上記液滴は、コリオリ力Fcに対する流体力Dの比の値が1以上となり、気相冷媒への追従性を有する。
次に、図7を用いて、最大粒子径Dmaxが8μm以下であるときの、上記液滴の粒子径分布について説明する。ノズル50から噴射された液相冷媒の液滴の粒子径は一定ではなく、ある粒子径分布を有する。上記液滴の粒子径分布に対応した平均粒子径Daveは、式(1)で表されるロジン・ラムラー式を用いることにより求めることができる。
図7は、式(1)で表されるロジン・ラムラー式を用いて求めた上記液滴の粒子径分布を示すグラフである。図7に示すように、最大粒子径Dmaxが8μm以下となる上記液滴の平均粒子径Daveは、2.6μmである。
図8は、実験結果に基づく、オリフィス52の開口直径と上記液滴の平均粒子径Daveの関係を示すグラフである。図8より、水を冷媒とした場合、平均粒子径Daveが2.6μm以下の上記液滴を生成可能なオリフィス52の開口直径は34μm以下であることが分かる。
なお、オリフィス52の開口直径の下限値は、製造上の下限値に対応して設定され、例えば、1μmから5μmの間である。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、圧縮機3は、噴射流路20の流出口20bに配置されたノズル50を備え、ノズル50は、噴射流路20から流入した液相冷媒の旋回流を生成するように構成された旋回室54と、旋回室54と冷媒流路18とを連通するオリフィス52とを有している。このような構成によれば、旋回室54で液相冷媒を強制的に旋回させることで、オリフィス52から噴射される液相冷媒の微細化が促進されるので、冷媒流路18に噴射された冷媒の液滴は、圧縮された気相冷媒に追従しやすくなる。そのため、液相冷媒の液滴がインペラ16に衝突するのを抑制できるので、液相冷媒の気相冷媒の冷却への寄与度が向上し、圧縮過程で発生する過熱度を圧縮過程において効率的に取り除くことができる。また、冷媒液滴の衝突によるインペラのエロージョンも抑制される。
また、本実施の形態において、ノズル50は、旋回室54に液相冷媒を導く旋回流路55をさらに有していてもよく、旋回流路55は、旋回室54から半径方向の外側に向かって延びていてもよい。このような構成によれば、液相冷媒が旋回流路55を介して旋回室54に導かれることにより、旋回室54内において液相冷媒の旋回流が生成される。
さらに、本実施の形態において、ノズル50のオリフィス52は、34μm以下の開口直径を有している。このような構成によれば、冷媒として水が使用された場合、平均粒子径Daveが2.6μm以下の液滴を生成することができる。そのため、液滴がインペラ16に衝突することを回避できるので、液相冷媒の気相冷媒の冷却への寄与度が向上し、圧縮過程で発生する過熱度を圧縮過程において効率的に取り除くことができる。また、冷媒液滴の衝突によるインペラ16のエロージョンも抑制される。
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
以上のように、本開示にかかる冷凍サイクル装置は、空気調和装置、チラー、蓄熱装置などに有用である。空気調和装置は、例えば、ビルのセントラル空調に使用される。チラーは、例えば、プロセス冷却の用途で使用される。
2 蒸発器
3 圧縮機
4 凝縮器
5 吸入配管
6 吐出配管
7 戻し経路
8 冷媒回路
9 冷媒供給路
11 吸熱回路
12 放熱回路
15 回転軸
15c 端面
16 インペラ
16t 上面
17 回転体
18 冷媒流路
19 主流路
20 噴射流路
20a 流入口
20b 流出口
22 軸受
23 シール機構
24 潤滑水排出流路
25 ハウジング
25a 接続口
25h バッファ室
26 シュラウド
27 ディフューザ
28 渦巻室
29 吸入流路
30 翼間流路
31 ハブ
31f 表面
32 ブレード
32t 上流端
42 真空引き経路
401 真空ポンプ
50 ノズル
51 オリフィス板
52 オリフィス
53 ノズル本体
53f 外周面
54 旋回室
54g 内周面
55 旋回流路
56 流入口
57 ノズル流路
58 筒状部材
59 先端部
59h 穴部
60 噴射口
61 Oリング
62 フィルタ
100 冷凍サイクル装置

Claims (5)

  1. 回転軸及びインペラを含む回転体と、
    前記回転体の周囲に位置し、圧縮されるべき気相の作動流体が流れる作動流体流路と、
    前記回転体の内部において前記回転体の軸方向に延びており、液相の作動流体が流れる主流路と、
    前記回転体の内部に位置し、前記主流路から分岐して前記主流路から前記作動流体流路まで延びており、前記主流路から前記作動流体流路に前記液相の作動流体を導く噴射流路と、
    前記噴射流路から流入した前記液相の作動流体の旋回流を生成するように構成された旋回室と、前記旋回室と前記作動流体流路とを連通するオリフィスとを有し、前記噴射流路の流出口に配置されたノズルと、
    を備えた、速度型圧縮機。
  2. 前記ノズルは、前記旋回室に前記液相の作動流体を導く旋回流路をさらに有し、
    前記旋回流路は、前記旋回室から半径方向の外側に向かって延びている、請求項1に記載の速度型圧縮機。
  3. 前記ノズルのオリフィスは、34μm以下の開口直径を有する、請求項1又は2に記載の速度型圧縮機。
  4. 回転軸及びインペラを含む回転体と、
    前記回転体の周囲に位置し、圧縮されるべき気相の作動流体が流れる作動流体流路と、
    前記回転体の内部において前記回転体の軸方向に延びており、液相の作動流体が流れる主流路と、
    前記回転体の内部に位置し、前記主流路から分岐して前記主流路から前記作動流体流路まで延びており、前記主流路から前記作動流体流路に前記液相の作動流体を導く噴射流路と、
    前記噴射流路の流出口に配置され、オリフィスを有するノズルと、
    を備え、
    前記ノズルのオリフィスは、34μm以下の開口直径を有する、速度型圧縮機。
  5. 蒸発器と、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の速度型圧縮機と、
    凝縮器と、
    を備えた、冷凍サイクル装置。
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