JP2021171962A - ヒートシール用フィルムおよび包装材料 - Google Patents

ヒートシール用フィルムおよび包装材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2021171962A
JP2021171962A JP2020075897A JP2020075897A JP2021171962A JP 2021171962 A JP2021171962 A JP 2021171962A JP 2020075897 A JP2020075897 A JP 2020075897A JP 2020075897 A JP2020075897 A JP 2020075897A JP 2021171962 A JP2021171962 A JP 2021171962A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
thermoplastic polyester
polyester resin
sealing
sealing film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020075897A
Other languages
English (en)
Inventor
由実 伊藤
Yoshimi Ito
悟史 河村
Satoshi Kawamura
優斗 佐藤
Yuto Sato
伸一郎 船岡
Shinichiro Funaoka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Kohan Co Ltd
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Kohan Co Ltd
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Kohan Co Ltd, Toyo Seikan Kaisha Ltd filed Critical Toyo Kohan Co Ltd
Priority to JP2020075897A priority Critical patent/JP2021171962A/ja
Priority to PCT/JP2021/016331 priority patent/WO2021215507A1/ja
Publication of JP2021171962A publication Critical patent/JP2021171962A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/36Layered products comprising a layer of synthetic resin comprising polyesters
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D65/00Wrappers or flexible covers; Packaging materials of special type or form
    • B65D65/38Packaging materials of special type or form
    • B65D65/40Applications of laminates for particular packaging purposes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G63/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G63/66Polyesters containing oxygen in the form of ether groups
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L67/00Compositions of polyesters obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L67/02Polyesters derived from dicarboxylic acids and dihydroxy compounds
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/80Packaging reuse or recycling, e.g. of multilayer packaging

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】リサイクル性に優れ環境負荷を低減させることが可能なヒートシール用フィルムであって、短い圧着時間で強いヒートシール強度が得られ、さらに、高温でのレトルト処理に耐える耐熱性を有するヒートシール用フィルムおよび包装材料を提供する。【解決手段】ヒートシール用フィルム10、10’は、基材層11、11’の片側あるいは両側にポリオキシアルキレングリコールをジオール成分として含む熱可塑性ポリエステル系樹脂を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂層12、12’が設けられたヒートシール用フィルムであって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂は、溶融後、200℃/分で−50℃まで急冷後、10℃/分で昇温した時に観測されるガラス転移温度(Tg)が50℃以下、150℃以上の融点(Tm)が観測され、かつ融解熱ΔHが0J/gを超えて20J/g以下であるものであることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、袋状に成形される包装袋用や、容器本体に溶融接着されて使用される蓋材用のヒートシール用フィルム、および、包装材料に関する。
従来、食品、医薬品等の包装材として、フィルム基材にヒートシール層を設けた積層フィルム(ヒートシール用フィルム)が用いられている。そして、これらの包装材は、ヒートシール層同士を圧着加熱することにより溶融接着(ヒートシール)して開口部を残した袋状あるいは容器状に仕立てられ、開口部から内容物を入れた後、開口部のヒートシール層同士をさらに圧着加熱し、ヒートシール層を溶融、接着させることにより内容物を密封することができる。
このフィルム基材としては、強度や耐熱性、ガスバリア性等の観点から、ポリエステル系フィルムが広く用いられている。一方、ヒートシール層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、アイオノマー、EMMA等のコポリマー樹脂からなる層が用いられている。これらの樹脂は、ヒートシールにより高い密着強度を達成することができることが知られている。
一方、近年、海洋プラスチックゴミ問題に代表されるように、プラスチック廃棄物による環境汚染が社会問題となっている。このため、プラスチック製品のリサイクルが進められている。プラスチック製の包装材料は、求められる性能や機能に合わせて複数のプラスチック素材を複合して製造される。プラスチック製品のリサイクルにおいて高品質の製品に再生するためには、包装材料は単一のプラスチック素材よりなるものであることが好ましく、複数のプラスチック素材からなる製品は、それを構成するプラスチック素材に分離することが難しいため、品質の低いプラスチック製品に再生されるか、あるいは焼却処分されるしかない。
このため、ヒートシール用フィルムにおいても、リサイクル性を高めるため、フィルム基材とヒートシール層とが互いに同じ種類の樹脂を使用することが望まれている。
一般的に、ヒートシールは、ヒートシール用フィルムのヒートシール層と、別のヒートシール用フィルムのヒートシール層あるいはフィルム基材面とを重ね合わせ、ヒートシーラーで圧着加熱することによって実施される。このときのヒートシーラーの温度はフィルム基材を形成する材料の融点未満、ヒートシール層を形成する材料の融点以上の温度であって、圧着時間は0.1秒間〜数秒間と短く、特に生産効率が重要視される近年、短い圧着時間で強いヒートシール強度が得られるヒートシール用フィルムが求められている。
さらに、ヒートシール用フィルムは、レトルト食品のパッケージングに用いられるレトルトパウチ等にも用いられる。このため、ヒートシール用フィルムには、レトルト処理(120〜135℃)に耐えられる耐熱性が必要とされ、ヒートシール層を形成する樹脂は、融点が150℃以上のものであることが求められる。
ポリエステル系フィルムの材料として一般的に用いられているポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が70℃、融点(Tm)が250℃と高く、さらに融解熱ΔHが大きいため、溶融させるためには高温かつ長時間の加熱が必要とされるので、ヒートシール層を形成する材料としては適していない。また、エンジニアリングプラスチックとして広く用いられているポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が40℃、融点(Tm)が220℃とPET樹脂よりも低いため、フィルム基材としてPETフィルムを用いたときのヒートシール層の材料として採用することも不可能ではないが、融解熱ΔHが大きいため、ヒートシール層として実用化することは難しい。
そこで、PETやPBTにイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等を共重合したポリエステル系樹脂からなるヒートシール層に用いたヒートシール用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。さらに、これらの中には、ヒートシールした際のヒートシール強度が高くなる条件として、ガラス転移温度(Tg)、結晶融解熱を特定の範囲に設計することが提案されており、例えば、特許文献1には、溶融温度が125℃以上、ガラス転移温度(Tg)が40℃以下、結晶融解熱が4cal/g以下の共重合樹脂からなるヒートシール層が開示されている。また、特許文献2には、結晶化熱(ΔH)が10J/g未満の非晶性ポリエステル共重合体または低結晶性ポリエステル共重合体からなるポリエステル系フィルムを積層した積層ポリエステルフィルムが提案されている。
また、共重合成分として、ポリオキシアルキレングリコールを共重合したポリエステル樹脂からなる樹脂層を積層したフィルムも知られている(例えば、特許文献3,4参照。)。このポリエステル樹脂は、特許文献3および特許文献4に開示されているように、高融点結晶性セグメントと低融点非晶性セグメントからなるブロック共重合体であり、融点が180℃以上で、これをフィルム基材上に積層したヒートシール用フィルムは、レトルト温度に耐えることができる。
特許第2714866号公報 特許第3137450号公報 特公昭54−3498号公報 特公昭55−1929号公報
しかしながら、例えば特許文献1に開示されているように、PETやPBTにイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸を共重合して、結晶融解熱を4cal/g以下にした樹脂は、融点が132℃未満となるので、これをヒートシール層として用いたヒートシール用フィルムから作製した包装袋(パウチ)はレトルト処理に耐えられない。
ヒートシール用フィルムの耐熱性を向上させるために、ヒートシール層を形成する樹脂におけるイソフタル酸、アジピン酸等の共重合比率を下げると、樹脂の融点は高くなるものの結晶融解熱も高くなるため、短い圧着時間ではヒートシール層を十分に溶融させることができずに、その結果、高いヒートシール強度を発現することができない、という問題がある。
また、上述のように共重合成分としてポリオキシアルキレングリコールを共重合したポリエステルを用いたヒートシール層においては、180℃以上の融点が得られるので、これをフィルム基材に積層したヒートシール用フィルムはレトルト温度に耐えることができるが、やはり短い圧着時間では強いヒートシール強度が得られない。
本発明は、上述の問題点を解決するものであり、リサイクル性に優れて環境負荷を低減させることが可能なヒートシール用フィルムであって、短い圧着時間で強いヒートシール強度が得られ、さらに、高温でのレトルト処理に耐える耐熱性を有するヒートシール用フィルムおよび包装材料を提供することを目的とする。
本発明のヒートシール用フィルムは、基材層の片側あるいは両側にポリオキシアルキレングリコールをジオール成分として含む熱可塑性ポリエステル系樹脂を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂層が設けられたヒートシール用フィルムであって、
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂は、溶融後、200℃/分で−50℃まで急冷後、10℃/分で昇温した時に観測されるガラス転移温度(Tg)が50℃以下、150℃以上の融点(Tm)が観測され、かつ融解熱ΔHが0J/gを超えて20J/g以下であるものであることを特徴とする。
本発明のヒートシール用フィルムにおいては、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂が、テレフタル酸を主なジカルボン酸成分として含み、エチレングリコールおよび/または1,4−テトラメチレングリコールを主なジオール成分として含むものであることが好ましい。
また、本発明のヒートシール用フィルムにおいては、前記融解熱ΔHが、0J/gを超えて10J/g以下であることが好ましい。
また、本発明のヒートシール用フィルムにおいては、前記融解熱ΔHが、0J/gを超えて5J/g以下であることがさらに好ましい。
また、本発明のヒートシール用フィルムにおいては、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂が、テレフタル酸を主なジカルボン酸成分として含み、1,4−テトラメチレングリコールを主なジオール成分として含み、かつ、前記ポリオキシアルキレングリコールとしてポリテトラメチレングリコールをジオール成分として含む熱可塑性ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
また、本発明のヒートシール用フィルムにおいては、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂中のポリテトラメチレングリコール成分の含有量が30質量%以上、あるいは、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂中のポリテトラメチレングリコール成分の含有量が10質量%以上かつイソフタル酸成分の含有量が20モル%以上であることが好ましい。
また、本発明のヒートシール用フィルムにおいては、前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート系フィルムおよび/またはポリブチレンテレフタレート系フィルムであることが好ましい。
また、本発明のヒートシール用フィルムにおいては、前記基材層が、無延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルムであることが好ましい。
本発明の包装材料は、上記のヒートシール用フィルムを含むことを特徴とする。
本発明の包装材料は、包装袋、または、密封容器の蓋材である構成とすることができる。
本発明のヒートシール用フィルムおよび包装材料によれば、基材層の片側あるいは両側に熱可塑性ポリエステル系樹脂層がヒートシール層として設けられていることによって、基材層をポリエステル系樹脂によって形成すればヒートシール用フィルム全体がポリエステル系樹脂を主材料として構成されることとなるので、容易に高品質のポリエステル系材料やポリエステル系製品に再生することができて優れたリサイクル性が得られ、その結果、環境負荷を低減させることができる。しかも、上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ポリオキシアルキレングリコールをジオール成分として含み、特定のガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)および融解熱ΔHを示すものであることによって、短い圧着時間で強いヒートシール強度が得られるとともに高温でのレトルト処理に耐える耐熱性が得られ、その結果、包装材料において内容物の漏洩の発生を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る包装材料の製造工程を示す概略断面図である。
〔ヒートシール用フィルム〕
本発明の一実施形態に係るヒートシール用フィルムは、図1に示すように、基材層11の片側にポリオキシアルキレングリコールをジオール成分として含む熱可塑性ポリエステル系樹脂を含有するヒートシール層(熱可塑性ポリエステル系樹脂層)12が設けられた積層フィルムである。
〔ヒートシール層〕
ヒートシール層12は、ポリオキシアルキレングリコールをジオール成分として含み、溶融後、200℃/分で−50℃まで急冷後、10℃/分で昇温した時に観測されるガラス転移温度(Tg)が50℃以下、150℃以上の融点(Tm)が観測され、かつ融解熱ΔHが0J/gを超えて20J/g以下である熱可塑性ポリエステル系樹脂(以下、「特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂」ともいう。)を含有する。
〔特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂〕
特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、一般的にテレフタル酸等のジカルボン酸成分と、エチレングリコール、1,4−テトラメチレングリコール等のジオール成分、更に必要に応じて用いられるその他の成分とをエステル化反応および/またはエステル交換反応させた後、重縮合反応することにより得られるものである。
特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂にジオール成分として含まれるポリオキシアルキレングリコールは、エチレン、プロピレン、テトラメチレン(ブチレン)等がエーテル結合でつながったポリエーテルであり、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)などが挙げられる。この中でもポリテトラメチレングリコールがジオール成分として含まれていることが好ましい。ポリオキシアルキレングリコールとしては、平均分子量が500〜2,000のものが好ましく、特に好ましくは500〜1,000のものである。ポリオキシアルキレングリコールの平均分子量が500未満である場合は、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点が低くなって耐熱性が低下するおそれがある。一方、ポリオキシアルキレングリコールの平均分子量が2,000を超える場合は、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点が高くなって短い圧着時間では十分なヒートシール強度が得にくくなる。
特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、溶融後、200℃/分で−50℃まで急冷後、10℃/分で昇温した時に観測されるガラス転移温度(Tg)が50℃以下、150℃以上の融点(Tm)が観測され、かつ融解熱ΔHが0J/gを超えて20J/g以下のものであり、好ましくは融解熱ΔHが、10J/g以下、より好ましくは5J/g以下のものである。ガラス転移温度(Tg)が50℃を超える場合は、熱可塑性ポリエステル系樹脂が軟化しにくくなり、短い圧着時間では十分なヒートシール強度を得にくくなる。また、融点(Tm)が観測されない、すなわち融解熱ΔHが0J/gである場合、あるいは融点(Tm)が150℃未満である場合は、この熱可塑性ポリエステル系樹脂をヒートシール層として用いたヒートシール用フィルムから作製したパウチが十分な耐熱性が得られずにレトルト処理に耐えられないおそれがある。さらに、融解熱ΔHが20J/gを超える場合は、熱可塑性ポリエステル系樹脂が溶融するまでに時間がかかるため、短い圧着時間では十分なヒートシール強度を得にくくなる。
特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂を形成するためのジカルボン酸成分およびジオール成分としては、ポリオキシアルキレングリコール成分以外の成分については、熱可塑性ポリエステル系樹脂が上記のガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)および融解熱ΔHの範囲となる成分であれば特に限定されないが、テレフタル酸を主なジカルボン酸成分として含み、エチレングリコールおよび/または1,4−テトラメチレングリコールを主なジオール成分として含むものが好ましい。テレフタル酸成分の含有量は、熱可塑性ポリエステル系樹脂の全ジカルボン酸成分の50モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは70モル%以上である。テレフタル酸成分の含有量が50モル%を下回る場合は、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点(Tm)が低下し、これを積層したヒートシール用フィルムをヒートシールして得られるパウチがレトルト処理に耐えられないものとなる。また、同様の理由で、エチレングリコールおよび1,4−テトラメチレングリコールの含有割合は、熱可塑性ポリエステル系樹脂の全ジオール成分を100モル%とし、ポリオキシアルキレングリコールの割合をxモル%としたとき、(100−x)モル%の7割以上であることが好ましい。さらに、エチレングリコールと1,4−テトラメチレングリコールは共存してもよいが、それらの割合は、得られる熱可塑性ポリエステル系樹脂が上述のガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)および融解熱ΔHの範囲を満たす範囲とされる。
特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂を形成するための上述したポリオキシアルキレングリコール、テレフタル酸、エチレングリコールおよび/または1,4−テトラメチレングリコール以外の成分の例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等のジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等のジオール成分、トリメリット酸、ペンタエリスリトール等の多官能化合物成分が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、これらを共重合することにより、得られる熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点や結晶性、柔軟性を調整することができる。
また、特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、他の樹脂との接着性を向上させるため、無水マレイン酸等で変性したものであってもよい。
特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂の好ましい樹脂組成としては、テレフタル酸を主なジカルボン酸成分とするとともに1,4−テトラメチレングリコールを主なジオール成分とし、ジオール成分として含むポリテトラメチレングリコール成分の含有量が30質量%以上、あるいは、ポリテトラメチレングリコール成分の含有量が10質量%以上かつイソフタル酸成分の含有量が20モル%以上である組成である。イソフタル酸成分が含有されておらず、ポリテトラメチレングリコール成分の含有量が30質量%未満である場合、あるいは、イソフタル酸成分が20モル%以上含まれている場合であってもポリテトラメチレングリコール成分の含有量が10質量%未満である場合、さらにポリテトラメチレングリコール成分の含有量が10質量%以上、30質量%未満であってイソフタル酸成分の含有量が20モル%未満である場合は、いずれも、融解熱ΔHが20J/gを超える熱可塑性ポリエステル系樹脂となるため、樹脂が溶融するまでに時間を要し、短い圧着時間では十分なヒートシール強度を得にくくなる。
特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、サイズ排除クロマトグラフ法(SEC)で求められるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が50,000〜200,000であることが好ましく、70,0000〜150,000であることがより好ましい。
特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂には、当該特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂よりなるフィルムを重ね合わせた際にフィルム同士が固着することを防止するための滑材や他の樹脂、光安定剤、相溶化剤、可塑剤、帯電防止剤、反応触媒、着色防止剤、ラジカル禁止剤、帯電防止剤、末端封鎖剤、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、難燃剤、抗菌剤、抗黴剤等が添加されていてもよい。
ヒートシール層(熱可塑性ポリエステル系樹脂層)12は、上記の特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂のみからなるものであってもよく、特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂とその他の樹脂との混合物からなるものであってもよい。その他の樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の熱可塑性ポリエステル系樹脂であることが好ましい。また、このその他の樹脂は、親水性シリカ等が混合された混合樹脂であってもよい。
〔基材層〕
ヒートシール層12とともにヒートシール用フィルム10を構成する基材層11としては、得られるヒートシール用フィルム10に要求される引張強度や突き刺し強さ等の機械物性、耐熱性、耐薬品性などを満たすものであれば、特に限定されない。例えば、延伸ナイロン、延伸ポリエチレンテレフタレート、その他の樹脂、金属、紙等の材料よりなるものが挙げられる。さらに、リサイクル性を高める観点から、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリブチレンテレフタレート系フィルム等のポリエステル系フィルムを用いることが好ましく、より好ましくは無延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルムである。さらに、これらのポリエステル系フィルムは、機械物性および耐熱性の観点から、ホモポリマー(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)からなるものであることが好ましく、イソフタル酸等のジカルボン酸や1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等のジオール、トリメリット酸、ペンタエリスリトール等の多官能化合物等の共重合成分の含有量は最小限とすることが望ましい。
また、基材層11は、ヒートシールしたときに溶融しないよう、例えば200℃以上の融点を有する材料よりなることが好ましい。
基材層11には、光安定剤、耐衝撃改良剤、相溶化剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、反応触媒、着色防止剤、ラジカル禁止剤、帯電防止剤、末端封鎖剤、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、難燃剤、抗菌剤、抗黴剤等が添加されていてもよい。
基材層11とヒートシール層12とを積層してヒートシール用フィルム10を製造する方法は、特に限定されず、特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂を溶剤に溶解した溶解液を基材層11の片面あるいは両面の塗布した後に乾燥する方法、特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂をフィルム状に成形し、接着剤等を用いて基材層11と貼り合わせる方法、特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂と基材層11を形成するための樹脂とを別々の押出機に供給、溶融させた後、Tダイより共押出して積層する方法等が挙げられる。
これらの中でも、溶剤や接着剤を必要とせず、フィルムを貼り合わせる工程も不要な共押出しによる方法が、環境負荷が少なく生産効率も高い観点から、特に好ましい。さらに、共押出による方法を用いる場合、基材層11を形成する材料としてポリブチレンテレフタレート系樹脂を用いると、ヒートシール層12を形成するための特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂と共押出しした後、そのまま冷却、巻き取ることで、基材層11が結晶化し、耐熱性および機械強度に優れるフィルムとなることから、更に好ましい。
〔包装材料〕
本発明の包装材料は、上記のヒートシール用フィルム10を含む包装材料である。具体的には、レトルトパウチ等の包装袋や、密封容器を形成するための、容器本体の開口部を塞ぐための蓋材などが挙げられる。
包装袋は、例えば図1に示されるように、ヒートシール用フィルム10および別のヒートシール用フィルム10’を、ヒートシール層12およびヒートシール層12’同士が対向するよう重ね合わせ、外側(基材層11および基材層11’側)から、袋状をなすよう周囲をヒートシーラー13によって加熱圧着することによって、ヒートシール層12およびヒートシール層12’が溶融接着(ヒートシール)される。このように2枚のヒートシール用フィルム10,10’の周囲を接着することにより内容物を密封するための包装材料を作製することができる。ヒートシーラー13による加熱温度は例えば160〜210℃であり、圧着する圧力は例えば0.1〜1MPaであり、圧着時間は例えば0.1〜3秒間である。
ヒートシール用フィルム10を蓋材として用いた密封容器は、容器本体に内容物を収容し、容器本体の開口部の縁フランジ上にヒートシール用フィルム10をヒートシール層12がこの縁フランジに接触する状態で配置して加熱圧着することにより、ヒートシール用フィルム10がヒートシールされ、これにより内容物を密封することができる。このような密封容器の容器本体は、リサイクル性の観点から、例えばPET等のポリエステル系樹脂よりなるものであることが好ましい。
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
例えば、本発明のヒートシール用フィルムは、基材層の片側のみにシーラント層が設けられた構成に限定されず、基材層の両側にシーラント層が設けられた構成を有していてもよい。
また例えば、本発明のヒートシール用フィルムは、ヒートシール層と基材層との間に適宜のバリア層等の中間層が介在されたものであってもよい。
さらに、本発明のヒートシール用フィルムは、基材層の片側にヒートシール層が設けられ、その反対側には印刷層やバリア層などが設けられた構成を有していてもよい。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例における、熱可塑性ポリエステル系樹脂の樹脂組成の分析方法、ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)、融解熱(ΔH)の測定方法、ヒートシール用フィルムのヒートシール強度の測定方法、包装材料の耐熱性の測定方法は、以下のとおりである。
<熱可塑性ポリエステル系樹脂の樹脂組成>
熱可塑性ポリエステル系樹脂を重トリフルオロ酢酸に溶解し、さらに重クロロホルム(トリメチルシラン0.1質量%含有)によって希釈し、核磁気共鳴分析装置(商品名「JNM−ECZ400S」、日本電子社製)を用いて、プロトンNMRスペクトルを測定することにより、樹脂組成を分析して算出した。
<熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)、融解熱ΔH>
示差走査熱量計(商品名「DSC8500」、パーキンエルマー社製)を用いて、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点を超える温度(200〜250℃)で溶融後、200℃/分で−50℃まで冷却する。そして、−50℃から熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点を超える温度(200〜250)℃まで10℃/分で昇温したときに観測されるガラス転移の補外開始温度をガラス転移温度(Tg)とし、融解ピークのピークトップの温度を融点(Tm)とし、融解ピークとベースラインとによって囲まれた部分の面積から融解熱ΔHを求めた。
<ヒートシール用フィルムのヒートシール強度>
ヒートシール用フィルムから20mm×80mmに切り出した2枚を、熱可塑性ポリエステル系樹脂を含有する樹脂層同士が対向する状態に重ねた。そして、ヒートシーラーによって、シール幅10mm、シール温度210℃(片面)、シール圧0.3MPaにて1秒間圧着することによりヒートシールした。次いで、JIS Z1707(食品包装用プラスチックフィルム通則 7.5 ヒートシール強さ試験)に基づき、ヒートシールしたヒートシール用フィルムから、ヒートシール部(長さ10mm)とヒートシールされていない非シール部(長さ70mm)からなる、長さ80mm、幅15mmの試験片を切り取った。そして、この試験片を、ヒートシール部を中央にして、180°に開き、その両端を引張試験機の両つかみ部に取り付け、速度300mm/分でヒートシール部が破断するまで引っ張った際の最大荷重を求めた。
<耐熱性>
ヒートシール用フィルムから140mm×170mmに切り出した2枚を、熱可塑性ポリエステル系樹脂を含有する樹脂層同士が対向する状態に重ねた。次いで、3辺をヒートシーラーによって、シール幅5mm、シール温度210℃(片面)、シール圧0.3MPaにて1秒間圧着することによりヒートシールして包装袋を作製した。この包装袋の開口部より水を200g入れた後、開口部を同様にヒートシールして密封した後、レトルト釜にて127℃で30分間レトルト処理を行った。この時、ヒートシール部の剥離による内容物(水)の漏洩の有無および外観を、下記の評価基準に従って評価した。
−評価基準−
〇:内容物の漏洩なし、外観変化なし
△:内容物の漏洩なし、外観変化あり
×:内容物の漏洩あり
−:評価実施できず
〔実施例1〕
熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P1〕(商品名「ハイトレル2551」、東レ・デュポン株式会社製)を二軸押出機のホッパーから供給し、270℃で溶融し、Tダイにより膜状に押出してキャストロールで冷却固化することで、厚さ40μmのフィルムを製造した。このフィルムに接着剤(主剤:タケラックA−315、硬化剤:タケネートA−50、いずれも三井化学社製)を塗布後、厚さ34μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに接着し、37℃で5日間以上静置することにより硬化させ、ヒートシール用フィルムを作製した。熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P1〕は、ポリオキシアルキレングリコールであるポリテトラメチレングリコール成分が含まれ、ガラス転移温度(Tg)が−3℃、融点(Tm)が158℃、融解熱ΔHが0.3J/gであった。この熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P1〕の樹脂組成は、表1に記載のとおりであった。このヒートシール用フィルムのヒートシール強度は44.8(N/15mm)と良好であった。また、このヒートシール用フィルムを用いて作製した包装袋は、レトルト処理後の内容物の漏洩もなく、良好な耐熱性が得られた。
〔実施例2,3〕
実施例1において、熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P1〕の代わりに熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P2〕(商品名「ハイトレル4057N」、東レ・デュポン株式会社製)、または熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P3〕(商品名「モディックGQ430」、三菱化学株式会社製)を用い、いずれも、Tダイにより膜状に押出す際の溶融温度を200℃としたこと以外は実施例1と同様にしてヒートシール用フィルムをそれぞれ作製した。これらの熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P2〕,〔P3〕の樹脂組成は、表1に記載のとおり、ポリテトラメチレングリコール成分が含まれ、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下、150℃以上の融点(Tm)が観測され、融解熱ΔHが20J/g以下であった。また、これらのヒートシール用フィルムのヒートシール強度は表1に示すようにいずれも高い値を示し、良好なヒートシール強度が得られることが確認された。さらに、これらのヒートシール用フィルムを用いて作製した包装袋は、いずれも、レトルト処理後の内容物の漏洩もなく、良好な耐熱性が得られた。
〔比較例1,2〕
実施例1において、熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P1〕の代わりに熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P4〕(商品名「ハイトレル7247」、東レ・デュポン株式会社製)、または熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P5〕(商品名「ノバデュラン5510S」、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてヒートシール用フィルムをそれぞれ作製した。これらの熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P4〕,〔P5〕の樹脂組成は、表1に記載のとおり、ポリテトラメチレングリコール成分が含まれ、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下であって150℃以上の融点(Tm)が観測されたが、融解熱ΔHが20J/gを超えていた。また、これらのヒートシール用フィルムのヒートシール強度は表1に示すようにいずれも極めて低い値を示し、良好なヒートシール強度は得られないことが確認された。
〔比較例3〕
実施例2において、熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P2〕の代わりに熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P6〕(商品名「600LP」、三菱化学株式会社製)を用いたこと以外は実施例2と同様にしてヒートシール用フィルムを作製した。この熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P6〕の樹脂組成は、表1に記載のとおり、ポリテトラメチレングリコール成分を含まず、イソフタル酸成分を30モル%含有する共重合ポリブチレンテレフタレート(PBT)であった。この熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P6〕の融解熱ΔHは30J/gであって20J/gを超えていた。また、ヒートシール用フィルムのヒートシール強度は表1に示すように低い値を示し、良好なヒートシール強度は得られないことが確認された。
〔比較例4〕
実施例1において、熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P1〕の代わりに熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P7〕(商品名「PETG」、イーストマンケミカル社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてヒートシール用フィルムを作製した。この熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P7〕の樹脂組成は、表1に記載のとおり、ポリテトラメチレングリコール成分を含まず、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を33モル%含有する共重合ポリエチレンテレフタレート(PET)であった。この熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P7〕のガラス転移温度(Tg)は70℃であって50℃を超えており、融点(Tm)は観測されず、融解熱ΔHは0J/gであった。また、ヒートシール用フィルムのヒートシール強度は表1に示すように低い値を示し、良好なヒートシール強度は得られないことが確認された。さらに、このヒートシール用フィルムを用いて作製した包装袋は、レトルト処理後の内容物の漏洩が発生し、良好な耐熱性が得られないことが確認された。
〔実施例4〕
熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P3〕80質量部と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂に親水性シリカを5質量%混合した混合樹脂〔B1〕20質量部とを、二軸押出機Aのホッパーから供給し、245〜240℃で溶融した。さらにPBT樹脂〔C1〕(商品名「1100−211S」、長春社製)を二軸押出機Bのホッパーから供給し、270〜260℃で溶融混練した。これらの二軸押出機A、Bから押出された樹脂をマルチマニフォールドTダイに供給し、膜状に押出してキャストロールで冷却固化することにより、厚さ75μmのヒートシール用フィルムを製造した。このヒートシール用フィルムの、熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P3〕及び親水性シリカが混合された混合樹脂〔B1〕がブレンドされた樹脂層(熱可塑性ポリエステル系樹脂層)と、PBT樹脂〔C1〕による層(基材層)の厚さ比率は1:2であった。このヒートシール用フィルムのヒートシール強度は表2に示すように高い値を示し、良好なヒートシール強度が得られることが確認された。さらに、これらのヒートシール用フィルムを用いて作製した包装袋は、レトルト処理後の内容物の漏洩もなく、良好な耐熱性が得られた。
〔実施例5〕
熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P3〕80質量部と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂に親水性シリカを5質量%混合した混合樹脂〔B1〕20質量部とを、二軸押出機Aのホッパーから供給し、245〜240℃で溶融した。さらにイソフタル酸を2モル%共重合したPET樹脂〔C2〕(商品名「BK6180」、三菱ケミカル株式会社製)を二軸押出機Bのホッパーから供給し、270℃で溶融混練した。これらの二軸押出機A、Bから押出された樹脂をマルチマニフォールドTダイに供給し、膜状に押出してキャストロールで冷却固化することにより、厚さ75μmのヒートシール用フィルムを製造した。このヒートシール用フィルムの、熱可塑性ポリエステル系樹脂〔P3〕及び親水性シリカが混合された混合樹脂〔B1〕がブレンドされた樹脂層(熱可塑性ポリエステル系樹脂層)と、PET樹脂〔C2〕による層(基材層)の厚さ比率は1:2であった。このヒートシール用フィルムのヒートシール強度は表2に示すように高い値を示し、良好なヒートシール強度が得られることが確認された。さらに、これらのヒートシール用フィルムを用いて作製した包装袋は、レトルト処理後の内容物の漏洩はなく実用性に問題はないが、外観に変化(フィルムの変形)が観察された。
下記表1において、「TA」はテレフタル酸、「IA」はイソフタル酸、「EG」はエチレングリコール、「BG」は1,4−テトラメチレングリコール、「CHDM」は1,4−シクロヘキサンジメタノール、「PTMG」はポリテトラメチレングリコールを示す。


Figure 2021171962
Figure 2021171962
10、10’・・・ ヒートシール用フィルム
11、11’・・・ 基材層
12、12’・・・ ヒートシール層(熱可塑性ポリエステル系樹脂層)
13 ・・・ ヒートシーラー

Claims (10)

  1. 基材層の片側あるいは両側にポリオキシアルキレングリコールをジオール成分として含む熱可塑性ポリエステル系樹脂を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂層が設けられたヒートシール用フィルムであって、
    前記熱可塑性ポリエステル系樹脂は、溶融後、200℃/分で−50℃まで急冷後、10℃/分で昇温した時に観測されるガラス転移温度(Tg)が50℃以下、150℃以上の融点(Tm)が観測され、かつ融解熱ΔHが0J/gを超えて20J/g以下であるものであることを特徴とするヒートシール用フィルム。
  2. 前記熱可塑性ポリエステル系樹脂が、テレフタル酸を主なジカルボン酸成分として含み、エチレングリコールおよび/または1,4−テトラメチレングリコールを主なジオール成分として含むものであることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール用フィルム。
  3. 前記融解熱ΔHが、0J/gを超えて10J/g以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートシール用フィルム。
  4. 前記融解熱ΔHが、0J/gを超えて5J/g以下であることを特徴とする請求項3に記載のヒートシール用フィルム。
  5. 前記熱可塑性ポリエステル系樹脂が、テレフタル酸を主なジカルボン酸成分として含み、1,4−テトラメチレングリコールを主なジオール成分として含み、かつ、前記ポリオキシアルキレングリコールとしてポリテトラメチレングリコールをジオール成分として含む熱可塑性ポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のヒートシール用フィルム。
  6. 前記熱可塑性ポリエステル系樹脂中のポリテトラメチレングリコール成分の含有量が30質量%以上、あるいは、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂中のポリテトラメチレングリコール成分の含有量が10質量%以上かつイソフタル酸成分の含有量が20モル%以上であることを特徴とする請求項5に記載のヒートシール用フィルム。
  7. 前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート系フィルムおよび/またはポリブチレンテレフタレート系フィルムであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のヒートシール用フィルム。
  8. 前記基材層が、無延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルムであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のヒートシール用フィルム。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のヒートシール用フィルムを含むことを特徴とする包装材料。
  10. 包装袋、または、密封容器の蓋材であることを特徴とする請求項9に記載の包装材料。
JP2020075897A 2020-04-22 2020-04-22 ヒートシール用フィルムおよび包装材料 Pending JP2021171962A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020075897A JP2021171962A (ja) 2020-04-22 2020-04-22 ヒートシール用フィルムおよび包装材料
PCT/JP2021/016331 WO2021215507A1 (ja) 2020-04-22 2021-04-22 ヒートシール用フィルムおよび包装材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020075897A JP2021171962A (ja) 2020-04-22 2020-04-22 ヒートシール用フィルムおよび包装材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021171962A true JP2021171962A (ja) 2021-11-01

Family

ID=78269226

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020075897A Pending JP2021171962A (ja) 2020-04-22 2020-04-22 ヒートシール用フィルムおよび包装材料

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2021171962A (ja)
WO (1) WO2021215507A1 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS599348B2 (ja) * 1975-05-12 1984-03-01 東レ株式会社 積層ポリエステルフイルム
JPS5242545A (en) * 1975-10-02 1977-04-02 Toray Ind Inc Polyester film
JPH03120044A (ja) * 1989-10-03 1991-05-22 Daicel Chem Ind Ltd 積属フィルム
GB0500907D0 (en) * 2005-01-17 2005-02-23 Dupont Teijin Films Us Ltd Self-venting polymeric film IV
WO2018153795A1 (en) * 2017-02-24 2018-08-30 Packconnect B.V. Container covered with a film

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021215507A1 (ja) 2021-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1145663C (zh) 从全芳香的无定形的可拉伸的液晶体聚合物和非液晶体聚酯形成的层压品及其形成方法
KR100838867B1 (ko) 열수축성 폴리에스테르계 필름
JP4925555B2 (ja) ポリグリコール酸系樹脂組成物およびその成形物
JP2552946B2 (ja) 2軸延伸積層フィルム
JPH09254346A (ja) 多層ポリエステルシートおよびそれを加工してなる包装容器
US6773735B1 (en) Multi-layered thermoplastic container
JPH09183200A (ja) 積層フィルム
KR20210077652A (ko) 열수축성 다층 필름
KR20070009658A (ko) 인열 용이성 2축 연신 폴리에스테르계 필름
JP2018012201A (ja) 深絞り包装体用共押出多層フィルム並びにこれを用いた深絞り包装体用底材及び深絞り包装体
WO2021215507A1 (ja) ヒートシール用フィルムおよび包装材料
JP4261242B2 (ja) 食品包装用袋
JP4563090B2 (ja) ポリエステル系樹脂組成物、該樹脂組成物からなる熱収縮性ポリエステル系フィルム、成形品および容器
WO2008044556A1 (fr) Procédé de fabrication d'une plaque signalétique stratifiée, transparente, résistant à la chaleur et aux huiles, comprenant du téréphtalate de polyéthylène
WO2022065379A1 (ja) 延伸多層フィルム及びこれから成る包装袋
JP2009293044A (ja) ポリグリコール酸系樹脂組成物およびその成形物
JPH08281893A (ja) ヒートシール性を有するポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP5818572B2 (ja) 熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム
JP7528589B2 (ja) 延伸多層フィルム及びこれから成る包装袋
JP2024055122A (ja) 積層フィルム及び包装容器
WO2021215506A1 (ja) 積層フィルム及び包装容器
JP4163010B2 (ja) 手切れ性に優れた積層二軸延伸ポリエステルフィルム
JP2020093481A (ja) 深絞り成形用多層フィルム及び深絞り包装体
JP2016060525A (ja) シュリンクラベル
JP2023061529A (ja) 積層フィルム及び包装容器

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20220916

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20221028

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240528