JP2021161200A - 合板用接着剤組成物、合板用接着剤組成物を製造するためのキット、合板、及び合板の製造方法 - Google Patents

合板用接着剤組成物、合板用接着剤組成物を製造するためのキット、合板、及び合板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性及び使用性に優れる合板用接着剤組成物を実現する。【解決手段】本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、レゾール型フェノール樹脂と、2塩基酸エステルとを含有している。【選択図】なし

Description

本発明は、合板用接着剤組成物、合板用接着剤組成物を製造するためのキット、合板、及び合板の製造方法に関する。
アルカリ水溶性フェノール樹脂接着剤(レゾール)は、フェノール樹脂の持つ高い接着耐久性と、低いホルムアルデヒド放散性との両方を兼ね備えており、合板の製造において木質単板を接着する合板用接着剤として使用される。
特許文献1〜5に記載の技術では、硬化促進剤として特定の有機炭酸塩やエステル類を添加することによって、アルカリ水溶性フェノール樹脂接着剤の硬化性を改善している。
例えば、特許文献1には、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させたアルカリフェノール樹脂に硬化促進剤として重炭酸ナトリュウム及びプロピレンカーボネートとを添加した調合糊を使用することが記載されている。
また、特許文献2には、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させたアルカリフェノール樹脂に硬化促進剤として重炭酸ナトリュウム及びγ−ブチルラクトンを添加した調合糊を使用することが記載されている。
また、特許文献3には、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させたアルカリフェノール樹脂に硬化促進剤として重炭酸ナトリュウム及びエチレンカーボネートを添加した調合糊を使用することが記載されている。
また、特許文献4には、レゾール型フェノール樹脂と、アクリル酸エステルを含有する重合性単量体を重合させて得られる重合体とを含有する合板用接着剤が開示されている。
また、特許文献5には、レゾール型フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、有機エステル化合物、ワックスを含有してなる木材用接着剤組成物が開示されている。
特開2000−117704号公報(2000年 4月25日公開) 特開2002−018808号公報(2002年 1月22日公開) 特開2002−137201号公報(2002年 5月14日公開) 特開2006−257271号公報(2006年 9月28日公開) 特開2012−201728号公報(2012年10月22日公開)
しかし、特許文献1〜5に記載の技術では、前述の有機炭酸塩やエステル類を接着剤に添加した時の増粘が激しく可使時間が短すぎるため、実質的には合板の接着には使用できないという問題を有している。
本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、硬化性及び使用性に優れる合板用接着剤組成物を実現することにある。
鋭意検討の結果、本発明者は、特定の有機酸エステルを合板用接着剤組成物に添加した際の増粘が著しく小さく、エステル類を添加した公知の合板用接着剤組成物よりも可使時間が長いこと、及びこの合板用接着剤組成物を用いて合板の接着を行った際に、従来の合板用接着剤組成物よりも低い温度で十分な接着強度を発現することを見出した。
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、レゾール型フェノール樹脂と、2塩基酸エステルとを含有している構成である。
本発明の一態様によれば、硬化性及び使用性に優れる合板用接着剤組成物を実現することができる。
実施例の結果を表す図であり、種々のエステルを添加することによるフェノール樹脂のゲル化時間への影響について検証した結果を示す図である。 実施例の結果を表す図であり、種々のエステルを添加することによるフェノール樹脂の粘度への影響について検証した結果を示す図である。 実施例の結果を表す図であり、エステル添加時のフェノール樹脂の粘度とゲル化時間との関係を示す図である。
本発明の一実施形態に関して以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.合板用接着剤組成物〕
本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、レゾール型フェノール樹脂と、2塩基酸エステルとを含有している構成である。
(レゾール型フェノール樹脂)
本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、主剤としてレゾール型フェノール樹脂を含有している。レゾール型フェノール樹脂は、例えば、アルカリ触媒下で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させることで得られる。
レゾール型フェノール樹脂を得るため使用するフェノール類としては、芳香環及び芳香環に結合した水酸基を有する化合物であり、例えば、フェノール、アルキルフェノール類(o,m,pの各クレゾール、o,m,pの各エチルフェノール、キシレノールの各異性体等)、多芳香環フェノール類(α,βの各ナフトール等)、多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ピロガロール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン等)等が挙げられる。これらのフェノール類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルデヒド類は、ホルミル基を有する化合物及びその多量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、グリオキザール等が挙げられる。これらのアルデヒド類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、実用的な物質は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドである。
アルカリ触媒としては、フェノール類とアルデヒド類との付加反応を進行させ得るものであれば特に制限はなく、種々のアルカリ性物質を用いることができる。具体例としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ性物質;トリエチルアミン、トリメチルアミン等の第3級アミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)等の環式アミン等の有機アルカリ性物質;等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レゾール型フェノール樹脂の硬化性が良好となることから、フェノール類とアルデヒド類とのアルカリ触媒存在下で反応させる際に、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)とのF/Pモル比を1.8以上とすることが好ましく、2.0以上とすることがより好ましい。また、ホルムアルデヒドの放散量を低減できることから、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)とのF/Pモル比を2.6以下とすることが好ましく、2.4以下とすることがより好ましい。
前記レゾール型フェノール樹脂は、2塩基酸エステルの加水分解を促進する観点から、pH10以上、pH13以下であることが好ましい。レゾール型フェノール樹脂のpHが前記範囲であることにより、2塩基酸エステルの添加によって、加水分解が起き、pHが下がることでレゾール型フェノール樹脂のゲル化時間の短縮が可能となる。尚、pHは、25℃における値である。
レゾール型フェノール樹脂のゲル化時間を早める観点から、前記レゾール型フェノール樹脂は、重量平均分子量(Mw)が5,000以上であることが好ましく、7,000以上であることがより好ましい。また、塗工性が良好となることから、前記レゾール型フェノール樹脂は、重量平均分子量(Mw)が15,000以下であることが好ましく、12,000以下であることがより好ましい。尚、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の値である。
レゾール型フェノール樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーから算出される、前記レゾール型フェノール樹脂全体に対する3核体以下の低分子量成分の割合が、0面積%以上、2.0面積%以下であることが好ましく、0面積%以上、1.0面積%以下であることが好ましい。レゾール型フェノール樹脂全体に対する3核体以下の低分子量成分の割合が2.0面積%以下であれば、合板における接着強度がより優れる。3核体以下の低分子量成分の割合(面積%)は、3核体、2核体及び1核体の合計の割合であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から算出される。3核体はフェノール骨格を3つ有することを意味し、2核体はフェノール骨格を2つ有することを意味し、1核体はフェノール骨格が一つしかないことを意味する。3核体以下の低分子量成分の割合は、フェノール類とアルデヒド類の仕込みモル比等により調整できる。
合板用接着剤組成物の粘度調整が容易であることから、レゾール型フェノール樹脂の粘度は、50mPa・s以上であることが好ましく、100mPa・s以上であることがより好ましい。また、合板の接着強度により優れることから、レゾール型フェノール樹脂の粘度は、500mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以下であることがより好ましい。尚、粘度は、25℃でE型粘度計により測定される値である。レゾール型フェノール樹脂の粘度は、レゾール型フェノール樹脂を製造する際の反応時間等により調整できる。
レゾール型フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂がレゾール化されたものであってもよい。ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との酸触媒存在下での反応生成物である。このノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させることによっても、レゾール型フェノール樹脂を得ることができる。本明細書では、前述したフェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させて得られたレゾール型フェノール樹脂と区別するために、ノボラック型フェノール樹脂をレゾール化することによって得たレゾール型フェノール樹脂を、特に「二次反応レゾール型フェノール樹脂」と称する。
ノボラック型フェノール樹脂には、2以上のフェノール類の芳香環同士がメチレン基を介して結合したフェノール縮合体が含まれる。二次反応では、前記フェノール縮合体の芳香環にアルデヒド類が付加してメチロール基が生成し、生成したメチロール基の一部が他のフェノール縮合体と反応し、高分子量化する。そのため、二次反応フェノール樹脂には、メチロール基を有し、ノボラック型フェノール樹脂に含まれるフェノール縮合体よりも高分子量のフェノール縮合体が含まれる。
二次反応レゾール型フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂を経ているため、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂に比べて、3核体以下の低分子量成分の含有量が少なく、樹脂全体の平均分子量が高い傾向がある。
二次反応レゾール型フェノール樹脂は、例えば、特開2018−53131号公報に記載の方法によって製造することができる。
(2塩基酸エステル)
本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、硬化促進剤として、2塩基酸エステルを含有している。レゾール型フェノール樹脂のゲル化を促進する観点から、2塩基酸エステルの含有量は、レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、合板用接着剤組成物の増粘に伴う可使時間の観点から、2塩基酸エステルの含有量は、レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、6質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
2塩基酸エステルとしては、レゾール型フェノール樹脂のゲル化を促進し得るものであれば特に制限はなく、例えば、ジカルボン酸のモノエステル若しくはジエステル、又はジスルホン酸のモノエステル若しくはジエステル等が挙げられる。2塩基酸エステルは好ましくは、以下の構造式(1)に示す構造を有している。
Figure 2021161200
ここで、Rは炭素数1〜8のアルキレン基であることが好ましく、当該アルキレン基は直鎖状であってもよく、分岐していてもよく、Rはそれぞれ独立して、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、ただし、2つのRの両方が水素という構造は取らない。
2塩基酸エステルは加水分解により酸性を呈する性質があるので、2塩基酸エステルの添加によって、アルカリ性のレゾール型フェノール樹脂のpHが下がることでレゾール型フェノール樹脂のゲル化が促進される。2塩基酸エステルは、炭素数1〜8のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルであることが好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルであることがより好ましい。尚、「炭素数1〜8のアルキレン基」は、例えば、前記構造式(1)であればRが意図され、Rの両側の炭素は数に含めない。
前記炭素数1〜8のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルは、レゾール型フェノール樹脂のゲル化促進と接着剤組成物の可使時間の観点から、炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を有していることが好ましい。また、炭素数2〜4のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルが有する2つのアルキル基は、それぞれが同一であってもよく、異なっていてもよい。
このような炭素数1〜8のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルとしては、例えば、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル等が挙げられる。
レゾール型フェノール樹脂のゲル化促進効果に優れることから、炭素数1〜8のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルは、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及びグルタル酸ジメチルからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
また、レゾール型フェノール樹脂をより低い温度(例えば、100℃)でゲル化させ得ることから、炭素数1〜8のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルは、DBE二塩基酸エステル(CAS番号95481−62−2)であることがより好ましい。DBE二塩基酸エステル(CAS番号95481−62−2)は、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及びグルタル酸ジメチルの混合物として知られている。DBE二塩基酸エステル(CAS番号95481−62−2)における、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及びグルタル酸ジメチルの混合比は、例えば、コハク酸ジメチル20%、アジピン酸ジメチル20%及びグルタル酸ジメチル60%である。コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及びグルタル酸ジメチルの混合比は、これに限定されない。
(その他の成分)
本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、レゾール型フェノール樹脂及び2塩基酸エステルに加えて、必要に応じてさらに他の成分を含有していてもよい。例えば、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、アルカリ金属の炭酸塩をさらに含有していることが好ましい。
アルカリ金属の炭酸塩は、フェノール樹脂の硬化促進作用を有することが知られている(参考文献:塔村真一郎,ネットワークポリマー,Vol.31,No.5,p.240−247,2010を参照)。アルカリ金属の炭酸塩の種類は特に限定されず、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等を挙げることができる。本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物において、硬化促進剤として、アルカリ金属の炭酸塩と2塩基酸エステルとを併用することにより、2塩基酸エステルの添加量を減らすことができる。2塩基酸エステルは高価であるため、2塩基酸エステルの添加量を減らすことができれば本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物の製造コストを低減することができる。
硬化促進剤として2塩基酸エステルとアルカリ金属の炭酸塩とを併用する場合、レゾール型フェノール樹脂のゲル化を促進する観点から、硬化促進剤の合計含有量は、レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、2塩基酸エステルの効果を阻害しないという観点から、硬化促進剤の合計含有量は、レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、6質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
硬化促進剤として2塩基酸エステルとアルカリ金属の炭酸塩とを併用する場合、低温でのレゾール型フェノール樹脂のゲル化を促進する観点から、硬化促進剤全量100質量%中の2塩基酸エステルの含有量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。また、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物の製造コストを低減する観点から、硬化促進剤全量100質量%中の2塩基酸エステルの含有量は、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
また、例えば、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、還元糖をさらに含有していてもよい。還元糖としては、特に限定されず、例えば、単糖、オリゴ糖、デキストリン等が挙げられる。前記「オリゴ糖」は2以上、10以下の単糖が結合したものとし、前記「デキストリン」は一般的なマルトデキストリンの概念も含み、DEが20以下の糖組成物をいう。還元糖としては、入手が容易なことから、グルコース、フルクトース、オリゴ糖及びデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物が還元糖をさらに含有することで、レゾール型フェノール樹脂が糖変性された合板用接着剤組成物を得ることができる。
本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物が還元糖を含む場合、合板のホルムアルデヒド放散量の低減効果がより優れること及び合板用接着剤組成物の色を薄くすることができることから、還元糖の固形分での含有量は、レゾール型フェノール樹脂の固形分100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましい。また、合板の接着強度(常態強度、耐湿強度等)が充分に優れることから、還元糖の固形分での含有量は、レゾール型フェノール樹脂の固形分100質量部に対して、80質量部以下であることが好ましい。
また、例えば、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、増粘剤をさらに含有していてもよい。増粘剤としては、例えば、小麦粉等の多糖類が挙げられる。増粘剤は本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物を適正な粘度に調整するために適宜添加される。
また、例えば、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、増量剤として、アルカリ土類金属の炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム等)をさらに含有していてもよい。この場合、アルカリ土類金属の炭酸塩は、レゾール型フェノール樹脂の質量を1としたときの合板用接着剤組成物の総質量の比が、後述する質量比となるような量で適宜添加され得る。アルカリ土類金属の炭酸塩の添加は、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物の粘度に影響しない。
本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、他の成分として、前述した成分以外に、例えば、水、アルカリ性物質、各種添加剤等を必要に応じて含有していてもよい。水、アルカリ性物質はそれぞれ、レゾール型フェノール樹脂に由来するものであってもよく、合板用接着剤組成物の調製時に追加で添加されたものであってもよい。添加剤としては、合板用接着剤組成物の構成成分として公知の成分を適宜用いることができる。
また、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、コストの観点から、レゾール型フェノール樹脂の質量を1としたときの、合板用接着剤組成物の総質量の比が1.2以上であることが好ましい。また、接着性能の観点から、レゾール型フェノール樹脂の質量を1としたときの、合板用接着剤組成物の総質量の比が2.2以下であることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、合板の仮接着時の接着強度を十分に維持できることから、合板用接着剤組成物の粘度が1,000mPa・s以上であることが好ましく、1,500mPa・s以上であることがより好ましい。また、接着剤組成物の塗工性が良好であることから、合板用接着剤組成物の粘度が3,000mPa・s以下であることが好ましく、2,500mPa・s以下であることがより好ましい。尚、粘度は、25℃でE型粘度計により測定される値である。
(合板用接着剤組成物の製造方法)
本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、例えば、前述した各成分を添加して25℃で所定時間撹拌した後に、所望の粘度となるように配合を調整することによって製造することができる。
(合板用接着剤組成物の性質)
後述する実施例に詳細を示すが、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、従来の合板用接着剤組成物と比較して優れた性質を備えている。
合板製造の際の熱圧温度は、通常、120℃〜140℃である。これに対して、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、100℃という従来よりも低い温度でも十分な接着強度を発現する。このため、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物を合板の製造に使用することにより、合板製造の際の熱圧温度を下げることができ、その結果、合板製造の際のエネルギーコストを低くすることができるという優れた効果を奏する。さらには、合板製造の際の熱圧温度を下げることにより、より高温で熱圧する場合と比較して、パンクによる不良率を抑えることができるという優れた効果を奏する。
また、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、合板用接着剤組成物の調整時に急激な粘度上昇が起こらない。このため、塗工性に優れるという優れた効果を奏する。さらには、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、エステル類が添加された公知の合板用接着剤組成物よりも可使時間が長いという優れた効果を奏する。
〔2.キット〕
本発明の一態様に係るキットは、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物を製造するためのキットである。
本発明の一態様に係るキットは、必須の構成要素として、レゾール型フェノール樹脂と、2塩基酸エステルとを備えている。本発明の一態様に係るキットは、必要に応じて、さらに、アルカリ金属の炭酸塩、還元糖、増粘剤、増量剤等を備えていてもよい。
本発明の一態様に係るキットによれば、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物を容易に製造することができる。
〔3.合板〕
本発明の一態様に係る合板は、少なくとも2枚の木質単板が、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物により接着されている構成である。
木質単板としては、特に限定されず、合板用の木質単板として公知のものを使用できる。例えば、スギ、カラマツ、ホワイトパイン等を木質単板の材料として好適に使用することができる。また、合板を構成する木質単板の枚数は、特に限定されず、目的に応じて適宜設定される。合板を構成する木質単板の枚数は、例えば、2枚以上、20枚以下とすることができる。
〔4.合板の製造方法〕
本発明の一態様に係る合板の製造方法は、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物を介して少なくとも2枚の木質単板を重ねた積層体を熱プレスして、前記合板用接着剤組成物を硬化させる工程を含む構成である。
本発明の一態様に係る合板の製造方法は、接着剤として本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物を用いる以外は、公知の合板の製造方法と同様であってもよい。本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、合板用接着剤組成物の調整時に急激な粘度上昇が起こらず、塗工性に優れるという優れた特性を有している。また、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、エステル類を添加した公知の合板用接着剤組成物と比較して可使時間が長いという優れた特性を有している。このため、本発明の一態様に係る合板の製造方法は、接着剤として本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物を用いることによって、合板の生産効率を向上させることができる。
さらには、前述の通り、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物は、従来の合板用接着剤組成物と比較して低い温度でも十分な接着強度を発現することができることから、前記合板用接着剤組成物を硬化させる工程では、100℃で前記積層体を熱プレスする構成とすることが可能である。このため、従来の合板の製造方法と比較して、合板製造の際の熱圧温度を下げることができ、合板製造の際のエネルギーコスト低くすることができるという優れた効果を奏する。さらには、合板製造の際の熱圧温度を下げることができるので、より高温で熱圧する場合と比較して、パンクによる不良率を抑えることができるという優れた効果を奏する。
本発明の一態様に係る合板の製造方法は、前記合板用接着剤組成物を硬化させる工程の前に、本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物を木質単板に塗布する工程と、前記塗布する工程後の少なくとも2枚の木質単板を本発明の一態様に係る合板用接着剤組成物を介して重ねた積層体に冷圧をかけて当該積層体を仮接着する工程とをさらに含んでいてもよい。
合板用接着剤組成物の塗布量としては、例えば、木質単板の積層面の単位面積当たりの質量として、100〜350g/mが挙げられる。冷圧条件としては、例えば、温度:室温(25℃)、冷圧時間:10〜60分間、圧力:0.1〜2.0mPaの条件が挙げられる。熱圧条件としては、例えば、温度:100〜130℃(好ましくは、100℃)、熱圧時間:合板の熱圧後の厚さ1mmあたり10〜50秒間、圧力:0.1〜2.0mPaの条件が挙げられる。
前記塗布する工程と前記積層体を仮接着する工程との間では、開放堆積時間(オープンアッセンブリータイム)を40分まで設けることができる。また、前記積層体を仮接着する工程と前記合板用接着剤組成物を硬化させる工程との間では、閉鎖堆積時間(クローズドアッセンブリータイム)を3時間設けることができる。熱圧をかけた後に、必要に応じて、荷重をかける等の処理を施してもよい。
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る、合板用接着剤組成物は、レゾール型フェノール樹脂と、2塩基酸エステルとを含有している構成である。
本発明の態様2に係る合板用接着剤組成物は、前記の態様1において、前記レゾール型フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂がレゾール化されたものである構成としてもよい。
本発明の態様3に係る合板用接着剤組成物は、前記の態様1又は2において、前記レゾール型フェノール樹脂は、pH10以上、pH13以下である構成としてもよい。
本発明の態様4に係る合板用接着剤組成物は、前記の態様1から3のいずれかにおいて、前記レゾール型フェノール樹脂は、重量平均分子量が5,000以上、15,000以下である構成としてもよい。
本発明の態様5に係る合板用接着剤組成物は、前記の態様1から4のいずれかにおいて、前記2塩基酸エステルの含有量が、前記レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1質量部以上、6質量部以下である構成としてもよい。
本発明の態様6に係る合板用接着剤組成物は、前記の態様1から5のいずれかにおいて、前記2塩基酸エステルは、炭素数1〜8のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルである構成としてもよい。
本発明の態様7に係る合板用接着剤組成物は、前記の態様6において、前記炭素数1〜8のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルは、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及びグルタル酸ジメチルからなる群より選択される1種以上である構成としてもよい。
本発明の態様8に係る合板用接着剤組成物は、前記の態様1から7のいずれかにおいて、アルカリ金属の炭酸塩をさらに含有している構成としてもよい。
本発明の態様9に係る合板用接着剤組成物は、前記の態様1から8のいずれかにおいて、前記レゾール型フェノール樹脂の質量を1としたときの、合板用接着剤組成物の総質量の比が1.2以上、2.2以下である構成としてもよい。
本発明の態様10に係るキットは、前記の態様1から9のいずれかの合板用接着剤組成物を製造するためのキットであって、レゾール型フェノール樹脂と、2塩基酸エステルとを備えている構成である。
本発明の態様11に係る合板は、少なくとも2枚の木質単板が、前記の態様1から9のいずれかの合板用接着剤組成物により接着されている構成である。
本発明の態様12に係る合板の製造方法は、前記の態様1から9のいずれかの合板用接着剤組成物を介して少なくとも2枚の木質単板を重ねた積層体を熱プレスして、前記合板用接着剤組成物を硬化させる工程を含む方法である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の各例において「部」、「%」は、それぞれ、特に限定のない場合は「質量部」、「質量%」を示す。
<材料>
KM−55:水飴(グルコース、マルトース、マルトトリオース等を含有)、群栄化学工業社製。固形分濃度75〜78%。固形分全体に対して還元糖を100%含有。還元糖全体に対してグルコースが1〜5%、マルトースが53〜58%、マルトトリオースが15〜25%。その他四糖以上のオリゴ糖等を含有。便宜上、固形分は75%として計算しし使用した。尚、KM−55における固形分濃度は、100−水分(%)で算出される値である。
炭酸ナトリウム(セントラル硝子株式会社製、型番:ソーダ灰)
炭酸水素ナトリウム(株式会社トクヤマ製、型番:重炭酸ナトリウム)
炭酸カルシウム(有恒鉱業株式会社製、型番:炭酸カルシウム)
小麦粉(日清製品株式会社製、型番:赤花)
<測定方法>
(GPC測定)
フェノール樹脂3gを50gの純水で希釈し、pHを確認しながら、3%硫酸水溶液でpH4.0にした。これをNo.2のろ紙でろ過し、ろ過物を更に100gの純水で洗浄した後、風乾させGPC測定用サンプルとした。
得られたGPC測定用サンプルについて、以下の測定条件でGPC測定を行った。
カラム:TSKgel G3000HXL 7.8×300mm×1本
TSKgel G2000HXL 7.8×300mm×2本
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折率検出器)
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流量:0.8mL/min。
(固形分濃度測定)
アルミ箔製皿(内径50mm、高さ15mm)の質量C1を量り、そこに試料を1.5±0.1gとなるように精秤し、当該試料の具体的な質量を乾燥前の試料質量Sとした。このアルミ箔製皿を、予め135±1℃に保った恒温器に入れ、60±2分間の乾燥処理を行った後、デシケーター中にて放冷し、その質量C2を量った。その結果から、次式を用いて乾燥処理後にアルミ箔製皿上に残った試料の質量(乾燥後の試料質量)Dを算出し、固形分濃度を算出した。
D=C2−C1
固形分濃度(%)=D/S×100
(Dは、乾燥後の試料質量(g)を示し、Sは、乾燥前の試料質量(g)を示す。)
<フェノール樹脂の製造例1>
還流管、撹拌機、温度計を付帯した1Lフラスコにフェノール 94.0部と、50%ホルマリン 48.0部(F/Pモル比:0.80)と、30%硫酸 0.3部と、水 16.9部とを仕込み、還流条件下で3時間反応させた。
その後、30%水酸化ナトリウム水溶液 46.7部(水酸化ナトリウム/フェノールモル比:0.35)と、50%ホルマリン 90.0部(最終的なF/Pモル比:2.30)と、水 31.6部とを添加し、70℃で、粘度が約5,000mPa・sとなるまで反応させた。
その後、30%水酸化ナトリウム水溶液 66.7部(最終的な水酸化ナトリウム/フェノールモル比:0.85)を添加し、60℃で樹脂中の遊離ホルムアルデヒド量が1.0%以下になるまで反応させ、40℃まで冷却後、アルカリ水溶液状のフェノール樹脂1を得た。尚、説明の都合上、前記「アルカリ水溶液状のフェノール樹脂1」を、単に「フェノール樹脂1」と称する。
GPC測定によるフェノール樹脂1の重量平均分子量は11,200であり、3核体以下(RT30分以降)のピーク面積は0.7%であった。25℃におけるpHは12.7であり、固形分濃度は42.3%であり、粘度は200mPa・sであった。
尚、F/Pモル比は、フェノールに対するホルムアルデヒドのモル比を示す。RTはGPCチャートにおける溶出時間を示す。粘度はE型粘度計にて測定された値である。
<フェノール樹脂の製造例2>
還流管、撹拌機、温度計を付帯した1Lフラスコにフェノール 94.0部と、50%ホルマリン 48.0部(F/Pモル比:0.80)と、30%硫酸 0.3部と、水 16.9部とを仕込み、還流条件下で3時間反応させた。
その後、30%水酸化ナトリウム水溶液 46.7部(水酸化ナトリウム/フェノールモル比:0.35)と、50%ホルマリン 90.0部(最終的なF/Pモル比:2.30)と、水 31.6部とを添加し、70℃で、粘度が約5,000mPa・sとなるまで反応させた。
その後、30%水酸化ナトリウム水溶液 33.3部(最終的な水酸化ナトリウム/フェノールモル比:0.60)を添加し、40℃まで冷却した。
その後、尿素 10.4部を添加し、40℃で30分間撹拌し、固形分濃度調整のため水 17.4gを添加し、アルカリ水溶液状のフェノール樹脂2を得た。尚、説明の都合上、前記「アルカリ水溶液状のフェノール樹脂2」を、単に「フェノール樹脂2」と称する。
GPC測定によるフェノール樹脂2の重量平均分子量は7,200であり、3核体以下(RT30分以降)のピーク面積は0.9%であった。25℃におけるpHは11.7であり、固形分濃度は43.1%であり、粘度は160mPa・sであった。
〔試験例1〕
エステル添加によるフェノール樹脂のゲル化時間への影響について検証した。
・適用樹脂:フェノール樹脂1
・適用エステル
(1)PC:プロピレンカーボネート(山東森杰化工有限公司社製 中国)
(2)GBL:γ-ブチロラクトン(大連化学社製 台湾)
(3)TACN:トリアセチン(宜興凱欣化工有限公司社製 中国)
(4)DBE:グルタル酸ジメチル/コハク酸ジメチル/アジピン酸ジメチル=60/20/20(質量比)(Changle Yili Chemicals社製 中国)
(5)TEGDA:トリエチレングリコールジアセテート(Ester chem社製 イギリス)
・ゲル化時間測定条件
ガラス製試験管にフェノール樹脂1 6.0部と、各エステル 0〜6部とを添加した。その後、120℃のオイルバスでゲル化時間を測定した。
・ゲル化評価方法
フェノール樹脂のゲル化時間は、樹脂がかき混ぜられなくなるまでの時間とした。
図1は、種々のエステルを添加することによるフェノール樹脂のゲル化時間への影響について検証した結果を示す図である。図1に示すように、エステルとしてPCを添加した場合に、ゲル化時間短縮効果が最も大きく、GBLとTACNとが同等で2番目にゲル化時間が速く、DBE、TEGDAの順に続いた。
〔試験例2〕
試験例1で使用したフェノール樹脂1及び(1)〜(5)のエステルを用いて、エステル添加によるフェノール樹脂の粘度への影響について検証した。
・粘度測定条件
50mlのポリカップ(ポリプロピレン製)にフェノール樹脂1 10.0部と、各エステル 0〜5部とを添加した。その後、25℃で15分間撹拌後、25℃おける粘度をE型粘度計で測定した。
図2は、種々のエステルを添加することによるフェノール樹脂の粘度への影響について検証した結果を示す図である。図2に示すように、エステル添加時のフェノール樹脂の粘度上昇への影響が大きい順に、PC、GBL、TACN、TEGDA、DBEであった。エステルとしてDBEを添加した場合に、粘度上昇への影響が比較的小さかった。
図3は、エステル添加時のフェノール樹脂の粘度とゲル化時間との関係を示す図である。図3に示すように、エステル添加時にフェノール樹脂の粘度上昇が小さく、且つ、ゲル化時間の短縮効果が望めるのはDBEであることが明らかになった。
〔実施例1〜2、比較例1〜2〕
(合板用接着剤組成物の調製)
表1にそれぞれ種類と配合量(部)を示した成分を混合して、25℃で15分撹拌した。その後、混合物の粘度(25℃、E型粘度計にて測定)が1,500〜2,500mPa・sとなるよう配合を調整して実施例1〜2及び比較例1〜2の合板用接着剤組成物を調製した。
Figure 2021161200
(合板の作製)
糊液として実施例1〜実施例2及び比較例1〜2の各例で得た合板用接着剤組成物を使用し、単板は縦300mm×横300mm×厚さ3.1mmのホワイトパインを使用した。
1枚目の単板に糊液を塗り、木目が交差するように2枚目の単板を乗せ、糊液を塗り、木目を交差するように3枚目の単板を乗せて積層体を得た。
積層体の冷圧及び熱圧を行い、3plyにて9mm厚の合板を作製した。成形は以下の条件で行った。
・糊液塗工量:222g/m
・オープンタイム:15分 *糊液を塗工してから冷圧するまでの時間
・冷圧条件:室温、冷圧時間:20分間、圧力:1mPa
・クローズタイム:2時間 *冷圧後から熱圧するまでの時間
・熱圧条件:100℃〜130℃、熱圧時間:4.5分間(合板の熱圧後の厚さ1mmあたり30秒)、圧力:1mPa。
得られた実施例1〜実施例2及び比較例1〜2の合板について、JAS規格書木材編記載の試験方法に基づき、耐湿強度(1類:スチーミング試験)を測定した。耐湿強度は、0.45MPa以上を良好と判定し、0.70MPa以上が好ましく、0.90MPa以上がより好ましいと判定した。結果を表2に示す。
Figure 2021161200
その結果、フェノール樹脂にエステル(DBE)を添加する事により、より低温(例えば、100℃)でも接着強度が発現するようになることが明らかになった。
〔実施例3〜4、比較例3〜4〕
(合板用接着剤組成物の調製)
表3にそれぞれ種類と配合量(部)を示した成分を混合して、25℃で15分撹拌した。その後、混合物の粘度(25℃、E型粘度計にて測定)が1,500〜2,500mPa・sとなるよう配合を調整して実施例3〜4及び比較例3〜4の合板用接着剤組成物を調製した。
Figure 2021161200
(合板の作製)
糊液として実施例3〜4及び比較例3〜4の各例で得た合板用接着剤組成物を使用し、成形における熱圧条件を100℃〜120℃としたこと以外は、実施例1〜実施例2及び比較例1〜2と同じ方法で3plyにて9mm厚の合板を作製した。
得られた実施例3〜4及び比較例3〜4の合板について、実施例1〜実施例2及び比較例1〜2と同じ方法で、耐湿強度(1類:スチーミング試験)を測定し、耐湿強度を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2021161200
その結果、フェノール樹脂2においても、エステル(DBE)を添加する事により、より低温(例えば、100℃)でも接着強度が発現するようになることが明らかになった。
〔実施例5、比較例5〕
(合板用接着剤組成物の調製)
表5にそれぞれ種類と配合量(部)を示した成分を混合して、25℃で15分撹拌した。その後、混合物の粘度(25℃、E型粘度計にて測定)が1,500〜2,500mPa・sとなるよう配合を調整して実施例5及び比較例5の合板用接着剤組成物を調製した。
Figure 2021161200
(合板の作製)
糊液として実施例5及び比較例5の各例で得た合板用接着剤組成物を使用し、単板は縦300mm×横300mm×厚さ3.1mmのカラマツを用いたこと以外は、実施例1〜実施例2及び比較例1〜2と同じ方法で3plyにて9mm厚の合板を作製した。
得られた実施例5及び比較例5の合板について、実施例1〜実施例2及び比較例1〜2と同じ方法で、耐湿強度(1類:スチーミング試験)を測定し、耐湿強度を評価した。結果を表6に示す。
Figure 2021161200
その結果、単板の樹種をカラマツとした場合であっても、エステル(DBE)を添加する事により、より低温(例えば、100℃)でも接着強度が発現するようになることが明らかになった。
〔実施例6、比較例6〕
(合板用接着剤組成物の調製)
表7にそれぞれ種類と配合量(部)を示した成分を混合して、25℃で15分撹拌した。その後、混合物の粘度(25℃、E型粘度計にて測定)が1,500〜2,500mPa・sとなるよう配合を調整して実施例6及び比較例6の合板用接着剤組成物を調製した。尚、表7中のフェノール樹脂2とKM−55と水(1)とを合わせたものが糖変性フェノール樹脂の構成に相当する。
Figure 2021161200
(合板の作製)
糊液として実施例6及び比較例6の各例で得た合板用接着剤組成物を使用し、単板は縦300mm×横300mm×厚さ3.1mmのカラマツを用いたこと以外は、実施例1〜実施例2及び比較例1〜2と同じ方法で3plyにて9mm厚の合板を作製した。
得られた実施例6及び比較例6の合板について、実施例1〜実施例2及び比較例1〜2と同じ方法で、耐湿強度(1類:スチーミング試験)を測定し、耐湿強度を評価した。結果を表8に示す。
Figure 2021161200
その結果、糖変性樹脂においても、エステル(DBE)を添加する事により、より低温(例えば、100℃)でも接着強度が発現するようになることが明らかになった。
本発明は、構造材、仕上げ材等の建築材料としての合板を製造する際の合板用接着剤組成物として好適に利用することができる。

Claims (12)

  1. レゾール型フェノール樹脂と、2塩基酸エステルとを含有していることを特徴とする、合板用接着剤組成物。
  2. 前記レゾール型フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂がレゾール化されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の合板用接着剤組成物。
  3. 前記レゾール型フェノール樹脂は、pH10以上、pH13以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の合板用接着剤組成物。
  4. 前記レゾール型フェノール樹脂は、重量平均分子量が5,000以上、15,000以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の合板用接着剤組成物。
  5. 前記2塩基酸エステルの含有量が、前記レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1質量部以上、6質量部以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の合板用接着剤組成物。
  6. 前記2塩基酸エステルは、炭素数1〜8のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の合板用接着剤組成物。
  7. 前記炭素数1〜8のアルキレン基を有している2塩基酸ジアルキルエステルは、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及びグルタル酸ジメチルからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項6に記載の合板用接着剤組成物。
  8. アルカリ金属の炭酸塩をさらに含有していることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の合板用接着剤組成物。
  9. 前記レゾール型フェノール樹脂の質量を1としたときの、合板用接着剤組成物の総質量の比が1.2以上、2.2以下であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の合板用接着剤組成物。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の合板用接着剤組成物を製造するためのキットであって、レゾール型フェノール樹脂と、2塩基酸エステルとを備えていることを特徴とする、キット。
  11. 少なくとも2枚の木質単板が、請求項1から9のいずれか1項に記載の合板用接着剤組成物により接着されていることを特徴とする、合板。
  12. 請求項1から9のいずれか1項に記載の合板用接着剤組成物を介して少なくとも2枚の木質単板を重ねた積層体を熱プレスして、前記合板用接着剤組成物を硬化させる工程を含むことを特徴とする、合板の製造方法。
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