上記特許文献1の構成は、絶縁ハウジング同士を連結するハウジング連結部が、絶縁ハウジングと一体的に成形されている。従って、異なる形状の単体コネクタをワイヤハーネス幹線の外周に巻き付けたい場合、コネクタ全体の設計変更が必要になり、汎用性が十分とはいいにくい。
また、特許文献1の構成においては、ワイヤハーネス幹線に対して、ワイヤハーネス幹線から離れた側におけるコネクタの面と接触するように、粘着テープを(コネクタの外側から)巻き付けている。粘着テープとワイヤハーネス幹線の外周面との接触面積が少ないため、コネクタの安定性及び巻付部の耐久性がないという点で改善の余地があった。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、保持対象の部材の変更等に柔軟に対応できるホルダを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のホルダが提供される。即ち、このホルダは、ワイヤハーネスの外周面に固定される。前記ホルダは、保持部と、連結部と、テープ止め部と、を備える。前記保持部には、保持対象の部材を取り付けることが可能である。前記連結部は、前記ワイヤハーネスの軸方向と垂直な第1方向において、前記保持部の両側に形成され、他のホルダの連結部と連結可能である。前記テープ止め部は、前記ワイヤハーネスの軸方向と平行な第2方向において、前記保持部と並ぶように形成される。
これにより、保持対象の部材を、ホルダを介してワイヤハーネスの周囲に固定することができる。複数のホルダを連結してホルダ組として用いることで、複数の部材をワイヤハーネスの周囲に固定することができる。ホルダ組を構成するホルダの形状、数等を適宜選択することで、保持対象の部材の変更等に柔軟に対応することができる。
前記のホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記連結部は、他のホルダと連結している状態で、軸回転構造を形成する。前記軸回転構造により、前記ホルダは、他のホルダに対して、前記ワイヤハーネスの軸方向と平行な方向に延びる回転軸を中心に回転可能である。
これにより、複数のホルダを連結した状態で、ワイヤハーネスの外周に沿うように設けることが容易になる。
前記のホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記保持部は、ベース部と、部材取付部と、を備える。前記部材取付部は、前記ベース部に設けられ、保持対象の部材を取付可能である。前記テープ止め部及び前記連結部は、前記ベース部に設けられる。前記ホルダが前記ワイヤハーネスに取り付けられた状態で、前記部材取付部は、前記ベース部よりも、前記ワイヤハーネスの径方向外側に突出している。同じ状態で、前記ベース部は、前記テープ止め部において粘着テープが着けられる面よりも、前記ワイヤハーネスの径方向外側に突出している。
これにより、保持部に対して、保持対象の部材を容易に取り付けることができる。
前記のホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記連結部は、連結ピンと、連結ピン挿入部と、を備える。前記連結ピンは、他のホルダの連結ピン挿入部に挿入可能である。前記連結ピン挿入部には、他のホルダの連結ピンを挿入可能である。
これにより、ピンを用いた簡素な構成で、複数のホルダを連結することができる。
前記のホルダにおいては、前記テープ止め部は、前記第2方向において、前記保持部の両側のそれぞれに形成されていることが好ましい。
これにより、保持部の両側に粘着テープをそれぞれ巻き付けることができる。従って、ホルダをワイヤハーネスに安定して固定することができる。
前記のホルダにおいては、保持対象の部材を前記第2方向にスライドさせることにより、当該部材が前記保持部に取り付けられることが好ましい。
これにより、コネクタ等の部材をホルダに容易に取り付けることができる。
前記のホルダにおいては、前記第1方向での寸法に関して、前記テープ止め部の寸法は、前記保持部の寸法より小さいことが好ましい。
これにより、複数のホルダを連結した状態でワイヤハーネスに粘着テープで取り付ける場合に、粘着テープとワイヤハーネスの外周面との接触面積を増加させることができる。従って、ホルダをより安定してワイヤハーネスに固定することができる。
前記のホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記連結部は、連結ピンと、連結ピン挿入部と、を備える。前記連結ピン挿入部は、前記第2方向に並べて配置された複数の保持突起から構成される。前記第2方向で互いに隣接する前記保持突起は、前記第2方向で見た場合に、前記連結ピンを挿入可能な空間を挟んで反対側に配置される。
これにより、連結ピン挿入部を簡単な構成で実現することができる。
前記のホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記連結部は、連結ピンと、連結ピン挿入部と、を備える。前記保持部は、前記第1方向の外側に延設された延設部を備える。前記連結ピンは、前記延設部に設けられている。
これにより、連結ピンを、保持部から離して配置することができる。従って、複数のホルダが連結されている状態において、保持部同士の間隔が大きくなるので、組立作業性が良好である。
前記のホルダにおいては、前記第2方向での寸法に関して、前記連結ピンは、前記保持部の寸法の範囲から外側に出ないことが好ましい。
これにより、ホルダをコンパクトに構成することができる。また、テープ止め部に粘着テープを巻き易くなる。
前記のホルダにおいては、前記テープ止め部は、前記第1方向において、前記ホルダの中央に配置されていることが好ましい。
これにより、ホルダをワイヤハーネスに安定して固定することができる。
本発明の第2の観点によれば、以下の構成のホルダ組が提供される。即ち、このホルダ組は、前記のホルダを複数備える。複数の前記ホルダは、互いに連結され、前記ワイヤハーネスの外周の少なくとも一部に巻かれるように、前記ワイヤハーネスの外周面と接触して配置されている。複数の前記ホルダは、粘着テープにより前記ワイヤハーネスの外周面に固定されている。
この構成のホルダ組では、ホルダ組を構成するホルダの形状、数等を適宜選択することで、保持対象の部材の変更等に柔軟に対応することができる。
前記のホルダ組においては、前記ワイヤハーネスの全周に巻かれるようにループ状に構成されていることが好ましい。
これにより、ホルダ組を粘着テープでワイヤハーネスに固定する前の段階でも、ワイヤハーネスからホルダ組が外れないようにすることができる。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るホルダ組100の構成を示す斜視図である。図2は、ホルダ組100の取付けを示す斜視図である。図3は、単体ホルダ1の1例の構成を示す斜視図である。図4及び図5は、単体ホルダ1の他の例の構成を示す斜視図である。図6は、複数の単体ホルダ1の連結部分を示す斜視図である。図7は、単体ホルダ1の構成を模式的に示す側面図である。
図1に示すホルダ組100は、ワイヤハーネスの幹線9の外周面に固定される。ホルダ組100は、幹線9から分岐した分岐線90、又は、分岐線90の端末に接続されるコネクタ8を保持するために用いられる。従って、分岐線90及びコネクタ8は、ホルダ組100による保持対象の部材である。ワイヤハーネスは、例えば、自動車において、電力の供給及び信号伝達のために、エンジンルームやドア、車室等の内部に配索される。
ホルダ組100は、図1及び図2に示すように、複数の単体ホルダ(ホルダ)1を互いに連結することで構成されている。単体ホルダ1は、ホルダ組100の単位部品ということができる。連結される単体ホルダ1の数は、2以上であれば任意である。
ホルダ組100を構成する複数の単体ホルダ1は、同一の形状であっても良いし、異なる形状であっても良い。互いに異なる形状の単体ホルダ1をホルダ組100が備える場合、当該ホルダ組100は、複数種類のコネクタ8を保持したり、分岐線90とコネクタ8の両方を保持したりすることができる。
ホルダ組100を構成する単体ホルダ1の形状及び数を適宜選択することにより、ワイヤハーネスの構成及び用途等に応じたホルダ組100を容易に得ることができる。
以下、単体ホルダ1について、詳細に説明する。なお、以下の説明においては、単体ホルダ1が幹線9に取り付けられた場合に、幹線9の周方向に沿う方向を、ホルダ幅方向と称する。また、幹線9の軸方向と平行な方向を、ホルダ長手方向と称する。ホルダ長手方向は、ホルダ幅方向に対して垂直である。ホルダ幅方向及びホルダ長手方向の何れにも垂直な方向を、ホルダ厚み方向と称する。ホルダ幅方向が第1方向、ホルダ長手方向が第2方向にそれぞれ相当する。図3から図5には、それぞれの方向が示されている。
単体ホルダ1は、図3から図5等に示すように、他の単体ホルダ1と互いに連結可能に構成されている。単体ホルダ1は、例えば、合成樹脂の射出成形により形成される。
単体ホルダ1は、保持部2と、連結部3と、テープ止め部4と、を備える。保持部2、連結部3及びテープ止め部4は、互いに一体的に形成されている。
保持部2は、ベース部11と、固定部(部材取付部)12と、を備える。
ベース部11は、固定部12が配置される基礎として用いられる。ベース部11は、ホルダ長手方向において、単体ホルダ1の中央部に位置する。ベース部11は、薄い板状に形成されている。ホルダ厚み方向で見た場合、ベース部11は、略正方形に形成されている。
ベース部11のホルダ長手方向両端のそれぞれには、テープ止め部4が接続されている。
ベース部11には、2つの延設部11aが形成されている。延設部11aは、ベース部11のホルダ幅方向両側のそれぞれに形成されている。延設部11aは、ベース部11からホルダ幅方向外側に延びている。2つの延設部11aが延びる方向は、互いに逆となっている。ホルダ長手方向での寸法を考えた場合に、延設部11aの寸法L1は、ベース部11の寸法L2の約1/2である(L1=L2/2)。
なお、後述の固定部12は、ホルダ厚み方向で見たとき、ベース部11から外側へはみ出さないように配置される。従って、寸法L2は、ベース部11と固定部12を合わせた保持部2の寸法と考えることもできる。
2つの延設部11aは、ホルダ長手方向で互いにズレた位置に設けられている。具体的には、1つの延設部11aは、ホルダ長手方向において、ベース部11の一方側に形成される。他の延設部11aは、ホルダ長手方向において、ベース部11の他方側に形成される。
固定部12の構成は、単体ホルダ1の種類に応じて異なるため、詳細は後述する。
テープ止め部4は、粘着テープ7を巻き付けるために用いられる。テープ止め部4は、ホルダ長手方向において、ベース部11の両側のそれぞれに形成されている。テープ止め部4は、ベース部11からホルダ長手方向外側に延びている。2つのテープ止め部4が延びる方向は、互いに逆となっている。ホルダ厚み方向で見た場合、それぞれのテープ止め部4は、略長方形に形成されている。ホルダ幅方向での寸法を考えた場合に、テープ止め部4の寸法L3は、ベース部11の寸法L4より小さい(L3<L4)。
ホルダ厚み方向で見た場合に、ベース部11をホルダ幅方向で2等分する中心線を考えると、テープ止め部4は、当該中心線に沿って延びるように設けられている。テープ止め部4がベース部11のホルダ長手方向端部と接続される場所は、ベース部11のホルダ幅方向中央となっている。テープ止め部4のホルダ幅方向中心線は、ベース部11(言い換えれば、保持部2)のホルダ幅方向中心線と実質的に一致している。
テープ止め部4は、細長く形成されている。テープ止め部4の長手方向は、ホルダ長手方向と一致する。テープ止め部4の長手方向一端側が、ベース部11と接続されている。テープ止め部4において、ベース部11と接続される側と反対側の端部には、テープ規制部4aが形成されている。
テープ規制部4aは、ホルダ長手方向における粘着テープ7の位置ズレを防止するために用いられる。テープ規制部4aは、テープ止め部4において、幹線9と接触する側と反対の面から突出している。テープ規制部4aがテープ止め部4から突出する向きは、ホルダ厚み方向であって、幹線9から遠ざかる向きである。テープ規制部4aは、テープ止め部4の先端の一部がL字状に折り曲げられることで形成される。
続いて、固定部12について詳細に説明する。
固定部12は、コネクタ8又は分岐線90等を保持するために用いられる。固定部12は、ホルダ長手方向及びホルダ幅方向におけるベース部11の中央部に設けられている。固定部12は、ベース部11において、幹線9と接触する側と反対の面から突出している。固定部12がベース部11から突出する向きは、概ねホルダ厚み方向であって、幹線9から遠ざかる向きである。即ち、固定部12は、単体ホルダ1が幹線9に取り付けられた状態で、ベース部11から幹線9の径方向外側に突出するように、ベース部11に設けられている。
固定部12は、保持対象がコネクタ8であるか分岐線90であるかに応じて、様々な構成とすることができる。保持部2の保持対象がコネクタ8である場合、固定部12は、当該コネクタ8の形状に応じた構成とすることができる。
保持部2の保持対象が分岐線90である場合、単体ホルダ1は図3に示すように、固定部12としてのハーネス把持部21を備える。
ハーネス把持部21には、分岐線90を収容する凹部21aが形成されている。凹部21aは、ベース部11からハーネス把持部21が突出する方向の先端側を開放させている。凹部21aは、ハーネス把持部21をホルダ長手方向で貫通する溝状に形成されている。この結果、ハーネス把持部21は、ホルダ長手方向で見た場合に略U字状となっている。
ハーネス把持部21は、凹部21aを挟んでホルダ幅方向両側に配置された2つの部分によって、分岐線90を保持することができる。
ハーネス把持部21には、2つのハーネス規制部21bが形成されている。ハーネス規制部21bは、凹部21aを挟んでホルダ幅方向両側に配置されている。それぞれのハーネス規制部21bは、凹部21aの内壁から、ホルダ幅方向中央へ突出するように設けられている。ハーネス把持部21により分岐線90を把持している状態で、ハーネス規制部21bは、分岐線90の外周面に接触することで、分岐線90をベース部11側に押さえることができる。この固定により、ハーネス把持部21から分岐線90が抜けることを防止できる。
ホルダ厚み方向で見たときに、ハーネス把持部21によって保持される分岐線90の方向は、図3に示す例では、ホルダ長手方向と平行である。しかしながら、凹部21aが延びる方向は、分岐線90の配索方向に応じて適宜変更することができる。
保持部2の保持対象がコネクタ8である場合、単体ホルダ1は図4に示すように、固定部12としてのスルー構造26を有する。スルー構造26は、2つの取付けリブ27と、1つの引掛け部28と、を備える。
それぞれの取付けリブ27は、図4に示すように、ホルダ長手方向に延びるように形成されている。当該取付けリブ27は、ホルダ長手方向で見た場合、L字状に形成されている。取付けリブ27は、ホルダ幅方向に適宜の間隔をあけて2つ設けられている。2つの取付けリブ27の構成は、ベース部11のホルダ幅方向中心線に関して対称となっている。
取付けリブ27は、図1に示すように、コネクタ8に形成されたリブ収容部80に収容される。当該リブ収容部80は、例えば、取付けリブ27と嵌合可能な溝として形成される。この溝は、コネクタ8を、その挿抜方向と平行な方向で貫通する。
これにより、コネクタ8をホルダ長手方向にスライドすることで、リブ収容部80をスルー構造26の取付けリブ27に嵌合することができる。
取付けリブ27の長手方向(言い換えれば、コネクタ8を単体ホルダ1に取り付ける方向)は、図4の例ではホルダ長手方向と平行であるが、適宜変更しても良い。分岐線90の軸方向が幹線9の軸方向と異なるときは、取付けリブ27の長手方向を、分岐線90の軸方向と平行にすることもできる。取付けリブ27の角度を複数段階で異ならせた単体ホルダ1を予め用意しておくことで、様々な方向で分岐線90を配索するニーズに柔軟に対応することができる。
引掛け部28は、2つの取付けリブ27の間に設けられている。引掛け部28は、ホルダ幅方向で見た場合に略直角3角形に形成されたブロック状の部分である。引掛け部28は、コネクタ8と取付けリブ27とが嵌合された状態において、コネクタ8に形成された図略の引掛け凹部に引っ掛けることで、コネクタ8を固定することができる。
取付けリブ27は、図5に示すように、ホルダ長手方向で見た場合に、L字状でなく4角形状に形成されても良い。また、引掛け部28は、図5に示すように、ホルダ幅方向で見た場合に略2等辺3角形となるように形成されても良い。保持対象であるコネクタ8を何らかの形で嵌合できる限り、固定部12は任意の形状とすることができる。固定部12を、スルー構造以外の構成とすることもできる。
スルー構造26は、図7に模式的に示すように、当該スルー構造26に嵌合されたコネクタ8と、テープ止め部4と、の間に、ホルダ厚み方向での適宜の隙間G1を有するように形成することが好ましい。この隙間G1は、コネクタ8とベース部11との間の隙間と考えることもできる。
隙間G1は、テープ止め部4に巻かれる粘着テープ7の厚みより大きくする。これにより、単体ホルダ1(ホルダ組100)が粘着テープ7によって幹線9に固定された後でも、コネクタ8とスルー構造26との嵌合を容易に行うことができる。即ち、コネクタ8をスルー構造26に取り付けるためにスライドする場合に粘着テープ7が邪魔にならないので、作業性を高めることができる。
連結部3は、単体ホルダ1を他の単体ホルダ1と連結するために用いられる。本実施形態では、ホルダ組100を構成する複数の単体ホルダ1の全てで、連結部3の構成は共通である。連結部3において、2つの単体ホルダ1は、図6に示すように、回転軸30を中心として相対回動可能である。回転軸30は、幹線9の軸方向と平行である。
連結部3は、連結ピン31と、連結ピン挿入部32と、を備える。連結ピン31は、ベース部11のホルダ幅方向一方側に設けられている。連結ピン挿入部32は、ベース部11のホルダ幅方向他方側に設けられている。
連結ピン31は、細長い丸棒状に形成される。連結ピン31の長手方向一方側が、延設部11aに接続されている。連結ピン31は、他の単体ホルダ1が備える連結ピン挿入部32に挿入することができる。
図3等に示すように、連結ピン31は、ベース部11が備える2つの延設部11aのうち一方に設けられている。連結ピン31は、当該延設部11aからホルダ長手方向に延びるように形成されている。延設部11aはベース部11に対してホルダ長手方向の片側にオフセット配置されているが、延設部11aから連結ピン31が延びる方向は、延設部11aが中央からオフセットされる向きと反対である。ホルダ長手方向での寸法を考えた場合に、延設部11a及び連結ピン31の何れも、ベース部11の寸法L2の範囲から外側に出ないように構成されている。
連結ピン挿入部32は、単体ホルダ1が備える2つの延設部11aのうち、連結ピン31が設けられていない延設部11aに設けられている。連結ピン挿入部32は、当該延設部11aのホルダ幅方向端部から突出するように設けられている。連結ピン挿入部32が延設部11aから突出する向きは、概ね、ホルダ幅方向であって、ベース部11から離れる向きである。
連結ピン挿入部32は、図3等に示すように、複数(具体的には、3つ)の保持突起32aから構成される。3つの保持突起32aは、ホルダ長手方向に並べて設けられている。保持突起32aの数は、3に限らず、2又は4以上とすることもできる。
それぞれの保持突起32aは、短い円筒状の部材を、その筒軸を含む平面で切断した半円筒状に形成されている。言い換えれば、保持突起32aは、ホルダ長手方向で見た場合に円弧状となる円弧板状に形成されている。保持突起32aの内径は、他の単体ホルダ1が備える連結ピン31の外径と実質的に一致する。
それぞれの保持突起32aは、前述の筒軸がホルダ長手方向と平行となるように設けられている。複数の保持突起32aは、筒軸同士が一致するように配置される。ホルダ長手方向で隣り合う保持突起32aは、ホルダ長手方向で見た場合に、連結ピン31を差し込むための空間を挟んで反対側に位置する。
それぞれの保持突起32aの内側には、円弧状の溝が形成されている。それぞれの保持突起32aにおいて、円弧状の溝が開放する向きは、ホルダ厚み方向と概ね平行である。ホルダ長手方向で隣り合う保持突起32aの間で、前記円弧状の溝が開放する向きは互いに逆となっている。
ホルダ厚み方向で見た場合、3つの保持突起32aは、互いに重ならずに隣接している。ホルダ厚み方向で見た場合に、互いに隣接する保持突起32aの間には、小さな隙間が形成されている。ただし、隙間が形成されない構成とすることもできる。
複数の保持突起32aは、全体として見れば実質的な円筒として機能する。これにより、連結ピン挿入部32(円筒)の内部に連結ピン31を挿入することで、図6に示すように、当該連結ピン31は軸を中心として回転することができる。これにより、単体ホルダ1は、連結部3を介して連結された他の単体ホルダ1に対して、回転軸30を中心として相対回転することができる。
連結ピン挿入部32に連結ピン31が挿入されると、保持突起32aが弾性変形する。保持突起32aは復元力によって連結ピン31の外周面を押さえるので、保持突起32aと連結ピン31の間に摩擦が生じる。この摩擦力により、連結ピン31が連結ピン挿入部32から抜けないように保持することができる。
以上の構成により、単体ホルダ1と単体ホルダ1との連結部分に実質的なヒンジ機構が構成される。従って、ホルダ組100を自由に変形させて、幹線9の外周面に沿うように巻き付けて容易に設けることができる。
幹線9の外周面に沿って配置されたホルダ組100を幹線9に固定するために、図2に示すように、テープ止め部4に粘着テープ7が巻き付けられる。
ホルダ幅方向の寸法で考えた場合に、図3に示すように、テープ止め部4の寸法L3は、ベース部11の寸法L4より小さい。従って、互いに連結された2つの単体ホルダ1のテープ止め部4同士は、相対的に広い間隔をあけて位置することができる。また、テープ止め部4は、薄い板状に形成されている。従って、幹線9の周方向において、互いに隣接する2つのテープ止め部4の間で、粘着テープ7が幹線9の外周面に容易に接触することができる。この結果、粘着テープ7の粘着面が幹線9に接触する面積を大幅に増加させることができ、ホルダ組100を容易にかつしっかり固定することができる。
図1には、有端状のホルダ組100の例が示されている。ホルダ組100は、幹線9の外周の一部だけに巻かれるように配置される。ホルダ組100の両端に位置する単体ホルダ1同士は、互いに連結されていない。
ホルダ組100を構成する全ての単体ホルダ1が、その幅方向の両端のそれぞれでも他の単体ホルダ1と連結される場合、閉じた形状のホルダ組100を構成することができる。無端状のホルダ組100の例が図8に示されている。図8では、図1と同様に、ホルダ組100を粘着テープ7で幹線9に固定する前の状態が示されている。この例では、ホルダ組100は幹線9を全周にわたって周回する。このようにホルダ組100がループ状となっていると、粘着テープ7で固定する前の段階でもホルダ組100が幹線9から外れないため、作業性が良好である。
以上に説明したように、本実施形態の単体ホルダ1は、幹線9の外周面に固定される。単体ホルダ1は、保持部2と、連結部3と、テープ止め部4と、を備える。保持部2には、コネクタ8等を取り付けることが可能である。連結部3は、幹線9の軸方向と垂直なホルダ幅方向において、保持部2の両側に形成され、他の単体ホルダ1の連結部3と連結可能である。テープ止め部4は、幹線9の軸方向と平行なホルダ長手方向において、保持部2と並ぶように形成されている。
これにより、コネクタ8等の部材を、単体ホルダ1を介して幹線9の周囲に固定することができる。複数の単体ホルダ1を連結してホルダ組100として用いることで、複数の部材を幹線9の周囲に固定することができる。ホルダ組100を構成する単体ホルダ1の形状、数等を適宜選択することで、保持するコネクタ8等の変更等に柔軟に対応することができる。
また、本実施形態の単体ホルダ1において、連結部3は、他の単体ホルダ1と連結している状態において、軸回転構造を形成する。この軸回転構造により、単体ホルダ1は、他の単体ホルダ1に対して、幹線9の軸方向と平行な方向に延びる回転軸30を中心に回転可能である。
これにより、複数の単体ホルダ1を連結した状態で、幹線9の外周に沿うように設けることが容易になる。
また、本実施形態の単体ホルダ1において、連結部3は、連結ピン31と、連結ピン挿入部32と、を備える。連結ピン31は、他の単体ホルダ1の連結ピン挿入部32に挿入可能である。連結ピン挿入部32には、他の単体ホルダ1の連結ピン31を挿入可能である。
これにより、ピンを用いた簡素な構成で、複数の単体ホルダ1を連結することができる。
また、本実施形態の単体ホルダ1において、テープ止め部4は、ホルダ長手方向において、保持部2が備えるベース部11の両側のそれぞれに形成されている。
これにより、保持部2の両側に粘着テープ7をそれぞれ巻き付けることができる。従って、単体ホルダ1を幹線9に安定して固定することができる。
また、図4等に示す単体ホルダ1では、コネクタ8等をホルダ長手方向にスライドさせることにより、当該コネクタ8が保持部2に取り付けられる。
これにより、コネクタ8等の部材を単体ホルダ1に容易に取り付けることができる。
また、本実施形態の単体ホルダ1では、ホルダ幅方向での寸法に関して、テープ止め部4の寸法L3は、保持部2の寸法L4より小さい。
これにより、複数の単体ホルダ1を連結した状態で幹線9に粘着テープ7で取り付ける場合に、粘着テープ7と幹線9の外周面との接触面積を増加させることができる。従って、単体ホルダ1をより安定して幹線9に固定することができる。
また、本実施形態の単体ホルダ1において、連結部3は、連結ピン31と、連結ピン挿入部32と、を備える。連結ピン挿入部32は、複数の保持突起32aから構成される。複数の保持突起32aは、ホルダ長手方向に並べて配置されている。ホルダ長手方向で互いに隣接する保持突起32aは、ホルダ長手方向で見た場合に、連結ピン31を挿入可能な空間を挟んで反対側に配置される。
これにより、連結ピン挿入部32を簡単な構成で実現することができる。
また、本実施形態の単体ホルダ1において、連結部3は、連結ピン31と、連結ピン挿入部32と、を備える。保持部2が備えるベース部11は、ホルダ幅方向において、外側に延設された延設部11aを備える。連結ピン31は、延設部11aに設けられている。
これにより、連結ピン31を、保持部2から離して配置することができる。従って、複数の単体ホルダ1が連結されている状態において、保持部2同士の間隔が大きくなるので、組立作業性が良好である。
また、本実施形態の単体ホルダ1では、ホルダ長手方向での寸法に関して、連結ピン31は、保持部2の寸法L2の範囲から外側に出ない。
これにより、単体ホルダ1をコンパクトに構成することができる。また、テープ止め部4に粘着テープ7を巻き易くなる。
また、本実施形態の単体ホルダ1において、テープ止め部4は、ホルダ幅方向において、単体ホルダ1の中央に配置されている。
これにより、単体ホルダ1を幹線9に安定して固定することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
連結ピン挿入部32は、複数の保持突起32aから構成されなくても良い。例えば、連結ピン挿入部32を円筒状に構成したり、C字状に構成したりすることもできる。
テープ止め部4は、ベース部11の片側だけに形成されても良い。
テープ止め部4は、例えば、図9に示すように、少なくとも一部がベース部11より薄く形成されても良い。粘着テープ7は、テープ止め部4において、薄く形成された部分の表面に巻かれることになる。図9の変形例では、テープ止め部4における粘着テープ7の付着面よりも、ベース部11が相対的に突出する構成となっている。この場合、保持部2に取り付けられたコネクタ8が、ベース部11に対して殆ど隙間がないように取り付けられても良い。
図9の構成の単体ホルダ1において、保持部2は、ベース部11と、固定部12(例えば、ハーネス把持部21又はスルー構造26)と、を備える。固定部12は、ベース部11に設けられ、保持対象の部材を取付可能である。テープ止め部4及び連結部3は、固定部12に設けられる。単体ホルダ1が幹線9に取り付けられた状態で、固定部12は、ベース部11から幹線9の径方向外側に突出している。同じ状態で、ベース部11は、テープ止め部4において粘着テープ7が着けられる面よりも、幹線9の径方向外側に突出している。
この変形例の構成により、保持部2に対して、コネクタ8等の部材を容易に取り付けることができる。
ホルダ組100は、幹線9から分岐された部分に巻かれて取り付けられても良い。
単体ホルダ1を他の単体ホルダ1に連結せずに、単独の状態で、粘着テープ7によって幹線9に固定されても良い。