JP2021146788A - 車両制動制御装置及び車両制動制御方法 - Google Patents

車両制動制御装置及び車両制動制御方法 Download PDF

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雅哉 三浦
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Abstract

【課題】回生制動から摩擦制動への不必要な掛け替えを回避することで、回生エネルギを効率的に回収すると共に、車両の燃費又はAERの低下を防止する。【解決手段】車両制動制御装置10及び車両制動制御方法では、各後輪16の車輪速Vwが車輪速閾値Vwth2を下回る場合に、各後輪16のスリップが発生したと判定し、回生制動装置20がスリップの発生に基づき回生制動を行う場合、車輪速Vwと車輪速閾値Vwth2との偏差(Vwth2−Vw)に基づき補正駆動力Faを算出し、補正駆動力Faがスリップ率閾値Sthに応じた補正量閾値Fthを超える場合、回生制動から摩擦制動への掛け替えが必要と判定する。【選択図】図2

Description

本発明は、車両の駆動輪のスリップ率がスリップ率閾値を超えた場合に、駆動輪に対する回生制動から、駆動輪及び従動輪に対する摩擦制動に掛け替える車両制動制御装置及び車両制動制御方法に関する。
従来より、車両の減速走行時、駆動輪に対する回生制動が行われている場合、駆動輪のスリップ率がスリップ率閾値を超えると、回生制動から駆動輪及び従動輪に対する摩擦制動に掛け替え、車両の挙動を安定化させることが行われている。例えば、特許文献1には、スリップ率がスリップ率閾値を超えると、回生制動による制動トルクを減少させると共に、該制動トルクの減少分を液圧制動(摩擦制動)による制動トルクで補って駆動輪及び従動輪を制動することが開示されている。
特許第6056340号公報
ところで、車両が段差、凹凸、又は、マンホールの蓋等の障害物を通過する際、駆動輪の車輪速が一時的に変化し、又は、駆動輪の上下方向の振動に起因する瞬間的な荷重抜けが発生する。これにより、該車輪速が車輪速閾値を下回り、駆動輪のスリップ率が車輪速閾値に応じたスリップ率閾値を超える場合がある。この結果、摩擦抵抗が比較的低い路面を車両が走行するにも関わらず、段差、凹凸又は障害物の存在によって、回生制動から摩擦制動に掛け替えられる可能性がある。そのため、回生エネルギを効率的に回収することが困難となり、車両の燃費が低下し、又は、車両のAER(全電気航続距離)が短くなる。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、回生制動から摩擦制動への不必要な掛け替えを回避することで、回生エネルギを効率的に回収すると共に、車両の燃費又はAERの低下を防止することができる車両制動制御装置及び車両制動制御方法を提供することを目的とする。
本発明の態様は、駆動輪に対して回生制動を行う回生制動装置と、前記駆動輪及び従動輪に対して摩擦制動を行う摩擦制動装置とが搭載される車両に適用され、前記駆動輪のスリップ率がスリップ率閾値を超えた場合に、前記回生制動から前記摩擦制動に掛け替える車両制動制御装置及び車両制動制御方法に関する。
そして、前記車両制動制御装置は、前記駆動輪の車輪速が車輪速閾値を下回る場合に、前記駆動輪のスリップが発生したと判定するスリップ発生判定部と、前記回生制動装置が前記スリップの発生に基づき前記回生制動を行う場合、前記回生制動による減速駆動力の補正量を、前記車輪速と前記車輪速閾値との偏差に基づき算出する補正量算出部と、前記補正量が前記スリップ率閾値に応じた補正量閾値を超える場合、前記回生制動から前記摩擦制動への掛け替えが必要と判定する掛け替え判定部とを備える。
また、前記車両制動制御方法は、前記駆動輪の車輪速が車輪速閾値を下回る場合に、スリップ発生判定部によって、前記駆動輪のスリップが発生したと判定するステップと、前記回生制動装置が前記スリップの発生に基づき前記回生制動を行う場合、補正量算出部によって、前記回生制動による減速駆動力の補正量を、前記車輪速と前記車輪速閾値との偏差に基づき算出するステップと、前記補正量が前記スリップ率閾値に応じた補正量閾値を超える場合、掛け替え判定部によって、前記回生制動から前記摩擦制動への掛け替えが必要と判定するステップとを備える。
本発明によれば、駆動輪の車輪速が車輪速閾値を下回る場合、駆動輪のスリップが発生したと判定され、駆動輪に対する回生制動のみ行われる。そして、回生制動による減速駆動力の補正量が、スリップ率閾値に応じた補正量閾値を超える場合、回生制動から摩擦制動への掛け替えを行う。このように、本発明では、2つの閾値(車輪速閾値、補正量閾値)を用いた判定処理を行う。これにより、車両が段差、凹凸又は障害物等の物標を通過する際、駆動輪の車輪速が一時的に変化し、又は、駆動輪に瞬間的な荷重抜けが発生して、車輪速(スリップ率)が一時的に変化する場合でも、回生制動から摩擦制動への不必要な掛け替えを回避することができる。この結果、回生エネルギを効率的に回収すると共に、車両の燃費又はAERの低下を防止することができる。
本実施形態に係る制御装置が搭載される車両の概略構成図である。 図1の制御装置を含む車両のブロック構成図である。 比較例の動作のタイミングチャートである。 本実施形態の動作のタイミングチャートである。 図1の制御装置の動作(車両制動制御方法)を示すフローチャートである。 図1の制御装置の動作(車両制動制御方法)を示すフローチャートである。 第1実施例を示すタイミングチャートである。 第2実施例を示すタイミングチャートである。 第3実施例を示すタイミングチャートである。
以下、本発明に係る車両制動制御装置及び車両制動制御方法について、好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら説明する。
[1.本実施形態の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制動制御装置10(以下、本実施形態に係る制御装置10ともいう。)を含む車両12の構成を示す概略構成図である。
車両12は、左右の前輪14及び左右の後輪16を備え、駆動源としての電動機18により、駆動輪としての各後輪16を回転駆動させることで走行する四輪の電動車両である。すなわち、車両12では、左右の後輪16が駆動輪であり、左右の前輪14が従動輪である。また、車両12は、左右の後輪16に対して回生制動を行う回生制動装置20と、各前輪14及び各後輪16に対して摩擦制動を行う摩擦制動装置22(液圧制動装置)とを備える。本実施形態に係る制御装置10は、このような車両12に搭載される。
なお、車両12は、電動機18によって駆動輪を回転駆動させる電動車両又はハイブリッド車両であればよい。従って、車両12は、図1に示す四輪の車両に限定されることはなく、一輪、二輪、三輪の各種の車両にも適用可能である。また、車両12は、後輪駆動型の車両に限定されることはなく、前輪駆動型の車両や、四輪駆動型の車両にも適用可能である。以下の説明では、図1のように、後輪駆動型の電動車両である車両12に制御装置10を適用した場合について説明する。
車両12において、電動機18は、バッテリ24と電気的に接続されると共に、車両12の後部に設けられたディファレンシャル装置26に連結されている。ディファレンシャル装置26には、車幅方向外側に延びる左右の車軸28に連結されている。各車軸28の車幅方向外側の端部には、後輪16が連結されている。一方、車両12の前部には、車幅方向に延びる車軸30が配置されている。車軸30の車幅方向外側の両端部には、左右の前輪14が連結されている。
この場合、電動機18は、バッテリ24から供給される電力で回転し、その回転駆動力をディファレンシャル装置26に伝達する。ディファレンシャル装置26は、回転駆動力を分配して左右の車軸28に伝達する。これにより、各車軸28に連結された各後輪16は、伝達された回転駆動力によって回転駆動する。この結果、車両12は、任意の車速Vで走行する。一方、車両12が減速した場合、電動機18は、発電機として機能し、発電した電力(回生エネルギ)をバッテリ24に充電(回生)する。
また、車両12には、運転者によって操作されるアクセルペダル32及びブレーキペダル34が設けられている。アクセルペダル32の近傍には、運転者によるアクセルペダル32の踏込量(アクセル開度)を検知するためのアクセル開度検知センサ36が設けられている。ブレーキペダル34には、運転者によるブレーキペダル34の踏み込みの有無(オン又はオフ)を検出するためのブレーキスイッチ38が設けられている。アクセル開度検知センサ36及びブレーキスイッチ38の各検出結果は、ECU(Electronic Control Unit)40に出力される。
ECU40は、マイクロコンピュータで構成され、車両12全体を統括的に制御する電子制御装置であって、不図示のメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各種の機能を実現する。ECU40の機能の詳細については、後述する。
摩擦制動装置22は、各前輪14及び各後輪16に対して、液圧(油圧)を利用した摩擦制動を行う液圧制動装置である。具体的に、摩擦制動装置22は、ブレーキペダル34、マスタシリンダ42等を含むブレーキアクチュエータ44、液圧ポンプ46、液圧ユニット48、及び、摩擦ブレーキ50等を備える。
ブレーキアクチュエータ44は、ブレーキペダル34に連結されたブレーキブースタ52と、ブレーキブースタ52に接続されたマスタシリンダ42とを備える。マスタシリンダ42は、液圧配管54を介して液圧ユニット48に接続されている。液圧ポンプ46は、液圧配管56を介して液圧ユニット48に接続されている。
左右の前輪14及び左右の後輪16の近傍には、摩擦ブレーキ50がそれぞれ設けられている。各摩擦ブレーキ50は、それぞれ、車軸28、30の車幅方向外側に設けられ、各前輪14又は各後輪16と共に回転する円板状のブレーキディスク50aと、ブレーキディスク50aを挟み込むように配置されたブレーキパッド50bとを備える。各ブレーキパッド50bは、液圧ユニット48から延びる液圧配管58に接続されている。
ここで、運転者がブレーキペダル34を踏み込むと、ブレーキペダル34の踏込量に応じた大きさの液圧(油圧)がマスタシリンダ42に発生する。マスタシリンダ42内の液圧は、液圧センサ60によって検出される。液圧センサ60の検出結果は、ECU40に出力される。発生した液圧は、液圧配管54、液圧ユニット48及び各液圧配管58を経て、各摩擦ブレーキ50のブレーキパッド50bに供給される。
これにより、各ブレーキパッド50bは、供給される液圧により、ブレーキディスク50aを挟み込んで押圧する。この結果、各ブレーキパッド50bと各ブレーキディスク50aとの間に摩擦抵抗力(摩擦ブレーキ力)が発生し、この摩擦抵抗力によって各前輪14及び各後輪16を制動することができる。
また、運転者がブレーキペダル34を踏み込まない場合でも、液圧ポンプ46は、ECU40からの制御により駆動することで、加圧した液圧を液圧配管56から液圧ユニット48及び各液圧配管58を介して各摩擦ブレーキ50に供給することができる。この場合でも、各摩擦ブレーキ50のブレーキパッド50bは、供給された液圧によってブレーキディスク50aを挟持し、各前輪14又は各後輪16を制動することができる。
回生制動装置20は、各後輪16に対して回生制動を行う制動装置であって、バッテリ24及び電動機18等を備える。前述のように、車両12の減速時には、電動機18が発電機として機能し、運動エネルギの一部を電力(回生エネルギ)に変換して回収することで、バッテリ24に充電する。その際、電動機18は、各後輪16を制動する回生ブレーキとして機能する。
また、車両12は、車両12の横加速度(横G)を検出する横Gセンサ61、電動機18の回転数を検出する回転センサ62、及び、車両12のヨーレートを検出するヨーレートセンサ63をさらに備える。横Gセンサ61、回転センサ62及びヨーレートセンサ63の各検出結果は、ECU40に出力される。
図2は、本実施形態に係る制御装置10を含む車両12のブロック構成図である。なお、図2では、車両12の構成要素のうち、制御装置10に関わるブロックのみ図示していることに留意する。
車両12には、各前輪14及び各後輪16の近傍に設けられ、各前輪14又は各後輪16の車輪速を検出する4つの車輪速センサ64と、バッテリ24からの直流電圧を任意の直流電圧に変換するDC/DCコンバータ68と、DC/DCコンバータ68で変換された直流電圧を交流電圧に変換してモータに供給するインバータ70とをさらに備える。この場合、バッテリ24、DC/DCコンバータ68、インバータ70及び電動機18によって回生制動装置20が構成される。
本実施形態に係る制御装置10は、図2の左側に示す各種のセンサとECU40とで構成され、各センサの検出結果に基づき、ECU40が回生制動装置20及び摩擦制動装置22を制御することで、各前輪14及び各後輪16を制動する。
ECU40は、前述のように、不図示のプログラムを実行することで、制動要求認識部40a、スリップ発生判定部40b、制動制御処理部40c、補正駆動力算出部40d(補正量算出部)、掛け替え判定部40e、及び、予圧実行判定部40f(予圧指示部)の機能を実現する。なお、ECU40内の各部の機能については後述する。また、ECU40は、各センサの検出結果等に基づき、DC/DCコンバータ68、インバータ70及び液圧ポンプ46を制御する。
[2.制御装置10の動作]
本実施形態における制御装置10を含む車両12は、以上のように構成される。続いて、制御装置10による車両12の制動制御の動作(車両制動制御方法)について、図3〜図9を参照しながら説明する。ここでは、最初に従来の制動制御(比較例)の動作について説明し、次に、本実施形態に係る制御装置10の動作について説明する。また、これらの説明では、路面(例えば、摩擦係数が比較的低い路面)を車両12が減速走行する際、車両12の進行方向前方の路面に段差、凹凸又は障害物等の物標が存在し、車両12が該物標を通過する場合について説明する。また、これらの説明では、必要に応じて、図1及び図2も参照しながら説明する。
<2.1 比較例の動作>
比較例の動作について、図3のタイミングチャートを参照しながら説明する。比較例の動作説明では、制御装置10及び車両12(図1及び図2参照)の構成要素を用いて説明する場合があることに留意する。
比較例でも、車両12の減速走行の際、電動機18は、発電機として機能することで、各後輪16に対する回生制動を行う。すなわち、回生制動装置20は、電動機18の発電時に、電動機18から各後輪16に、回生ブレーキの制動力としての減速駆動力Frを作用させることで、車両12を減速させる回生制動を行う。
従って、車両12の車速V、すなわち、車体速Vv及び車輪速Vwは、時間経過に伴って減速する。なお、車体速Vvは、従動輪である左右の前輪14の同じ時点における車輪速の平均値であり、車両12の車速Vとみなすことができる。また、車輪速Vwは、駆動輪である左右の後輪16の同じ時点における車輪速の平均値である。
時点t0で運転者がアクセルペダル32の踏み込みを中止し、アクセル開度が0になったとする。その後、時点t0から時点t1までの時間帯では、車体速Vvと車輪速Vwとは略同じ速度で、時間経過に伴って減速する(Vv≒Vw)。
そして、時点t1から時点t6の時間帯において、車両12は、進行方向前方の路面に存在する物標を通過する。ここでは、一例として、比較的低い摩擦係数の路面上を車両12が減速走行し、車両12が該路面上に存在する2つの物標を順に通過する場合を想定する。
物標を通過する際、車輪速Vwは一時的に変化し、又は、各後輪16の上下方向の振動に起因する瞬間的な荷重抜けが発生する。これにより、t1〜t6の時間帯において、車輪速Vwは、車体速Vvを下回る(Vw<Vv)。そして、時点t2から時点t3までの時間帯(時間Ts)、及び、時点t4から時点t5までの時間帯(時間Ts)において、車輪速Vwが車輪速閾値Vwth1を下回る(Vw<Vwth1)。なお、t2〜t3の時間帯は、車両12が1つ目の物標を通過する時間帯であり、t4〜t5の時間帯は、車両12が2つ目の物標を通過する時間帯である。
ここで、車輪速閾値Vwth1とは、スリップ率閾値Sthに応じた車輪速の値をいう。前述のように、車速V(車体速Vv、車輪速Vw)は、時間経過に伴って減速しているので、車輪速閾値Vwth1も時間経過に伴って減速するように設定されている。なお、車輪速閾値Vwth1は、車体速Vvにスリップ率閾値Sthを乗じた値である。
また、スリップ率閾値Sthとは、車両12の各前輪14又は各後輪16に対する制動を、回生制動から摩擦制動に掛け替える際のスリップ率Sの判定閾値をいう。すなわち、スリップ率Sがスリップ率閾値Sth以下であれば(S≦Sth)、各後輪16に対する回生制動のみで車両12を適切に制動させることが可能と判断される。一方、スリップ率Sがスリップ率閾値Sthを超えれば(S>Sth)、回生制動のみで車両12を適切に制動させることが難しいので、各前輪14及び各後輪16に対する摩擦制動に掛け替えることが適切と判断される。なお、スリップ率Sは、各車輪速センサ64が検出した各前輪14及び各後輪16の車輪速に基づき算出することができる。
そして、比較例の場合、車輪速Vwが車輪速閾値Vwth1を最初に下回る時点t2において、回生制動から摩擦制動に掛け替えることを判定(決定)する掛け替えフラグが立つ(掛け替えフラグ:0→1)。掛け替えフラグが立つことで、車両12の制動は、回生制動から摩擦制動に掛け替えられる。
摩擦制動への掛け替え後、ECU40からの制御で液圧ポンプ46が駆動し、液圧ポンプ46から液圧ユニット48を介して各摩擦ブレーキ50に液圧が供給される。これにより、液圧ブレーキの制動力としての減速駆動力Fhが各前輪14及び各後輪16に作用し、車両12を減速させる摩擦制動が行われる。
また、比較例の場合、車輪速Vwが車輪速閾値Vwth1を下回るt2〜t3の時間帯及びt4〜t5の時間帯において、回生制動による減速駆動力Frの補正量(補正駆動力Fa)を発生させることを判定(決定)するTCS(Traction Control System)実行フラグが立つ(TCS実行フラグ:0→1)。この場合、TCS実行フラグが立っている時間帯に補正駆動力Faが発生し、発生した補正駆動力Faが減速駆動力Frに付加される。
ここで、補正駆動力Faとは、車輪速閾値Vwth1と車輪速Vwの偏差(Vwth1−Vw)に基づく減速駆動力Frの補正量である。すなわち、t2〜t3の時間帯及びt4〜t5の時間帯では、車輪速Vwが車輪速閾値Vwth1を下回っており、電動機18の発電に基づく減速駆動力Frのみでは、車両12を適切に制動させることができない。そこで、偏差(Vwth1−Vw)に基づく補正駆動力Faによって減速駆動力Frを補正することで、すなわち、該偏差(Vwth1−Vw)を用いたフィードバック制御(例えば、PID制御)を行うことで、回生制動を効果的に行うことを可能とする。なお、時点t2で掛け替えフラグが立つので、比較例では、時点t2以降、回生制動は、停止しているか、又は、摩擦制動に対する補助的な制動に留まることに留意する。
このように、比較例では、摩擦抵抗が比較的低い路面を車両12が減速走行する場合でも、車両12が物標を通過した際、回生制動から摩擦制動に掛け替えられる場合がある。これにより、回生制動によって発生する電力(回生エネルギ)を効率的に回収してバッテリ24に充電(回生)することが困難となる。この結果、車両12の燃費が低下し、又は、車両12のAERが短くなる。
<2.2 本実施形態の動作の概要>
これに対して、本実施形態に係る制御装置10では、車輪速閾値Vwth2(図7〜図9参照)を駆動輪である各後輪16のスリップの発生を判定するための閾値として用いると共に、補正駆動力Faに対する掛け替え閾値Fth(補正量閾値)(図4及び図7〜図9参照)を、回生制動から摩擦制動への掛け替えを判定するための閾値として用いる点で、比較例とは異なる。つまり、本実施形態では、2つの閾値(車輪速閾値Vwth2、掛け替え閾値Fth)を用いた判定処理を行う点で、比較例とは異なる。
なお、本実施形態での車輪速閾値Vwth2は、比較例での車輪速閾値Vwth1(図3参照)と同じ値であるが(Vwth1=Vwth2)、本実施形態と比較例とでは、同じ車輪速閾値を用いる場合でも、異なる判定処理が行われる。そのため、本実施形態では、車輪速閾値に関して、比較例の車輪速閾値とは異なる符号を用いて説明することに留意する。
具体的に、本実施形態において、車輪速閾値Vwth2は、TCS実行フラグを立てるか否か、すなわち、車輪速Vwが車輪速閾値Vwth2を下回るか否かの判定処理のみに用いられる。つまり、本実施形態では、Vw<Vwth2になれば、TCS実行フラグが立ち、偏差(Vwth2−Vw)に応じた補正駆動力Faが発生する。従って、本実施形態において、車輪速閾値Vwth2は、掛け替えフラグを立てるか否かの判定処理には用いられない。
また、本実施形態では、図4及び図7〜図9のように、掛け替え閾値Fthが新たに設定されており、補正駆動力Faが掛け替え閾値Fthを超える場合に(Fa>Fth)、回生制動から摩擦制動への掛け替えが必要と判定(決定)される。
ここで、掛け替え閾値Fthとは、スリップ率閾値Sthに応じた補正駆動力の閾値であり、路面の段差、凹凸又は障害物等の物標に起因する偏差(Vwth2−Vw)に基づく補正駆動力Faよりも大きく設定されている。すなわち、掛け替え閾値Fthは、路面の物標に応じたスリップ率Sよりも大きいスリップ率閾値Sthに対応する補正駆動力の閾値である。
そのため、図4に示すように、車両12が2つの物標を順に通過する、時点t11から時点t12までの時間帯(時間Ts)、及び、時点t13から時点t14までの時間帯(時間Ts)において、TCS実行フラグが立ち、偏差(Vwth2−Vw)に基づく補正駆動力Faが発生する場合でも、Fa≦Fthであるため、掛け替えフラグが立つことはない。
その後、時点t15から時点t18までの時間帯において、例えば、路面の摩擦係数が高くなり、時点t16でFa>Fthとなる場合、掛け替えフラグが立ち、回生制動から摩擦制動への掛け替えが行われる。なお、時点t17でFa≦Fthとなるが、掛け替えフラグは、「1」を維持する。また、時点t16で掛け替えフラグが立つので、時点t16以降、補正駆動力Faは発生しない。
また、本実施形態において、掛け替え閾値Fthは、運転者からの減速要求に応じた減速駆動力Fdと、回生制動による減速駆動力Fr及び摩擦制動による減速駆動力Fhの総和との差が許容範囲に収まるように設定される。この場合、許容範囲とは、運転者がブレーキ抜け(G抜け)を認識することができない程度の差の範囲に設定される。なお、運転者からの減速要求は、例えば、運転者によるアクセルペダル32の踏込量(アクセル開度)や、運転者によるブレーキペダル34の踏み込み(ブレーキスイッチ38のオン信号)から認識することができる。
<2.3 本実施形態の動作の詳細>
次に、本実施形態に係る制御装置10の動作について、図5及び図6のフローチャートを参照しながら、詳細に説明する。
先ず、図5のステップS1において、ECU40(図1及び図2参照)の制動要求認識部40aは、運転者から減速要求(制動要求)があったか否かを判定する。アクセル開度が0となった場合、又は、ブレーキスイッチ38からオン信号が入力された場合、制動要求認識部40aは、運転者からの減速要求があったと認識する(ステップS1:YES)。
次のステップS2において、スリップ発生判定部40bは、各後輪16の車輪速センサ64が検出した車輪速を用いて、車輪速Vw(各後輪16の車輪速の平均値)を算出する。次に、スリップ発生判定部40bは、算出した車輪速Vwが車輪速閾値Vwth2を下回るか否かを判定する。
車輪速Vwが車輪速閾値Vwth2を下回らない場合(Vw≧Vwth2、ステップS2:NO)、ステップS3に進む。ステップS3において、スリップ発生判定部40bは、各後輪16のスリップが発生していないと判定し、TCS実行フラグを0に維持する。すなわち、補正駆動力Faの算出を不許可とする。
次のステップS4において、制動制御処理部40cは、DC/DCコンバータ68及びインバータ70を制御することで、回生制動装置20に対して、運転者からの減速要求に応じた回生制動を行わせる。この場合、電動機18は、発電機として機能し、発電した電力(回生エネルギ)をDC/DCコンバータ68を介してバッテリ24に充電(回生)する。また、電動機18は、減速駆動力Frによって各後輪16を回生制動させる。
次のステップS5において、ECU40は、ステップS1〜S4の処理を繰り返し行うか否かを判定する。繰り返し行う場合(ステップS5:YES)、ステップS1〜S4の処理が繰り返し行われる。一方、車両12が停車する場合(ステップS5:NO)、図5の処理が終了する。
また、ステップS2において、Vw<Vwth2の場合(ステップS2:YES)、ステップS6に進む。ステップS6において、スリップ発生判定部40bは、各後輪16のスリップが発生していると判定し、TCS実行フラグを立てる(TCS実行フラグ:0→1)。これにより、補正駆動力Faの算出が許可される。
次のステップS7において、補正駆動力算出部40dは、車輪速閾値Vwth2と車輪速Vwとの偏差(Vwth2−Vw)を算出し、算出した偏差(Vwth2−Vw)に基づき補正駆動力Faを算出する。
次のステップS8において、掛け替え判定部40eは、補正駆動力Faが掛け替え閾値Fth以下であるか否かを判定する。
補正駆動力Faが掛け替え閾値Fth以下である場合(Fa≦Fth、ステップS8:YES)、ステップS9に進む。ステップS9において、掛け替え判定部40eは、回生制動から摩擦制動への掛け替えは不要であり、回生制動を維持することを判定する。これにより、制動制御処理部40cは、補正駆動力Faを付加した減速駆動力Frが発生するように、DC/DCコンバータ68及びインバータ70を制御する。これにより、回生制動装置20において、電動機18は、補正駆動力Faによって補正された減速駆動力Frで各後輪16に対する回生制動を行う。この場合も、電動機18は、発電した電力をバッテリ24に充電する。
次のステップS10において、予圧実行判定部40fは、摩擦制動装置22に対して予圧を指示すべきか否かを判定する。補正駆動力Faによって減速駆動力Frが補正される場合、予圧実行判定部40fは、今後、回生制動から摩擦制動に掛け替えられる可能性があるため、予圧が必要と判定する(ステップS10:YES)。
そして、次のステップS11において、制動制御処理部40cは、予圧実行判定部40fの判定結果を受けて、液圧ポンプ46に対して予圧を指示する。これにより、液圧ポンプ46は、各前輪14及び各後輪16に摩擦制動が作用しない程度に、各摩擦ブレーキ50に対する予圧を行う。その後、ECU40は、ステップS1、S2、S6〜S11の処理を再度実行する。
一方、予圧は不要と予圧実行判定部40fが判定した場合(ステップS10:NO)、ステップS11の処理はスキップされる。その後、ECU40は、ステップS1、S2、S6〜S10の処理を再度実行する。
ステップS8において、Fa>Fthである場合(ステップS8:NO)、図6のステップS12に進む。ステップS12において、掛け替え判定部40e(図2参照)は、回生制動から摩擦制動への掛け替えが必要と判定し、掛け替え実行フラグを立てる(掛け替え実行フラグ:0→1)。
次のステップS13において、制動制御処理部40cは、摩擦制動による減速駆動力Fhが増加すると共に、回生制動による減速駆動力Frが減少するように、液圧ポンプ46(図1及び図2参照)とDC/DCコンバータ68及びインバータ70とを制御する。これにより、液圧ポンプ46は、制動制御処理部40cからの制御によって駆動し、各摩擦ブレーキ50に液圧を供給する。この結果、各前輪14及び各後輪16に対する摩擦制動が開始される。また、電動機18は、各後輪16に付与する減速駆動力Frを徐々に減少させる。このようにして、車両12の制動は、回生制動から摩擦制動に掛け替えられる。
次のステップS14において、掛け替え判定部40eは、回生制動から摩擦制動への掛け替えが完了したか否かを判定する。電動機18が発電機としての機能を停止していない場合(Fr=0でない場合)、掛け替え判定部40eは、掛け替えが完了していないと判定する(ステップS14:NO)。その後、ステップS13、S14の処理が繰り返し行われる。
一方、掛け替えが完了した場合(ステップS14:YES)、ステップS15に進む。ステップS15において、制動制御処理部40cは、液圧ポンプ46のみ制御する。これにより、各前輪14及び各後輪16に対する摩擦制動のみ実行される。
次のステップS16において、ECU40は、ステップS15の処理を繰り返し行うか否かを判定する。車両12が減速走行中である場合(ステップS16:YES)、ステップS15の処理が繰り返し行われる。一方、車両12が停車する場合(ステップS16:NO)、図6の処理が終了する。
なお、ステップS13後のステップS17、及び、ステップS15後のステップS18において、通常のTCSと同様に、ABS(Anti−lock Braking System)によるスリップコントロールを実行してもよい。この場合、摩擦制動による減速駆動力Fhは、運転者の減速要求に応じた減速駆動力Fdに近接する値に維持される。そして、ステップS17後、ステップS14の判定処理が実行され、又は、ステップS18後、ステップS16の判定処理が実行される。
<2.4 具体例(第1〜第3実施例)>
次に、図4〜図6で説明した本実施形態に係る制御装置10の動作の具体例(第1〜第3実施例)について、図7〜図9を参照しながら説明する。
(2.4.1 第1実施例)
図7の第1実施例は、摩擦係数が比較的低い路面を車両12(図1及び図2参照)が減速走行する場合であって、回生制動から油圧制動に掛け替える場合を示している。
この場合、時点t20でアクセル開度が0となる(図5のステップS1:YES)。時点t20以降、車両12は、進行方向前方の路面に存在する物標を通過する。従って、時点t20以降、車輪速Vwは、車体速Vvを下回る場合がある。
時点t21でVw<Vwth2になると(ステップS2:YES)、各後輪16のスリップが発生したと判定され、TCS実行フラグが立つ(ステップS6)。これにより、偏差(Vwth2−Vw)に基づく補正駆動力Faの算出が開始され(ステップS7)、算出された補正駆動力Faが付加された減速駆動力Frによる回生制動が行われる(ステップS9)。一方、各摩擦ブレーキ50に対する予圧も行われる(ステップS11)。なお、TCS実行フラグは、t21〜t23の時間帯(時間Ts1)に「1」となる。
従って、t21〜t22の時間帯では、時間経過に伴って、補正駆動力Faが増加し、補正駆動力Faの付加によって減速駆動力Frが減少する。また、各摩擦ブレーキ50に対する予圧は継続して行われる。
なお、図7〜図9の第1〜第3実施例では、車両12(図1及び図2参照)が減速走行する場合を前提としている。そのため、説明の便宜上、各減速駆動力Fd、Fh、Frは、0からマイナス側を駆動力の増加側としている。そのため、図7〜図9中、0からマイナス側に振れる場合を「減速駆動力(の絶対値)が増加」と呼称し、マイナス側から0に向かう場合を「減速駆動力(の絶対値)が減少」と呼称する。
また、図7では、予圧(図5のステップS11)及びスリップコントロール(図6のステップS17、S18)を行わない場合の各減速駆動力Fh、Frの変化を、Fhi、Friとして破線で示している。
時点t22でFa>Fthになると(ステップS8:NO)、時点t22から時点t26の時間帯にかけて、回生制動から摩擦制動への掛け替えが行われる。すなわち、時点t22で掛け替え実行フラグが立ち(ステップS12)、時点t22から時点t26にかけて、時間経過に伴い、減速駆動力Fhが増加すると共に、減速駆動力Frが減少する(ステップS13、S14)。
この場合、時点t23でTCS実行フラグが「0」となることで、補正駆動力Faの算出処理が完了し、時点t24で、減速駆動力Fh(の絶対値)が減速駆動力Fr(の絶対値)よりも大きくなる(Fh>Fr)。すなわち、車両12の主たる制動が、回生制動から摩擦制動に切り替わる。
その後、時点t25で摩擦制動に対するスリップコントロールが開始され(ステップS17)、時点t26で減速駆動力Frが0となる。すなわち、回生制動から摩擦制動への掛け替えが完了する(ステップS14:YES)。時点t26後、車両12は、摩擦制動によって減速する(ステップS15)。また、減速駆動力Fhは、スリップコントロール(ステップS18)によって、運転者の減速要求に応じた減速駆動力Fdに近接する値に維持される。このように、第1実施例では、低い摩擦係数の路面を車両12が減速走行する場合に、回生制動から摩擦制動に掛け替えることで、減速駆動力Fdに応じた制動力を満たしつつ、車両12の挙動を安定化させることができる。
(2.4.2 第2実施例)
図8の第2実施例は、中間的な摩擦係数の路面を車両12(図1及び図2参照)が減速走行する場合であり、回生制動から油圧制動への掛け替えが行われない場合を示している。なお、中間的な摩擦係数とは、第1実施例での路面の摩擦係数と、第3実施例での路面の摩擦係数との中間の摩擦係数である場合をいう。
この場合も、時点t30でアクセル開度が0となり(図5のステップS1:YES)、時点t30以降、車両12は、進行方向前方の路面に存在する物標を通過する。
時点t31でVw<Vwth2になると(ステップS2:YES)、各後輪16のスリップが発生したと判定され、TCS実行フラグが立つ(ステップS6)。この場合、t31〜t32の時間帯(時間Ts2)において、偏差(Vwth2−Vw)に基づき補正駆動力Faが算出され(ステップS7)、算出された補正駆動力Faが付加された減速駆動力Frによる回生制動が行われる(ステップS9)。但し、第2実施例では、各摩擦ブレーキ50に対する予圧は行われない(ステップS10:NO)。
時点t32以降は、Vw=Vwth2となり(ステップS2:NO)、各後輪16のスリップが発生していないと判定され、TCS実行フラグが0になる(ステップS3)。これにより、運転者の減速要求に応じた回生制動が行われる(ステップS4)。
なお、第2実施例では、前述のように、回生制動のみであり、減速駆動力Frに補正駆動力Faが付加される関係上、運転者の減速要求に応じた減速駆動力Fdを満たさない可能性がある。そこで、第2実施例では、補正量閾値Fthは、運転者がブレーキ抜けを認識することができない程度の値に設定されている。これにより、時点t32以降、減速駆動力FdからΔFだけ低下した減速駆動力Frが各後輪16に作用する。この場合も、時点t32以降、車輪速Vwは、車輪速閾値Vwth2に維持され、車両12の挙動は安定化する。
(2.4.3 第3実施例)
図9の第3実施例は、摩擦係数が比較的大きな路面を車両12(図1及び図2参照)が減速走行する場合であり、回生制動から油圧制動への掛け替えが行われない場合を示している。
この場合も、時点t40でアクセル開度が0となり(図5のステップS1:YES)、時点t40以降、車両12は、進行方向前方の路面に存在する物標を通過する。
時点t41でVw<Vwth2になると(ステップS2:YES)、各後輪16のスリップが発生したと判定され、TCS実行フラグが立つ(ステップS6)。この場合、t41〜t42の時間帯(時間Ts3)と、t43〜t44の時間帯(時間Ts3)とにおいて、偏差(Vwth2−Vw)に基づき補正駆動力Faが算出され(ステップS7)、算出された補正駆動力Faが付加された減速駆動力Frによる回生制動が行われる(ステップS9)。第3実施例でも、各摩擦ブレーキ50に対する予圧は行われない(ステップS10:NO)。
t42〜t43の時間帯と、時点t44以降の時間帯とでは、Vw<Vwth2となり(ステップS2:NO)、各後輪16のスリップが発生していないと判定され、TCS実行フラグが0になる(ステップS3)。これにより、運転者の減速要求に応じた回生制動が行われる(ステップS4)。従って、Fd≒Frとなる。従って、第3実施例では、回生制動のみ行うため、車両12の燃費又はAERを向上させることができる。また、車両12の挙動を安定化させることも可能となる。
[3.変形例]
上記の説明では、段差、凹凸又は障害物等の物標のある路面を車両12が走行する場合について説明した。本実施形態は、氷雪路、砂利道、未整地道路の路面を車両12が走行する場合にも適用可能である。
[4.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態は、各後輪16(駆動輪)に対して回生制動を行う回生制動装置20と、各前輪14(従動輪)及び各後輪16に対して摩擦制動を行う摩擦制動装置22とが搭載される車両12に適用され、各後輪16のスリップ率Sがスリップ率閾値Sthを超えた場合に(S>Sth)、回生制動から摩擦制動に掛け替える制御装置10(車両制動制御装置)及び制御方法(車両制動制御方法)に関する。
この場合、制御装置10は、各後輪16の車輪速Vwが車輪速閾値Vwth2を下回る場合に、各後輪16のスリップが発生したと判定するスリップ発生判定部40bと、回生制動装置20がスリップの発生に基づき回生制動を行う場合、回生制動による減速駆動力Frの補正量(補正駆動力Fa)を、車輪速Vwと車輪速閾値Vwth2との偏差(Vwth2−Vw)に基づき算出する補正駆動力算出部40d(補正量算出部)と、補正駆動力Faがスリップ率閾値Sthに応じた補正量閾値Fthを超える場合、回生制動から摩擦制動への掛け替えが必要と判定する掛け替え判定部40eとを備える。
また、制御方法は、後輪16の車輪速Vwが車輪速閾値Vwth2を下回る場合に、スリップ発生判定部40bによって、各後輪16のスリップが発生したと判定するステップ(図5のステップS2、S6)と、回生制動装置20がスリップの発生に基づき回生制動を行う場合、補正駆動力算出部40dによって、回生制動による補正駆動力Faを、車輪速Vwと車輪速閾値Vwth2との偏差(Vwth2−Vw)に基づき算出するステップ(ステップS7)と、補正駆動力Faがスリップ率閾値Sthに応じた補正量閾値Fthを超える場合、掛け替え判定部40eによって、回生制動から摩擦制動への掛け替えが必要と判定するステップ(ステップS8、図6のステップS12)とを備える。
このように、各後輪16の車輪速Vwが車輪速閾値Vwth2を下回る場合、各後輪16のスリップが発生したと判定され、各後輪16に対する回生制動のみ行われる。そして、回生制動による減速駆動力Frの補正量である補正駆動力Faが、スリップ率閾値Sthに応じた補正量閾値Fthを超える場合、回生制動から摩擦制動への掛け替えを行う。このように、本実施形態では、2つの閾値(車輪速閾値Vwth2、補正量閾値Fth)を用いた判定処理を行う。これにより、車両12が段差、凹凸又は障害物等の物標を通過する際、各後輪16の車輪速Vwが一時的に変化し、又は、各後輪16に瞬間的な荷重抜けが発生して、車輪速Vw(スリップ率S)が一時的に変化する場合でも、回生制動から摩擦制動への不必要な掛け替えを回避することができる。この結果、回生エネルギを効率的に回収すると共に、車両12の燃費又はAERの低下を防止することができる。
この場合、摩擦制動装置22は、各前輪14及び各後輪16に対して液圧を利用した摩擦制動を行う液圧制動装置である。制御装置10は、回生制動装置20がスリップの発生に基づき回生制動を行う場合、摩擦制動装置22に対して予圧を指示する予圧実行判定部40f(予圧指示部)をさらに備える。これにより、回生制動から摩擦制動に掛け替える際、液圧の立ち上げ、すなわち、摩擦制動の開始を迅速に行うことができる。
また、制御装置10は、回生制動から摩擦制動への掛け替えが必要と掛け替え判定部40eが判定した場合、回生制動による減速駆動力Frを減少させつつ、摩擦制動による減速駆動力Fhを増加させるように、回生制動装置20及び摩擦制動装置22を制御する制動制御処理部40cをさらに備える。掛け替えの初期に液圧が十分立ち上がっていない時間領域(図7のt22〜t24の時間帯)では、回生制動によって車両12の制動(スリップコントロール)を行い、その後、液圧が十分に立ち上がった段階(図7のt24〜t26の時間帯)で摩擦制動による車両12の制動(スリップコントロール)を行う。この結果、回生制動から摩擦制動への掛け替えをスムーズに行うことができる。
この場合、補正量閾値Fthは、車両12の進行方向前方の路面に存在する段差、凹凸又は障害物等の物標に対応するスリップ率Sに応じた補正駆動力Faよりも大きく設定されている。これにより、車両12が物標を通過した際、回生制動から摩擦制動に不必要に掛け替えられることを効果的に防止することができる。
また、補正量閾値Fthは、車両12の運転者からの減速要求に応じた減速駆動力Fdと、回生制動による減速駆動力Fr及び摩擦制動による減速駆動力Fhの総和との差が許容範囲に収まるように設定されている。これにより、運転者が違和感を感じないように、各前輪14及び各後輪16に対する制動や、回生制動から摩擦制動への掛け替えを行うことができる。
この場合、許容範囲は、運転者がブレーキ抜けを認識することができない程度の差の範囲であればよい。これにより、運転者にブレーキ抜けを感じさせることなく、減速駆動力Fdに応じた制動力で各前輪14及び各後輪16を制動させることができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることは勿論である。
10…制御装置(車両制動制御装置) 12…車両
14…前輪(従動輪) 16…後輪(駆動輪)
20…回生制動装置 22…摩擦制動装置
40b…スリップ発生判定部 40d…補正駆動力算出部
40e…掛け替え判定部

Claims (7)

  1. 駆動輪に対して回生制動を行う回生制動装置と、前記駆動輪及び従動輪に対して摩擦制動を行う摩擦制動装置とが搭載される車両に適用され、前記駆動輪のスリップ率がスリップ率閾値を超えた場合に、前記回生制動から前記摩擦制動に掛け替える車両制動制御装置において、
    前記駆動輪の車輪速が車輪速閾値を下回る場合に、前記駆動輪のスリップが発生したと判定するスリップ発生判定部と、
    前記回生制動装置が前記スリップの発生に基づき前記回生制動を行う場合、前記回生制動による減速駆動力の補正量を、前記車輪速と前記車輪速閾値との偏差に基づき算出する補正量算出部と、
    前記補正量が前記スリップ率閾値に応じた補正量閾値を超える場合、前記回生制動から前記摩擦制動への掛け替えが必要と判定する掛け替え判定部と、
    を備える、車両制動制御装置。
  2. 請求項1記載の車両制動制御装置において、
    前記摩擦制動装置は、前記駆動輪及び前記従動輪に対して液圧を利用した前記摩擦制動を行う液圧制動装置であり、
    前記車両制動制御装置は、前記回生制動装置が前記スリップの発生に基づき前記回生制動を行う場合、前記摩擦制動装置に対して予圧を指示する予圧指示部をさらに備える、車両制動制御装置。
  3. 請求項1又は2記載の車両制動制御装置において、
    前記回生制動から前記摩擦制動への掛け替えが必要と前記掛け替え判定部が判定した場合、前記回生制動による減速駆動力を減少させつつ、前記摩擦制動による減速駆動力を増加させるように、前記回生制動装置及び前記摩擦制動装置を制御する制動制御処理部をさらに備える、車両制動制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両制動制御装置において、
    前記補正量閾値は、前記車両の進行方向前方の路面に存在する段差、凹凸又は障害物に対応するスリップ率に応じた補正量よりも大きく設定されている、車両制動制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両制動制御装置において、
    前記補正量閾値は、前記車両の運転者からの減速要求に応じた減速駆動力と、前記回生制動による減速駆動力及び前記摩擦制動による減速駆動力の総和との差が許容範囲に収まるように設定されている、車両制動制御装置。
  6. 請求項5記載の車両制動制御装置において、
    前記許容範囲は、前記運転者がブレーキ抜けを認識することができない程度の前記差の範囲である、車両制動制御装置。
  7. 駆動輪に対して回生制動を行う回生制動装置と、前記駆動輪及び従動輪に対して摩擦制動を行う摩擦制動装置とが搭載される車両に適用され、前記駆動輪のスリップ率がスリップ率閾値を超えた場合に、前記回生制動から前記摩擦制動に掛け替える車両制動制御方法において、
    前記駆動輪の車輪速が車輪速閾値を下回る場合に、スリップ発生判定部によって、前記駆動輪のスリップが発生したと判定するステップと、
    前記回生制動装置が前記スリップの発生に基づき前記回生制動を行う場合、補正量算出部によって、前記回生制動による減速駆動力の補正量を、前記車輪速と前記車輪速閾値との偏差に基づき算出するステップと、
    前記補正量が前記スリップ率閾値に応じた補正量閾値を超える場合、掛け替え判定部によって、前記回生制動から前記摩擦制動への掛け替えが必要と判定するステップと、
    を備える、車両制動制御方法。
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