JP2021135209A - ひび割れ領域を判定するための装置、方法及びそのためのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面におけるひび割れ領域の判定を可能とする新たな方法を提供する。【解決手段】。まず、点検対象となるタイルが格子状に張られた壁面を撮像して生成した原画像データを判定装置が読み出す(S101)。次に、判定装置において、原画像データを2値化する(S102)。そして、二値化データにより表される画像から複数の輪郭を検出する(S103)。そして、各輪郭により特定される領域の面積を横軸、その度数を縦軸とするヒストグラムを取得する(S104)。ヒストグラムを取得した後、当該ヒストグラムに含まれる第1のピーク及び第1のピークよりも大きい面積における第2のピークのうち第1のピークに関連する輪郭により特定される領域をひび割れ領域として判定する(S105)。【選択図】図1
Description
本発明は、ひび割れ領域を判定するための装置、方法及びそのためのプログラムに関し、より詳細には、壁面におけるひび割れ領域を判定するための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
オフィスビルなどの建築物には安全性を確認するための定期的な点検が求められる。点検は、建築物の外部及び内部に及ぶが、外部においては外壁が代表的な検査対象である。外壁の点検は点検作業員の目視によって行われることが多いところ、画像処理技術を用いる試みが近年なされている。
特許文献1には、画像処理により外壁におけるひび割れの面積を精度よく算出する技術が記載されている。より具体的には、特許文献1記載の技術は、構造物表面を撮像して原画像データを作成し、原画像データを2値化した後にひび割れ領域を判定し、ひび割れ領域の面積を算出し、面積の算出において、ひび割れ領域内の各画素の輝度値合計を求めてこれを見掛面積とし、見掛面積に補正係数を乗じてひび割れ領域の面積とすることによって、精度よくひび割れを把握するものである。
このような試みはなされているものの、ひび割れ領域の判定にはさらなる改良が求められており、特に、矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面が多く採用されており、かかる壁面におけるひび割れ領域を判定する新たな技術が求められている。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面におけるひび割れ領域の判定を可能とする新たな装置、方法及びそのためのプログラムを提供することにある。
なお、本明細書において用語「タイル」は薄板を意味するものとして用い、陶磁器製(ceramic)が一般的であるがこれに限るものではない。
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、壁面におけるひび割れ領域を判定する方法であって、矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面を撮像した原画像データを二値化して二値化データを生成するステップと、前記二値化データにより表される画像内の複数の輪郭を検出するステップと、各輪郭により特定される領域の面積とその度数との関係を示すヒストグラムが有する第1のピーク及び前記第1のピークよりも大きい面積における第2のピークのうち、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される領域をひび割れ領域と判定するステップとを含む。
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記第1のピークに関連する複数の輪郭を表示画面に描画するための描画データを生成するステップをさらに含む。
また、本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記描画データは、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される複数の領域を輪郭とは異なる表現で前記表示画面に描画するためのデータを含む。
また、本発明の第4の態様は、第1の態様において、前記第1のピークに関連する複数の輪郭又はそれらにより特定される複数の領域に対応する位置にひび割れ領域を表示画面に描画するための描画データを生成するステップをさらに含む。
また、本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記描画データは、前記ひび割れ領域として、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される複数の領域よりも広い領域を前記表示画面に描画するためのデータである。
また、本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれかの態様において、前記ヒストグラムの面積は対数軸により表される。
また、本発明の第7の態様は、第1から第6のいずれかの態様において、前記第1のピークに関連する複数の輪郭は、前記第1のピークの面積を超えて前記第2のピークの面積よりも小さい面積を閾値として、前記閾値以下の面積を有する輪郭である。
また、本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記第1のピークに関連する複数の輪郭は、前記第1のピークの面積よりも小さい所定の値を超える面積を有する輪郭である。
また、本発明の第9の態様は、装置に、壁面におけるひび割れ領域を判定する方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面を撮像した原画像データを二値化して二値化データを生成するステップと、前記二値化データにより表される画像内の複数の輪郭を検出するステップと、各輪郭により特定される領域の面積とその度数との関係を示すヒストグラムが有する第1のピーク及び前記第1のピークよりも大きい面積における第2のピークのうち、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される領域をひび割れ領域と判定するステップとを含む。
また、本発明の第10の態様は、壁面におけるひび割れ領域を判定する装置であって、矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面を撮像した原画像データを二値化して二値化データを生成し、前記二値化データにより表される画像内の複数の輪郭を検出し、各輪郭により特定される領域の面積とその度数との関係を示すヒストグラムが有する第1のピーク及び前記第1のピークよりも大きい面積における第2のピークのうち、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される領域をひび割れ領域と判定する。
本発明の一態様によれば、画像処理及び統計処理を適切に組み合わせることで、矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面を撮像した現画像データから、壁面におけるひび割れ領域の判定を行うことが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施形態にかかるひび割れ領域の判定方法の流れを示す。まず、点検対象となるタイルが格子状に張られた壁面を撮像して生成した原画像データを判定装置が読み出す(S101)。原画像データは、壁面をカメラ等の撮像機器により撮像し、得られた原画像データを判定装置に有線又は無線で入力すればよい。なお、判定装置が撮像素子を備えていれば、判定装置において壁面を撮像して原画像データを生成してもよい。
次に、判定装置において、原画像データを2値化する(S102)。図2に原画像データの一例を示し、図3にそれを二値化した二値化データの一例を示す。図2は、280×210画素の画像であり、図3は、各画素について閾値を127に設定してそれを下回れば黒、それ以上であれば白として表示されている。閾値は、異なる値に設定してもよい。本明細書では、二値化の例で説明を行うが、後述する輪郭検出が可能である範囲で二値化以外の多値化を採用することが考えられる。
そして、二値化データにより表される画像から複数の輪郭を検出する(S103)。二値化された画像内の輪郭検出は、さまざまな画像処理の手法によって行うことができるが、以下ではOpenCVのfindCoutours関数を用いた例で説明する。当該関数では、すべての輪郭点を抽出する方法の他に検出した輪郭を近似する方法が用意されており、以下の説明では、水平・垂直・斜めの線分を圧縮し、それらの端点のみにエンコードする方法であるCV_CHAIN_APPROX_SIMPLEを指定している。いずれにしても、本明細書において「輪郭」とは、ある領域を特定するための線に対応するピクセル座標の全て又はその一部の集合を意味する。
図4に、図3の画像内で検出された輪郭の階層構造を示す。合計29個の輪郭が検出され、本実施形態にて用いた関数では、このように輪郭間の包含関係を判定することができる。
そして、各輪郭により特定される領域の面積を横軸、その度数を縦軸とするヒストグラムを取得する(S104)。横軸は対数軸とすることが好ましく、この場合、図3に示した画像データに対して、図5に示すような結果が得られる。発明者らは、このようにして得られるヒストグラムは第1のピーク及び第1のピークよりも大きい面積における第2のピークを有する二峰性の分布となり、第1のピークに関連する輪郭により特定される領域がひび割れ領域に対応することを見出した。すなわち、ヒストグラムを取得した後、当該ヒストグラムに含まれる第1のピーク及び第1のピークよりも大きい面積における第2のピークのうち第1のピークに関連する輪郭により特定される領域をひび割れ領域として判定する(S105)。
各輪郭が第1のピークに関連するか否かは、当該輪郭により特定される領域の面積が、予め定めた閾値又はヒストグラムごとに定めた閾値よりも面積が小さいか否かによって判定することができる。より具体的には、第1のピークの面積を超えて第2のピークの面積よりも小さい面積を閾値とし、当該閾値以下の面積を有する輪郭を第1のピークに関連するものとすることができる。逆に、壁面には、ひび割れの他に微細な凹凸が存在し、それらに起因する輪郭が検出されることがある。したがって、こうした小さな輪郭を除外するために、第1のピークの面積よりも小さい所定の値を超える面積を有する輪郭を第1のピークに関連するものとすることもできる。また、本明細書において各輪郭により特定される領域の面積は、さまざまな方式によって算出することができ、いずれかの算出方式に限定されるものではない。
図6は、検出された29個の輪郭について、閾値を200pxとして当該閾値未満の領域を図1の原画像の上に描画したものである。図6の例では、視認性を高めるために、ひび割れ領域を強調して描画している。より具体的には、第1のピークに関連する複数の輪郭又はそれらにより特定される複数の領域に対応する位置にひび割れ領域を表示画面に強調して描画するための描画データを生成している。強調の仕方としては、実際に第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される領域よりも広い領域を描画する、第1のピークに関連する複数の輪郭又はそれらにより特定される領域を着色して描画するなどが挙げられる。
図7は、図6に描画されたひび割れ領域の一部600を強調せずに描画したものである。下から順に図4のcontour 9から14に対応する。図7では、第1のピークに関連する複数の輪郭を表示画面に描画するとともにそれらの輪郭により特定される複数の領域を黒色で塗りつぶして描画している。輪郭又はそれにより特定される領域の一方のみを描画することも考えられ、共に描画する場合には異なる表現で描画することが考えられる。
このように、画像処理及び統計処理を適切に組み合わせることで、矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面を撮像した現画像データから、壁面におけるひび割れ領域の判定を行うことが可能となり、点検の大幅な効率化が図られる。
判定装置は、通信インターフェースなどの通信部と、プロセッサ、CPU等の処理部と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができ、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。判定装置は、例として、スマートフォン、タブレットなどの携帯端末としてもよい。また、当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、判定装置の記憶部又は判定装置からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、判定装置の処理部において実行することができる。また、判定装置は、撮像素子を備えてもよい。これらの接続関係を含めたハードウェア構成自体については、出願日における技術常識であるため、公知の任意のものを採用すればよい。
なお、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
600 ひび割れ領域の一部
Claims (10)
- 壁面におけるひび割れ領域を判定する方法であって、
矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面を撮像した原画像データを二値化して二値化データを生成するステップと、
前記二値化データにより表される画像内の複数の輪郭を検出するステップと、
各輪郭により特定される領域の面積とその度数との関係を示すヒストグラムが有する第1のピーク及び前記第1のピークよりも大きい面積における第2のピークのうち、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される領域をひび割れ領域と判定するステップと
を含む。 - 請求項1に記載の方法であって、前記第1のピークに関連する複数の輪郭を表示画面に描画するための描画データを生成するステップをさらに含む。
- 請求項2に記載の方法であって、前記描画データは、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される複数の領域を輪郭とは異なる表現で前記表示画面に描画するためのデータを含む。
- 請求項1に記載の方法であって、前記第1のピークに関連する複数の輪郭又はそれらにより特定される複数の領域に対応する位置にひび割れ領域を表示画面に描画するための描画データを生成するステップをさらに含む。
- 請求項4に記載の方法であって、前記描画データは、前記ひび割れ領域として、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される複数の領域よりも広い領域を前記表示画面に描画するためのデータである。
- 請求項1から5のいずれかに記載の方法であって、前記ヒストグラムの面積は対数軸により表される。
- 請求項1から6のいずれかに記載の方法であって、前記第1のピークに関連する複数の輪郭は、前記第1のピークの面積を超えて前記第2のピークの面積よりも小さい面積を閾値として、前記閾値以下の面積を有する輪郭である。
- 請求項7に記載の方法であって、前記第1のピークに関連する複数の輪郭は、前記第1のピークの面積よりも小さい所定の値を超える面積を有する輪郭である。
- 装置に、壁面におけるひび割れ領域を判定する方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面を撮像した原画像データを二値化して二値化データを生成するステップと、
前記二値化データにより表される画像内の複数の輪郭を検出するステップと、
各輪郭により特定される領域の面積とその度数との関係を示すヒストグラムが有する第1のピーク及び前記第1のピークよりも大きい面積における第2のピークのうち、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される領域をひび割れ領域と判定するステップと
を含む。 - 壁面におけるひび割れ領域を判定する装置であって、
矩形のタイルを複数貼ることで形成される壁面を撮像した原画像データを二値化して二値化データを生成し、
前記二値化データにより表される画像内の複数の輪郭を検出し、
各輪郭により特定される領域の面積とその度数との関係を示すヒストグラムが有する第1のピーク及び前記第1のピークよりも大きい面積における第2のピークのうち、前記第1のピークに関連する複数の輪郭により特定される領域をひび割れ領域と判定する。
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JP2020032492A JP2021135209A (ja) | 2020-02-27 | 2020-02-27 | ひび割れ領域を判定するための装置、方法及びそのためのプログラム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7124995B1 (ja) * | 2022-01-14 | 2022-08-24 | 株式会社Rist | クラック測定システム、クラック測定方法及びクラック測定プログラム |
WO2023022070A1 (ja) | 2021-08-20 | 2023-02-23 | 株式会社小糸製作所 | 画像照射装置 |
-
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WO2023135744A1 (ja) * | 2022-01-14 | 2023-07-20 | 株式会社Rist | クラック測定システム、クラック測定方法及びクラック測定プログラム |
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