JP5705711B2 - ひび割れ検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート表面に生じているひび割れの検出をおこなうひび割れ検出方法に係り、特に、複数の撮影画像における画質の均質化を図ることができ、簡易に高精度のひび割れ検出をおこなうことのできるひび割れ検出方法に関するものである。
コンクリート表面上のひび割れを検出する方法としては、従来、調査員がスケールを使用しながら目視観察をおこない、ひび割れの幅や長さを測定する方法が一般的であった。しかし、この目視観察による方法は調査員の測定技量などによって精度のばらつきが大きくなることや、ひび割れが大量に存在する場合においては大量の情報を正確に処理するために莫大な労力および時間を要するといった問題があった。
上記の問題に対して、コンクリート表面の撮影画像をコンピュータに取り込み、画像をひび割れ領域とそれ以外の領域とに2値化処理する画像処理手法が適用されている。画像の2値化処理とは、ある濃度値に対して画像の濃度を0または1に表現することであり、例えば、入力画像f(i,j)に対して2値化処理で得られる2値化画像b(i,j)はb(i,j)=1(f(i,j)>k)、0(f(i,j)≦k)となる。ここで、kは2値化する際の閾値であり、したがって2値化画像の良し悪しは閾値kの選定によって決まるといってよい。
従来の閾値を求める手法としては、固定閾値または可変閾値による処理方法がある。固定閾値による処理方法には、Pタイル法やモード法、相関比を用いた方法などが挙げられる。固定閾値による処理方法は、対象画像の濃度ヒストグラムを作成し、画像の背景(コンクリート表面)の濃度値とひび割れの濃度値との間に明確な谷が現れるような双峰性のヒストグラムが得られる場合において有効な方法である。
一方、可変閾値による処理方法は、照明条件などによって撮影ムラが生じ、背景の濃度値と対象部分の濃度値が画像全体で一定でない場合に有効な方法である。この可変閾値処理法は、注目している画素を中心とする局所領域の平均濃度値を閾値とする方法である。この方法の欠点は、背景領域の微妙な濃淡変化に応じて、例えばひび割れ以外のノイズが多い画像となってしまう点である。
従来の画像処理方法は、撮影された入力画像に対して閾値を決定し、2値化処理をおこないながらひび割れの抽出をおこなうものである。すなわち、この一般的な処理の流れは次のようになる。1)撮影画像をコンピュータに取り込んで入力画像を作成する。2)入力画像の濃度の補正をする。3)2値化処理をおこなってひび割れの抽出をおこなう。4)ひび割れの平滑化や輪郭線の追跡をおこなう。5)特定されたひび割れの特徴量の算定をおこなう。
上記する従来の画像処理法は、濃度が一様なコンクリート表面上のひび割れの検出においては比較的高精度のひび割れ検出が可能である。しかし、実際のコンクリート構造物の表面は様々な汚れを含んでおり、さらにはひび割れの濃度も、ひび割れの幅や深度などに応じてばらつきがあるのが一般的である。このコンクリート表面に対して従来の画像処理法を用いると、ひび割れの抽出に際しては様々な問題が生じ得る。例えば、固定閾値処理の場合において、コンクリート表面上の汚れ領域とひび割れ領域が同程度の濃度値である場合には、これらを2値化処理することが極めて困難となる。濃度ヒストグラムが双峰性を呈していて、閾値を容易に決定できたとしても、ひび割れ領域と判断される範囲には汚れ領域が含まれる可能性が極めて高くなる。また、逆に、ひび割れ周辺部の汚れ領域を含ませないような閾値をあらたに設定しようとすると、今度は他のひび割れ領域を除外してしまうことになってしまう。
可変閾値処理の場合には、コンクリート表面上の汚れが多くなるにしたがって、ひび割れ抽出画像中にひび割れ以外のノイズが多く含まれることになり、場合によってはひび割れ抽出画像を一見しても、どの部分がひび割れ領域なのか全く判別できないこととなる。
したがって、高精度のひび割れ検出をおこなうことが当該技術分野における重要な解決課題となっている。
一方、ひび割れの調査における最終図面として、ひび割れ分布の展開図が作成されるのが一般的である。このひび割れ展開図は、ひび割れの発生状況やひび割れ幅をマップ上に作成するものである。
ひび割れ展開図を作成する方法としては、1)現地にて調査員が目視でひび割れ状況をスケッチし、または、代表的な箇所のひび割れ幅をクラックスケールで測定しておこなう方法、2)デジタルカメラなどで撮影した画像データを参考にしてひび割れ状況やひび割れ幅をトレースする方法などを挙げることができる。
しかしながら、これらの方法は調査員やトレーサの主観的かつ定性的な判断が往々にして介入することから、調査員等によってひび割れ評価にばらつきが生じ易く、また、見落としや誤認が生じる可能性もある。
これらの課題を解決するためには、人為的な判断を可及的に介入させずに、客観的かつ定量的にひび割れを評価することが重要である。
そのための方策として、本発明者等はこれまで、デジタルカメラやビデオカメラ等のデジタル機器で撮影した画像にウェーブレット変換を用いた画像解析をおこなってひび割れを精緻に評価する発明を発案し、特許文献1〜4等として開示している。これらの特許文献に開示のひび割れ検出方法を適用することにより、上記する課題、すなわち、コンクリート表面上に汚れが多い場合でも高精度のひび割れ検出をおこなうことが可能となる。
ところで、画像解析では、空間分解能0.8mm/画素で撮影した画像から0.2mm以上のひび割れを検出することは可能であるが、ひび割れ幅が実際にいくらであるのかを識別するのは難しい。たとえば、画素単位でひび割れ幅を検出する場合に、0.2mmのひび割れ幅を識別するには空間分解能0.2mm/画素で撮影する必要がある。
そして、空間分解能0.2mm/画素で撮影するためには、往々にして近接撮影を要し、それにともなって撮影枚数が多くなり、現地での撮影や解析処理に手間と時間がかかることになる。したがって、作業効率を向上させるには、遠隔撮影をして撮影枚数を減少させる必要があり、このために低分解能の撮影画像に基づいた画像解析が余儀なくされる。
また、撮影対象が広範囲になるにつれて区画ごとに分けて撮影がおこなわれることになるが、撮影時の天候や時刻、日照などの条件の相違に起因して撮影画像のコントラスト、明るさ、色合いやぼけ具合などの品質に違いが生じ得る。
このように品質に違いのある撮影画像に対してひび割れ幅の推定式の精度を確保するには、撮影画像ごとにクラックスケールを貼付けして撮影をおこない、クラックスケールの実寸値(ひび割れ幅)でキャリブレーションする必要がある。
たとえば特許文献1で開示するひび割れ検出方法は、低分解能の撮影画像データから空間分解能以下のひび割れ幅を推定する方法であり、より具体的には、ウェーブレット係数とひび割れ幅が高い正の相関関係を示すことを利用し、ウェーブレット係数からひび割れ幅との関係式を作成し、撮影画像データから求めたウェーブレット係数の値からひび割れ幅を推定するものである。
そして、このひび割れ検出方法の特徴として、コンクリート上に発生しているひび割れを撮影する際に、コンクリートにクラックスケールを貼付ける場合と貼付けない場合の2つのケースで検討している。
クラックスケールを貼付け、このクラックスケールによる解析結果に基づいて検出されたひび割れをキャリブレートすることにより、撮影画像ごとにコントラスト、明るさ、色合いやぼけ具合などの品質の違いを解消することができるものの、貼付けたクラックスケールがコンクリート面から浮いている場合には推定式の精度に大きな影響を及ぼすことになる。さらに、撮影対象面が高所やアクセスが危険な場所の場合には、クラックスケールを貼付けること自体が難しい。
一方、クラックスケールを貼付けできない場合は、ひび割れ幅の推定式を用いてひび割れの推定をおこなうものであるが、この推定式におけるファクターの一つであるウェーブレット係数値の最大値と最小値に対応するひび割れ幅を撮影画像の空間分解能ごとに設定する必要があるという課題がある。
以上のことより、撮影対象のコンクリート表面にクラックスケールを貼付けし、検出されたひび割れをキャリブレートすることによって精度のよいひび割れ幅の特定が可能となるものの、このクラックスケールの貼付けによって上記する様々な課題が存在することから、撮影対象のコンクリート表面にクラックスケールを貼付けすることなく、精度のよいひび割れ幅の特定が可能となる技術の発案が当該技術分野において望まれている。
特開2008−267943号公報 特開2010−121992号公報 特開2008−185510号公報 特開2006−162583号公報
本発明のひび割れ検出方法は上記する問題に鑑みてなされたものであり、撮影対象のコンクリート表面にクラックスケールを貼付けすることなく、ひび割れ幅を精度よく特定することのできるひび割れ検出方法を提供することを目的としている。
Figure 0005705711
ウェーブレット(wavelet)とは、小さな波という意味であり、局在性を持つ波の基本単位を、ウェーブレット関数を用いた式で表現することができる。このウェーブレット関数を拡大または縮小することにより、時間情報や空間情報と周波数情報を同時に解析することが可能となる。このウェーブレット係数を、ひび割れを有するコンクリート表面に適用する場合の該ウェーブレット係数の特徴としては、この係数が、コンクリート表面の濃度と、ひび割れの濃度と、ひび割れ幅に依存するということである。例えば、ひび割れ幅が大きくなるにつれてウェーブレット係数の値は大きくなる傾向があり、また、ひび割れの濃度が濃くなるにつれて(黒色に近づくにつれて)ウェーブレット係数の値は大きくなる傾向がある。
ウェーブレット変換によって算定されるウェーブレット係数を用いて、ひび割れの検出をおこなうアルゴリズムは以下のようになる。まず、コンクリート表面の撮影画像とウェーブレット関数との内積よりウェーブレット係数を求める。このウェーブレット係数を256階調に変換することで、連続量を持ったウェーブレット画像が作成できる。
ウェーブレット係数は、上記するようにひび割れ幅やひび割れの濃度、コンクリート表面の濃度によって変化することから、擬似的に作成されたデータを用いてひび割れの濃度とコンクリート表面の濃度に関するウェーブレット係数を各階調ごとに算定しておき、ウェーブレット係数テーブルを作成しておく。このウェーブレット係数テーブルにある各階調ごとのウェーブレット係数が、ひび割れ検出の際の閾値となる。例えば、対比される2つの濃度(一方の濃度をコンクリート表面の濃度、他方の濃度をひび割れの濃度と仮定することができる)に対応するウェーブレット係数(閾値)がウェーブレット係数テーブルを参照すれば一義的に決定される。したがって、後述するように、撮影画像において対比される2つの濃度間のウェーブレット係数を算定した際に、このウェーブレット係数がウェーブレット係数テーブルの閾値よりも大きな場合は、ひび割れであると判断できるし、閾値よりも小さな場合はひび割れでないと判断することが可能となる。
このウェーブレット係数テーブルを作成する際の擬似的なデータは特に限定するものではないが、例えば、ひび割れ幅が一画素(一ピクセル)〜五画素(五ピクセル)までの中で、各画素幅のひび割れごとに、コンクリート表面の階調とひび割れの階調に対応するウェーブレット係数を算定する。閾値の設定に際しては、例えば、ひび割れ幅が一画素の場合のウェーブレット係数のうち、ひび割れに対応するウェーブレット係数を選定し、ひび割れ幅が五画素の場合のウェーブレット係数のうち、ひび割れ領域でない箇所のウェーブレット係数を選定し、これら2つのウェーブレット係数の平均値をもって任意の階調における閾値とすることができる。
Figure 0005705711
すなわち、既存の蓄積されたクラックスケールの撮影画像を使用することにより、撮影対象に対してクラックスケールを貼付けするのを解消するものであり、このことによって、撮影対象面が高所やアクセスが危険な場所の場合にクラックスケールを貼付けできないといった課題、貼付けたクラックスケールがコンクリート面から浮いている場合にひび割れ幅の推定式の精度に大きな影響を及ぼし得るといった課題は効果的に解消される。
次に、たとえば最終的に作成されるひび割れ展開図を構成する複数の撮影対象のコンクリート表面のそれぞれにおいてひび割れの特定をおこなう。
具体的には、第2のステップとして、複数の撮影対象ごとに、ひび割れの濃度とコンクリート表面の濃度を擬似的に設定し、対比される2つの濃度に対応したウェーブレット係数を算定するとともに、該2つの濃度をそれぞれ変化させた場合のそれぞれのウェーブレット係数を算定してウェーブレット係数テーブルを作成し、ひび割れ検出対象であるコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力して入力画像とし、該入力画像をウェーブレット変換することによって撮影対象ごとにそれぞれのコンクリート表面のウェーブレット画像を作成する。
このウェーブレット画像の作成は、コンピュータ内部において以下のように実施される。まず、適宜に設定された広域領域(例えば30×30画素の領域)に対してウェーブレット係数を算定する。次に、この広域領域から一画素移動した広域領域(同じように例えば30×30画素の領域であって、移動前の30×30画素の領域とほとんどの画素が共通している)で、同じようにウェーブレット係数を算定する。この操作を入力画像全体に繰り返すことにより、コンピュータ内部には、ウェーブレット係数の連続量からなるウェーブレット画像が作成される。
次に、第3のステップとして、ウェーブレット係数テーブル内において、前記コンクリート表面の濃度と仮定する局所領域内の近傍画素の平均濃度と、前記ひび割れの濃度と仮定する注目画素の濃度に対応するウェーブレット係数を閾値とし、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも大きな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れと判定し、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも小さな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れでないと判定し、局所領域および注目画素を変化させながら注目画素のウェーブレット係数と閾値との比較をおこない、ひび割れ以外のノイズを除去し(以上、2値化処理)、さらに細線化処理を実行してその中心線で構成される、撮影対象のコンクリート表面のひび割れの細線化画像を作成する。
ウェーブレット係数の連続量からなるウェーブレット画像において、ウェーブレット係数テーブル内の閾値(ウェーブレット係数)とウェーブレット画像を構成するウェーブレット係数とを比較し、画像を構成するウェーブレット係数が閾値よりも大きな場合はひび割れと判断し(画面上では例えば白色)、閾値よりも小さな場合はひび割れでないと判断する(画面上では例えば黒色)。この操作をウェーブレット画像全体でおこなうことにより、黒い背景色内に白いひび割れが描き出されたひび割れ抽出画像が作成される。
このひび割れ抽出画像の作成に際し、2値化処理に加えてノイズの除去も実施される。このノイズを除去する方法としては、公知の画像編集ソフトを使用して、ドット部を除去したり、所定長さ未満の線分を非クラック部として除去するといった方法がある。また、ノイズ除去方法のアルゴリズムの一つとしては輪郭線追跡処理を挙げることができる。この輪郭線追跡処理は、ある任意の画素(ひび割れと判断されている画素)から出発して、隣接する画素がひび割れ箇所の場合には出発画素と接続し、さらに隣接する画素がひび割れ箇所の場合にはさらに双方を接続し、最終的に出発画素に閉合した場合(例えば、第一画素、第二画素、…、第n−1画素、第n画素、第一画素の順に接続される場合)や、次に繋がるひび割れ箇所が存在しなくなった場合に終了するものである。この輪郭線追跡処理によれば、ループ状に閉合するようなひび割れラインや、複数の屈曲部を備えて線状に伸びるひび割れラインなど、適宜のひび割れラインが作成されることになる。この際、繋げられる画素数の最小数を予め設定しておくことにより、設定数以下の画素はすべてひび割れでないとして、画面のひび割れ表示から削除することができる。
また、平滑化処理をおこなった後に輪郭線追跡処理を実行してもよい。ここで、平滑化処理は、適宜に設定された数の画素内の平均値を算定し、例えば、複数の画素の中で、平均値よりも濃い濃度の画素はひび割れである画素とし、平均値よりも薄い濃度の画素はひび割れでないと判断する手法である。
次に、ひび割れ画素のみを抽出した画像に対して細線化処理を実行することにより、ひび割れの中心線で構成され、たとえばひび割れ全体が一画素幅(一ピクセル幅)を有する細線化画像を作成する。発明者等の検証によれば、任意幅のひび割れにおいて、その中心線部分が最も濃度が濃くなることが分かっており、したがって、細線化処理により、任意幅で任意長さのひび割れを構成するひび割れにおいて、各部位のひび割れ濃度を設定することができる。
以上、第2、第3のステップにて、撮影対象のコンクリート表面ごとにひび割れの細線化画像が作成される。
Figure 0005705711
回帰分析にて特定されるひび割れ幅の推定式は、蓄積されるクラックスケールのデータ量等によって変化するものである。
このように、第4のステップにおいては、第2、第3のステップで撮影対象のコンクリート表面における画像解析をおこなったのと同様の方法で蓄積されているデータベース中のクラックスケールの撮影画像の細線化画像を特定するものである。したがって、第4のステップ中で、このクラックスケールの撮影画像の細線化画像を特定するまでの工程を第1のステップで実行する方法形態であってもよい。
Figure 0005705711
回帰分析の結果、クラックスケールにおけるひび割れ幅、ウェーブレット係数、注目画素の輝度、周辺画素の平均輝度、空間分解能や相関係数から構成されるデータベースを作成することができる。
本発明者等の検証によれば、上記推定式を適用することによって極めて高い精度でひび割れ幅を特定できることが実証されている。
また、本発明によるひび割れ検出方法の好ましい実施の形態は、前記回帰分析の結果、相関係数が一定の高さ以上のクラックスケールの撮影画像のみを使用して前記ひび割れ幅の推定式を求めるものである。
推定式の精度は、回帰分析にて求められる相関係数に依存するところが大きく、より具体的には、一定の高い相関係数を有するクラックスケールの撮影画像のみを使用して回帰分析をおこない、ひび割れ幅の推定式を特定するのが望ましい。このことにより、クラックスケールを撮影した際のピントの不具合やクラックスケールの貼り方が浮いていることに依拠するぼけた画像を除去することができ、結果として推定式の精度向上に繋がる。
Figure 0005705711
以上の説明から理解できるように、本発明のひび割れ検出方法によれば、既に蓄積されているクラックスケールの撮影画像をデータベースとして設定し、それぞれのクラックスケールの撮影画像に対して、ウェーブレット変換、2値化処理、細線化処理を実行してウェーブレット係数と閾値、ひび割れ幅の実寸値などから構成されるデータベースを作成し、クラックスケールのウェーブレット係数を所定の関係式に代入してひび割れ幅の推定値を求め、この推定式に撮影対象のコンクリート表面のひび割れの細線化画像のデータを適用することにより、高い精度でひび割れ幅を特定することができる。
入力画像と局所領域の関係を示した模式図である。 局所領域と注目画素の関係を示した模式図である。 本発明のひび割れ検出方法の一実施の形態のフロー図である。 擬似画像を示した図である。 図4の擬似画像のウェーブレット係数の鳥瞰図である。 ウェーブレット係数テーブルの一実施の形態を示した図である。 ひび割れ検出方法の他の実施の形態のフロー図であって、図3のフローにおけるステップS110以降のフローを抽出した図である。 (a),(b)はいずれも、クラックスケールの撮影画像を示した図であり、(c)、(d)はそれぞれ、(a),(b)からクラックスケールの画像のみを抽出した画像であり、(e)、(f)はそれぞれ、(a),(b)のクラックスケールの画像の細線化画像を示した図である。 (a)は、図8cの画像のひび割れ幅の推定値を示した図であり、(b)は、図8dの画像のひび割れ幅の推定値を示した図であり、(c)は、図9a,bの回帰式で推定した結果を同一図面上で比較した図である。 (a),(b)はそれぞれ、極端に明るさの異なるクラックスケールの撮影画像を示した図であり、(c)、(d)はそれぞれ、(a),(b)からクラックスケールの画像のみを抽出した画像であり、(e)、(f)はそれぞれ、(a),(b)のクラックスケールの画像の細線化画像を示した図である。 (a)は、図10cの画像のひび割れ幅の推定値を示した図であり、(b)は、図10dの画像のひび割れ幅の推定値を示した図であり、(c)は、図10a,bの回帰式で推定した結果を同一図面上で比較した図である。 (a)は、推定されたひび割れ幅と、クラックスケールで測定されたひび割れ幅が、誤差±0.05mmの範囲内で適中する割合を求めた測定結果を示す図であり、(b)は、推定されたひび割れ幅と、クラックスケールで測定されたひび割れ幅が、誤差±0.1mmの範囲内で適中する割合を求めた測定結果を示す図である(図において、実施例(高分解能)と実施例(低分解能)は本発明の方法にてひび割れ幅を推定したものであり、比較例は特許文献1で開示の方法を用いて低分解能画像からひび割れ幅を推定したものである)。 低分解能の場合において、ひび割れ幅の測定値ごとに推定されたひび割れ幅の分布を示した図であり、(a)は測定値が0.08mmのケース、(b)は測定値が0.1mmのケース、(c)は測定値が0.15mmのケース、(d)は測定値が0.2mmのケース、(e)は測定値が0.25mmのケース、(f)は測定値が0.3mmのケースの図である。 低分解能と高分解能それぞれの場合の、ひび割れ幅の測定値ごとに推定されたひび割れ幅の分布を示した図であり、(a)は測定値が0.08mmのケース、(b)は測定値が0.1mmのケース、(c)は測定値が0.15mmのケース、(d)は測定値が0.2mmのケース、(e)は測定値が0.25mmのケース、(f)は測定値が0.3mmのケースの図である。
以下、図面を参照して本発明のひび割れ検出方法の実施の形態を説明する。
(ひび割れ検出方法の実施の形態1)
ひび割れ検出方法のフロー図を説明する前に、ウェーブレット画像を作成するまでの概要を説明する。図1は、入力画像と局所領域の関係を示した模式図である。本発明のひび割れ検出方法では、入力画像1における広域領域2でウェーブレット変換をおこない、広域領域2の中心である局所領域3におけるひび割れの検出をおこなうものである。入力画像1内をくまなく広域領域2を上下左右に平行移動して、入力画像1内におけるひび割れの検出をおこなう。この方法により、従来の固定閾値法のように、例えば入力画像1内で一つの閾値を決める方法に比べて、精度のよいひび割れの検出をおこなうことができる。
図2は、局所領域3を拡大した図であり、図示する実施形態では、たとえば3×3の9つの画素(8つの近傍画素31,31,…と、中央に位置する注目画素32)を対象としてひび割れ判定をおこなう。なお、ウェーブレット係数の算定は、図1における広域領域2を対象としておこなわれる。
ここで、ウェーブレット関数(マザーウェーブレット関数)を用いたウェーブレット変換をおこなうことでウェーブレット係数を算定する算定式を以下に示す。
Figure 0005705711
Figure 0005705711
Figure 0005705711
ここで、f(x、y)は入力画像(ここで、x、yは2次元入力画像中の任意の座標である)を、ψはマザーウェーブレット関数(ガボール関数)を、(x、y)はψの平行移動量を、aはψの拡大や縮小を(ここで、aは周波数の逆数であって、幾つかの周波数領域について計算するための周波数幅を整数kで示した値)、fは中心周波数を、σはガウス関数の標準偏差を、θは波の進行方向を表す回転角を、(x’、y’)は(x、y)を角度θだけ回転させた座標を、それぞれ示している。
ここで、数式1を用いて計算した複数のθ、kに対して、ウェーブレット係数Ψの累計値C(x、y)を求めたのが数式4となる。
Figure 0005705711
上記のパラメータは、任意に設定できるが、例えば、σを0.5〜2に、aは0〜5に、fは0.1に、回転角は0〜180度に、それぞれ設定できる。
数式4における平行移動量(x、y)は、注目画素の位置に対応するものであり、注目画素の位置を順次移動させることによって、ウェーブレット係数の連続量(C(x、y))が算定でき、この連続量を図示することによってウェーブレット画像が作成できる。
広域領域2を構成する全画素に対して、ウェーブレット係数を上記の算定式に基づいて算定した後、注目画素を一つ左右または上下に移動させてできる広域領域2の全画素において同様にウェーブレット係数を算定する。このウェーブレット係数算定を入力画像全体で実施することにより、適宜の範囲内における構成画素がそれぞれのウェーブレット係数を備えたウェーブレット画像(ウェーブレット係数の連続量からなる画像)を作成することができる。
次に、図3に基づいて、ひび割れ検出方法の実施の形態1を説明する。
今回撮影対象となるコンクリート表面とは異なり、以前に撮影された撮影対象のコンクリート表面において貼付けされたクラックスケールの撮影画像であって、既に蓄積されているクラックスケールの撮影画像をデータベースとして設定しておく。より具体的には、コンクリート表面にクラックスケールを貼付け、CCDカメラ等のデジタルカメラで撮影した撮影画像からクラックスケールのみを抽出してクラックスケールのみの撮影画像を作成し、データベース化する(ステップS10)。
このクラックスケールの撮影画像のデータベースには、クラックスケールの最小幅から最大幅までの複数の実寸値が含まれており、さらに、撮影距離やレンズ焦点距離、空間分解能が異なる複数の画像データから構成されるものである。
次に、今回撮影対象となっている複数のコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに取り込むことにより、入力画像の作成がおこなわれる(ステップS20)。上記するステップ10により、ステップS20の際にクラックスケールをコンクリート表面に貼着する必要はない。
次に、入力画像とは何らの関係もない、対比する2つの濃度からなる擬似画像に対して、ウェーブレット係数の算定をおこなう。例えば、図4に示すように、コンクリート表面と仮定される背景色a(例えば、背景色のR、G、Bが、255,255,255とする)と、ひび割れと仮定される線分b1〜b5からなる擬似画像のウェーブレット係数を求める。ここで、線分b1〜b5は、線幅が順に1画素(1ピクセル)〜5画素(5ピクセル)まで変化しており、さらに、各線分は、3種類の濃度を備えている(例えば、線分b1では、濃度の濃い順に、b11(黒色)、b12(薄い黒色)、b13(灰色)と変化している)。この擬似画像に対してウェーブレット変換をおこなうことで算定されるウェーブレット係数の鳥瞰図を示したのが図5である。図5において、X軸は線分の幅を、Y軸は線分の色の濃度を、Z軸はウェーブレット係数をそれぞれ示している。この線幅の設定は、最終的に抽出したいひび割れ幅の最大値によって設定すればよい。なお、画素幅ごとに、ひび割れ領域のウェーブレット係数と、ひび割れ領域以外のウェーブレット係数が算定できる。
本実施形態では、コンクリート表面と仮定される任意の濃度(階調)と、ひび割れと仮定される任意の濃度(階調)に対応する閾値(ウェーブレット係数)を算定するにあたり、例えば、ひび割れ幅が1画素幅の場合におけるひび割れ領域のウェーブレット係数と、ひび割れ幅が5画素幅の場合におけるひび割れ領域以外のウェーブレット係数との平均値をもって、設定したひび割れ幅範囲内において対象となる階調に対応した閾値としている。この閾値の設定は、勿論任意でかまわない。
対比する2つの濃度の組み合わせをそれぞれ0〜255の256階調でおこなうことで、図6に示すようなウェーブレット係数テーブルの作成(ステップS40)がおこなわれる。なお、この作業は、図示するフロー位置でなくともよく、例えば、入力画像の作成前であってもかまわない。
入力画像をウェーブレット変換することにより、ウェーブレット画像の作成(ステップS30)がおこなわれる。
ウェーブレット画像は、上記するように、各画素が固有のウェーブレット係数を備えた連続量からなるものであり、各画素のウェーブレット係数を対応するウェーブレット係数テーブルのウェーブレット係数(閾値)と比較することにより、2値化画像の作成がおこなわれる(ステップS50)。例えば、任意の画素のウェーブレット係数が、該画素の濃度(ウェーブレット係数テーブルではこの画素濃度はひび割れ濃度に対応する)と、局所領域内の近傍画素の平均濃度(ウェーブレット係数テーブルではこの局所領域内の近傍画素の平均濃度がコンクリート濃度に対応する)で一義的に決定されるウェーブレット係数(閾値)よりも大きな場合は、この画素をひび割れであると判定する。
それぞれの画素のウェーブレット係数に対して同様の比較をコンピュータ内でおこなうことにより、例えば、黒い画面(コンクリート表面)内に、白い線分(ひび割れ)が描き出された2値化画像が作成され、この2値化画像からさらにノイズが除去される。
このノイズの除去方法は、簡易には公知の画像編集ソフトを使用して、ドット部を除去する方法、所定長さ未満の線分を非クラック部として除去するといった方法がある。
また、他の方法として、平滑化処理と輪郭線追跡処理によっておこなう方法がある。平滑化処理では、局所領域内の濃度の平均値(例えば、中央値)を該局所領域内の注目画素の濃度値とすることにより、2値化画像からノイズを除去してひび割れ箇所を絞り込む。この平滑化処理がおこなわれることにより、平滑化画像が作成される。
次に、平滑化画像に対して輪郭線追跡処理をおこなう。輪郭線追跡処理は、各ひび割れ領域における任意のひび割れ画素を起点とし(第一画素)、例えば、この第一画素から反時計回りに隣接する画素に注目し、この隣接画素(第二画素)がひび割れ画素である場合には第一画素と第二画素を接続する。以後、同様に第二画素、第三画素、…、第n−1画素、第n画素とひび割れ画素の追跡をおこない、該n画素の次に起点となる第一画素がくる場合には、第一画素〜第n画素までを一つのひび割れ箇所(ひび割れライン)と判定する。あるいは、該n画素の次に続くひび割れ画素が存在しなくなった時点で、第一画素〜第n画素を一つのひび割れ箇所(ひび割れライン)と判定する。なお、ひび割れラインの中には、その途中で二股以上に分岐するようなひび割れ形態も含まれる。この次数nの設定は任意であり、第一画素からの追跡数がこの設定された次数n以上の場合をひび割れと判定することにより、ひび割れ抽出画像が作成される。
2値化画像において、ひび割れの中心線で構成され、たとえばひび割れ全体が一画素幅(一ピクセル幅)を有する細線化画像を作成する(ステップS60)。
このように、ステップS20〜ステップS60をそれぞれの撮影対象のコンクリート表面の撮影画像で実行することにより、コンクリート表面ごとの細線化画像が作成される。
一方、ステップS10にてデータベース化されたそれぞれのクラックスケールの撮影画像をコンピュータに入力してそれぞれのクラックスケールの入力画像を作成し、それぞれのクラックスケールの入力画像をウェーブレット変換することによってクラックスケールのウェーブレット画像を作成し(ステップS70)、ウェーブレット画像の各画素のウェーブレット係数を対応するウェーブレット係数テーブルのウェーブレット係数(閾値)と比較することによってクラックスケールの2値化画像を作成する。そして、これに細線化処理を実行してその中心線で構成される、クラックスケールの細線化画像を作成する(ステップS90)。
Figure 0005705711
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それぞれのコンクリート表面のひび割れ幅が特定されたら、隣接するコンクリート表面画像の展開図が作成できる(ステップS120)。
なお、図3では、クラックスケールのデータベースからひび割れ幅の推定式の特定までのフローと撮影対象のコンクリート表面の細線化画像の作成までが並行したフロー図となっているが、本発明のひび割れ検出方法は、このフロー図に限定されるものではなく、たとえばステップS10〜ステップS100を先行しておこない、ひび割れ幅の推定式を予め特定しておき、その次に、各撮影対象のコンクリート表面における細線化画像の作成をおこなうフローであってもよい。
ここで、回帰分析の結果、相関係数が比較的高いクラックスケール画像のみを用いて回帰分析をおこない、ひび割れ幅の推定式を特定するのが望ましい。
Figure 0005705711
(ひび割れ検出方法の実施の形態2)
図7は、ひび割れ検出方法の実施の形態2のフロー図を示したものであり、より具体的には、図3で示す実施の形態1と共通する部分の殆どの図示を省略したものであり、ステップS110以降に新規のステップS130を有する方法である。
Figure 0005705711
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[本発明のひび割れ検出方法の精度の検証]
本発明者等は、以下の方法により、本発明のひび割れ検出方法の精度の検証を試みた。
この検証では、標準的な品質で撮影された画像を例に、本発明によって特定されたひび割れ幅の推定式の精度検証をおこなう。ここで、「標準的な品質で撮影された画像」とは、明るく撮影され、ピントも合っており、目視でもある程度ひび割れを特定できる画像のことであり、単独で回帰分析をおこなうと相関係数が0.85以上に相当する画像のことである。
図8a,bは、蓄積されている、2枚のクラックスケールを含む画像(それぞれ画像A,画像B)であり、それぞれの画像から抽出されたクラックスケール画像を図8c、dに示しており、さらに、それらの細線化画像を図8e,fに示している。
使用したクラックスケールは、その最小幅が0.04mm、最大幅が2.2mmの実寸値を有している。
なお、本発明者等が所有している現在までに蓄積されたクラックスケール画像のデータベースには、撮影距離3.1m〜11.5m、レンズ焦点距離40mm〜175mm、空間分解能0.25mm/画素〜0.62mm/画素で撮影した238枚の画像データが存在しており、このデータベースは随時アップデートするようになっている。
図8e,fより、0.04mm以上の幅のひび割れを検出することが可能である。図9aは、図8cの画像のひび割れ幅の推定値を示した図であり、図9bは、図8dの画像のひび割れ幅の推定値を示した図であり、図9cは、図9a,bの回帰式で推定した結果を同一図面上で比較した図である。
図9aより、画像A単独のデータから求めた回帰式の相関係数は0.880であり、推定したひび割れ幅とクラックスケールにて計測したひび割れ幅が良好に一致していることが確認できる。
一方、図9bより、画像B単独のデータから求めた回帰式の相関係数は0.899であり、図9aと同様に推定したひび割れ幅とクラックスケールにて計測したひび割れ幅が良好に一致していることが確認できる。
そして、図9cより、双方が同様の結果となっていることもまた確認できる。
次に、図10a,bで示すように、異なる明るさの下で撮影されたクラックスケールを有する撮影画像に基づくひび割れ幅の推定式の精度の検証をおこなう。
図10a,bは、蓄積されている、2枚のクラックスケールを含む画像(それぞれ画像C,画像D)であり、それぞれの画像から抽出されたクラックスケール画像を図10c、dに示しており、さらに、それらの細線化画像を図10e,fに示している。
図10e,fより、0.04mm以上の幅のひび割れを検出することが可能である。図11aは、図10cの画像のひび割れ幅の推定値を示した図であり、図11bは、図10dの画像のひび割れ幅の推定値を示した図であり、図11cは、図11a,bの回帰式で推定した結果を同一図面上で比較した図である。
画像Cの回帰式の相関係数は0.728、画像Dの回帰式の相関係数は0.481と低いために、推定されたひび割れ幅とクラックスケールにて測定されたひび割れ幅は必ずしも良好に一致しているとは言えない。しかしながら、本発明のひび割れ検出方法によるひび割れ幅の推定式を適用し、画像の均等化処理をおこなって推定したひび割れ幅は、個々の回帰分析と同等以上のひび割れ幅を特定することが実証されている。
次に、実構造物である橋梁床版の空間分解能0.8mm/画素と空間分解能0.3mm/画素で撮影したデータに本発明のひび割れ検出方法を適用し、推定精度の検証をおこなった。なお、比較例として、特許文献1で示すひび割れ検出方法を適用して推定されたひび割れ幅を取り上げる。
図12aは、推定されたひび割れ幅と、クラックスケールで測定されたひび割れ幅が、誤差±0.05mmの範囲内で適中する割合を求めた測定結果を示す図であり、図12bは、推定されたひび割れ幅と、クラックスケールで測定されたひび割れ幅が、誤差±0.1mmの範囲内で適中する割合を求めた測定結果を示す図である。なお、同図において、実施例(高分解能)と実施例(低分解能)は本発明の方法にてひび割れ幅を推定したものであり、比較例は特許文献1で開示の方法を用いて低分解能画像からひび割れ幅を推定したものである。
ここで、適中率は、(適中の個数)/(適中の個数+不適中の個数+未検出の個数)×100で算出される。
図12a,bより、比較例(特許文献1)は実施例(高分解能(0.3mm/画素)、低分解能(0.8mm/画素)の双方)に比して0.15mm以下のひび割れ幅に対して極端に適中率が悪化することが実証されている。
また、比較例(特許文献1)、実施例ともに、0.2mm以上のひび割れ幅に対しては同様に高い適中率を有することが実証されている。
このことより、比較例の方法は0.2mm以上のひび割れ幅に対して良好な適中率を有するものであるのに対して、本発明の方法は0.2mm以上のもののみならず、0.15mm以下のひび割れ幅に対しても高い適中率を有すると言える。
次に、低分解能(空間分解能0.8mm/画素)の撮影画像に対し、ひび割れ測定値0.08mm〜0.3mmについて比較例の方法と本発明の方法によって推定されたひび割れ幅の分布を求めた。図13aは測定値が0.08mmのケース、図13bは測定値が0.1mmのケース、図13cは測定値が0.15mmのケース、図13dは測定値が0.2mmのケース、図13eは測定値が0.25mmのケース、図13fは測定値が0.3mmのケースの図である。
上記各図より、本発明の方法で推定されたひび割れ幅は、0.08mm〜0.3mmでひび割れ測定値を中心に正規分布しており、誤差も±0.05mm以内に収まっている。
一方、比較例(特許文献1)の方法で推定されたひび割れ幅は、0.15mm以下では測定値よりも0.1mm大きく、0.2mm以上では測定値よりも0.05mm大きくなる傾向を示すことが実証されている。
さらに、本発明の方法に関し、空間分解能0.8mm/画素(低分解能)と空間分解能0.3mm(高分解能)にて推定されたひび割れ幅の分布を求めた。図14aは測定値が0.08mmのケース、図14bは測定値が0.1mmのケース、図14cは測定値が0.15mmのケース、図14dは測定値が0.2mmのケース、図14eは測定値が0.25mmのケース、図14fは測定値が0.3mmのケースの図である。
上記各図より、低分解能、高分解能ともに同様の結果が得られており、各ひび割れ測定値に対して正規分布を呈していることが確認できる。
以上、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…入力画像、2…広域領域、3…局所領域、31…近傍画素、32…注目画素

Claims (3)

  1. 複数の撮影対象のコンクリート表面に生じているひび割れの検出をおこなうひび割れ検出方法であって、
    前記撮影対象とは異なる撮影対象のコンクリート表面において貼付けされたクラックスケールの撮影画像で既に蓄積されている該クラックスケールの撮影画像をデータベースとして設定しておく第1のステップと、
    前記複数の撮影対象ごとに、ひび割れの濃度とコンクリート表面の濃度を擬似的に設定し、対比される2つの濃度に対応したウェーブレット係数を算定するとともに、該2つの濃度をそれぞれ変化させた場合のそれぞれのウェーブレット係数を算定してウェーブレット係数テーブルを作成し、ひび割れ検出対象であるコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力して入力画像とし、該入力画像をウェーブレット変換することによって撮影対象ごとにそれぞれのコンクリート表面のウェーブレット画像を作成する第2のステップと、
    ウェーブレット係数テーブル内において、前記コンクリート表面の濃度と仮定する局所領域内の近傍画素の平均濃度と、前記ひび割れの濃度と仮定する注目画素の濃度に対応するウェーブレット係数を閾値とし、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも大きな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れと判定し、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも小さな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れでないと判定し、局所領域および注目画素を変化させながら注目画素のウェーブレット係数と閾値との比較をおこない、ひび割れ以外のノイズを除去し、さらに細線化処理を実行してその中心線で構成される、撮影対象のコンクリート表面のひび割れの細線化画像を作成する第3のステップと、からなり、
    前記データベース中のクラックスケールの撮影画像をコンピュータに入力してクラックスケールの入力画像とし、該クラックスケールの入力画像をウェーブレット変換することによってクラックスケールのウェーブレット画像を作成し、該クラックスケールのウェーブレット画像に対して細線化処理を実行してその中心線で構成される、クラックスケールの細線化画像を作成し、該クラックスケールの細線化画像において、
    Figure 0005705711
    撮影対象ごとにそれぞれのコンクリート表面のひび割れ幅を特定する第4のステップをさらに備えている、ひび割れ検出方法。
  2. 前記回帰分析の結果、相関係数が一定の高さ以上のクラックスケールの撮影画像のみを使用して前記ひび割れ幅の推定式を求める請求項1に記載のひび割れ検出方法。
  3. 撮影対象ごとにばらついている撮影画像の品質を一定の基準に基準化するために、
    Figure 0005705711
    請求項1または2に記載のひび割れ検出方法。
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