JP2021127286A - 合わせガラス、車両 - Google Patents

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駿介 定金
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Abstract

【課題】遮熱性と情報デバイスが赤外光を送信及び/又は受信する領域の赤外線透過性とを両立した合わせガラスを提供する。【解決手段】本合わせガラスは、一対のガラス板と、前記一対のガラス板の間に位置する中間膜と、を有する車両用の合わせガラスであって、透視領域を備え、前記透視領域において、T905≧90%、T1550≧80%の少なくとも一方を満たす領域を赤外高透過領域とし、前記合わせガラスを車両に取り付けて車両を水平面に配置したときに、平面視において、前記赤外高透過領域の下端の点を通り前記車両に水平な直線を直線Pとしたとき、前記透視領域は、前記直線Pを前記下端の点における前記合わせガラスの法線方向に対して前記合わせガラスに投影した曲線よりも前記合わせガラスの上方である第1領域と、前記曲線よりも下方である第2領域と、を含み、前記第1領域における前記赤外高透過領域の割合が5%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、合わせガラス、車両に関する。
近年、車両に、外界の状態を認識するために赤外光を用いる情報デバイスが設置される場合がある。このような場合、情報デバイスが車外の情報を取得するために赤外光を送信及び/又は受信する情報送受信領域が、フロントガラス等の一部に設けられる。
一方、中間膜に赤外線遮蔽材料を配合して赤外線遮蔽性能を付与した合わせガラスをフロントガラス等に使用する技術が知られている。この技術を用いると遮熱性が向上するため、乗員の快適性が向上する点では好ましいが、情報送受信領域の赤外線透過率が下がることにより、情報デバイスが赤外光を送信及び/又は受信することを妨げる場合がある。
この対策として、情報送受信領域を避けて赤外線遮蔽材料をコーティングすることや、赤外線遮蔽材料を配合した中間膜の情報送受信領域の部分をくり抜いて赤外線遮蔽材料が実質的に含まれていない中間膜に嵌めかえることが考えられるが、何れもプロセス負荷が大きい。
このため、例えば、情報送受信領域において、中間膜に赤外線遮蔽材料が含まれない領域を部分的に付与し、情報送受信領域の赤外線透過率の低下を抑制する対策が行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許第4876362号 国際公開第2015/019921号
しかしながら、上記の対策では、遮熱性は良好であるものの、情報送受信領域の赤外線透過性は不十分であった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、遮熱性と情報デバイスが赤外光を送信及び/又は受信する領域の赤外線透過性とを両立した合わせガラスを提供することを目的とする。
本合わせガラスは、一対のガラス板と、前記一対のガラス板の間に位置する中間膜と、を有する車両用の合わせガラスであって、透視領域を備え、前記透視領域において、T905≧90%、T1550≧80%の少なくとも一方を満たす領域を赤外高透過領域とし、前記合わせガラスを車両に取り付けて車両を水平面に配置したときに、平面視において、前記赤外高透過領域の下端の点を通り前記車両に水平な直線を直線Pとしたとき、前記透視領域は、前記直線Pを前記下端の点における前記合わせガラスの法線方向に対して前記合わせガラスに投影した曲線よりも前記合わせガラスの上方である第1領域と、前記曲線よりも下方である第2領域と、を含み、前記第1領域における前記赤外高透過領域の割合が5%以上である。
開示の一実施態様によれば、遮熱性と情報デバイスが赤外光を送信及び/又は受信する領域の赤外線透過性とを両立した合わせガラスを提供できる。
第1実施形態に係る合わせガラスを例示する図である。 赤外高透過領域と第1領域及び第2領域との関係について説明する図である。 第1実施形態に係る合わせガラスが車両の前方に形成された開口部に装着された状態を示す模式図である。 図3におけるS部分の拡大図である。 第1実施形態の変形例1に係る合わせガラスを例示する断面図である。 第2実施形態に係る合わせガラスを例示する断面図である。 第2実施形態の変形例1に係る合わせガラスを例示する断面図である。 第2実施形態の変形例2に係る合わせガラスを例示する断面図である。 第2実施形態の変形例3に係る合わせガラスを例示する断面図である。 例1の合わせガラスについて説明する断面図である。 例2の合わせガラスについて説明する断面図である。 実施例について説明する図(その1)である。 実施例について説明する図(その2)である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。又、図では本発明の内容を理解しやすいように、大きさや形状を一部誇張している場合がある。
なお、以下では、車両用のフロントガラスを例にして説明するが、これには限定されず、本実施形態に係る合わせガラスは、車両用のフロントガラス以外、例えばサイドガラス、リアガラス等にも適用可能である。
又、以下の説明において、平面視とは、車外側のガラス板の主表面の重心を通る法線方向から対象を視ることを指すものとする。又、平面形状とは、車外側のガラス板の主表面の重心を通る法線方向から視た対象の形状を指すものとする。
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係る合わせガラスを例示する図であり、図1(a)はガラス板11側を紙面手前側に向けて配置した様子を模式的に示す平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線に沿う断面図である。
図1を参照すると、合わせガラス10は、ガラス板11と、ガラス板12と、中間膜13と、遮蔽層14とを有する車両用の合わせガラスである。但し、遮蔽層14は、必要に応じて設けられる。合わせガラス10は、例えば、車両用のフロントガラスに用いられる
なお、図1では、合わせガラス10を平板形状に示しているが、合わせガラス10は長手方向及び短手方向の両方に湾曲した複曲形状であってもよい。或いは、合わせガラス10は、長手方向のみに湾曲した単曲形状や、短手方向のみに湾曲した単曲形状であってもよい。合わせガラス10が湾曲している場合、車外側に向けて凸となるように湾曲していることが好ましい。
又、図1(a)では、合わせガラス10を台形状としているが、合わせガラス10の平面形状は台形状には限定されず、矩形状等を含む任意の形状として構わない。
ガラス板11は、合わせガラス10を車両に取り付けたときに車内側となる車内側ガラス板である。又、ガラス板12は、合わせガラス10を車両に取り付けたときに車外側となる車外側ガラス板である。
合わせガラス10が湾曲している場合、曲率半径は1000mm以上100000mm以下が好ましい。ガラス板11とガラス板12の曲率半径は同じでもよいし、異なっていてもよい。ガラス板11とガラス板12の曲率半径が異なっている場合は、ガラス板11の曲率半径の方がガラス板12の曲率半径よりも小さい。
ガラス板11とガラス板12は互いに対向する一対のガラス板であり、中間膜13は一対のガラス板の間に位置している。ガラス板11とガラス板12とは、中間膜13を挟持した状態で固着されている。
中間膜13は、ガラス板11とガラス板12を接合する膜である。中間膜13は、複数層から構成されてもよい。
なお、中間膜13の外周はエッジ処理されていることが好ましい。すなわち、中間膜13の端部(エッジ)は、ガラス板11及びガラス板12の端部(エッジ)から大きく飛び出さないように処理されていることが好ましい。中間膜13の端部のガラス板11及びガラス板12の端部からの飛びだし量が150μm以下であると、外観を損なわない点で好適である。但し、合わせガラス10がサイドガラスである場合には、下辺はドアパネルにより隠蔽されるため、中間膜13の下辺のエッジ処理は必須ではない。ガラス板11、ガラス板12、及び中間膜13の詳細については後述する。
遮蔽層14は、不透明な層であり、例えば、合わせガラス10の周縁部に沿って帯状に設けることができる。遮蔽層14は、例えば、不透明な(例えば、黒色の)着色セラミック層である。遮蔽層14は、遮光性を持つ着色中間膜や着色フィルム、着色中間膜と着色セラミック層の組み合わせであってもよい。着色フィルムは赤外線反射フィルム等と一体化されていてもよい。
合わせガラス10に不透明な遮蔽層14が存在することで、合わせガラス10の周縁部を車体に保持するウレタン等の樹脂からなる接着剤が紫外線により劣化することを抑制できる。
遮蔽層14は、例えば、黒色顔料を含有する溶融性ガラスフリットを含むセラミックカラーペーストをガラス板上にスクリーン印刷等により塗布し、焼成することで形成できるが、これには限定されない。遮蔽層14は、例えば、黒色又は濃色顔料を含有する有機インクをガラス板上にスクリーン印刷等により塗布し、乾燥させて形成してもよい。
遮蔽層14には、開口部16が設けられている。すなわち、開口部16は、平面視において遮光層14の内縁によって囲まれ、合わせガラス10の全外周を囲ってできる開口領域とは異なる、小領域に相当する。但し、開口部16は、遮光層14が略U字状に形成された場合、内縁によって部分的に囲まれない。その場合、遮光層14の内縁の端部と他の端部とを仮想的に結んでできる直線を、遮光層14の内縁の一部とみなしてよい。
開口部16は、LiDAR(Light Detection And Ranging)、レインセンサ、衝突防止センサ、白線検知器、ナイトビジョン装置等の情報デバイスが情報を送信及び/又は受信する情報送受信領域である。すなわち、合わせガラス10を車両に搭載したときに、開口部16の車内側にこれらの情報デバイスを配置可能である。これらの情報デバイスが使用する光の帯域は、例えば、750nm以上1650nm以下程度である。特に、LiDARは赤外光(例えば、波長905nmや1550nm)を使用する。
なお、情報送受信領域に低反射コート、電熱コート、防曇コート等を施してもよい。又、情報送受信領域に板状部材やフィルムが付与されてもよい。
開口部16は、合わせガラス10を車両に取り付けたときに、運転者の視界を阻害しないと同時に、情報の取得に有利なため、JIS R3212(2015)の附属書「安全ガラスの光学的特性及び耐光性についての試験領域」で規定される試験領域Aよりも上側に配置されることが好ましい。なお、特に説明がない場合には、上とは、合わせガラス10を車両に取り付けた状態で視たときのルーフ側を指し、下とは、合わせガラス10を車両に取り付けた状態で視たときのエンジンルーム側を指すものとする。そして、上辺とは、合わせガラス10の辺のうち上に位置する辺を指す。また、下辺とは、合わせガラス10の辺のうち下に位置する辺を指す。また、側辺とは、合わせガラス10の辺のうち、上辺と下辺に挟まれた辺を指す。合わせガラス10が台形状や矩形状の場合、側辺は、合わせガラス10の上下方向に延伸する2つの辺とも言える。
本実施形態では、遮蔽層14は、合わせガラス10の上辺端部から上辺中央付近までの間に配置され、幅が略一定の部分である第1遮蔽層14aを有する。また、合わせガラス10の上辺において、遮蔽層14は、複数の第1遮蔽層14aの間に配置され、幅が略一定の部分である第2遮蔽層14bを有する。但し、遮蔽層14は第2遮蔽層14bを有さなくてもよい。幅が略一定とは、±20%までの変化を許容する。
合わせガラス10において、遮蔽層14が形成されていない領域は透視領域15である。開口部16内も透視領域15の一部である。ここで、透視領域とは、可視光透過率Tvが70%以上である領域を指す。
透視領域15は、第1領域151及び第2領域152を含む。第1領域151は、T905≧90%、T1550≧80%の少なくとも一方を満たす領域を赤外高透過領域17とし、合わせガラス10を車両に取り付けて車両を水平面に配置したときに、平面視において、赤外高透過領域17の下端の点を通り車両に水平な直線を、下端の点における合わせガラス10の法線方向に対して合わせガラス10に投影した曲線よりも合わせガラス10の上方の領域である。第2領域152は、この曲線よりも下方の領域である。
つまり、赤外高透過領域17は必ず第1領域151内に含まれ、第1領域151の全部又は一部が赤外高透過領域17となる。各図では、便宜上、赤外高透過領域17を梨地模様で示している。図1の例では、第1領域151の全部が赤外高透過領域17である。つまり、図1では、第1領域151と赤外高透過領域17とが一致しており、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は100%である。
なお、T905は波長905nmの光の赤外光透過率であり、T1550は波長1550nmの光の赤外光透過率である。T905及びT1550は、JIS R3106(1998)で規定される測定方法に従って測定できる。
ここで、赤外高透過領域17と第1領域151及び第2領域152との関係について説明する。例えば、図2(a)及び図2(b)では、透視領域15に略半楕円状の赤外高透過領域17が設けられている。このとき、合わせガラス10を車両に取り付けて車両を水平面に配置したときに、平面視において、赤外高透過領域17の下端の点17aを通り車両に水平な直線を、直線P(仮想線)とする。直線Pを、下端の点17aにおける合わせガラス10の法線方向に対して合わせガラス10に投影した曲線よりも合わせガラス10の上方の領域が第1領域151、直線Pを投影した曲線よりも下方の領域が第2領域152である。
なお、合わせガラス10が湾曲しているので、直線Pを下端17aにおける合わせガラス10の法線方向に対してガラス板11の車内側面上に投影すると、ガラス板11の車内側面上では曲線となる。
開口部16はLiDAR等の赤外光を扱う情報デバイスが情報を送信及び/又は受信する情報送受信領域であるため、開口部16内は必ず赤外高透過領域17である。一方、車内の温度上昇や乗員のじりじり感を考慮すると、情報デバイスが使用しない領域は、できるだけ赤外光を遮蔽することが好ましい。そのため、開口部16以外の透視領域15のうちできるだけ多くの領域が赤外高透過領域17ではないことが好ましい。
図2(a)及び図2(b)では、第1領域151において、赤外高透過領域17が略半楕円状に設けられており、赤外高透過領域17の外側は赤外高透過領域17ではない。具体的には、第1領域151において、後述する赤外線遮蔽層が、第1領域151の外縁のうち上下方向に延伸する辺に接する。これにより、乗員が特にじりじり感を訴える腕に対応する部分において、赤外光を効果的に遮蔽できる。また、赤外線遮蔽層は、第1領域151において、第1領域151の外縁のうち左右方向に延伸する上部の辺に接してもよい。
図2(a)の場合、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は50%程度である。図2(b)の場合、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は80%程度である。図1の場合は、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は100%である。
第1領域151における赤外高透過領域17の割合は図1に示すように100%であってもよいが、上記のように車内の温度上昇や乗員のじりじり感を考慮すると、95%以下であることが好ましく、乗員の腕、頭部へのじりじり感を生じさせる面積が減少することから90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが更に好ましい。
なお、開口部16内が赤外高透過領域17であれば、開口部16内以外の透視領域15は赤外高透過領域17でなくてもよい。すなわち、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は図2(a)よりも更に小さくしてもよい。但し、LiDAR等の赤外光を扱う情報デバイスが最低限必要とする領域を考慮すると、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は、5%以上は必要である。
赤外高透過領域17の範囲は、中間膜13の層構成によって決まる。すなわち、図1(b)に示すように、中間膜13は、赤外線遮蔽層135と赤外線非遮蔽層136とを備えている。赤外線遮蔽層135は、有機樹脂膜に赤外線遮蔽性微粒子を分散配合させた層であり、赤外線非遮蔽層136は赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。
従って、合わせガラス10の透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135が配置されていない領域の赤外線透過率は、赤外線遮蔽層135が配置された領域の赤外線透過率よりも高い。一方、合わせガラス10の透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135が配置された領域の遮熱性は、赤外線遮蔽層135が配置されていない領域の遮熱性よりも高い。
遮熱性の観点からは、合わせガラス10を車両に取り付けた状態で視たときに、第1領域151の縦方向の幅は400mm以下であることが好ましく、300mm以下であることがより好ましく、250mm以下であることが更に好ましく、200mm以下であることが更に好ましい。
第2領域152に位置する中間膜13には赤外線遮蔽層135が必ず配置されるため、遮熱性の観点からは、透視領域15の面積に占める第2領域152の面積が大きい方が好ましい。第2領域152の面積は、透視領域15の面積の50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
又、遮熱性の観点から、第2領域152の全日射透過率(Total Solar Transmittance)Ttsの最小値は75%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、65以下であることが更に好ましい。なお、第2領域152の全日射透過率は一定ではなく、例えば、合わせガラス10の下端の全日射透過率が最小値となり、実質的に最も遮熱性が高くなる。
図1(b)の例では、赤外線遮蔽層135は、合わせガラス10を車両に取り付けた状態で視たときに、合わせガラス10の下端側から上に行くに従って厚さが薄くなる断面楔形状に設けられており、赤外線非遮蔽層136により両側から挟まれている。赤外線非遮蔽層136は、赤外高透過領域17とそれ以外の領域で一体形成されている。したがって、耐衝撃性および耐貫通性に優れた合わせガラスを提供できる。なお、それ以外の領域とは、例えば赤外高透過領域17よりも外側の領域である。赤外線遮蔽層135の楔角は、赤外線遮蔽層135の長手方向の各位置において略一定である。透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135が配置されていない領域は赤外高透過領域17を形成する。
このように、赤外線遮蔽層135を合わせガラス10の下端側から上端側に向かって断面楔形状に設けることで、赤外線遮蔽層135が配置された領域から赤外線遮蔽層135が配置されていない領域に向かって徐々に色調が変化する。すなわち、急激な色調変化を抑制できるため、合わせガラス10全体の色調均一性を向上できる。
なお、10mm幅での透過色調変化は、好ましくはΔE≦4を満たす。10mm幅での透過色調変化がΔE≦4であれば、合わせガラス10における色調の変化が見立ち難く、合わせガラス10全体の色調均一性を向上できる。
ここで、ΔEは、CIE1976で基準化されたL表色系における色度座標で示される2つの色のLの値の差を用いて表される値であって、ΔE=((ΔL+(Δa+(Δb1/2である。ΔEは、JIS Z8722:2009に準拠して測定されたXYZ表色系の三刺激値XYZをJIS Z8781−4:2013のΔE abの式から計算したものである。
赤外線遮蔽層135に配合される赤外線遮蔽性微粒子は、粒径が0.2μm以下であることが好ましく、0.001μm〜0.15μm以下であることがより好ましい。赤外線遮蔽性微粒子の材質としては、Sn、Ti、Si、Zn、Zr、Fe、Al、Cr、Co、Ce、In、Ni、Ag、Cu、Pt、Mn、Ta、W、V、Moの金属、酸化物、窒化物、硫化物、又はこれらにSb若しくはFをドープしたドープ物からなる微粒子が例示される。これらの微粒子を単独又は複合物として使用できる。特に、これらの単独若しくは複合物を有機樹脂に混合した混合物、又はこれらの単独若しくは複合物を有機樹脂物で被覆した被覆物を用いることは、自動車用窓ガラスに求められる種々の性能を得るために有効である。
又、赤外線遮蔽性微粒子としては、アンチモンがドープされた酸化錫(ATO)微粒子と錫がドープされた酸化インジウム(ITO)微粒子とのうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。ATO微粒子やITO微粒子は共に赤外線遮蔽性能に優れ、中間膜への配合量が少なくて済む。なお、ATO微粒子とITO微粒子とを比較した場合、ITO微粒子の方が赤外線遮蔽性能に優れるため、赤外線遮蔽性微粒子としてITO微粒子を用いることが特に好ましい。
又、赤外線遮蔽層135は、赤外線遮蔽層135の全質量100質量部に対して0.1質量部〜0.5質量部の分散配合割合で、赤外線遮蔽性微粒子を分散配合していることが好ましい。0.1質量部以上にすることで所望の赤外線遮蔽性能を得ることができ、0.5質量部以下にすることで合わせガラス10のヘイズを小さく抑えることができ、合わせガラス10の外観を良好にできる。
図3は、第1実施形態に係る合わせガラスが車両の前方に形成された開口部に装着された状態を示す模式図である。図3に示すように、自動車100の前方に形成された開口部110に合わせガラス10が装着されている。合わせガラス10には、情報デバイスが収納されたハウジング120が、車両内部側の表面に取り付けられている。ここでは、情報デバイスとしてLiDAR201が車両に搭載される場合を例示する。
図4は、図3におけるS部分の拡大図であり、合わせガラス10にハウジング120が取り付けられている部分を示す斜視図である。ハウジング120には、情報デバイスとしてLiDAR201が格納されている。
図4に示すように、合わせガラス10の赤外高透過領域17を通過した赤外光300がLiDAR201に達するように、合わせガラス10の赤外高透過領域17とLiDAR201が位置決めされる。赤外高透過領域17はT905≧90%、T1550≧80%の少なくとも一方を満たすので、LiDAR201は赤外高透過領域17を介して波長905nmの赤外光又は波長1550nmの赤外光を好適に送受信できる。
なお、ハウジング120は、通常バックミラー150よりも車外側に取り付けられるが、他の部分に取り付けられてもよい。或いは、LiDAR201を合わせガラス10側に取り付けずに、自動車100側に取り付けてもよい。
このように、合わせガラス10では、LiDAR等の赤外光を扱う情報デバイスが使用する情報送受信領域をT905≧90%、T1550≧80%の少なくとも一方を満たす赤外高透過領域17とすると共に、赤外高透過領域17以外の多くの領域には赤外線遮蔽層135を設けている。
これにより、合わせガラス10では、情報送受信領域の赤外線透過性の向上と、赤外高透過領域17以外の多くの領域の遮熱性の向上とを両立できる。すなわち、合わせガラス10を車両に搭載することで、LiDAR等の赤外光を扱う情報デバイスを高感度で使用できると共に、車内の温度上昇を抑制して乗員の快適性を向上できる。
ここで、ガラス板11、ガラス板12、及び中間膜13について詳述する。
〔ガラス板〕
ガラス板11及びガラス板12は、無機ガラスであっても有機ガラスであってもよい。無機ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が特に制限なく用いられる。合わせガラス10の外側に位置するガラス板12は、耐傷付き性の観点から無機ガラスであることが好ましく、成形性の観点からソーダライムガラスが好ましい。ガラス板11及びガラス板12がソーダライムガラスである場合、クリアガラス、鉄成分を所定量以上含むグリーンガラス及びUVカットグリーンガラスが好適に使用できる。
無機ガラスは、未強化ガラス、強化ガラスの何れでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形し、徐冷したものである。強化ガラスは、未強化ガラスの表面に圧縮応力層を形成したものである。
強化ガラスは、例えば風冷強化ガラス等の物理強化ガラス、化学強化ガラスの何れでもよい。物理強化ガラスである場合は、例えば、曲げ成形において均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷させる等、徐冷以外の操作により、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力層を生じさせることで、ガラス表面を強化できる。
化学強化ガラスである場合は、例えば、曲げ成形の後、イオン交換法等によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることでガラス表面を強化できる。又、紫外線又は赤外線を吸収するガラスを用いてもよく、更に、透明であることが好ましいが、透明性を損なわない程度に着色されたガラス板を用いてもよい。
一方、有機ガラスの材料としては、ポリカーボネート、例えばポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の透明樹脂が挙げられる。
なお、ガラス板11及びガラス板12として、T905及びT1550の値が良好なガラスを選択することが特に好ましい。具体的には、ガラス板11及びガラス板12の少なくとも一方は、重量比率で、Feに換算した全鉄の含有量の総和:0.002%以上1%以下、Cr:0.0001%以上1%以下、Co:0.0001%以上0.5%以下を含むことが好ましい。
又、ガラス板11及びガラス板12の少なくとも一方は、重量比率で、Feに換算した全鉄の含有量の総和:0.002%以上0.06%以下、Cr:0.0001%以上0.06%以下を含んでもよい。又、ガラス板11及びガラス板12の少なくとも一方は、重量比率で、Feに換算した全鉄の含有量の総和:0.002%以上0.06%以下、Cr:0.0015%以上1%以下、Co:0.0001%以上0.5%以下を含んでもよい。又、ガラス板11及びガラス板12の少なくとも一方は、重量比率で、Feに換算した全鉄の含有量の総和:0.02%以上1%以下、Cr:0.002%以上0.5%以下、Co:0.0001%以上0.5%以下を含んでもよい。又、ガラス板11及びガラス板12の少なくとも一方は、重量比率で、Feに換算した全鉄の含有量の総和:0.002%以上1%以下、Cr:0.001%以上0.5%以下、Co:0.0001%以上0.5%以下、Se:0.0003%以上0.5%以下を含んでもよい。
ガラス板11及びガラス板12の形状は、特に矩形状に限定されるものではなく、種々の形状及び曲率に加工された形状であってもよい。ガラス板11及びガラス板12の曲げ成形には、重力成形、プレス成形、ローラー成形等が用いられる。ガラス板11及びガラス板12の成形法についても特に限定されないが、例えば、無機ガラスの場合はフロート法等により成形されたガラス板が好ましい。
ガラス板12の板厚は、最薄部が1.1mm以上3mm以下が好ましい。ガラス板12の板厚が1.1mm以上であると、耐飛び石性能等の強度が十分であり、3mm以下であると、合わせガラス10の質量が大きくなり過ぎず、車両の燃費の点で好ましい。ガラス板12の板厚は、最薄部が1.8mm以上2.8mm以下がより好ましく、1.8mm以上2.6mm以下が更に好ましく、1.8mm以上2.2mm以下が更に好ましく、1.8mm以上2.0mm以下が更に好ましい。
ガラス板11の板厚は、0.3mm以上2.3mm以下が好ましい。ガラス板11の板厚が0.3mm以上であることによりハンドリング性がよく、2.3mm以下であることにより質量が大きくなり過ぎない。
又、ガラス板11及びガラス板12は、平板形状であっても湾曲形状であってもよい。しかし、ガラス板11及びガラス板12が湾曲形状であり、かつガラス板11の板厚が適切でない場合、ガラス板11及びガラス板12として特に曲がりが深いガラスを2枚成形すると、2枚の形状にミスマッチが生じ、圧着後の残留応力等のガラス品質に大きく影響する。
しかし、ガラス板11の板厚を0.3mm以上2.3mm以下とすることで、残留応力等のガラス品質を維持できる。ガラス板11の板厚を0.3mm以上2.3mm以下とすることは、曲がりの深いガラスにおけるガラス品質の維持に特に有効である。ガラス板11の板厚は、0.5mm以上2.1mm以下がより好ましく、0.7mm以上1.9mm以下が更に好ましい。この範囲であれば、上記の効果が更に顕著となる。
合わせガラス10が例えばヘッドアップディスプレイに用いられる場合、ガラス板11及び/又はガラス板12は一定の板厚ではなく、必要に応じて場所毎に板厚が変わっても良い。例えば、合わせガラス10がフロントガラスである場合、ガラス板11及びガラス板12の何れか一方、又は両方は、フロントガラスを車両に取り付けた状態でフロントガラスの下辺から上辺に向かうにつれて板厚が厚くなる断面楔形状であってもよい。この場合、中間膜13の膜厚が一定であれば、ガラス板11とガラス板12の合計の楔角は、例えば、0mradより大きく1.0mrad以下の範囲で変化する。
ガラス板11及び/又はガラス板12の外側に撥水、紫外線や赤外線カットの機能を有する被膜や、低反射特性、低放射特性を有する被膜を設けてもよい。又、ガラス板11及び/又はガラス板12の中間膜13と接する側に、紫外線や赤外線カット、低放射特性、可視光吸収、着色等の被膜を設けてもよい。
ガラス板11及びガラス板12が湾曲形状の無機ガラスである場合、ガラス板11及びガラス板12は、フロート法による成形の後、中間膜13による接着前に、曲げ成形される。曲げ成形は、ガラスを加熱により軟化させて行われる。曲げ成形時のガラスの加熱温度は、大凡550℃〜700℃である。
〔中間膜〕
中間膜13としては熱可塑性樹脂が多く用いられ、例えば、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、可塑化飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、可塑化ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、アイオノマー樹脂等の従来からこの種の用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。又、特許第6065221号に記載されている変性ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂組成物も好適に使用できる。
これらの中でも、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性、及び遮音性等の諸性能のバランスに優れることから、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記可塑化ポリビニルアセタール系樹脂における「可塑化」とは、可塑剤の添加により可塑化されていることを意味する。その他の可塑化樹脂についても同様である。
但し、中間膜13に発光素子等を封入する場合、封入する物の種類によっては特定の可塑剤により劣化することがあり、その場合には、その可塑剤を実質的に含有していない樹脂を用いることが好ましい。つまり、中間膜13が可塑剤を含まないことが好ましい場合がある。可塑剤を含有していない樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルアルコール(以下、必要に応じて「PVA」と言うこともある)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール系樹脂、PVAとn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、必要に応じて「PVB」と言うこともある)等が挙げられ、特に、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性、及び遮音性等の諸性能のバランスに優れることから、PVBが好適なものとして挙げられる。なお、これらのポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
但し、中間膜13を形成する材料は、熱可塑性樹脂には限定されない。又、中間膜13は、紫外線吸収剤、発光剤等の機能性粒子を含んでもよい。又、中間膜13は、シェードバンドと呼ばれる着色部を有してもよい。
中間膜13の膜厚は、最薄部で0.5mm以上が好ましい。なお、中間膜13が複数層からなる場合、中間膜13の膜厚とは、全ての層の膜厚とを合計した膜厚である。中間膜13の最薄部の膜厚が0.5mm以上であると合わせガラスとして必要な耐衝撃性が十分となる。又、中間膜13の膜厚は、最厚部で3mm以下が好ましい。中間膜13の膜厚の最大値が3mm以下であると、合わせガラスの質量が大きくなり過ぎない。中間膜13の膜厚の最大値は2.8mm以下がより好ましく、2.6mm以下が更に好ましい。
合わせガラス10が例えばヘッドアップディスプレイに用いられる場合、中間膜13は一定の膜厚ではなく、必要に応じて場所毎に膜厚が変わっても良い。例えば、合わせガラス10がフロントガラスである場合、中間膜13は、フロントガラスを車両に取り付けた状態でフロントガラスの下辺から上辺に向かうにつれて膜厚が厚くなる断面楔形状であってもよい。この場合、ガラス板11及びガラス板12の板厚が一定であれば、中間膜13の楔角は、例えば、0mradより大きく1.0mrad以下の範囲で変化する。
なお、中間膜13は、3層以上の層を有していてもよい。例えば、中間膜を3層以上から形成し、両側の層を除く何れかの層のせん断弾性率を可塑剤の調整等により両側の層のせん断弾性率よりも小さくすることにより、合わせガラス10の遮音性を向上できる。この場合、両側の層のせん断弾性率は同じでもよいし、異なってもよい。
又、中間膜13が複数層からなる場合、中間膜13に含まれる各層は、同一の材料で形成することが望ましいが、各層を異なる材料で形成してもよい。但し、ガラス板11及びガラス板12との接着性、或いは合わせガラス10の中に入れ込む機能材料等の観点から、中間膜13の膜厚の50%以上は上記の材料を使うことが望ましい。
中間膜13を作製するには、例えば、中間膜となる上記の樹脂材料を適宜選択し、押出機を用い、加熱溶融状態で押し出し成形する。押出機の押出速度等の押出条件は均一となるように設定する。その後、押し出し成形された樹脂膜を、合わせガラスのデザインに合わせて、上辺及び下辺に曲率を持たせるために、例えば必要に応じ伸展することで、中間膜13が完成する。
〔中間膜の一部に赤外線遮蔽層を形成する方法〕
中間膜の一部に赤外線遮蔽層を形成する方法の一態様について説明する。まず、可塑剤中に粒径が0.2μm以下の赤外線遮蔽性微粒子を分散させ、この可塑剤を中間膜の樹脂溶液中に分散添加し、混合混練して赤外線遮蔽性微粒子を含む樹脂原料を得る。次いで、この樹脂原料と、赤外線遮蔽性微粒子を実質的に含まない中間膜用樹脂原料とを押出成形等によりフィルム状に成形することで、図1(b)に示す中間膜13が得られる。その際に各樹脂原料を同時に押出成形してもよいし、別々に押出成形したフィルムを貼り合わせてもよい。
なお、製造工程を簡略化するためには、各樹脂原料を同時に押出成形することが好ましい。又、中間膜13における赤外線非遮蔽層136は、1枚の有機樹脂膜で作製されてもよいし、同じ材料からなる膜を複数積層することで作製してもよい。又、可塑剤の分散添加の際に、各種の添加剤を中間膜の樹脂溶液中に加えることもできる。添加剤としては、各種顔料、有機系紫外線吸収剤、有機系赤外線吸収剤等が挙げられる。可塑剤や中間膜の樹脂溶液用の溶剤としては、公知のものを用いることができる。
又、上記のように、各樹脂原料を同時に押出成形することが好ましい点、製造時の原料管理が容易である点を鑑みると、赤外線非遮蔽層136には赤外線遮蔽性微粒子が全く含まれないことが好ましい。
又、図2(a)や図2(b)のように、第1領域151における赤外高透過領域17の割合を100%よりも小さくするには、例えば、中間膜13の全体を伸展すればよい。これにより、赤外線遮蔽層135を中央部に対して左右端部側に近づくほど、図2(a)や図2(b)に示す直線Pよりも上側に伸ばすことができる。なお、図2(a)及び図2(b)において、赤外高透過領域17は、第1遮蔽層14aに接している。赤外高透過領域17がこのように位置していることで、中間膜13の全体を伸展した場合においても、中間膜13の膜厚を、最薄部で0.5mm以上に調整しやすい。また、中間膜13の膜厚を、最薄部で0.5mm以上により調整しやすくするため、赤外高透過領域17は、図2(b)のように、第1領域151の外縁のうち上下方向に延伸する辺に接することが好ましい。
〔合わせガラス〕
合わせガラス10の総厚は、2.8mm以上10mm以下が好ましい。合わせガラス10の総厚が2.8mm以上であれば、十分な剛性を確保できる。又、合わせガラス10の総厚が10mm以下であれば、十分な透過率が得られると共にヘイズを低減できる。
合わせガラス10の少なくとも1辺において、ガラス板11とガラス板12の板ずれが1.5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。ここで、ガラス板11とガラス板12の板ずれとは、すなわち、平面視におけるガラス板11の端部とガラス板12の端部のずれ量である。
合わせガラス10の少なくとも1辺において、ガラス板11とガラス板12の板ずれが1.5mm以下であると、外観を損なわない点で好適である。合わせガラス10の少なくとも1辺において、ガラス板11とガラス板12の板ずれが1.0mm以下であると、外観を損なわない点で更に好適である。
合わせガラス10を製造するには、ガラス板11とガラス板12との間に、中間膜13を挟んで積層体とする。そして、例えば、この積層体をゴム袋やラバーチャンバー、樹脂製の袋等の中に入れ、ゲージ圧力−65kPa〜−100kPaの真空中で温度約70℃〜110℃で接着する。
更に、例えば100℃〜150℃、絶対圧力0.6MPa〜1.3MPaの条件で加熱加圧する圧着処理を行うことで、より耐久性の優れた合わせガラス10を得られる。但し、場合によっては工程の簡略化、並びに合わせガラス10中に封入する材料の特性を考慮して、この加熱加圧工程を使用しない場合もある。
つまり、ガラス板11又はガラス板12のうち、何れか一方、又は両方のガラス板が互いに弾性変形した状態で接合されている、「コールドベンド」と呼ばれる方法を使用してもよい。コールドベンドは、テープ等の仮止め手段によって固定されたガラス板11、ガラス板12及び中間膜13からなる積層体と、従来公知であるニップローラー又はゴム袋、ラバーチャンバー等の予備圧着装置及びオートクレーブを用いることで達成できる。
ガラス板11とガラス板12との間に、本願の効果を損なわない範囲で、中間膜13の他に、電熱線、発光、発電、調光、タッチパネル、可視光反射、散乱、加飾、吸収等の機能を持つフィルムやデバイスを有してもよい。又、合わせガラス10の表面に防曇、撥水、遮熱、低反射等の機能を有する膜を有していてもよい。又、ガラス板11の車外側の面やガラス板12の車内側の面に遮熱、発熱等の機能を有する膜を有していてもよい。
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、中間膜における赤外線遮蔽層と赤外線非遮蔽層の配置が第1実施形態と異なる例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図5は、第1実施形態の変形例1に係る合わせガラスを例示する断面図である。図5を参照すると、合わせガラス10Aは、中間膜13が中間膜13Aに置換された点が、合わせガラス10(図1参照)と相違する。
中間膜13Aは、赤外線遮蔽層135Aと赤外線非遮蔽層136Aとを備えている。赤外線遮蔽層135Aは、有機樹脂膜に赤外線遮蔽性微粒子を分散配合させた層であり、赤外線非遮蔽層136Aは赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。赤外線遮蔽性微粒子については、第1実施形態で説明した通りである。
従って、合わせガラス10Aの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Aが配置されていない領域の赤外線透過率は、赤外線遮蔽層135Aが配置された領域の赤外線透過率よりも高い。一方、合わせガラス10Aの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Aが配置された領域の遮熱性は、赤外線遮蔽層135Aが配置されていない領域の遮熱性よりも高い。
赤外線遮蔽層135Aは、合わせガラス10Aの下端側から上端側に向かって断面視矩形状に設けられており、ガラス板11側及びガラス板12側により両側から挟まれている。透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Aが配置されていない領域は赤外高透過領域17を形成する。
第1領域151における赤外高透過領域17の割合は、図1のように100%であってもよいし、図2(a)及び図2(b)に示すように100%より小さくてもよい。
赤外線遮蔽層135Aにおいて、赤外線非遮蔽層136Aとの境界部側は、赤外線遮蔽層135Aの他の部分に比べて赤外線遮蔽性微粒子の配合率を下げることが、境界部での色味変化を抑制できる点で好ましい。
このように、第2領域152においては、赤外線遮蔽層135(図1(b)参照)のように中間膜の一部の領域を赤外線遮蔽層としてもよいし、赤外線遮蔽層135Aのように中間膜の全部の領域を赤外線遮蔽層としてもよい。
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、中間膜が複数層からなる例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図6は、第2実施形態に係る合わせガラスを例示する断面図である。図6を参照すると、合わせガラス10Bは、中間膜13が中間膜13Bに置換された点が、合わせガラス10(図1)と相違する。
中間膜13Bは、第1層131と、第2層132と、第3層133とを有している。第1層131はガラス板11と接し、第3層133はガラス板12と接している。第2層132は、第1層131と第3層133に両側から挟まれている。
第2層132は、第1層131及び第3層133よりも可塑剤の含有量を多くする等により、第1層131及び第3層133よりもショア硬度を低く(柔らかく)してもよい。このような中間膜13Bの構成では、他の層に比べて柔らかい第2層132が中央部分に配置されているため、可聴域内の周波数の音波が減衰されやすくなる。従って、中間膜13Bを有する合わせガラス10Bは、良好な遮音性能を発揮できる。この場合、第1層131と第3層133のショア硬度は同じでもよいし、異なってもよい。
中間膜13Bの第1層131及び第2層132は、赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。中間膜13Bの第3層133は、赤外線遮蔽層135Bと赤外線非遮蔽層136Bとを備えている。赤外線遮蔽層135Bは、有機樹脂膜に赤外線遮蔽性微粒子を分散配合させた層であり、赤外線非遮蔽層136Bは赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。赤外線遮蔽性微粒子については、第1実施形態で説明した通りである。
従って、合わせガラス10Bの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Bが配置されていない領域の赤外線透過率は、赤外線遮蔽層135Bが配置された領域の赤外線透過率よりも高い。一方、合わせガラス10Bの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Bが配置された領域の遮熱性は、赤外線遮蔽層135Bが配置されていない領域の遮熱性よりも高い。
赤外線遮蔽層135Bは、合わせガラス10Bを車両に取り付けた状態で視たときに、合わせガラス10Bの下端側から上に行くに従って厚さが薄くなる断面楔形状に設けられており、赤外線非遮蔽層136Bにより両側から挟まれている。赤外線遮蔽層135Bの楔角は、赤外線遮蔽層135Bの長手方向の各位置において略一定である。透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Bが配置されていない領域は赤外高透過領域17を形成する。
第1領域151における赤外高透過領域17の割合は、図1のように100%であってもよいし、図2(a)及び図2(b)に示すように100%より小さくてもよい。
このように、中間膜を複数層から構成し、何れかの層に赤外線遮蔽層を設けてもよい。
〈第2実施形態の変形例1〉
第2実施形態の変形例1では、中間膜における赤外線遮蔽層と赤外線非遮蔽層の配置が第2実施形態と異なる例を示す。なお、第2実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図7は、第2実施形態の変形例1に係る合わせガラスを例示する断面図である。図7を参照すると、合わせガラス10Cは、中間膜13Bが中間膜13Cに置換された点が、合わせガラス10B(図6参照)と相違する。
中間膜13Cの第2層132は、赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。中間膜13Cの第1層131は、赤外線遮蔽層135Cと赤外線非遮蔽層136Cとを備えている。赤外線遮蔽層135Cは、有機樹脂膜に赤外線遮蔽性微粒子を分散配合させた層であり、赤外線非遮蔽層136Cは赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。赤外線遮蔽性微粒子については、第1実施形態で説明した通りである。
従って、合わせガラス10Cの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Bと赤外線遮蔽層135Cの何れもが配置されていない領域の赤外線透過率は、赤外線遮蔽層135Bと赤外線遮蔽層135Cの少なくとも一方が配置された領域の赤外線透過率よりも高い。一方、合わせガラス10Cの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Bと赤外線遮蔽層135Cの少なくとも一方が配置された領域の遮熱性は、赤外線遮蔽層135Bと赤外線遮蔽層135Cの何れもが配置されていない領域の遮熱性よりも高い。
中間膜13Cの第1層131では、赤外線遮蔽層135Cは、合わせガラス10Cを車両に取り付けた状態で視たときに、合わせガラス10Cの下端側から上に行くに従って厚さが薄くなる断面楔形状に設けられており、赤外線非遮蔽層136Cにより両側から挟まれている。赤外線遮蔽層135Cの楔角は、赤外線遮蔽層135Cの長手方向の各位置において略一定である。透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Bと赤外線遮蔽層135Cの何れもが配置されていない領域は赤外高透過領域17を形成する。
第1領域151における赤外高透過領域17の割合は、図1のように100%であってもよいし、図2(a)及び図2(b)に示すように100%より小さくてもよい。
このように、中間膜を複数層から構成し、何れかの2つ以上の層に赤外線遮蔽層を設けてもよい。図6の場合よりも、第2領域152の遮熱性を向上できる。
〈第2実施形態の変形例2〉
第2実施形態の変形例2では、中間膜における赤外線遮蔽層と赤外線非遮蔽層の配置が第2実施形態と異なる他の例を示す。なお、第2実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図8は、第2実施形態の変形例2に係る合わせガラスを例示する断面図である。図8を参照すると、合わせガラス10Dは、中間膜13Bが中間膜13Dに置換された点が、合わせガラス10B(図6参照)と相違する。
中間膜13Dの第1層131及び第2層132は、赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。中間膜13Dの第3層133は、赤外線遮蔽層135Dと赤外線非遮蔽層136Dとを備えている。赤外線遮蔽層135Dは、有機樹脂膜に赤外線遮蔽性微粒子を分散配合させた層であり、赤外線非遮蔽層136Dは赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。赤外線遮蔽性微粒子については、第1実施形態で説明した通りである。
従って、合わせガラス10Dの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Dが配置されていない領域の赤外線透過率は、赤外線遮蔽層135Dが配置された領域の赤外線透過率よりも高い。一方、合わせガラス10Dの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Dが配置された領域の遮熱性は、赤外線遮蔽層135Dが配置されていない領域の遮熱性よりも高い。
赤外線遮蔽層135Dは、合わせガラス10Dを車両に取り付けた状態で視たときに、合わせガラス10Dの下端側から上に行くに従って厚さが薄くなる断面楔形状に設けられており、赤外線非遮蔽層136Dにより両側から挟まれている。透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Dが配置されていない領域は赤外高透過領域17を形成する。
合わせガラス10Dでは、赤外線遮蔽層135Dの大部分において合わせガラス10Bの赤外線遮蔽層135Bよりも赤外線遮蔽層135Dの楔角を小さくしている。そのため、第3層133に占める赤外線遮蔽層135Dの割合を、合わせガラス10Bの第3層133に占める赤外線遮蔽層135Bの割合よりも大きくできる。その結果、第2領域152の遮熱性を向上できる。又、赤外線遮蔽層135Dの先端の楔角を大きくすることで、赤外線遮蔽層135Dの楔角を小さくでき、第2領域152の遮熱性を向上できる。
〈第2実施形態の変形例3〉
第2実施形態の変形例3では、中間膜における赤外線遮蔽層と赤外線非遮蔽層の配置が第2実施形態と異なる他の例を示す。なお、第2実施形態の変形例3において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図9は、第2実施形態の変形例3に係る合わせガラスを例示する断面図である。図9を参照すると、合わせガラス10Eは、中間膜13Bが中間膜13Eに置換された点が、合わせガラス10B(図6参照)と相違する。
中間膜13Eの第2層132は、赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。中間膜13Eの第1層131は、赤外線遮蔽層135Eと赤外線非遮蔽層136Eとを備えている。又、中間膜13Eの第3層133は、赤外線遮蔽層135Fと赤外線非遮蔽層136Fとを備えている。赤外線遮蔽層135E及び135Fは、有機樹脂膜に赤外線遮蔽性微粒子を分散配合させた層であり、赤外線非遮蔽層136E及び136Fは赤外線遮蔽性微粒子を全く又は殆ど含まない層である。赤外線遮蔽性微粒子については、第1実施形態で説明した通りである。
従って、合わせガラス10Eの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Eと赤外線遮蔽層135Fの何れもが配置されていない領域の赤外線透過率は、赤外線遮蔽層135Eと赤外線遮蔽層135Fの少なくとも一方が配置された領域の赤外線透過率よりも高い。一方、合わせガラス10Eの透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Eと赤外線遮蔽層135Fの少なくとも一方が配置された領域の遮熱性は、赤外線遮蔽層135Eと赤外線遮蔽層135Fの何れもが配置されていない領域の遮熱性よりも高い。
赤外線遮蔽層135Eは、合わせガラス10Eの下端側から上端側に向かって断面視矩形状に設けられており、ガラス板12及び第2層132により両側から挟まれている。又、赤外線遮蔽層135Fは、合わせガラス10Eの下端側から上端側に向かって断面視矩形状に設けられており、ガラス板11及び第2層132により両側から挟まれている。透視領域15において、平面視で赤外線遮蔽層135Eと赤外線遮蔽層135Fの何れもが配置されていない領域は赤外高透過領域17を形成する。
赤外線遮蔽層135Eにおいて、赤外線非遮蔽層136Eとの境界部側は、赤外線遮蔽層135Eの他の部分に比べて赤外線遮蔽性微粒子の配合率を下げることが、境界部での色味変化を抑制できる点で好ましい。又、赤外線遮蔽層135Fにおいて、赤外線非遮蔽層136Fとの境界部側は、赤外線遮蔽層135Fの他の部分に比べて赤外線遮蔽性微粒子の配合率を下げることが、境界部での色味変化を抑制できる点で好ましい。
このように、中間膜を複数層から構成し、何れかの2つ以上の層に赤外線遮蔽層を設けることで、1層のみに赤外線遮蔽層を設ける場合よりも第2領域152の遮熱性を向上できる。その際、第2領域152においては、第1層131及び第3層133の全部の領域を赤外線遮蔽層としてもよい。
〈実施例〉
以下、実施例について説明するが、本発明は、これらの例に何ら限定されるものではない。
(例1)
合わせガラスとした際に内板(車内側ガラス板)となるガラス板G1と、外板(車外側ガラス板)となる厚さが2.1mmのガラス板G2(Feに換算した全鉄の含有量の総和:0.01%、Cr:0.0021%、Co:0.0001%)を準備した(AGC社製)。ガラス板G1及びG2の寸法は、何れも、縦300mm×横300mm×板厚2mmとした。そして、ガラス板G1の車内側面の外周部に遮蔽層として黒色の着色セラミック層を形成した。着色セラミック層は黒色セラミックペーストをガラス板G1の表面にスクリーン印刷し、120℃で15分間乾燥し、その後600℃で5分間焼成して形成した。この際、着色セラミック層には、情報送受信領域となる開口部を形成した。
次に、第1層となる膜厚0.33mmのPVBフィルムと、第2層となる膜厚0.1mmのPVBフィルムと、第3層となる膜厚0.33mmのPVBフィルムとが一体となった3層構造の中間膜を準備した。そして、ガラス板G1とガラス板G2との間に3層構造の中間膜を挟んで積層体を作製し、積層体をゴム袋の中に入れ、ゲージ圧力−65kPa〜−100kPaの真空中で温度約70℃〜110℃で接着し、図10に示す合わせガラス10Xを作製した。
図10は、例1の合わせガラスについて説明する断面図である。図10に示す合わせガラス10Xは、図6に示す合わせガラス10Bにおいて中間膜13Bが中間膜13Xに置換されたものである。中間膜13Xの第3層133には赤外線遮蔽層135が形成されていなく、第3層133の全体が赤外線非遮蔽層136と同一仕様の層のみから形成されている。つまり、中間膜13Xの全体が赤外線非遮蔽層である。
なお、合わせガラス10Xにおいて、透視領域18の全体において赤外線透過率は略一定であるが、便宜上、後述の合わせガラス10Yと同様の領域を第1領域181、第2領域182、赤外高透過領域19と称する。
(例2)
中間膜の仕様を変更した以外は、例1と同様にして、図11に示す合わせガラス10Yを作製した。図11は、例2の合わせガラスについて説明する断面図である。図11に示す合わせガラス10Yは、図6に示す合わせガラス10Bにおいて中間膜13Bが中間膜13Yに置換されたものである。
中間膜13Yは、第1層131Yと、第2層132と、第3層133Yとを有している。第1層131Yの全体は、赤外線遮蔽層135と同一仕様の層のみから形成されている。第2層132の全体は、赤外線非遮蔽層136と同一仕様の層のみから形成されている。第3層133Yは、大部分が赤外線遮蔽層135と同一仕様の赤外線遮蔽層135Yから形成されている。但し、赤外線非遮蔽層136と同一仕様の赤外線非遮蔽層136Yが、合わせガラス10Yの上端側から下端側に向かって断面楔形状に設けられている。赤外線非遮蔽層136Yは、赤外線遮蔽層135Yにより両側から挟まれている。
合わせガラス10Yの透視領域18において、平面視において、赤外線非遮蔽層136Yが存在する領域は、赤外線非遮蔽層136Yが存在しない領域よりも赤外線透過率が高い。そこで、合わせガラス10Yの透視領域18において、赤外線非遮蔽層136Yが存在する領域を赤外高透過領域19とする。又、合わせガラス10Yを車両に取り付けて車両を水平面に配置したときに、平面視において、赤外高透過領域17の下端の点を通り車両に水平な直線を、下端の点における合わせガラス10Yの法線方向に対して合わせガラス10Yに投影した曲線よりも合わせガラス10Yの上方の領域を第1領域181、下方の領域を第2領域182とする。合わせガラス10Yにおいて、第1領域181における赤外高透過領域19の割合は100%とした。
中間膜13Yは、以下のようにして製造した。まず、第1層131Y及び赤外線遮蔽層135Yとなる赤外線遮蔽層用樹脂原料を準備した。具体的には、可塑剤中に粒径が0.2μm以下の赤外線遮蔽性微粒子を分散させ、この可塑剤を中間膜の樹脂溶液中に分散添加し、混合混練して赤外線遮蔽性微粒子を含む、PVBを主成分とする赤外線遮蔽層用樹脂原料を得た。
次に、第2層132及び赤外線非遮蔽層136Yとなる、赤外線遮蔽性微粒子を実質的に含まない、PVBを主成分とする赤外線非遮蔽層用樹脂原料を得た。
次に、赤外線遮蔽層用樹脂原料と赤外線非遮蔽層用樹脂原料とを押出成形によりフィルム状に成形し、図11に示す中間膜13Yを得た。
(例3)
中間膜の仕様を変更した以外は、例1と同様にして、図6に示す合わせガラス10Bを作製した。合わせガラス10Bにおいて、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は100%とした。又、平面視における赤外高透過領域17の面積は、合わせガラス10Yの赤外高透過領域19の面積と同じとした。
中間膜13Bは、例2と同様の赤外線遮蔽層用樹脂原料及び赤外線非遮蔽層用樹脂原料を用い、赤外線遮蔽層用樹脂原料と赤外線非遮蔽層用樹脂原料とを押出成形によりフィルム状に成形することで得た。
(例4)
中間膜の仕様を変更した以外は、例1と同様にして、図7に示す合わせガラス10Cを作製した。合わせガラス10Cにおいて、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は100%とした。又、平面視における赤外高透過領域17の面積は、合わせガラス10Yの赤外高透過領域19の面積と同じとした。
中間膜13Cは、例2と同様の赤外線遮蔽層用樹脂原料及び赤外線非遮蔽層用樹脂原料を用い、赤外線遮蔽層用樹脂原料と赤外線非遮蔽層用樹脂原料とを押出成形によりフィルム状に成形することで得た。
(例5)
中間膜の仕様を変更した以外は、例1と同様にして、図8に示す合わせガラス10Dを作製した。合わせガラス10Dにおいて、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は100%とした。又、平面視における赤外高透過領域17の面積は、合わせガラス10Yの赤外高透過領域19の面積と同じとした。
中間膜13Dは、例2と同様の赤外線遮蔽層用樹脂原料及び赤外線非遮蔽層用樹脂原料を用い、赤外線遮蔽層用樹脂原料と赤外線非遮蔽層用樹脂原料とを押出成形によりフィルム状に成形することで得た。
(例6)
中間膜の仕様を変更した以外は、例1と同様にして、図9に示す合わせガラス10Eを作製した。合わせガラス10Eにおいて、第1領域151における赤外高透過領域17の割合は100%とした。又、平面視における赤外高透過領域17の面積は、合わせガラス10Yの赤外高透過領域19の面積と同じとした。
中間膜13Eは、例2と同様の赤外線遮蔽層用樹脂原料及び赤外線非遮蔽層用樹脂原料を用い、赤外線遮蔽層用樹脂原料と赤外線非遮蔽層用樹脂原料とを押出成形によりフィルム状に成形することで得た。
(例7)
第1領域151における赤外高透過領域17の割合を85%とした以外は、例3と同様にして、図2(b)に示すタイプの合わせガラスを作製した。合わせガラスの断面形状は図6と同様とした。
(評価1)
例1〜例6の合わせガラスについて、赤外高透過領域17及び19の赤外線透過性(T905、T1550)、第2領域の遮熱性、合わせガラス全体の色調均一性を評価した。
まず、赤外線透過性の評価として、JIS R3106(1998)に準拠してT905及びT1550を測定した。LiDAR等の赤外光を扱う情報デバイスが良好に動作する範囲を考慮して、赤外高透過領域17及び19のT905は90%以上であれば〇(合格)、90%未満であれば×(不合格)とした。又、赤外高透過領域17及び19のT1550は80%以上であれば〇(合格)、80%未満であれば×(不合格)とした。
図12に示すように、赤外高透過領域が赤外線遮蔽層を含まない例1、例3〜例6の合わせガラスは、T905≧90%及びT1550≧80%を満たす。これに対して、赤外高透過領域の一部に赤外線遮蔽層を含む例2の合わせガラスは、T905≧90%及びT1550≧80%を満たさない。すなわち、赤外高透過領域の一部に赤外線遮蔽層を含む場合には良好な赤外線透過性が得られないため、赤外高透過領域は赤外線遮蔽層を含まないことが好ましいことがわかった。
次に、第2領域の遮熱性の評価として、ISO13837に準拠して全日射透過率Tts(%)を測定した。車室内の温度上昇や乗員のじりじり感を考慮して、Ttsは最小値が70%以下であれば◎(合格)、70%より大きく75%以下であれば〇(合格)、75%より大きければ×(不合格)とした。
図12に示すように、第2領域の少なくとも一部に赤外線遮蔽層を含む例2〜例6の合わせガラスは、Tts≦75%を満たす。特に、3層構造の中間膜のうち2層に赤外線遮蔽層を含む例2、例4、及び例6の合わせガラスは、第2領域に位置する中間膜に占める赤外線遮蔽層の割合が高くなるため、Tts≦70%を満たす。これに対して、第2領域に赤外線遮蔽層を含まない例1の合わせガラスは、Tts≦75%を満たさない。すなわち、第2領域に赤外線遮蔽層を含まない場合には良好な遮熱性が得られないため、第2領域は赤外線遮蔽層を含むことが好ましく、第2領域に位置する中間膜に占める赤外線遮蔽層の割合が高いほど良好な遮熱性が得られることがわかった。
次に、合わせガラス全体の色調均一性の評価として、JIS Z8722:2009に準拠して10mm幅での透過率変化ΔE(ΔE/10mm)を測定した。乗員が不快に感じるか否かを考慮して、ΔE/10mmは2以下であれば◎(合格)、2より大きく4以下であれば〇(合格)、4より大きければ×(不合格)とした。
図12に示すように、例1〜例6の何れの合わせガラスもΔE/10mm≦4を満たし合格であった。但し、第2領域の全体が赤外線遮蔽層である例6の合わせガラスでは、第2領域と第1領域との境界で赤外線遮蔽層の色から赤外線非遮蔽層の色に急激に切り替わるため、例1〜例5に比べると大きな値になっている。従って、合わせガラス全体の色調均一性を重視する場合には、第2領域の全体を赤外線遮蔽層としない方が好ましいと言える。
以上の赤外高透過領域17及び19の赤外線透過性(T905、T1550)、第2領域の遮熱性、合わせガラス全体の色調均一性の評価結果を総合的に判定すると、例3〜例6の合わせガラスが、総合的な性能が良好であるといえる。
すなわち、LiDAR等の赤外光を扱う情報デバイスが使用する領域にT905≧90%、T1550≧80%の少なくとも一方を満たす赤外高透過領域を有し、情報デバイスが使用する領域以外は赤外線遮蔽層を設けて第2領域の遮熱性及び合わせガラス全体の色調均一性を確保することが好ましいと言える。なお、ここでは、評価項目のうち1つでも×があるものを不合格とした。
(評価2)
例3と例7の合わせガラスについて、遮熱性の比較を行った。第1領域における赤外高透過領域の割合が85%である例7の合わせガラスは、第1領域における赤外高透過領域の割合が100%である例3の合わせガラスよりも遮熱性は良好であった。
このように、第1領域における赤外高透過領域の割合が低いほど遮熱性は向上するため、第1領域における赤外高透過領域の割合が低いほど好ましい。但し、LiDAR等の赤外光を扱う情報デバイスが最低限必要とする領域を考慮すると、第1領域における赤外高透過領域の割合は、5%以上は必要である。
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、図3等では車両として自動車を例にして説明したが、本発明に係る車両は自動車には限定されず、合わせガラスを取り付け可能な移動体であればよい。このような移動体としては、例えば、電車、船舶、航空機等が挙げられる。
又、情報送受信領域の周囲全体が必ずしも遮蔽層に囲まれている必要はなく、情報送受信領域の周囲の一部が遮蔽層に接する形態であってもよいし、情報送受信領域が遮蔽層に全く接しない形態であってもよい。
10、10A、10B、10C、10D、10E 合わせガラス
11、12 ガラス板
13、13A、13B、13C、13D、13E 中間膜
14 遮蔽層
14a 第1遮蔽層
14b 第2遮蔽層
15 透視領域
16 開口部
17 赤外高透過領域
17a 赤外高透過領域の下端
100 自動車
120 ハウジング
131 第1層
132 第2層
133 第3層
135、135A、135B、135C、135D、135E、135F 赤外線遮蔽層
136、136A、136B、136C、136D、136E、136F 赤外線非遮蔽層
150 バックミラー
151 第1領域
152 第2領域
201 LiDAR
300 赤外光

Claims (14)

  1. 一対のガラス板と、前記一対のガラス板の間に位置する中間膜と、を有する車両用の合わせガラスであって、
    透視領域を備え、
    前記透視領域において、T905≧90%、T1550≧80%の少なくとも一方を満たす領域を赤外高透過領域とし、
    前記合わせガラスを車両に取り付けて車両を水平面に配置したときに、平面視において、前記赤外高透過領域の下端の点を通り前記車両に水平な直線を直線Pとしたとき、
    前記透視領域は、前記直線Pを前記下端の点における前記合わせガラスの法線方向に対して前記合わせガラスに投影した曲線よりも前記合わせガラスの上方である第1領域と、前記曲線よりも下方である第2領域と、を含み、
    前記第1領域における前記赤外高透過領域の割合が5%以上である合わせガラス。
  2. 前記第2領域の面積は、前記透視領域の面積の50%以上である請求項1に記載の合わせガラス。
  3. 前記合わせガラスを車両に取り付けた状態で視たときに、
    前記第1領域の縦方向の幅が400mm以下である請求項1又は2に記載の合わせガラス。
  4. 前記第1領域における前記赤外高透過領域の割合が95%以下である請求項1乃至3の何れか一項に記載の合わせガラス。
  5. 前記第2領域の全日射透過率の最小値が75%以下である請求項1乃至4の何れか一項に記載の合わせガラス。
  6. 10mm幅での透過色調変化がΔE≦4である請求項1乃至5の何れか一項に記載の合わせガラス。
  7. 前記一対のガラス板の少なくとも一方は、重量比率で、Feに換算した全鉄の含有量の総和:0.002%以上1%以下、Cr:0.0001%以上1%以下、Co:0.0001%以上0.5%以下を含む請求項1乃至6の何れか一項に記載の合わせガラス。
  8. 前記第2領域に位置する前記中間膜は、赤外線遮蔽性微粒子が分散配合された赤外線遮蔽層を有する請求項1乃至7の何れか一項に記載の合わせガラス。
  9. 前記第1領域に位置する前記中間膜は、部分的に前記赤外線遮蔽層を有し、
    前記第1領域における前記赤外線遮蔽層は、前記第1領域の外縁のうち上下方向に延伸する辺に接する請求項8に記載の合わせガラス。
  10. 前記合わせガラスを車両に取り付けた状態で視たときに、前記赤外線遮蔽層は前記合わせガラスの下端側から上に行くに従って厚さが薄くなる請求項8又は9に記載の合わせガラス。
  11. 前記中間膜は、前記赤外高透過領域と前記赤外高透過領域以外の領域で一体形成されている部分を含む請求項1乃至10の何れか一項に記載の合わせガラス。
  12. 平面視で前記一対のガラス板の周縁部に沿った帯状の遮蔽層を備え、
    前記遮蔽層は、前記合わせガラス10の上辺端部から上辺中央部までの間に配置され、幅が略一定の部分である第1遮蔽層を含み、
    前記赤外高透過領域は、前記第1遮蔽層に接する請求項1乃至11の何れか一項に記載の合わせガラス。
  13. 請求項1乃至12の何れか一項に記載の合わせガラスをフロントガラスとして搭載した車両。
  14. 750nm以上1650nm以下の波長帯域を使用して情報の送信及び/又は受信を行う情報デバイスが搭載され、
    前記情報デバイスは、前記赤外高透過領域を介して、前記情報の送信及び/又は受信を行う請求項13に記載の車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022085720A1 (ja) * 2020-10-21 2022-04-28 積水化学工業株式会社 合わせガラス及び車両
WO2023068035A1 (ja) * 2021-10-20 2023-04-27 セントラル硝子株式会社 窓ガラス
WO2023127677A1 (ja) * 2021-12-28 2023-07-06 Agc株式会社 合わせガラスおよび合わせガラスの製造方法

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