JP2021123655A - 一液型アクリル系接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】貯蔵安定性と接着強度が向上するとともに、耐湿性にも優れた一液型アクリル系接着剤を提供する。
【解決手段】本発明の一液型アクリル系接着剤は、分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する、少なくとも1種のオリゴマーと、(メタ)アクリル酸および/またはヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートからなる、少なくとも1種の第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと、前記第1単官能(メタ)アクリル系モノマーとは異なる、少なくとも1種の第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーと、有機過酸化物と、ベンゾトリアゾール類と、を含み、前記オリゴマーと前記第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと前記第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部中に、前記オリゴマーを5〜50重量部、前記第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーを20〜60重量部、前記第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーを20〜60重量部含む。
【選択図】なし

Description

本発明は一液型アクリル系接着剤に関する。
アクリル系接着剤は、金属に対して接着性が良好で、剪断接着強度、衝撃接着強度や剥離接着強度等の各種接着強度のバランスが取れ、湿潤面や油面に対する接着性にも優れている。アクリル系接着剤としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物、エラストマー、有機過酸化物及び硬化促進剤の組み合わせから構成される二液型の室温硬化型接着剤が知られている(例えば、特許文献1、2)。
しかしながら、二液型の接着剤の場合、二液を接触もしくは混合させると短時間に硬化反応が開始して粘度が上昇し、その後発熱を伴って固化するため、可使時間内に使用しないと安定した接着強度が得られないという問題がある。また、二液の使用割合が崩れると一方の液が残って無駄となるという問題もある。
一方、一液型の接着剤は、二液の正確な秤量が不要であることから、取り扱いが簡単で、また可使時間の制約がないという利点を有する。しかし、一液型の接着剤は、二液型の接着剤に比べ、貯蔵安定性や接着強度が十分ではないという問題がある。これに対し、一液型アクリル系接着剤としては、例えば、特定構造を有するヒンダードアミン化合物、有機過酸化物と、アクリル単量体および分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する重合性オリゴマーとからなる一液型のラジカル硬化型接着剤組成物(特許文献3)や、一分子中に(メタ)アクリロイル基を1つ以上有するゴムと、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを分子内に併せ持つ重合性モノマーとラジカル重合開始剤とを含む一液型のラジカル硬化型接着組成物(特許文献4)が提案されている。
特公昭55−1957号公報 特開昭56−74165号公報 特開2008−94913号公報 再公表特許WO2018/008332号公報
しかしながら、従来の一液型アクリル系接着剤では、未だ貯蔵安定性と接着強度が十分ではないという問題がある。また、耐湿性が十分ではないため、使用範囲が制限されるという問題もある。
そこで、本発明は、貯蔵安定性と接着強度を向上させるとともに、耐湿性にも優れた一液型アクリル系接着剤を提供することを目的とした。
上記の課題を解決するため、本発明の一液型アクリル系接着剤は、分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する、少なくとも1種のオリゴマーと、(メタ)アクリル酸および/またはヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートからなる、少なくとも1種の第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと、前記第1単官能(メタ)アクリル系モノマーとは異なる、少なくとも1種の第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーと、有機過酸化物と、ベンゾトリアゾール類と、を含む一液型アクリル系接着剤であって、前記オリゴマーと前記第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと前記第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部中に、前記オリゴマーを5〜50重量部、前記第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーを20〜60重量部、前記第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーを20〜60重量部含むことを特徴とする。
本発明によれば、貯蔵安定性と接着強度が向上するとともに、耐湿性にも優れた一液型アクリル系接着剤を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る一液型アクリル系接着剤(以下、一液型アクリル系接着剤を接着剤と略す場合もある)は、分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する、少なくとも1種のオリゴマーと、(メタ)アクリル酸および/またはヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートからなる、少なくとも1種の第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと、前記第1単官能(メタ)アクリル系モノマーとは異なる、少なくとも1種の第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーと、有機過酸化物と、ベンゾトリアゾール類と、を含む一液型アクリル系接着剤であって、前記オリゴマーと前記第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと前記第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部中に、前記オリゴマーを5〜50重量部、前記第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーを20〜60重量部、前記第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーを20〜60重量部含むことを特徴とするものである。なお、本発明においては、特に断らない限り、「(メタ)アクリル」はアクリルまたはメタクリルを表わし、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを表わす。
(オリゴマー)
分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する、少なくとも1種のオリゴマーとは、(メタ)アクリル基を官能基として含む多官能オリゴマーである。官能基の数は、2個〜6個、好ましくは2個〜5個、より好ましくは2個または3個である。また、オリゴマーは、少なくとも1種、好ましくは1種〜3種、より好ましくは、1種または2種である。また、オリゴマーは、重量平均分子量が200以上、好ましくは300〜50,000、より好ましくは500〜30,000である。また、オリゴマーの含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部中に、5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部、より好ましくは10〜30重量部である。含有量が5重量部未満であると、接着強度が低下し易くなり、また、50重量部を超えると接着剤の粘度が高くなり作業性が低下し、接着強度もそれほど向上しないからである。
オリゴマーには、(メタ)アクリレート変性液状ゴム、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびアルキレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のオリゴマーを用いることができる。好ましくは、(メタ)アクリレート変性液状ゴムである。(メタ)アクリレート変性液状ゴムは、主鎖骨格にポリブタジエン−アクリロニトリル、ポリブタジエン、水素化ポリブタジエンまたはポリイソプレンを有し、末端に(メタ)アクリル基を有している。市販品としては、例えば、Emerald Performance Materials社製の「ハイプロVTBNX 1300X33」、「ハイプロVTBNX1300X43」、「ハイプロVTB2000X168」や、日本曹達社製の「Nisso PB TE−2000」、「Nisso PB TEAI−1000」、「Nisso PB IH−1000」や、クラレ社製の「クラプレンUC−102M」、「クラプレンUC−203M」等を挙げることができる。また、ポリウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、三菱ケミカル社製の「紫光UV−3200B」、「紫光UV−3700B」、および「紫光UV−2000B」を挙げることができる。また、エポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、ダイセル・オルネクス社製の「EBECRYL3708」や、サートマー社製の「CNUVE151」や、共栄社化学社製の「エポキシエステル3002A」等を挙げることができる。また、ポリエステル(メタ)アクリレートの市販品としては、東亜合成社製の「アロニックスM−7100」、「アロニックスM−8030」、および「アロニックスM−8060」等を挙げることができる。また、アルキレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの市販品としては、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートである新中村化学社製の「NKエステルBPE−500」や「NKエステルBPE−900」を挙げることができる。これらのオリゴマーを単独で用いても、複数の種類を組み合わせて用いてもよい。
(第1の単官能(メタ)アクリル系モノマー)
第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸および/またはヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートからなる。(メタ)アクリル酸の具体例としては、アクリル酸とメタクリル酸を挙げることができ、好ましくはメタクリル酸である。また、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等を挙げることができるが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部中に、20〜60重量部、好ましくは25〜50重量部、より好ましくは25〜40重量部である。含有量が20重量部未満であると、接着強度が低下し易くなり、硬化速度も遅くなるからである。また、60重量部を超えると耐湿性が低下するからである。なお、本発明において「耐湿性」とは、特に断らない限り、硬化した接着剤を所定時間、所定の高湿度下で養生した場合、接着強度が低下しない、あるいは接着強度の低下の程度が小さい特性をいう。
(第2の単官能(メタ)アクリル系モノマー)
第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーは、第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーとは異なる単官能(メタ)アクリル系モノマーである。第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の複素環含有(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート等のビニル基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。好ましくは脂環式(メタ)アクリレートである。これらの単官能(メタ)アクリル系モノマーは、単独で用いても、複数の種類を組み合わせて用いてもよい。
第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部中に、20〜60重量部、好ましくは30〜60重量部、より好ましくは40〜60重量部である。含有量が20重量部未満であると、接着強度が低下し易くなり、硬化速度も遅くなるからである。また、60重量部を超えると接着強度もそれほど向上しないからである。
(有機過酸化物)
有機過酸化物は加熱によって分解して遊離ラジカルを発生し、オリゴマー、第1の単官能(メタ)アクリル系モノマー、および第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの二重結合への付加反応を起こすことで、接着剤の硬化を促進させる。本発明では、貯蔵安定性を向上させるため、1時間の半減期を得るための分解温度(以下、「1時間半減期温度」という)が100℃以上のものを用いることが好ましい。このような有機過酸化物としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート(1時間半減期温度:125℃)、t−ブチルパーオキシアセテート(1時間半減期温度:121℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(1時間半減期温度:118℃)等のパーオキシエステル類、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(1時間半減期温度:111℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1時間半減期温度:107℃)等のパーオキシケタール類、p−メンタンハイドロパーオキサイド(1時間半減期温度:151℃)、クメンハイドロパーオキサイド(1時間半減期温度:188℃)、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(1時間半減期温度:173℃)等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。これらのうち、比較的低い温度で良好な接着強度が得られるパーオキシエステル類及びパーオキシケタール類が好ましい。これらの有機過酸化物は、単独で使用しても、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
有機過酸化物の含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部、さらに好ましくは4〜7重量部である。1重量部未満では、硬化反応が十分に進行しにくくなり、また、10重量部を超えると貯蔵安定性が低下し易くなる傾向があるからである。
(ベンゾトリアゾール類)
ベンゾトリアゾール類は、接着強度と耐湿性をさらに向上させる。ベンゾトリアゾール類としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−(N,N−ビス(2−エチルへキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール、および1−(N,N−ビス(2−エチルへキシル)アミノメチル)メチルベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。これらの中では、貯蔵安定性、第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーへの溶解性の観点から、1,2,3−ベンゾトリアゾールが好ましい。
ベンゾトリアゾール類の含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、接着強度と耐湿性をさらに向上させる観点から、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部である。
(エラストマー)
本発明の接着剤は、さらにエラストマーを含んでもよい。エラストマーは、常温付近でゴム弾性を示す高分子物質である。本発明の接着剤に含有させることで、衝撃強度や剥離強度をさらに向上させることができる。エラストマーの具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体(MBAS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等の熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムを挙げることができる。好ましくは、熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーの中では、MBS樹脂が好ましい。例えば、ダウ・ケミカル日本社製のMBS樹脂(商品名パラロイドBTA−751)、カネカ社製のMBS樹脂(商品名カネエースB−56)等を市販品として入手できる。また、合成ゴムとしては、デュポン社製のエチレン−アクリルゴム(商品名ベイマックG)、日本ゼオン社製のカルボキシル基含有アクリロニトリルーブタジエンゴム(商品名ニポール1072)等を市販品として入手できる。
エラストマーの含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、10〜60重量部、好ましくは30〜50重量部、より好ましくは30〜40重量部である。10重量部未満であると接着強度を向上させる効果が十分ではなく、60重量部を超えると粘度が高くなって作業性が低下するからである。
(リン酸基含有(メタ)アクリレート)
本発明の接着剤は、さらにリン酸基含有(メタ)アクリレートを含んでもよい。リン酸基含有(メタ)アクリレートは、被着体に対する密着性を向上させることができる。
リン酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート等を挙げることができる。好ましくは、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェートである。2−ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェートの市販品は、例えば、城北化学社から商品名JPA−514として入手できる。
リン酸基含有(メタ)アクリレートの含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部である、より好ましくは0.05〜2重量部である。0.01重量部未満では硬化速度が遅く、また5重量部を超えても硬化速度の向上は見られないからである。
(重合禁止剤)
本発明の接着剤は、さらに重合禁止剤を含んでもよい。貯蔵安定性をさらに向上させることができる。重合禁止剤の具体例としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、キンヒドロン、p−ベンゾキノン、トルキノン、6−t−ブチル−2,4−キシレノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル−p−クレゾール)]等を挙げることができる。好ましくは、p−ベンゾキノンである。
重合禁止剤の含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、0.01〜2重量部、好ましくは0.02〜1重量部、より好ましくは0.05〜1重量部である。
さらに、本発明の接着剤の特性を損なわない範囲で、以下の化合物を添加することもできる。
(光ラジカル重合開始剤)
接着時のはみ出し部分の硬化のために、光ラジカル重合開始剤を本発明の接着剤に添加することができる。光ラジカル重合開始剤は特に限定されないが、例えば、アセトフェノン、アントラキノン、2-エチルアントラキノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸、ベンゾインメチルエーテル、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、カンファ−キノン等を挙げることができる。光ラジカル重合開始剤の含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤を本発明の接着剤に添加することができる。被着体に対する密着性をさらに向上させることができる。シランカップリング剤は特に限定されないが、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。シランカップリング剤の含有量は、オリゴマーと第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部である。
さらに、本発明の接着剤に揺変性を付与させるために、フュームドシリカ、ベントナイト、セピオライト、ポリエチレンオキサイド等の揺変性付与剤を添加することもできる。また、空気接触部の硬化をより促進するためにパラフィン類やワックス類、及び顔料や着色剤等を添加することもできる。
(硬化方法)
本発明の接着剤は、特に限定されないが、加熱により硬化させることが好ましい。加熱温度は、用いる有機過酸化物の1時間半減期温度を考慮して設定することができるが、80〜150℃、好ましくは100〜130℃である。加熱温度が80℃未満では硬化反応が十分には進行せず、十分な接着強度が得られない場合があるからである。また、加熱温度が150℃を超えると、硬化反応が急激に進行して安定した接着強度が得られない場合があるからである。また、加熱時間は、15分〜3時間である。
本発明の一液型アクリル系接着剤は、従来の一液型アクリル系接着剤の課題であった貯蔵安定性と接着強度を向上させることができ、また耐湿性にも優れている。そのため、従来、二液型アクリル系接着剤が用いられていた、金属、硬質プラスチック、木材、セラミックス等の種々の被着体についても適用可能であり、一液型の特徴である、取り扱いが簡単で可使時間の制約がないという特徴を生かして、作業性に優れた接着剤を提供できる。
以下、本発明を実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない「部」はすべて「重量部」を示す。なお、各成分の使用量を示す
(接着剤の調製)
表1に示す成分を使用し、表2、表3、および表4に示す配合比で、実施例1〜16と比較例1〜9の接着剤を調製した。なお、表2〜4中、成分1、成分2、成分3、成分4、および成分5は、それぞれ、オリゴマー、第1の単官能(メタ)アクリル系モノマー、第2の単官能(メタ)アクリル系モノマー、有機過酸化物、およびベンゾトリアゾール類を意味する。
Figure 2021123655
Figure 2021123655
Figure 2021123655
Figure 2021123655
(貯蔵安定性試験)
100mlのポリエチレン製容器に接着剤を充填し、40℃で静置して30日以上粘度上昇やゲル化が起こっていないかを調べた。
貯蔵安定性は、以下の基準で判定した。
〇:粘度上昇やゲル化を起こさなかった。
×:粘度上昇又はゲル化を起こした。
(加熱硬化条件)
被着体として寸法が2.3×20×100mmのSPHCのサンドブラスト処理鋼板を用いた。23℃で一方の試験片にラップの長さ10mmで接着剤を塗布し、もう一方の試験片を貼り合わせて120℃で1時間加熱硬化した。
(初期引張剪断強度の測定)
接着強度の評価は、引張剪断強度の測定により行った。接着剤を加熱硬化後、23℃で24時間養生した試験片を試験速度25mm/分で引張剪断強度(N/mm)を測定した。測定には、島津製作所製オートグラフAG−X50KNXを用いた。
引張剪断強度は、以下の基準で判定した。
〇:強度が20N/mm以上である。
×:強度が20N/mm未満である。
(耐湿性試験)
被着体として寸法が2.3×20×100mmのSPHCのサンドブラスト処理鋼板を用いた。23℃で一方の試験片にラップの長さ10mmで接着剤を塗布し、もう一方の試験片を貼り合わせて120℃で1時間加熱硬化した。加熱硬化後、23℃で24時間養生し、60℃、90%の雰囲気下で1,000時間暴露した試験片を23℃で24時間養生し、試験速度25mm/分で引張剪断強度(N/mm)を測定した。
耐湿試験後の引張剪断強度は、以下の基準で判定した。
〇:強度保持率が70%以上である。
×:強度保持率が70%未満である。
ここで、強度保持率は、以下の式で算出した。
[(耐湿試験後の引張剪断強度)/(初期引張剪断強度)]×100(%)
(結果)
表2、表3、および表4に、貯蔵安定性試験と耐湿性試験前後の引張剪断強度測定の結果を示す。実施例1〜19は、粘度上昇やゲル化を起こらず、優れた貯蔵安定性を有していた。また、実施例1〜19は、概ね20N/mm以上の大きな引張剪断強度を有していた。また、実施例1〜19では、硬化後の接着剤は、耐湿試験後においても、引張剪断強度の強度保持率が70%以上であり、優れた耐湿性を有していた。一方、ベンゾトリアゾール類を含まない比較例1〜3では、貯蔵安定性は良好であるものの、耐湿試験後には引張剪断強度が大きく低下し、耐湿性が不良であった。また、第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有量が60重量部を超える比較例4、5や、第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有量が20重量部未満である比較例6〜9では、初期引張剪断強度が20N/mm未満であり、接着強度が低い値であった。そのため、耐湿性試験を行っていない。
以上の結果から明らかなように、本発明の接着剤は、貯蔵安定性に優れ、大きな接着強度を有するとともに、耐湿試験後においても、高い接着強度を有しており、優れた耐湿性を有していることがわかった。
本発明の一液型アクリル系接着剤は、貯蔵安定性と接着強度が向上し、さらに優れた耐湿性を有している。そのため、従来、二液型アクリル系接着剤が用いられていた、モーター、ゴルフクラブ、電子部品、自動車関連部品の組み立て等の用途にも適用することが可能である。

Claims (8)

  1. 分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する、少なくとも1種のオリゴマーと、
    (メタ)アクリル酸および/またはヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートからなる、少なくとも1種の第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと、
    前記第1単官能(メタ)アクリル系モノマーとは異なる、少なくとも1種の第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーと、
    有機過酸化物と、
    ベンゾトリアゾール類と、を含む一液型アクリル系接着剤であって、
    前記オリゴマーと前記第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと前記第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部中に、前記オリゴマーを5〜50重量部、前記第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーを20〜60重量部、前記第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーを20〜60重量部含む、一液型アクリル系接着剤。
  2. 前記オリゴマーは、(メタ)アクリレート変性液状ゴム、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびアルキレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の一液型アクリル系接着剤。
  3. 前記有機過酸化物は、1時間の半減期を得るための分解温度が100℃以上である、請求項1または2に記載の一液型アクリル系接着剤。
  4. 前記ベンゾトリアゾール類は、1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−(N,N−ビス(2−エチルへキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール、および1−(N,N−ビス(2−エチルへキシル)アミノメチル)メチルベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の一液型アクリル系接着剤。
  5. 前記オリゴマーと前記第1の単官能(メタ)アクリル系モノマーと前記第2の単官能(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、前記有機過酸化物を1〜10重量部、前記ベンゾトリアゾール類を0.1〜10重量部含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の一液型アクリル系接着剤。
  6. エラストマーをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の一液型アクリル系接着剤。
  7. リン酸基含有(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の一液型アクリル系接着剤。
  8. 重合禁止剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の一液型アクリル系接着剤。
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