JP7132316B2 - 二液型硬化性組成物 - Google Patents
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Description
なお、本発明においては、特に断らない限り、「(メタ)アクリル」はアクリルまたはメタクリルを表わし、さらに、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを表わす。
A剤に含まれる、加水分解性シリル基を含有するポリアルキレンオキサイド系ポリマーとは、ポリアルキレンオキサイドを主鎖とし、その末端または側鎖に連結基を介して結合した2個以上の加水分解性シリル基を有するポリマーである(以下、変成シリコーンポリマーとも言う)。ポリアルキレンオキサイドのアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、テトラメチレン基等を挙げることができ、分子中の異なるアルキレン基が2種以上存在してもよい。また、ポリアルキレンオキサイドの分子量は、特に限定されないが、数平均分子量で、数百から数万、好ましくは、数千から数万である。
B剤に含まれる(メタ)アクリル系モノマーとしては、
(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の複素環含有(メタ)アクリレート;
アリル(メタ)アクリレート等のビニル基含有(メタ)アクリレート;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキシド変性ジ及びトリ(メタ)アクリレート;
エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;および
エチレンオキシド変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキシド変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等、を挙げることができる。
A剤に含まれる有機過酸化物としては、t-ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシデカノエート等のアルキルパーオキシエステル類を挙げることができる。これらのうち、反応性の観点からハイドロパーオキサイド類が好ましい。これらの有機過酸化物は、単独で使用しても、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
A剤に含まれるα-ヒドロキシケトン類とα-ヒドロキシエステル類は、後述の酸性リン化合物と共にバナジウム化合物と有機過酸化物とのレドックス触媒系に作用して(メタ)アクリル系モノマーの硬化を促進する化合物である。α-ヒドロキシケトン類としては、例えば、ヒドロキシアセトン、ジヒドロキシアセトン、アセトイン、ベンゾイン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシメチルプロパノン等を挙げることができる。α-ヒドロキシケトン類としては、好ましくは、ヒドロキシアセトンやベンゾインである。
B剤に含まれるバナジウム化合物は、A剤に使用される有機過酸化物とレドックス触媒系を形成し、有機過酸化物のラジカル発生を促進する。バナジウム化合物は、特に限定されるものではないが、五酸化バナジウム等の酸化物、オクテン酸バナジル、ナフテン酸バナジル、ステアリン酸バナジル等の金属石けん、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート等の金属キレート等を挙げることができる。バナジウム化合物としては、好ましくは、バナジルアセチルアセトネートである。
B剤に含まれる酸性リン化合物としては、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル、およびリン酸基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。酸性リン酸エステルとしては、モノメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、モノイソプロピルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノエトキシエチルホスフェート、ジエトキシエチルホスフェート、モノブトキシエチルホスフェート、ジブトキシエチルホスフェート、フェニルホスフェート、ジフェニルホスフェート等を挙げることができる。また、リン酸基含有(メタ)アクリレートとしては、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。酸性リン化合物としては、好ましくは酸性リン酸エステルまたはリン酸基含有(メタ)アクリレートであり、より好ましくはリン酸基含有(メタ)アクリレートである。リン酸基含有(メタ)アクリレートとしては、好ましくはアシッドホスホキシエチルメタクリレート(2-ヒドロキエチルメタクリレートアシッドホスフェートとも言う)である。アシッドホスホキシエチルメタクリレートは、例えば、城北化学社から商品名JPA-514として入手できる。
B剤は、さらにエラストマーを含んでもよい。エラストマーは、常温付近でゴム弾性を示す高分子物質である。エラストマーを含有させることで、柔軟性、及び衝撃強度や剥離強度をさらに向上させることができる。エラストマーの具体例としては、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート-ブタジエン-アクリロニトリル-スチレン共重合体(MBAS樹脂)、スチレン-ブタジエン共重合体(SBS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等の熱可塑性エラストマー、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、エチレン-アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムを挙げることができる。好ましくは、熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーの中では、MBS樹脂が好ましい。例えば、ダウ・ケミカル日本社製のMBS樹脂(商品名パラロイドBTA-751)、カネカ社製のMBS樹脂(商品名カネエースB-56)等を市販品として入手できる。また、合成ゴムとしては、デュポン社製のエチレン-アクリルゴム(商品名ベイマックG)、日本ゼオン社製のカルボキシル基含有アクリロニトリルーブタジエンゴム(商品名ニポール1072)等を市販品として入手できる。
B剤はさらに重合禁止剤を含んでもよい。貯蔵安定性をさらに向上させることができる。重合禁止剤の具体例としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、キンヒドロン、p-ベンゾキノン、トルキノン、6-t-ブチル-2,4-キシレノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,2‘-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル-p-クレゾール)]等を挙げることができる。
シランカップリング剤は被着体に対する密着性をさらに向上させることができる。シランカップリング剤は特に限定されないが、例えば、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。シランカップリング剤の含有量は、(メタ)アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、0.01~2重量部、好ましくは0.05~1重量部である。
本発明の組成物に、揺変性を付与させるために、フュームドシリカ、ベントナイト、セピオライト、ポリエチレンオキサイド等の揺変性付与剤を添加することもできる。
A剤とB剤に用いた成分名を、表1に示した。また、調製したA剤とB剤の組成を、それぞれ、表2と表3に示した。なお、表1~3中、成分1、成分2、成分3、成分4、成分5および成分6とは、それぞれ、変成シリコーンポリマー、有機過酸化物、α―ヒドロキシカルボニル化合物、(メタ)アクリル系モノマー、バナジウム化合物および酸性リン化合物を意味する。
100mlのポリエチレン製容器にA剤を充填し、40℃で静置してゲル化が起こっていないかを調べた。なお、B剤はすべて40℃で30日以上安定であった。
A剤の貯蔵安定性は、以下の基準で判定した。
○:30日以上、粘度上昇やゲル化を起こさなかった。
×:10日以内にゲル化を起こした。
23℃で容量が2mlのポリエチレン容器にA剤とB剤の各0.5gを秤量して混合し、反応の開始によって粘度上昇が始まり、接着が可能な時間を測定して可使時間とした。
被着体として、寸法が100×25×1.6mmのSPCC-SDのサンドブラスト処理鋼板を用いた。23℃で一方の試験片にラップの長さ12.5mmで接着剤を塗布し、A剤とB剤を重量比1:1で接着し、3kgの荷重をかけても剥がれなくなるまでの時間を測定してセットタイムとした
内径30mm、深さ7mmのポリエチレン容器にA剤、B剤の各2.5gを秤量して混合し、23℃で24時間後に硬化物のショアー硬度Aを測定した。測定にはテクロック社製硬度計GS-610を用いた。
金属板として、寸法が100×20×2.3mmのSPHCのサンドブラスト処理鋼板、硬質プラスチック板として、100×25×3.0mmのアクリル板とABS樹脂板を用いた。さらに、無機板として、寸法が100×25×3mmのケイ酸カルシウム板(ケイカル板と略す)、スレート板および木質板として寸法が100×25×3mmのラワン合板を用いた。23℃で同種の板同士をA剤とB剤を1:1で接着し、24時間後に試験速度25mm/分で引張剪断強度(N/mm2)を測定した。測定には、島津製作所製オートグラフAG-X50KNXを用いた。測定温度は23℃である。なお、ラップの長さは、鋼板は10mm、硬質プラスチック板、無機板およびラワン合板は12.5mmとした。
金属板として、150×25×0.3mmのSPHCのサンドブラスト処理鋼板を用いた。A剤とB剤を重量比1:1で接着し、24時間後に引張速度250mm/分でT型剥離強度を測定した。測定温度は23℃である。
被着体として寸法が100×20×2.3mmのSPHCのサンドブラスト処理鋼板を用いた。23℃でラップの長さ10mmでA剤とB剤を重量比1:1で接着し、23℃で24時間養生し、60℃の温水に250時間浸漬した試験片を23℃で24時間養生し、試験速度25mm/分で引張剪断強度(N/mm2)を測定した。
[(耐水試験後の引張剪断強度)/(初期引張剪断強度)]×100(%)
被着体として寸法が100×20×2.3mmのSPHCのサンドブラスト処理鋼板を用いた。23℃でラップの長さ10mmでA剤とB剤を重量比1:1で接着し、23℃で24時間養生し、100℃の乾燥機に250時間暴露した試験片を23℃で24時間養生し、試験速度25mm/分で引張剪断強度(N/mm2)を測定した。
[(熱老化試験後の引張剪断強度)/(初期引張剪断強度)]×100(%)
金属板として、150×25×0.3mmのSPHCのサンドブラスト処理鋼板を用いた。A剤とB剤を重量比1:1で混合して接着し、24時間後に引張速度250mm/分で、-30℃、0℃、23℃、100℃の各温度下でT型剥離強度を測定した。
表4~8に試験結果を示す。
Claims (7)
- A剤とB剤とからなる二液型硬化性組成物であって、
A剤は、加水分解性シリル基を含有するポリアルキレンオキサイド系ポリマー100重量部と、有機過酸化物0.1~10重量部と、α-ヒドロキシケトン類及び/又はα-ヒドロキシエステル類0.01~5重量部と、を含み、
B剤は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー0.5~30重量部を含有する(メタ)アクリル系モノマー100重量部と、バナジウム化合物0.01~5重量部と、
酸性リン化合物0.1~10重量部と、を含む、二液型硬化性組成物。 - 前記α-ヒドロキシケトン類は、ヒドロキシアセトン、ジヒドロキシアセトン、アセトイン、ベンゾイン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、および1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシメチルプロパノンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の二液型硬化性組成物。
- 前記α-ヒドロキシエステル類は、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、グリコール酸メチル、および酒石酸エチルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の二液型硬化性組成物。
- 前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーは(メタ)アクリル酸である、請求項1から3のいずれか1項に記載の二液型硬化性組成物。
- 前記有機過酸化物はハイドロパーオキサイドである、請求項1から4のいずれか1項に記載の二液型硬化性組成物。
- 前記酸性リン化合物は、酸性リン酸エステルまたはリン酸基含有(メタ)アクリレートである、請求項1から5のいずれか1項に記載の二液型硬化性組成物。
- 前記B剤は、前記(メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、エラストマーを20~60重量部含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の二液型硬化性組成物。
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