JP2021107309A - 二酸化塩素発生具 - Google Patents

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Abstract

【課題】取り扱いの利便性と製造経費の圧縮を両立させるべく、単一の錠剤において二酸化塩素の発生の契機と同時に発生する二酸化塩素の臭気の緩和を実現する二酸化塩素発生具を提供する。【解決手段】二酸化塩素発生具は、樹脂製袋状容器または樹脂製カップ状容器の容体部に亜塩素酸イオンを含有するゲル状物を収容し容体部を封止した亜塩素酸イオン含有ゲル体部と、香料を含有した固体の有機酸の成形物を被覆物に収容して封止した香料含有有機酸成形物とを備え、容体部の開封後に香料含有有機酸成形物の封止を解除して香料含有有機酸成形物をゲル状物の上に載置する。【選択図】図1

Description

本発明は二酸化塩素発生部具に関し、特に二酸化塩素の臭気を緩和する香気も同時に放散する二酸化塩素発生具に関する。
生活空間の除菌に利用される二酸化塩素ガス発生剤の一形態は使用者が梱包物を開封するだけで湿度に感応して二酸化塩素ガスを放散して使用されるため、操作は簡単であるものの長期保管が難しい。また、雰囲気温度と特に雰囲気湿度により二酸化塩素の放散速度が大きく異なることから、商業上の広がりは制限されている。一般に使用されている二酸化塩素ガス発生剤は、使用者が亜塩素酸希釈液に高吸水性樹脂と酸、pH調整剤等を含む顆粒状、粉末状物を添加して使用を開始する形式である。当該形式にあっては、使用を開始する際の操作において液や顆粒状、粉末状物がこぼれやすかった。また、夏期の高温が続く期間の自動車の車内等ではゲルが軟化しやすい。そこで、液を使用しない二酸化塩素ガス発生剤の形式として、亜塩素酸塩希釈液が予め寒天等によりゲル状に固められており、使用者はこのゲル上にクエン酸等の固形の酸成分を載置する形式がある。
加えて、二酸化塩素ガスは特有の臭気を有しており、反応により発生し拡散する二酸化塩素ガスの不快臭の緩和がもう一つの問題となっていた。この点への対処として、二酸化塩素発生剤の二酸化塩素臭を緩和するため、香料を一緒に用いることが示されている(特許文献1参照)。特許文献1は、使用者が使用時に亜塩素酸塩希釈液の寒天状ゲルに固形の酸成分と固形の香料成分を添加する方法である。この時、酸成分と香料成分が顆粒状あるいは粉末状の場合、ひとつの梱包として取扱い可能である。しかし、使用者が包材を開封し、ゲルの上に注ぎ入れる方法では操作性が悪く、こぼさないように充填することによる心理的な負担がある。さらに、こぼしたり散らかしたりする不具合は依然として残っていた。
さらに、酸成分と香料成分とをそれぞれ独立に成形した錠剤を用いることが示されている(特許文献2参照)。特許文献2の二酸化塩素ガス発生剤の場合、酸成分と香料成分は何れも手で持てる程度の大きさに成形された錠剤であるため、操作時の取り扱いは容易であり、こぼしたり、散らかったりする不具合は改善されている。
しかしながら、特許文献2の二酸化塩素ガス発生剤の場合、酸成分と香料成分のそれぞれの錠剤が必要であり、両錠剤を別々に成形、梱包するための製造経費が増す。さらに、化学的な知識のない使用者にとって似たような錠剤が2種類あることから心理的な障壁が高くなり、2種類の錠剤を重ならないようにゲル上に配置しなければならない。そのため、酸成分と香料成分のそれぞれの錠剤を使用する手法は必ずしも簡便な方法ではなかった。
この改善として、独立した2種類の錠剤を1錠に集約する方法が考えられる。しかし、酸としての役割と香料を放散する役割を同時に持たせるという技術上の問題、ならびに製造経費の問題があった。また、香料を担持させるため、一般にケイ酸カルシウムが利用される。ケイ酸カルシウムは重量当りの吸油量が多い特性から香料の担持体として利用されている。ところが、二酸化塩素の不快臭を軽減する目的で香料の担持成形物として水に難溶性のケイ酸カルシウムを使用する場合、酸成分と接触すると膨潤して成形状態を保つことができない。そのため、使用中に成形物が崩壊したり膨潤したりして美観が損なわれる。
特開2018−148983号公報 特開2018−24556号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、取り扱いの利便性と製造経費の圧縮を両立させるべく、単一の錠剤において二酸化塩素の発生の契機と同時に発生する二酸化塩素の臭気の緩和を実現する二酸化塩素発生具を提供する。
すなわち、実施形態の二酸化塩素発生具は、容体部に亜塩素酸イオンを含有するゲル状物を収容し容体部を封止した亜塩素酸イオン含有ゲル体部と、香料を含有した固体の有機酸の成形物を被覆物に収容して封止した香料含有有機酸成形物とを備え、容体部の開封後に香料含有有機酸成形物の封止を解除して香料含有有機酸成形物をゲル状物の上に載置することを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具は、容体部が樹脂製袋状容器または樹脂製カップ状容器であることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具は、成形物が打錠により成形されることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具は、固体の有機酸がフマル酸、フタル酸、コハク酸より選択されることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具は、亜塩素酸イオン含有ゲル体部と、前記香料含有有機酸成形物とが、外装容器の中に収容されることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具は、外装容器が陶器または磁器よりなるであることを特徴とする。
本発明の二酸化塩素発生具によると、容体部に亜塩素酸イオンを含有するゲル状物を収容し容体部を封止した亜塩素酸イオン含有ゲル体部と、香料を含有した固体の有機酸の成形物を被覆物に収容して封止した香料含有有機酸成形物とを備え、容体部の開封後に香料含有有機酸成形物の封止を解除して香料含有有機酸成形物をゲル状物の上に載置するため、取り扱いの利便性と製造経費の圧縮を両立させ、単一の錠剤において二酸化塩素の発生の契機と同時に発生する二酸化塩素の臭気の緩和を実現することができる。
実施形態の二酸化塩素発生具の全体概要図である。 (a)は容体部の一例の斜視図であり、(b)は容体部の他の例の斜視図である。 (a)は有機酸の模式図であり、(b)は打錠成形の模式図であり、(c)は成形物の斜視図であり、(d)は香料の散布時の模式図であり、(e)は香料の含浸時の模式図である。 外装容器を示す斜視図である。
図1の全体概要図を用い、実施形態の二酸化塩素発生具1の構成から説明する。図示実施形態の二酸化塩素発生具1は、亜塩素酸イオン含有ゲル体部10と香料含有有機酸成形物20を備えてなる。さらに、後出の図4のとおり、亜塩素酸イオン含有ゲル体部10と香料含有有機酸成形物20は外装容器50内に収容されて販売される。
亜塩素酸イオン含有ゲル体部10では、亜塩素酸イオンを含有するゲル状物19が容体部11の内部に収容される。容体部11の開口部12が封止される。図2(a)の例の容体部11は樹脂製フィルムを製袋した樹脂製袋状容器13として形成される。図示では、一般にスタンドパック等と称される製袋の形態である。容体部11の辺部分及び開口部12はヒートシールされ樹脂フィルム同士が融着する。樹脂製フィルムの製袋後、ゲル状物19は樹脂製袋状容器13内に充填され当該樹脂製袋状容器13の開口部12は封止される。容体部11の樹脂製フィルムは耐薬品性に優れた樹脂素材が選択され、強度向上のため、ラミネートフィルムが採用される。例えば、ポリプロピレン、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等を3ないし7枚重ねたラミネートフィルムの形態である。樹脂製袋状容器13の容量は50ないし200mLの適宜であり、使用期間に応じて容量は調整される。図示のスタンドパックの形状以外にも三方ピローとしても良い。
図2(b)は他の例の容体部11であり、容体部が樹脂製カップ状容器15により構成される。樹脂製カップ状容器15は耐薬品性に優れたポリプロピレン等の樹脂が射出成形されて形成される。樹脂製カップ状容器15内にゲル状物19が充填され、カップ開口部16に封止フィルム17が被着される。当該封止フィルム17はヒートシールされてカップ開口部16と融着してカップ開口部16は封止される。なお、当該封止フィルムの代わりに、パッキンとキャップを用いた封止の形態とすることができる。
容体部11として、樹脂製袋状容器13または樹脂製カップ状容器15の選択は適宜である。樹脂製袋状容器13の場合、連続して樹脂製フィルムから製造可能であり製造が簡便である。樹脂製カップ状容器15の場合、立体形状であるため設置時の安定性があり取り扱いやすい。
ゲル状物19は、亜塩素酸イオンを含有する水にゲル化により粘度を高める物質(ゲル化剤)が混入される。亜塩素酸イオン(ClO )の供給源は、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、亜塩素酸カリウム(KClO)等に代表される亜塩素酸塩である。後述する有機酸との接触にともない、二酸化塩素(ClO)が発生する。二酸化塩素は常温で気体(ガス状)であり容体部11の周囲に拡散する。この結果、二酸化塩素発生具1の周囲の細菌、カビ等の微生物の成育は阻害される。
ゲル化剤としては、寒天(agarose)が好ましく用いられる。これに加えて、ペクチン、カラギナン、グアーガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等が用いられる。実施形態のとおりゲル化して粘度を高める目的は、二酸化塩素発生具1を転倒した際の液漏れの防止である。加えて、後出の固体の有機酸との反応を温和にするためである。液体の状態では有機酸とすぐに混ざり合うため、激しく反応して二酸化塩素を短時間で放出してしまう。
しかし、敢えてゲル状物19の形態とすることにより、固体の有機酸との接触量を抑制して反応の進行を遅延させることができる。特に、二酸化塩素発生具1の使用期間は1ないし3箇月間の想定であるため、少量ずつ二酸化塩素を発生させ続けることが望ましい。ゲル状物19に添加されるゲル化剤は、例えば寒天の場合、0.1ないし1重量%である。
ゲル状物19における亜塩素酸イオンの濃度は、亜塩素酸ナトリウムの重量換算として、概ね0.1ないし12重量%の濃度である。濃度の多少は、二酸化塩素発生具1から発生させる二酸化塩素の濃度、二酸化塩素発生具1の使用期間に応じて調整される。また、亜塩素酸イオン量が高まると、金属イオン濃度が高くなりゲル化剤の効力が低下する。そこで、濃度に合わせてゲル化剤の添加量も増やされる。
香料含有有機酸成形物20は、香料を含有した固体の有機酸の成形物21を被覆物22に収容して封止した物品である。ゲル状物に含まれている亜塩素酸イオンと反応して二酸化塩素を発生させるための酸は、1ないし3箇月間、二酸化塩素を穏やかに発生させる能力があること、かつ成形可能であること、さらに、香料成分を必要量担持して徐放する能力が求められる。香料の香りを減衰させず、さらに臭気の弱い酸であることが好ましい。反応を穏やかにしつつ、長期に亘り反応を持続させるためには、水に難溶性であること、仮に溶解性が高くてもpH緩衝作用の強い酸性物質であればよい。
前述の要求を満たす酸成分としてフマル酸(HOOC−CH=CH−COOH)、フタル酸(C(COOH))、またはコハク酸(HOOC−(CH−COOH)が選択される。有機酸は単独種としても複数種としても良い。また、前述の要求を満たし得る限り他の成分を包含してもよい。これらの有機酸は常温下において固体の粉末である。粉末状では、背景技術にて説明のとおり、二酸化塩素発生具の使用開始時の取り扱いにおいて簡便とはいえない。そこで、固体の有機酸は所定の形状の成形物に加工される。具体的には、固体の有機酸は医薬品等の製造に使用される打錠機等により打錠されて円盤等の錠剤形状に成形される。
打錠に際しては、固体の有機酸は計量され、必要に応じて賦形剤等が混入される。そして、打錠機の加圧を受けて固体の有機酸は成形物となる。こうして、当初、粉末状の有機酸は単一の成形物となり、取り扱いやすさは向上する。有機酸の成形物の大きさは直径10ないし30mmであり厚さは3ないし10mmである。取り扱い時の割れにくさの点から円盤形状が好ましい。成形物の形状と大きさは、所望の二酸化塩素の発生速度が勘案されて設計される。
さらに、実施形態の有機酸の成形物の特徴として、当該成形物自体に香料が含有されていることである。香料と有機酸が成形物に一体化されているため、従前のように、別々に添加する手間は生じない。そのため、開封後の心理的な障壁は取り除かれる。また、使用する有機酸は弱酸であり、素手で触れたとしても人体への影響は極めて軽微であり、安全性が高い。
香料は、公知の香料から選択され、例えば、ラベンダ、ミント(薄荷)、カモミール等のハーブ、バラ、キンモクセイ等の花卉類、さらには、ヒノキ、紫檀、白檀等の樹木(草木)、乳香等が列記される。二酸化塩素の効果を著しく減じない範囲において、一般にヒトに芳香を感じさせる成分であれば種類を問わない。また、香料は複数種類調合される。香料の成分は、通常、水、アルコール、有機溶媒に溶解された液状(溶液)である。有機酸の成形物へ香料を含有させる手法は、成形物への散布、含浸等の適宜である。なお、粉末状あるいは顆粒状の有機酸に香料液を担持させてから打錠してもよい。
ここで、図3を用い、固体の有機酸から成形物が生成される過程と香料を含有させる過程を説明する。図3(a)は固体の有機酸の粉末29である。図3(b)は打錠の一例であり、型部31,32内に有機酸の粉末29が収容され、粉末29は加圧される。図3(c)は有機酸の成形物21であり、型部31,32から取り出された段階である。図3(d)では出来上がった有機酸の成形物21に対して香料の溶液34が滴下、散布される。または、図3(e)では出来上がった有機酸の成形物21が香料の溶液34の中に浸漬される。また、錠剤化の方法に関して、粉末状あるいは顆粒状の有機酸に香料液が担持されてから打錠する湿式法としてもよい。
こうして調製された香料を含有した固体の有機酸の成形物21は被覆物22に収容されて封止される(図1参照)。被覆物22は樹脂製フィルムの製袋物からなり、耐薬品性と香気の不透過性に優れた樹脂素材が選択される。例えば、ポリプロピレン、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等と接着層としてのポリエチレンを3ないし7枚重ねたラミネートフィルムの形態である。さらに、含有する香料の変質を防ぐ目的から遮光性を備えるべくアルミニウムを蒸着したラミネートフィルム、もしくは香気の減衰を低減するためのアルミ箔が好ましく用いられる。図示の例では、開封しやすさのため、山形状の切れ込み部が設けられている。被覆物22の封止はヒートシール融着であり、香料含有有機酸成形物20は完成する。
二酸化塩素発生具1は、亜塩素酸イオン含有ゲル体部10と香料含有有機酸成形物20の組み合わせにより完成する。しかしながら、二酸化塩素を発生させる使用時、亜塩素酸イオン含有ゲル体部10と有機酸の成形物21が露出した状態では見栄えが良くない。そこで、亜塩素酸イオン含有ゲル体部10と有機酸の成形物21は外装容器50内に収容される。亜塩素酸イオン含有ゲル体部10と有機酸の成形物21は外部からは直接視認されなくなる。一例として、図4の外装容器50は容器本体部51と蓋部52から構成される。図示は蓋部52を容器本体部51から離した状態である。図示の外装容器50の容器本体部51と蓋部52はともに陶器である。または外装容器50は磁器としても良い。
二酸化塩素発生具1の主な設置場所は、化粧室(トイレ)、洗面所、寝室等の家屋内である。そして、1ないし3箇月間、二酸化塩素は発生され続け、二酸化塩素発生具1は長期間にわたり住人の目に触れる。そうすると、屋内、部屋の調度に差し障りがないことが望まれる。このことから、二酸化塩素発生具1は外装容器50の内部に収容される。図4の外装容器50の容器本体部51と蓋部52のそれぞれに通気口53が形成される。発生した二酸化塩素は通気口53から外部へ拡散する。図示では、筒状の容器本体部51の中に、樹脂製袋状容器13が収容されている。むろん、樹脂製カップ状容器15に代えて収容することもできる。
ここで、実施形態の二酸化塩素発生具1の使い方は概ね次のとおりとなる。はじめに、容体部11である樹脂製袋状容器13の開口部12がはさみ、カッター等により開口される(封止の解除)。または容体部11である樹脂製カップ状容器15のカップ開口部16から封止フィルム17が剥がされる。次に、有機酸の成形物21は被覆物22から取り出される。使用する有機酸は弱酸であり安全性は高く、手袋を使用しなくても済む。そして、有機酸の成形物21は樹脂製袋状容器13または樹脂製カップ状容器15のゲル状物19の上に載置される。
ゲル状物19は、適度な粘度、弾力を有しており、有機酸の成形物21が載置後にゲル状物19内に沈降することはない。従って、亜塩素酸ナトリウム等が溶解したゲル状物19と有機酸の成形物21との接触面は限られ、水に難溶な酸であることから緩やかに有機酸がゲル状物19側へ溶解する。このため、急な二酸化塩素の発生は抑制され、緩慢かつ持続的な二酸化塩素の発生が実現する。そして、樹脂製袋状容器13または樹脂製カップ状容器15は外装容器50の容器本体部51内に収容され、蓋部52が容器本体部51に被せられる。そして、発生した二酸化塩素は通気口53から外部へ拡散する。また、有機酸の成形物21に含有された香料の成分も通気口53から外部へ拡散する。こうして、二酸化塩素の臭気は香料によりマスキングされる。
この使い方から理解されるように、二酸化塩素発生具では、二酸化塩素を発生させるための処理が極めて容易である。しかも、有機酸の成形物のみを取り出して開封後のゲル状物の上に載置するだけであり処理に戸惑うことはない。加えて、二酸化塩素発生の契機となる有機酸の成形物と、その臭気をマスキングする香料が成形物に一体化されているため、別々の部材を用意して包装する経費負担も要しない。それゆえ、処理の簡便さに価格の低廉さが加わる。
[亜塩素酸イオンを含有するゲル状物の作製]
亜塩素酸ナトリウム結晶(日本カーリット株式会社製,シルブライト80)を水に溶解した液を用意し、高温にして十分に溶解した寒天液と混合して亜塩素酸ナトリウム5重量%、寒天1重量%とした。当該溶解液を120gずつ樹脂製袋状容器内に分注しヒートシールにより開口部を封止し、冷却して寒天を固化した。実験のため亜塩素酸イオン含有ゲル体部を複数作製した。
[香料を含有した有機酸の成形物の作製]
フマル酸を打錠成形して直径30mm、厚さ8mm、重量8gの円盤状の成形物を作製した。作製した成形物に、ハーブ類の芳香のフローラル系の香料を1個の成形物あたり0.3g担持させた。また、作製した成形物に、ヒノキ類の芳香の森林系の香料を1個の成形物あたり0.2g担持させた。こうして、2種類の香料を含有する有機酸の成形物をそれぞれ複数用意し、実験に供するまで密封容器内にて保存した。
[二酸化塩素の発生濃度の変化]
前出の亜塩素酸イオン含有ゲル体部を開封し、ゲル状物の上に香料を含有した有機酸の成形物を載置した。1個の亜塩素酸イオン含有ゲル体部に1個の成形物を載置した。そして、室内に置き、温湿度をデータロガーに記録し、20℃換算の累積日数を算出した。20℃にて、2日、9日、13日、29日、44日相当で二酸化塩素の放散速度を測定した。
測定対象の検体(亜塩素酸イオン含有ゲル体部/有機酸の成形物を載置済み)を、4.5Lの合成樹脂製密閉容器に収容して密閉した。雰囲気の急激な温度変化がない状態として約1時間静置した。この間に最低2回以上、合成樹脂製密閉容器から内部のガスを分取し(サンプリング)して検知管(株式会社ガステック製,23M)により二酸化塩素ガスの濃度を測定した。横軸に時間、縦軸に二酸化塩素ガス濃度をプロットすると右上がりの直線となる。一次式で近似した直線の傾きを使用し、理想気体の状態方程式から1時間当たりに放散された二酸化塩素分子のmg数を算出した(二酸化塩素mg/hr)。理想気体の状態方程式に代入する温度は静置時間の雰囲気空気の温度の中央値を使用した。20℃換算の累積日数による二酸化塩素の濃度の変化は表1である。
Figure 2021107309
表1の結果から、累積日数44日時点においても二酸化塩素が発生し続けていることが判明した。それゆえ、亜塩素酸イオン含有のゲル状物と有機酸の成形体の組み合わせは、比較的長期間に渡り安定して二酸化塩素を放散可能であるといえる。実験期間を通じて、有機酸の成形物の外観には、崩壊等の変化は見られず当初の円盤形状を保持し続けていた。
実験開始から累積日数9日後において、さらに4.5Lの合成樹脂製密閉容器に各検体を収容して3分間密閉した。3分の密封後、合成樹脂製密閉容器から内部のガスを分取し(サンプリング)して検知管(株式会社ガステック製,23M)により二酸化塩素ガスの濃度を測定するとともに、実験者は鼻を近づけて容器内の香料及び二酸化塩素の臭気を確認した。
二酸化塩素濃度は、フローラル系において2.4ppmv、森林系において1.3ppmvであった。また、六段階臭気強度表示法(表2参照)による臭気強度はフローラル系において3.0、森林系において3.0であった。当該六段階臭気強度表示法の数値は、人が容易に感知できるにおいの強さである。二酸化塩素の臭気に関しては、いずれからも感じられず、香料のマスキング効果による二酸化塩素ガスの不快臭の軽減を確認することができた。
Figure 2021107309
[臭気の評価]
前出の作製した成形物に、ヒノキ類の芳香の森林系(I)の香料を1個の成形物あたり0.4g担持した。また、同成形物に、ハーブ類の芳香のフローラル系(II)の香料を1個の成形物あたり0.2g担持した。さらに、同成形物に、果物の芳香のフルーツ系(III)の香料を1個の成形物あたり0.4g担持した。こうして、3種類の香料を含有する有機酸の成形物をそれぞれ複数用意し、実験に供するまで密封容器内にて保存した。また、比較のため、香料の担持の無い有機酸の成形物のみ(IV)も用意した。
前出の亜塩素酸イオン含有ゲル体部を開封し、ゲル状物の上に香料を含有した有機酸の成形物を載置した。1個の亜塩素酸イオン含有ゲル体部に1個の成形物を載置した。そして、室内に置き14日経過後の臭気を測定した。結果は表3である。
表中の臭気強度とは、香料臭と二酸化塩素臭の合計値と考えることができる。例えば、森林系(I)の検体の場合、臭気強度は3.0である。そのうち、香料由来の臭気と二酸化塩素由来の臭気に分かれるとした場合、当該3.0の内、どれほどが二酸化塩素由来であるのかを実験者の感覚により示した数値として二酸化塩素臭の強度を規定した。この場合、二酸化塩素の臭気としては0.25と感じ取ったことを意味する。従って、香料の担持の無い成形物のみ(IV)の臭気強度が2.75であったため、これは全て二酸化塩素由来の臭気となる。二酸化塩素の濃度は前出同様の手法に基づくガス検知管による検出濃度である。
Figure 2021107309
表3の結果から、二酸化塩素の臭気が確実に検知できる濃度域においても、香料による二酸化塩素の臭気に対するマスキング効果が充分に発揮されていることが確認できた。香料を用いた検体側では、二酸化塩素よりも香料の臭気が優勢である。
[まとめ]
一連の検証から、二酸化塩素発生具は二酸化塩素を十分な濃度で発生させつつも、二酸化塩素に特有の臭気を香料の臭気によりマスキングできる。このため、使用者は二酸化塩素の不快臭を感じにくく、しかも、香料の臭気が優勢であることから、芳香剤としても機能し得る。特に、長期間にわたり殺菌に有効な二酸化塩素を拡散し続けることから、設置場所の殺菌、消臭の効果が持続し、その間の二酸化塩素の臭気を感じさせなくすることができる。
本発明の二酸化塩素発生具は、簡便な取り扱いにより二酸化塩素を長期間発生させることができ、その間の二酸化塩素の臭気を香料の芳香によりマスキングしているため、室内設置の殺菌、芳香剤の用途としての利便性が高い。
1 二酸化塩素発生具
10 亜塩素酸イオン含有ゲル体部
11 容体部
12 開口部
13 樹脂製袋状容器
15 樹脂製カップ状容器
16 カップ開口部
17 封止フィルム
19 ゲル状物
20 香料含有有機酸成形物
21 有機酸の成形物
22 被覆物
29 有機酸の粉末
31,32 型部
34 香料の溶液
50 外装容器
51 容器本体部
52 蓋部
53 通気口

Claims (6)

  1. 容体部に亜塩素酸イオンを含有するゲル状物を収容し前記容体部を封止した亜塩素酸イオン含有ゲル体部と、
    香料を含有した固体の有機酸の成形物を被覆物に収容して封止した香料含有有機酸成形物とを備え、
    前記容体部の開封後に前記香料含有有機酸成形物の封止を解除して前記香料含有有機酸成形物を前記ゲル状物の上に載置する
    ことを特徴とする二酸化塩素発生具。
  2. 前記容体部が樹脂製袋状容器または樹脂製カップ状容器である請求項1に記載の二酸化塩素発生具。
  3. 前記成形物が打錠により成形される請求項1または2に記載の二酸化塩素発生具。
  4. 前記固体の有機酸がフマル酸、フタル酸、またはコハク酸より選択される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の二酸化塩素発生具。
  5. 前記亜塩素酸イオン含有ゲル体部と、前記香料含有有機酸成形物とが、外装容器の中に収容される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の二酸化塩素発生具。
  6. 前記外装容器が陶器または磁器よりなる請求項5に記載の二酸化塩素発生具。
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