JP2021090046A - グラフェン接合体 - Google Patents

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東洋 大橋
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東洋 大橋
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Abstract

【課題】被接合材とグラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材とが強固に接合されており、冷熱サイクル負荷時においても剥離が生じることがなく、冷熱サイクル信頼性に優れたグラフェン接合体を提供する。【解決手段】グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材と被接合部材とが接合された構造のグラフェン接合体20であって、グラフェン含有炭素質部材21と被接合部材25との接合界面40においては、グラフェン含有炭素質部材21の接合面に、活性金属酸化物及び活性金属炭化物の1種又は2種を含む活性金属化合物層が形成されるとともに、グラフェン含有炭素質部材21側に、Sn濃度が1mass%以上とされたSn濃化層が形成されている。【選択図】図3

Description

この発明は、グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材と被接合部材とが接合された構造のグラフェン接合体に関するものである。
グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材は、熱伝導性に優れていることから、放熱部材及び熱伝導部材を構成する部材として特に適している。
例えば、上述のグラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材の表面にセラミックス等からなる絶縁層を形成することにより、絶縁基板として使用することが可能となる。
また、グラフェン含有炭素質部材の表面に金属層を形成することにより、熱伝導板として使用することが可能となる。なお、この熱伝導板は、例えば、パワーモジュール及びLEDモジュール等のように、発熱体(パワー半導体素子及びLED素子)を搭載する各種装置において、これらの発熱体(素子、及び、素子を搭載した基板等)とヒートシンクとの間に配設される。
ここで、例えば特許文献1には、第1方向に沿ってグラフェンシートが積層された構造体と、第1方向と交差する第2方向における上記構造体の端面に接合される中間部材(金属又はセラミックス)と、を有し、この中間部材(金属又はセラミックス)が、少なくともチタンを含むインサート材を介して、上記端面に加圧接合された異方性熱伝導素子が開示されている。
特開2012−238733号公報
ところで、上述の絶縁基板においては、使用環境下において冷熱サイクルが負荷されることがある。特に、最近では、エンジンルーム等の過酷な環境下で使用されることがあり、温度差が大きな厳しい条件の冷熱サイクルが負荷されることがある。
ここで、上述の特許文献1においては、金属又はセラミックスからなる中間部材とグラフェンの構造体を、チタンを含むインサート材を介して接合しているが、接合条件によっては、金属又はセラミックスからなる中間部材とグラフェンの構造体とを強固に接合することができず、厳しい条件の冷熱サイクルが負荷された際に剥離が生じるおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、被接合材とグラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材とが強固に接合されており、冷熱サイクル負荷時においても剥離が生じることがなく、冷熱サイクル信頼性に優れたグラフェン接合体を提供することを目的とする。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明のグラフェン接合体は、グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材と被接合部材とが接合された構造のグラフェン接合体であって、前記グラフェン含有炭素質部材と前記被接合部材との接合界面においては、前記グラフェン含有炭素質部材の接合面に、活性金属化合物層が形成されるとともに、前記グラフェン含有炭素質部材側に、Sn濃度が1mass%以上であるSn濃化層が形成されており、前記活性金属化合物層の厚さが0.05μm以上3μm以下の範囲内であることを特徴としている。
この構成のグラフェン接合体においては、前記グラフェン含有炭素質部材と前記被接合部材との接合界面において、前記グラフェン含有炭素質部材の接合面に、活性金属酸化物及び活性金属炭化物の1種又は2種を含む活性金属化合物層が形成されているので、活性金属によってグラフェン含有炭素質部材の接合面が十分に反応しており、グラフェン含有炭素部材と被接合部材とを強固に接合することができる。
そして、前記グラフェン含有炭素質部材と前記被接合部材との接合界面において、前記グラフェン含有炭素質部材側に、Sn濃度が1mass%以上とされたSn濃化層が形成されているので、冷熱サイクル負荷時に前記グラフェン含有炭素質部材と前記被接合部材とが剥離することを抑制でき、冷熱サイクル信頼性を向上させることができる。
また、Snを含む接合材を用いることになるので、比較的低温条件で、前記グラフェン含有炭素質部材と前記被接合部材とを強固に接合することが可能となる。
さらに、前記活性金属化合物層の厚さが0.05μm以上とされているので、前記グラフェン含有炭素質部材と前記被接合部材とをさらに強固に接合することが可能となる。一方、前記活性金属化合物層の厚さが3μm以下に制限されているので、冷熱サイクル負荷時に活性金属化合物層におけるクラックの発生を抑制することができる。
ここで、本発明のグラフェン接合体においては、前記Sn濃化層の厚さが0.2μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。
この場合、前記Sn濃化層の厚さが0.2μm以上とされているので、冷熱サイクル信頼性をさらに向上させることができる。一方、前記Sn濃化層の厚さが10μm以下に制限されているので、冷熱サイクル負荷時にSn濃化層におけるクラックの発生を抑制することができる。
さらに、本発明のグラフェン接合体においては、前記グラフェン含有炭素質部材は、単層又は多層のグラフェンが堆積してなる前記グラフェン集合体と扁平形状の黒鉛粒子とを含み、扁平形状の前記黒鉛粒子が、そのベーサル面が折り重なるように前記グラフェン集合体をバインダーとして積層され、扁平形状の前記黒鉛粒子のベーサル面が一方向に向けて配向した構造を有することが好ましい。
この場合、グラフェン含有炭素質部材における熱伝導特性をさらに向上させることが可能となる。
また、本発明のグラフェン接合体においては、前記被接合部材がセラミックスからなるセラミックス部材であってもよい。
この場合、被接合部材が絶縁性に優れたセラミックスで構成されているので、絶縁基板として使用することが可能となる。
さらに、本発明のグラフェン接合体においては、前記被接合部材が金属からなる金属部材であってもよい。
この場合、被接合部材が熱伝導性に優れた金属で構成されているので、熱伝導板として使用することが可能となる。
本発明によれば、被接合材とグラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材とが強固に接合されており、冷熱サイクル負荷時においても剥離が生じることがなく、冷熱サイクル信頼性に優れたグラフェン接合体を提供することが可能となる。
本発明の第一の実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板)を用いたパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の第一の実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板)の概略説明図である。 本発明の第一の実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板)のグラフェン含有炭素質部材と金属部材の接合界面の観察結果である。 本発明の第一の実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板)のグラフェン含有炭素質部材と金属部材の接合界面の元素マッピング図である。 本発明の第一の実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板)の製造方法の一例を示すフロー図である。 本発明の第二の実施形態であるグラフェン接合体(絶縁基板)の概略説明図である。 本発明の第二の実施形態であるグラフェン接合体(絶縁基板)のグラフェン含有炭素質部材とセラミックス部材の接合界面の観察結果である。 本発明の第二の実施形態であるグラフェン接合体(絶縁基板)の製造方法の一例を示すフロー図である。 本発明の実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板)を用いた他のパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板)を用いた他のパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板)を用いた他のパワーモジュールの概略説明図である。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<第一の実施形態>
まず、図1から図5を参照して本発明の第一の実施形態であるグラフェン接合体について説明する。
本実施形態におけるグラフェン接合体は、グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材に、被接合部材として金属板を接合した構造の熱伝導板20とされている。
まず、本実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板20)を用いたパワーモジュールについて説明する。
図1に示すパワーモジュール1は、絶縁回路基板10と、この絶縁回路基板10の一方の面側(図1において上側)にはんだ層2を介して接合された半導体素子3と、絶縁回路基板10の他方の面側(図1において下側)に配設された熱伝導板20と、この熱伝導板20の他方の面側に配設されたヒートシンク30とを備えている。
絶縁回路基板10は、絶縁層11と、この絶縁層11の一方の面(図1において上面)に配設された回路層12と、絶縁層11の他方の面(図1において下面)に配設された金属層13とを備えている。
絶縁層11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、本実施形態では、絶縁性の高い窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)等のセラミックスで構成されている。なお、絶縁層11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
回路層12は、絶縁層11の一方の面に、導電性に優れた金属板が接合されることによって形成されている。本実施形態では、回路層12を構成する金属板として、銅又は銅合金からなる銅板、具体的には無酸素銅の圧延板が用いられている。この回路層12には、回路パターンが形成されており、その一方の面(図1において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面とされている。
また、回路層12となる金属板(銅板)の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
なお、回路層12となる金属板(銅板)と絶縁層11との接合方法は、特に制限はなく、活性金属ろう材等を用いて接合することができる。
金属層13は、絶縁層11の他方の面に、熱伝導性に優れた金属板が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、金属層13を構成する金属板として、銅又は銅合金からなる銅板、具体的には無酸素銅の圧延板が用いられている。
また、金属層13となる金属板(銅板)の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
なお、金属層13となる金属板(銅板)と絶縁層11との接合方法は、特に制限はなく、活性金属ろう材等を用いて接合することができる。
ヒートシンク30は、前述の絶縁回路基板10を冷却するためのものであり、冷却媒体(例えば冷却水)を流通するための流路31が複数設けられた構造をなしている。
このヒートシンク30は、熱伝導性が良好な材質、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金で構成されていることが好ましく、本実施形態においては、無酸素銅で構成されている。
半導体素子3は、例えばSiやSiC等の半導体材料で構成されている。この半導体素子3は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材からなるはんだ層2を介して回路層12上に搭載されている。
そして、絶縁回路基板10とヒートシンク30との間に、本実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板20)が介在している。
なお、後述するように、熱伝導板20の両主面の最表層は、無酸素銅で構成されており、銅からなる絶縁回路基板10の金属層13及び銅からなるヒートシンク30とは、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材を介して接合されている。
本実施形態である熱伝導板20は、図2に示すように、グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材からなる炭素板21と、この炭素板21の両主面に接合された金属部材層25と、を備えている。
炭素板21を構成するグラフェン含有炭素質部材は、単層又は多層のグラフェンが堆積してなるグラフェン集合体と扁平形状の黒鉛粒子とを含み、扁平形状の黒鉛粒子が、そのベーサル面が折り重なるように、グラフェン集合体をバインダーとして積層された構造とされていることが好ましい。
扁平形状の黒鉛粒子は、炭素六角網面が現れるベーサル面と、炭素六角網面の端部が現れるエッジ面と、を有するものである。この扁平形状の黒鉛粒子としては、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、薄片状黒鉛、キッシュグラファイト、熱分解黒鉛、高配向熱分解黒鉛等を用いることができる。
ここで、黒鉛粒子のベーサル面から見た平均粒径は、10μm以上1000μm以下の範囲内であることが好ましく、50μm以上800μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。黒鉛粒子の平均粒径を上述の範囲内とすることで、熱伝導性が向上する。
さらに、黒鉛粒子の厚さは、1μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、1μm以上20μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。黒鉛粒子の厚さを上述の範囲内とすることで、黒鉛粒子の配向性が適度に調整される。
また、黒鉛粒子の厚みは、ベーサル面から見た粒径の1/1000〜1/2の範囲内であることが好ましい。黒鉛粒子の厚みを上記の範囲内とすることで、優れた熱伝導性と黒鉛粒子の配向性が適度に調整される。
グラフェン集合体は、単層又は多層のグラフェンが堆積したものであり、多層のグラフェンの積層数は、例えば100層以下、好ましくは50層以下とされている。このグラフェン集合体は、例えば、単層又は多層のグラフェンが低級アルコールや水を含む溶媒に分散されたグラフェン分散液を、ろ紙上に滴下し、溶媒を分離しながら堆積させることによって製造することが可能である。
ここで、グラフェン集合体の平均粒径は、1μm以上1000μm以下の範囲内であることが好ましい。グラフェン集合体の平均粒径を上述の範囲内とすることで、熱伝導性が向上する。
さらに、グラフェン集合体の厚さは、0.05μm以上50μm未満の範囲内であることが好ましい。グラフェン集合体の厚さを上述の範囲内とすることで、炭素質部材の強度が確保される。
炭素板21の厚さとしては、0.3mm以上3mmの範囲内であることが好ましい。
金属部材層25は、炭素板21の主面に、金属板が接合されることによって形成されている。
金属部材層25を構成する金属板は、熱伝導性に優れた金属で構成されていることが好ましく、本実施形態の金属板は、銅又は銅合金で構成されており、さらに具体的には、無酸素銅の圧延板とされている。
この金属部材層25の厚さ(金属板の厚さ)の下限は50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。一方、金属部材層25の厚さ(金属板の厚さ)の上限は5000μm以下であることが好ましく、3000μm以下であることがさらに好ましい。
ここで、図3に、グラフェン含有炭素質部材からなる炭素板21と金属部材層25との接合界面の観察写真を、図4に、グラフェン含有炭素質部材からなる炭素板21と金属部材層25との接合界面の元素マッピング図を示す。
図3において、上方の黒色部が炭素板21(グラフェン含有炭素質部材)であり、その下方に位置する灰色部が金属部材層25(被接合部材)である。
図3及び図4(a)〜図4(d)に示すように、グラフェン含有炭素質部材からなる炭素板21と金属部材層25との接合界面40においては、炭素板21の接合面に、活性金属酸化物及び活性金属炭化物の1種又は2種を含む活性金属化合物層41が形成されている。図4(a)において、活性金属(Ti)が存在している領域が活性金属化合物層41である。
また、接合界面40のうち炭素板21側に、Sn濃度が1mass%以上とされたSn濃化層42が形成されている。図4(b)において、Snが濃化している領域がSn濃化層42である。
さらに、接合界面40のうち金属部材層25側には、AgとCuを含有する合金層43が形成されている。図4(c),図4(d)において、AgとCuが共存している領域が合金層43である。
活性金属化合物層41は、接合時において炭素板21と金属板の間に介在される接合材に含まれる活性金属が酸素及び炭素と反応することで形成されるものである。
活性金属化合物層41を構成する活性金属としては、例えば、Ti,Zr,Hf、Nbから選択される1種又は2種以上を用いることができる。本実施形態では、活性金属はTiとされており、活性金属化合物層41は、チタン酸化物(Ti−O)及びチタン炭化物(Ti−C)の1種又は2種を含むものとされている。
ここで、活性金属化合物層41の厚さt1が0.05μm以上であれば、接合材と炭素板21との反応が促進されており、炭素板21の接合強度が十分に確保される。一方、活性金属化合物層41の厚さt1が3μm以下であれば、冷熱サイクル負荷時に活性金属化合物層41におけるクラックの発生を抑制することができる。
よって、本実施形態においては、活性金属化合物層41の厚さt1は、0.05μm以上3μm以下の範囲内とされている。
なお、活性金属化合物層41の厚さt1の下限は0.1μm以上であることがさらに好ましく0.2μm以上であることがより好ましい。一方、活性金属化合物層41の厚さt1の上限は2μm以下であることがさらに好ましく、1.8μm以下であることがより好ましい。
Sn濃化層42は、接合時において炭素板21と金属板の間に介在される接合材に含まれるSnが炭素板21側に偏析することで形成されるものである。
なお、Sn濃化層42は、グラフェン/セラミックス接合体の接合界面付近の断面観察試料を採取し、EPMA(例えば、日本電子株式会社製JXA−8530F、加速電圧:15kV、スポット径:1μm以下)を用いてEPMAマッピングを取得することで特定することができる。
ここで、Sn濃化層42の厚さt2が0.2μm以上であれば、冷熱サイクル信頼性を確実に向上させることができる。一方、Sn濃化層42の厚さt2が10μm以下に制限されている場合には、冷熱サイクル負荷時にSn濃化層42におけるクラックの発生を抑制することが可能となる。
よって、本実施形態においては、Sn濃化層42の厚さt2は、0.2μm以上10μm以下の範囲内とされていることが好ましい。
なお、Sn濃化層42の厚さt2の下限は0.5μm以上であることがさらに好ましく、0.7μm以上であることがより好ましい。一方、Sn濃化層42の厚さt2の上限は5μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
合金層43は、接合時において炭素板21と金属板の間に介在される接合材に含まれるAg、Cuが反応することで形成されるものである。また、本実施形態では、金属部材層25(金属板)が無酸素銅で構成されているので、金属部材層25(金属板)側に接合材のAgが拡散することで合金層43が形成される。このため、この合金層43及び金属部材層25においては、Agの濃度勾配が存在することになる。なお、Agが金属部材層25側に十分に拡散して金属部材層25内で固溶する場合には、合金層43が形成されないこともある。
ここで、合金層43の厚さt3が1μm以上であれば、接合材の反応が十分に促進されており、炭素板21と金属部材層25との接合強度が十分に確保される。一方、合金層43の厚さt3が20μm以下であれば、冷熱サイクル負荷時に合金層43におけるクラックの発生を抑制することができる。
よって、本実施形態においては、合金層43の厚さt3は、1μm以上20μm以下の範囲内とされていることが好ましい。
なお、合金層43の厚さt3の下限は2μm以上であることがさらに好ましく、3μm以上であることがより好ましい。一方、合金層43の厚さt3の上限は10μm以下であることがさらに好ましく、8μm以下であることがより好ましい。
次に、本実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板20)の製造方法について、図5に示すフロー図を参照して説明する。
(炭素板形成工程S01)
まず、上述した扁平形状の黒鉛粒子とグラフェン集合体とを所定の配合比となるように秤量し、これをボールミル等の既存の混合装置によって混合する。
得られた混合物を、所定の形状の金型に充填して加圧することにより成形体を得る。なお、加圧時に加熱を実施してもよい。
そして、得られた成形体に対して切り出し加工を行い、炭素板21を得る。
なお、成形時の圧力は、20MPa以上1000MPa以下の範囲内とすることが好ましく、100MPa以上300MPa以下の範囲内とすることがさらに好ましい。
また、成形時の温度は、50℃以上300℃以下の範囲内とすることが好ましい。
さらに、加圧時間は、0.5分以上10分以下の範囲内とすることが好ましい。
(金属板積層工程S02)
次に、炭素板21の両主面に、接合材を介して、金属部材層25となる金属板を積層する。
ここで、接合材としては、AgとCuとSnと活性金属(本実施形態ではTi)を含有するものを使用する。なお、接合材は、ペースト状であってもよいし、箔であってもよい。また、例えばCu−Ag−Sn合金と活性金属とを積層したものであってもよい。
本実施形態では、接合材として、Cuを18mass%以上34mass%以下の範囲、Snを3mass%以上10mass%以下の範囲、Tiを0.3mass%以上7mass%以下の範囲で含み、残部がAg及び不可避不純物とされた組成のものを用いている。
(金属板接合工程S03)
次に、接合材を介して積層した金属板及び炭素板21を、積層方向に加圧するとともに加熱した後、冷却することにより、金属板と炭素板21とを接合し、金属部材層25を形成する。
ここで、加熱温度は740℃以上900℃以下の範囲内とすることが好ましい。また、加熱温度での保持時間は20分以上180分以下の範囲内とすることが好ましい。さらに、加圧圧力は0.1MPa以上3.5MPa以下の範囲内とすることが好ましい。また、雰囲気は減圧雰囲気や窒素ガス雰囲気などの非酸化雰囲気とされていることが好ましい。
この金属板接合工程S03により、接合材に含まれる活性金属(本実施形態ではTi)が酸素及び炭素と反応することで、炭素板21の接合面に活性金属化合物層41が形成される。
また、接合材に含まれるSnが炭素板21側に偏析することにより、Sn濃化層42が形成される。
さらに、接合材に含まれるCuとAgが反応するとともに、Agが金属板(金属部材層25)側に拡散することで、金属部材層25側に合金層43が形成される。
以上の工程により、本実施形態であるグラフェン接合体(熱伝導板20)が製造されることになる。
以上のような構成とされた本実施形態のグラフェン接合体(熱伝導板20)によれば、炭素板21と金属部材層25の接合界面において、炭素板21の接合面に、活性金属酸化物(Ti−O)及び活性金属炭化物(Ti−C)の1種又は2種を含む活性金属化合物層41が形成されているので、活性金属(本実施形態では、Ti)によってグラフェン含有炭素質部材からなる炭素板21の接合面が十分に反応しており、炭素板21と金属部材層25(金属板)が強固に接合されることになる。
そして、炭素板21と金属部材層25との接合界面において、炭素板21側に、接合材に含まれるSnが偏析することにより、Sn濃度が1mass%以上とされたSn濃化層42が形成されているので、冷熱サイクル負荷時に炭素板21と金属部材層25とが剥離することを抑制でき、冷熱サイクル信頼性を向上させることができる。
また、Snを含む接合材を用いることになるため、比較的低温条件で、炭素板21と金属部材層25(金属板)とを強固に接合することが可能となる。
また、本実施形態においては、活性金属化合物層41の厚さが0.05μm以上とされているので、グラフェン含有炭素質部材からなる炭素板21と金属部材層25とを強固に接合することが可能となる。一方、活性金属化合物層41の厚さが3μm以下に制限されているので、冷熱サイクル負荷時に活性金属化合物層41におけるクラックの発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態において、Sn濃化層42の厚さが0.2μm以上とされている場合には、冷熱サイクル信頼性を確実に向上させることができる。一方、Sn濃化層42の厚さが10μm以下に制限されている場合には、冷熱サイクル負荷時にSn濃化層42におけるクラックの発生を抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態において、炭素板21を構成するグラフェン含有炭素質部材が、単層又は多層のグラフェンが堆積してなるグラフェン集合体と扁平形状の黒鉛粒子とを含み、扁平形状の前記黒鉛粒子が、そのベーサル面が折り重なるように前記グラフェン集合体をバインダーとして積層され、扁平形状の前記黒鉛粒子のベーサル面が一方向に向けて配向した構造とされている場合には、炭素板21(グラフェン含有炭素質部材)における熱伝導特性をさらに向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態では、絶縁回路基板10とヒートシンク30との間に熱伝導板20が配設されているので、熱伝導板20の一方の主面側に形成された金属部材層25において、絶縁回路基板10からの熱を面方向に拡げることができ、この熱を厚さ方向に効率良く伝達させ、ヒートシンク30において放熱することができる。よって、放熱特性に優れたパワーモジュール1を構成することができる。
<第二の実施形態>
次に、図6から図8を参照して本発明の第二の実施形態であるグラフェン接合体について説明する。
本実施形態におけるグラフェン接合体は、グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材に、被接合部材としてセラミックス板を接合した構造の絶縁基板120とされている。
本実施形態である絶縁基板120は、図6に示すように、セラミックス板125と、このセラミックス板125の両面に、グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材からなる炭素板121がそれぞれ接合された構造とされている。
炭素板121を構成するグラフェン含有炭素質部材は、第一の実施形態と同様に、単層又は多層のグラフェンが堆積してなるグラフェン集合体と扁平形状の黒鉛粒子とを含み、扁平形状の黒鉛粒子が、そのベーサル面が折り重なるように、グラフェン集合体をバインダーとして積層された構造とされていることが好ましい。
炭素板121の厚さとしては、0.3mm以上3mmの範囲内であることが好ましい。
セラミックス板125は、絶縁性に優れたセラミックス、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)等で構成されている。
なお、セラミックス板125の厚さの下限は100μm以上であることが好ましく、250μm以上であることがさらに好ましい。一方、セラミックス板125の上限は1500μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましい。
ここで、図7に、グラフェン含有炭素質部材からなる炭素板121とセラミックス板125の接合界面の観察写真を示す。
図7において、上方の黒色部が炭素板121(グラフェン含有炭素質部材)であり、その下方に位置する灰色部がセラミックス板125(被接合部材)である。
グラフェン含有炭素質部材からなる炭素板121とセラミックス板125との接合界面140においては、第一の実施形態と同様に、炭素板121の接合面に、活性金属酸化物及び活性金属炭化物の1種又は2種を含む活性金属化合物層が形成されている。
また、接合界面140のうち炭素板121側に、Sn濃度が1mass%以上とされたSn濃化層が形成されている。
さらに、接合界面140のうちセラミックス板125側には、AgとCuを含有する合金層が形成されている。
活性金属化合物層は、接合時において炭素板121とセラミックス板125の間に介在される接合材に含まれる活性金属(本実施形態では、Ti)が酸素及び炭素と反応することで形成されるものである。
ここで、本実施形態における活性金属化合物層は、第一の実施形態と同様の構成とされている。
なお、活性金属化合物層の厚さt11は、0.05μm以上3μm以下の範囲内とされている。
Sn濃化層は、接合時において炭素板121とセラミックス板125の間に介在される接合材に含まれるSnが炭素板121側に偏析することで形成されるものである。
ここで、本実施形態におけるSn濃化層は、第一の実施形態と同様の構成とされている。
なお、Sn濃化層の厚さt12は、0.2μm以上10μm以下の範囲内とされていることが好ましい。
合金層は、接合時において炭素板121とセラミックス板125の間に介在される接合材に含まれるAg、Cuが反応することで形成されるものである。なお、本実施形態では、接合材のAgがセラミックス板125側に拡散することはなく、合金層は、第一の実施形態と比較して、厚く形成される傾向にある。
ここで、本実施形態においては、合金層の厚さt13は、1μm以上20μm以下の範囲内とされていることが好ましい。
なお、合金層の厚さt13の下限は2μm以上であることがさらに好ましく、3μm以上であることがより好ましい。一方、合金層の厚さt13の上限は10μm以下であることがさらに好ましく、8μm以下であることがより好ましい。
次に、本実施形態であるグラフェン接合体(絶縁基板120)の製造方法について、図8に示すフロー図を参照して説明する。
(炭素板形成工程S101)
まず、第一の実施形態と同様に、扁平形状の黒鉛粒子とグラフェン集合体とを所定の配合比となるように秤量し、これをボールミル等の既存の混合装置によって混合し、得られた混合物を、所定の形状の金型に充填して加圧することにより成形体とし、得られた成形体に対して切り出し加工を行う。
これにより、単層又は多層のグラフェンが堆積してなるグラフェン集合体と扁平形状の黒鉛粒子とを含み、扁平形状の前記黒鉛粒子が、そのベーサル面が折り重なるように前記グラフェン集合体をバインダーとして積層され、扁平形状の前記黒鉛粒子のベーサル面が一方向に向けて配向した構造のグラフェン含有炭素質部材(炭素板121)を得ることができる。
(セラミックス板積層工程S102)
次に、セラミックス板125の両主面に、それぞれ接合材を介して、炭素板121を積層する。
ここで、接合材としては、第一の実施形態と同様に、AgとCuとSnと活性金属(本実施形態ではTi)を含有するものを使用する。
(セラミックス板接合工程S103)
次に、接合材を介して積層したセラミックス板125及び炭素板121を、積層方向に加圧するとともに加熱した後、冷却することにより、セラミックス板125と炭素板121とを接合する。
ここで、加熱温度は750℃以上900℃以下の範囲内とすることが好ましい。また、加熱温度での保持時間は20分以上180分以下の範囲内とすることが好ましい。さらに、加圧圧力は0.1MPa以上3.5MPa以下の範囲内とすることが好ましい。また、雰囲気は減圧雰囲気や窒素ガス雰囲気などの非酸化雰囲気とされていることが好ましい。
このセラミックス板接合工程S103により、接合材に含まれる活性金属(本実施形態ではTi)が酸素及び炭素と反応することで、炭素板121の接合面に活性金属化合物層が形成される。
また、接合材に含まれるSnが炭素板121側に偏析することにより、Sn濃化層が形成される。
さらに、接合材に含まれるCuとAgが反応することにより、セラミックス板125側に合金層が形成される。
以上の工程により、本実施形態であるグラフェン接合体(絶縁基板120)が製造されることになる。
以上のような構成とされた本実施形態のグラフェン接合体(絶縁基板120)によれば、炭素板121とセラミックス板125の接合界面において、炭素板121の接合面に、活性金属化合物層が形成されているので、活性金属(本実施形態では、Ti)によってグラフェン含有炭素質部材からなる炭素板121の接合面が十分に反応しており、炭素板121とセラミックス板125が強固に接合されることになる。
そして、炭素板121とセラミックス板125との接合界面において、炭素板121側に、接合材に含まれるSnが偏析することにより、Sn濃度が1mass%以上とされたSn濃化層が形成されているので、冷熱サイクル負荷時における炭素板121とセラミックス板125との剥離を抑制することができ、冷熱サイクル信頼性を向上させることができる。
また、Snを含む接合材を用いることになるため、比較的低温条件で、炭素板121とセラミックス板125とを強固に接合することが可能となる。
また、本実施形態においては、活性金属化合物層の厚さt11が0.05μm以上とされているので、グラフェン含有炭素質部材からなる炭素板121とセラミックス板125とを強固に接合することが可能となる。一方、活性金属化合物層の厚さt11が3μm以下に制限されているので、冷熱サイクル負荷時に活性金属化合物層におけるクラックの発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態において、Sn濃化層の厚さt12が0.2μm以上とされている場合には、冷熱サイクル信頼性を確実に向上させることができる。一方、Sn濃化層の厚さt12が10μm以下に制限されている場合には、冷熱サイクル負荷時にSn濃化層におけるクラックの発生を抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態において、炭素板121を構成するグラフェン含有炭素質部材が、単層又は多層のグラフェンが堆積してなるグラフェン集合体と扁平形状の黒鉛粒子とを含み、扁平形状の前記黒鉛粒子が、そのベーサル面が折り重なるように前記グラフェン集合体をバインダーとして積層され、扁平形状の前記黒鉛粒子のベーサル面が一方向に向けて配向した構造とされている場合には、炭素板121(グラフェン含有炭素質部材)における熱伝導特性をさらに向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態の絶縁基板120においては、セラミックス板125を備えているので、絶縁性に優れている。また、グラフェン含有炭素質部材からなる炭素板121を備えているので、熱伝導性に優れている。よって、例えば、図1に示すパワーモジュール1(絶縁回路基板10)の絶縁層11として用いることが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、絶縁回路基板の回路層に半導体素子(パワー半導体素子)を搭載してパワーモジュールを構成するものとして説明したが、これに限定されることはない。例えば、絶縁回路基板にLED素子を搭載してLEDモジュールを構成してもよいし、絶縁回路基板の回路層に熱電素子を搭載して熱電モジュールを構成してもよい。
また、本実施形態では、図1に示すように、絶縁回路基板10とヒートシンク30との間に熱伝導板20を配設した構造のパワーモジュール1を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、本発明のグラフェン接合体の使用方法に特に制限はない。
例えば、図9に示すグラフェン接合体(熱伝導板220)のように、絶縁回路基板210の回路層212と半導体素子3との間に熱伝導板220を配設した構造のパワーモジュール201としてもよい。
さらに、図10に示すグラフェン接合体(熱伝導板320)のように、絶縁回路基板310の金属層として、熱伝導板320を用いたパワーモジュール301としてもよい。
また、図11に示すグラフェン接合体(熱伝導板420)のように、絶縁回路基板410の回路層および金属層として、熱伝導板420を用いたパワーモジュール401としてもよい。
図9に示すパワーモジュール201は、はんだ層2に替えて熱伝導板220を用い、熱伝導板20に替えてはんだ層32を用いた点が、図1に示すパワーモジュール1と異なる。その他の構成は、図1に示すパワーモジュール1と同様であり、同様の構成については同一の符号を付し、説明を省く。
熱伝導板220は、グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材からなる炭素板221と、この炭素板221の両主面に接合された金属部材層225と、を備えている。熱伝導板220と、炭素板221と、金属部材層225とは、それぞれ、第一の実施形態の熱伝導板20と、炭素板21と、金属部材層25と同様の構成を有していてもよい。
パワーモジュール201では、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材からなるはんだ層32を介して金属層213とヒートシンク30とが接合される。
パワーモジュール201では、絶縁回路基板10の回路層212と半導体素子3との間に熱伝導板220が配設されているので、絶縁回路基板10からの熱を面方向に拡げることができ、この熱を厚さ方向に効率良く伝達させ、ヒートシンク30において放熱することができる。よって、放熱特性に優れたパワーモジュール201を構成することができる。
図10に示すパワーモジュール301は、金属層13に替えて炭素板321を金属層に用いた絶縁回路基板310であり、絶縁回路基板310とヒートシンク30とは活性金属ろう材などを用いて接合する点が、図1に示すパワーモジュール1と異なる。その他の構成は、図1に示すパワーモジュール1と同様であり、同様の構成については同一の符号を付し、説明を省く。
炭素板321は、第一の実施形態の炭素板21あるいは第二の実施形態の炭素板121と同様の構成を有する。絶縁層311と炭素板321とは、第二のグラフェン接合体(絶縁基板120)と同様の構成で接合されている。炭素板321とヒートシンク30とは、第一のグラフェン接合体(熱伝導板20)と同様の構成で接合されている。
パワーモジュール301では、絶縁回路基板310の金属層として、炭素板321を用い、絶縁層311と炭素板321とは、第二のグラフェン接合体(絶縁基板120)と同様の構成で接合され、炭素板321とヒートシンク30とは、第一のグラフェン接合体(熱伝導板20)と同様の構成で接合されているので、絶縁回路基板301からの熱を面方向に拡げることができ、この熱を厚さ方向に効率良く伝達させ、ヒートシンク30において放熱することができる。よって、放熱特性に優れたパワーモジュール301を構成することができる。
図11に示すパワーモジュール401は、回路層12および金属層13に替えて熱伝導板420を用いた絶縁回路基板410であり、その他の構成は、図1に示すパワーモジュール1と同様であり、同様の構成については同一の符号を付し、説明を省く。なお、回路層となる熱伝導板420と半導体素子3は、はんだ層2を介して接合されている。また、金属相となる熱伝導板とヒートシンク30は、はんだ層32を介して接合されている。
熱伝導板420は、グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材からなる炭素板421と、この炭素板421の一面に接合された金属部材層425と、を備えている。なお、セラミックス基板411と炭素板421とは、第二の実施形態と同様に接合されている。また、熱伝導板420と、炭素板421と、金属部材層425とは、それぞれ、第一の実施形態の熱伝導板20と、炭素板21と、金属部材層25と同様の構成を有していてもよい。
パワーモジュール401では、絶縁回路基板410の回路層および金属層として、熱伝導板420を用いるので、半導体素子3及び絶縁回路基板10からの熱を面方向に拡げることができ、この熱を厚さ方向に効率良く伝達させ、ヒートシンク30において放熱することができる。よって、放熱特性に優れたパワーモジュール401を構成することができる。
本発明の有効性を確認するために行った確認実験について説明する。
本実施形態で開示したように、扁平形状の黒鉛粒子とグラフェン集合体を所定の配合比で配合して混合し、加圧加熱して成形することにより、扁平形状の黒鉛粒子が、そのベーサル面が折り重なるようにグラフェン集合体をバインダーとして積層された構造の成形体を得た。得られた成形体を切り出して、炭素板(40mm×40mm×厚さ1.5mm)を得た。
この炭素板の一方の面に、Ag−28mass%Cu−5mass%Sn−3mass%Tiからなる組成の接合材(厚さ変量)を介して、無酸素銅の圧延板からなる銅板(40mm×40mm×厚さ0.3mm)又はセラミックス板(40mm×40mm×厚さ00.3mm)を積層し、表1に示す条件で、炭素板と銅板とを接合した。
そして、炭素板と銅板との接合界面を観察し、活性金属化合物層の厚さ、Sn濃化層の厚さを確認した。
具体的には、活性金属化合物層の厚さは、グラフェン/銅接合体の中央部から観察試料を採取し、接合界面を走査型透過電子顕微鏡(FEI社製Titan ChemiSTEM(EDS検出器付き))を用いて、倍率40000倍、加速電圧200kVの条件で観察を行い、エネルギー分散型X線分析法(サーモサイエンティフィック社製NSS7)を用いてマッピングを行い、活性金属が存在する領域の面積を測定し、測定視野の幅の寸法で除した値を求め、5視野の平均値を活性金属化合物層の厚さとした。測定箇所としては絶縁回路基板の中心点の領域と、その点を中心とする20mm×20mmの四角形の4つの頂点の領域の合計5点を観察した。
また、Sn濃化層の厚さについては、グラフェン/銅接合体の接合界面付近の断面観察試料を採取し、EPMA(日本電子株式会社製JXA−8530F、加速電圧:15kV、スポット径:1μm以下)を用いてEPMAマッピングを得て、Snが1mass%以上の領域をSn濃化層と見なしてその面積を測定し、測定視野の幅の寸法で除した値を求め、5視野の平均値をSn濃化層の厚さとした。測定箇所としては絶縁回路基板の中心点の領域と、その点を中心とする20mm×20mmの四角形の4つの頂点の領域の合計5点を観察した。
また、得られた接合体に対して、−55℃×30分←→175℃×30分の冷熱サイクルを2000サイクル負荷した。その後、炭素板と銅板との界面の接合率について超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT200)を用いて評価し、以下の式から算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積とした。超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積(非接合部面積)とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(非接合部面積)}/(初期接合面積)×100
Figure 2021090046
Sn濃化層が形成されなかった比較例1,2においては、冷熱サイクル試験後の接合率がそれぞれ71%,73%と低くなった。
活性金属化合物層の厚さが0.05μm以上3μm以下の範囲外であった比較例3、4においては、冷熱サイクル試験後の接合率がそれぞれ75%,74%と低くなった。
これに対して、Sn濃化層が形成され、活性金属化合物層の厚さが0.05μm以上3μm以下の範囲内であった本発明例1−6においては、冷熱サイクル試験後の接合率が80%以上であり、冷熱サイクル信頼性に優れていた。
以上の実験結果から、本発明例によれば、被接合材とグラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材とが強固に接合されており、冷熱サイクル負荷時においても剥離が生じることがなく、冷熱サイクル信頼性に優れたグラフェン接合体を提供可能であることが確認された。
20,220,320 熱伝導板(グラフェン接合体)
21,121,221,321 炭素板(グラフェン含有炭素質部材)
25,225,325 金属部材層(被接合部材)
40,140 接合界面
41,141 活性金属化合物層
42,142 Sn濃化層
120 絶縁基板(グラフェン接合体)
125 セラミックス板(被接合部材)

Claims (5)

  1. グラフェン集合体を含有するグラフェン含有炭素質部材と被接合部材とが接合された構造のグラフェン接合体であって、
    前記グラフェン含有炭素質部材と前記被接合部材との接合界面においては、前記グラフェン含有炭素質部材の接合面に、活性金属化合物層が形成されるとともに、前記グラフェン含有炭素質部材側に、Sn濃度が1mass%以上であるSn濃化層が形成されており、前記活性金属化合物層の厚さが0.05μm以上3μm以下の範囲内であることを特徴とするグラフェン接合体。
  2. 前記Sn濃化層の厚さが0.2μm以上10μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のグラフェン接合体。
  3. 前記グラフェン含有炭素質部材は、単層又は多層のグラフェンが堆積してなる前記グラフェン集合体と扁平形状の黒鉛粒子とを含み、扁平形状の前記黒鉛粒子が、そのベーサル面が折り重なるように前記グラフェン集合体をバインダーとして積層され、扁平形状の前記黒鉛粒子のベーサル面が一方向に向けて配向した構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグラフェン接合体。
  4. 前記被接合部材がセラミックスからなるセラミックス部材であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のグラフェン接合体。
  5. 前記被接合部材が金属からなる金属部材であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のグラフェン接合体。
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