JP2021088484A - メタン除去装置、高純度窒素供給システム、ガスクロマトグラフ分析システム及び触媒機能再生方法 - Google Patents

メタン除去装置、高純度窒素供給システム、ガスクロマトグラフ分析システム及び触媒機能再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高純度窒素ガスを生成する際に、適切なメタン除去を継続的に行う運用が可能となる技術を提供する。【解決手段】残留メタン除去装置12は、酸素を分離した窒素ガスを通気し窒素ガスに残留するメタンガスを燃焼させて除去する酸化金属を担体とする触媒121と、触媒121に酸素を通気することで触媒121の機能を再生させる触媒機能回復装置20と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、メタン除去装置、高純度窒素供給システム、ガスクロマトグラフ分析システム及び触媒機能再生方法に関する。
高純度の窒素を製造する方法として、圧縮空気からPSA法によって酸素を膜分離した窒素ガスの精製が一般的である。PSAで精製した窒素ガス(「原ガス」と称す)では、膜分離の特性上、窒素より軽い成分であるメタンを除去することができない。同様に、ヘリウム、水素なども残留するが、ヘリウムはガスクロマトグラフィー検出器において常時不活性であり問題とならない。一方、メタンは、沸点が極めて低く、液体窒素温度においても捕捉することはできない。また、極性を有さないため、吸着によって除去することもできない。そのため、現在のところ、メタンを定常的に除去するには燃焼によってCO化することが最も合理的である。
例えば、特許文献1(特許5852422号)では、圧縮空気を使用した超高純度窒素精製法において、有機物燃焼触媒管でメタンを燃焼させる技術が開示されている。具体的な原理は次の通りである。すなわち、原ガスは酸素を極限まで除去した窒素ガスであることから、有機物燃焼触媒管内は本来酸欠状態であり、メタンを完全に燃焼させることができない。アルミナ(酸化アルミニウムAl23)を担体とする白金触媒を燃焼管内に存在させることで、アルミナのもつ酸素分とメタンが反応し、下記の式(1)による燃焼反応が進行する。
3CH+4Al → 3CO+6HO+8AL・・・式(1)
上記反応においては、3モルのメタンは4モルのアルミナ(酸化アルミニウム)によって酸化され、二酸化炭素(CO)と水(HO)になり、還元されたアルミニウムが生成する。
また、特許文献2(特許第3325805号)では、触媒を利用して不純物炭化水素を二酸化炭素と水に転換した上で冷却除去する技術が開示されている。
特許第5852422号 特許第3325805号
特許文献1に開示の技術では、上記燃焼の反応過程を継続していくと、最終的に、アルミナは消費し尽され、触媒機能は無くなる。当然に、触媒機能が無くなった状態、または燃焼が不十分になった状態では、メタンを除去しきれていない窒素ガスが吐出されることになる。すなわち、窒素ガスの吐出先であるガスクロマトグラフでの分析が不正確になってしまうという課題があり、メタン除去された超高純度窒素ガスを継続的に精製できる技術が求められていた。
本発明は、高純度窒素ガスを生成する際に、適切なメタン除去を継続的に行う運用が可能となる技術を提供することを目的とする。
本発明のメタン除去装置は、酸素を分離した窒素ガスを通気し前記窒素ガスに残留するメタンガスを燃焼させて除去する酸化金属を担体とする触媒と、
前記触媒に酸素を通気することで前記触媒の機能を再生させる触媒機能回復手段と、
を備える。
本発明の高純度窒素供給システムは、上記メタン除去装置と、
前記メタン除去装置に、前記窒素ガスを供給する窒素発生装置と、
前記メタン除去装置で前記メタンガスが除去された窒素ガスを取得して、前記窒素ガスから、少なくとも水および二酸化炭素を除去する残留成分除去装置と、
を備える。
本発明のガスクロマトグラフ分析システムは、上記の高純度窒素供給システムと、
前記高純度窒素供給システムから窒素ガスの供給を受けるガスクロマトグラフと、
を備える、ガスクロマトグラフ分析システム。
本発明の触媒機能再生方法は、空気から酸素を分離して窒素ガスを精製する窒素精製装置と、
前記窒素精製装置で精製された前記窒素ガスに残留するメタンを燃焼させて除去する金属酸化物を担体とした触媒を備えた残留メタン除去装置と、を備える高純度窒素供給システムにおいて実行される前記触媒の触媒機能再生方法であって、
前記窒素ガスを前記触媒に通気していないときに、前記触媒に酸素を含むガスを通気して、前記触媒の触媒機能を再生する。
本発明によると、高純度窒素ガスを生成する際に、適切なメタン除去を継続的に行う運用が可能となる技術を実現できる。
実施形態のガスクロマトグラフ分析システムの概略構成を示すブロック図である。 実施形態の高純度窒素供給システムの概略構成を示すブロック図である。 実施形態の高純度窒素供給システムによる触媒機能回復処理のフローチャートである。 実施形態の残留メタン除去装置の触媒の触媒機能再生処理のフローチャートである。 実施形態のガスクロマトグラフ(3成分同時分析装置)のダイヤグラムを示す図である。
<実施形態の概要>
実施形態の概要は次の通りである。
本実施形態では、高純度窒素供給システムにて圧縮空気の酸素を分離した窒素ガスを高純度に精製してガスクロマトグラフに供給する。このとき、窒素ガス中の残留メタンを、酸化金属を有する触媒により燃焼除去する。これにより、ガスクロマトグラフおけるメタンフリーの窒素キャリアガスとして安定使用を実現する。
なお、酸化金属として、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化銅、酸化チタンがあるが、コスト、市場での入手性、触媒能力のバランスを考慮して、以下では酸化金属に酸化アルミニウムを用いた触媒、すなわちアルミナ担体の白金触媒の例を説明する。
酸素分離により酸素欠乏となった条件下でメタン燃焼のために消費されたアルミナ担体の白金触媒について、流路切り替えバルブを制御することで、ガスクロマトグラフ用のキャリヤガスフローから切り離した時間において、圧縮乾燥空気等の少なくとも酸素を含むガスを劣化した触媒に通気させる。これにより、触媒におけるメタン燃焼機能を回復させる。
以下、具体的に説明する。
<ガスクロマトグラフ分析システム100>
図1は、本実施形態に係るガスクロマトグラフ分析システム100の概略構成を示すブロック図である。ガスクロマトグラフ分析システム100は、高純度窒素供給システム1と、ガスクロマトグラフ2とを備える。高純度窒素供給システム1は、圧縮空気の酸素を分離した窒素ガスを高純度に精製してガスクロマトグラフ2に供給する。このとき、窒素ガス中の残留メタンは燃焼除去される。ガスクロマトグラフ2は、メタンフリーの高純度窒素ガス(窒素キャリアガス)を得る。ガスクロマトグラフ2が図5で後述する3成分同時分析装置である場合に、本実施形態の高純度窒素供給システム1によるメタンフリーの高純度窒素ガスの供給が好適である。
<高純度窒素供給システム1の概要>
高純度窒素供給システム1は、窒素供給装置10と、触媒機能回復装置20と、制御装置30(制御手段)とを備える。制御装置30は、窒素供給装置10及び触媒機能回復装置20の動作を制御する。
窒素供給装置10は、大気中の空気から酸素を分離して取り除き、不純物を触媒燃焼とフィルタリングにより除去し高純度窒素ガスを精製してガスクロマトグラフ2に供給する。
触媒機能回復装置20は、窒素供給装置10に備わる残留メタン除去装置12(図2で後述する)における触媒燃焼機能(以下「触媒機能」という)の能力を回復させる。具体的には、触媒機能回復装置20は、圧縮空気を残留メタン除去装置12に供給する機能を有する。圧縮空気の残留メタン除去装置12への供給は、制御装置30の制御により所定のタイミングで所定時間だけ行われる。詳細は後述する。
これよって、残留メタン除去装置12の触媒121(図2で後述する)について、制御装置30の制御により流路切り替えバルブ(弁)等によってガスクロマトグラフ2用のキャリヤガスフローから切り離した時間に、圧縮乾燥空気等の少なくとも酸素を含むガスを劣化した触媒121に通気させ、触媒121によるメタンの触媒機能を回復させる。
なお、触媒機能回復装置20は、残留メタン除去装置12と別構成として設けられても良いし、残留メタン除去装置12に触媒機能回復装置20が含まれる構成であってもよい。
<窒素供給装置10の具体的構成>
図2に窒素供給装置10の具体的構成を示す。図3に窒素供給装置10における高純度窒素精製工程のフローチャートを示す。なお、窒素供給装置10として、例えば、上記の特許文献1(特許5852422号)に記載の技術を適用することができる。また、背景技術でも説明したように、PSA法により精製した窒素ガスにおいてもメタンが残存し除去する要請があることから、PSA法の窒素供給装置についても適用することができる。以下では、特許文献1の技術を適用した構成について簡単に説明する。
窒素供給装置10は、上流側から下流側に向かって、窒素発生装置11と、残留メタン除去装置12と、水分・二酸化炭素除去装置13(残留成分除去装置)と、を備える。
窒素発生装置11は、高純度窒素精製工程として、空気圧縮工程(S101)、水分除去工程(S102)、油分除去工程(S103)、乾燥空気精製工程(S104)、微量有機物除去工程(S105)および酸素除去工程(S106)を実行する。これにより窒素と酸素を分離して、高純度の窒素ガスを残留メタン除去装置12に吐出する。
残留メタン除去装置12は、メタン除去工程(S107)により、窒素発生装置11から得た高純度の窒素ガスに含まれるメタンを燃焼除去する。
水分・二酸化炭素除去装置13は、水分・二酸化炭素除去処理(S108)により、残留メタン除去装置12でのメタン除去工程(S107)後に得られる高純度の窒素ガスに含まれる水分及び二酸化炭素を除去する。
以下、窒素発生装置11、残留メタン除去装置12及び水分・二酸化炭素除去装置13の構成及びそれらにおける各工程(S101〜S108)について具体的に説明する。
(空気圧縮工程:S101)
窒素発生装置11は、空気圧縮工程として、コンプレッサを使用して、室内の空気を5〜8気圧に空気を圧縮する。コンプレッサは空気を5〜8気圧に圧縮できるものであれば、いずれのコンプレッサも使用することができるが、オイルミストの混入を避けるためにオイルフリーのコンプレッサが好ましい。
圧縮された空気に対して以下の処理を行うが、圧縮空気の圧力により、一の処理から次工程への空気は通気管の連結のみで自動的に送られる。また圧縮空気の通気管としては、不純物の残留を防ぎ、触媒121等での加熱処理後のガスの冷却のために、外径3mm〜10mmのステンレス製管乃至ポリテトラフルオロエチレン製管を用いることが好ましく、316ステンレスを用いることがより好ましい。
(水分除去工程:S102)
窒素発生装置11は、圧縮した空気から、モイスチャトラップにより水分を除去する。モイスチャトラップは、5μmまでのダストが除去できるモイスチャトラップであり、ろ過度0.50μm以下のポリプロピレン製エレメントを有していることが好ましく、CKD社製、商品名;F3000型が特に好ましい。当該モイスチャトラップを用いるときは、2段直列とすることが好ましい。
(油分除去工程:S103)
窒素発生装置11は、水分除去工程(S102)により水分が大まかに除去された圧縮空気について、オイルミストラップにより油分を除去する。この処理で用いられるオイルミストラップは、油分を0.01mg/m3以下まで除去できる機能を有し、ろ過度0.01μm以下の繊維フィルタを備えることが好ましく、CKD社製、商品名;M3000型が特に好ましい。なお水分除去工程(S102)と油分除去工程(S103)は処理工程順序が異なってもよい。
(乾燥空気精製工程:S104)
窒素発生装置11は、水分除去工程(S102)と油分除去工程(S103)により水分及び油分を除去した圧縮空気について、水分離膜内蔵管を用いることにより乾燥空気を精製する。ここで用いる水分離膜は、圧縮空気について水分を更に出口空気露点−30℃以下まで除去し得るものであり、孔径が450〜550μmの芳香族ポリイミド製の中空糸膜を備えることが好ましく、中でも宇部興産製、商品名;UMS−B2Vが特に好ましい。
(微量有機物除去工程:S105)
窒素発生装置11は、乾燥空気精製工程(S104)において精製した出口空気露点−30℃以下の乾燥空気について、炭化水素除去管を用い、微量の残存有機物を吸着することにより除去する。ここで用いる炭化水素除去管は、径2〜6mmの顆粒状活性炭が充填され、微量の残存有機物を吸着除去する炭化水素除去管であり、中でも島津製作所製、商品名;221−05619−01が特に好ましい。
(酸素除去工程:S106)
窒素発生装置11は、微量有機物除去工程(S105)において微量の残存有機物が吸着除去された乾燥空気について、酸素窒素分離膜内蔵管を用いることにより酸素を除去する。ここで用いる酸素窒素分離膜内蔵管は、孔径が450〜550μmのポリイミド製の中空糸製分離膜を備え、中でも宇部興産製、商品名;UBE NM−B01Aが特に好ましい。
(反復処理)
窒素発生装置11は、酸素除去工程(S106)の処理後の圧縮空気について、少なくとも微量有機物除去工程(S105)及び酸素除去工程(S106)の処理を反復する。以上の処理により、窒素発生装置11は、窒素の純度が99.999%の空気(原ガス)を得て、その原ガスを残留メタン除去装置12に吐出する。
なお微量有機物除去工程(S105)又は酸素除去工程(S106)のうち後の処理工程には、1ppmの酸素を検出する能力を有する酸素インジケーターを付属させることが好ましい。前記酸素インジケーターのフィルタが変色していないことにより、精製された窒素ガス中の酸素濃度が1ppm以下であることを認識できる。
前記の各処理を直列に接続することにより、99.9999%以上の高純度精製窒素を得ることができる。また本過程終了後の空気は、200〜400kPaで直接ガスクロマトグラフ2等への供給が可能である。ただし、本実施形態のようにメタン除去を行う場合には、メタン除去工程(S107)及び水分・二酸化炭素除去処理(S108)を行う。
なお、大気中の主要成分のうち、アルゴンは元素であるため、原理的に化学反応による除去は不可能であるが、ガスクロマトグラフィーにおいては、検出感度に影響しない。
(メタン除去工程:S107)
残留メタン除去装置12におけるメタン除去工程(S107)ついて説明する。
残留メタン除去装置12は、窒素発生装置11から吐出された酸素除去工程(S106)後の空気、すなわち、窒素の純度が99.999%の原ガスについて、有機物燃焼触媒管を用いることにより、炭化水素(より具体的にはメタン)を焼却除去し、水分・二酸化炭素除去装置13へ吐出する。
ここで用いる有機物燃焼触媒管は、粒径1〜3mmのアルミナ処理を施した白金触媒(触媒121)を充填した燃焼管であり、中でもGLサイエンス製、商品面;AOE−2300が特に好ましい。本過程により炭化水素が焼却除去された空気には、燃焼により発生する二酸化炭素及び水分が含まれる。
上述のように、原ガスは酸素を極限まで除去した窒素ガス(純度99.999%)であるので、有機物燃焼触媒管は本来酸欠状態であり、メタンを完全に燃焼させることができない。有機物燃焼触媒管が、触媒121としてアルミナ(酸化アルミニウムAl23)を担体とする白金触媒を内部に備えることで、アルミナのもつ酸素分とメタンが反応し、下記の式(1)による燃焼反応が進行する。
3CH+4Al → 3CO+6HO+8AL・・・式(1)
上記反応においては、3モルのメタンは4モルのアルミナ(酸化アルミニウム)によって酸化され、二酸化炭素(CO)と水(HO)になり、還元されたアルミニウムが生成する。
(水分・二酸化炭素除去処理S108)
水分・二酸化炭素除去装置13における水分・二酸化炭素除去処理(S108)ついて説明する。
水分・二酸化炭素除去装置13は、残留メタン除去装置12(触媒121)においてメタンを完全に燃焼して除去した窒素ガスについて、主にメタン燃焼に伴い発生する水及び二酸化炭素を除去する。
(水分・二酸化炭素除去装置13の具体的な構成例)
具体的には、水分・二酸化炭素除去装置13は、上流側から順に、水分除去装置131と、大容量活性炭(A)132と、ガスフィルタ(水分)133と、ガスフィルタ(酸素)134、二酸化炭素除去フィルタ135と、大容量活性炭(B)136と、を備える。
(水分除去装置131)
水分除去装置131は、例えば吸湿剤管であって、残留メタン除去装置12から吐出された窒素ガスを取得して、窒素ガス中の有機質(CO2)や水分を吸着し、大容量活性炭(A)132へ吐出する。水分除去装置131として、例えば、島津製作所製、商品名;島津ガスフィルタ(MS5A)がある。
(大容量活性炭(A)132)
大容量活性炭(A)132は、水分除去装置131から吐出された窒素ガス中の炭化水素を除去し、水分・酸素除去装置133水分・二酸化炭素除去装置(B)133に吐出する。例えば、大容量活性炭(A)132として、ジーエルサイエンス社製、大型ハイドロカーボントラップがある。
(ガスフィルタ(水分)133)
ガスフィルタ(水分)133は、大容量活性炭(A)132から吐出された窒素ガス中の水分を除去し、ガスフィルタ(酸素)134へ吐出する。ガスフィルタ(水分)133として、例えば、ジーエルサイエンス社製、商品名;スーパークリーンガスフィルター(モイスチャフィルター、インジケーター付き)がある。
(ガスフィルタ(酸素)134)
ガスフィルタ(酸素)134は、ガスフィルタ(水分)133から吐出された窒素ガス中の酸素を除去し、二酸化炭素除去装置135へ吐出する。ガスフィルタ(酸素)134として、例えば、ジーエルサイエンス社製、商品名;スーパークリーンガスフィルター(オキシゲンフィルター、インジケーター付き)がある。
(二酸化炭素除去装置135)
二酸化炭素除去装置135は、ガスフィルタ(酸素)134から吐出された窒素ガス中の二酸化炭素を除去し、大容量活性炭(B)136へ吐出する。二酸化炭素除去装置135として、例えば、SUPELCO製、商品名;OMI表示機能付き精製管(OMI−2またはOMI−4)がある。
(大容量活性炭(B)136)
大容量活性炭(B)136は、窒素ガスの過還元状態を緩和して、ガスクロマトグラフ2へ吐出する。例えば、大容量活性炭(B)136として、ジーエルサイエンス社製、商品名;大型ハイドロカーボントラップがある。ガスクロマトグラフ2に吐出されるガスに一酸化炭素(CO)の残留が多いと、FID(水素炎イオン化検出器)/GC(ガスクロマトグラフ)においては、一酸化炭素由来のマイナスピークが生じる。これは、メタンの直前の保持時間となる傾向があるため、メタン分析の障害となる。二酸化炭素除去装置135の下流(すなわち、ガスクロマトグラフ2の上流側)に大容量活性炭(B)136(活性炭フィルタ)を設置することで、一酸化炭素の発生を効果的に抑制できる。
なお、水分・二酸化炭素除去装置13における処理工程の順番は入れ替わってもよいが、上記の順番で処理することが好ましい。これは次の理由による。すなわち、二酸化炭素除去装置135のフィルタが劣化すると、二酸化炭素がキャリアガスに混入する。これは熱伝導度検出器(TCD)のバックグラウンドを上昇させ二酸化炭素検出を困難にさせる。二酸化炭素除去装置135のフィルタの劣化を防ぐには、その前段階で、水、酸素を十分に除去する必要があるためである。
<触媒機能回復装置20>
つづいて、触媒機能回復装置20の機能・構成について説明する。
上述のように、残留メタン除去装置12において、メタン燃焼の反応過程を継続していくと、最終的に、触媒121のアルミナは消費し尽され、触媒機能は無くなる。当然に、触媒機能が無くなった状態、または燃焼が不十分になった状態では、メタンを除去しきれていない窒素ガスが吐出されることになる。すなわち、窒素ガスの吐出先であるガスクロマトグラフ2での分析が不正確になってしまう。
そこで、本実施形態では、制御装置30の制御のもと、触媒機能回復装置20は、所定のタイミングで所定の時間だけ残留メタン除去装置12に圧縮空気を供給し、残留メタン除去装置12の触媒121のアルミナを再生する。
すなわち、上記式(1)とは逆の反応を起こし、金属アルミニウムからアルミナへの再酸化処理を以下の式(2)で示す化学反応によって行い、かつこれを自動化して行う。
4Al+3O2→2Al23 ・・・式(2)
この反応は、400℃のPt触媒存在下で行われることから、乾燥空気(圧縮空気)を残留メタン除去装置12の触媒121に送り込むことで実現する。なお、乾燥空気(圧縮空気)を残留メタン除去装置12に供給する装置として一般的なコンプレッサがある。窒素発生装置11に用いられるコンプレッサと共用されてもよい。
一般に、アルミニウムに酸素が接触することでアルミナになることは周知である。しかし、本願発明者は、もともとの化合物であるアルミナ(つまり酸化アルミニウム)が酸素を奪われてアルミニウムになって触媒活性が失われたものに対して、酸素を接触させることで(例えば室内の空気を圧縮して供給する程度の酸素を接触させることで)、触媒活性が復活する程度にアルミナに復元するという知見を得た。通常、金属の酸素反応は金属の表面のみで起こることが多くこのような知見は技術常識を超えるものである。
窒素供給装置10が、毎分1Lの窒素ガスをキャリアガスとしてガスクロマトグラフ2に供給する場合を想定する。残留メタン除去装置12として市販装置(上記のGLサイエンス社AOE−2300)を使用した場合、触媒寿命は約60日(2ヶ月)であった。
表1に触媒121中の酸化アルミニウム(アルミナ)の劣化と回復のための当量算定例を示す。
Figure 2021088484
式(1)や式(2)の反応の当量比較により、2ヶ月分のアルミナの劣化は1L/minの流量で1分程度乾燥空気を流すことで回復される試算となる。なお、触媒寿命までアルミナを使用しつづけると、完全に触媒能力を失う前の段階で、メタン燃焼除去能力(触媒機能)が不足して、メタンを除去しきれていない窒素ガスがガスクロマトグラフ2に吐出されることになる。したがって、メタン燃焼除去能力が十分に備わっている状態において、回復のために圧縮空気を通気することが望ましい。例えば、毎日〜数日に一度程度にガスクロマトグラフ2の運用に影響を与えないタイミングで触媒機能再生を行うことで、常時ガスクロマトグラフ2へ適切な窒素ガス供給を実現できる。
例えば、実際の運用上、上記試算よりは効率が下がるが、1L/minの乾燥空気(圧縮空気)を30秒〜数分間/日程度、残留メタン除去装置12の触媒121に通気することで、担持母材であるアルミナの劣化(還元反応)に対して、酸化処理(逆反応)を施し、継続的な触媒機能の維持、すなわち触媒機能の超寿命化を実現できる。
図4は、触媒機能回復装置20による触媒機能再生工程(S200)の具体的処理例を示すフローチャートである。
制御装置30は、所定の触媒再生タイミングであるか否かを判定する(S201)。所定の触媒再生タイミングは、予め管理者によって登録されている。
再生タイミングでない場合(S202のN)、S201の定期的に触媒再生タイミング判定を行う。
再生タイミングである場合(S202のY)、制御装置30は、流路切り替えバルブを制御して、窒素ガス流路を残留メタン除去装置12から切り離し(S203)を、触媒機能回復装置20から圧縮空気を供給する流路を残留メタン除去装置12に接続する(S204)。これにより、触媒機能回復装置20は、圧縮空気を残留メタン除去装置12に供給する(S205)。
圧縮空気の供給が開始されると、制御装置30は、所定の供給時間(すなわち供給量)が終了したかを判断する(S206)。終了していない場合(S206のN)、圧縮空気の供給が継続される(S205)。供給時間が終了した場合(S206のY)、制御装置30は、触媒機能回復装置20から残留メタン除去装置12への圧縮空気の供給を停止して流路を切り離し(S207)、窒素発生装置11から残留メタン除去装置12への窒素ガスの流路を接続し窒素ガスを供給する(S208)。
なお、上記の処理では、所定の時刻に触媒再生処理を実行したがこれに限る趣旨ではない。例えば、制御装置30は、触媒121の触媒機能が所定能力以上であるか否かを判断し、所定能力未満であると判断したときに、触媒121の触媒機能を回復させるように触媒機能回復装置20を制御してもよい。具体的な例として、メタンや水分、二酸化炭素を検出するセンサを設け、残留メタン除去装置12(触媒121)が適切に機能しているかを検知する。検知結果にもとづき、例えば、所定時間経過後に触媒121の触媒能力が所定より低下してしまうと推定できる場合には、警告を出力したり、ガスクロマトグラフ2の運用が無いタイミングで、触媒機能回復装置20による触媒121の機能回復処理を実行する。また、窒素ガスのガスクロマトグラフ2への供給量、供給時間、稼働時間等の累積値をもとに、触媒機能回復装置20による触媒機能回復処理が必要となる閾値を超えていれば処理を行う。
(ガスクロマトグラフ2(3成分同時分析装置))
図5は、ガスクロマトグラフ2の一例である3成分同時分析装置の構成を示す概略図である。まず、本実施形態に係る3成分同時分析装置(以下、本分析装置とも云う。)は、分析試料である大気ガス中に含まれるメタンガス、二酸化炭素および一酸化二窒素からなる3成分を検出するための装置である。そして、図5に示すように、本分析装置は、第1のガス流路Aと、第1のガス流路Aよりも下流側に位置する第2のガス流路Bおよび第3のガス流路Cと、第1のガス流路Aと第2のガス流路Bとの間、および第1のガス流路Aと第3のガス流路Cとの間にあって、第1のガス流路Aと第2のガス流路Bとが連通する第1状態と、第1のガス流路Aと第3のガス流路Cとが連通する第2状態とに切り替えるためのスイッチングバルブ1400と、を有している。以下、本分析装置に係る各構成について説明する。
まず、第1のガス流路Aは、キャリアガスを導入するキャリアガス導入部1010と、分析試料を導入する試料導入部1030(インジェクションポート)と、キャリアガス導入部1010および試料導入部1030よりも下流側にあって、分析試料中に含まれる成分の種類に応じて流動遅延を生じさせ、メタンガスを含む第1のガス相と、二酸化炭素および一酸化二窒素を含む第2のガス相を得るために配された第1のカラム1060と、を有している。
本分析装置において上述したキャリアガス導入部1010は、キャリアガス浄化装置1020を含むことが好ましい。こうすることで、本分析装置に導入するキャリアガスの純度を向上させることが可能である。なお、上述した高純度窒素供給システム1は、キャリアガス導入部1010及びキャリアガス浄化装置1020の機能を包含する。
そして、キャリアガス浄化装置1020により純度を高めたキャリアガスを用いて上述した3成分の検出を行った場合には、キャリアガス中に含まれる夾雑物による影響で分析結果のS/N比や検出感度が低下することを防ぐことができる。具体的には、キャリアガス浄化装置1020により純度を高めた窒素ガスやヘリウムガスなどのキャリアガスを用いることにより、キャリアガス中に含まれる夾雑物の検出ピークが分析対象である上記3成分の検出ピークと重なること、後述するガス分離カラム(第1〜第3のカラム等)に滞留した上記夾雑物が検出器ノイズを増長させることやカラム寿命を短くすること等の不都合が生じることを抑制することができる。
上述したキャリアガス浄化装置1020は、本分析装置に導入するキャリアガスの純度を高めるために用いるが、当該キャリアガスの純度を飛躍的に向上させる観点から、多段階のキャリアガス浄化機構を備えていることが好ましい。また、キャリアガス浄化装置1020に備わる上記キャリアガス浄化機構の具体例としては、チャコールフィルター等のガス浄化フィルタや、モイスチャトラップ、オイルミストトラップ、活性炭が充填された炭化水素除去管、モレキュラーシーブが充填された吸湿剤管、樹脂が充填された微量酸素・水除去管(たとえば、SUPELCO社製、OMI−4等)等が挙げられる。
本分析装置において上述した試料導入部1030には、分析試料が装置外部に漏れること、外気が混入すること等の不都合が生じることを防ぐためにセプタム(パッキン)が設けられている。かかるセプタムとしては、試料導入部1030においてキャリアガス圧を維持することが可能であること、複数回分析を行ったとしても分析試料が装置外部に漏れることを防ぐことができる程度のシール性を有していること等の条件を満たすものであれば、限定されない。しかし、かかるセプタムは、複数回の試料導入に伴う劣化により上述した不都合が生じることを防ぐために、最大100回の試料導入を目安に新しいものに交換することが好ましい。
また、本分析装置における試料導入部1030は、測定結果を取得するまでに費やす労力と時間を低減する観点から、ガス自動注入装置(オートサンプラー)を有していてもよい。
本分析装置における第1のガス流路A中のキャリアガス導入部1010および試料導入部1030よりも下流側には、分析試料中に含まれる成分の種類に応じて流動遅延を生じさせ、メタンガスを含む第1のガス相と、二酸化炭素および一酸化二窒素を含む第2のガス相を得るために配された第1のカラム1060がある。この第1のカラム1060は、上述したように、分析試料中に含まれる成分の種類に応じて流動遅延を生じさせるものであるが故、分析試料を当該第1のカラム1060に通過させた場合、分析試料中に含まれる成分のリテンションタイムに差異が生じることになる。
ここで、第1のカラム1060に内包されているカラム充填剤は、スチレンポリマー微細粉末または有効活性炭微細粉末であることが好ましい。中でも、分析試料中に含まれるメタンガスと、二酸化炭素および一酸化二窒素とのリテンションタイムに明確な差異を生じさせる観点から、有効活性炭微細粉末が好ましい。ここで、有効活性炭微細粉末の具体例としては、モレキュラーシーブを含むゼオライト粉末や活性炭等が挙げられる。また、かかる有効活性炭微細粉末をカラム充填剤として用いる場合には、Unibeads C(GLサイエンス社製)、活性炭(SHINCARBON ST: 信和化工)、Molecular Sieve5A(GLサイエンス社製)およびMolecular Sieve13X(GLサイエンス社製)等の市販充填剤を使用してもよい。次に、スチレンポリマー微細粉末の具体例としては、Waters社製のPorapak Q、Porapak N、Porasil DおよびPorapak QS等のポーラスポリマー系の市販充填剤が挙げられる。中でも、Unibeads C(GLサイエンス社製)という充填剤は、二酸化炭素と一酸化二窒素とのリテンションタイムにも僅かながら差異を生じさせることができるため好ましい。
また、本分析装置において第1のカラム1060は、主にモル質量が約16g/molであるメタンガスと、モル質量が約44g/molである二酸化炭素および一酸化二窒素とが、異なるガス相に含まれるように分離させるという観点から配した構成であるため、カラムの単位長さ当たりの理論段数よりも、炭化水素の分離に優れ、かつ処理できるサンプル量が多い等の観点から、パックドカラムであることが好ましい。
第1のカラム1060のカラム温度は、たとえば、70℃以上170℃以下が好ましく、80℃以上150℃以下であるとさらに好ましい。こうすることで、メタンガスを含む上記第1のガス相と、二酸化炭素および一酸化二窒素を含む上記第2のガス相とのリテンションタイムに明確な差異を生じさせることが可能である。
本分析装置における第1のガス流路Aは、上記第1のカラム1060の他に、カラムを高温条件下に熱した際にカラムブリードが生じることを抑制する観点から、スチレンポリマー微細粉末を充填剤として内包したカラムをさらに含むことが好ましい。かかるスチレンポリマー微細粉末としては、Waters社製のPorapak Q、Porapak N、Porapak DおよびPorapak QS等のポーラスポリマー系の市販充填剤が挙げられる。
また、第1のガス流路Aは、当該第1のガス流路Aにおける上記試料導入部1030の下流側であって、上記第1のカラム1060よりも上流側には、分析結果のS/N比を向上させる観点から、分析試料中に含まれる水分や酸素等を除去するため、たとえば、水分除去トラップや酸素除去トラップをさらに含むことが好ましい。
次に、第2のガス流路Bは、下流端に上述した第1のガス相中に含まれるメタンガスを検出するための水素炎イオン化型検出器1100(以下、FID1100とも示す。)を有している。かかるFID1100は、一般的に、測定対象となるガスを水素炎中で燃焼させた際に生じるイオン電流を測定することにより全炭化水素の濃度を測定する検出器のことを指す。それ故、FID1100という検出器は、メタンガスなどの炭化水素を検出するために適したものである。なお、FID1100を用いたメタンガスの検出は、たとえば、キャリアガスを20mL/分以上40mL/分以下の流量で流し、FID1100の温度を200℃以上300℃以下に設定し、1mLの分析試料を試料導入部1030から導入した場合、2分程度の保持時間で検出することができる。
第2のガス流路BにおけるFID1100より上流側には、カラムを高温条件下に熱した際にカラムブリードが生じることを抑制する観点から、スチレンポリマー微細粉末を充填剤として内包したカラムをさらに含むことが好ましい。かかるスチレンポリマー微細粉末としては、Waters社製のPorapak Q、Porapak N、Porasil DおよびPorapak QS等のポーラスポリマー系の市販充填剤が挙げられる。
次に、第3のガス流路Cは、パックドカラムからなる第2のカラム1070と、上記第2のカラム1070よりも下流側にあって、上記第2のガス相中に含まれる成分の種類に応じて流動遅延を生じさせ、二酸化炭素を含む第3のガス相と、一酸化二窒素を含む第4のガス相を得るために配された、キャピラリーカラム又はステンレスカラムからなる第3のカラム1080と、上記第3のカラム1080よりも下流側にあって上記第3のガス相中に含まれる二酸化炭素を検出するための熱伝導度型検出器1200と、上記熱伝導度型検出器1200よりも下流側にあって上記第4のガス相中に含まれる一酸化二窒素を検出するための電子捕獲型検出器1300と、を有している。
第3のガス流路Cにおける第2のカラム1070は、上述した第2のガス流路Bの出口圧と、当該第3のガス流路Cの出口圧とのバランスを調整するために配されている。このように、本分析装置においてはかかる第2のカラム1070を有することにより、スイッチングバルブ1400を用いて流路状態を切り替えた際に生じるバルブショックがベースラインや、検出ピーク形状に及ぼす影響を低減することができる。具体的には、上記バルブショックによりベースライン変動や検出ピーク形状の変動等の不都合が生じることを抑制することができる。本分析装置に導入する分析試料に含まれる一酸化二窒素のような微量成分を精度高く検出するためには、上述したバルブショックにより生じる不都合をできる限り低減することが殊に重要である。なお、上記第2のガス流路Bの出口圧は、当該第2のガス流路Bにおける上記水素炎イオン化型検出器1100よりも上流側でのガス圧を指し、上記第3のガス流路Cの出口圧は、当該第3のガス流路Cにおける第3のカラム1080の出口圧を指す。
ここで、本分析装置は、上記第2のガス流路Bの出口圧をR2とし、上記第3のガス流路Cの出口圧をR3とした時、上記第2のカラム1070により、R2/R3の値が、1以上40以下となるように構成されていることが好ましく、2以上30以下となるように構成されているとさらに好ましい。こうすることで、二酸化炭素および一酸化二窒素の2成分を高いS/N比で検出することができる。なお、ガス流路の出口圧は、一般的に、カラムの口径に比例する。
第2のカラム1070に内包されているカラム充填剤は、スチレンポリマー微細粉末または有効活性炭微細粉末であることが好ましい。中でも、分析試料中に含まれるメタンガスと、二酸化炭素および一酸化二窒素とのリテンションタイムに明確な差異を生じさせる観点から、有効活性炭微細粉末が好ましい。ここで、有効活性炭微細粉末の具体例としては、モレキュラーシーブを含むゼオライト粉末や活性炭等が挙げられる。また、かかる有効活性炭微細粉末をカラム充填剤として用いる場合には、Unibeads C(GLサイエンス社製)、活性炭、Molecular Sieve5A(GLサイエンス社製)およびMolecular Sieve13X(GLサイエンス社製)等の市販充填剤を使用してもよい。次に、スチレンポリマー微細粉末の具体例としては、Waters社製のPorapak Q、Porapak N、Porasil DおよびPorapak QS等のポーラスポリマー系の市販充填剤が挙げられる。殊に、Unibeads C(GLサイエンス社製)という充填剤は、二酸化炭素と一酸化二窒素とのリテンションタイムにも僅かながら差異を生じさせることができるため好ましい。
第2のカラム1070のカラム温度は、たとえば、70℃以上110℃以下が好ましく、75℃以上100℃以下であるとさらに好ましく、80℃以上90℃以下であるとより好ましい。
次に、第3のガス流路Cにおける第3のカラム1080は、上述したように、上記第2のカラム1070よりも下流側にあるキャピラリーカラムまたはステンレスカラムであって、二酸化炭素と一酸化二窒素とを含む上記第2のガス相中に含まれる成分の種類に応じて流動遅延を生じさせ、二酸化炭素を含む第3のガス相と、一酸化二窒素を含む第4のガス相を得るために配されたものである。一般に、キャピラリーカラムやステンレスカラムは、パックドカラムと比べてカラム内径が小さく、理論段数が高いものである。そのため、第3のカラム1080によれば、第2のカラム1070を通過したガスの流量を低減させることが可能である。すなわち、第3のカラム1080によれば、第3のカラム1080の出口圧が第2のカラム1070の出口圧と比べて小さくなるように制御することができる。これにより、本分析装置においては、分子量がほぼ同一であるが故、従来の分析装置においては完全に分離することが困難であった二酸化炭素および一酸化二窒素のリテンションタイムに明確な差異を生じさせることが可能となる。言い換えれば、本分析装置においては上記第3のカラム1080を有した構成を採用しているため、二酸化炭素および一酸化二窒素のそれぞれを、精度高く検出することが可能となる。
ここで、上記第2のカラム1070と上記第3のカラム1080のカラム内径は、第2のカラム1070が、1mm以上5mm以下であり、かつ第3のカラム1080が、0.1mm以上1mm以下であることが好ましく、第2のカラム1070が、2mm以上4.5mm以下であり、かつ第3のカラム1080が、0.2mm以上0.8mm以下であるとさらに好ましい。こうすることで、本分析装置に導入する分析試料に含まれる二酸化炭素及び一酸化二窒素の両成分を、それぞれ高いS/N比で検出することができる。
本分析装置における第3のカラム1080の出口流量(第3のガス流路Cにおける出口流量)は、大気ガス中の含有量が極めて少ない一酸化二窒素の量がppbオーダーであったとしても精度よく検出する観点から、試料導入部1030から500μL以上の分析試料を導入した時、上記出口流量が、3mL/min以上25mL/min以下となるように構成されていることが好ましく、3mL/min以上20mL/min以下となるように構成されているとさらに好ましい。
第3のカラム1080に内包させるカラム充填剤としては、メチルポリシロキサン等が挙げられる。そして、かかる第3のカラム1080としては、HP−1(アジレント・テクノロジー社製)やDB−1(アジレント・テクノロジー社製)等の市販のキャピラリーカラムや、80〜100mesh程度の大きさのPorapak Q(GLサイエンス社製)、Porapak N(GLサイエンス社製)およびPorasil D(GLサイエンス社製)等のポーラスポリマー系充填剤を内包させた2〜5m程度のステンレスカラムを用いることができる。中でも、二酸化炭素と一酸化二窒素の分離効率を向上させる観点から、PoraBOND Qを用いることが好ましい。
第3のカラム1080のカラム温度は、たとえば、70℃以上170℃以下が好ましく、80℃以上160℃以下であるとさらに好ましい。こうすることで、二酸化炭素および一酸化二窒素のそれぞれを、高いS/N比で検出することが可能となる。
第3のガス流路Cは、第3のカラム1080よりも下流側に上述した第3のガス相中に含まれる二酸化炭素を検出するための熱伝導度型検出器1200(以下、TCD1200とも示す。)を有している。かかるTCD1200は、一般的に、測定対象成分とキャリアガスとの熱伝導度の差を測定することにより上記測定対象成分の濃度を測定する検出器のことを指す。それ故、TCD1200という検出器は、キャリアガスに含まれる成分以外の成分を検出するために適したものである。なお、TCD1200を用いた二酸化炭素の検出は、たとえば、キャリアガスを35mL/分以上45mL/分以下の流量で流した場合、キャリアガスの流出開始から4分から5分程度の保持時間で検出することができる。
第3のガス流路Cは、TCD1200よりも下流側に上述した第4のガス相中に含まれる一酸化二窒素を検出するための電子捕獲型検出器1300(以下、ECD1300とも示す。)を有している。かかるECD1300は、一般的に、63Niによるβ線を用いてキャリアガスをイオン化して放出された電子と親電子物質とが結合することにより、当該ECD1300中の電極間に流れるイオン電流が減少する量を測定して上記親電子物質の濃度を測定する検出器のことを指す。それ故、ECD1300という検出器は、ニトロ化合物等の成分を検出するために適したものである。なお、ECD1300を用いた一酸化二窒素の検出は、たとえば、キャリアガスを35mL/分以上45mL/分以下の流量で流した場合、キャリアガスの流出開始から4分から5分程度の保持時間で検出することができる。
また、第3のガス流路Cは、上記TCD1200よりも下流側にあって、上記ECD1300よりも上流側に、添加ガスを導入する添加ガス導入部1050をさらに有することが好ましい。上述したように、ECD1300という検出器は、キャリアガスをイオン化することで電極間に流れるイオン電流(さらに具体的には、負イオン電流)を利用するものである。そのため、キャリアガス中には、イオン化しやすい成分が十分に含まれている必要がある。それ故、上記添加ガス導入部1050から第3のガス流路C中に、窒素ガスやメタンガスなどのイオン化しやすいガス成分を供給することにより、大気ガス中の含有量が極めて少ない一酸化二窒素の量をppbオーダーで精度よく検出することが可能となる。
次に、上述した本分析装置を用いて分析試料である大気ガス中に含まれるメタンガス、二酸化炭素および一酸化二窒素からなる3成分を検出する3成分同時分析方法(以下、本分析方法とも云う。)について説明する。
本分析方法は、キャリアガスをガス流路に導入するキャリアガス導入工程と、上記キャリアガスが充填されたガス流路に対して分析試料を導入する試料導入工程と、分析試料中に含まれる成分から、メタンガスを含む第1のガス相と、二酸化炭素および一酸化二窒素を含む第2のガス相とを得る第1のガス分離工程と、第2のガス相中に含まれる成分から、二酸化炭素を含む第3のガス相と、一酸化二窒素を含む第4のガス相とを得る第2のガス分離工程と、を有する手法である。
(キャリアガス導入工程)
本分析方法においては、まず、図5に示す本分析装置におけるキャリアガス導入部1010から第1のガス流路Aにキャリアガスを導入する。こうすることにより、本分析装置におけるガス流路内に存在する全ガス成分を上記キャリアガスに置換することができる。なお、キャリアガスの流量は、使用するカラムの仕様と分析対象となる成分の保持時間(リテンションタイム)との関係を考慮して、本分析装置に搭載されている流量調圧器により、適宜設定すればよいが、メタンガス、二酸化炭素および一酸化二窒素からなる3成分のリテンションタイムに差を生じさせる観点から、20mL/min以上40mL/min以下とすることが好ましい。
本分析方法においてキャリアガスは第1のガス流路Aに導入する前に、キャリアガス浄化装置1020を用いてその純度を高めておくことが好ましい。すなわち、キャリアガス導入工程が、キャリアガスの純度を向上させる工程をさらに含むことが好ましい。こうすることで、キャリアガス中に含まれる夾雑物による影響で分析結果のS/N比や検出感度が低下することを防ぐことができる。具体的には、キャリアガス浄化装置1020によりキャリアガスの純度を事前に高めておくことにより、キャリアガス中に含まれる夾雑物の検出ピークが分析対象である上記3成分の検出ピークと重なること、後述するガス分離カラム(第1〜第3のカラム等)に滞留した上記夾雑物が検出器ノイズを増長させることやカラム寿命を短くすること等の不都合が生じることを抑制することができる。殊に、キャリアガスの純度は、大気ガス中の含有量が極めて少ない一酸化二窒素の量をppbオーダーで精度よく検出する観点から、99.999%以上にしておくことが好ましく、99.9999%以上にしておくとさらに好ましく、99.99999%以上にしておくとより一層好ましく、99.999999%以上にしておくと最も好ましい。なお、キャリアガスの純度の上限値は、99.9999999%程度であれば上述した夾雑物による影響で生じる不都合が生じること自体を防ぐことができる。また、キャリアガスは、純度99.999%以上のヘリウムガス又は窒素ガスであることが好ましい。上述したキャリアガス浄化装置1020は、キャリアガスの純度をできる限り向上させる観点から、多段階のキャリアガス浄化機構を備えていることが好ましい。
(試料導入工程)
次いで、本分析方法においては、キャリアガスで充填されたガス流路に対して分析試料を試料導入部1030から導入する。具体的には、バイアル瓶などの容器に採取した大気ガス1〜2mLを、ガスタイトシリンジを用いて試料導入部1030に導入する。
本分析方法においては、測定結果を取得するまでに費やす労力と時間を低減する観点から、たとえば、ガス自動注入装置(オートサンプラー)を用いて大気ガスを試料導入部1030からガス流路に対して導入してもよい。
(第1のガス分離工程)
次いで、本分析方法においては、分析試料を成分の種類に応じて流動遅延を生じさせるための第1のカラム1060に通過させる。こうすることで、分析試料中に含まれる各成分を、メタンガスを含む第1のガス相と、二酸化炭素および一酸化二窒素を含む第2のガス相とに分離することができる。なお、分析試料は、上記第1のカラム1060に通過させる前および/または後、カラムを高温条件下に熱した際にカラムブリードが生じることを抑制する観点から、Waters社製のPorapak Q、Porapak N、Porasil DおよびPorapak QS等のポーラスポリマー系の市販充填剤が内包されたカラムに通過させてもよい。本分析方法においては、上記第1のガス相に含まれる各成分の方が、上記第2のガス相に含まれる各成分と比べて、第1のカラム1060に保持される時間が短い。
次いで、メタンガスを含む上記第1のガス相を、FID1100を有する第2のガス流路Bに導入し、かかるメタンガス導入工程の後、スイッチングバルブ1400により流路状態を切り替え、二酸化炭素および一酸化二窒素を含む上記第2のガス相を、熱伝導度型検出器1200および電子捕獲型検出器1300を有する第3のガス流路Cに導入する。なお、スイッチングバルブ1400による流路状態の切り替えは、キャリアガスの流量や、第1のカラム1060による各成分の保持時間などを考慮して適切なタイミングで行う。
次いで、第2のガス流路Bに導入された上記第1のガス相に含まれるメタンガスをFID1100により検出する。なお、第2のガス流路Bに導入された上記第1のガス相については、カラムを高温条件下に熱した際にカラムブリードが生じることを抑制する観点から、FID1100に導入する前にWaters社製のPorapak Q、Porapak N、Porasil DおよびPorapak QS等のポーラスポリマー系の市販充填剤が内包されたカラムを通過させることが好ましい。
(第2のガス分離工程)
次いで、第3のガス流路Cに導入された二酸化炭素および一酸化二窒素を含む上記第2のガス相を、パックドカラムからなる第2のカラム1070に通過させる。その後、上記第2のガス相を、成分の種類に応じて流動遅延を生じさせるためのキャピラリーカラムまたはステンレスカラムからなる第3のカラム1080に通過させる。こうすることで、第2のガス相に含まれる各成分を、二酸化炭素を含む第3のガス相と、一酸化二窒素を含む第4のガス相とに分離することができる。本分析方法においては、上記第3のガス相に含まれる各成分の方が、上記第4のガス相に含まれる各成分と比べて、第3のカラム1080に保持される時間が短い。
その後、第3のガス相を通過して得られた上記第3のガス相に含まれる二酸化炭素をTCD1200により検出した後、TCD1200を通過した上記第4のガス相に含まれる一酸化二窒素をECD1300により検出する。ここで、本分析方法においては、二酸化炭素をTCD1200により検出してから上記第4のガス相をECD1300に導入するまでの間、すなわち、二酸化炭素を検出してから一酸化二窒素を検出するまでの間に、大気ガス中の含有量が極めて少ない一酸化二窒素の量をppbオーダーで精度よく検出する観点から、ガス流路にメタンガスまたは窒素ガスを添加ガスとして導入することが好ましい。また、本発明者がこれまでに得ている知見によれば、窒素ガスをキャリアガスとして使用する場合においても、メタンガスを添加することにより、ECD1300による一酸化二窒素の検出感度(およびS/N比)を最大で10倍向上させることが可能である。
本実施形態においては、一度の分析で、大気ガスに含まれるメタンガス、二酸化炭素および一酸化二窒素からなる3成分を、試料濃度がppbオーダーである場合においても高いS/N比で同時に検出することができる。また、本実施形態によれば、たとえば、一度の分析で、大気ガスに含まれるメタンガス、二酸化炭素および一酸化二窒素からなる3成分を定量することも可能となる。
また、上記のように高精度の分析が可能なガスクロマトグラフ2(3成分同時分析装置)に対して、取り扱いに注意が必要でありコスト高になりやすい高圧ボンベに依存すること無く、高純度窒素供給システム1から安定したメタンフリーの高純度窒素ガス(キャリアガス)を供給できる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、上述の説明で用いたフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
<実施形態の特徴及び効果のまとめ>
以上の実施形態の特徴と効果を纏めると次の通りである。
(1)本実施形態の残留メタン除去装置12は、酸素を分離した窒素ガスを通気し前記窒素ガスに残留するメタンガスを燃焼させて除去する酸化金属を担体とする触媒121と、
前記触媒121に酸素を通気することで前記触媒121の機能を再生させる触媒機能回復装置20と、
を備える。
酸化金属として、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化銅、酸化チタンなどがある。
酸素を分離した窒素ガスのメタンガスを酸欠状態で燃焼させることで消費した触媒121(すなわち酸化金属)に、酸素を再度結合させることができる。すなわち、触媒機能が劣化した触媒121の触媒機能の能力を再生することができる。
上述のように、特許文献1により、高圧ガスボンベに依存していた窒素の供給を、圧縮空気を使用して作成した高純度窒素を供給する技術を実現した。しかし、残留メタン除去装置12の触媒121の交換が高コストとなり、窒素ボンベの運用を継続するケースが多く、上記の精製技術を活用した窒素ガス供給の運用は一般普及にはいたらなかった。しかし、触媒121を再生する技術により常に健全な燃焼触媒環境の構築が実現され、通年を通じて、高圧ガスボンベを使用しない高純度窒素ガスによるガスクロマトグラフ分析システム100を構築することが可能となった。これにより、高圧ガスボンベ使用量の大幅な縮減に寄与し、また、ボンベ運搬が困難な遠隔地域等においても、高精度のガス分析を安定的に行うことができる。不純物焼却用の触媒燃焼装置の長寿命化が実現でき、ランニングコストを低減できる。なお、PSA法やその他の技術を用いた窒素供給装置が供給する窒素ガスについても、上述の残留メタン除去装置12の触媒121を再生する技術を導入することで、燃焼触媒環境の長寿命化が実現でき、メタン除去処理の運用上の手間やコストを削減できる。
(2)前記酸化金属は酸化アルミニウムである。
酸化アルミニウ(アルミナ)は、触媒能力、コスト、入手容易性、安定性(寿命)の観点から、触媒121に好適である。
(3)触媒機能回復装置20は乾燥空気により触媒121に酸素を供給する。
触媒121の回復目的で通気されるガスが、純酸素や酸素リッチなガスであると、触媒121の再生に使用されなかった酸素が触媒121に残留するおそれがある。酸素は、一般には下流の工程で比較的容易に除去(フィルタリング)できるが、できれば触媒再生に十分な程度に抑えることが望ましい。このとき、合成空気で酸素濃度をコントロールにしてもよいが、一般的な乾燥空気でも実用的な運用で触媒121を再生することができる。
例えば、複数のガスクロマトグラフ2に継続的に窒素ガスを供給するシステムにおいて、触媒に対して1L/minで1回/日〜1回/数日程度の乾燥空気の供給で、所望の触媒回復が確認され、下流の工程において残留する酸素による影響も無いことが確認できた。
(4)高純度窒素供給システム1は、上記の残留メタン除去装置12と、
残留メタン除去装置12に窒素ガスを供給する窒素発生装置11と、
前記メタン除去装置で前記メタンガスが除去された窒素ガスを取得して、前記窒素ガスから、少なくとも水および二酸化炭素を除去する水分・二酸化炭素除去装置13(残留成分除去装置)と、備える。
メタンガスを除去した高純度窒素ガスを継続して得られ、また、メタンガスを燃焼除去した際に発生する水分及び二酸化炭素を効果的に取り除くことができる。すなわち、ガスクロマトグラフ2へ高品位の窒素ガスを供給できる。
(5)触媒機能回復装置20の動作を制御する制御装置30を備え、
制御装置30は、予め定めたタイミングで、前記酸素を通気して触媒121の機能を回復させるように触媒機能回復装置20を制御する。
タイミングを触媒121の回復処理期間としてスケジュールを組むことで、ガスクロマトグラフ2の運用に実質的な影響を与えず、メタンフリーの高純度窒素ガスを継続的に供給できる。
(6)触媒機能回復装置20の動作を制御する制御装置30を備え、
制御装置30は、触媒121の機能が所定能力以上であるか否かを判断し、所定能力未満であると判断すると、触媒121の機能を回復させるように触媒機能回復装置20を制御する。
例えば、メタンを検出するセンサや、水分・二酸化炭素を検出することで燃焼状態をセンシングするセンサを用いて、所望の燃焼が実現できているか否かを判断し、燃焼状態が適切で無い、すなわちメタンの除去が不十分と判断して、触媒121の回復を行う。なお、触媒121のメタン除去機能(触媒能力)が不十分になる前に、ガスクロマトグラフ2の運用に影響が出ないタイミングで予め触媒121の回復を行うこともできる。
(7)制御装置30は、触媒機能回復装置20を動作させる際に、窒素発生装置11から触媒121への窒素ガスの供給経路を切り離し、触媒121への酸素の供給経路を接続する。例えば、このような構成として、供給経路に流路切り替えバルブ等を設けて流路を制御する構成がある。このような構成により、自動切り替えにより触媒機能回復装置20による触媒121の触媒能力回復処理を行うことができる。
(8)ガスクロマトグラフ分析システム100は、上記の高純度窒素供給システム1と、
前記高純度窒素供給システム1から窒素ガスの供給を受けるガスクロマトグラフ2と、
を備える。
ガスクロマトグラフ分析システム100は、メタンフリーの高純度窒素ガスをキャリアガスとして実質的に常時利用できる。すなわち、触媒121の交換により、ガスクロマトグラフ2の運用を休止することを抑制できる。
(9)空気から酸素を分離した窒素ガスを精製する窒素発生装置11と、窒素発生装置11で精製された窒素ガスに残留するメタンを燃焼させて除去する、金属酸化物を担体とした触媒121を備えた残留メタン除去装置12と、を備える高純度窒素供給システム10において実行される触媒121の触媒機能再生方法であって、
前記窒素ガスを触媒121に通気していないときに、前記触媒121に酸素を含むガスを通気して、触媒121の触媒機能を再生する。
(10)触媒機能再生方法において、触媒121の金属酸化物は酸化アルミニウムである。
酸化アルミニウ(アルミナ)は、触媒能力、コスト、入手容易性、安定性(寿命)の観点から、触媒121に好適である。
(11)高純度窒素の製造方法は、酸素が分離された窒素ガスを取得する原ガス取得工程と、
金属酸化物を担体とする触媒121に窒素ガスを通気して、窒素ガスに残留するメタンを燃焼させて除去するメタン除去工程(S107)と、
前記メタン除去工程を停止し、前記触媒に前記金属酸化物に酸素を通気して、触媒としての機能を再生する触媒機能再生工程(S200)と、
を有する。
酸素を分離した窒素ガスのメタンガスを酸欠状態で燃焼させることで消費した触媒121(すなわち酸化金属)に、酸素を再度結合させることができる。すなわち、触媒機能が劣化した触媒121の触媒能力を再生することができる。
1 高純度窒素供給システム
2 ガスクロマトグラフ
10 窒素供給装置
11 窒素発生装置
12 残留メタン除去装置
13 水分・二酸化炭素除去装置(残留成分除去装置)
20 触媒機能回復装置
30 制御装置(制御手段)
100 ガスクロマトグラフ分析システム
121 触媒
131 水分除去装置
132 大容量活性炭(A)
133 ガスフィルタ(水分)
134 ガスフィルタ(酸素)
135 二酸化炭素除去装置
136 大容量活性炭(B)

Claims (10)

  1. 酸素を分離した窒素ガスを通気し前記窒素ガスに残留するメタンガスを燃焼させて除去する酸化金属を担体とする触媒と、
    前記触媒に酸素を通気することで前記触媒の機能を再生させる触媒機能回復手段と、
    を備えたメタン除去装置。
  2. 前記酸化金属は酸化アルミニウムである、請求項1に記載のメタン除去装置。
  3. 前記触媒機能回復手段は乾燥空気により前記触媒に前記酸素を通気する、請求項1または2に記載のメタン除去装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載のメタン除去装置と、
    前記メタン除去装置に、前記窒素ガスを供給する窒素発生装置と、
    前記メタン除去装置で前記メタンガスが除去された窒素ガスを取得して、前記窒素ガスから、少なくとも水および二酸化炭素を除去する残留成分除去装置と、
    を備える高純度窒素供給システム。
  5. さらに、前記触媒機能回復手段の動作を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、予め定めたタイミングで、前記酸素を供給して前記触媒の機能を回復させるように前記触媒機能回復手段を制御する、請求項4に記載の高純度窒素供給システム。
  6. さらに、前記触媒機能回復手段の動作を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記触媒の機能が所定能力以上であるか否かを判断し、所定能力未満であると判断すると、前記触媒の機能を回復させるように触媒機能回復手段を制御する、請求項4または5に記載の高純度窒素供給システム。
  7. 前記制御手段は、前記触媒機能回復手段を動作させる際に、窒素発生装置から前記触媒への前記窒素ガスの供給経路を切り離し、前記触媒への前記酸素の供給経路を接続する、請求項5または6に記載の高純度窒素供給システム。
  8. 請求項4から7までのいずれか一項に記載の高純度窒素供給システムと、
    前記高純度窒素供給システムから窒素ガスの供給を受けるガスクロマトグラフと、
    を備える、ガスクロマトグラフ分析システム。
  9. 空気から酸素を分離した窒素ガスを精製する窒素発生装置と、
    前記窒素発生装置で精製された前記窒素ガスに残留するメタンを燃焼させて除去する、金属酸化物を担体とした触媒を備えた残留メタン除去装置と、を備える高純度窒素供給システムにおいて実行される前記触媒の触媒機能再生方法であって、
    前記窒素ガスを前記触媒に通気していないときに、前記触媒に酸素を含むガスを通気して、前記触媒の触媒機能を再生する、触媒機能再生方法。
  10. 前記金属酸化物は酸化アルミニウムである、請求項9に記載の触媒機能再生方法。
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