JP2021087918A - 構造物の保護方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造体の欠陥による破片の剥落を防止できると共に、長期にわたって透明性を維持可能な保護被覆を、垂直面や天井面に対しても、スプレー塗装により均一且つ容易に形成可能な構造物の保護方法を提供することである。【解決手段】イソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを主成分とするA液と、水酸基及び/又はアミノ基を2個以上有する硬化剤を主成分とするB液とを、組み合わせて成る被覆材を、2液混合衝突型スプレーを用いて構造物表面に吹付け被覆する構造物の保護方法であって、2液混合衝突させる際の前記A液及び前記B液のそれぞれの液圧力が500psi以上1200psi以下であり、前記構造物の施工面の1か所に前記被覆材を吹付け被覆する操作を、複数回の吹付け操作に分けて行い、各吹付け操作の間の吹付けを行わない時間間隔(オープンタイム)を、前記被覆材のゲルタイム以上にすると共に、前記施工面の視認性が確保される被覆量で被覆することを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、構造物の保護方法に関するものであり、より詳細には、構造物表面を保護すると共に、欠陥や損傷が生じた場合には目視による確認や、破片の剥落等を防止し得る構造物の保護方法に関する。
コンクリート構造物等においては、施工時の欠陥、地震や衝突による損傷、中性化、塩害、アルカリ骨材反応などの化学的劣化などに基づき、コンクリート部材の一部が破片として剥落することがある。このようなコンクリート片の剥落防止のために、従来、鉄板等の金属でコンクリート表面を覆う方法を始めとして、ガラスクロス、合成樹脂繊維シート、炭素繊維シートなどの連続繊維シートを、合成樹脂系材料あるいはセメントなどの無機系材料を用いてコンクリート表面に貼りつける工法が提案され、実施されてきた。
繊維シートを用いた剥落防止システムでは、補強のためにガラスクロスやビニロンなどの連続繊維シートが組み合わされているため、繊維シートを保持する合成樹脂を透明化することにより、層形成後にもコンクリートの劣化度を診断するための重要な手法である目視診断が可能にはなるが、繊維シートの部分を透明化することは困難であり、格子状の不透明部分が外観上残り、目視診断のし易さを阻害すると共に、美観上見苦しい仕上がりとなるという問題点があった。
このような問題を解決するために、下記特許文献1には、コンクリート構造物の表層に、粘度が20〜5000mPa・sの範囲にあり、硬化時の引張強度が1MPa以上の透明エポキシ樹脂プライマーを塗布し、その上に、硬化時の引張強度が5MPa以上、引張破断伸びが50〜800%であるポリウレタン又はポリウレアの硬化性組成物をコテ、ヘラ又はこれに準ずる施工機械にて塗りつけ、プライマー層と厚みが0.8〜4mmのポリウレタン又はポリウレアの層からなり、光学くし2mm幅の条件下でJIS H8686−2に準拠して測定した透過光像鮮明度C値が50%以上である積層部を形成させること特徴とするコンクリート表面構造体の構築方法が提案されている。
また下記特許文献2には、コンクリート構造物の表層に、粘度が20〜5000mPa・sの範囲にあり、硬化時の引張強度が1N/mm以上のエポキシ樹脂プライマーを塗布し、その上に、硬化時の引張強度が7N/mm以上、引張破断伸びが50〜800%であるポリウレタン又はポリウレアの硬化性組成物を吹きつけ、厚みが0.8〜4mmのポリウレタン又はポリウレア層を形成させることを特徴とするコンクリート表面構造体の構築方法が提案されている。
特開2005−213844号公報 特開2005−213842号公報
上記特許文献1記載のコンクリート表面構造体の構築方法によれば、透明性を長期にわたって維持することが可能で、目視診断が容易な塗膜を形成可能であると共に、繊維シートを使用する工法のように、シートの切断や貼り付け等が不要であることから、施工が容易であるという利点がある。しかしながら、コテやヘラ、或いはこれに準ずる機械で施工する必要があることから、欠陥部分の部分的な修復等には好適に使用できるとしても、構造物に広範囲にわたって施工する場合には、効率的ではなかった。
その一方上記特許文献2記載のコンクリート表面構造体の構築方法では、スプレー塗装によりコンクリート構造体に広範囲に効率よく塗装することができるが、スプレー塗装に用いられる被覆材は硬化時間が短いことから、吐出時に巻き込んだ気泡が抜ける前に塗膜が硬化してしまい、気泡により塗膜が不透明になってしまうという問題があった。
また、保護の対象となるコンクリート構造体の表面は、大部分が垂直面や天井面であり、現場で被覆材を塗装する際に液垂れが発生して、コンクリート表面に十分な量の被覆材を塗布することが困難であったり、或いは液垂れした部分がそのまま硬化すると、被覆材の厚みを均一に保つことが出来なくなり、特に天井面での液垂れが著しい場合には被覆材がツララ状となり、外観上の問題に加えて、被覆材を通してコンクリート表面を確認することが困難となる問題があった。
従って本発明の目的は、構造体の欠陥による破片の剥落を防止できると共に、長期にわたって透明性を維持可能な保護被覆を、垂直面や天井面に対しても、スプレー塗装により均一且つ容易に形成可能な構造物の保護方法を提供することである。
本発明によれば、イソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを主成分とするA液と、水酸基及び/又はアミノ基を2個以上有する硬化剤を主成分とするB液とを、組み合わせて成る被覆材を、2液混合衝突型スプレーを用いて構造物表面に吹付け被覆する構造物の保護方法であって、2液混合衝突させる際の前記A液及び前記B液のそれぞれの液圧力が500psi以上1200psi以下であり、前記構造物の施工面の1か所に前記被覆材を吹付け被覆する操作を、複数回の吹付け操作に分けて行い、各吹付け操作の間の吹付けを行わない時間間隔(オープンタイム)を前記被覆材のゲルタイム以上にすると共に、前記施工面の視認性が確保される被覆量で被覆することを特徴とする構造物の保護方法が提供される。
本発明の構造物の保護方法においては、
1.2液混合衝突させる際の前記A液及び前記B液のそれぞれの粘度が500mPa・s以下の範囲に調整されていること、
2.前記A液及び前記B液のそれぞれが、シランカップリング剤を含有しない、もしくは1重量%未満の量で含有すること、
3.前記構造物が、コンクリート構造物、自然石構造物、組積構造物、金属構造物又は木構造物であること、
4.前記被覆材を、構造物表面に直接吹付け被覆すること、
5.前記被覆材を0.5〜3mmの厚みで被覆すること、
6.前記被覆材により形成された被膜の1mm厚みにおける隠蔽率が30%未満であること、
7.前記B液が芳香族アミンを成分として含み、かつ、前記被覆材が0.1重量%以上の酸化防止剤を含むこと、
8.前記A液もしくは前記B液の何れかが硬化促進剤として有機酸を含むこと、
が好適な態様である。
本発明の構造物の保護方法によれば、イソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを主成分とするA液と、水酸基及び/又はアミノ基を2個以上有する硬化剤を主成分とするB液とを組み合わせて成る被覆を、2液混合衝突型スプレーを用い、所定の吐出圧力で吐出することにより、気泡を抱き込むことなく透明性に優れた被膜を構造物表面に形成することができる。また塗工性にも優れ、平滑且つ均一な厚みの被覆を効率よく形成することができる。
本発明の構造物の保護方法によれば、コンクリート構造物、自然石構造物、組積構造物、金属構造物又は木構造物等の構造物表面を保護可能であり、透明性に優れているため被膜を通して構造物表面を長期にわたって目視可能であると共に、構造物に欠陥が生じた場合でも表面剥落を有効に防止することができる。
また本発明の構造物の保護方法によれば、構造物の垂直面や天井面に被覆材を吹付け被覆する操作(スプレー操作)を、施工面の一か所について複数回の吹付け操作に分けて行うと共に、各吹付け操作の間の吹付けを行わない時間間隔(オープンタイム)を、被覆材の少なくともゲルタイム以上とし、施工面(下地)の視認性を阻害しない程度の量の被覆材を塗布することにより、垂直面及び天井面においても下地の視認性を阻害するような液だれを発生することなく、被覆材の吹付けを行うことができる。
(被覆材)
本発明の構造物の保護方法においては、イソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを主成分とするA液と、水酸基及び/又はアミノ基を2個以上有する硬化剤を主成分とするB液とを、組み合わせて成るポリウレア又はポリウレタンから成る被覆材を用いる。
A液を構成するウレタンプレポリマーとしては、イソシアネート基を1分子中に2個以上有するポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応する活性水素を1分子中に2個以上有する化合物とを反応させることによって得ることができる。特に活性水素化合物として、アルコール性水酸基を1分子中に2個以上有するポリオール化合物、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールあるいはその他のポリオール等を1種又は2種以上組み合わせて形成させたウレタンプレポリマーが好適である。
ウレタンプレポリマーの調製に使用できる上記ポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、水添p−キシリレンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート類;p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類;上記各ポリイソシアネートをカルボジイミド変性又はイソシアヌレート変性したもの等が挙げられ、これらは単独で又は二種以上混合して用いることができる。これらの中では、透明性、耐変色性の観点から脂肪族又は脂環族のポリイソシアネートを使用するのが好ましい。
ウレタンプレポリマーの調製に使用可能なポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコールなどの他に、活性水素を二個以上有する低分子量活性水素化合物、例えばビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアミン類等の一種又は二種以上の存在下でプロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドを開環重合させて得られるランダム共重合体を挙げることができる。
ウレタンプレポリマーの調製に使用可能なポリエステルポリオールとしては、例えば多塩基酸と多価アルコールを脱水縮合させて得られる重合体;ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールの縮合体;ラクトンの開環重合体等が好適に用いられる。上記多塩基酸としては、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、二量化リノレイン酸、マレイン酸、等を挙げることができる。また多価アルコールとしては、例えばビスフェノールA、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のジオール類;グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類が用いられ得る。より具体的には両末端がジオール成分であるポリエチレンアジぺート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)、ポリ(ヘキサメチレングリコール−1,6−カーボネート)、ポリカプロラクトンなどを例示することができる。
ウレタンプレポリマーの調製に使用可能なその他のポリオールとしては、例えばアクリルポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオール、ヒマシ油の誘導体、トール油の誘導体、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール等の他、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオール等も好適に用いられる。
これらポリオール化合物としては、数平均分子量が100〜10,000、特に300〜5000のものが好ましく、所望に応じ単独であるいは二種以上混合して用いることができる。
ウレタンプレポリマーは、ポリオール化合物中に含まれるヒドロキシル基1モルに対して、ポリイソシアネート化合物中に含まれるイソシアネート基が1モルを越える割合で、すなわち、化学当量比(NCO/OH)が1を越える配合として、ポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物とを、必要に応じて加熱して、反応させることで得ることができる。このようなウレタンプレポリマーは、通常、その分子両末端にイソシアネート基を有する。ウレタンプレポリマーとして、ポリオール化合物中に含まれるヒドロキシル基とポリイソシアネート化合物中に含まれるイソシアネート基の化学当量比(NCO/OH)を1.6〜20の割合でポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させ、23℃において液状を呈するものが、作業性、硬化物の物性等といった点からより好ましい。
本発明の構造物の保護方法に使用する被覆材は、上記ウレタンプレポリマーを主成分とするA液と、水酸基及び/又はアミノ基を2個以上有する硬化剤を主成分とするB液と、必要に応じその他添加剤とを配合した硬化性組成物を硬化させることによって形成させることができる。
ウレタンプレポリマーを硬化させる、水酸基及び/又はアミノ基を2個以上有する化合物としては、分子量が18〜10000、好ましくは30〜5000である化合物が好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1、6−へキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−トリヒドロキシブタン、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,1,1−トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ポリカプロラクトン、フラクトース、キシリトール、アラビトール、ソルビトール及びマンニトールなどの多価アルコール;エタノールアミンのような低分子アミノアルコール;アンモニア、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレエンヘキサミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、N,N‘−ビス(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタン、3,3′−ジクロロ−4、4′−ジアミノ−ジフェニルメタンなどの低分子ポリアミン化合物、また先に挙げたウレタンプレポリマーの調製の際に使用できる、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリオール;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド又はその混合物を反応させて得られるポリエーテル末端に有するヒドロキシル基をアンモニアと反応させてアミノ基に置換することによって得られるポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシブチレンジアミンなどのポリエーテルポリアミンを挙げることができる。これら硬化剤の中では、ポリエーテルポリオール又はポリエーテルポリアミンを使用することが好ましいが、ポリエーテルポリオール又はポリエーテルポリアミンに他の1種類以上の低分子ポリオール又は低分子ポリアミンを組み合わせて使用することもできる。
これら硬化剤として、ウレタンプレポリマーに含まれるイソシアネート基1モルに対して、低分子化合物中の活性水素が、約0.8モル以上の割合、好ましくは約0.95〜1.2モルとなるように硬化剤が添加される。
A液及びB液には、ウレタンプレポリマー及び硬化剤の他に、可塑剤、溶剤、界面活性剤、硬化促進触媒、老化防止剤、染料等の添加剤を、必要により従来公知の処方に従って配合することができる。
可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、トリメリット酸エステル等のカルボン酸エステルの他、リン酸エステル、ノルマルパラフィン、塩素化パラフィン、アルキルベンゼン及びその他各種液状成分が挙げられ、これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。
溶剤は、硬化性樹脂組成物の粘度を調節するために必要により使用される。溶剤は、前記A液及び前記B液に反応性を示さない有機溶剤を好適に使用できる。これに限定されないが、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル等のエステル溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶剤、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、グリコールエーテルエステル類溶剤等を例示でき、これらの溶剤は、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤としては、消泡剤、乳化剤、粘性改良剤などの特性に応じて各種界面活性剤を単独もしくは二種以上混合して添加してもよい。
ウレタンプレポリマーと硬化剤の反応を促進するための硬化促進触媒としては、N−アルキルベンジルアミン、N−アルキル脂肪族ポリアミン、トリエチレンジアミン、N−アルキルピペラジン、N−アルキルモルホリン、ジモルホリノジエチルエーテル、オクテン酸錫やジブチル錫ジラウレート、有機酸鉛塩、有機酸ジルコニウム塩または有機酸ビスマス塩のような有機金属化合物等や、安息香酸、フタル酸、o−クロロ安息酸等の芳香族カルボン酸、2−エチルヘキサン酸、オクチル酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等の脂肪族カルボン酸等の有機酸が挙げられ、好ましくは2−エチルヘキサン酸が、ポリオールとの相容性に優れ好ましい。これらは単独もしくは二種以上混合して用いることができる。
なお、上記の硬化促進触媒は、ウレタンプレポリマーの調整の際にも使用可能であり、ウレタンプレポリマーを効率よく生産するために使用するために利用することができる。
老化防止剤は、上述した被覆材を、光、酸素、熱等から保護するために用いられ、老化防止剤として一般的に用いられるものには紫外線吸収剤や光安定剤や酸化防止剤等があり、紫外線吸収剤や光安定剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ヒンダードアミン系、ニッケル系等が挙げられる。また、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、アミン系、硫黄系、リン系等が挙げられる。これらは単独もしくは二種以上混合して用いることができる。紫外線吸収剤や光安定剤と酸化防止剤を複合して用いと、変色や白濁、表面の艶の低下を長期にわたり防止することができ、好適である。特に、上記B液にジエチルトルエンジアミンなどの芳香族アミンを使用する場合、老化防止剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤を併用すると著しい効果が認められ、酸化防止剤の添加量が被覆材に対して0.1重量%以上でも十分に効果が得られる。
また本発明で用いる被覆材は、構造物との密着性に優れているため、シランカップリング剤を含有する必要はないが、被覆材を構成する硬化性組成物中に1重量%未満の量でシランカップリング剤を含有してもよい。
シランカップリング剤を、硬化性組成物中に1重量%未満で含有する場合、シランカップリング剤としては、イソシアネート基含有シラン類、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類、ビニル型不飽和基含有シラン類等を含有でき、エポキシ基含有シラン類を含有させる場合にはA液に、アミノ基含有シラン類を配合させる場合にはB液に含有させる。
(プライマー層)
本発明の構造物の保護方法においては、上述した被覆材が構造物との密着性に優れていることから、直接構造物表面に吹き付け被覆することが可能であるが、プライマー層を介して構造物表面に被覆材を被覆することもできる。構造物表面にプライマー層を形成することにより、プライマーが構造体の表層に浸透するため、被覆材を構造物により強固に接着することが可能になる。
プライマーとしては上述した被覆材(ポリウレア又はポリウレタン)から成る被膜との密着性に優れた、透明なエポキシ樹脂プライマーを好適に使用できる。このようなエポキシ樹脂プライマーとしては、本出願人による特開2008−75033号公報等に記載されたものを好適に使用することができ、当該公報に記載された方法により形成することができる。また、透明なウレタン樹脂プライマーなども好適に使用することができる。これらのプライマーは、目的に応じてシランカップリング剤を含むことができる。
プライマー層を構造物表面に形成する場合には、その厚みは、0.02〜0.4mm程度であることが好ましい。
(構造物への被覆方法)
本発明においては、上述したイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを主成分とするA液と、水酸基及び/又はアミノ基を2個以上有する硬化剤を主成分とするB液とを、2液混合衝突型スプレーを用いて構造物表面に吹付け被覆するが、その際、2液混合衝突させる際の前記A液及び前記B液のそれぞれの液の圧力が500psi以上1200psi以下、好ましくは500psi以上1050psi以下の範囲に調整されていることが重要である。
すなわち上記範囲よりも液の圧力が小さい場合には、塗工性に劣り、均一な膜を形成することができず、その一方上記範囲よりも液の圧力が大きい場合には、気泡を抱き込んでしまい、透明性に劣るようになる。
被覆材の構造物への吹付けに用いるスプレー装置としては、調圧調温計量装置と、ミックスチャンバーを備えたスプレーガン及び加温のできるホットホースからなるスプレー装置を使用することができるが、本発明においては、スプレーガンとして、2液混合衝突型スプレーを使用することが重要である。
またこの2液混合衝突型スプレーにおいては、上記範囲の液圧力でA液及びB液を混合衝突させるのに適したミックスチャンバーを選択することが好ましい。本発明においては、これに限定されないが、グラコ社製のミックスチャンバーで000番(オリフィス径0.020インチ)、00番(同0.029インチ)、01番(同0.042インチ)、02番(同0.052インチ)等に相当するチャンバーサイズのミックスチャンバーを備えた2液混合衝突型スプレーガンを好適に使用することができる。特に、低吐出用の01番(同0.042インチ)相当や更にオリフィス径の小さい00番(同0.029インチ)相当などミックスチャンバーを用いることが好適である。
本発明においては、A液及びB液を混合衝突させる際の、具体的にはA液及びB液を上記ミックスチャンバーに導入する際の、それぞれの粘度が、500mPa・s以下であることが好適であり、350mPa・s以下であることがより好適である。上記範囲よりも粘度が高い場合には、塗工性に劣るようになり、均一な被膜を形成することが困難になる。A液及びB液の粘度はより低くなるように調整した方が両液の粘度差も小さくなり混合が容易となるため被膜の物性も向上する。
また、A液とB液は、A液及びB液を混合衝突させた後の材料のJIS K−5600−1−1に記載の評価方法による指触乾燥時間が10秒〜60分の範囲となるように調製されていることが好ましい。
本発明において、透明性に優れた均一な被覆を形成するためには、A液及びB液を混合衝突させる際の液圧力、A液及びB液の粘度の他、吐出方向(上方、下方、水平方向)、2液混合衝突型スプレーの吐出口と構造物表面の間隔であるスプレー距離等の諸条件を適宜調整することが望ましい。例えば、スプレーの吐出方向が水平方向の場合には、スプレー距離が20〜100cmの範囲にあることが好適で、30〜80cmであることがより好適である。20cm未満ではスプレーの吐出物が局所的に集中して厚みむらが生じやすくなり、100cmを超えると硬化が速い材料では、ミストが多量に発生したり局所的に粒子状に硬化する部分が生じて被膜の形成を阻害し被覆材の物性が低下したりする。
本発明の構造物の保護方法においては、前述したとおり、構造物の表面に直接、或いは前述したプライマー層が形成されている場合には、プライマー層上に、A液及びB液から成る被覆材を2液混合衝突型スプレーを用いて塗工する。
被膜は、0.5〜3mm、特に0.7〜2.5mmの厚みを有していることが好適である。上記範囲よりも被膜の厚みが薄いと、保護被覆として充分な機能を発揮できないおそれがあり、一方上記範囲よりも厚いと透明性が低下すると共に経済性にも劣るようになる。
被覆材をスプレーで吹き付ける際、スプレーガン1回往復の塗工量は、液圧力や液粘度及びミックスチャンバーのオリフィス径などにより変化するため、スプレーされた被覆材の状態を確認しながら塗工量を調整することが望ましい。特に硬化の遅い材料では、スプレーの際に巻き込まれた気泡が抜けやすくなる点では有利であるが、一度に多量に吹き付けると液ダレが生じて目標とする被膜の厚みが得られない場合があり、少量ずつを数回に分けてスプレーする必要があるが、本発明の構造物の保護方法においては、スプレーとスプレーの間のオープンタイムを、少なくともスプレーする被覆材のゲルタイム以上とすることにより、垂直面及び天井面に下地の視認性を阻害するような液垂れを発生させることなくスプレーすることが可能である。
本発明の構造物の保護方法により形成された被覆材は、剥落等を防止するための強度を備えると共に、透明性にも優れており、被膜の1mm厚みにおける隠蔽率が30%未満である。尚、隠蔽率は、JIS K5600 4−1 B法に準拠した隠蔽率試験紙に樹脂を1mm厚で塗工し、塗布済みフィルムの三刺激値Yを白色部(Y)と黒色部(Y)各々において測定し、隠蔽率Y/Yを百分率で算出できる。
また本発明の構造物の保護方法により形成された被覆材は、必要に応じて、隠蔽率を低下させることなくゲルタイムを短縮し、垂直面及び天井面に下地の視認性を阻害するような液垂れを発生させることなく被覆材を効率的に塗布することができる。さらに紫外線に暴露しても、黄変や表面光沢の低下による隠蔽率の低下を最小限に留めることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[ゲルタイム]
垂直な壁面をブルーシートで覆い、ブルーシート表面の一か所に60cmの距離から2秒間連続して吹付けた後、吹付けた被覆材の液垂れが止まるまでの時間を計測する。
[タックフリータイム]
水平な床面をブルーシートで覆い、ブルーシート表面の一か所に60cmの距離から吹付けを2往復(吹付け厚み0.3mm相当)した後、吹付けた被覆材の表面を指で触ってタックが無くなるまでの時間を計測する。
[物性測定]
水平に置いたポリプロピレン製の板に厚さ2mmとなるように吹き付ける。7日後、硬化したスプレーシートから、打ち抜き加工にて、JIS K6251に規定する3号ダンベルを作成する。材令7日にて、JIS K6251に準拠した試験機にて引張特性を測定する。
[隠蔽率]
水平に置いたポリプロピレン製の板に対して60cmのスプレー距離で上方向から、2液混合衝突させ、1〜4回の往復回数で吹き付け、厚みが異なる4種のスプレーシートを作製する。
上記4種のスプレーシートのそれぞれについて任意の3点の厚みを測定する。次いで、この4種のスプレーシートをJIS K5600 4−1 B法に準拠した隠蔽率試験紙に乗せ、厚みを測定した3点の位置について、三刺激値Yを白色部(YW)と黒色部(YB)において各々測定し、隠蔽率YB/YWを百分率で得る。次いで、厚みと隠蔽率より算出される2次の多項式近似曲線から、1mm厚みにおける隠蔽率を算出する。
[色相]
JIS K5600 4−1 B法に準拠した隠蔽率試験紙の白色部にスプレーシートを乗せて、色差計にてJIS Z7829で規定されるL*、a*、b*表色系における色相を測定する。
[光沢度]
JIS K5600 4−1 B法に準拠した隠蔽率試験紙の白色部にスプレーシートを乗せて、光沢度計(グロスチェッカー)にて、60°における光沢度を測定し、最大値を記録する。
[外観]
JIS K5600 4−1 B法に準拠した隠蔽率試験紙の白色部にスプレーシートを乗せて、黄変などの変色や気泡などによる透明性を目視で評価する。
[押し抜き試験]
JIS A5334に規定する鉄筋コンクリートU形ふた(400×600×60mm)の中央部に、Φ100mmの円筒状の溝を、コンクリートコアカッターにて50mmの深さで形成させた。次に溝を形成した反対側の面をディスクグラインダーにて十分磨き処理をした後、20℃の水中に浸漬させる。
24時間後に水中から取り出した後、U形ふたの研磨した面を上にして、下端から30mm水に浸漬させた状態に設置し、表面の水滴をウエスで除去した。3分後にプライマーをローラーにて、200g/mの量を中央400×400mmの領域に塗布する。4時間後に、U形ふたを水中から取り出して水平に設置し、5分以内に被覆材の施工を開始する。施工終了後に、再度、U形ふたを下端から30mm水に浸漬させた状態に設置する。
7日間そのままの状態で保持した後、U形ふたをH鋼の上でスパン400mmとなるように塗布面を下にして圧縮試験機(島津万能試験機UH−I、島津製作所(株)製)へ設置し、円筒状の溝の内部コアの中央部に球座をはさんで載荷し、まず1mm/分の速さでU形ふたコア下部の、溝が達してない部分が破壊されるまで載荷し、初期の応力ピークを越えて破壊されたことを確認後、5mm/分で載荷し、50mm変位までの変位と応力の関係を記録する。
湿潤条件の場合は、上記の方法で試験を行い、乾燥条件の場合は、U形ふたが乾燥した状態で一連の施工及び乾燥を行い、押し抜き試験を実施する。
また被覆材の透明性として、施工面の上から被覆材を通して下地コンクリートの表面を視認できるか目視でよく確認する。下地表面の視認性が優れている場合を◎、下地の上に引かれた0.2mm幅の線(ボールペンで引いた線の幅に相当)を視認できる場合を〇、下地の上に引かれた0.2mm幅の線を視認することが難しいと感じられる場合を△、下地の表面を視認することが困難な場合を×とする。
[垂直面及び天井面への塗装性試験]
金属製のフレーム材にて、高さ2mの垂直面と、2m高さの天井面のフレーム枠を組み、鉄筋コンクリートU形ふた(400×600×60mm)を、施工面を手前側にしてフレームに固定する。垂直面の場合は、少なくとも1m以上の高さにU形ふたの長辺が下端となるように設置する。
垂直面、水平面いずれに吹付ける場合も、吹き付けはU形ふたの施工面に垂直に吹付ける。施工を行ない、被覆材が硬化した後、U形ふたをフレームから取り外し、垂直面の場合は、下端からの下に垂れている液垂れの長さを、下端面からの長さで計測する。天井面の場合は、U形ふた面から垂直に液垂れの長さを計測する。液垂れの長さは、異常に長い液垂れがある場合を除いて、最大のものを記録する。液垂れが少ない場合は、液垂れ方向に垂直になるよう板を当てて、施工面からの隙間が生じるかを確認し、その隙間の間隔を測定する。また塗膜の厚みを針入式の膜厚計により測定する。
特に垂直面で大きく液垂れした部分は、塗膜を厚く吹付けたのと同じ現象が起き、被覆材が白濁して透明性が損なわれ、下地コンクリート表面を、被覆材を通して確認することが困難となる。そのため、被覆材の表面の面状態と、被覆材の透明性として、施工面の上から被覆材を通して下地コンクリートの表面を視認できるか目視でよく確認する。
被覆材の表面の面状態については、平滑かほぼ平滑であるある場合は〇、被覆材の一部にでも厚みにムラがあり、凸凹が感じられる場合は△、ツララ状の液垂れがある場合は×とする。施工面の上から被覆材を通しての下地コンクリートの表面の視認性については、下地表面の視認性が優れている場合を◎、下地の上に引かれた0.2mm幅の線(ボールペンで引いた線の幅に相当)を視認できる場合を〇、下地の上に引かれた0.2mm幅の線を視認することが難しいと感じられる場合を△、下地の表面を視認することが困難な場合を×とする。
[耐候性試験]
耐候性試験は、JIS A1415で規定されるサンシャインウエザーメーターにて、照射2時間サイクルの内、18分間降雨する条件で、1000時間促進暴露する。
(エポキシ樹脂プライマーの調製)
次の方法でエポキシ樹脂プライマーを調製した。
液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンR4901、旭電化工業(株)製)を100重量部、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン0.5重量部配合し、攪拌機で十分攪拌して均一にし、プライマーの主剤とした。
また、液状のアミン系硬化剤(商品名:ダイトクラールI−5476、大都産業(株)製)をプライマーの硬化剤とした。
(ウレタン樹脂プライマーの調製)
次の方法でウレタン樹脂プライマーを調製した。
ノルボルネンジイソシアネート(商品名:コスモネートNBDI、三井化学SKCポリウレタン社製)40.0重量部と数平均分子量320のポリオキシプロピレントリオール(商品名:アクトコールG−530、三井化学SKCポリウレタン社製)30.0重量部と数平均分子量1500のポリオキシプロピレントリオール(商品名:MN−1500、三井化学SKCポリウレタン社製)30.0重量部を、100℃において6時間反応させ、40℃に冷却した後、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体(商品名:コロネートHX)20.0重量部、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:SH−6040、東レダウコーニング社製)1.0重量部を添加して1時間攪拌し、酢酸エチル135重量部とメチルシクロヘキサン135重量部及び湿気硬化促進触媒として、ジブチル錫ラウレート(商品名:スタンBL、三共有機合成社製)0.4重量部を混合し、固形分30重量%、NCO含有率3.0重量%のウレタン樹脂プライマーを得た。
(A1液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のA1液及を調製した。
ノルボルネンジイソシアネート(商品名:コスモネートNBDI、三井化学SKCポリウレタン社製)48.0重量部と数平均分子量2000のポリオキシプロピレングリコール(商品名:アクトコールD−2000、三井化学SKCポリウレタン社製)52.0重量部、100℃において4時間反応させ、NCO基含有率20重量%のA1液を得た。
(A2液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のA2液を調製した。
ノルボルネンジイソシアネート(商品名:コスモネートNBDI、三井化学SKCポリウレタン社製)38.0重量部と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:コスモネートPH、三井化学SKCポリウレタン社製)12.0重量部と数平均分子量2000のポリオキシプロピレングリコール(商品名:アクトコールD−2000、三井化学SKCポリウレタン社製)50.0重量部を、90℃において4時間反応させ、NCO基含有率20重量%のA2液を得た。
(B1液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のB1液を調製した。
数平均分子量2000のポリエーテルジアミン(商品名:ジェファーミンD−2000、ハンツマン社製)77.0重量部、ジエチルトルエンジアミン(商品名:エタキュアー100、アルベマール社製)22.0重量部、老化防止剤として3種混合液状安定剤(商品名:チヌビンB75、BASF社製)1.0重量部を混合し、B1液を得た。
なお、チヌビンB75は、紫外線吸収剤(商品名:チヌビン571、BASF社製)40%、ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:チヌビン765、BASF社製)40%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1135、BASF社製)20%を成分とする3種混合液状安定剤であり、この場合、紫外線吸収剤チヌビン571を0.4重量部、ヒンダードアミン系光安定剤チヌビン765を0.4重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤イルガノックス1135を0.2重量部、それぞれ添加したことと同等である。
(B2液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のB2液を調製した。
数平均分子量2000のポリエーテルジアミン(商品名:ジェファーミンD−2000、ハンツマン社製)76.6重量部、ジエチルトルエンジアミン(商品名:エタキュアー100、アルベマール社製)21.9重量部、老化防止剤として、3種混合液状安定剤(商品名:チヌビンB75、BASF社製)1.0重量部、硬化促進剤として、有機酸である2エチルヘキサン酸(商品名:オクチル酸、KHネオケム社製)0.5重量部を添加して混合し、B2液を得た。
(B3液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のB3液を調製した。
数平均分子量2000のポリエーテルジアミン(商品名:ジェファーミンD−2000、ハンツマン社製)76.2重量部、ジエチルトルエンジアミン(商品名:エタキュアー100、アルベマール社製)21.8重量部、老化防止剤として、3種混合液状安定剤(商品名:チヌビンB75、BASF社製)1.0重量部、硬化促進剤として、有機酸である2エチルヘキサン酸(商品名:オクチル酸、KHネオケム社製)1.0重量部を混合し、B3液を得た。
(B4液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のB4液を調製した。
数平均分子量2000のポリエーテルジアミン(商品名:ジェファーミンD−2000、ハンツマン社製)73.8重量部、ジエチルトルエンジアミン(商品名:エタキュアー100、アルベマール社製)21.1重量部、老化防止剤として、3種混合液状安定剤(商品名:チヌビンB75、BASF社製)1.0重量部、硬化促進剤として、有機酸である2エチルヘキサン酸(商品名:オクチル酸、KHネオケム社製)4.0重量部を混合し、B4液を得た。
(B5液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のB5液を調製した。
数平均分子量2000のポリエーテルジアミン(商品名:ジェファーミンD−2000、ハンツマン社製)76.5重量部、ジエチルトルエンジアミン(商品名:エタキュアー100、アルベマール社製)21.1重量部、老化防止剤として、3種混合液状安定剤(商品名:チヌビンB75、BASF社製)1.0重量部、硬化促進剤として、金属触媒であるジブチル錫ジラウレート(商品名:スタンBL、三共有機合成社製)0.5重量部を混合し、B5液を得た。
(B6液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のB6液を調製した。
数平均分子量2000のポリエーテルジアミン(商品名:ジェファーミンD−2000、ハンツマン社製)67.0重量部、数平均分子量5000のポリエーテルトリアミン(商品名:ジェファーミンT−5000、ハンツマン社製)10.0重量部、ジエチルトルエンジアミン(商品名:エタキュアー100、アルベマール社製)22.0重量部、老化防止剤として3種混合液状安定剤(商品名:チヌビンB75、BASF社製)1.0重量部を混合し、B6液を得た。
(B7液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のB7液を調製した。
数平均分子量2000のポリエーテルジアミン(商品名:ジェファーミンD−2000、ハンツマン社製)77.4重量部、ジエチルトルエンジアミン(商品名:エタキュアー100、アルベマール社製)22.1重量部、老化防止剤として3種混合液状安定剤(商品名:チヌビンB75、BASF社製)0.5重量部を混合し、B7液を得た。
なお、この場合、紫外線吸収剤チヌビン571を0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤チヌビン765を0.2重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤イルガノックス1135を0.1重量部、それぞれ添加したことと同等である。
(B8液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のB8液を調製した。
数平均分子量2000のポリエーテルジアミン(商品名:ジェファーミンD−2000、ハンツマン社製)76.2重量部、ジエチルトルエンジアミン(商品名:エタキュアー100、アルベマール社製)21.8重量部、老化防止剤として3種混合液状安定剤(商品名:チヌビンB75、BASF社製)2.0重量部を混合し、B8液を得た。
なお、この場合、紫外線吸収剤チヌビン571を0.8重量部、ヒンダードアミン系光安定剤チヌビン765を0.8重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤イルガノックス1135を0.4重量部、それぞれ添加したことと同等である。
(B9液の調製)
次の方法でポリウレア樹脂のB9液を調製した。
数平均分子量2000のポリエーテルジアミン(商品名:ジェファーミンD−2000、ハンツマン社製)76.2重量部、ジエチルトルエンジアミン(商品名:エタキュアー100、アルベマール社製)21.8重量部、老化防止剤として、紫外線吸収剤(商品名:チヌビン571、BASF社製)1.0重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:チヌビン765、BASF社製)1.0重量部を混合し、B9液を得た。
(実施例1)
上記ポリウレア樹脂のA1液及びB1液を、ポリウレア樹脂のA液及びB液として使用した。
2液衝突混合型スプレー機として、グラコ社製スプレー装置H−40に、グラス・クラフト社製プロブラーガン(オリフィス径が0.042インチの同社製ミックスチャンバー01番を使用)を取り付けて使用し、23℃の環境において、水平に置いたポリプロピレン製の板に対してスプレー距離60cmで上方向から、A液とB液の2液を衝突混合させて吹付けた。吹付けの際、ガンを左右に振って1往復させて均一に吹き付けた後、時間をおいて、さらに同様に吹付けを行い、複数回に分けて往復して吹き付けることで、厚みが異なるスプレーシートを作製した。2液混合衝突させる際、A液及びB液の液の圧力は、それぞれ1000psiに設定し、また、A液及びB液の液の粘度は、それぞれ75mPa・sになるように加温して調整した。吹付けの際、室温における被覆材のゲルタイムは90秒、タックフリータイム900秒であった。また、スプレーシートの引張強度は19.0N/mm、伸びは500%であり、隠蔽率は19%であった。目視での透明性は良好で、黄変も認められなかった。
上記の吹付け条件で、湿潤条件において、厚み1.5mmの被覆材を吹付け、押し抜き試験を行った。吹付けを行なう前に、U形ふたには、プライマーとして、上記エポキシ樹脂プライマーの主剤100.5重量部と硬化剤50重量部を均一に攪拌した後、ローラーにて0.2kg/mの量を塗布し、プライマーを塗付してから2時間後に吹付けを行った。湿潤条件での押し抜き試験の結果、変位50mmで、最大荷重2.7kNであった。また被覆材の透明性も十分であり、施工面の被覆材の上から下地コンクリート表面が良好に確認できた。
(実施例2)
実施例1と同じ条件で、湿潤条件を乾燥条件に変えて押し抜き試験を行い、結果、最大変位50mmで、最大荷重2.7kNであった。また被覆材の透明性も十分であり、施工面の被覆材の上から下地コンクリート表面が良好に確認できた。
(実施例3)
実施例1と同じ条件で、厚み2.0mmの被覆材を吹付け、押し抜き試験を行い、結果、変位50mmで、最大荷重3.3kNであった。また被覆材の透明性は実施例2よりも若干低下したが、施工面の被覆材の上から下地コンクリート表面を確認することができた。
(実施例4)
実施例1と同じ条件で、垂直面への塗装性試験を行った。吹付けの際、ガンを左右に振って1往復させて均一に吹付けた後、時間をおいて、さらに同様に吹付けを行い、合計5回の吹付けを行った。吹付けと吹付けの間のインターバル時間は90秒とし、合計4回のインターバルの合計時間は360秒となった。結果、被覆材の厚みは1.4mmで、被覆材の表面はほぼ平坦に仕上がり、施工面の下地のコンクリートも、被覆材を通して目視可能あったが、下端部からのツララ状の液垂れが発生し、液垂れの最大長さは20mmであった。
(実施例5)
実施例4と同じ条件で、吹付け対象を垂直面から天井面に変え、インターバルを90秒から120秒に延ばし、合計5回の吹付けを行った。合計4回のインターバルの合計時間は480秒となった。結果、被覆材の厚みは1.6mmで、被覆材はほぼ平坦に仕上がり、施工面の下地コンクリートも良好に目視で確認することができた。液垂れはほとんど認められず、長さは計測したところ1mm未満であった。
(参考例1)
実施例5と同じ条件で、インターバルを120秒としたまま、吹付け回数を5回から7回に増やして、合計7回の吹付けを行った。合計6回のインターバルの合計時間は720秒となった。結果、ツララ状の液垂れが全面的に発生し、液垂れの長さは最大15mmであった。液垂れした部分が白濁しており、下地コンクリート面の状態の目視での確認は困難であった。平坦な部分を探して被覆材の厚みを測定したところ2.2mmであった。
(実施例6)
参考例1と同じ条件で、インターバルを120秒から180秒に延ばして、合計7回の吹付けを行った。合計6回のインターバルの合計時間は1080秒となった。結果、被覆材の厚みは2.1mmであり、被覆材の表面はほぼ平坦に仕上がり、施工面の下地コンクリートの目視での確認も可能であった。液垂れは、ほとんど認められず、長さを計測したところ1mm未満であった。
(実施例7)
実施例1と同じ条件で、ポリウレア樹脂のB液を、硬化促進剤として有機酸である2エチルヘキサン酸を0.5重量部含むB2液に変えて試験を行った。被覆材としては、実質的に2エチルヘキサン酸を0.25重量%含むことになる。結果、吹付けの際、室温における被覆材のゲルタイムは59秒、タックフリータイム610秒であった。また、スプレーシートの引張強度は18.8N/mm、伸びは495%であり、隠蔽率は19%であった。目視で透明性は良好で、黄変も認められなかった。
さらに天井面への塗装性試験を行った。参考例1と同じ条件で、インターバル120秒で、合計7回の吹付けを行った。結果、被覆材の厚みは2.2mmで、被覆材の表面には、やや凸凹がみられたが、施工面の下地のコンクリートは目視で確認が可能であった。液垂れの最大長さは2mmであった。
(実施例8)
実施例1と同じ条件で、ポリウレア樹脂のB液を、硬化促進剤として有機酸である2エチルヘキサン酸を1.0重量部含むB3液に変えて試験を行った。被覆材としては、実質的に2エチルヘキサン酸を0.5重量%含むことになる。結果、吹付けの際、室温における被覆材のゲルタイムは42秒、タックフリータイム438秒であった。また、スプレーシートの引張強度は18.5N/mm、伸びは490%であり、隠蔽率は19%であった。目視で透明性は良好で、黄変も認められなかった。
さらに天井面への塗装性試験を行った。参考例1と同じ条件で、インターバル120秒で、合計7回の吹付けを行った。結果、被覆材の厚みは2.2mmで、被覆材の表面はほぼ平坦に仕上がり、施工面の下地コンクリートも良好に目視で確認することができた。液垂れはほとんど認められず、長さは計測したところ1mm未満であった。
(実施例9)
実施例1と同じ条件で、ポリウレア樹脂のB液を、硬化促進剤として有機酸である2エチルヘキサン酸を4.0重量部含むB4液に変えて試験を行った。被覆材としては、実質的に2エチルヘキサン酸を2.0重量%含むことになる。結果、吹付けの際、室温における被覆材のゲルタイムは15秒、タックフリータイム154秒であった。また、スプレーシートの引張強度は17.0N/mm、伸びは455%であり、隠蔽率は20%であった。目視で透明性は良好で、黄変も認められなかった。
さらに天井面への塗装性試験を行った。参考例1と同じ条件で、インターバルを120秒から30秒に縮めて、合計7回の吹付けを行った。合計6回のインターバルの合計時間は180秒となった。結果、被覆材の厚みは2.0mmで、被覆材の表面はほぼ平坦に仕上がり、施工面の下地コンクリートも目視で確認することができた。液垂れはほとんど認められず、長さは計測したところ1mm未満であった。
(実施例10)
実施例1と同じ条件で、ポリウレア樹脂のB液を、硬化促進剤として金属触媒であるジブチル錫ジラウレートを0.5重量部含むB4液に変えて試験を行った。被覆材としては、実質的にジブチル錫ジラウレートを0.25重量%含むことになる。結果、吹き付けの際、室温における被覆材のゲルタイムは11秒、タックフリータイム115秒であった。また、スプレーシートの引張強度は18.2N/mm、伸びは470%であり、隠蔽率は27%であった。少し発泡したような研究痕跡が認められ、目視での透明性は、実施例9と比較してやや低下した。なお、黄変は認められなかった。
さらに天井面への塗装性試験を行った。実施例9と同じ条件で、インターバルを30秒として、合計7回の吹付けを行った。結果、被覆材の厚みは2.0mmで、被覆材の表面はほぼ平坦に仕上がり、液垂れはほとんど認められず、長さは計測したところ1mm未満であった。ただし、吹付けの際の発泡によるものと思われるが、施工面の下地コンクリートの視認性は、実施例9と比較してやや低下した。
(実施例11)
実施例1と同じ条件で、ポリウレア樹脂のA液を、芳香族イソシアネートを原料に含む、ポリウレア樹脂のA2液に変え、ポリウレア樹脂のB液をポリウレア樹脂のB6液に変えて試験を行った。被覆材としては、硬化促進剤を含んでいない。結果、吹付けの際、室温における被覆材のゲルタイムは27秒、タックフリータイム158秒であった。また、スプレーシートの引張強度は20.5N/mm、伸びは465%であり、隠蔽率は22%であった。目視で透明性は良好で、黄変も認められなかった。
さらに天井面への塗装性試験を行った。実施例9と同じ条件で、インターバルを30秒として、合計7回の吹付けを行った。結果、被覆材の厚みは2.0mmで、施工面の下地コンクリートも目視で確認することができた。被覆材の表面はほぼ平坦に仕上がり、液垂れはほとんど認められず、長さは計測したところ1mm未満であった。
(比較例1)
実施例5と同じ条件で、インターバルを120秒から45秒に短縮し、合計5回の吹付けを行った。合計4回のインターバルの合計時間は180秒となった。結果、ツララ状の液垂れが全面的に発生し、液垂れの長さは最大15mmであった。液垂れした部分が白濁しており、下地の目視での確認は困難であった。平坦な部分を探して被覆材の厚みを測定したところ1.5mmであった。
(比較例2)
実施例6と同じ条件で、プロブラーガンに変えて、スタティックミキサーを取り付け、被覆材が液状に押し出されるようにスプレー機を調整し、その樹脂液を、ゴムヘラにて塗り付ける手法にて、天井面への塗装性試験を行った。被覆材の厚みが2mmとなることを目標に天井面に塗り付けを試みた結果、塗り付けた樹脂液の大部分が垂れ落ちてしまい、天井面には、波模様の樹脂液がわずかに付着するだけで、塗り付けは困難であった。
(実施例12)
実施例1の押し抜き試験と同じ条件で、プライマーとして、エポキシ樹脂プライマーに変えて、上記ウレタン樹脂プライマーをローラーにて0.2kg/mの量を塗布し、プライマーを塗付してから4時間後に、厚み1.5mmの塗膜を吹き付け、湿潤条件での押し抜き試験を行った、結果、変位50mmで、最大荷重3.2kNであった。また被覆材の透明性も十分であり被覆材の上から下地コンクリート表面が良好に確認できた。
(実施例13)
実施例12と同じ条件で、プライマーを塗付することなく、厚み1.5mmの被覆材を吹付け、湿潤条件での押し抜き試験を行った、結果、変位50mmで、最大荷重1.7kNであった。また被覆材の透明性も十分であり、施工面の被覆材の上から下地コンクリート表面が良好に確認できた。実施例12と比較して、プライマーを塗付したことによる透明性への影響はほとんど感じられなかった。
(実施例14)
実施例1で作成したスプレーシートを用いて、サンシャインウエザーメーターによる、1000時間の促進暴露試験を行った。実施例1で作成したスプレーシートには、使用したB液の配合から、老化防止剤として、紫外線吸収剤0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤0.2重量%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1重量%を、実質的に含んでいると推定される。
暴露試験前のスプレーシートの色相は、L*値が75.0、a*値がー0.4、b*値が8.0であり、60°での光沢度が76であった。暴露試験後のスプレーシートの色相は、L*値が70.2、a*値が0.5、b*値が11.9あり、60°での光沢度が39であった。目視ではわずかに黄変が認められた。
(実施例15)
実施例9で作成したスプレーシートを用いて、サンシャインウエザーメーターによる、1000時間の促進暴露試験を行った。実施例9で作成したスプレーシートには、使用したB液の配合から推定して、硬化促進剤として、有機酸を2重量%、老化防止剤として、紫外線吸収剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.2重量%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1重量%実質的に含んでいる。
暴露試験前のスプレーシートの色相は、L*値が75.5、a*値が−0.2、b*値が8.2であり、60°での光沢度が77であった。暴露試験後のスプレーシートの色相は、L*値が69.5、a*値が0.7、b*値が12.4あり、60°での光沢度が32であった。目視ではわずかに黄変が認められた。
(比較例3)
実施例1と同じ条件で、ポリウレア樹脂のB液を、老化防止剤として、3種混合液状安定剤チヌビンB75を0.5重量部含むB7液に変えて試験を行った。被覆材としては、老化防止剤として、紫外線吸収剤0.1重量%、ヒンダードアミン系光安定剤0.1重量%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.05重量%を、実質的に含むことになる。結果、吹付けの際、室温における被覆材のゲルタイムは90秒、タックフリータイム900秒であった。また、スプレーシートの引張強度は19.1N/mm、伸びは505%であり、隠蔽率は19%であった。目視で透明性は良好で、黄変も認められなかった。
暴露試験前のスプレーシートの色相は、L*値が76.0、a*値が−0.1、b*値が8.5であり、60°での光沢度が76であった。暴露試験後のスプレーシートの色相は、L*値が56.2、a*値が1.2、b*値が20.8あり、60°での光沢度が0であった。目視では黄色味が強く感じられた。
(実施例16)
実施例1と同じ条件で、ポリウレア樹脂のB液を、老化防止剤として、3種混合液状安定剤チヌビンB75を2.0重量部含むB8液に変えて試験を行った。被覆材としては、老化防止剤として、紫外線吸収剤0.4重量%、ヒンダードアミン系光安定剤0.4重量%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.2重量%を、実質的に含むことになる。結果、吹付けの際、室温における被覆材のゲルタイムは90秒、タックフリータイム900秒であった。また、スプレーシートの引張強度は19.0N/mm、伸びは500%であり、隠蔽率は19%であった。目視で透明性は良好で、黄変も認められなかった。
暴露試験前のスプレーシートの色相は、L*値が76.0、a*値が−0.2、b*値が8.0であり、60°での光沢度が76であった。暴露試験後のスプレーシートの色相は、L*値が74.0、a*値が0.2、b*値が9.2であり、60°での光沢度が70であった。目視では黄変が少ないと感じられた。
(実施例17)
実施例1と同じ条件で、ポリウレア樹脂のB液を、老化防止剤として、紫外線吸収剤チヌビン571を0.5重量部、ヒンダードアミン系光安定剤チヌビン765を1.0重量部含むB9液に変えて試験を行った。被覆材としては、老化防止剤として、紫外線吸収剤0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤0.5重量%を、実質的に含むことになる。結果、吹付けの際、室温における被覆材のゲルタイムは90秒、タックフリータイム900秒であった。また、スプレーシートの引張強度は18.9N/mm、伸びは495%であり、隠蔽率は19%であった。目視で透明性は良好で、黄変も認められなかった。
暴露試験前のスプレーシートの色相は、L*値が75.9、a*値が−0.2、b*値が8.0であり、60°での光沢度が76であった。暴露試験後のスプレーシートの色相は、L*値が61.8、a*値が1.0、b*値が16.4であり、60°での光沢度が8であった。目視では黄色味がやや強いと感じられた。
(実施例18)
実施例11で作成したスプレーシートを用いて、サンシャインウエザロメーターによる、1000時間の促進暴露試験を行った。実施例11で作成したスプレーシートは、芳香族イソシアネートを原料として使用したことに加え、老化防止剤として、紫外線吸収剤0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤0.2重量%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1重量%を、実質的に含んでいる。
暴露試験前のスプレーシートの色相は、L*値が74.0、a*値が−0.1、b*値が9.2であり、60°での光沢度が75であった。暴露試験後のスプレーシートの色相は、L*値が63.1、a*値が1.0、b*値が15.3であり、60°での光沢度が23であった。目視では黄色味がやや強いと感じられた。
押し抜き試験の試験結果を表1にまとめた。
Figure 2021087918
表1に示すとおり、2液混合衝突させる際のA液及びB液の液の圧力を1000psiとした条件で、透明性と剥落を防止する性能に優れた被覆材が得られた。
垂直面及び天井面への塗装性試験の結果を表2にまとめた。
Figure 2021087918
表2に示すとおり、オープンタイムを少なくとも被覆材のゲルタイム以上とすることで、垂直面や天井面にもスプレーで施工できることが確認できる。施工面が垂直面か天井面かによっても条件は異なるが、より好ましくは、オープンタイムをゲルタイムの1.3倍以上に、更に好ましくは、オープンタイムをゲルタイムの2倍以上にすることにより、液垂れが少なく、面状態や透明性が良好な被覆材を施工できた。
耐候性試験の結果を表3にまとめた。
Figure 2021087918
表3に示すとおり、紫外線吸収剤や光安定剤に加えて、少なくとも0.1重量%以上の少量の酸化防止剤を添加することで、被覆材の耐候性が大幅に向上した。

Claims (9)

  1. イソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを主成分とするA液と、水酸基及び/又はアミノ基を2個以上有する硬化剤を主成分とするB液とを、組み合わせて成る被覆材を、2液混合衝突型スプレーを用いて構造物表面に吹付け被覆する構造物の保護方法であって、
    2液混合衝突させる際の前記A液及び前記B液のそれぞれの液圧力が500psi以上1200psi以下であり、
    前記構造物の施工面の1か所に前記被覆材を吹付け被覆する操作を、複数回の吹付け操作に分けて行い、各吹付け操作の間の吹付けを行わない時間間隔(オープンタイム)を、前記被覆材のゲルタイム以上にすると共に、前記施工面の視認性が確保される被覆量で被覆することを特徴とする構造物の保護方法。
  2. 2液混合衝突させる際の前記A液及び前記B液のそれぞれの粘度が500mPa・s以下の範囲に調整されている請求項1記載の構造物の保護方法。
  3. 前記A液及び前記B液のそれぞれがシランカップリング剤を含有しない、もしくは1重量%未満含む請求項1又は2記載の構造物の保護方法。
  4. 前記構造物が、コンクリート構造物、自然石構造物、組積構造物、金属構造物又は木構造物である請求項1〜3の何れかに記載の構造物の保護方法。
  5. 前記被覆材を、構造物表面に直接吹付け被覆する請求項1〜4の何れかに記載の構造物の保護方法。
  6. 前記被覆材を0.5〜3mmの厚みで被覆する請求項1〜5の何れかに記載の構造物の保護方法。
  7. 前記被覆材により形成された被膜の1mm厚みにおける隠蔽率が30%未満である請求項1〜6の何れかに記載の構造物の保護方法。
  8. 前記B液が芳香族アミンを成分として含み、かつ、前記被覆材が0.1重量%以上の酸化防止剤を含む請求項1〜7の何れかに記載の構造物の保護方法。
  9. 前記A液もしくは前記B液の何れかが、硬化促進剤として有機酸を含有する請求項1〜8の何れかに記載の構造物の保護方法。
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