JP2021071192A - プーリ - Google Patents

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Teruyuki Ito
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Abstract

【課題】打音が発生することなくハブとプーリ本体との間の相対回転を所定の角度範囲内に制限することが可能なプーリを提供する。【解決手段】プーリ100はクランクシャフトCの回転トルクを伝達する。プーリ100は、クランクシャフトCに固定されるハブ10と、ハブ10の径方向外側に配置されるプーリ本体20と、複数の転動部材30からなる転動部材群30Aとを含む。複数の転動部材30は、ハブ10とプーリ本体20との間の環状隙間G内においてそれぞれ転動自在に圧入されている。転動部材30は、軸線Xと直交する断面で楕円形の輪郭を有して筒状に延びる弾性材からなると共に環状隙間Gにおける径方向の隙間の長さより長い短径を有する弾性部31と、弾性部31の楕円中心に中心を合わせて弾性部31内に圧入される軸部32とを有する。【選択図】図2

Description

本発明はクランクシャフトの回転トルクを伝達するプーリに関する。
上記プーリは、クランクシャフトの端部に取り付けられている。そして、このクランクシャフトは、内燃機関の燃焼サイクルに起因するトルク変動を伴って回転している。そのため、上記プーリは、一般的に、クランクシャフトの回転トルクを補機などにトルク変動を減じた状態でベルトを介して伝達するように構成されている。つまり、上記プーリは、伝達トルクの平準化を図る機能を有しており、トルク変動吸収プーリやトルク変動吸収ダンパといった様々な呼称で呼ばれている。
上述した伝達トルクの平準化を図る機能を有したプーリの一例としては、特許文献1に開示されたアイソレーション・ダンパプーリ(以下、単にプーリという)が知られている。このプーリは、クランクシャフトの端部に固定されるハブ11と、ベルトが巻き掛けられるプーリ部15(以下、プーリ本体15という)と、ハブ11とプーリ本体15との間を接続する円筒状の弾性部16とを有している。この弾性部16はハブ11とプーリ本体15とをこれらの間の相対回転を許容した状態で接続している。そして、このプーリでは、弾性部16が捩じり変形することによって、プーリ本体15からベルトを介して補機に伝達する伝達トルクの平準化を図るように構成されている。また、このプーリでは、クランクシャフトの所定の回転数域(例えば、内燃機関の始動からアイドル回転数に到達するまでの間)で、プーリ本体15と弾性部16とからなる振動系の回転方向(捩じり方向)の振動の共振が生じ得る。そして、この共振によって、プーリ本体15が捩じり方向などに大きな振幅で振動しながら一方向に回転すると、ベルトのバタつきや異音の発生などの不具合が生じるおそれがある。そのため、このプーリでは、ハブ11とプーリ本体15との間の相対回転を所定の角度範囲内に制限するためのストッパ構造を有している。
特開2001−159448号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたプーリのストッパ構造では、ハブ11とプーリ本体15との間の相対回転の角度範囲が孔とこの孔に貫入する突起との干渉によって制限されているため、プーリ本体15と弾性部16との振動系における共振時などに金属による打音が発生する。
そこで、本発明は、打音が発生することなくハブとプーリ本体との間の相対回転を所定の角度範囲内に制限することが可能なプーリを提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、クランクシャフトの回転トルクを伝達するプーリが提供される。プーリは、ハブとプーリ本体と転動部材群とを含む。ハブはクランクシャフトの端部に固定される。プーリ本体はハブの径方向外側に配置されている。転動部材群は複数の転動部材からなる。複数の転動部材は、ハブとプーリ本体との間の環状隙間にて周方向に等間隔に離れた位置でそれぞれハブの軸線と平行に延びている。そして。複数の転動部材は、環状隙間内においてそれぞれ転動自在に圧入されている。転動部材は弾性部と軸部とを有する。弾性部はハブの軸線と直交する断面で楕円形の輪郭を有して筒状に延びる弾性材からなると共に環状隙間における径方向の隙間の長さより長い短径を有する。軸部は弾性部の楕円中心に中心を合わせて弾性部内に圧入される。
本発明の一側面によれば、打音が発生することなくハブとプーリ本体との間の相対回転を所定の角度範囲内に制限することが可能なプーリを提供することができる。
本発明の一実施形態におけるプーリの断面図である。 上記プーリの正面図である。 上記プーリから抜け防止部を取り外した状態を示した図である。 上記プーリのトルク伝達の動作を説明するための概念図である。 上記プーリにおけるハブとプーリ本体との間の相対回転角度と転動部材の捩じり方向のバネ力との関係を説明するための概念図である。 上記プーリの変形例を説明するための図である。 上記プーリの別の変形例を説明するための断面図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態におけるプーリ100の断面図である。図1にはプーリ100がクランクシャフトCの端部に取り付けられた状態の一例が示されている。図2はプーリ100の正面図である。なお、図1に示されたプーリ100の断面図は図2に示すA−A切断線でのプーリ100の断面図である。また、プーリ100(詳しくは後述するプーリ本体20には、図示を省略した無端状のベルトが巻き掛けられる。
[プーリの概略構成]
プーリ100は、クランクシャフトCからの回転トルクを、例えば図示省略した補機に上記ベルトを介して伝達するものである。このクランクシャフトCは、内燃機関の燃焼サイクルに起因するトルク変動を伴って回転している。そのため、プーリ100は、クランクシャフトCの回転トルクを補機にトルク変動を減じた状態でベルトを介して伝達するように構成されている。つまり、プーリ100はトルク変動の一部を吸収することによって補機に伝達する回転トルク(つまり伝達トルク)のトルク変動の変動量(振幅)を低減し、伝達トルクの平準化を図る機能(伝達トルク平準化機能)を有している。
プーリ100は、ハブ10と、プーリ本体20と、転動部材群30Aとを含んで構成されている。クランクシャフトCからプーリ100に入力される回転トルクはトルク変動を伴っているが、プーリ100から補機に伝達する回転トルク(つまり伝達トルク)のトルク変動の変動量(振幅)は転動部材群30Aによって低減されている。したがって、このプーリ100では、転動部材群30Aによって伝達トルクの平準化が図られるように構成されている。つまり、プーリ100の上述した伝達トルク平準化機能は、転動部材群30Aによって発揮されている。この伝達トルク平準化機能については後に詳述する。
ハブ10は、クランクシャフトCの端部に固定されるものであり、クランクシャフトCと一体的に回転する部材である。ハブ10は、全体として円環状に形成され、例えば、金属材からなる。本実施形態では、ハブ10は、ボス部11と外側円筒部12と円盤部13とを有し、これらが一体に形成されている。ハブ10の軸線XはクランクシャフトCの端部の軸線に合わせられている。
ボス部11は、円筒状に形成され、クランクシャフトCの端部の外周に嵌合してクランクシャフトCの端部に固定されている。ボス部11は、クランクシャフトCの端部が嵌合される軸孔11aを有する。この軸孔11aには、図示省略した角柱状のキーが嵌合されるキー溝11bが形成されている。また、クランクシャフトCには、ボス部11のキー溝11bに対応したキー溝C1が形成されており、図示省略した上記キーがこれらのキー溝11b及びキー溝C1に嵌合している。したがって、ハブ10は、クランクシャフトCに対して相対回転することなくクランクシャフトCと一体に回転するようにクランクシャフトCの端部に固定されている。
外側円筒部12は、ボス部11の径方向外側においてボス部11と軸心を合わせて設けられる部分である。外側円筒部12の内周面とボス部11の外周面との間には隙間が設けられている。本実施形態では、ハブ10の外周面10aは外側円筒部12の外周面により構成されている。
円盤部13は、ボス部11と外側円筒部12との間を接続する部分である。円盤部13は、ボス部11の軸線Xの延伸方向についての中間部から径方向外側に延び、平面視で円盤状に形成されている。円盤部13の径方向の内縁部分はボス部11の外周面に接続し、円盤部13の径方向の外縁部分は外側円筒部12の軸線Xの延伸方向についての一端部に接続している。また、円盤部13には、軽量化のための貫通孔13aが開口されている。
プーリ本体20は、ハブ10の径方向外側に配置されて、ベルトが巻き掛けられる部材である。プーリ本体20は、円筒状に形成され、例えば、金属材からなる。プーリ本体20の外周面には、V状の断面を有したプーリ溝20aが周方向全周に亘って形成されており、このプーリ溝20aに、図示省略したベルトが巻き掛けられる。具体的には、プーリ本体20の軸線Xの延伸方向についての幅は、ハブ10の外側円筒部12の軸線Xの延伸方向についての長さに合わせられている。プーリ本体20の内周面20bとハブ10(詳しくは外側円筒部12)の外周面10aとの間には、円環状の隙間G(以下、環状隙間Gという)が空けられている。この環状隙間Gには、転動部材群30Aが圧入されている。
転動部材群30Aは、複数の転動部材30からなるものである。以下では、主に、転動部材群30Aの詳細構造及び機能について詳述する。
[プーリの詳細構造]
次に、本実施形態におけるプーリ100の詳細構造について、主に転動部材群30Aの構造及び機能を中心に説明する。図3はプーリ100から後述する抜け防止部40を取り外した状態を示した図である。
まず、転動部材群30Aの構造及び抜け防止部40について詳述する。
転動部材群30Aを構成する複数の転動部材30は、ハブ10とプーリ本体20との間の環状隙間Gにて周方向に等間隔に離れた位置でそれぞれハブ10の軸線Xと平行に延びている。そして、複数の転動部材30は、環状隙間G内においてそれぞれ転動自在に圧入されている。ただし、この転動の角度範囲は後述するように制限されている。このように、複数の転動部材30がハブ10とプーリ本体20との間に設けられているため、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転が複数の転動部材30の転動によって許容されている。つまり、プーリ本体20はハブ10の径方向の外側に複数の転動部材30を介してハブ10に対して相対回転可能に配置されている。転動部材30の個数は特に限定されるものではないが、図では、転動部材30は8個設けられている。
各転動部材30は、ハブ10の軸線Xと直交する断面で楕円形の断面を有して、軸線Xの延伸方向に延びている。そして、各転動部材30は、初期状態(つまり、クランクシャフトCの回転が停止している状態)で、その楕円の短軸がハブ10及びプーリ本体20の径方向に延びるように、短軸の向きを合わせて配置されている。換言すると、転動部材30は、初期状態で短軸の延伸方向をハブ10及びプーリ本体20の径方向に合わせた状態で、ハブ10の外周面10aとプーリ本体20の内周面20bとの間の円環状の環状隙間Gに圧入されている。本実施形態では、転動部材30は、環状隙間Gにおいて周方向に45°の角度ピッチで圧入されている。
各転動部材30は、それぞれ弾性部31と軸部32とからなるものであり、弾性部31はゴムなどの弾性材からなり、軸部32は樹脂や金属などの剛性を有する材料からなる。
弾性部31は、ハブ10の軸線Xと直交する断面で楕円形の輪郭を有して筒状に延びる弾性材からなる。そして、弾性部31は、環状隙間Gにおける径方向の隙間の長さより長い短径(詳しくは楕円の短軸方向の外径)を有する部材である。
弾性部31には、その長手方向全体に亘って貫通する筒孔31aが形成されている。この筒孔31aの孔中心は、弾性部31の楕円形の輪郭の楕円中心に合わせられている。また、本実施形態では、筒状の弾性部31の筒孔31aは、ハブ10の軸線Xと直交する断面で楕円形の断面を有している。したがって、本実施形態では、筒状の弾性部31の外側の形状(つまり輪郭)だけでなく、弾性部31の内側の形状も楕円形で形成されている。そして、弾性部31の軸線Xの延伸方向の長さは、プーリ本体20の軸線Xの延伸方向の幅及びハブ10の外側円筒部12の軸線Xの延伸方向の長さより僅かに短く設定されている。
軸部32は、弾性部31の楕円中心に中心を合わせて弾性部31内に圧入される部材である。軸部32は、軸部32の圧入前の弾性部31の筒孔31aより僅かに大きい外形を有して、一方向に棒状に延びている。軸部32が弾性部31(筒孔31a)内に圧入された状態で、軸部32の外周面が弾性部31の筒孔31aの孔壁面の全体に亘って密着している。これにより、軸部32が弾性部31と一体になって、一つの転動部材30が構成されている。
本実施形態では、軸部32は、筒孔31aと同様にハブ10の軸線Xと直交する断面で楕円形の断面を有している。軸部32の楕円形の外形(輪郭)は軸部32の圧入前の筒孔31aの楕円形より僅かに大きい。そして、本実施形態では、例えば、軸部32の楕円形の輪郭と環状隙間Gへの圧入前の弾性部31の楕円形の輪郭は、互いに概ね相似形であるものとする。
本実施形態では、軸部32の軸線Xの延伸方向の長さは、プーリ本体20及びハブ10の外側円筒部12についての、軸線Xの延伸方向の幅や長さよりも長く設定されている。したがって、本実施形態では、軸部32の両端部は、環状隙間Gから外部にそれぞれ飛び出している。
本実施形態では、プーリ100は、転動部材30の環状隙間Gからの抜けを防止する抜け防止部40を更に含んでいる。
具体的には、抜け防止部40は、第1プレート41と第2プレート42とからなる。第1プレート41は、円環プレート状に形成され、環状隙間Gの一端側(図1では左端側)の開口を塞ぐと共に複数の転動部材30のそれぞれにおける軸部32の一端部(図1では左側の端部)を支持する部材である。第2プレート42は、円環プレート状に形成され、環状隙間Gの他端側(図1では右端側)の開口を塞ぐと共に複数の転動部材30のそれぞれにおける軸部32の他端部(図1では右側の端部)を支持する部材である。
詳しくは、第1プレート41及び第2プレート42は、互いに同形状の円盤状に形成されている。第1プレート41の内縁部分は外側円筒部12の軸線Xの延伸方向の一端面における外縁部分に当接し、第1プレート41の外縁部分はプーリ本体20の軸線Xの延伸方向の一端面における内縁部分に当接している。そして、この状態で、各軸部32の一端部が第1プレート41を貫通して第1プレート41にカシメなどによって固定されると共に、弾性部31の一端部と第1プレート41との間に僅かな隙間が空けられている。また、第2プレート42の内縁部分は外側円筒部12の軸線Xの延伸方向の他端面における外縁部分に当接し、第2プレート42の外縁部分はプーリ本体20の軸線Xの延伸方向の他端面における内縁部分に当接している。そして、この状態で、各軸部32の他端部が第2プレート42を貫通して第2プレート42にカシメなどによって固定されると共に、弾性部31の他端部と第2プレート42との間に僅かな隙間が空けられている。これにより、第1プレート41と第2プレート42との間において、各転動部材30の前後方向(つまり軸線Xの延伸方向)の移動が規制されている。その結果、転動部材30の環状隙間Gからの抜けが防止されている。また、全ての転動部材30の両端部が第1プレート41と第2プレート42とにより支持されて、各転動部材30が環状隙間G内において安定的に配置されている。つまり、本実施形態では、第1プレート41及び第2プレート42からなる抜け防止部40は、転動部材30の抜け防止機能に加えて転動部材30を支持する支持機能をも有している。
[転動部材群の機能]
次に、転動部材群30Aの機能について、図1〜図4を参照して詳述する。
転動部材群30Aは、プーリ本体20をハブ10に対して相対回転可能に支持する支持機能と、前述した伝達トルク平準化機能と、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転を所定の角度範囲内に制限するためのストッパ機能とを有している。図4は、プーリ100のトルク伝達の動作を説明するための概念図である。なお、図1〜図3では、クランクシャフトCが回転していないときの状態が示されているが、図4では、クランクシャフトCがトルク変動を伴って回転しているときの状態が示されている。
転動部材30が環状隙間Gに圧入されると、図1〜図3に示すように、弾性部31の外周面における短径側の部位がハブ10の外周面10a及びプーリ本体20の内周面20bに当接すると共に、弾性部31が短径方向の内向きに圧縮されて扁平に弾性変形する。このとき、弾性部31の長径(詳しくは楕円の長軸方向の外径)は、環状隙間Gへの圧入(挿入)前の自由状態における長径よりも扁平に弾性変形した分だけ僅かに長くなっている。そして、この弾性変形による弾性部31からの反力がハブ10の外周面10a及びプーリ本体20の内周面20bに作用することによって、転動部材30はハブ10の外周面10a及びプーリ本体20の内周面20bに密着している。
そして、ハブ10がクランクシャフトCと一体的に回転し始めると、図4に破線の楕円で示したように、各転動部材30は、その楕円の長軸の延伸方向がハブ10及びプーリ本体20の径方向に近づく方向に僅かに回転して、ハブ10の外周面10a上を周方向に僅かに転動し始める。つまり、各転動部材30は概ねその楕円中心を中心として捩じれるように回転し始める。その結果、プーリ本体20は、弾性部31を外殻とする複数の転動部材30からなる転動部材群30Aを介してハブ10(外側円筒部12)に対して相対回転可能に支持されている。このように、転動部材群30Aは、プーリ本体20をハブ10に対して相対回転可能に支持する支持機能を有している。
また、トルク変動を伴って回転しているクランクシャフトCからの回転トルクはハブ10に入力され、ハブ10(外側円筒部12)はクランクシャフトCと一体的にトルク変動を伴って一方向に回転している。したがって、各転動部材30に密着したハブ10(外側円筒部12)から各転動部材30に作用する力(つまり転動部材30を転動させる力)の大きさは、一定でなく、クランクシャフトCのトルク変動に対応して変動している。そして、転動部材30の転動の過程において、弾性部31の長軸側の部分が徐々に圧縮され、弾性部31が楕円中心を中心として捩じられるように弾性変形する。このように各転動部材30が捩じり方向に弾性変形することによって、ハブ10のトルク変動を伴う回転トルクは、そのままプーリ本体20に伝達されることなく、トルク変動の変動量(振幅)が低減(吸収)された状態で、プーリ本体20に伝達される。つまり、転動部材群30Aの各転動部材30がそれぞれ捩じり方向に弾性変形することによって、ハブ10からプーリ本体20に伝達される回転トルクのトルク変動の変動量(振幅)は低減(吸収)されている。その結果、プーリ本体20自体の回転トルクのトルク変動は低減されており、プーリ本体20から補機に伝達される伝達トルクは概ね平準化されている。したがって、転動部材群30Aは、トルク変動を吸収して伝達トルクの平準化を図る機能(伝達トルク平準化機能)を有している。このように、プーリ100は、クランクシャフトCの回転トルクを補機に、転動部材群30Aを用いてトルク変動を減じた状態で、伝達するように構成されている。
ここで、クランクシャフトCが回転しているとき、転動部材30はプーリ本体20の内周面20b及びハブ10の外周面10aに密着した状態で捩じり方向に弾性変形しており、各転動部材30における弾性変形の反力の一部はプーリ本体20のハブ10に対する相対回転に抗するバネ力としてプーリ本体20に作用する。つまり、ハブ10の外周面10aの径方向外側には、質量体としてのプーリ本体20と弾性体としての転動部材群30Aとからなる振動系が構成されている。この振動系はハブ10に対するプーリ本体20の相対回転の回転方向に振動する。転動部材群30Aは上述したように伝達トルクの平準化を図っているが、各転動部材30はクランクシャフトCのトルク変動に対応して捩じり方向に僅かな振幅量で振動しているため、プーリ本体20はハブ10に対する相対回転について僅かな振幅量で振動している。
また、内燃機関の始動からアイドル回転数に到達するまでの間などにおいては、クランクシャフトCの回転トルクが急激に変動するため、この急激な回転トルクの変動によって、プーリ本体20とハブ10との相対回転の角度(振幅)が過大になることを防止する必要がある。この点、各転動部材30において、捩じり方向の弾性変形による圧縮が過大になり、転動部材30が所定の捩じり方向の角度まで捩じれると、転動部材30のそれ以上の転動が止まる。その後、プーリ本体20とハブ10との相対回転の振幅は転動部材30によって規定される所定の角度範囲内に規制される。つまり、各転動部材30の転動の角度範囲は転動部材30自体の弾性力によって制限されており、各転動部材30はプーリ本体20のハブ10に対する相対回転の角度範囲を規制するストッパとして機能する。このように、転動部材群30Aは、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転を所定の角度範囲内に制限するためのストッパ機能を有している。したがって、プーリ100では、特許文献1に開示されたプーリに発生していたような金属による打音は発生せず、転動部材群30Aによって、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転は所定の角度範囲内に制限されている。
図5は、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転の角度θ(振幅)と転動部材30の捩じり方向のバネ力Fとの関係を説明するための概念図である。図5に示すように、転動部材30の捩じり方向のバネ力Fは、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転の角度θ(振幅)が増加するほど増加している。そして、転動部材30の捩じり方向のバネ力Fの増加率(つまり、転動部材30の捩じり方向のバネ力Fを相対回転の角度θで除して得た転動部材30のバネ定数)は相対回転の角度θが増加するほど大きくなっている。このことは、転動部材30のバネ定数が、相対回転の角度θの増加に応じて大きくなっていることを示している。詳しくは、相対回転の角度θが所定の第1角度θ1で、転動部材30がストッパとして機能し、相対回転の角度θが第1角度θ1より大きい所定の第2角度θ2以上で、転動部材30は剛体に近い部材として機能している。第1角度θ1及び第2角度θ2は転動部材30の寸法や材質などによって適宜に設定することができる。また、内燃機関の始動からアイドル回転数に到達するまでの間などにおいて、クランクシャフトCの回転トルクが急激に変動し、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転の角度θが大きくなった場合には、転動部材30のバネ定数は大きく増加する。そのため、回転トルクが急激に変動している場合には、プーリ本体20と転動部材群30Aとからなる振動系の回転方向(軸線X周りの回転)の振動の共振周波数が上昇する。具体的には、振動系の回転方向(軸線X周りの回転)の振動の共振周波数は、例えば、アイドル回転数で回転したクランクシャフトCに生じているトルク変動の周波数域を超える領域まで上昇する。その結果、内燃機関の始動からアイドル回転数に到達するまでの間において、この振動系が共振(いわゆるカップリング共振)することが防止される。また、アイドル回転数を超える回転数においては、クランクシャフトCの回転トルクの急激な変動はない。その結果、アイドル回転数を超える回転数の運転領域においては、転動部材30のバネ定数は比較的に低い値に維持され、この振動系の共振周波数は比較的に低い状態に概ね維持される。そして、プーリ100は、アイドル回転数を超える回転数では、クランクシャフトCの回転トルクを補機に、バネ定数の低い転動部材群30Aを用いてトルク変動を減じた状態で、伝達する。
本実施形態によるプーリ100によれば、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転を所定の角度範囲内に制限するためのストッパ機能は、転動部材30自体の弾性力によって発揮されており、このストッパ機能を発揮しているときに、従来のような金属の打音は発生しない。このようにして、打音を発生させずに、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転を所定の角度範囲内に制限することが可能なプーリ100を提供することができる。また、転動部材群30Aという一群の構成要素だけで、プーリ本体20をハブ10に対して相対回転可能に支持する支持機能、伝達トルク平準化機能、及び、ストッパ機能が発揮される。
また、転動部材30のバネ定数はハブ10とプーリ本体20との間の相対回転の角度θの増加に応じて大きくなるため、転動部材30に大きな捩じり方向の力が作用しているときには、転動部材30の剛性が高くなる。これにより、転動部材30の耐久力が向上する。また、ストッパ機能は、転動部材30自体の弾性力によって発揮されるため、従来の突起と孔の干渉によるストッパ構造と比べて、簡易な構造でストッパ構造を構築することができる。そして、転動部材30の中心には剛性の高い軸部32が圧入されているため、転動部材30における支持機能の安定化が図られる。
本実施形態では、弾性部31の筒孔31a及び軸部32はそれぞれハブ10の軸線Xと直交する断面で楕円形の断面を有している。つまり、弾性部31だけでなく、軸部32も楕円形の輪郭を有している。これにより、後述する断面が真円形状の転動部材30(図6参照)と比較して、転動部材30の転動の角度範囲、換言すると、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転の角度範囲を、容易に狭く設定することができる。
本実施形態では、プーリ100は、転動部材30の環状隙間Gからの抜けを防止する抜け防止部40を更に含んでいる。各転動部材30の前後方向(つまり軸線Xの延伸方向)の移動が規制され、プーリ100の転動部材30の各機能がより確実に発揮される。
本実施形態では、抜け防止部40を構成する第1プレート41及び第2プレート42は、転動部材30の抜け防止機能に加えて転動部材30を支持する支持機能をも有している。これにより、簡易な構造で、各転動部材30を環状隙間G内において安定的に配置することができる。また、第1プレート41及び第2プレート42はそれぞれ環状隙間Gの開口を塞ぐ円盤状に形成されているため、一対のプレート(41,42)だけで、全ての転動部材30の抜けを防止することができると共にすべての転動部材30の両端部を支持することができる。
[変形例]
なお、本実施形態では、軸部32の楕円形の輪郭と環状隙間Gへの圧入前の弾性部31の楕円形の輪郭は互いに概ね相似形であるものとしたが、これに限らず、相似形でなくてもよい。具体的には、軸部32の楕円形の輪郭の短軸と長軸との比率と、弾性部31の楕円形の輪郭の短軸と長軸との比率とが、互いに異なっていてもよい。比率を変更することによって、転動部材30の転動の角度範囲、つまり、ハブ10とプーリ本体20との間の相対回転の角度範囲や、転動部材30のバネ定数の変化の程度を容易に調整することができる。
また、弾性部31の筒孔31a及び軸部32はそれぞれ楕円形の断面を有しているものとしたが、これに限らず、適宜の断面形状を採用することができる。例えば、図6に示すように、軸部32の断面形状は真円形でもよい。この場合であっても、転動部材30は、支持機能、伝達トルク平準化機能、及び、ストッパ機能を発揮することができる。また、軸部32の断面形状が真円形の場合、楕円形の場合と比較すると、転動部材30の転動の角度範囲を広く設定することができる。
そして、図7に示すように、ハブ10の外側円筒部12が円筒状の第1外側円筒部12aと第1外側円筒部12aの径方向内側の円筒状の第2外側円筒部12bとからなり、第1外側円筒部12aと第2外側円筒部12bとの間に円環状の隙間が空けられ、この隙間に円筒状の弾性体からなる円筒弾性部50が圧入されてもよい。この場合、第2外側円筒部12bの径方向外側に、質量体としての第1外側円筒部12aと弾性体としての円筒弾性部50とからなる振動系が構成されることになる。そして、この振動系の回転方向(軸線X周りの回転)の振動の共振周波数(固有振動数)は、クランクシャフトCの捩じり方向の振動の共振周波数(固有振動数)に同調されている。これにより、クランクシャフトCのトルク変動自体がこの円筒弾性部50によって吸収され、第1外側円筒部12aより外側に伝達される回転トルクのトルク変動の変動量(振幅)が低減される。その結果、プーリ100は、クランクシャフトCの回転トルクを補機により安定した状態で伝達することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態及びその変形例について幾つか説明したが、本発明は上記実施形態及び上記変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
10…ハブ
20…プーリ本体
30A…転動部材群
30…転動部材
31…弾性部
31a…筒孔
32…軸部
40…抜け防止部
41…第1プレート
42…第2プレート
100…プーリ
C…クランクシャフト
G…環状隙間
X…軸線

Claims (4)

  1. クランクシャフトの回転トルクを伝達するプーリであって、
    前記クランクシャフトの端部に固定されるハブと、
    前記ハブの径方向外側に配置されるプーリ本体と、
    前記ハブと前記プーリ本体との間の環状隙間にて周方向に等間隔に離れた位置でそれぞれ前記ハブの軸線と平行に延びると共に前記環状隙間内においてそれぞれ転動自在に圧入される複数の転動部材からなる転動部材群と、
    を含み、
    前記転動部材は、前記軸線と直交する断面で楕円形の輪郭を有して筒状に延びる弾性材からなると共に前記環状隙間における径方向の隙間の長さより長い短径を有する弾性部と、前記弾性部の楕円中心に中心を合わせて前記弾性部内に圧入される軸部とを有する、プーリ。
  2. 前記弾性部の筒孔及び前記軸部は、それぞれ前記軸線と直交する断面で楕円形の断面を有する、請求項1に記載のプーリ。
  3. 前記転動部材の前記環状隙間からの抜けを防止する抜け防止部を更に含む、請求項1又は2に記載のプーリ。
  4. 前記軸部の両端部は、前記環状隙間から外部にそれぞれ飛び出しており、
    前記抜け防止部は、
    前記環状隙間の一端側の開口を塞ぐと共に前記複数の転動部材のそれぞれにおける前記軸部の一端部を支持する円環プレート状の第1プレートと、
    前記環状隙間の他端側の開口を塞ぐと共に前記複数の転動部材のそれぞれにおける前記軸部の他端部を支持する円環プレート状の第2プレートとからなる、
    請求項3に記載のプーリ。
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