JP2021070258A - フィルム積層体、フィルム積層体の製造方法、及び光学材料の製造方法 - Google Patents

フィルム積層体、フィルム積層体の製造方法、及び光学材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム積層体において、硬化樹脂層に対する離型フィルムの剥離性を良好にしつつ、離型フィルムに対する樹脂層を形成するための硬化性樹脂組成物の塗布性を良好にする。【解決手段】フィルム積層体10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の少なくとも片面に離型層13とを有する離型フィルム11と、離型フィルム11の離型層13上にこの順に設けられる硬化樹脂層14及び光学部材15とを備え、離型層13が、ワックス(A)、架橋剤(B)、及びバインダー樹脂(C)含む離型層組成物を硬化してなり、硬化樹脂層24が、硬化性樹脂組成物を硬化してなり、硬化樹脂層14から離型フィルム11を剥離した後の離型層13の表面の水滴接触角が70〜98°である。【選択図】図1

Description

本発明は、離型フィルム、硬化樹脂層、及び光学部材をこの順に備えるフィルム積層体、フィルム積層体の製造方法、及びフィルム積層体を使用した光学材料の製造方法に関する。
工業材料、光学材料、電子部品材料、電池用包装材など様々な分野で、基材フィルムの少なくとも片面に離型層を設けた離型フィルムが使用されている。離型フィルムの基材フィルムとしては、ポリエステルフィルムとして代表的なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、特に2軸延伸PETフィルムが、透明性、機械強度、耐熱性、柔軟性などに優れることから広く使用されている。
離型フィルムは、例えば、樹脂層を成形するための支持体として用いる場合がある。離型フィルムを支持体として用いる場合、一般的には離型フィルムの離型層表面に樹脂組成物を塗布、乾燥することで樹脂層をシート状に成形し、成形した樹脂層から離型フィルムを剥離することで樹脂層を得ることが一般的である。
一方で、光学材料を構成する樹脂層は、押出成形加工により成形することが一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかし、近年、光学材料は、軽量、薄膜化の傾向にあり、押出成形加工では厚みの制御、例えば、薄膜化に限界がある。
そのため、さらなる薄膜化のために、光学材料を構成する樹脂層を、上記したように、離型フィルム上に樹脂組成物を塗布することより成形することが試みられている。そして、離型フィルム上に形成された薄膜の樹脂層は、樹脂層に他の光学部材などをさらに積層したうえで、離型フィルムを剥離させることで、離型フィルムから光学部材に転写されることがある。
特開2016−020052号公報
樹脂組成物を離型フィルムの離型層表面に塗布して樹脂層を成形する場合、樹脂組成物を塗布したときにハジキなどが発生して、塗布性が低くなることがある。特に、光学材料を構成する樹脂層は、吸水性を低くするために、疎水性の高い樹脂組成物を使用することがあるが、その場合には、塗布性が低下しやすい傾向にある。
また、光学材料を構成する樹脂層は、硬化した後に上記の通り離型フィルムを剥離することが多いため、樹脂層硬化後でも離型フィルムには適度な剥離性を有することが必要とされる。しかし、硬化後の樹脂層に対する剥離性を良好にするためには、単に離型層の剥離力を軽くするだけでは不十分なことが多い。さらに、上記のように光学材料を構成する薄膜の樹脂層を、離型フィルムから光学部材に転写する場合などには、より高度な剥離性の制御が要求される。
したがって、樹脂組成物を離型フィルムの離型層表面に塗布して、光学材料を構成する樹脂層を成形する場合、塗布性及び剥離性を良好にするためには、汎用的に使用されるシリコーン系離型層を設けた離型フィルムでは対応困難なことが多い。
そこで、本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、離型フィルム上に硬化樹脂層と光学部材が順次設けられたフィルム積層体において、硬化樹脂層に対する離型フィルムの剥離性を良好にしつつ、離型フィルムに対する樹脂層を形成するための硬化性樹脂組成物の塗布性を良好にすることを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、フィルム積層体において、剥離層を形成するための剥離層組成物にワックス(A)、架橋剤(B)、及びバインダー樹脂(C)を含有させ、かつ硬化樹脂層から剥離した後の離型フィルムの離型面の水滴接触角を70°〜98°とすることで、上記課題を解決できること見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[19]を提供する。
[1]基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも片面に離型層とを有する離型フィルムと、
前記離型フィルムの前記離型層上にこの順に設けられる硬化樹脂層及び光学部材とを備え、
前記離型層が、ワックス(A)、架橋剤(B)、及びバインダー樹脂(C)含む離型層組成物を硬化してなり、前記硬化樹脂層が、硬化性樹脂組成物を硬化してなり、
前記硬化樹脂層から前記離型フィルムを剥離した後の離型層の表面の水滴接触角が70〜98°である、フィルム積層体。
[2]前記硬化樹脂層の表面硬度が70MPa以上である、上記[1]に記載のフィルム積層体。
[3]前記硬化樹脂層の吸水率が0.4質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載のフィルム積層体。
[4]前記基材フィルムがポリエステルフィルムである、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
[5]前記離型層中のワックス(A)の含有量が5〜60質量%である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
[6]前記硬化樹脂層の100℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
[7]前記硬化樹脂層がアクリル系樹脂層である上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
[8]前記アクリル系樹脂層が、アクリル系樹脂組成物を硬化してなり、
前記アクリル系樹脂組成物が、疎水性モノマーを含む、上記[7]に記載のフィルム積層体。
[9]前記疎水性モノマーが、炭化水素系アクリルモノマー(X)、及び親水性官能基を有しないヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[8]に記載のフィルム積層体。
[10]前記疎水性モノマーが、前記炭化水素系アクリルモノマー(X)、及び前記ヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)の両方を含有し、
前記アクリル系樹脂組成物におけるヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)に対する炭化水素系アクリルモノマー(X)の質量比が、20/80〜90/10である、上記[8]又は[9]に記載のフィルム積層体。
[11]前記光学部材がディスプレイ用部材である、上記[1]〜[10]のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
[12]前記光学部材がポリカーボネート系樹脂シートである、上記[1]〜[11]のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
[13]前記離型フィルムとして第1及び第2の離型フィルムを有し、かつ前記硬化樹脂層として第1及び第2の硬化樹脂層を有し、
前記第1及び第2の硬化樹脂層が、それぞれ前記第1及び第2の離型フィルムの前記離型層上それぞれに設けられ、
前記第1の剥離フィルム、前記第1の硬化樹脂層、前記光学部材、前記第2の硬化樹脂層、及び前記第2の剥離フィルムをこの順に有する上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
[14]上記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のフィルム積層体の製造方法であって、
前記離型フィルムを用意し、前記離型フィルムの離型層上に前記硬化性樹脂組成物を塗布して塗布層を形成する工程と、
前記離型フィルム上の塗布層に光学部材を貼り合せる工程と、
前記光学部材を貼り合わせた塗布層に活性エネルギー線を照射して塗布層を硬化して硬化樹脂層とする工程と
を備えるフィルム積層体の製造方法。
[15]前記硬化性樹脂組成物が無溶剤系である、上記[14]に記載のフィルム積層体の製造方法。
[16]上記[14]又は[15]に記載のフィルム積層体の製造方法により製造されたフィルム積層体より、離型フィルムを剥離して、前記光学部材と前記硬化樹脂層を備える光学材料を得る光学材料の製造方法。
[17]前記光学部材を巻き出す工程と、
前記離型フィルムを巻き出す工程と、
前記フィルム積層体から前記離型フィルムを剥離して得た前記光学材料を巻き取る工程をさらに備え、
前記巻き出された前記離型フィルムの離型層上に前記硬化性樹脂組成物を塗布し、かつ巻き出した前記光学部材を、離型フィルム上の塗布層に貼り合わせる
上記[16]に記載の光学材料の製造方法。
[18]上記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のフィルム積層体から前記離型フィルムを剥がして、いずれか一方の面に他の光学部材を貼り合わせる、光学材料の製造方法。
[19]前記離型フィルムを剥がした後、露出する硬化樹脂層表面に粘着層を介して、他の光学部材を貼り合せる上記[18]に記載の光学材料の製造方法。
本発明では、離型フィルム上に硬化樹脂層と光学部材が順次設けられたフィルム積層体において、硬化樹脂層に対する離型フィルムの剥離性を良好にしつつ、離型フィルムに対する樹脂層を形成するための硬化性樹脂組成物の塗布性を良好にすることができる。
フィルム積層体の一実施形態を示す。 フィルム積層体の製造方法、及びフィルム積層体の使用方法の一実施形態を示す。 フィルム積層体及び光学材料の製造方法の一実施形態を示す。
次に、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、本発明が、次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<フィルム積層体>>
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルム積層体10を示す。フィルム積層体10は、図1に示すように、基材フィルム12と、基材フィルム12の少なくとも片面に離型層13とを有する離型フィルム11を備える。フィルム積層体10は、離型フィルム11の離型層13上に硬化樹脂層14及び光学部材15をこの順に備える。硬化樹脂層14は、硬化性樹脂組成物を硬化してなるものである。
なお、図1の離型フィルム11において、離型層13は、基材フィルム12の片面のみに設けられるが、両面に設けられてもよい。また、離型フィルム11は、基材フィルム12と離型層13との間に他の層を備えていてもよい。
図2は、フィルム積層体の製造方法、及びフィルム積層体の使用方法の一実施形態の概略を示す。硬化樹脂層14は、特に限定されないが、図2(A)に示すように、離型フィルム11の離型層13上に、例えば硬化性樹脂組成物を塗布して塗布層14Aを形成し、かつ図2(C)に示すように、該塗布層14Aを硬化することで形成するとよい。また、光学部材15は、図2(B),(C)に示すように、硬化前の塗布層14Aに貼り合わせて、その貼り合わせ後に塗布層14Aを硬化することが好ましいが、塗布層14Aの硬化後に硬化樹脂層14に光学部材15を貼り合わせてもよい。
また、積層フィルム10において、離型フィルム11は、図2(D)に示すように、硬化樹脂層14より剥離され、露出された硬化樹脂層14には、他の光学部材などが適宜貼り合わされるとよい。
<離型フィルム>
以下、各部材についてより詳細に説明するが、まず離型フィルムを構成する各部材についてさらに詳細に説明する。
[基材フィルム]
離型フィルムにおける基材フィルムは、フィルム状を呈するものであれば、その材料を特に限定するものではない。例えば、紙製、樹脂製、金属製などであってもよい。これらの中でも、機械的強度および柔軟性の観点から、樹脂製であることが好ましい。
樹脂製の基材フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミドなどの高分子を膜状に形成した樹脂フィルムを挙げることができる。また、フィルム化が可能であれば、これらの材料を混合したもの(ポリマーブレンド)や構成単位を複合化したもの(共重合体)であっても構わない。
上記例示したフィルムの中でも、ポリエステルフィルムは、耐熱性、平面性、光学特性、強度などの物性が優れており、特に好ましい。上記ポリエステルフィルムは単層でも、性質の異なる2以上の層を有する多層フィルム(すなわち、積層フィルム)でもよい。
また、ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性の観点で、二軸延伸フィルムであるのがより好ましい。したがって、二軸延伸ポリエステルフィルムがよりさらに好ましい。
上記ポリエステルフィルムの主成分樹脂であるポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。なお、主成分樹脂とは、ポリエステルフィルムを構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、ポリエステルフィルムを構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占めればよい。
上記ホモポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なホモポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等を例示することができる。
一方、上記ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の一種又は二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。
中でも、本離型フィルムにおける基材としては、60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本積層フィルムにおける基材としては、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。粒子を配合する場合、配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステルの製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは0.1〜3μmの範囲である。平均粒径を上記範囲で用いることにより、フィルムに適度な表面粗度を与え、良好な滑り性と平滑性が確保できる。
粒子を配合する場合、例えば、表層と、中間層を設けて、表層に粒子を含有させることが好ましい。この場合、より好ましくは、粒子を含有する表層、中間層、及び粒子を含有する表層をこの順に有する多層構造とするとよい。
さらに基材フィルム中の粒子の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0.0003〜3質量%の範囲である。粒子の含有量を上記範囲内とすることで、基材フィルムの透明性を確保しつつ、基材フィルムに滑り性を付与しやすくなる。
なお、基材フィルムに粒子が含有されない場合、あるいは含有量が少ない場合は、基材フィルムの透明性が高くなり外観な良好なフィルムが得られるが、滑り性が不十分となる場合がある。そのため、そのような場合には、離型層中に粒子を配合するなどすることで、滑り性を向上させたりするとよい。
[離型層]
離型フィルムに使用する離型層は、ワックス(A)、架橋剤(B)、及びバインダー樹脂(C)を含む離型層組成物を硬化してなる。離型層は、これら(A)〜(C)成分を含有する離型層組成物を使用することで、離型フィルムの硬化樹脂層に対する剥離性を良好にしつつ、硬化樹脂層を形成するための硬化性樹脂組成物の離型層に対する塗布性を良好にしやすくなる。また、離型層を構成する成分の硬化樹脂層への転移なども防止しやすくなる。
さらには、上記(A)〜(C)成分を含有することで、初期剥離性のみならず、経時における剥離性も安定する。そのため、後述するように、硬化樹脂層の光学部材に対する高い密着性を高温高湿下で長期間維持できるようにすると、後述する硬化樹脂層は、光学部材に対する密着性と離型フィルムからの剥離性という相反する特性を長期間保有することとなり、フィルム積層体の状態で長期間保管した後でも、フィルム積層体を良好に使用できる。
(水滴接触角)
本発明の一実施形態に係る離型フィルムの離型剤層表面の水滴接触角は、70〜98°である。水滴接触角が70°未満となると、硬化樹脂層から離型フィルムを剥離する際の剥離性が低くなり、離型フィルムを剥離して硬化樹脂層を光学部材に転写することなどが難しくなる。一方で、水滴接触角が98°を超えると、離型層表面への塗布性が低くなり、硬化樹脂層を形成するための硬化性樹脂組成物を離型剤層表面に塗布することが難しくなる。
これら観点から、水滴接触角は、好ましくは75〜98°であり、より好ましくは80〜98°であるのがよい。
水滴接触角は、離型層組成物を構成する各成分(例えば、ワックス(A)、架橋剤(B)、バインダー樹脂(C))の種類、及び量により調整できる。例えば、特に限定されないが、バインダー樹脂(C)として後述するアクリル樹脂を使用すると水滴接触角が低くなる傾向にある。また、バインダー樹脂の量を少なくしたり、ワックスの量を多くしたり、架橋剤量を適度に多くしたりすると、得られる離型層表面に離型剤がより多く集まることにより、水滴接触角は高くなる傾向にある。
なお、水滴接触角は、積層フィルムにおいて、離型フィルムを硬化樹脂層から剥離した後の離型層に対して測定したものである。また、水滴接触角は、JIS R3257:1999に記載の静滴法により測定できる。
(ワックス(A))
ワックス(A)は、特に限定されないが、天然ワックス、合成ワックス、それらを配合したワックスの中から選ばれる少なくとも一種のワックスである。ワックス(A)は、離型層において剥離性能を付与できる離型剤となる。
天然ワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスが挙げられる。植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油が挙げられる。動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウが挙げられる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシンが挙げられる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムが挙げられる。
合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトンが挙げられる。合成炭化水素としては、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾワールワックス)、ポリエチレンワックスが有名であるが、このほかに低分子量の高分子(具体的には粘度数平均分子量500〜20000の高分子)である以下のポリマーも含まれる。すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体がある。変性ワックスとしてはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体が挙げられる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体が挙げられる。少量で効果的に剥離性を付与できる観点からポリエチレンワックスが好ましい。
ワックス(A)は、1種単独で用いてもよいし、複数種を使用してもよい。
ワックス(A)の融点は、特に限定されないが、好ましくは100〜160℃、より好ましくは115〜150℃、さらに好ましくは125〜145℃である。ワックス(A)の融点を上記範囲内とすることで、離型層に剥離性を付与しつつ、成膜性を良好にできる。なお、ワックスの融点は、JIS K 2235−2009により測定できる。
離型層組成物におけるワックス(A)の含有量は、離型層組成物における不揮発成分に対して通常5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜50質量%であり、さらに好ましくは25〜45質量%である。ワックス(A)の含有量を5〜60質量%とすると、塗布性、剥離性が良好となり、特に、20〜50質量%とすると、剥離性が優れたものとなり、硬化樹脂層を光学部材に適切に転写できる。
また、離型層組成物における不揮発成分に対するワックス(A)の含有量は、離型層組成物を乾燥かつ硬化して得られる離型層におけるワックス(A)の含有量にほぼ等しいと推測される。したがって、離型層におけるワックス(A)の含有量は、通常5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜50質量%であり、さらに好ましくは25〜45質量%である。
(架橋剤(B))
離型層を形成するための離型層組成物は、上記のとおり架橋剤(B)を含有する。離型層組成物に架橋剤を含有させることで、架橋密度が高い緻密な離型層を形成することができ、剥離性を良好にできる。また、離型層を構成する成分の樹脂層への移行や、離型層の傷付きなども防止でき、耐溶剤性なども良好にしやすくなる。架橋剤は、特に制限はなく、従来公知の架橋剤を使用することができる。
架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。架橋剤は、これらの中でも、メラミン化合物、オキサゾリン化合物及びイソシアネート系化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましく、剥離性の観点からメラミン化合物であることが好ましい。また、これらの架橋剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら架橋剤とともに硬化する成分として、任意の重合性モノマーを離型層組成物に含有させてもよい。
(メラミン化合物)
架橋剤に使用するメラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。アルキロール化としては、メチロール化、エチロール化、イソプロピロール化、n−ブチロール化、イソブチロール化などが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、メチロール化が好ましい。また、エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。離型層の塗膜強度を向上させ、離型層と基材の密着性を向上させるという観点から、部分的又は完全にエーテル化したアルキロール化メラミン誘導体であることが好ましく、メチルアルコールでエーテル化したアルキロールであることがより好ましい。部分的にエーテル化したアルキロール基はエーテル化していないアルキロール基に対して、0.5〜5当量であることが好ましく、0.7〜5当量であることがより好ましい。また、メラミン化合物としては、単量体であってもよいし、2量体以上の多量体のいずれであってもよいし、これらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものを使用してもよい。
メラミン化合物の反応性を上げるため、離型層組成物には、メラミン化合物に加えて架橋触媒を含有させてもよい。架橋触媒としては、種々公知の触媒を使用することができ、例えば、アミン化合物、アミン化合物の塩類、パラトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸化合物やリン酸化合物などの有機酸類及びそれらの塩、イミン化合物、アミジン化合物、グアニジン化合物、有機金属化合物、ステアリン酸亜鉛やミリスチン亜鉛やステアリン酸アルミニウムやステアリン酸カルシウムなどの金属塩類などが挙げられる。これらの中でもアミン化合物、アミン化合物の塩類やパラトルエンスルホン酸が好ましく、アミン化合物やアミン化合物の塩類がより好ましい。
(オキサゾリン化合物)
オキサゾリン化合物は、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、該重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作製できる。中でも、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと(メタ)アクリロイル基を有するモノマーであるアクリルモノマーとの共重合体であるアクリル系ポリマーが好ましく、アクリル系ポリマーはポリアルキレンオキシド鎖を有してもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基という表現を用いた場合、「アクリロイル基」と「メタクリロイル基」の一方又は両方を意味するものとし、他の類似する用語も同様である。
付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上のモノマーを使用することができる。
他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができる。
また、他のモノマーとしては、ポリアルキレンオキシド鎖を有するモノマーも使用できる。ポリアルキレンオキシド鎖を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類のカルボキシル基にポリアルキレンオキシドを付加させたエステル等を好ましく例示することができる。ここで、ポリアルキレンオキシド鎖としては、例えば、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド等を好ましく例示できる。ポリアルキレンオキシド鎖の繰り返し単位は例えば3〜100の範囲であるとよい。
オキサゾリン化合物に使用される他のモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、好ましくは0.5〜10mmol/g、より好ましくは1〜9mmol/g、さらに好ましくは3〜8mmol/g、特に好ましくは4〜6mmol/gの範囲である。上記範囲で使用することで、塗膜の耐久性が向上し、さらには、剥離性の調整がしやすくなる。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基又はアミノ基含有化合物との縮合物が挙げられる。エポキシ化合物としては、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等が挙げられる。
ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが挙げられる。
ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルが挙げられる。
グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
エポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(イソシアネート系化合物)
イソシアネート系化合物は、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物である。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物等の重合体や誘導体も挙げられる。イソシアネートは、これらを単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートがより好ましい。
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸ナトリウムなどの重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール、エチルフェノールなどのフェノール系化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノールなどのアルコール系化合物、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物、ε‐カプロラクタム、δ‐バレロラクタムなどのラクタム系化合物、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミンなどのアミン系化合物、アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。これらの中でも特に加熱した後でも剥離特性が変化しにくいという観点から活性メチレン系化合物であることが好ましい。
また、イソシアネート系化合物は単体で用いてもよいし、各種ポリマーとの結合物を用いてもよい。さらに、イソシアネート系化合物は、各種ポリマーの混合物として離型層組成物に配合してもよい。イソシアネート系化合物の分散性や架橋性を向上させるという観点から、ポリエステル樹脂又はウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。イソシアネート系化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。なお、イソシアネート系化合物を使用した場合の架橋剤の量とは、上記ブロック剤、結合又は混合して配合されるポリマーなども含めた量である。
(カルボジイミド系化合物)
カルボジイミド系化合物は、カルボジイミド構造を有する化合物のことである。カルボジイミド系化合物を使用すると、離型層の耐湿熱性を向上することができる。カルボジイミド系化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。カルボジイミド系化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、1つの分子中に有機官能基とアルコキシ基などの加水分解基を有する有機ケイ素化合物である。例えば、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基含有化合物、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシランなどのスチリル基含有化合物、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有化合物、トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート基含有化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプト基含有化合物などが挙げられる。
上記化合物の中でも離型層の強度の保持の観点から、エポキシ基含有シランカップリング剤、ビニル基や(メタ)アクリル基などの二重結合含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤がより好ましい。
シランカップリング剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
剥離層組成物中に含まれる架橋剤は、剥離層を形成する際の乾燥過程や、製膜過程において、反応させて離型層の性能を向上させるように設計するとよい。剥離層組成物から形成された離型層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
剥離層組成物における架橋剤の含有量は、剥離層組成物中の不揮発成分に対して、通常5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。剥離層組成物における不揮発成分に対する架橋剤の含有量を5〜60質量%とすることで、剥離性を良好にしやすくなる。また、剥離層の強度が向上し、傷付き防止性なども向上しやすくなる。また、架橋剤の含有量を5〜60質量%とすると、離型層中に帯電防止剤などの添加剤を含む場合、帯電防止剤などのブリードアウトしやすい添加剤であってもブリードアウトを抑制し、ブリードアウトによるフィルムの汚染を防止することができる。
また、剥離剤組成物中に架橋触媒を含有する場合、架橋触媒の含有量は、剥離剤組成物中の不揮発成分に対して、通常0.4〜10質量%、好ましくは0.6〜8質量%、より好ましくは0.8〜5質量%である。架橋触媒の含有量が0.4〜10質量%であると、剥離層の強度が向上し、傷付き防止性などが向上しやすい傾向にある。
(バインダー樹脂(C))
本発明の離型層組成物に使用されるバインダー樹脂は、上記架橋剤(B)が架橋してなるポリマー以外に離型層組成物に含有されるポリマー成分である。離型層組成物がバインダー樹脂を含有することで、離型層の成膜性、透明性、剥離性などが向上する。
バインダー樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらの中では、塗布性、剥離性などの観点から、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、離型層自体の耐久性向上の観点から、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂がより好ましく、塗布性をさらに向上させる観点などから、アクリル樹脂がさらに好ましい。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂は、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体のいずれでもよい。
また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。すなわち、アクリル樹脂は、アクリル変性ポリエステル樹脂や、アクリル変性ポリウレタン樹脂であってもよい。
さらには、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれ、これらも本明細書では、アクリル変性ポリエステル樹脂や、アクリル変性ポリウレタン樹脂とする。なお、アクリル樹脂において使用される上記したポリエステル、ポリウレタンは、後述するバインダー樹脂に使用されるポリエステル、ポリウレタンとして例示されたものから適宜選択して使用できる。
また、アクリル樹脂は、基材フィルムとの密着性をより向上させるために、ヒドロキシル基、アミノ基を含有してもよい。
上記重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、及びそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂とは、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸および、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、p−キシリレングリコ−ル、ビスフェノ−ルA−エチレングリコ−ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ−ル、ジメチロ−ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジメチロ−ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ−ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。また、ポリエステル樹脂は、水分散体としてもよく、その場合、ポリエステル樹脂には適宜親水性官能基などを導入してもよい。
(ポリビニルアルコール)
ポリビニルアルコールとは、ポリビニルアルコール部位を有する化合物であり、例えば、ポリビニルアルコールに対し、部分的にアセタール化やブチラール化等された変性化合物も含め、従来公知のポリビニルアルコールを使用することができる。ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300〜40000の範囲である。重合度を100以上とすることで、離型層の耐水性が低下することを防止できる。また、ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されるものではないが、通常70モル%以上、好ましくは70〜99.9モル%の範囲、より好ましくは80〜97モル%、特に好ましくは86〜95モル%であるポリ酢酸ビニルケン化物が実用的に用いられる。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことである。通常ウレタン樹脂はポリオールとイソシアネートの反応により作製される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。ウレタン樹脂は、水分散体であってもよく、その場合、例えばポリオールに適宜親水性官能基を導入してもよい。
離型層組成物におけるバインダー樹脂の含有量は、離型層組成物における不揮発成分に対して通常10〜70質量%、好ましくは20〜65質量%、より好ましくは30〜60質量%、さらに好ましくは30〜55質量%である。バインダー樹脂の含有量を10〜70質量%とすることで、塗布性及び剥離性を良好にできる。また、離型層の外観や透明性を向上させやすくなる。
また、離型層組成物における不揮発成分に対するバインダー樹脂の含有量は、離型層組成物を硬化して得られる離型層におけるバインダー樹脂の含有量にほぼ等しいと推測される。したがって、離型層におけるバインダー樹脂の含有量は、通常10〜70質量%、好ましくは20〜65質量%、より好ましくは30〜60質量%、さらに好ましくは30〜55質量%である。
また、剥離層組成物には、上記した各成分以外にも、反応調整剤、密着強化剤、界面活性剤、帯電防止剤、粒子などの添加剤を適宜配合してもよい。
剥離層組成物は、液状の塗布液として基材フィルムに塗布し、必要に応じて乾燥し、かつ硬化させるとよい。剥離層組成物は、溶媒により希釈することで塗布液とすることが好ましい。剥離層組成物を構成する上記各成分((A)〜(C)成分など)は、溶媒に溶解させてもよいが、溶媒中に分散させてもよい。
剥離層組成物に用いる溶媒には制限はなく、水及び有機溶剤のいずれを使用すればよいが、環境保護の観点から、水を溶媒とする水性塗布液とすることが好ましい。水性塗布液には、少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤の具体的な量は、質量基準で水より少なくするとよいが、例えば、溶媒中の30質量%未満、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%未満とする。
水と併用する有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、エチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルエタノールアミン等のアミン類等を例示することができる。これらは単独、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。水性塗布液に、必要に応じてこれらの有機溶剤を適宜選択し、含有させることで、塗布液の安定性、塗布性を良好にできる場合がある。
また、上記溶剤として有機溶剤単独で使用する場合、有機溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン等のケトン類、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類などを挙げることができる。これらは、溶解性、塗布性や沸点等を考慮して単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。
<離型層の形成方法>
以下、離型層の形成方法について詳細に説明する。離型層の形成は、インラインコーティングにより行ってもよいし、オフラインコーティングにより行ってもよい。インラインコーティングは、基材フィルムを製造する製造ライン上で、基材フィルム表面に剥離層組成物の塗布液を塗布する方法である。オフラインコーティングは、一旦製造した基材フィルム上に系外(上記製造ライン外)で塗布液を塗布する方法である。離型層は、加工の容易性の点からインラインコーティングにより形成することが好ましい。
インラインコーティングは、具体的には、基材フィルムを構成する樹脂(例えば、ポリエステルフィルムであればポリエステル)を溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでのいずれか任意の段階で、基材フィルムに剥離層組成物の塗布液の塗布を行う方法である。通常、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムのいずれかで基材フィルムに塗布液を塗布するとよい。
塗布液を塗布する方法としては、例えば、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、ナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、カレンダコート、押出コート等従来公知の塗布方法を用いることができる。
また、特に限定されるものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムに塗布液を塗布した後に横方向に延伸する方法が好ましい。かかる方法によれば、基材フィルムの製膜と離型層の形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、塗布後に延伸を行うために、離型層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。さらには、離型層の厚みをより均一にすることができる。
また、延伸前に基材フィルム上に離型層組成物の塗布液を塗布することにより、離型層を基材フィルムと共に延伸することができ、それにより離型層を基材フィルムに強固に密着させることができる。
また、二軸延伸フィルムの製造においては、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、基材フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温に加熱できる。そのため、離型層組成物を塗布した後に施される熱処理が他の方法では達成できない高温とすることができるため、離型層と基材フィルムをより強固に密着させることができる。
また、基材フィルムに塗布された離型層組成物の塗布液は、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングのいずれにおいても、熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射のいずれか一方のみを行ってもよいし、両方を併用してもよいが、少なくとも熱処理を行うことが好ましい。また、熱処理及び活性エネルギー線照射の一方又は両方により、離型層組成物を硬化させるとよい。熱処理は、上記のとおり例えば熱固定工程による加熱により行えばよいが、他の方法により行ってもよい。また、離型層組成物の塗布液は、溶媒を含む場合、適宜乾燥されるが、上記熱処理により乾燥されることが好ましい。
また、離型層を形成するための塗布液の基材フィルムへの塗布性、離型層の基材フィルムに対する接着性を改良するため、塗布液の塗布前に、基材フィルムの離型層が形成される面に化学処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等の表面処理を施してもよい。
離型フィルムは、上記のとおり、基材フィルムと離型層との間に他の層を備えていてもよい。当該他の層としては、例えば帯電防止層、易接着層、オリゴマー封止層などの各種機能を備えた層を挙げることができる。
(常態剥離力)
離型フィルムは、離型層の剥離力の安定性の観点から、常態剥離力(F1)が500〜3000mN/cmが好ましく、1000〜2500mN/cmがより好ましく、1300〜2300mN/cmがさらに好ましい。
ここで、前記常態剥離力(F1)は、離型層表面に粘着テープを貼り合せてから、室温にて1時間放置後の180°剥離力である。より具体的には、アクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B)を、離型フィルムの剥離層側の面に貼り付けて室温の環境下にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件で測定される180°剥離力である。
離型層の厚みは、0.005〜1μmであることが好ましい。1μm以下とすることで、離型層を構成する成分が硬化樹脂層等へ移行することを抑制し、さらに巻き取る際のブロッキングなども防止しやすくなる。一方で、0.005μm以上とすることで、剥離力が高くなりすぎることを防止して、剥離性を良好にできる。これら観点から0.01μm以上がより好ましく、0.02μm以上がさらに好ましく、また、0.2μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。
<硬化樹脂層>
硬化樹脂層は、硬化性樹脂組成物を硬化してなるものであり、剥離フィルムの離型層上に設けられる。硬化樹脂層は、例えば光学部材を保護する機能を有する。硬化性樹脂組成物は、重合することでポリマーとなる成分を含み、具体的には、光重合性化合物及び熱重合性化合物のいずれの重合性化合物を含有してもよいが、硬化性樹脂組成物は、光重合性化合物を含み、光硬化性樹脂組成物であることが好ましい。光硬化性樹脂組成物を使用することで、硬化性樹脂組成物を硬化させるために、高温で熱処理する必要がないため、熱処理による不純物の発生や、熱収縮の発生などが防止できる。また、重合性化合物としては、一分子中に1つまたは2つ以上の重合性官能基を有するモノマーが挙げられる。
硬化樹脂層は、いかなる樹脂を使用してもよいが、好ましくは主成分樹脂がアクリル系樹脂により構成されるアクリル系樹脂層であることが好ましい。なお、主成分樹脂とは、硬化樹脂層を構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、硬化樹脂層を構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占めればよい。
(アクリル系樹脂層)
硬化樹脂層がアクリル系樹脂層である場合には、硬化性樹脂組成物は、重合性官能基を有するモノマー(以下、硬化性樹脂組成物に含まれる重合性官能基を有するモノマーは、「モノマー(S)」ともいう)を含み、かつモノマー(S)がアクリルモノマーを含むアクリル系樹脂組成物である。アクリル系樹脂組成物は、光硬化性樹脂組成物である。
上記重合性官能基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの炭素―炭素不飽和結合を含む官能基が挙げられる。なお、アクリルモノマーとは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーである。
アクリル系樹脂組成物に含まれるモノマー(S)としては、炭化水素系アクリルモノマー(X)、ヘテロ原子含有モノマー(Y)などが挙げられる。また、モノマー(S)としては、少なくとも2種類以上を使用することが好ましい。
(炭化水素系アクリルモノマー(X))
炭化水素系アクリルモノマー(X)は、重合性官能基以外の部分が、炭化水素からなるアクリルモノマーを意味する。なお、炭化水素系アクリルモノマー(X)は、後述する親水性官能基を有しない疎水性モノマーである。炭化水素系アクリルモノマー(X)を使用することで、硬化樹脂層の吸水率を低くでき、高温高湿下で使用しても劣化しにくくなる。
炭化水素系アクリルモノマーとしては、重合性官能基を1つのみ有する単官能モノマーが挙げられる。単官能モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸非環状アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸環状アルキルエステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチルなどのアクリル酸アリールエステルなどのアクリル酸エステル類が挙げられる。
また、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸非環状アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸環状アルキルエステル;メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸アリールエステルなどが例示できる。
また、炭化水素系アクリルモノマー(X)としては、重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマーが挙げられる。多官能モノマーとしては、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、1−アクリロキシ−3−ブテン、1−メタクリロキシ−3−ブテン、1,2−ジアクリロキシ−エタン、1,2−ジメタクリロキシ−エタン、1,2−ジアクリロキシ−プロパン、1,3−ジアクリロキシ−プロパン、1,3−ジメタクリロキシ−プロパン、1,2−ジメタクリロキシ−プロパン、1,4−ジアクリロキシ−ブタン、1,4−ジメタクリロキシ−ブタン、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレートなどが挙げられる。
これら炭化水素系アクリルモノマー(X)は1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(ヘテロ原子含有モノマー(Y))
ヘテロ原子含有モノマー(Y)は、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロイル基などの重合性官能基以外の部分に炭素原子と水素原子以外の原子を有するモノマーである。ヘテロ原子としては、具体的には酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられる。また、ヘテロ原子含有モノマーは、親水性官能基を有しないヘテロ原子含有モノマー(「ヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)」ともいう)が好ましい。親水性官能基とは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ウレタン基、アミン基、アミド基など、水素結合が可能な活性水素を有する官能基である。ヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)を使用することで、硬化樹脂層の吸水率を低くしつつ、光学部材との密着性が向上し、例えば、高温高湿下で長期間使用しても高い密着性を維持できる。
ヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)は、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、ケトン基などの少なくとも1つを有し、これらのなかでは、エーテル基を含有することが好ましい。ヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)がエーテル基を含有することで、吸水率を低くしつつ、高温高湿下における光学部材との密着性や硬化樹脂層の保護性能などを高めやすくなる。
エーテル基としては、エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基でもよいし、非環状エーテル基でもよいが、非環状エーテル基が好ましい。ヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)としては、単官能モノマーでもよいし、多官能モノマーでもよい。
単官能モノマーであるヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグルシジル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、多官能モノマーであるヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)としては、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが例示される。
ヘテロ原子含有モノマー(Y)は、上記した親水性官能基を有するモノマーであってもよく、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、等のエチレン性不飽和基を1つ含有する(メタ)アクリレート系化合物;グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート等のエチレン性不飽和基を2つ含有する(メタ)アクリレート系化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を3つ以上含有する(メタ)アクリレート系化合物がなどを挙げることができる。
本発明の一実施形態において、アクリル系樹脂組成物に含有されるモノマー(S)は、疎水性モノマーを含有することが好ましい。アクリル系樹脂組成物に含有されるモノマー(S)は、その全てが疎水性モノマーであることが好ましいが、モノマー(S)の一部が、親水性官能基を含有しない疎水性モノマーであってもよい。アクリル系樹脂組成物におけるモノマー(S)全量に対する疎水性モノマーの含有量は、例えば75質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは97質量%以上である。
なお、疎水性モノマーとしては、炭化水素系アクリルモノマー(X)、及び親水性官能基を有しないヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)から選択される少なくとも1種が挙げられる。また、疎水性モノマーは、疎水性アクリルモノマーであることがより好ましい。
アクリル系樹脂組成物に含有されるモノマー(S)は、炭化水素系アクリルモノマー(X)を含有することが好ましく、また、炭化水素系アクリルモノマー(X)に加えてヘテロ原子含有モノマー(Y)を含有してもよい。ただし、この場合、モノマー(S)は、炭化水素系アクリルモノマー(X)に加えて、親水性官能基を有しないヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)を含有することが好ましい。ヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)としては、上記の通りエーテル基を有するヘテロ原子含有モノマー(Y1)がより好ましい。
上記した(X)成分と、(Y1)成分を有する場合、アクリル系樹脂組成物における(Y1)成分に対する(X)成分の質量比(X/Y1)は、20/80〜90/10が好ましく、40/60〜80/20がより好ましく、55/45〜75/25がさらに好ましい。質量比(X/Y1)を上記範囲内とすると、後述する吸水率、表面硬度、貯蔵弾性率などを所定の範囲内に調整しやすくなり、高温高湿下でも光学部材に対する密着性を良好に維持できる。
また、モノマー(S)は、上記したように重合性官能基を1つのみ有する単官能モノマーと、重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマーがあるが、モノマー(S)全量に対する、多官能モノマーの質量割合は、30〜90質量%が好ましく、40〜85質量%がより好ましく、50〜80質量%がさらに好ましい。多官能モノマーの含有量を多くすると、硬化樹脂層の架橋密度が高くなり、硬化樹脂層の表面硬度を高くしたり、光学部材に対する密着性などを高めたりできる。
硬化性樹脂組成物には、本発明の主旨を損なわない範囲内で適宜、種々の添加剤を配合することができる。また、上記のとおり、アクリル樹脂層である場合でも、モノマー(S)以外にも他の樹脂成分を配合することもできる。添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、着色剤、光重合開始剤などが例示される。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系などが例示される。
モノフェノール系としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどを挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンなどが例示できる。
高分子型フェノール系としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}タン、ビス{(3,3′−ビス−4′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール(ビタミンE)などが例示できる。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
ホスファイト系としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノおよび/またはジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが例示できる。
上記酸化防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等から高分子型フェノール系などのフェノール系およびホスファイト系の酸化防止剤が好ましく、中でも耐熱分解性に優れたホスファイト系の酸化防止剤がより好ましい。
酸化防止剤の配合量は、硬化樹脂層を形成するための硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.001〜0.5質量部の範囲であり、0.05〜0.3質量部添加することが好ましい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系などが例示される。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5− クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが例示できる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが例示される。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどが例示される。
サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどが例示される。
上記紫外線吸収剤は、1種単独で使用してもよいし2種以上を併用できる。
該紫外線吸収剤の添加量は、硬化性樹脂層を形成するための硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.3〜5.0質量部の範囲であり、0.5〜2.0質量部添加することが好ましい。
(光安定剤)
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好適に用いることができる。ヒンダードアミン系光安定剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などが例示できる。
該ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、アクリル系樹脂層(A)を構成する樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜0.5質量部の範囲であり、0.05〜0.3質量部添加することが好ましい。
(光重合開始剤)
硬化性樹脂組成物が光硬化性樹脂組成物の場合、硬化性樹脂組成物は光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−ヒドロキシアセトフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。中でも、α−ヒドロキシアルキルフェノン類は硬化時に黄変を起こしにくく、透明な硬化物が得られるので好ましい。また、アミノアルキルフェノン類は、非常に高い反応性を備え、優れた硬度の硬化物が得られるので好ましい。
光重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して1〜10質量部の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは1〜6質量部の範囲がよい。光重合開始剤の含有量が1質量部以上であることで、所望する開始効果が得られ、また、光開始剤の含有量が10質量部以下であることで、樹脂層の黄変を抑制することができる。
(表面硬度)
硬化樹脂層の表面硬度は、70MPa以上であることが好ましい。硬化樹脂層の表面硬度を70MPa以上とすることで、硬化樹脂層によって光学部材を適切に保護でき、また、硬化樹脂層の表面に傷などが付きにくくなる。これら観点から、硬化樹脂層の表面硬度は、85MPa以上であることがより好ましく、100MPa以上であることがさらに好ましい。また、硬化樹脂層の表面硬度は、一定の柔軟性を有し、かつ光学部材などの他の部材との密着性を向上させる観点から、250MPa以下であることが好ましく、150MPa以下であることがより好ましい。表面硬度は、硬化樹脂層を形成するための硬化性樹脂組成物に含有される成分により適宜調整できる。例えばアクリル系樹脂層の場合には多官能モノマーなどを使用して、架橋構造としたり、架橋密度を調整したりすることで表面硬度を調整できる。また、選択する単官能モノマーや2官能モノマーのガラス転移温度を適宜選定して、ガラス転移温度を適宜変化させることでも表面硬度の調整ができる。
なお、硬化樹脂層の表面硬度とは、硬化後の硬度を意味し、具体的には表面硬度は、ダイナミック超微小硬度計(DUH−W201、島津製作所社製)を用いて、JIS Z 2255に準じて弾性率(MPa)を測定することで評価することができる。
(吸水率)
硬化樹脂層は、吸水率が0.4質量%以下であることが好ましい。例えば、光学部材をディスプレイ部材などの電子機器に適用する場合、水分が混入すると、電極などの金属成分の腐食を増長させる要因になるが、上記のように吸水率を低くすると、硬化樹脂層により水分が持ち込まれないので好ましい。また、ディスプレイ用途に使用する場合、例えば屋外に使用する場合、高温高湿下に長期間暴露されることがあるが、そのような場合でも、ディスプレイ部材の劣化を防止しやすくなる。
上記観点から硬化樹脂層の吸水率は0.3質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以下であることがさらに好ましい。また、硬化樹脂層の吸水率は、低ければ低いほどよく0質量%以上であればよいが、実用的には例えば0.01質量%以上である。硬化樹脂層の吸水率は、硬化樹脂層を構成する成分により調整でき、例えば、硬化樹脂層を形成するための硬化性樹脂組成物に疎水性を有する成分を多く使用すれば低くできる。
硬化樹脂層の吸水率は、硬化後の吸水率であり、JIS K 7209:2000に記載の方法に準拠して測定できるが、詳細は後述する実施例に記載の通りである。
(貯蔵弾性率)
また、硬化樹脂層の100℃における貯蔵弾性率は2.0×10Pa以上であることが好ましい。貯蔵弾性率を2.0×10Pa以上とすることで、光学部材を保護する保護層としての機能も果たしやすくなる。
硬化樹脂層の100℃における貯蔵弾性率は4.0×10Pa以上であることがさらに好ましく、その中でも6.0×10Pa以上であることがより好ましい。また、硬化樹脂層の100℃における貯蔵弾性率は、特に限定されないが、3.0×10Pa以下が好ましく、1.0×10Pa以下がより好ましい。貯蔵弾性率を上記した下限値以上及び上限値以下とすることで、例えば塗布層を光学部材に貼り合わせる際に光学部材に対する密着性を高くしやすくなる。
貯蔵弾性率は、硬化性樹脂組成物に含まれる成分により調整でき、例えばアクリル系樹脂組成物とすることで上記範囲内に調整しやすくなる。また、アクリル系樹脂組成物の場合には、上記のとおり、(X)成分及び(Y1)成分を使用したり、その含有量を適宜調整したりすることで、貯蔵弾性率を所望の範囲内に調整しやすくなる。
なお、硬化樹脂層の100℃における貯蔵弾性率は、硬化後の硬化樹脂層の貯蔵弾性率を意味する。したがって、例えば、硬化樹脂層をシート状にサンプリングして、あるいは、硬化性樹脂組成物をシート状に成形して硬化させて、粘弾性測定装置を用いて測定するとよい。詳しい測定方法は、例えば後述する実施例に示すとおりである。
なお、硬化性樹脂組成物は、溶媒などの不揮発分より希釈される場合には、シート状に成形した後などに不揮発分を乾燥などにより除去するとよい。
(SP値)
上記したモノマー(S)は、光学部材とのSP値の差が好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下のモノマーを含む。硬化性樹脂組成物に含まれるモノマー(S)に光学部材とのSP値が小さいモノマーが含まれることで、密着性が良好となる。特に、SP値を制御することで、被着体表面への浸透効果により、高温高湿下においても密着性が向上する効果がある。
SP値の差が1.0以下(より好ましくは0.5以下)であるモノマーは、上記の通り、(X)成分でもよいし、(Y)成分でもよいし、(Y1)成分でもよいが、(X)成分又は(Y1)成分のいずれかであることが好ましい。
上記のように、SP値の差が1.0以下(より好ましくは0.5以下)であるモノマーの量は、モノマー(S)全量に対して、30質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。なお、SP値は、Fedors法により算出したものである。
(厚み)
硬化樹脂層の厚みは例えば1〜10μm、好ましくは1〜8μm、さらに好ましくは1〜5μm、その中でも特に好ましくは1〜3μmの範囲がよい。硬化樹脂層の厚みをこれら下限値以上とすると、硬化樹脂層により光学部材を適切に保護できる。また、硬化樹脂層の厚みをこれら上限値以下とすると、フィルム積層体が必要以上に厚くなることを防止できる。
<硬化樹脂層の形成方法>
上記のとおり、硬化樹脂層は、硬化性樹脂組成物を離型フィルムの離型層側の表面に塗布して必要に応じて乾燥して塗布層を形成し、その塗布層を硬化することで得ることができる。
樹脂層組成物を塗布する方法としては、例えば、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、ナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、カレンダコート、押出コート等従来公知の塗布方法を用いることができる。
硬化性樹脂組成物は溶剤で希釈して塗布してもよいが、好ましくは無溶剤系の硬化性樹脂層組成物を塗布する。無溶剤系の硬化性樹脂組成物を使用することで、乾燥工程が不要になり、生産性が向上する。また、環境負荷を低くできる。
なお、無溶剤系の硬化性樹脂組成物とは、実質的に水又は有機溶剤により硬化性樹脂組成物が希釈されていないことを意味するが、硬化性樹脂組成物には不可避的に混入される水及び有機溶剤の少なくともいずれかを含有してもよい。不可避的に混入される水及び有機溶剤としては、各原料に少量含まれる水又は有機溶剤などが挙げられる。
不可避的に混入される水及び有機溶剤の含有量合計は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、例えば5質量部未満、好ましくは3質量部未満、より好ましくは1質量部未満であるが、無溶剤系の硬化性樹脂組成物における水及び有機溶剤の含有量合計は、0質量部が好ましい。なお、本明細書において、硬化性樹脂組成物100質量部とは、硬化性樹脂組成物の不揮発成分100質量部を意味する。
塗布層の硬化方法は、硬化性樹脂組成物の硬化メカニズムに応じて適宜選択すればよく、硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物であれば加熱することで硬化させればよい。また、光硬化性樹脂組成物であればエネルギー線を照射して硬化させればよい。なお、エネルギー線は、電子線、放射線、紫外線などが挙げられるが、紫外線が好ましい。
塗布層の硬化方法は、成形時間および生産性の観点、及び加熱による各部材の熱収縮及び熱劣化を防止できる観点などから、これらの中ではエネルギー線照射により硬化することが好ましい。エネルギー線の照射は、いずれの面側から行ってもよく、離型フィルム側から行ってもよいし、離型フィルムの反対側(すなわち、光学部材が貼り合わされている場合には、光学部材側)から行ってもよい。
エネルギー線の照射量は、硬化性樹脂組成物を硬化できる限り特に限定されないが、例えば積算光量で100〜2000mJ/cm、好ましくは200〜1000mJ/cmである。
<光学部材>
本発明の一実施形態において使用される光学部材は、フィルム積層体において、硬化樹脂層に積層して設けられる。光学部材は、硬化樹脂層によって保護されるとよい。なお、光学部材とは、光の性質や作用を利用して、例えばディスプレイなどの各種装置内を透過する光に所定の光学作用を付与する部材をいい、例えば、光学レンズ、屈折板、光透過シート、遮光シート、偏光板、位相差板、反射シート等が挙げられる。
光学部材は、電子機器、各種建材、建築物、自動車、船舶、航空機などの輸送機用途などで使用できるが、これらの中では電子機器が好ましく、中でも、ディスプレイ用部材として使用されることが好ましい。ディスプレイ用部材は、一般的に薄膜で高い表面硬度を有する。そのため、上記した硬化樹脂層より適切に保護しやすくなる。
また、ディスプレイは、野外で使用される場合などに高温高湿下に長期間暴露されることがあるが、そのような場合でも、上記したように、高温高湿下における硬化樹脂層の光学部材に対する密着性を高く維持することで、光学部材(ディスプレイ用部材)の耐久性が良好となる。
光学部材としては、ポリカーボネート系樹脂シート、アクリル系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、生分解性樹脂シート、親水性樹脂シートなどの樹脂シートなどでもよいし、ガラスなどの樹脂シート以外のシート状部材でもよい。これらの中では、ポリカーボネート系樹脂シートが好ましい。ポリカーボネート系樹脂シートは、耐衝撃性や耐熱性に優れる点から、各種用途において耐衝撃性及び耐熱性を発現させる部材として使用できる。
(ポリカーボネート系樹脂シート)
ポリカーボネート系樹脂シートに使用されるポリカーボネート系樹脂は、芳香族ポリカーボネート系樹脂が好ましく用いることができるが、脂肪族ポリカーボネート系樹脂でもよい。また、単独重合体でも他の共重合可能なモノマーとの共重合体のいずれであってもよい。さらに構造は分岐構造であっても、直鎖構造であってもよいし、分岐構造と直鎖構造の両方を有してもよい。
ポリカーボネート系樹脂の製造方法はホスゲン法やエステル交換法、ピリジン法など、従来から公知の方法を用いることができる。
ポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量は、通常、10,000〜100,000、好ましくは、より好ましくは20,000〜40,000、特に好ましくは、22,000〜28,000の範囲である。重量平均分子量が上記範囲にあれば、耐衝撃性が確保され、押出成形性も良好である。なお、重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定され、ポリスチレン換算値により得られる。
ポリカーボネート系樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、ポリカーボネート系樹脂層は、ポリカーボネート系樹脂単体で用いてもよいが、種々の改質剤、添加剤と混合して用いることもできる。
ポリカーボネート系樹脂は市販品を用いることも可能であり、芳香族ポリカーボネート系樹脂の具体例として、住化スタイロンポリカーボネート(株)製の商品名「カリバー(CALIBRE)」、「SDポリカ(SD POLYCA)」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製の商品名「ユーピロン(Iupilon)」、「ノバレックス(NOVAREX)」、東洋紡(株)製の商品名「パンライト(Panlite)」などが例示できる。また、脂肪族ポリカーボネート系樹脂の具体例としては三菱ケミカル(株)製の商品名「デュラビオ(DURABIO)」などが例示できる。
<フィルム積層体の製造方法及び使用方法>
本発明のフィルム積層体は、まず、上記で説明したとおりに離型フィルムを用意し、その離型フィルムの離型層上に硬化性樹脂組成物を塗布して塗布層を形成し、該塗布層に活性エネルギー線などを照射することで塗布層を硬化して硬化樹脂層とするとよい。
また、光学部材は、塗布層を硬化した後、硬化樹脂層に対して貼り合わせてもよいが、硬化する前の塗布層に貼り合わせることが好ましい。硬化する前の塗布層に光学部材を貼り合わせると、硬化樹脂層と光学部材との密着性を高めやすくなる。
以上のように、離型フィルムの離型層上に塗布層及び光学部材を順次形成して、かつ塗布層を硬化することで、フィルム積層体を製造できる。なお、光学部材と離型層上の塗布層(又は硬化樹脂層)の貼り合わせは、公知のラミネート法で行うことができる。
また、フィルム積層体は、例えば、光学材料を製造するために使用される。なお、光学材料とは、少なくとも上記した光学部材と、光学部材の少なくとも一面に積層された硬化樹脂層とを備えるものであり、フィルム積層体は、例えばフィルム積層体より離型フィルムを剥がすと光学材料となる。
また、フィルム積層体より離型フィルムを剥がした後、離型フィルムを剥がしたフィルム積層体の少なくともいずれか一方の面に他の光学部材又は光学部材以外の部材を貼り合わせるとよい。ここで、他の光学部材又は光学部材以外の部材は、離型フィルムを剥がすことで露出した硬化樹脂層に貼り合わせるとよい。
また、他の光学部材又は光学部材以外の部材は、粘着層を介して、離型フィルムを剥がしたフィルム積層体に積層するとよく、この場合も離型フィルムを剥がすことで露出した硬化樹脂層に粘着層を介して他の光学部材又は光学部材以外の部材を貼り合わせるとよい。
粘着層は、感圧接着性を有する層であり、公知の粘着剤により形成される。粘着剤としては、特に限定されないが、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを使用すればよい。
また、本発明のフィルム積層体及び光学材料は、ロールトゥロールにより製造されてもよい。具体的には、図3に示すように、巻取ロール31にロール状に巻き取られた離型フィルム11を、巻取ロール31より巻き出して、巻き出した離型フィルム11の離型層13の表面に公知の塗工機32を用いて硬化性樹脂組成物を塗布して塗布層14Aを形成する。また、巻取ロール33にロール状に巻き取られた光学部材15を、巻取ロール33より巻き出して、その光学部材15を離型フィルム11上の塗布層14Aに貼り合わせる。ここで、光学部材15と離型フィルム11の貼り合わせは、例えば、一対のローラ34A,34B間に挟み込んで行えばよいが、他のラミネート法により行ってもよい。
離型フィルム11上の塗布層14Aに光学部材15を貼り合わせた後、その積層体は、さらに搬送ローラ(図示しない)などにより搬送されながら、例えば光源35からエネルギー線を塗布層14Aに照射し、塗布層14Aを硬化させ、それにより、離型フィルム11の離型層13上に硬化樹脂層14及び光学部材15をこの順に備える積層フィルム10を得る(図1参照)。
得られた積層フィルム10は、搬送ローラ(図示しない)などで更に搬送させながら、離型フィルム11を剥離し、その剥離により得られた硬化樹脂層14及び光学部材15の積層体(光学材料20)は、さらに巻取ローラ36に巻き取られるとよい。なお、剥離された剥離フィルム11は、巻取ローラ37に巻き取られるが、この態様に限定されない。
このようにロール状に巻き取られた積層体(光学材料20)は、さらにロールから巻き出された後、適宜別の光学部材や、光学部材以外の部材がさらに貼り合わされてもよいし、ロールから巻き出された後そのまま使用されてもよい。
また、光学材料20は、例えば、露出した硬化樹脂層14などに対して、巻取ローラ37に巻き取られる前に別の光学部材や、光学部材以外の部材がさらに貼り合わされてもよい。
なお、以上説明したロールトゥロールの方法は、一例であって、他のいかなる方法でフィルム積層体や光学材料が製造されてもよい。例えば、上記の説明では、光学部材15を貼り合わせた後に、塗布層14Aに対してエネルギー線を照射したが、光学部材15を貼り合わせる前に塗布層14Aを硬化させてもよい。さらには、エネルギー線照射以外の方法で塗布層14Aを硬化させてもよい。
<フィルム積層体の変形例>
以上の説明においては、フィルム積層体は、離型フィルムの上に硬化樹脂層及び光学部材をこの順に備える態様について説明したが、この3つの部材以外にも他の層が設けられてもよい。例えば、フィルム積層体は、離型フィルムを2つ(第1及び第2の離型フィルム)、硬化樹脂層を2つ(第1及び第2の硬化樹脂層)有してよい。この場合、第1及び第2の硬化樹脂層は、それぞれ第1及び第2の離型フィルムの離型層上それぞれに設けられるとよい。
そして、フィルム積層体は、第1の剥離フィルム、第1の硬化樹脂層、光学部材、第2の硬化樹脂層、及び第2の剥離フィルムをこの順に有するとよい。この場合には、第1及び第2の剥離フィルム、並びに第1及び第2の硬化樹脂層の構成及び形成方法は、上記で説明した剥離フィルム及び硬化樹脂層と同様であるので、その説明は省略する。ただし、第1及び第2の剥離フィルムは、互いに同一の構成を有してもよいが、異なる構成を有してもよい。また、第1及び第2の硬化樹脂層も、互いに同一の構成を有してもよいが、異なる構成を有してもよい。
また、光学部材の両面それぞれに、離型フィルムと硬化樹脂層(又は塗布層)の積層体が貼り合わされることになるが、その貼り合わせ方法も上記で説明したとおりである。
また、このような構成を有するフィルム積層体においても、第1及び第2の剥離フィルムの一方又は両方が適宜剥離され、露出された硬化樹脂層(第1及び第2の硬化樹脂層ん)に、他の光学部材や光学部材以外の部材が貼り合わされてもよい。
<語句の説明など>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明が、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
種々の物性及び特性の測定及び評価方法は、以下の通りである。
(1)離型面の水滴接触角
JIS R3257:1999に記載の静滴法にて測定した。なお、液滴接触角は、積層フィルムにおいて、離型フィルムを23℃、50RH%環境下で剥離速度0.3m/min、剥離角度180°の条件で硬化樹脂層から剥離した後の離型層の表面に対して測定した。
(2)常態剥離力(F1)
離型フィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を、室温(23℃)下、2kgの金属ローラにより貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温(23℃)、50RH%にて1時間放置後の剥離力を測定し、常態剥離力(F1)とした。剥離力は、(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)で、室温(23℃)、50RH%の条件下で180°剥離を行って測定した。
(3)硬化樹脂層の吸水率
JIS K 7209:2000に準拠して剥離フィルム、及び剥離フィルムと硬化樹脂層の積層体の吸水量を測定し、その吸水量の差により、硬化樹脂層の吸水率を求めた。なお、剥離フィルムと硬化樹脂層の積層体は、各実施例、比較例と同様の条件で、剥離フィルムの上に硬化性樹脂組成物を塗布して、硬化性樹脂組成物を硬化して得たものである。
なお、各サンプルの吸水量は、まず、各サンプルを50℃で24時間乾燥後に重量(W1)を測定し、次いで、乾燥後のサンプルをイオン交換水で23℃、24時間の条件で浸漬後、サンプルの重量(W2)を再度測定し、その重量変化(W2−W1)により求めた。
(4)硬化樹脂層の表面硬度
ダイナミック超微小硬度計(DUH−W201、島津製作所社製)を用いて、JIS Z 2255に準じて表面硬度(MPa)を求めた。この際、サンプル温度は25℃、試験力4mN、負荷速度0.7mN/S、保持時間5秒とした。また、表面硬度は、離型フィルムを剥がした後の硬化樹脂層に対して測定した。
(5)硬化樹脂層の貯蔵弾性率
硬化性樹脂組成物を実施例と同じ硬化条件(紫外線積算光量400mJ/cmの条件)で硬化させ、厚み0.1mmのシート状の硬化物サンプルを得た。そのサンプルを、粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製、itk DVA−200)を用いて、振動周波数10Hz、歪0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで−100℃から180℃まで測定を行い、得られたデータから100℃における引張り貯蔵弾性率[Pa]を求めた。
(6)樹脂組成物の塗布性
各実施例、比較例において硬化性樹脂組成物を剥離フィルムの離型層側の面に塗布した際の塗布性について、下記判定基準により判定を行った。
(判定基準)
A:ハジキなし。
B:部分的にはじきあり。
C:はじきあり。
(7)離型フィルムからの硬化樹脂層の転写性
実施例および比較例で得られた、各フィルム積層体において、硬化樹脂層表面から離型フィルムを剥離した。その時の剥離力により、転写性について下記判定基準により、判定を行った。
(判定基準)
A:軽い剥離力で転写可能。
B:重い剥離力ではあるが、転写可能。
C1:重い剥離力で、硬化樹脂層からの離型フィルムの剥離及び転写が困難。
C2:剥離力が軽すぎて本来剥離する必要がない場面で意図しない剥離が見られた。
(8)湿熱処理後の密着性
得られたフィルム積層体について、85℃、85%RHの雰囲気の恒温恒湿槽内で20時間処理した後、硬化樹脂層と光学部材との密着性を10×10の100マス(JIS K 5400−8.5)による、クロスカット法により評価した。
(判定基準)
A:100マス中、90マス以上が密着しており、密着性が良好であった。
B:100マス中、90マス未満が密着しており、密着性が不十分であった。
(9)総合評価
実施例および比較例において、下記判定基準により、総合評価を行った。
(判定基準)
A:塗布性、転写性、密着性がすべてA評価。
B:塗布性、転写性、密着性の少なくとも一つがB評価。
C:塗布性、転写性、密着性の少なくとも一つがC評価。
なお、転写性におけるC1,C2はいずれもC評価とする。
各実施例および比較例における離型フィルムの原料は、以下のとおりである。
(基材フィルム)
<ポリエステル(A)>
極限粘度が0.63であるポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
<ポリエステル(B)>
平均粒子径2μmのシリカ粒子を0.2質量%含有する、極限粘度が0.65であるポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
(離型層組成物)
(A−1):酸化ポリエチレンワックス(融点:137℃)
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた内容量1.5Lの乳化設備に融点105℃、酸価16mgKOH/g、密度0.93g/mL、平均分子量5000の酸化ポリエチレンワックス300g、イオン交換水650gとデカグリセリンモノオレエート界面活性剤を50g、48%水酸化カリウム水溶液10gを加え窒素で置換後、密封し150℃で1時間高速攪拌した後130℃に冷却し、高圧ホモジナイザーを400気圧下で通過させ40℃に冷却したワックスエマルション。
(A−2):長鎖アルキル系離型剤
4つ口フラスコにキシレン200質量部、オクタデシルイソシアネート600質量部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100質量部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140質量部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して得た。
(B−1)アクリル樹脂
(酸成分)イソフタル酸//(ジオール成分)ジエチレングリコール/ネオペンチルグリコール=100//70/30(mol%)から形成されるポリエステル樹脂42質量部とポリメタクリル酸メチル58質量部から形成されるアクリル変性ポリエステル樹脂の水分散体
(B−2)ウレタン樹脂:
イソホロンジイソシアネート/テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール/ジメチロールプロパン酸=12/19/18/21/25/5(mol%)から形成されるポリエステル系ウレタン樹脂の水分散体。なお、テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール/ジメチロールプロパン酸からなるポリエステルポリオールにイソホロンジイソシアネートを反応して得た反応生成物である。
(B−3)ポリエステル樹脂:
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
(C−1)ヘキサメトキシメチロールメラミン
(C−2)オキサゾリン:
オキサゾリン基及びポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリル系ポリマー(オキサゾリン基量=4.5mmol/g)
(C−3)イソシアネート系化合物:
ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とマレイン酸とのポリエステル(分子量2000)200質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネート33.6質量部を添加し、100℃で2時間反応を行った。次いで系の温度を一旦50℃まで下げ、30質量%重亜硫酸ナトリウム水溶液73質量部を添加し、45℃で60分間攪拌を行った後、水718質量部で希釈したブロックイソシアネート系化合物。
[実施例1]
ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ90質量%、10質量%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)のみを中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:8:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、下記表1に示す組成の離型層組成物の塗布液を塗布し、テンターに導き、横方向に110℃で4.3倍延伸し、235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、膜厚(乾燥後)が0.035μmの離型層を有する厚さ38μmの離型フィルムを得た。
上記離型フィルムの離型層面上に、下記の配合で調製した硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚みが3μmとなるように25℃でバーコートによって塗布して塗布層を形成した。
次に、離型フィルム上の塗布層に光学部材(ポリカーボネート系樹脂シート、厚み300μm、SP値9.7)を貼り合せ、離型フィルム側から積算光量が400mJ/cmとなるように紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、硬化樹脂層とし、基材フィルム/離型層/硬化樹脂層/光学部材の層構成からなるフィルム積層体を得た。なお、硬化性樹脂組成物、及び硬化樹脂層の硬化後の特性は、以下のとおりであった。
(硬化樹脂層(硬化後)の特性)
吸水率:0.2質量%、表面硬度:116MPa
貯蔵弾性率(100℃):7.0×10Pa
(樹脂組成物)
A1:アクリル酸シクロヘキシル(CHA、SP値:8.80、商品名「ビスコート♯155」、大阪有機化学工業社製) 25.8質量部
A2:ポリエチレングリコールジアクリレート(PEDGA、SP値:9.72、商品名「A−200」、新中村化学工業社製) 37.1質量部
A3:トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、SP値:9.90、商品名「A−TMPT」,新中村化学工業社製) 37.1質量部
光重合開始剤:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、(商品名「Omnirid907」、BASF社製) 5.6質量部
[実施例2〜7、比較例1〜4]
表1に示すように離型層組成物の条件を変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。
[参考例]
離型フィルムの代わりに、結晶化しているOPPフィルムを用いて、OPPフィルムの一方の面に、実施例1と同様に硬化性樹脂組成物を塗布したが、塗布性が悪く、全面にはじきが発生して塗布層が形成できなかった。なお、はじきが発生した原因は、硬化性樹脂組成物がフィルム表面より十分に浸透しなかったためと推定される。
Figure 2021070258

※表1における各数値は、離型層組成物における不揮発成分の質量%である。
Figure 2021070258
各実施例においてフィルム積層体は、離型層組成物がワックス(A)、架橋剤(B)、及びバインダー樹脂(C)の全てを含み、かつ水滴接触角が所定の範囲内となったため、塗布性、及び転写性が良好であった。それに対して、各比較例では、離型層組成物が(A)〜(C)成分のいずれかを含まないため、水滴接触角が所定の範囲内となっても、塗布性及び転写性の両方を良好にすることができなかった。
さらに、各実施例のフィルム積層体は、離型層上に硬化樹脂層を有するが、硬化樹脂層は、湿熱処理後でも光学部材に対する密着性が良好であり、光学部材に硬化樹脂層が積層されてなる光学材料を製造するのに適していた。
10 フィルム積層体
11 離型フィルム
12 基材フィルム
13 離型層
14 硬化樹脂層
14A 塗布層
15 光学部材
20 光学材料
31、33、36、37 巻取ローラ
32 塗工機
34A,34B ローラ
35 光源

Claims (19)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも片面に離型層とを有する離型フィルムと、
    前記離型フィルムの前記離型層上にこの順に設けられる硬化樹脂層及び光学部材とを備え、
    前記離型層が、ワックス(A)、架橋剤(B)、及びバインダー樹脂(C)含む離型層組成物を硬化してなり、前記硬化樹脂層が、硬化性樹脂組成物を硬化してなり、
    前記硬化樹脂層から前記離型フィルムを剥離した後の離型層の表面の水滴接触角が70〜98°である、フィルム積層体。
  2. 前記硬化樹脂層の表面硬度が70MPa以上である、請求項1に記載のフィルム積層体。
  3. 前記硬化樹脂層の吸水率が0.4質量%以下である、請求項1又は2に記載のフィルム積層体。
  4. 前記基材フィルムがポリエステルフィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
  5. 前記離型層中のワックス(A)の含有量が5〜60質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
  6. 前記硬化樹脂層の100℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
  7. 前記硬化樹脂層がアクリル系樹脂層である請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
  8. 前記アクリル系樹脂層が、アクリル系樹脂組成物を硬化してなり、
    前記アクリル系樹脂組成物が、疎水性モノマーを含む、請求項7に記載のフィルム積層体。
  9. 前記疎水性モノマーが、炭化水素系アクリルモノマー(X)、及び親水性官能基を有しないヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載のフィルム積層体。
  10. 前記疎水性モノマーが、前記炭化水素系アクリルモノマー(X)、及び前記ヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)の両方を含有し、
    前記アクリル系樹脂組成物におけるヘテロ原子含有疎水性モノマー(Y1)に対する炭化水素系アクリルモノマー(X)の質量比が、20/80〜90/10である、請求項8又は9に記載のフィルム積層体。
  11. 前記光学部材がディスプレイ用部材である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
  12. 前記光学部材がポリカーボネート系樹脂シートである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
  13. 前記離型フィルムとして第1及び第2の離型フィルムを有し、かつ前記硬化樹脂層として第1及び第2の硬化樹脂層を有し、
    前記第1及び第2の硬化樹脂層が、それぞれ前記第1及び第2の離型フィルムの前記離型層上それぞれに設けられ、
    前記第1の剥離フィルム、前記第1の硬化樹脂層、前記光学部材、前記第2の硬化樹脂層、及び前記第2の剥離フィルムをこの順に有する請求項1〜12のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のフィルム積層体の製造方法であって、
    前記離型フィルムを用意し、前記離型フィルムの離型層上に前記硬化性樹脂組成物を塗布して塗布層を形成する工程と、
    前記離型フィルム上の塗布層に光学部材を貼り合せる工程と、
    前記光学部材を貼り合わせた塗布層に活性エネルギー線を照射して塗布層を硬化して硬化樹脂層とする工程と
    を備えるフィルム積層体の製造方法。
  15. 前記硬化性樹脂組成物が無溶剤系である、請求項14に記載のフィルム積層体の製造方法。
  16. 請求項14又は15に記載のフィルム積層体の製造方法により製造されたフィルム積層体より、離型フィルムを剥離して、前記光学部材と前記硬化樹脂層を備える光学材料を得る光学材料の製造方法。
  17. 前記光学部材を巻き出す工程と、
    前記離型フィルムを巻き出す工程と、
    前記フィルム積層体から前記離型フィルムを剥離して得た前記光学材料を巻き取る工程をさらに備え、
    前記巻き出された前記離型フィルムの離型層上に前記硬化性樹脂組成物を塗布し、かつ巻き出した前記光学部材を、離型フィルム上の塗布層に貼り合わせる
    請求項16に記載の光学材料の製造方法。
  18. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のフィルム積層体から前記離型フィルムを剥がして、いずれか一方の面に他の光学部材を貼り合わせる、光学材料の製造方法。
  19. 前記離型フィルムを剥がした後、露出する硬化樹脂層表面に粘着層を介して、他の光学部材を貼り合せる請求項18に記載の光学材料の製造方法。
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