JP2021066847A - エチレン重合体粒子組成物、焼結フィルタおよび粉体塗料 - Google Patents

エチレン重合体粒子組成物、焼結フィルタおよび粉体塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】溶媒を用いることなく、流動性に優れ、かつ成形ムラおよび欠陥が抑制され、微細で均質なフィルタ孔径を有する焼結フィルタあるいは流動性に優れた粉体塗料を製造することのできるエチレン重合体系材料を提供すること。【解決手段】下記(i)〜(iii)の要件を満たすエチレン重合体粒子(A)と、疎水性無機酸化物粒子(B)とを含み、前記疎水性無機酸化物粒子(B)の一部または全部が前記エチレン重合体粒子(A)の表面に存在するエチレン重合体粒子組成物。(i)平均粒子径が3μm以上、20μm以下である。(ii)アスペクト比が1.0以上、1.2以下である。(iii)極限粘度[η]が5dl/g以上、50dl/g以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン重合体粒子組成物に関し、より詳細には焼結フィルタおよび粉体塗料の製造に好ましく用いることのできるエチレン重合体粒子組成物に関する。
従来、気体又は液体等から微細な粒子を分離する各種フィルタの材料として、オレフィン重合体粒子の焼結体が知られている。また、オレフィン重合体粒子は、粉体塗料の基体樹脂として使用されることもある。
近年、フィルタへの要求性能の高度化に伴い、フィルタの孔径を微小かつ高精度に制御する必要性がますます強くなっている。このような要求に応えるべく、特許文献1には、エチレン重合体と帯電防止剤とを含むエチレン重合体組成物を焼結フィルタの材料として用いることにより、焼結成形金型に充填する際のエチレン重合体粒子の流動性を向上させ、以って成形ムラや欠陥が無く、超微細で均質なフィルタ孔径を有する焼結フィルタが得られることが開示されている。
特開2013−28797号公報
しかしながら、特許文献1に記載の焼結フィルタを製造するためには、まず、帯電防止剤を溶媒に溶解させた後、得られた溶液中にエチレン重合体を含侵させる必要があるため、加工性の観点からさらなる改良の余地があった。
そこで本発明は、溶媒を用いることなく、流動性に優れ、かつ成形ムラおよび欠陥が抑制され、微細で均質なフィルタ孔径を有する焼結フィルタを製造することのできるエチレン重合体系材料を提供することを目的とする。さらに本発明は、成形ムラや欠陥が無く、微細で均質なフィルタ孔径を有する焼結フィルタ、および流動性に優れた粉体塗料を提供することを目的とする。
本発明は例えば以下の[1]〜[8]に関する。
[1]下記(i)〜(iii)の要件を満たすエチレン重合体粒子(A)と、疎水性無機酸化物粒子(B)とを含み、
前記疎水性無機酸化物粒子(B)の一部または全部が前記エチレン重合体粒子(A)の表面に存在する
エチレン重合体粒子組成物。
(i)平均粒子径が3μm以上、20μm以下である。
(ii)アスペクト比が1.0以上、1.2以下である。
(iii)極限粘度[η]が5dl/g以上、50dl/g以下である。
[2]前記エチレン重合体粒子(A)がさらに下記要件(iv)および(v)を満たす前記[1]に記載のエチレン重合体粒子組成物。
(iv)目開き37μmメッシュ篩を95質量%以上が通過する。
(v)粒子径1μm以下の粒子の割合が5質量%以下である。
[3]前記疎水性無機酸化物粒子(B)を前記エチレン重合体粒子(A)100質量部に対し0.01〜20質量部含む前記[1]または[2]に記載のエチレン重合体粒子組成物。
[4]前記疎水性無機酸化物粒子(B)が、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機酸化物を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のエチレン重合体粒子組成物。
[5]前記疎水性無機酸化物粒子(B)が、炭化水素基、アミノ基含有炭化水素基、(メタ)アクリロイルオキシ基含有炭化水素基、およびオルガノポリシロキサン残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の疎水基を有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のエチレン重合体粒子組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載のエチレン重合体粒子組成物を焼結してなる焼結フィルタ。
[7]1mm×1mmの断面区画内に存在する孔径100μm以上の孔ないし隙間の個数が1個以内である前記[6]に記載の焼結フィルタ。
[8]前記[1]〜[5]のいずれかに記載のエチレン重合体粒子組成物からなる粉体塗料。
本発明のエチレン重合体組成物は、加工性に優れ(つまり、製造の際に溶媒が不要である。)、流動性に優れており、かつこれを用いることで成形ムラおよび欠陥が抑制され、微細で均質なフィルタ孔径を有する焼結フィルタ、あるいは流動性に優れた粉体塗料を製造することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
[エチレン重合体粒子組成物]
本発明のエチレン重合体粒子組成物は、エチレン重合体粒子(A)と、疎水性無機酸化物粒子(B)とを含み、前記疎水性無機酸化物粒子(B)の一部または全部が前記エチレン重合体粒子(A)の表面に存在することを特徴としている。
[エチレン重合体粒子(A)]
前記エチレン重合体粒子(A)は、下記の要件(i)〜(iii)を満たし、好ましくはさらに下記要件(iv)および(v)も満たす。
(i)平均粒子径が3μm以上、20μm以下である。
(ii)アスペクト比が1.0以上、1.2以下である。
(iii)極限粘度[η]が5dl/g以上、50dl/g以下である。
(iv)目開き37μmメッシュ篩を95質量%以上が通過する。
(v)粒子径1μm以下の粒子の割合が5質量%以下である。
<(i)平均粒子径>
平均粒子径は、コールターカウンター法によって測定されたメジアン径(D50)を示す。平均粒子径の範囲は好ましくは3〜20μm、より好ましくは4〜15μm、さらに好ましくは5〜12μmである。
エチレン重合体粒子(A)の平均粒子径が上記の範囲にあると、表面に疎水性無機酸化物粒子(B)が存在するエチレン重合体粒子(A)同士の接触時の隙間が狭くなり、微細な孔が形成された焼結フィルタを製造することができるようになる。
<(ii)アスペクト比>
アスペクト比は、エチレン重合体粒子(A)の画像解析によって測定される。アスペクト比は、粒子を投影した図形を長方形で囲んだ時の最小長方形(外接長方形)の長さと幅の比で表され、1に近づくほど粒子投影図形が真円に近づき、当該粒子自体が真球に近いということを示すものである。アスペクト比の範囲は1.0〜1.2、好ましくは1.05〜1.15である。
エチレン重合体粒子(A)のアスペクト比が上記範囲内にあると、エチレン重合体粒子(A)を密に充填できるようになり、前記平均粒子径の範囲に基づく効果と相まって、微細な孔が形成された焼結フィルタを製造することができる。
<(iii)極限粘度[η]>
極限粘度[η]は、デカリン溶媒中、135℃で測定した値である。極限粘度[η]の範囲は、5〜50dl/gであり、好ましくは10〜40dl/g、より好ましくは10〜30dl/gである。
極限粘度[η]が上記範囲内にあるエチレン重合体粒子(A)を用いた焼結フィルタは、耐衝撃性、耐摩耗性および強度に優れる。
<(iv)目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合>
目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合は、エチレン重合体粒子(A)を目開き37μmメッシュの振動篩または超音波式振動篩に通して、当該篩を通過した粒子の質量から算出した数値であり、95質量%以上であり、好ましくは98質量%以上であり、より好ましくは100質量%である。
エチレン重合体粒子(A)中の目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合が95質量%以上であることは、粗大粒子の存在量が少ないことを意味する。このようなエチレン重合体粒子(A)を用いることで、均一性が高く、孔径が揃った焼結フィルタが得られる。
なお、目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合を上記範囲にするために、エチレン重合体粒子(A)の製造段階(重合段階)においてその反応条件や使用する重合触媒の種類等を調整することが可能であり、また、目開き37μmメッシュ篩を通過した粒子のみを使用することも可能である。
<(v)平均粒子径1μm以下の粒子の割合>
平均粒子径1μm以下の粒子の割合は、前記コールターカウンター法によって測定した粒度分布解析の結果から算出される値である。当該割合は、エチレン重合体粒子(A)全体の5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
平均粒子径1μm以下の粒子の割合が上記範囲内にあると、エチレン重合体粒子(A)を用いて得られる焼結フィルタの孔を詰まらせることなく、焼結フィルタの濾過性能を保つ点で好ましい。
なお、平均粒子径1μm以下の粒子の割合を上記の範囲に調整するために、エチレン重合体粒子(A)の製造段階(重合段階)においてその反応条件や使用する重合触媒の種類等を適宜調整することが可能であり、また、目開き1μmメッシュ篩を通して、篩上に残った粒子のみを使用することも可能である。
前記エチレン重合体粒子(A)を構成するエチレン重合体としては、エチレン単独重合体、エチレンと炭素原子数が3以上のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンとの共重合体が挙げられる。これらの中でも耐衝撃性、耐摩耗性、強度の観点から、エチレン単独重合体が好ましい。エチレン単独重合体であっても使用するオレフィン重合用触媒によっては分岐構造を有することがあるが、本発明で用いられるエチレン重合体にはこのような分岐が無いことが好ましい。
前記エチレン重合体粒子(A)の製造方法は、何ら限定されるものではない。例えば、公知のオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンを単独重合させることにより、またはエチレンと、上述した炭素原子数が3以上のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる。例えば、国際公開2009/011231号パンフレットや、国際公開2006/054696号パンフレットに記載された製造方法によりエチレン重合体粒子(A)を製造することができる。
[疎水性無機酸化物粒子(B)]
前記疎水性無機酸化物粒子(B)を構成する無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素、ならびに酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化セシウム、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、モリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸亜鉛、リン酸亜鉛、酸化ホルミウム、コバルトブルー(CoO・Al23)等の金属酸化物およびAl23/MgO等の複合酸化物が挙げられ、それらの中でも酸化ケイ素および金属酸化物が好ましく、特に酸化ケイ素、酸化アルミニウム、および酸化チタンが好ましい。
酸化ケイ素としては、たとえば特開2003−128837号公報の[0010]〜[0013]に記載された合成シリカが挙げられる。
これらの無機酸化物から構成される粒子(無機酸化物粒子)としては、従来公知のものを使用することができる。
疎水性無機酸化物粒子(B)は、好ましくは炭化水素基、アミノ基含有炭化水素基、(メタ)アクリロイルオキシ基含有炭化水素基、およびオルガノポリシロキサン残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の疎水基を有する。
前記炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などの炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリル基などの炭素数2〜10のアルケニル基、フェニル基などの炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
前記アミノ基含有炭化水素基の例としては、3−アミノプロピル基などのアミノアルキル基が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルオキシ基含有炭化水素基の例としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基などの(メタ)アクリロイルオキシアルキル基が挙げられる。
前記オルガノポリシロキサン残基は、下記式(1):
Figure 2021066847
(複数個あるRは、それぞれ独立に炭化水素基であり、nは1〜500の整数である。)
で表され、炭化水素基の例としては、上述した炭化水素基の例が挙げられる。オルガノポリシロキサン残基の例としては、式(1)において、Rがすべてメチル基であるジメチルポリシロキサン残基が挙げられる。
前記疎水性無機酸化物粒子(B)の例としては、特開2003−128837号公報の[0008]−[0016]に記載された、珪素含有化合物で表面被覆(表面処理は、特開平9−310027号公報または特開平9−59533号公報に記載の方法による。)された金属酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウム等)からなる微粒子、特開2004−156039号公報の[0011]−[0012]に記載された流動助剤としての疎水化珪酸または疎水性珪酸、特開平5−139726号公報に記載された疎水性アルミナ粉体、特開昭60−93455号公報に記載された「フッ素置換シランカップリング剤により処理した微粒子」、および特開2013−170110号公報に記載された疎水性酸化チタン微粉末が挙げられる。また、市販品であれば、たとえばAEROSIL(登録商標)R972、R974、R9200、R976、R976S、RX50、NAX50、NX90G、RX200、RX300、R8200、R812、R812S、RY50、RY51、NY50、RY200S、R202、RY200、RY200L、RY300、NA50H、NA50Y、REA90、RA200H、RA200HS、REA200、R805、RM50、R711、R7200、およびAEROXIDE(登録商標)T805、NKT90、AluC805(日本アエロジル(株)製)、CAB−O−SIL(登録商標) 疎水性ヒュームドシリカ(キャボット社製)、HDK(登録商標)H15、H18、H20、H30(旭化成ワッカーシリコーン(株)製)、レオロシール(登録商標)((株)トクヤマ製)が挙げられる。
前記疎水性無機酸化物粒子(B)は、従来公知の方法で製造することができ、表面処理剤、たとえば疎水基(たとえば、前記炭化水素基、前記アミノ基含有炭化水素基、前記(メタ)アクリロイルオキシ基含有炭化水素基)を有するシランカップリング剤および/または前記オルガノポリシロキサン残基を含む化合物で無機酸化物粒子を表面処理することにより製造することができる。
前記シランカップリング剤の例としては、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、3−メタクリロキシプロピルシラン、3−アミノプロピルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルトリメトキシシラン、ジメチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。
前記オルガノポリシロキサン残基を含む化合物の例としては、下記式(1´)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021066847
(式中、Rは前記式(1)におけるRと同義であり、nは1〜500の整数であり、Xは水酸基、アルコキシ基(たとえばメトキシ基)またはハロゲン原子(たとえば塩素原子)である。)
前記表面処理剤としては、好ましくはジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン)残基を含む化合物が挙げられる。
疎水性無機酸化物粒子(B)の平均粒子径は、好ましくは0.005〜0.2μm、より好ましくは0.01〜0.15μmである。疎水性無機酸化物粒子(B)の平均粒子径が上記範囲内にあると、疎水性無機酸化物粒子(B)を前記エチレン重合体粒子(A)に均質に付着させることができる。
前記疎水性無機酸化物粒子(B)は、1種単独で用いてもよく、または2種類以上を併用しても良い。
[エチレン重合体粒子組成物]
本発明に係るエチレン重合体粒子組成物は、前記エチレン重合体粒子(A)と、前記疎水性無機酸化物粒子(B)とを含み、前記疎水性無機酸化物粒子(B)の一部または全部(たとえば30〜100質量%)が前記エチレン重合体粒子(A)の表面に存在する。
当該エチレン重合体粒子組成物に含まれる疎水性無機酸化物粒子(B)の量は、エチレン重合体粒子(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜15質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。
前記疎水性無機酸化物粒子(B)の含有量が上記範囲にあると、前記エチレン重合体組成物は流動性に優れ、また前記エチレン重合体粒子(A)表面で疎水性無機酸化物粒子(B)が凝集しないため、前記エチレン重合体粒子組成物から、成形ムラや欠陥がなく、孔が微細な焼結フィルタを製造することができ、また流動性に優れた粉体塗料を製造することができる。
エチレン重合体粒子組成物の嵩密度は、好ましくは400〜600kg/m3、より好ましくは420〜580kg/m3、さらに好ましくは440〜560kg/m3である。エチレン重合体粒子組成物の嵩密度が前記範囲内にあると、成形ムラや欠陥が少ない焼結フィルタを製造することができ、また塗膜のムラや欠陥が少ない粉体塗料を製造することができる点から好ましい。
エチレン重合体粒子組成物は、エチレン重合体粒子(A)と疎水性無機酸化物粒子(B)とをドライブレンドすることで得ることができる。
前記エチレン重合体粒子組成物は、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前記添加剤の例としては、安定剤、着色剤が挙げられる。
安定剤としては、例えば、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、ジステアリルチオジプロピオネート等の耐熱安定剤、あるいはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、2−(2−ヒドロキシ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾル等の耐候安定剤等が挙げられる。また、滑剤や塩化水素吸収材等として公知のステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩も好適な安定剤として挙げることができる。
着色剤としては、無機系、有機系のドライカラーが挙げられる。
[エチレン重合体粒子組成物の用途]
[焼結フィルタ]
本発明に係る焼結フィルタは、本発明のエチレン重合体粒子組成物を焼結して得られるものである。エチレン重合体粒子組成物を用いることで孔径(ポアサイズ)が小さく、均一すなわち孔径分布が狭い多孔体である焼結フィルタが得られる。
本発明に係る焼結フィルタは、工業用水の濾過フィルタ、または飲料水、ジュース、ワイン、酒類等の濾過用フィルタとして好ましく利用することができる。
本発明に係る焼結フィルタの孔径は、使用するエチレン重合体粒子(A)の平均粒径によって異なり、その用途に応じて適宜調整することができる。孔径は均一であることが好ましい。エチレン重合体(A)の平均粒子径から想定される焼結フィルタの孔径は0.6〜4μm程度である。
また、本発明に係る焼結フィルタにおける、以下の方法で決定される、1mm×1mmの断面区画内に存在する孔径100μm以上の孔ないし隙間の個数(この個数は、焼結フィルタの構造欠陥の少なさを示す指標となる。)は、1個以内である。前記焼結フィルタの孔ないし隙間の個数は、例えば走査型電子顕微鏡等を用いた観察により決定することができる。
本発明に係る焼結フィルタは、たとえば、所定の大きさの金型に前記エチレン重合体粒子組成物を振動充填し、140〜230℃の温度範囲で、1〜60分間加熱して焼結成形を行うことにより得られる。前記温度範囲および加熱時間は、エチレン重合体粒子(A)の極限粘度[η]、平均粒子径等に応じて、適宜調整される。
[粉体塗料]
本発明に係る粉体塗料は、本発明のエチレン重合体粒子組成物からなり、流動性に優れている。本発明に係る粉体塗料は、前記エチレン重合体粒子(A)および前記疎水性無機酸化物粒子(B)の他にも、粉体塗料に通常含まれることのある成分を含んでいてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各種物性の測定方法は、以下のとおりである。
(平均粒子径)
平均粒子径(メジアン(D50))および平均粒子径1μm以下の粒子の割合は、精密粒度分布測定装置(「コールターカウンター マルチサイザーIII」、ベックマン社製)によって測定した。
(目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合)
目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合は、目開き37μmメッシュ篩(Tyler #400)を用いて、通過した粒子の質量を求めることにより測定した。
(アスペクト比の測定)
アスペクト比は、粒度・形状分布測定器(「PITA−2」、セイシン企業製)を用いて画像解析によって測定した。
(極限粘度[η])
極限粘度[η]は、エチレン重合体粒子をデカリンに溶解させ、135℃で測定した。
(嵩密度)
嵩密度の測定は、ASTM D1895−96 A法に準じて実施した。
[実施例1]
平均粒子径11μm、アスペクト比1.1、極限粘度[η]13dl/g、目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合97質量%、平均粒子径1μm以下の粒子の割合0.1質量%のエチレン重合体粒子(A)(「MIPELON(登録商標) PM−200」、三井化学(株)製)100質量部と、疎水性無機酸化物粒子(B)(「AEROSIL RX200」、日本アエロジル(株)製、粒径12nm、酸化ケイ素粒子の表面をヘキサメチルジシラザンで疎水化処理)0.1質量部とを、コンパクトブレンダーを使用してドライブレンド混合し、エチレン重合体粒子組成物を得た。得られたエチレン重合体粒子組成物の嵩密度は450kg/m3であった。
次いで、エチレン重合体粒子組成物を金型(寸法:厚さ2mm、幅100mm、高さ100mm)に振動充填し、140℃の温度にて60分間加熱して焼結成形を行い、焼結フィルタを得た。得られた焼結フィルタの1mm×1mmサイズの断面を走査型電子顕微鏡(「JSM−6510LV」、日本電子(株)製)で観察したところ、100μm以上の孔ないし隙間は観察されなかった。
[実施例2および3]
疎水性無機酸化物粒子(B)の量を表1に示した通りに変更したこと以外は実施例1と同様にして、エチレン重合体粒子組成物を、次いで焼結フィルタを得た。これらの測定結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様のエチレン重合体粒子(A)100質量部を用いて、疎水性無機酸化物粒子(B)を混合せずに各種物性を確認した。エチレン重合体粒子組成物をエチレン重合体粒子(A)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、焼結フィルタを得た。エチレン重合体粒子(A)および焼結フィルタの測定結果を表1に示す。
[比較例2および3]
疎水性無機酸化物粒子(B)を表1に示した量の親水性無機酸化物粒子(「AEROXIDE Alu C」、日本アエロジル社製、粒径13nm、酸化アルミニウム粒子、疎水化処理なし)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、エチレン重合体粒子組成物を、次いで焼結フィルタを得た。これらの測定結果を表1に示す。
Figure 2021066847

Claims (8)

  1. 下記(i)〜(iii)の要件を満たすエチレン重合体粒子(A)と、疎水性無機酸化物粒子(B)とを含み、
    前記疎水性無機酸化物粒子(B)の一部または全部が前記エチレン重合体粒子(A)の表面に存在する
    エチレン重合体粒子組成物。
    (i)平均粒子径が3μm以上、20μm以下である。
    (ii)アスペクト比が1.0以上、1.2以下である。
    (iii)極限粘度[η]が5dl/g以上、50dl/g以下である。
  2. 前記エチレン重合体粒子(A)がさらに下記要件(iv)および(v)を満たす請求項1に記載のエチレン重合体粒子組成物。
    (iv)目開き37μmメッシュ篩を95質量%以上が通過する。
    (v)粒子径1μm以下の粒子の割合が5質量%以下である。
  3. 前記疎水性無機酸化物粒子(B)を前記エチレン重合体粒子(A)100質量部に対し0.01〜20質量部含む請求項1または2に記載のエチレン重合体粒子組成物。
  4. 前記疎水性無機酸化物粒子(B)が、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機酸化物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン重合体粒子組成物。
  5. 前記疎水性無機酸化物粒子(B)が、炭化水素基、アミノ基含有炭化水素基、(メタ)アクリロイルオキシ基含有炭化水素基、およびオルガノポリシロキサン残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の疎水基を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレン重合体粒子組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレン重合体粒子組成物を焼結してなる焼結フィルタ。
  7. 1mm×1mmの断面区画内に存在する孔径100μm以上の孔ないし隙間の個数が1個以内である請求項6に記載の焼結フィルタ。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレン重合体粒子組成物からなる粉体塗料。
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