JP2007291162A - アルミナ微粒子の分散組成液及びそれを用いた成型体 - Google Patents

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Abstract

【課題】分散組成液の透明性が高く、分散安定性が良好で、使用者が樹脂に配合することによって機械的強度の極めて高い成型体を得ることができるアルミナ微粒子の分散組成液を提供すること。
【解決手段】少なくとも、有機溶媒(A)、アルミナ微粒子(B)、表面処理剤(C)及び分散剤(D)を含有することを特徴とする分散組成液で、特に該分散剤(D)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩であるか、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルと他のビニル系モノマーの共重合体である分散組成液、並びに、かかる分散組成液を用いて樹脂中にアルミナ微粒子(B)を分散させてなる成型体。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミナ微粒子の分散組成液に関し、更に詳しくは、樹脂に配合させてその樹脂を改質させる用途に主に用いられる分散性や透明性等に優れたアルミナ微粒子の分散組成液に関する。
アルミナ微粒子は、樹脂に配合させることによって、その樹脂の強度等の物性を向上させ得ることが知られている。特許文献1ないし特許文献5には、特定のアルミナ微粒子の調製方法やアルミナ微粒子の特定の形状・物性が記載されており、得られたアルミナ微粒子を樹脂に配合することによって、その樹脂の物性を改質できることが記載されている。しかしながら、得られたアルミナ微粒子の用途については樹脂への直接練りこみを前提にしており、アルミナ微粒子を分散組成液として樹脂に配合する方法は記載されていない。すなわち、樹脂に配合するための、アルミナ微粒子の分散組成液については記載されていない。
アルミナ微粒子を樹脂中に直接混練した場合、アルミナ微粒子の剥離が十分に進行せず、アルミナ微粒子が完全には樹脂中に分散されない等の場合があった。その結果、得られた樹脂成型体の透明性、曲げ強さ、曲げ弾性率、荷重たわみ温度等の各種性質に劣るという問題点があった。そのため、より完全な成型体を得るために、分散組成液の形のものが望まれるようになった。
一方、アルミナ微粒子を液体に分散させた塗料やハードコート性コーティング組成物も知られている(例えば、特許文献6ないし特許文献8)。しかしながら、これらのアルミナ微粒子を含有する分散液は、直接支持体上に塗布するように設計されているため、使用者が樹脂に加えて「アルミナ微粒子含有樹脂」を調製するための「アルミナ微粒子の分散組成液」としては性能的に不十分であった。
すなわち、使用者が樹脂に加えて「アルミナ微粒子含有樹脂」を調製するための分散液には、あらゆる樹脂やあらゆる最終用途に適用する物性が求められる。すなわち、比較的低粘度でも分散安定性が求められたり、極めて高い透過率が求められたりする。また、使用者が樹脂に配合するまでの極めて長期の分散安定性も要求される。
しかしながら、上記した塗料やハードコート性コーティング組成物として知られているものは、かかる性能においては不十分であった。また、かかる性能向上を目指したものではなかったために、塗料やハードコート性コーティング組成物に配合されている化合物の種類や配合比等は、本発明の目的のためには参考にならなかった。
近年、高い透過率と高い機械的強度を有する成型体がより求められるようになってきている。そしてそのためにも、使用者が樹脂に配合させることにより、高い透過率と高い機械的強度を有する成型体を得ることができる「アルミナ微粒子の分散組成液」が望まれているが、それには更なる改善を必要としていた。
特開平11−228132号公報 特開2001−180930号公報 特開2001−261976号公報 WO2004/037721号公報 特開2005−528474号公報 特開平05−279019号公報 特開2001−139888号公報 特開2005−054192号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、分散組成液の透明性が高く、分散安定性が良好で、使用者が樹脂に配合することによって機械的強度の極めて高い成型体を得ることができるアルミナ微粒子の分散組成液を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を分散液中に配合させることによって、透明性を高く、分散安定性を良好にできることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも、有機溶媒(A)、アルミナ微粒子(B)、表面処理剤(C)及び分散剤(D)を含有することを特徴とする分散組成液を提供するものである。
また本発明は、上記の分散組成液を用いて、樹脂中にアルミナ微粒子(B)を分散させてなる成型体を提供するものである。
本発明によれば、透明性が高く分散安定性に優れたアルミナ微粒子の分散組成液を提供することができる。また、使用者がそれを樹脂に配合することによって機械的強度の高い成型体を得ることができるアルミナ微粒子の分散組成液を提供することができる。また、本発明の分散組成液を用いて得られた成型体は、その中でのアルミナ微粒子の分散性が良好であるため、透明性、曲げ強さ、曲げ弾性率、荷重たわみ温度等の各種性質に優れている。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
本発明の分散組成液は、少なくとも、有機溶媒(A)、アルミナ微粒子(B)、表面処理剤(C)及び分散剤(D)を含有することが必須である。
有機溶媒(A)は、少なくとも、アルミナ微粒子(B)、表面処理剤(C)及び分散剤(D)を溶解及び/又は分散させ得るものであれば特に限定はないが、疎水性有機溶媒であることが好ましい。本発明において「疎水性有機溶媒」とは、20℃において水に任意の割合で相溶しない溶媒をいう。
疎水性有機溶媒としては、疎水性有機溶媒と水との合計質量に対して、その溶媒が20℃で20質量%以下しか相溶せず、かつ、疎水性有機溶媒と水との合計質量に対して、水が20℃で20質量%以下しか相溶しないものが好ましい。また、疎水性有機溶媒と水との合計質量に対して、その溶媒が20℃で10質量%以下しか相溶せず、かつ、疎水性有機溶媒と水との合計質量に対して、水が20℃で10質量%以下しか相溶しないものが特に好ましい。水との相溶性が高すぎる溶媒の場合は、本発明における表面処理剤(C)や分散剤(D)の効果が発揮できず、アルミナ微粒子(B)の分散安定性が得られない場合がある。
疎水性有機溶媒としては、具体的には例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン等のラクトン類等が好ましいものとして挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上の混合溶媒で用いられる。
特に好ましくは、ベンゼン環(π)がつくりだすさまざまな様式の相互作用(π/πスタッキング相互作用、CH/π相互作用、NH/π相互作用等)の点で、トルエン、キシレン又はエチルベンゼンであり、水素結合を考慮した点では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート又はジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートである。
また、上記好ましい溶媒、特に好ましい溶媒は、今後の応用展開である樹脂への混練等を考慮した際、有機−無機成分間の仲立ちをする点においても有効に作用する。疎水性又は親水性樹脂との混練においては、無機成分であるアルミナ微粒子(B)と有機成分である樹脂との親和性が重要であり、親和性が悪く微粒子の凝集が起きると、微粒子を混練することにより、本来、発現するはずの機能性の低下、均一な透明性成型体を得ることが困難になる弊害が生じる場合がある。
有機−無機成分間の親和性向上に、主にπ/πスタッキング相互作用、CH/π相互作用、NH/π相互作用等を導入することが有効な、低極性、疎水性樹脂混練物においては疎水性、低極性であるトルエン、キシレン又はエチルベンゼンが好ましい。
一方、有機−無機成分間の親和性向上に水素結合を導入することが有効な親水性樹脂混練物においては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート又はジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートが好ましい。
また、有機溶媒(A)としては重合性モノマーも挙げられる。かかる重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド等のアクリル酸アミド類;ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート、2−メタクリロイロキシアルキルアシッドホスフェート、エチレングリコール系メタクリレート、プロピレングリコール系メタクリレート、フェノールEO変性メタクリレート、メタクリロイロキシアルキルアシッドホスフェート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリエチレングリコール系メタクリレート、エチレングリコール系ジメタクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート、フェノキシエチレングリコール系メタクリレート等のメタクリレート類;ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、2−アクリロイロキシアルキルアシッドホスフェート、エチレングリコール系アクリレート、プロピレングリコール系アクリレート、フェノールEO変性アクリレート、アクリロイロキシアルキルアシッドホスフェート、ヒドロキシアルキルアクリレート、ポリエチレングリコール系アクリレート、エチレングリコール系ジアクリレート、ビスフェノールAの付加物ジアクリレート、フェノキシエチレングリコール系アクリレート等のアクリレート類等;エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のエポシキ基含有化合物にメタクリル酸又はアクリル酸が結合したエポキシ(メタ)アクリレート類;ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物にメタクリル基又はアクリル基が結合したウレタン(メタ)アクリレート類;メラミン(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールにメタクリル酸又はアクリル酸が結合した多官能(メタ)アクリレート類;不飽和ポリエステル類;エーテル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル樹脂(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
この中では特にスチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜9個)等が好ましい。
アルミナ微粒子(B)の化学構造は、組成式内にAl単位を含むものであれば特に限定はないがアルミナ水和物であることが好ましい。アルミナ水和物としてはベーマイト又は擬ベーマイトが好ましい。
ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物は、下記一般式(1)で表されるものである。
Al3−n(OH)2n・mHO (1)
一般式(1)中、nは0ないし3の整数を表し、mは0ないし10の値、好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0.8〜1.2を表す。mHOは、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水であるため、mは整数でない値をとることができる。また、この種のアルミナ水和物を焼成した場合、mは0の値に達することがあり得る。
ベーマイト構造を有するアルミナ水和物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層状化合物であり、特有のX線回折ピークを示す。擬ベーマイト構造とは、過剰の水を(020)面の層間に含んだベーマイト構造である。この擬ベーマイトのX線回折図形は完全なベーマイトよりも幅広な回折ピークを示す。完全なベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別できるものではないので、本発明においては、これらを「(擬)ベーマイト」と略記する。
(擬)ベーマイト構造を有するアルミナ水和物の製造方法としては、特に限定はされないが、例えば、バイヤー法、明礬熱分解法等を採用することができる。特に好ましい方法は、長鎖のアルミニウムアルコキシドに対して酸を添加して加水分解する方法である。
上記方法等によって得られたアルミナ水和物は、水熱合成の工程を経て、粒子を成長させる熟成工程の条件を調整することにより、アルミナ水和物の粒子形状を特定範囲に制御することができ、熟成時間を適当に設定すると、粒子径が比較的均一なアルミナ水和物の一次粒子が成長する。ここで得られたゾルをスプレードライ等の方法により粉末化してアルミナ微粒子(B)が得られる。
また天然には、(擬)ベーマイトはボーキサイトを構成する鉱物の一種であり、通常、ギブサイトやバイヤライト等の水酸化アルミニウムを加熱処理及び/又は水熱処理することにより得られる。また、アルミナ三水和物(水酸化アルミニウム)とベーマイトとが水熱処理等によって複合化した複合化物(例えば、1〜99質量%、好ましくは5〜95質量%の水酸化アルミニウムが複合化した(擬)ベーマイト)であってもよい。
アルミナ微粒子(B)の形状は特に制限されず、粉粒状(球状、楕円球状、直方体や長方体等の四方体状、多角形の方体状、円柱状等);針状;板状(円盤状、楕円盤状、四角板状や六角板状等の多角板状、鱗片状等の不定形板状等)等であってもよい。その中でも、平均直径2nm〜15nm、平均長さ100nm〜600nmの形状を有する繊維状のもの;平均厚さ5〜15nm、平均幅10〜50nm、平均長さ100〜600nmのリボン形状のもの;平均厚さ2〜10nm、平均粒径15〜100nmを有する薄片状のもの等が、成型体の機械的強度を効果的に高めることができる点で好適である。
このうち、平均直径2nm〜15nmで、平均長さ5nm〜100nmの形状を有するものが、可視光の屈折又は散乱が生じ難い点で特に好ましい。また、平均直径2nm〜7nm、平均長さ10nm〜60nmの形状を有するものが更に好ましい。
アルミナ微粒子(B)のBET比表面積は特に限定はないが、0.5〜500m2/gが好ましく、2〜200m2/gが特に好ましく、5〜100m2/gが更に好ましい。
また、アルミナ微粒子(B)の市販品としては、例えば、河合石灰工業(株)の商品名「セラシュール」シリーズ[例えば、BMB、BMT、BMB(33)、BMT(33)、BMM、BMF、BMI等]、Nabaltec GmbH社の商品名「Apyral」シリーズ[例えば、AOH180DE、AOH180DS等]、Sasol North America Inc社の商品名「DISPAL」シリーズ、Saint−Gobain Ceramic Materials社の商品名「ナノアルミナ」シリーズ(例えば、CAM9010、CAM9060等)等が挙げられる。
アルミナ微粒子(B)は、ある平均形状・物性を示すものを単独で用いても、異なる平均形状・物性を示すものを2種以上併用してもよい。
本発明の分散組成液は、表面処理剤(C)を必須成分として含有する。表面処理剤(C)とは、アルミナ微粒子(B)の表面に作用して、分散性を向上させるものならば特に限定はないが、ケイ素含有化合物、アルミニウム含有化合物又はチタン含有化合物が好ましい。また、ポリイソブチレン等の不飽和結合を有する化合物も好ましい。このうち、耐熱性を有するものが多い点でケイ素含有化合物が特に好ましい。
ケイ素含有化合物としては、アルコキシシラン化合物が挙げられる。このうち、ジメトキシシラン化合物、トリメトキシシラン化合物、ジエトキシシラン化合物、トリエトキシシラン化合物、ビス(2−メトキシエトキシ)シラン化合物、トリス(β−メトキシエトキシ)シラン化合物等が好ましい。
具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アルミニウム含有化合物としては、Al(OR)[式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基を示す]で表される有機アルミニウムアルコキシド;Al(OCOR’)(OR)3−n[式中、R’はメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基を示し、nは0<n≦3を満たす整数を示す]で表される有機アルミニウムアシレート;アルミニウムに対しアセチルアセトン、アルキルアセトアセテート等のキレート化合物が配位した有機アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
チタン含有化合物としては、Ti(OR)[式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基を示す]で表される有機チタンアルコキシド;Ti(OCOR’)(OR)4−n[式中、R’はメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基を示し、nは0<n≦4を満たす整数を示す]で表される有機チタンアシレート;チタンに対しアセチルアセトン、アルキルアセトアセテート等のキレート化合物が配位した有機チタンキレート化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の分散組成液中に、表面処理剤(C)を含有させることによって、金属酸化物であるアルミナ微粒子(B)表面に存在する水酸基と表面処理剤(C)が吸着若しくは共有結合をすることにより、分散組成液とアルミナ微粒子間の親和性を上げることが可能となり分散性が良好となる。
本発明の分散組成液は、分散剤(D)を必須成分として含有する。分散剤(D)とは、(a)アルミナ微粒子/溶媒界面への配向性が強い、(b)アルミナ微粒子との親和性が強い、(c)溶媒と適度な相溶性を持つ、ものと定義される。かかる分散剤(D)としては、上記物性を示すものであれば特に限定はないが、以下の(1)又は(2)が好ましい。
(1)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸又はその塩等のリン酸エステル(塩)。
(2)(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルと他のビニル系モノマーの共重合体等の(メタ)アクリル系重合体。
ただし、ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」を総称するものとし以下同様である。
(1)のリン酸エステル(塩)としては特に限定はないが、下記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩が、アルミナ微粒子(B)の分散性を良くし、透過率の大きい分散組成液を与えることができるので好ましい。光透過性の良い分散組成液にできることで、これらの分散組成液を用いて、ポリマー系ナノコンポジット等の各種用途に応用する際、優れた補強性を示すとともに、素材本来の色彩、透明性を維持することができる点で好ましい。(1)のリン酸エステル(塩)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
Figure 2007291162
[一般式(2)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基を示し、Mは対カチオンを示し、pとqはp+q=3、1≦q≦3を満たす整数を示し、nは2≦n≦12を満たす整数を示す。]
一般式(2)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基を示すが、炭素数10〜16のアルキル基が好ましく、炭素数12〜15のアルキル基が特に好ましい。炭素数がこの範囲であると、疎水性を上げ、疎水性有機溶媒中への溶解度合い、アルミナ微粒子を分散するのに必要な分散剤(D)自体が持つ親水性と疎水性のバランスを保つ点で好ましい。また、Mは対カチオンを示すが、水素イオン、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンが好ましく、水素イオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンが特に好ましい。
一般式(2)中、pとqはp+q=3、1≦q≦3を満たす整数であるが、2≦q≦3が、P=O結合の分極を促進させる上で好ましい。分極が促進されることにより、よりアルミナ微粒子との相互作用が強まる効果がある。
一般式(2)中、nは2≦n≦12を満たす整数であるが、2≦n≦10が好ましい。すなわち、一般式(2)中のポリオキシエチレン鎖が、エチレンオキサイドの繰り返し単位数2〜10個のものが好ましい。2≦n≦6が特に好ましく、2≦n≦4が更に好ましい。すなわち、nの値は小さいほど(すなわち2に近いほど)、アルミナ微粒子(B)の分散性や分散組成液の透過率が大きくなるので好ましい。最も好ましいnの値は2である。
(1)のリン酸エステル(塩)のHLB値は特に限定はないが、4〜17が好ましく、4〜10が、アルミナ微粒子(B)の分散性や分散組成液の透過率を良くできる点で特に好ましい。また、(1)のリン酸エステル(塩)は、分散安定性において、幅広いHLB値をとれることにより、ある程度の極性、親疎水性度をもった溶媒に対しても調整が可能である。
分散剤(D)における(2)の(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルと他のビニル系モノマーの共重合体が、アルミナ微粒子(B)の分散性を良くし、分散組成液の透過率を大きくする。これは、分散組成液を添加してアルミナ微粒子の効果を得ることにより、機械特性、光学特性、熱特性等の機能性向上をはかることを目的とする分野においては、樹脂素材本来の色彩、透明性等を維持することができる点で好ましい。
(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノプロピル等が挙げられる。(2)の(メタ)アクリル系重合体中に、ジアルキルアミノ基が存在することで、アルミナ微粒子(B)の分散性が良好となる。以下の原理に限定されるものではないが、分散剤が多点吸着されているアルミナ微粒子が有機溶媒中で、主に立体障壁的分散安定化を生じるためと推察される。
該分散剤(D)としての(メタ)アクリル系重合体には、更に、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物が共重合されていることが、分散性を良好にするために特に好ましい。すなわち、(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物及び他のビニル系モノマーの共重合体が特に好ましい。
(2)の(メタ)アクリル系重合体に共重合されている「他のビニル系モノマー」としては特に限定はないが、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸フェニル、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、(無水)マレイン酸、アクリロニトリル等が挙げられる。「他のビニル系モノマー」は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
このうち、(メタ)アクリル酸アルキルは、親水性、疎水性、塩基性、酸性の官能基モノマーの種類が豊富で分子設計の幅が広く、共重合体の機能性発現調整の点で特に好ましい。また、表面処理剤(C)との間での親和性の点においても特に好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルにおけるエステル基は限定されないが、メチル基、エチル基、ブチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、オクチル基等の炭素数1〜8の炭化水素基等が好ましいものとして挙げられる。
分散剤(D)としての(メタ)アクリル系重合体の共重合比は特に限定はないが、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルを共重合成分として含有するときは、(メタ)アクリル系重合体全体に対して、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルが、15〜60質量%含有されていることが好ましく、20〜50質量%含有されていることが特に好ましい。
(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルの共重合比が小さい場合は、アルミナ微粒子(B)への分散剤(D)の吸着性が小さく、また、脱着しやすく分散安定化が得られない場合があり、一方、大きすぎる場合は、微粒子に吸着している共重合物が別の微粒子に架橋吸着し、微粒子間での架橋凝集が起こる場合がある。
分散剤(D)としての(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量は特に限定はないが、3000〜40000が好ましく、5000〜15000が特に好ましい。重量平均分子量が大きすぎると、固体微粒子同士をつなぐ効果が発現し、小さすぎると吸着性が劣り分散安定化が得られない場合がある。
分散剤(D)としての(メタ)アクリル系重合体は、モノマー連鎖の制御技術から、ランダム共重合体とブロック共重合物に大きく分けて据えられる。通常の合成法で得られるランダム共重合体は機能性モノマーがランダムに並ぶので、平均化され明確な親疎水構造を作りこむことが難しい場合がある。一方、ブロック共重合体では、分子内がセグメント化され、分子の一部を親水性に、他方を疎水性にできる等、明確に構造を作りこむことができるため、アルミナ微粒子を分散するための界面活性機能を発現するのに好ましい。
本発明の分散組成液全体に占めるアルミナ微粒子(B)の含有量は、0.5質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜30質量%が特に好ましい。アルミナ微粒子(B)の含有量が少なすぎる場合には、用途が限定されてしまう場合があり、多すぎる場合は、透明性が高く、分散性の良いアルミナ微粒子(B)の分散組成液が得られない場合がある。
本発明の分散組成液全体に占める表面処理剤(C)の含有量は、0.2質量%〜30質量%が好ましく、質量0.5%〜20質量%が特に好ましい。表面処理剤(C)の含有量が少なすぎる場合には、激しい凝集又はゲル化が生じる場合がある。それは、微粒子表面と疎水性溶剤との間の表面張力増大が起こり、界面での親和性が悪くなるためと推測される。一方、多すぎる場合は凝集をまねく場合がある。それは、微粒子表面の吸着層の増大に起因すると推察される。
本発明の分散組成液全体に占める分散剤(D)の含有量は、0.2質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜12質量%が特に好ましい。親水性の両性酸化物であるアルミナ微粒子表面は溶媒中では正又は負に帯電しており、分散剤(D)の含有量が少なすぎるか無添加の場合には、アルミナ微粒子表面のゼータ電位の絶対値が低下するため、溶剤との親和性が悪くなる。逆に多すぎる場合には、溶剤との親和性が悪くなり、分散性が低下する場合がある。その原因は、最適添加量以上の分散剤(D)を加えることになり、アルミナ微粒子表面に親水性−疎水性、酸−塩基、イオン−双極子等の相互作用により生じた表面電荷に対する対イオンの静電相互作用が起き、ゼータ電位の絶対値を徐々に減らしていくためと推察される。
また、アルミナ微粒子(B)100質量部に対して、表面処理剤(C)を20〜80質量部使用することが好ましく、30〜60質量部を使用することが特に好ましい。アルミナ微粒子(B)に対する表面処理剤(C)の量が少なすぎる場合には、激しい凝集又はゲル化が生じる場合がある。
また、アルミナ微粒子(B)100質量部に対して、分散剤(D)を20〜70質量部使用することが好ましく、30〜60質量部を使用することが特に好ましい。アルミナ微粒子(B)に対する分散剤(D)の量が少なすぎる場合には、粒子表面に対する吸着が少なく、脱着が起こりやすい。
本発明の分散組成液には、上記必須成分のほか、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、難燃剤等を含有させることもできる。その場合には、本発明の分散組成液の上記効果を損なわない範囲で、例えば、5質量%以下の範囲で含有される。
本発明の分散組成液の製造方法は特に限定はなく公知の方法が用いられる。具体的には、例えば、ビーズミル分散法等のメディア分散法;超音波分散法、ロールミル分散法等のメディアレス分散法等が挙げられる。このうち、分散安定性等の点から、好ましくは超音波分散法又はビーズミル分散法であり、特に好ましくはビーズミル分散法である。
本発明のアルミナ微粒子(B)の分散組成液は、これに樹脂を溶解させて、又はこれを樹脂に配合させて、その後に有機溶媒(A)を除いて成型体にするという用途に用いられることが好ましい。
成型体を得るために、本発明のアルミナ微粒子(B)の分散組成液に配合する樹脂としては特に限定はされず、種々の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。成型体構成のための熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等が挙げられ、生分解性樹脂としてはポリ乳酸樹脂等が挙げられる。その他、アイオノマー樹脂、ロジン変性マレイン酸系樹脂、アルキレン−(メタ)アクリレート系樹脂が挙げられ、これらの混合物であっても良い。
本発明に用いられる特に好ましい樹脂としては、成型した際の透明特性を活かすことができる(メタ)アクリル系樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂(シクロオレフィン樹脂等)等が挙げられる。
また、その成型体中には、成型体の機能を発揮させる化合物を、更に配合させることができる。すなわち、例えば、ハードコート材、接着剤、電気・電子材料、構造部材、光学材料、自動車部品、補強を必要とする日用品、無色透明性を必要とする機能性材料等における、機能・効果を発揮させる化合物を、更に配合させることもできる。
本発明のアルミナ微粒子(B)の分散組成液と樹脂は通常の方法で混合溶解させることができる。具体的には例えば、プラネタリーミキサー、二軸ミキサー、ニーダー、バンバリーミキサー、オーブンロール等の攪拌混練機、単軸押出し機、二軸押出し機等によって、樹脂中に混練する方法が挙げられる。成型体は最終製品の場合もあるが、中間段階のペレット等の場合もある。すなわち、本発明の分散組成液と樹脂との混合溶液を支持体上に塗布し、要すれば加熱等をして有機溶媒(A)を除去し最終製品(成型体)を得ることもできるし、本発明の分散組成液と樹脂との混合溶液を混練機等で混練しながら有機溶媒(A)を除去して、樹脂中にアルミナ微粒子(B)が分散された中間状態の製品(成型体)を得ることもできる。
本発明のアルミナ微粒子(B)が分散された分散組成液を用いて製造された成型体はその機械的強度に優れている。また、本発明のアルミナ微粒子(B)が分散された分散組成液はあらゆる用途の成型体に適用可能なものである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「%」は「質量%」を示し、「部」は「質量部」を示す。
各試験方法は次の方法により行なった。
(1)平均粒径測定試験
累積粒径は、日機装株式会社製の粒度分布計、マイクロトラックUPA(ST−150)を用いて常法に従って測定した。
(2)透過率測定
株式会社島津製作所製の島津自己分光光度計UV−3150を用いて測定した。
実施例1
<分散組成液(1)の調製>
アルミナ微粒子(B)(Saint−Gobain Ceramic Materials社製「CAM9060」)を6.00部、有機溶剤(A)としてトルエン89.1部、及び表面処理剤(C)としてγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業製KBM−502)2.40部を加え、湿式法により表面処理を30分間行なった。その後、分散剤(D)としてトリポリオキシエチレン(5)セチルエーテルリン酸(一般式(2)において、Rが炭素数16のアルキル基、n=5、q=3)日光ケミカルズ株式会社製「TCP−5」を2.47部加え、全量を100部とし、ジルコニアビーズ適量とをペイントシェーカーにいれ、8時間混合することにより分散組成液(1)を得た。
この分散組成液(1)は、90日後もアルミナ微粒子(B)が凝集沈殿することなく安定に存在した。分散途中の3時間後、5時間後、最終8時間後にサンプリングして、累積50%粒径と累積90%粒径を測定した。結果を表1に示す。
<分散組成液(2)〜(18)の調製>
分散組成液(1)の調製において、分散剤(D)として、表1に記載の分散剤を所定量用いた以外は、分散組成液(1)と同様にして、分散組成液(2)〜(18)を得た。なお、表1中の分散剤(D)は商品名で記載されているが、その化学構造について表2にまとめた。表2中のM、R、n、p及びqは、一般式(2)におけるものである。
この分散組成液は、90日後もアルミナ微粒子(B)が凝集沈殿することなく安定に存在した。分散組成液(1)と同様、分散途中の3時間後、5時間後、最終8時間後にサンプリングして、累積50%粒径と累積90%粒径を測定した。結果を併せて表1に示す。
Figure 2007291162
分散組成液(1)〜(18)に用いられた、一般式(2)で表される日光ケミカルズ社製リン酸エステル(塩)
Figure 2007291162
Figure 2007291162
[一般式(2)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基を示し、Mは対カチオンを示し、pとqはp+q=3、1≦q≦3を満たす整数を示し、nは2≦n≦12を満たす整数を示す。]
表1中の各成分の数値は「部」である。分散組成液(14)〜(18)についての透過率(透過スペクトル)を図1に示した。また、分散組成液(1)と(2)について、3時間後、5時間後、最終8時間後の各点における「累積50%粒径」と「累積90%粒径」を、それぞれ、図2と図3に示した。なお、図1〜図3中の曲線に付された数字は上記分散組成液の番号である。
上記表1の結果から明らかなように、本発明の分散組成液(1)〜(18)は何れも、累積50%粒径が全て50nm以下と極めて小さかった。また、累積90%粒径も全て80nm以下と極めて小さかった。このことにより、本発明の分散組成液が、優れたアルミナ微粒子の分散性を有していることが分かった。
また、図1に示すように、可視光部分の透過率は充分に高く、本発明の分散組成液は透明性に優れていることが分かった。このことは、本発明の分散組成液と樹脂とを用いて調製した成型体の透過率も高くなることを意味する。従って、本発明の分散組成液を用いることによって、可視部の透過率が高い成型体が得られることが分かった。
更に、一般式(2)におけるnの値、すなわちエチレンオキサイドの繰り返し単位数(表1における「付加E.O.モル数」)が小さくなるほど、「累積50%粒径」、「累積90%粒径」共に減少することが分かった。このことは、エチレンオキサイドの繰り返し単位数(n)が小さく、2に近い値であるほど、一般式(2)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩が、アルミナ微粒子(B)の分散性を良くすることを示している。また、図1〜図3においてもその傾向があることが分かった。
実施例2
<分散組成液(19)の調製>
・アルミナ微粒子(B)として、実施例1と同じ、Saint−Gobain Ceramic Materials社製のアルミナ微粒子「CAM9060」を6.00部、
・有機溶媒(A)としてトルエン85.6部、
・分散剤(D)として、下記の組成を有する共栄社化学株式会社製フローレンDOPA−15Bを6.00部、
[DOPA−15Bの組成]
メタクリル酸アルキル−メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル共重合物 26.8部
トリメチルフォスフェート 3.2 部
キシレン 33.0 部
エチルベンゼン 37.0 部
・表面処理剤(C)として、信越化学工業社製KBM−502[γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン]2.40部、
を、実施例1と同様に、ペイントシェーカーで8時間混合することによって、分散組成液(19)を得た。
この分散組成液(19)は、90日後もアルミナ微粒子(B)が凝集沈殿することなく安定に存在した。更に、分散途中の3時間後、5時間後、最終8時間後にサンプリングして、累積50%粒径と累積90%粒径を測定した。結果を表3に示す。
<分散組成液(20)〜(24)の調製>
分散組成液(19)の調製において、配合量を表3に示したように変えた以外は分散組成液(19)と同様にして、分散組成液(20)〜(24)を得た。
この分散組成液(20)〜(24)は、90日後もアルミナ微粒子(B)が凝集沈殿することなく安定に存在した。更に、分散組成液(19)と同様、分散途中の3時間後、5時間後、最終8時間後にサンプリングして、累積50%粒径と累積90%粒径を測定した。結果を併せて表3に示す。なお、表3中の各成分の数値は「部」である。
Figure 2007291162
上記表3の結果から明らかなように、8時間分散させた本発明の分散組成液は、累積50%粒径が全て50nmと極めて小さかった。また、累積90%粒径も全て80nm以下と極めて小さかった。このことにより、本発明の分散組成液が、優れたアルミナ微粒子分散性を有していることが分かった。
また、図4に示すように、分散組成液(19)、(20)、(23)及び(24)の全てにおいて、可視光部分の透過率は充分に高く、本発明の分散組成液は透明性に優れていることが分かった。このことは、本発明の分散組成液と樹脂とを用いて調製した成型体の透過率も高くなることを意味する。従って、本発明の分散組成液を用いることによって、可視部の透過率が高い成型体が得られることが分かった。なお、図4中の曲線に付された数字は上記分散組成液の番号である。
比較例1
アルミナ微粒子(B)(Saint−Gobain Ceramic Materials社製「CAM9060」)を6.00部、有機溶剤(A)としてトルエン89.2部、及び表面処理剤(C)としてγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業製KBM−502)2.40部を加え、湿式法により表面処理を30分間行なった。その後、分散剤(D)としてぺポールB−181(東邦化学工業製;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系)2.40部を加え、全量を100部とし、ジルコニアビーズ適量とをペイントシェーカーにいれ8時間混合した。分散組成液は透明性を得ることなく、凝集が生じており、数時間後沈殿が確認された。
比較例2
アルミナ微粒子(B)(Saint−Gobain Ceramic Materials社製「CAM9010」)を6.00部、有機溶剤(A)としてトルエン89.1量部、及び表面処理剤(C)としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SZ6030)2.40部を加え、湿式法により表面処理を30分間行なった。その後、分散剤(D)としてフローレンDOPA−G700(共栄社化学社製、分岐ポリカルボン酸共重合体部分エステル)2.50部を加え、全量を100部とし、ジルコニアビーズ適量とをペイントシェーカーにいれ、8時間混合することにより分散組成液を得た。分散組成液は透明性を得ることなく、凝集が生じていることが確認された。
比較例3
アルミナ微粒子(B)(Saint−Gobain Ceramic Materials社製「CAM9060」)を6.00部、有機溶剤(A)としてトルエン91.6部、及び分散剤(D)としてトリポリオキシエチレン(5)セチルエーテルリン酸(一般式(2)において、Rが炭素数16のアルキル基、n=5、q=3)日光ケミカルズ株式会社製「TCP−5」を2.47部加え、全量を100部とし、ジルコニアビーズ適量とをペイントシェーカーにいれ、8時間混合した。分散組成液は透明性を得ることなく、凝集が生じ、ゲル化が確認された。
比較例4
アルミナ微粒子(B)(Saint−Gobain Ceramic Materials社製「CAM9010」)を6.00部、有機溶剤(A)としてトルエン91.6部、及び分散剤(D)としてフローレンDOPA−15B(共栄社化学製)8.00部を加え、全量を100部とし、ジルコニアビーズ適量とをペイントシェーカーにいれ、8時間混合した。分散組成液は透明性を得ることなく、凝集が生じ、ゲル化が確認された。
比較例5
アルミナ微粒子(B)(Saint−Gobain Ceramic Materials社製「CAM9060」)を6.00部、有機溶剤(A)としてトルエン91.6部、及び表面処理剤(C)としてγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業製KBM−502)2.40部を加え、全量を100部とし、湿式法により表面処理を30分間行なった。その後、ジルコニアビーズ適量をペイントシェーカーにいれ、8時間混合した。分散組成液は透明性を得ることなく、凝集が生じ、ゲル化が確認された。
本発明の分散組成液はアルミナ微粒子の分散安定性に優れているので、種々の用途に安定して使用できるものであり、また、本発明の分散組成液を用いて製造した成型体は、アルミナ微粒子の分散性に優れ、可視領域に吸収を持たない。その結果として、透明性、機械的性質、光学的性質、表面硬度等に優れているので、ハードコート材、接着剤、電気・電子材料、構造部材、光学材料、自動車部品等の工業用品をはじめ、補強を必要とする多くの日用品に広く利用され、更には無色透明性を必要とする機能性材料に広く利用されるものである。
実施例1における分散組成液(14)〜(18)の透過率のスペクトルである。 実施例1における分散組成液(1)と(2)の累積50%粒径の分散時間変化を示すグラフである。 実施例1における分散組成液(1)と(2)の累積90%粒径の分散時間変化を示すグラフである。 実施例2における分散組成液(19)、(20)、(23)及び(24)の透過率のスペクトルである。

Claims (14)

  1. 少なくとも、有機溶媒(A)、アルミナ微粒子(B)、表面処理剤(C)及び分散剤(D)を含有することを特徴とする分散組成液。
  2. 該分散剤(D)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩である請求項1記載の分散組成液。
  3. ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩のポリオキシエチレン鎖が、エチレンオキサイドの繰り返し単位数2〜10個のものである請求項2記載の分散組成液。
  4. 該分散剤(D)が、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルと他のビニル系モノマーの共重合体である請求項1記載の分散組成液。
  5. 該分散剤(D)が、更に(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物が共重合されたものである請求項4記載の分散組成液。
  6. 他のビニル系モノマーが、(メタ)アクリル酸アルキルである請求項4又は請求項5記載の分散組成液。
  7. 該有機溶媒(A)が、疎水性有機溶媒である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載の分散組成液。
  8. 疎水性有機溶媒が、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類又はラクトン類である請求項7記載の分散組成液。
  9. 該アルミナ微粒子(B)が、組成式Al3−n(OH)2n・mHO[式中、nは0〜3の整数を示し、mは0〜3の数値を示す]で表されるベーマイト又は擬ベーマイトである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項記載の分散組成液。
  10. 該アルミナ微粒子(B)が、平均直径2nm〜15nmで、平均長さ5nm〜100nmの形状を有するものである請求項1ないし請求項9の何れかの請求項記載の分散組成液。
  11. 該表面処理剤(C)が、ケイ素含有化合物、アルミニウム含有化合物又はチタン含有化合物である請求項1ないし請求項10の何れかの請求項記載の分散組成液。
  12. 樹脂に配合させることによって、該樹脂中にアルミナ微粒子(B)が分散された成型体を得るための請求項1ないし請求項11の何れかの請求項記載の分散組成液。
  13. 請求項1ないし請求項12の何れかの請求項記載の分散組成液を用いて、樹脂中にアルミナ微粒子(B)を分散させてなる成型体。
  14. 請求項1ないし請求項12の何れかの請求項記載の分散組成液中に樹脂を溶解させ、その後、有機溶媒(A)を除去することによって、樹脂中にアルミナ微粒子(B)を分散させてなる請求項13記載の成型体。
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