JP2021065072A - 回転電機の回転子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コイル通風路の構造を改善することで回転子コイルを効率良く冷却することのできる回転電機の回転子を提供できる。【解決手段】 実施形態によれば、回転子コイルを収納するコイルスロットと、冷却ガスを回転子軸方向に通風するサブスロットと、前記回転子コイルに設けられ前記サブスロットから冷却ガスを導入して回転子外径方向に通風する複数の回転子軸方向に配列したコイル通風路とを備え、冷却ガスが回転子鉄心端から前記サブスロットに流入し、さらに個々のコイル通風路に分岐して流入するように構成された回転電機の回転子において、前記複数のコイル通風路の少なくとも1つは、前記サブスロットからの冷却ガスが流入する、複数の回転子軸方向に配列した内径側径方向貫通流路と、前記複数の内径側径方向貫通流路をそれぞれ通った冷却ガスが合流して流れる1つの外径側径方向貫通流路とを備えている、回転電機の回転子が提供される。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、回転電機の回転子に関する。
一般的な回転電機、例えばタービン発電機の回転子の構造の例を、図14〜図16に示す。
図14は、回転子鉄心を回転子軸方向に見たときの断面形状の一例を示す断面図であり、図15は、図14中に示されるコイルスロット周辺を拡大して示す断面図であり、図16は、回転子(片側の鉄心端から鉄心中央付近までの範囲)を回転子回転方向に見たときの断面形状の一例を示す断面図である。
図14に示されるように、回転子鉄心1には、周方向に複数のコイルスロット2が所定の間隔で配置され、各コイルスロット2の内周側には、サブスロット3が設けられている。各コイルスロット2には回転子コイル4が収納されている。
各回転子コイル4は、図15に示されるように、複数の界磁導体を積層して構成されている。当該回転子コイル4は、絶縁材5により回転子シャフト10や回転子楔6と絶縁され、回転子楔6をコイルスロット開口端部(図示せず)に挿入することで固定される。具体的には、図15に示されるように絶縁材5が、回転子鉄心1と回転子コイル4との間、回転子楔6と回転子コイル4との間、更には図16に示されるように保持環9と回転子コイル4との間に挿入されることで、回転子コイル4の絶縁性が確保されている。また、図15には図示されていないが、個々の回転子コイル4の間にも絶縁材が挿入されている。
各サブスロット3は、図15および図16に示されるように、回転子シャフト10に施され、各コイルスロット2の内径側において、回転子軸方向(図16中のA方向)に延在する冷却ガス流路を構成している。各サブスロット3の回転子外径側(図16中のR方向側)には、当該サブスロット3と連通するように回転子径方向に延在する複数のコイル通風路7(回転子コイル4の通風流路)が回転子軸方向に所定の間隔で設けられている。各コイル通風路7の回転子外径側には、絶縁材5および回転子楔6を回転子外径方向に貫通する通風路が設けられている。
冷却ガスFは、回転子の回転による遠心ファン効果により、図16に示されるように回転子鉄心端11よりサブスロット3に導入され、回転子鉄心1の軸方向中央部に向かって流れ、個々のコイル通風路7に分岐して流入する。各コイル通風路7を流れる冷却ガスFは、回転子コイル4で発生した熱を冷却・吸収した後、回転子楔6の通風路より排出される。
上述したサブスロット3内の冷却ガスは、回転子鉄心端11付近では流量が多く流れが速いため、特に回転子鉄心端11に近いコイル通風路7に分岐する際に、当該コイル通風路7のサブスロット下流側の壁面に沿ってコイル通風路7内に流入する。このとき、当該コイル通風路7の冷却ガス入口部では大きな分岐圧力損失が発生する。具体的には、コイル通風路7の冷却ガス入口部に流入した冷却ガスはそのままコイル通風路7のサブスロット下流側の壁面に沿って流れるため、図17に示されるように、コイル通風路7の冷却ガス入口部におけるサブスロット上流側の壁面から冷却ガスの流れが剥離して渦などが発生し、大きな流路抵抗が発生する。このときの圧力損失により、回転子鉄心端11に近いコイル通風路7における冷却ガスFの流量は、鉄心中央側のコイル通風路7における冷却ガスFの流量よりも少なく、また、サブスロット下流側に大きく偏った冷却ガスの流量分布が生じる。回転子コイル4の温度は、コイル通風路7を流れる冷却ガスの流量に大きく依存するため、冷却ガスの流量の少ない回転子鉄心端11側にあるコイルの方が、鉄心中央側にあるコイルよりも温度が高くなる。
一方で、各回転子コイル4はそれらを構成する絶縁材の耐熱性能により厳しく温度上限が制限されている。従って、回転子鉄心端11に近いコイル通風路7において回転子コイル4を十分に冷却できる冷却ガスの流量を確保するため、サブスロット3内の冷却ガスFを過剰に流しているという問題がある。また、回転電機の大容量化に伴い回転電機の鉄心長が長くなると、回転子コイル4のコイル通風路7も軸方向に配列する本数が増加することになるため、ますます過剰に冷却ガスFを流す必要が生じるという問題もある。
発明が解決しようとする課題は、コイル通風路の構造を改善することで回転子コイルを効率良く冷却することのできる回転電機の回転子を提供することにある。
実施形態によれば、回転子コイルを収納するコイルスロットと、冷却ガスを回転子軸方向に通風するサブスロットと、前記回転子コイルに設けられ前記サブスロットから冷却ガスを導入して回転子外径方向に通風する複数の回転子軸方向に配列したコイル通風路とを備え、冷却ガスが回転子鉄心端から前記サブスロットに流入し、さらに個々のコイル通風路に分岐して流入するように構成された回転電機の回転子において、前記複数のコイル通風路の少なくとも1つは、前記サブスロットからの冷却ガスが流入する、複数の回転子軸方向に配列した内径側径方向貫通流路と、前記複数の内径側径方向貫通流路をそれぞれ通った冷却ガスが合流して流れる1つの外径側径方向貫通流路とを備えている、回転電機の回転子が提供される。
コイル通風路の構造を改善することで回転子コイルを効率良く冷却することのできる回転電機の回転子を提供できる。
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
最初に、図1乃至図4を参照して、第1の実施形態について説明する。ここでは、前述した図14乃至図17も適宜参照する。
最初に、図1乃至図4を参照して、第1の実施形態について説明する。ここでは、前述した図14乃至図17も適宜参照する。
第1の実施形態に係る回転電機の回転子の基本的な構造は、図14乃至図16に示したものと同様であるが、回転子コイル4におけるコイル通風路7の形状などが異なる。
図1は、第1の実施形態に係る回転電機の回転子に適用される通風路7を含む構造を回転子回転方向に見たときの断面形状の一例を示す断面図である。図2は、図1中に示される通風路7の一部の断面形状を拡大して示す図である。図3は、図1中に示される通風路7のA−A’面の断面形状を示す図である。図4は、図1中に示される通風路7のB−B’面の断面形状を示す図である。
本実施形態では、複数のコイル通風路(径方向貫通流路)7の少なくとも1つは、サブスロット3からの冷却ガスが流入する、複数の回転子軸方向に配列した内径側径方向貫通流路7aと、これら複数の内径側径方向貫通流路7aをそれぞれ通った冷却ガスが合流して流れる1つの外径側径方向貫通流路7bとを備える。図1の例では、このような複数の内径側径方向貫通流路7aおよび1つの外径側径方向貫通流路7bを有するコイル通風路7が、複数個設けられている場合が例示されている。また、図1乃至4には、内径側径方向貫通流路7aの数が2つである場合が例示されているが、内径側径方向貫通流路7aの数はこれに限定されるものではなく、例えば軸方向に3つ以上の内径側径方向貫通流路7aが配列されるようにしてもよい。
図14でも示したように、回転子鉄心1には、周方向に複数のコイルスロット2が所定の間隔で配置され、各コイルスロット2の内周側には、サブスロット3が設けられている。各コイルスロット2には回転子コイル4が収納されている。
また、各サブスロット3は、図15及び図16でも示したように、回転子シャフト10に施され、各コイルスロット2の内径側において、回転子軸方向に延在する冷却ガス流路を構成している。各サブスロット3の回転子外径側には、当該サブスロット3と連通するように回転子径方向に延在する複数のコイル通風路7が回転子軸方向に所定の間隔で設けられている。各コイル通風路7の回転子外径側には、絶縁材5および回転子楔6を回転子外径方向に貫通する通風路が設けられている。
冷却ガスFは、回転子の回転による遠心ファン効果により、図16に示されるように回転子鉄心端11よりサブスロット3に導入され、回転子鉄心1の軸方向中央部に向かって流れ、個々のコイル通風路7に分岐して流入する。個々のコイル通風路7においては、図1及び図2に示されるように、サブスロット3から冷却ガスが2つの内径側径方向貫通流路7aにそれぞれ流入し、これら2つの流路7aを冷却しながら通過した後、1つの外径側径方向貫通流路7bに流入して合流し、この流路7bを冷却しながら通過する。
本実施形態では、内径側径方向貫通流路7aを、外径側径方向貫通流路7bと同じ構造にするのではなく、内径側径方向貫通流路7aと異なる構造にしている。例えば、サブスロット3から冷却ガスが流入する内径側径方向貫通流路7aにおける径方向断面の断面形状は、図4のような軸方向に長い横長形ではなく、図3のような丸形を成している。また、1つの外径側径方向貫通流路7bに対し、2つの内径側径方向貫通流路7aを設け、2つの内径側径方向貫通流路7aを通った冷却ガスが1つの外径側径方向貫通流路7bで合流するように構成している。
なお、2つの内径側径方向貫通流路7aをそれぞれ通過する冷却ガスの流速と、1つの外径側径方向貫通流路7bを通過する冷却ガスの流速とが同じになるよう、例えば2つの内径側径方向貫通流路7aの流路面積(径方向断面積)の総和が外径側径方向貫通流路7bの流路面積(径方向断面積)と同等となるようにしてもよいが、これに限定されるものではなく、個々の径方向断面積は適宜変更しても構わない。
本実施形態では、1つのコイル通風路7につき、2つの内径側径方向貫通流路7aを設けることにより図3のような2つの丸形の冷却ガス入口部が形成されるため、全体として軸方向下流側壁面を大きく確保することができ、冷却ガス入口部に冷却ガスが流入しやすくなる。すなわち、軸方向中央部に向かって流れる冷却ガスが内径側径方向貫通流路7aに分岐して流入する際に起こる軸方向下流側壁面での偏流を緩和でき、圧力損失を低下させることができ、流量を増やすことができる。
また、1つのコイル通風路7につき、2つの内径側径方向貫通流路7aで2つの丸形の冷却ガス入口部を形成しているため、1つの内径側径方向貫通流路7aで1つの大きな丸形の冷却ガス入口部を形成する場合に比べ、導体断面積の縮小を抑えることができ、発熱密度上昇等の影響を小さくすることができる。
また、2つの内径側径方向貫通流路7aを通った冷却ガスは、流路周長が長く内壁面の表面積の大きい外径側径方向貫通流路7bに合流して流れるため、高い流量を維持したまま大きな冷却効果を発揮させることができる。
また、内径側径方向貫通流路7aの径方向長さを比較的短くし、外径側径方向貫通流路7bの径方向長さを比較的長くすることで、内径側径方向貫通流路7aで発生する摩擦損失を抑えて、外径側径方向貫通流路7bでの冷却効果を高めることができる。
ここで、軸方向に配列される個々のコイル通風路7(径方向貫通流路)の軸方向断面形状を、一般的な横長形にした場合(従来型ダクトの場合)と、本実施形態の内径側径方向貫通流路7aのように円形にした場合(円形ダクトの場合)とで、冷却ガスの流量分布(「軸方向距離」に対する「ラジアルダクト流量」)がどのように違うかを比較した実験結果を、図12のグラフに示す。
なお、この実験では、従来型ダクトにおける横長形の孔と、円形ダクトにおける円形の孔のそれぞれの径方向断面積を等しくしている。また、横長形の孔の長手方向長さは、円形の孔の直径の2.5倍としている。
この実験の結果、すべての径方向貫通流路において、横長形の孔よりも円形の孔の方が、流量が大きかった。これは、円形ダクトの方が、軸方向下流側壁面が広く、冷却ガスが径方向貫通流路に分岐流入する際の軸方向下流側壁面での偏流が緩和され、分岐圧力損失が低減されたことによるものと考えられる。
一方、回転子コイルからの伝熱を考慮すると、流路周長は大きい方が好ましく、すなわち外径側にある径方向貫通流路では、軸方向断面形状は円形よりも横長形である方が好ましい。よって、複数の内径側径方向貫通流路の外径側に、冷却ガスが合流する外径側径方向貫通流路を設けることで、流路周長を増加させて冷却効果を高めることが可能になる。
上記の理由から、本実施形態のように、個々の内径側径方向貫通流路7aの軸方向断面形状を、横長形よりも円形かそれに近い形にした方が、冷却ガスを効率良く内径側径方向貫通流路7aに導入できるといえる。加えて、外径側径方向貫通流路7bの軸方向断面形状を、合流する冷却ガスの流速を低下させずに通過させる横長形にすることが、効率的な流量確保と除熱を実現する方法として望ましいといえる。
第1の実施形態によれば、複数の内径側径方向貫通流路7aでは分岐圧力損失を小さくすることができ、外径側径方向貫通流路7bでは伝熱面積を広くとることができるので、流体抵抗を低減でき、コイルを効率良く冷却することができる。
なお、図1〜図4の例では、1つのコイル通風路7につき、2つの内径側径方向貫通流路7aと1つの外径側径方向貫通流路7bとを組み合わせる場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、内径側径方向貫通流路7aは3つ以上であってもよい。
また、複数の内径側径方向貫通流路7aを通った冷却ガスが合流する外径側径方向貫通流路7bのほかに、これよりも更に外径側に、複数の外径側径方向貫通流路7bを通った冷却ガスが合流する外径側径方向貫通流路7b’(図示せず)が設けられてもよい。また、このような階層構造がより多段に構成されてもよい。このようにすると、階層構造のうちの複数の内径側径方向貫通流路7aがある最下層では分岐圧力損失をより小さくすることができ、外径側径方向貫通流路7b,7b’等では伝熱面積をより広くとることができるので、流体抵抗をより低減でき、流路をより効率良く冷却することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
次に、第2の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
図5は、第2の実施形態に係る回転電機の回転子に適用される通風路7を含む構造を回転子回転方向に見たときの断面形状の一例を示す断面図である。図6は、図1中に示される通風路7のC−C’面の断面形状を示す図である。
本実施形態では、複数の内径側径方向貫通流路7aのそれぞれの冷却ガス入口部における径方向断面積は、外径側径方向貫通流路7bの冷却ガス合流部(複数の内径側径方向貫通流路7aを通った冷却ガスが外径側径方向貫通流路7bに流入して合流する箇所)における径方向断面積を複数の内径側径方向貫通流路7aの数で除した面積(平均面積)よりも大きいものとしている。図5の例では、複数の内径側径方向貫通流路7aよりも更に内径側に、それぞれ、複数の内径側径方向貫通流路7cが対応するように設けられる。
図6と図3との対比からわかるように、1つの内径側径方向貫通流路7cの径方向断面積は、対応する1つの内径側径方向貫通流路7aの径方向断面積よりも大きいものとなっている。なお、図17にて説明したコイル通風路7の冷却ガス入口部におけるサブスロット上流側の壁面からの冷却ガスの流れの剥離を抑えるため、内径側径方向貫通流路7aと内径側径方向貫通流路7cとの位置関係を軸方向に適切に設定することにより、コイル通風路7における冷却ガス入口部の上流側の角部を、冷却ガスが通過しやすい階段状にする。
ここで、軸方向に配列される個々のコイル通風路7(径方向貫通流路)の軸方向断面形状を、一般的な横長形にし、径方向貫通流路の径方向断面積を、径方向に向かって同じにした場合(従来型ダクトの場合)と、径方向貫通流路の最内径側の径方向断面積を最外径側の径方向断面積よりも大きくした場合(入口拡大ダクトの場合)とで、冷却ガスの流量分布(「軸方向距離」に対する「ラジアルダクト流量」)がどのように違うかを比較した実験結果を、図13のグラフに示す。
この実験では、従来型ダクトにおいては、径方向貫通流路の最内径側の径方向断面積を最外径側の径方向断面積と同じにしているが、入口拡大ダクトにおいては、径方向貫通流路の最内径側の径方向断面積を最外径側の径方向断面積の2倍としている。
この実験の結果、入口拡大ダクトにおいては、従来型ダクトではサブスロットでの流速が速く分岐が困難であった回転子鉄心端に比較的近い位置で分岐流入する冷却ガスの流量が、従来型ダクトの場合よりも多く、かつ総流量(各ダクトの流量の合計)も従来型ダクトの場合よりも多かった。これは、入口拡大ダクトの方が、冷却ガスがサブスロットから径方向貫通流路に分岐流入する際に、軸方向上流側の径方向貫通流路壁面との冷却ガスの剥離がより上流側で起こるため、軸方向下流側壁面での偏流が緩和され、分岐圧力損失が低減されたことによるものと考えられる。
上記の理由から、最内径側に位置する内径側径方向貫通流路7cの径方向断面積(複数流路の総面積)は、外径側径方向貫通流路7bの径方向断面積よりも大きく、また、内径側径方向貫通流路7aの径方向断面積(複数流路の総面積)よりも大きい方が、冷却ガスをより効率良く内径側径方向貫通流路7a及び7cに導入できるといえる。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、さらにサブスロット3から冷却ガスが内径側径方向貫通流路7a及び7cに流入する際の分岐圧力損失をより小さくできるので、冷却ガスを外径側径方向貫通流路7bへより導入しやすくなり、コイルをより効率良く冷却することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
次に、第3の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
図7は、第3の実施形態に係る回転電機の回転子に適用される通風路7を含む構造を回転子回転方向に見たときの断面形状の一例を示す断面図である。図8は、図7中に示される通風路7のE−E’面の断面形状を示す図である。図9は、図7中に示される通風路7のF−F’面の断面形状を示す図である。
本実施形態では、前述した外径側径方向貫通流路7bは、回転子外径方向に向かうにつれ、径方向断面積が変わらないまま流路周長が徐々に長くなるように断面形状が変化するものとしている。例えば、外径側径方向貫通流路7bのうち、図8に示される内径側のある流路位置7eの断面形状は、一般的な横長形を成しているが、図9に示される外径側のある流路位置7fの断面形状は、図8に示されるものに比べると、回転子回転方向の幅がより狭くなり、軸方向へより長い横長形を成しており、径方向断面積は変わらないものの、流路周長がより長くなっている。
前述したように、回転子コイルからの伝熱を考慮すると、流路周長は大きい方が好ましく、すなわち外径側にある径方向貫通流路では、軸方向断面形状は円形よりも横長形である方が好ましい。また、複数の内径側径方向貫通流路の外径側に、冷却ガスが合流する外径側径方向貫通流路を設けることで、流路周長を増加させて冷却効果を高めることが可能になる。そのため、さらに、流路周長を外径側に向かうにつれ増大させることにより、より一層高い冷却効果が得られることになる。
具体的な実現方法としては、外径側に向かうにつれ、外径側径方向貫通流路7bの断面積を増加させるか、あるいは、前記したように等断面積を維持したままで外径側径方向貫通流路7bの軸方向長さを長くしていくことが挙げられる。そのどちらを採用しても良いが、断面積の変化は大きな流体損失を生じるので、いずれかといえば、後者の方法を採用することが望ましい。
第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、さらにより一層高い冷却効果が得られる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。ここでは、各種の変形例も交えて説明する。
次に、第4の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。ここでは、各種の変形例も交えて説明する。
前述したように、回転子の冷却では、絶縁材の耐熱性が温度上昇の制限因子となるため、平均的な温度の上昇はもちろん部分的な温度上昇も好ましくない。すなわち、回転子軸方向に均等に冷却できるようにすることが課題となっている。
ところが、鉄心中央に向かってサブスロットを通過する冷却ガスの流速は徐々に低下する。これはサブスロットを通過する冷却ガスが回転子鉄心の中央に向かう途中、逐次その一部が径方向貫通流路に分岐するためである。
前述した各実施形態によるサブスロット内の流速分布では、冷却ガスが高速な回転子鉄心端11近傍と軸方向中央部とで分岐流量に違いが生じやすく、均等な冷却が難しい。そこで、例えば図10のような構造を採用することで、回転子軸方向に均等に冷却できるようになり、上記課題を解決することができる。
図10は、第4の実施形態に係る回転電機の回転子に適用される通風路7を含む構造を回転子回転方向に見たときの断面形状の一例を示す断面図である。
本実施形態では、回転子鉄心端に近いコイル通風路ほど、前述した外径側径方向貫通流路7bにおける冷却ガス合流部(複数の内径側径方向貫通流路7aを通った冷却ガスが外径側径方向貫通流路7bに流入して合流する箇所)の位置が回転子外径側に寄っている。図10の例では、前述した複数の内径側径方向貫通流路7aと外径側径方向貫通流路7bとが一体となる位置が、回転子鉄心端11から軸方向中央部に向かうにつれ、徐々に回転子内径側に移動するように構成されている。
すなわち、回転子鉄心端11に近いほど、内径側径方向貫通流路7aの径方向長さを伸ばしてもよい。径方向断面形状が円形の内径側径方向貫通流路7aは、外径側径方向貫通流路7bに比べて同断面積における流路周長が短くなっているため、摩擦損失を低減できる。そのため、内径側径方向貫通流路7aをより長くすることで、冷却ガスの取り込みを促進できる。その場合、回転子鉄心端11側の内径側径方向貫通流路7aを、軸方向中央部側の内径側径方向貫通流路7aよりも、径方向に長くすることで、回転子軸方向の冷却ガス流量の分配を平準化できる。
そのほかの方法としては、例えば第1の実施形態で説明した複数の内径側径方向貫通流路7aおよび外径側径方向貫通流路7bの構造を、回転子鉄心端11側のみに適用して、これよりも中央部側には、一般的な従来型ダクトの構造を適用してもよい。このように構成することで、径方向貫通流路の軸方向流量分布を平準化して均等な冷却ができるようになる。
以上のように構成することにより、回転子軸方向に並ぶ径方向貫通流路流量を適切に分配できるので、回転子の温度分布を均一に保つことができる。
そのほか、回転子鉄心端に近いコイル通風路ほど、内径側径方向貫通流路7aの数が多くなるように構成してもよい。
また、内径側径方向貫通流路7aの数が回転子の中央に向かうにつれて減少する構成と、複数の内径側径方向貫通流路7aと外径側径方向貫通流路7bとが一体となる位置が軸方向中央部に向かうにつれて回転子外径側に移動する構成とを、適宜組み合わせることで、より高度な回転子軸方向の流量分配を調整できるようにしてもよい。
(その他)
前述した第1の実施形態等では、内径側径方向貫通流路7aのそれぞれの径方向断面形状が、図3に示したように円形である場合を例示したが、これ以外の形状として、例えば図11に示されるように、涙形もしくは卵形、すなわち、回転子軸方向に非対称な楕円形であり且つ回転子回転方向の流路幅が回転子鉄心端に近い側よりも遠い側の方が広い形状であってもよい。
前述した第1の実施形態等では、内径側径方向貫通流路7aのそれぞれの径方向断面形状が、図3に示したように円形である場合を例示したが、これ以外の形状として、例えば図11に示されるように、涙形もしくは卵形、すなわち、回転子軸方向に非対称な楕円形であり且つ回転子回転方向の流路幅が回転子鉄心端に近い側よりも遠い側の方が広い形状であってもよい。
このようにした場合、前述した偏流による冷却ガスの分岐圧力損失を低減させる効果と、入口面積増加に伴う流量増大の効果が得られ、さらには重心対称な横長形の断面形状に比べ、より導体断面積の縮小を抑えて発熱密度上昇等の影響を小さくすることができるという効果が得られる。また。導体断面積の縮小を抑えて発熱密度上昇を抑えられるので、横長形または円形よりも、より効率良く冷却ガスの取り込みができる。
以上詳述したように、実施形態によれば、コイル通風路の構造を改善することで回転子コイルを効率良く冷却することのできる回転電機の回転子を提供できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…回転子鉄心、2…コイルスロット、3…サブスロット、4…回転子コイル、5…絶縁材、6…回転子楔、7…コイル通風路、7a,7c…内径側径方向貫通流路、7b…外径側径方向貫通流路、9…保持環、10…回転子シャフト、11…回転子鉄心端。
Claims (7)
- 回転子コイルを収納するコイルスロットと、冷却ガスを回転子軸方向に通風するサブスロットと、前記回転子コイルに設けられ前記サブスロットから冷却ガスを導入して回転子外径方向に通風する複数の回転子軸方向に配列したコイル通風路とを備え、冷却ガスが回転子鉄心端から前記サブスロットに流入し、さらに個々のコイル通風路に分岐して流入するように構成された回転電機の回転子において、
前記複数のコイル通風路の少なくとも1つは、
前記サブスロットからの冷却ガスが流入する、複数の回転子軸方向に配列した内径側径方向貫通流路と、
前記複数の内径側径方向貫通流路をそれぞれ通った冷却ガスが合流して流れる1つの外径側径方向貫通流路と
を備えている、回転電機の回転子。 - 前記複数の内径側径方向貫通流路のそれぞれの冷却ガス入口部における径方向断面積は、前記外径側径方向貫通流路の冷却ガス合流部における径方向断面積を前記複数の内径側径方向貫通流路の数で除した面積よりも大きい、
請求項1に記載の回転電機の回転子。 - 前記外径側径方向貫通流路は、回転子外径方向に向かうにつれ、径方向断面積が変わらないまま流路周長が徐々に長くなるように断面形状が変化する、
請求項1に記載の回転電機の回転子。 - 前記回転子鉄心端に近いコイル通風路ほど、前記外径側径方向貫通流路における冷却ガス合流部の位置が回転子外径側に寄っている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。 - 前記回転子鉄心端に近いコイル通風路ほど、前記内径側径方向貫通流路の数が多い、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。 - 前記複数の内径側径方向貫通流路のそれぞれは、径方向断面の断面形状が円形である、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。 - 前記複数の内径側径方向貫通流路のそれぞれは、径方向断面の断面形状が、回転子軸方向に非対称な楕円形であり、回転子回転方向の流路幅が前記回転子鉄心端に近い側よりも遠い側の方が広い、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019190191A JP2021065072A (ja) | 2019-10-17 | 2019-10-17 | 回転電機の回転子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019190191A JP2021065072A (ja) | 2019-10-17 | 2019-10-17 | 回転電機の回転子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021065072A true JP2021065072A (ja) | 2021-04-22 |
Family
ID=75486678
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019190191A Pending JP2021065072A (ja) | 2019-10-17 | 2019-10-17 | 回転電機の回転子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021065072A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11901774B2 (en) | 2020-03-17 | 2024-02-13 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Rotor with coil airflow paths |
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2019
- 2019-10-17 JP JP2019190191A patent/JP2021065072A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11901774B2 (en) | 2020-03-17 | 2024-02-13 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Rotor with coil airflow paths |
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