(本開示に至る経緯)
特許文献1によれば、生産管理装置は、個々のワークごとにトレーサビリティデータを管理できる。しかし、特許文献1の構成では、同一のワークが複数の異なる製造機械に位置する度に異なる識別子が新しく付与されてしまう。言い換えると、製造ラインにおいて一つのワークが次々と他の製造機械に位置するごとにその一つのワークが複数の異なる識別子を有することになる。特に溶接においては、溶接工程(以下「本溶接」と称する場合がある)により製造された被溶接ワークの外観検査が不合格となった場合には、溶接の不良箇所を修正するリペア溶接が行われることがある。つまり、溶接工程により製造された被溶接ワークの全てがリペア溶接されるとは限らない。したがって、特許文献1のように製造の度に新しいIDを付与すると、溶接工程により製造された被溶接ワークとリペア溶接により不良箇所が修正された被リペア溶接ワークとがともに同一のワークであったとしても異なる識別子が付与されてしまい、識別子の関係性が複雑になりワークの全体的な管理が煩雑になるという課題があった。このため、システム管理者の作業効率が劣化する可能性があった。
そこで、以下の実施の形態では、本溶接あるいはリペア溶接等の各種の溶接工程において製造あるいは不良箇所が修正されるワークの識別子の効率的かつ簡易な管理を支援する識別子管理方法、ロボット制御装置および統括制御装置の例を説明する。
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る識別子管理方法、ロボット制御装置および統括制御装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る溶接システムは、複数の元ワークのそれぞれの識別子の情報を取得し、複数の元ワークを用いた本溶接により製造された被溶接ワークの溶接システムによる溶接箇所の検査が不合格である旨の検査報告を受け取り、検査報告に基づいて行われる被溶接ワークの不良箇所のリペア溶接の完了報告に応じて、リペア溶接が行われた被リペア溶接ワークの識別子を、被溶接ワークの識別子から変更しないで同一の識別子を設定する。以下、本溶接に使用されるワークを「元ワーク」、本溶接により生成(製造)されるワークを「被溶接ワーク」、更に、「被溶接ワーク」の外観検査によって検出された溶接の不良箇所がリペア溶接されるワークを「被リペア溶接ワーク」とそれぞれ定義する。なお、「被溶接ワーク」あるいは「被リペア溶接ワーク」は、1回の本溶接により製造されたワークに限らず、2回以上の本溶接により製造された複合的なワークであってもよい。
(溶接システムの構成)
図1は、溶接システム100のシステム構成例を示す概略図である。溶接システム100は、外部ストレージST、入力インターフェースUI1およびモニタMN1のそれぞれと接続された上位装置1と、ロボット制御装置2と、本溶接ロボットMC1aと、リペア溶接ロボットMC1bとを含む構成である。本溶接ロボットMC1aおよびリペア溶接ロボットMC1bは、それぞれ別体のロボットとして構成されてもよいが、同一の溶接ロボットMC1として構成されてもよい。以降の説明を分かり易くするために、実施の形態1では、溶接ロボットMC1により本溶接の工程もリペア溶接の工程もともに実行されるとして説明する。なお、図1には1台のロボット制御装置2と本溶接ロボットMC1aおよびリペア溶接ロボットMC1bとのペアが1つだけ示されているが、このペアは複数設けられてよい。また、溶接システム100は、検査制御装置3と、検査装置4とを更に含む構成としてもよい。
統括制御装置の一例としての上位装置1は、ロボット制御装置2を介して溶接ロボットMC1により実行される本溶接(いわゆる溶接工程)の実行(例えば本溶接の開始、完了)を統括して制御する。例えば、上位装置1は、ユーザ(例えば溶接作業者あるいはシステム管理者。以下同様。)により予め入力あるいは設定された溶接関連情報を外部ストレージSTから読み出し、溶接関連情報に基づいて、溶接関連情報の一部の内容を含めた本溶接の実行指令を生成して対応するロボット制御装置2に送る。上位装置1は、溶接ロボットMC1による本溶接が完了した場合に、溶接ロボットMC1による本溶接が完了した旨の本溶接完了報告をロボット制御装置2から受信し、対応する本溶接が完了した旨のステータスに更新して外部ストレージSTに記録する。なお、上述した本溶接の実行指令は上位装置1により生成されることに限定されず、例えば本溶接が行われる工場等内の設備の操作盤(例えばPLC:Programmable Logic Controller)、あるいはロボット制御装置2a,2b,…の操作盤(例えばTP:Teach Pendant)により生成されてもよい。なお、ティーチペンダント(TP)は、ロボット制御装置2a,2b,…に接続された溶接ロボットMC1a,MC1b,…を操作するための装置である。
また、上位装置1は、検査制御装置3を介して検査装置4により実行される外観検査の実行(例えばリペア溶接の開始、完了)を統括して制御する。例えば、上位装置1は、ロボット制御装置2から本溶接完了報告を受信すると、溶接ロボットMC1により製造された被溶接ワークの外観検査の実行指令を生成して検査制御装置3に送る。上位装置1は、検査装置4による外観検査が完了した場合に、検査装置4による外観検査が完了した旨の検査完了報告(検査報告の一例)を検査制御装置3から受信し、対応する外観検査が完了した旨のステータスに更新して外部ストレージSTに記録する。
また、上位装置1は、ロボット制御装置2を介して溶接ロボットMC1により実行されるリペア溶接(いわゆる本溶接された溶接箇所のうち外観検査によって不良箇所と判断された溶接箇所の補修等の修正を行う工程)の実行(例えばリペア溶接の開始、完了)を統括して制御する。例えば、上位装置1は、検査制御装置3から検査完了報告を受信すると、溶接ロボットMC1により製造された被溶接ワークのリペア溶接の実行指令を生成してロボット制御装置2に送る。上位装置1は、溶接ロボットMC1によるリペア溶接が完了した場合に、溶接ロボットMC1によるリペア溶接が完了した旨のリペア溶接完了報告をロボット制御装置2から受信し、対応するリペア溶接が完了した旨のステータスに更新して外部ストレージSTに記録する。
ここで、溶接関連情報とは、溶接ロボットMC1により実行される本溶接の内容を示す情報であり、本溶接の工程ごとに予め作成されて外部ストレージSTに登録されている。溶接関連情報は、例えば溶接工程に必要な元ワークの数、溶接工程に使用される元ワークの識別子(以下「ID」と略記)、名前および元ワークの溶接箇所を含むワーク情報、溶接工程が実行される予定の実行予定日、被溶接ワークの製造台数、溶接工程時の各種の溶接条件を含む。なお、溶接関連情報は、上述した項目のデータに限定されなくてよい。ロボット制御装置2は、上位装置1から送られた実行指令に基づいて、その実行指令で指定される複数の元ワークを用いた本溶接の実行を溶接ロボットMC1に行わせる。なお、上述した溶接関連情報は、上位装置1が外部ストレージSTを参照して管理することに限定されず、例えばロボット制御装置2において管理されてもよい。この場合、ロボット制御装置2は本溶接の完了を把握できるので、溶接関連情報のうち溶接工程が実行される予定の実行予定日の代わりに実際の実行日が管理されてよい。なお本明細書において、溶接工程の種類は問わないが、説明を分かり易くするために、複数の元ワークのそれぞれを接合する工程を例示して説明する(図3参照)。
上位装置1は、モニタMN1、入力インターフェースUI1および外部ストレージSTのそれぞれとの間でデータの入出力が可能となるように接続され、更に、ロボット制御装置2との間でデータの通信が可能となるように接続される。上位装置1は、モニタMN1および入力インターフェースUI1を一体に含む端末装置P1でもよく、更に、外部ストレージSTを一体に含んでもよい。この場合、端末装置P1は、本溶接の実行に先立ってユーザにより使用されるPC(Personal Computer)である。なお、端末装置P1は、上述したPCに限らず、例えばスマートフォン、タブレット端末等の通信機能を有するコンピュータ装置でよい。
上位装置1は、上述した溶接関連情報を外部ストレージSTから取得し、その溶接関連情報に基づいて、複数の元ワークを用いた本溶接の実行指令を生成し、この実行指令を対応するロボット制御装置2に送る。上位装置1は、溶接ロボットMC1による本溶接が完了した後に対応するロボット制御装置2から送られる被溶接ワーク(例えば2次ワーク)のIDを受信すると、そのIDを被溶接ワークの識別子(ID)として設定するとともに、その被溶接ワークに対応する溶接工程論理データ(図3参照)を生成して被溶接ワークのIDと関連付けて外部ストレージSTに保存する。これにより、上位装置1は、各種の溶接ロボットMC1による本溶接により生成(製造)された被溶接ワークあるいはリペア溶接により修正された被リペア溶接ワークのIDを適正かつ簡易に管理できる。なお、上位装置1の動作の詳細については、図面を参照して後述する。なお、上位装置1は、被溶接ワークあるいは被リペア溶接ワークのIDを含めた溶接工程論理データをモニタMN1に表示してもよい。
モニタMN1は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等の表示用デバイスを用いて構成されてよい。モニタMN1は、例えば上位装置1から出力された、被溶接ワークあるいは被リペア溶接ワークのIDを含めた溶接工程論理データを示す画面を表示してよい。また、モニタMN1の代わりに、あるいはモニタMN1とともにスピーカ(図示略)が上位装置1に接続されてもよく、上位装置1は、溶接工程論理データの内容を音声によりスピーカを介して出力してもよい。
入力インターフェースUI1は、ユーザの入力操作を検出して上位装置1に出力するユーザインターフェースであり、例えば、マウス、キーボードまたはタッチパネル等を用いて構成されてよい。入力インターフェースUI1は、例えばユーザが溶接関連情報を作成する時の入力操作を受け付けたり、ロボット制御装置2への本溶接の実行指令を送る時の入力操作を受け付けたりする。
外部ストレージSTは、例えばハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(Solid State Drive)を用いて構成される。外部ストレージSTは、例えば本溶接ごとに作成された溶接関連情報のデータ、本溶接により生成された被溶接ワークあるいはリペア溶接により生成された被リペア溶接ワークのIDを含む溶接工程論理データ(図3参照)を記憶する。
ロボット制御装置2は、上位装置1との間でデータの通信が可能に接続されるとともに、溶接ロボットMC1との間でデータの通信が可能に接続される。ロボット制御装置2は、上位装置1から送られた本溶接の実行指令を受信すると、その実行指令に基づいて対応する溶接ロボットMC1を制御して本溶接を実行させる。ロボット制御装置2は、本溶接の完了を検出すると本溶接が完了した旨の本溶接完了報告を生成して上位装置1に送る。これにより、上位装置1は、ロボット制御装置2に基づく本溶接の完了を適正に検出できる。なお、ロボット制御装置2による本溶接の完了の検出方法は、例えばワイヤ送給装置300が備えるセンサ(図示略)からの本溶接の完了を示す信号に基づいて判別する方法でよく、あるいは公知の方法でもよく、本溶接の完了の検出方法の内容は限定されなくてよい。
また、ロボット制御装置2は、上位装置1から送られたリペア溶接の実行指令を受信すると、その実行指令に基づいて対応する溶接ロボットMC1を制御してリペア溶接を実行させる。ロボット制御装置2は、リペア溶接の完了を検出するとリペア溶接が完了した旨のリペア溶接完了報告を生成して上位装置1に送る。これにより、上位装置1は、ロボット制御装置2に基づくリペア溶接の完了を適正に検出できる。なお、ロボット制御装置2によるリペア溶接の完了の検出方法は、例えばワイヤ送給装置300が備えるセンサ(図示略)からのリペア溶接の完了を示す信号に基づいて判別する方法でよく、あるいは公知の方法でもよく、リペア溶接の完了の検出方法の内容は限定されなくてよい。
溶接ロボットの一例としての溶接ロボットMC1は、ロボット制御装置2との間でデータの通信が可能に接続される。溶接ロボットMC1は、対応するロボット制御装置2の制御の下で、上位装置1から指令された本溶接あるいはリペア溶接を実行する。
検査制御装置3は、上位装置1、ロボット制御装置2および検査装置4のそれぞれとの間でデータの通信が可能に接続される。検査制御装置3は、上位装置1から送られた外観検査の実行指令を受信すると、溶接ロボットMC1により製造された被溶接ワークの溶接箇所の外観検査(例えば、本溶接において正常に接合等の工程が実行されたか否かの検査)を検査装置4に実行させる。例えば、検査制御装置3は、外観検査の実行指令に含まれる被溶接ワークの溶接箇所情報に基づいて、検査装置4を制御して溶接箇所に形成された溶接ビードの形状を検出させ、本溶接ごとに予め既定された溶接のマスタービード(図示略)と実際に検出された溶接ビードとの形状を比較する。検査制御装置3は、前述した比較に基づいて外観検査報告を生成し、外観検査報告を上位装置1に送る。また、検査制御装置3は、被溶接ワークの外観検査が不合格である旨の外観検査報告を生成すると、その溶接の不良箇所を補修等の修正を行う旨のリペア溶接用のプログラムを生成し、このプログラムと外観検査報告とを対応付けてロボット制御装置2に送る。
検査装置4は、検査制御装置3との間でデータの通信が可能に接続される。なお図1では図示していないが、検査装置4が溶接ロボットMC1に取り付けられている場合には(図2参照)、検査装置4は、ロボット制御装置2の制御に基づくマニピュレータ200の駆動に応じて、ワークWkが載置された載置台を3次元のスキャンが可能に稼動可能である。検査装置4は、ロボット制御装置2の制御に基づくマニピュレータ200の駆動に応じて、ワークWkにおける溶接の不良箇所の有無を検査するために、ロボット制御装置2から検査制御装置3に送られた外観検査の実行指令に基づいて、その実行指令に含まれる溶接箇所情報の溶接箇所の溶接ビードの形状データを取得して検査制御装置3に送る。検査制御装置3は、検査装置4から得られた形状データと前述したマスタービードの形状データとに基づいて、溶接箇所における溶接不良の有無を判定する(外観検査)。検査制御装置3は、溶接箇所のうち溶接不良であると判定された不良箇所情報(例えば、不良区間、不良区間の位置情報、不良要因を含み得る)を外観検査報告としてロボット制御装置2に送る。また、検査制御装置3は、不良箇所の溶接ロボットMC1によるリペア溶接が可能であると判定された場合に、リペア溶接における修正種別およびリペア溶接を行うための修正パラメータ等の情報も、外観検査報告としてロボット制御装置2に送る。
図2は、実施の形態1に係る検査制御装置3、ロボット制御装置2および上位装置1の内部構成例を示す図である。説明を分かり易くするために、図2ではモニタMN1および入力インターフェースUI1の図示を省略する。
溶接ロボットMC1は、ロボット制御装置2の制御の下で、例えば上位装置1から指令された本溶接、リペア溶接等の各種の工程を実行する。溶接ロボットMC1は、本溶接あるいはリペア溶接の工程において、例えばアーク溶接を行う。しかし、溶接ロボットMC1は、アーク溶接以外の他の溶接(例えば、レーザ溶接、ガス溶接)等を行ってもよい。この場合、図示は省略するが、溶接トーチ400に代わって、レーザヘッドを、光ファイバを介してレーザ発振器に接続してよい。溶接ロボットMC1は、マニピュレータ200と、ワイヤ送給装置300と、溶接ワイヤ301と、溶接トーチ400とを少なくとも含む構成である。
マニピュレータ200は、多関節のアームを備え、ロボット制御装置2のロボット制御部25(後述参照)からの制御信号に基づいて、それぞれのアームを可動させる。これにより、マニピュレータ200は、ワークWkと溶接トーチ400との位置関係(例えば、ワークWkに対する溶接トーチ400の角度)をアームの可動によって変更できる。
ワイヤ送給装置300は、ロボット制御装置2からの制御信号(後述参照)に基づいて、溶接ワイヤ301の送給速度を制御する。なお、ワイヤ送給装置300は、溶接ワイヤ301の残量を検出可能なセンサ(図示略)を備えてよい。ロボット制御装置2は、このセンサの出力に基づいて、本溶接あるいはリペア溶接の工程が完了したことを検出できる。
溶接ワイヤ301は、溶接トーチ400に保持されている。溶接トーチ400に電源装置500から電力が供給されることで、溶接ワイヤ301の先端とワークWkとの間にアークが発生し、アーク溶接が行われる。なお、溶接トーチ400にシールドガスを供給するための構成等は、説明の便宜上、これらの図示および説明を省略する。
上位装置1は、ユーザにより予め入力あるいは設定された溶接関連情報を用いて、複数の元ワークのそれぞれを用いた本溶接あるいは被溶接ワークの溶接の不良箇所を補修等の修正を施すリペア溶接の各種の工程の実行指令を生成してロボット制御装置2に送る。上位装置1は、通信部10と、プロセッサ11と、メモリ12とを少なくとも含む構成である。
通信部10は、ロボット制御装置2および外部ストレージSTのそれぞれとの間でデータの通信が可能に接続される。通信部10は、プロセッサ11により生成される本溶接あるいはリペア溶接の各種の工程の実行指令(上述参照)をロボット制御装置2に送る。通信部10は、ロボット制御装置2から送られる被溶接ワークあるいは被リペア溶接ワークのIDを受信してプロセッサ11に出力する。なお、本溶接あるいはリペア溶接の実行指令には、例えば溶接ロボットMC1が備えるマニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および電源装置500のそれぞれを制御するための制御信号が含まれてもよい。
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、メモリ12と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ11は、メモリ12に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、セル制御部13、ID設定管理部14および論理データ生成部15を機能的に実現する。
メモリ12は、例えばプロセッサ11の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ11の処理を規定したプログラムを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、プロセッサ11により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ11の処理を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ12は、外部ストレージSTから読み出された溶接関連情報のデータ、ロボット制御装置2から送られた被溶接ワークあるいは被リペア溶接ワークのIDを含む2次ワーク情報(後述参照)のデータ、プロセッサ11により生成される2次ワークの溶接工程論理データ(図3参照)をそれぞれ記憶する。
セル制御部13は、外部ストレージSTに記憶されている溶接関連情報に基づいて、溶接関連情報において規定(言い換えると、設定)されている複数の元ワークを用いた本溶接あるいは被溶接ワークへのリペア溶接を実行するための実行指令を生成する。また、セル制御部13は、外部ストレージSTに記憶されている溶接関連情報に基づいて、本溶接された後のワークWk(例えば被溶接ワーク)の外観検査時の溶接ロボットMC1の駆動に関する外観検査用プログラムを作成する。なお、この外観検査用プログラムは予め作成されて外部ストレージSTに保存されていてもよく、この場合には、セル制御部13は、外部ストレージSTから単に外観検査用プログラムを読み出して取得する。セル制御部13は、溶接ロボットMC1で実行される本溶接あるいはリペア溶接の各種の工程ごとに異なる実行指令を生成してよい。セル制御部13によって生成された本溶接あるいはリペア溶接の実行指令、あるいは外観検査用プログラムは、通信部10を介して、対応するロボット制御装置2に送られる。
ID設定管理部14は、ロボット制御装置2から送られた被溶接ワークあるいは被リペア溶接ワークのIDを、複数の元ワークのそれぞれを用いた本溶接により生成された被溶接ワークのIDとして設定してメモリ12に保存する。なお、ID設定管理部14は、この被溶接ワークのIDと溶接工程論理データ(後述参照)とを関連付けて外部ストレージSTに保存してよい。
論理データ生成部15は、ロボット制御装置2から送られた被溶接ワークあるいは被リペア溶接ワークのIDを含む2次ワーク情報を用いて、2次ワークのIDと本溶接あるいはリペア溶接に使用された複数の元ワークのそれぞれのIDとの関係を示す溶接工程論理データを生成する(図3参照)。IDと溶接工程論理データの詳細については、図3を参照して後述する。なお、論理データ生成部15は、この被溶接ワークあるいは被リペア溶接ワークのIDと溶接工程論理データとを関連付けて外部ストレージSTに保存してよい。
ロボット制御装置2は、上位装置1から送られた本溶接あるいはリペア溶接の実行指令に基づいて、対応する溶接ロボットMC1(具体的には、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300、電源装置500)の処理を制御する。ロボット制御装置2は、通信部20と、プロセッサ21と、メモリ22とを少なくとも含む構成である。
通信部20は、上位装置1、検査制御装置3、溶接ロボットMC1との間でデータの通信が可能に接続される。なお、図2では図示を簡略化しているが、ロボット制御部25とマニピュレータ200との間、ロボット制御部25とワイヤ送給装置300との間、ならびに、電源制御部26と電源装置500との間は、それぞれ通信部20を介してデータの送受信が行われる。通信部20は、上位装置1から送られた本溶接あるいはリペア溶接の実行指令を受信する。通信部20は、本溶接により生成された被溶接ワークあるいはリペア溶接により生成された被リペア溶接ワークのIDを含む2次ワーク情報を上位装置1に送る。
ここで、2次ワーク情報には、被溶接ワークのIDだけでなく、本溶接に使用される複数の元ワークのIDを含むワーク情報(例えば元ワークのID、名前、元ワークの溶接箇所)、本溶接の実行時の溶接条件が少なくとも含まれる。更に、2次ワーク情報には、前述した被溶接ワークのID、本溶接に使用される複数の元ワークのIDを含むワーク情報、本溶接の実行時の溶接条件だけでなく、被リペア溶接ワークのID、リペア溶接に使用される被溶接ワークのID、被溶接ワークの不良箇所、リペア溶接の実行時のリペア溶接条件が含まれてもよい。また、溶接条件あるいはリペア溶接条件は、例えば元ワークの材質および厚み、溶接ワイヤ301の材質およびワイヤ径、シールドガス種、シールドガスの流量、溶接電流の設定平均値、溶接電圧の設定平均値、溶接ワイヤ301の送給速度および送給量、溶接回数、溶接時間等である。また、これらの他に、例えば本溶接あるいはリペア溶接の種別(例えばTIG溶接、MAG溶接、パルス溶接)を示す情報、マニピュレータ200の移動速度および移動時間が含まれても構わない。
プロセッサ21は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ22と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ21は、メモリ22に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、プログラム生成部23、演算部24、ロボット制御部25、電源制御部26およびID決定部27を機能的に実現する。
メモリ22は、例えばプロセッサ21の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ21の処理を規定したプログラムを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ21により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ21の処理を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ22は、上位装置1から送られた本溶接あるいはリペア溶接の実行指令のデータ、本溶接により生成された被溶接ワークあるいはリペア溶接により生成された被リペア溶接ワークのIDを含む2次ワーク情報のデータ、プロセッサ21により生成される2次ワークの溶接工程論理データ(図3参照)のデータをそれぞれ記憶する。また、メモリ22は、溶接ロボットMC1が実行する本溶接あるいはリペア溶接のプログラムを記憶する。本溶接のプログラムは、本溶接における溶接条件を用いて複数の元ワークを接合等する本溶接の具体的な手順(工程)を規定したプログラムである。リペア溶接のプログラムは、リペア溶接における溶接条件を用いて被溶接ワークにおける溶接の不良箇所を補修等の修正を行うリペア溶接の具体的な手順(工程)を規定したプログラムである。これらのプログラムは、検査制御装置3において作成されてロボット制御装置2に送られてもよいし、ロボット制御装置2において作成されてもよいし、上位装置1により作成されて予め送られてロボット制御装置2に保存されてもよい。
プログラム生成部23は、通信部20を介して上位装置1から送られた本溶接の実行指令に基づいて、実行指令に含まれる複数の元ワークのそれぞれのワーク情報(例えばID、名前、および元ワークの溶接箇所)を用いて、溶接ロボットMC1により実行される本溶接のプログラムを生成する。また、プログラム生成部23は、通信部20を介して上位装置1から送られたリペア溶接の実行指令に基づいて、実行指令に含まれる被溶接ワークの2次ワーク情報(例えばID、被溶接ワークの不良箇所を含むリペア溶接の範囲)を用いて、溶接ロボットMC1により実行されるリペア溶接のプログラムを生成する。プログラムには、本溶接あるいはリペア溶接の実行中に電源装置500、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300、溶接トーチ400等を制御するための、溶接電流、溶接電圧、オフセット量、溶接速度、溶接トーチ400の姿勢等の各種のパラメータが含まれてよい。なお、生成されたプログラムは、プロセッサ21内に記憶されてもよいし、メモリ22内のRAMに記憶されてもよい。
演算部24は、各種の演算を行う。例えば、演算部24は、プログラム生成部23により生成された本溶接あるいはリペア溶接のプログラムに基づいて、ロボット制御部25により制御される溶接ロボットMC1(具体的には、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および電源装置500のそれぞれ)を制御するためのパラメータの演算等を行う。
ロボット制御部25は、プログラム生成部23により生成された本溶接あるいはリペア溶接のプログラムに基づいて、溶接ロボットMC1(具体的には、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および電源装置500のそれぞれ)を駆動させる。また、ロボット制御部25は、上位装置1から送られた外観検査用プログラムに基づいて、本溶接プログラムにて規定されている溶接ロボットMC1の動作範囲を対象とするように外観検査中に溶接ロボットMC1のマニピュレータ200を駆動させる。これにより、溶接ロボットMC1に取り付けられた検査装置4(図2参照)は、溶接ロボットMC1の動作に伴って移動できて、ワークWkの溶接ビードを対象とした溶接不良の外観検査を行える。
電源制御部26は、プログラム生成部23により生成された本溶接あるいはリペア溶接のプログラムと演算部24の演算結果とに基づいて、電源装置500を駆動させる。
ID決定部27は、複数の元ワークを用いた本溶接が完了した後に、複数の元ワークのそれぞれのIDのうちいずれのIDを、被溶接ワークのIDとして採用するかを、所定のルールに従ってあるいはランダムに選択して決定する。言い換えると、ID決定部27は、複数の元ワークのIDが「A」,「B」である場合に(図3参照)、被溶接ワーク(例えば2次ワーク)のIDとして、「A」あるいは「B」を所定のルールに従ってあるいはランダムに選択する。また、ID決定部27は、被溶接ワークの外観検査が不合格(後述参照)と判定されて溶接ロボットMC1により溶接の不良箇所がリペア溶接された後に、そのリペア溶接により修正された被リペア溶接ワークのIDを、被溶接ワークのIDと同一のIDあるいは異なるIDのいずれかを採用するかを決定する。「所定のルール」の詳細については後述する。ここで、「ランダム」とは、選択時に、ID「A」が選択される確率およびID「B」を選択する確率が均等(例えば50%ずつ)でもあってもよいし、均等でなくてもよいことを意味する。確率が均等でないことは、例えばいずれかのIDが他のIDに比べて偏ってあるいは優先して選択されてもよいことを示す。
ここで、IDについて説明する。本明細書において、IDは、例えば複数の種類の文字コードの組み合わせにより構成される。種類は、例えばアルファベットと数字であるが、これらに限定されなくてもよい。元ワークのIDとして「ABC001XYZ999」を例示する。ここで、説明を分かり易くするために、IDは「アルファベット3桁」、「数字3桁」、「アルファベット3桁」および「数字3桁」からなる12桁の文字コードとして示されているが、これらの構成例に限定されなくてよい。12桁の文字コードのうち、例えば上位3桁のアルファベットは自社もしくは取引先(例えば、仕入先あるいは出荷先)のコードを示し、その他の「数字3桁」、「アルファベット3桁」および「数字3桁」はシリアルナンバーを示してよい。
所定のルールは、例えばIDの強弱に基づいて、強いIDが優先的に選択されるというルールである。IDの強弱(つまり、IDが強い、IDが弱い)を決定するためのルールとして、実施の形態1では次の2つの強弱ルールが定められている。
第1の強弱ルールでは、ID決定部27は、元ワークのIDについてアルファベットと数字とで区切りを設け、各区切りのパーツごとに強弱を比較する。第2の強弱ルールでは、ID決定部27は、1つのアルファベットあるいは数字の区切りにおいて、アルファベットは順番が先頭であるほど強く、数字は大きいほど強いと判定する。
比較される元ワークのIDとして「ABC001XYZ999」と「ABD002XYW998」とを例示する。例えばID決定部27は、ID「ABC001XYZ999」について「ABC」、「001」、「XYZ」、「999」と区切りを設け、同様にしてID「ABD002XYW998」についても「ABD」、「002」、「XYW」、「998」と区切りを設ける。
ID決定部27は、IDの上位の桁から順に設けた区切りのパーツごとにIDの比較を随時行い、例えば「ABC」は「ABD」より強く、「001」は「002」より弱く、「XYZ」は「XYW」より弱く、「999」は「998」より弱いと判定する。更に、ID決定部27は、上位の桁の区切りのIDが強い方を優先してID全体として強いと判定する。これは、例えばIDの上位の桁に使用される「アルファベット」は元ワークの種類(種別)を規定することが少なくないためである。したがって、ID決定部27は、ID「ABC001XYZ999」はID「ABD002XYW998」より強いと判定する。なお、上述した強弱ルールはあくまで一例であり、上述した例に限定されず、IDの強弱を定めるルールが設けられればよいことは言うまでもない。
検査制御装置3は、上位装置1から送られた外観検査の実行指令に基づいて、溶接ロボットMC1による本溶接により製造された被溶接ワークの外観検査の処理を制御する。外観検査は、例えば、被溶接ワークに形成された溶接ビードの形状が既定の溶接基準あるいは溶接箇所の強度基準、被溶接ワークの品質基準を満たすか否かの検査である。以下の説明を簡単にするために、検査制御装置3は、検査装置4により取得された溶接箇所ごとの溶接ビードの形状データに基づいて、ワークWk(例えば被溶接ワーク)の溶接箇所が所定の溶接基準を満たすか否かの外観検査を行う。以下、本溶接あるいはリペア溶接された溶接箇所の中で所定の溶接基準を満たさないと判定された溶接箇所を「不良箇所」と定義する。検査制御装置3は、通信部30と、プロセッサ31と、メモリ32と、検査結果記憶部33とを少なくとも含む構成である。
通信部30は、上位装置1、ロボット制御装置2、検査装置4との間でデータの通信が可能に接続される。なお、図2では図示を簡略化しているが、形状検出制御部34と検査装置4との間は、それぞれ通信部30を介してデータの送受信が行われる。通信部30は、上位装置1から送られた外観検査の実行指令を受信する。通信部30は、検査装置4を用いた外観検査の結果(つまり、被溶接ワークにおける溶接の不良箇所の有無)を上位装置1に送る。
プロセッサ31は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ31は、メモリ32に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、形状検出制御部34、データ処理部35、リペアプログラム生成部36および検査結果判定部37を機能的に実現する。
メモリ32は、例えばプロセッサ31の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ31の処理を規定したプログラムを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ31により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ31の処理を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ32は、上位装置1から送られた被溶接ワークの外観検査の実行指令のデータ、本溶接により生成された被溶接ワークあるいはリペア溶接により生成された被リペア溶接ワークのIDを含む2次ワーク情報のデータをそれぞれ記憶する。また、メモリ32は、リペアプログラム生成部36により生成されたリペア溶接のプログラムを記憶する。リペア溶接のプログラムは、リペア溶接における溶接条件を用いて被溶接ワークにおける溶接の不良箇所を補修等の修正を行うリペア溶接の具体的な手順(工程)を規定したプログラムである。このプログラムは、検査制御装置3からロボット制御装置2に送られる。
また、メモリ32は、溶接箇所に応じて検査結果判定部37による判定処理において用いられる閾値(例えば、溶接箇所に応じて設定されたそれぞれの閾値を)記憶する。それぞれの閾値は、例えば溶接箇所の位置ずれに関する許容範囲(閾値)、溶接ビードの高さに関する閾値、溶接ビードの幅に関する閾値である。メモリ32は、リペア溶接後の外観検査時の各閾値として、顧客等から要求される最低限の溶接品質を満たす許容範囲(例えば、溶接ビードの高さに関する最小許容値、最大許容値など)を記憶してよい。
更に、メモリ32は、溶接箇所ごとに外観検査の回数上限値を記憶してもよい。これにより、検査制御装置3は、リペア溶接によって不良箇所を修正する際に所定の回数上限値を上回る場合に、溶接ロボットMC1による自動リペア溶接による不良箇所の修正が困難あるいは不可能と判定して、溶接システム100の稼動率の低下を抑制できる。
検査結果記憶部33は、例えばハードディスク(HDD)あるいはソリッドステートドライブ(SSD)を用いて構成される。検査結果記憶部33は、プロセッサ31により生成あるいは取得されるデータの一例として、ワークWk(例えば被溶接ワーク)における溶接箇所の外観検査結果を示すデータを記憶する。この外観検査結果を示すデータは、例えば検査結果判定部37により生成される。
形状検出制御部34は、上位装置1あるいはロボット制御装置2から送られたワークWk(例えば被溶接ワーク)の溶接箇所の外観検査の実行指令とに基づいて、外観検査においてロボット制御装置2が外観検査用プログラムに基づいて検査装置4が取り付けられた溶接ロボットMC1を動作させている間、検査装置4から送られた溶接箇所における溶接ビードの形状データを取得する。形状検出制御部34は、上述したロボット制御装置2によるマニピュレータ200の駆動に応じて検査装置4が溶接箇所を撮像可能(言い換えると、溶接箇所の3次元形状を検出可能)な位置に位置すると、例えばレーザ光線を検査装置4から照射させて溶接箇所における溶接ビードの形状データを取得させる。形状検出制御部34は、検査装置4により取得された形状データを受信すると、この形状データをデータ処理部35に渡す。
データ処理部35は、形状検出制御部34からの溶接箇所における溶接ビードの形状データを、溶接箇所の3次元形状を示す画像データに変換する。形状データは、例えば、溶接ビードの表面に照射されたレーザ光線の反射軌跡からなる形状線の点群データである。データ処理部35は、入力された形状データに対して統計処理を実行し、溶接箇所における溶接ビードの3次元形状に関する画像データを生成する。なお、データ処理部35は、溶接ビードの位置および形状を強調するために、溶接ビードの周縁部分を強調したエッジ強調補正を行ってもよい。なお、データ処理部35は、溶接箇所あるいは不良箇所ごとに外観検査回数をカウントし、外観検査回数がメモリ32に予め記憶された回数を超えても溶接検査結果が良好にならない場合、自動リペア溶接による不良箇所の修正が困難あるいは不可能と判定する。この場合、検査結果判定部37は、不良箇所の位置および不良要因を含むアラート画面を生成し、生成されたアラート画面を、通信部30を介して上位装置1に送る。上位装置1に送られたアラート画面は、モニタMN1に表示される。
リペアプログラム生成部36は、検査結果判定部37によるワークWk(例えば被溶接ワーク)の外観検査結果と被溶接ワークの2次ワーク情報(例えばID、被溶接ワークの不良箇所を含むリペア溶接の範囲)とを用いて、溶接ロボットMC1により実行されるべきワークWk(例えば被溶接ワーク)の不良箇所へのリペア溶接のプログラムを生成する。プログラムには、リペア溶接の実行中に電源装置500、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300、溶接トーチ400等を制御するための、溶接電流、溶接電圧、オフセット量、溶接速度、溶接トーチ400の姿勢等の各種のパラメータが含まれてよい。なお、生成されたプログラムは、プロセッサ31内に記憶されてもよいし、メモリ32内のRAMに記憶されてもよい。
検査結果判定部37は、メモリ32に記憶された閾値を用いて、形状検出制御部34により取得された溶接箇所における溶接ビードの形状データに基づいて、溶接箇所が所定の溶接基準を満たすか否かの判定を行う。検査結果判定部37は、不良箇所の位置(例えば、不良箇所の開始位置と終了位置、溶接ビードに生じた穴あきの位置、アンダーカットの位置等)を計測し、不良内容を分析して不良要因を推定する。検査結果判定部37は、上述した判定において、溶接線上の溶接箇所の溶接ビードの形状データに基づいて、溶接箇所ごとに検査スコアを算出する。検査結果判定部37は、計測された不良箇所の位置、検査スコア、推定された不良要因のそれぞれを溶接箇所に対する外観検査結果(外観検査報告)として生成し、生成された外観検査結果をメモリ32に記憶するとともに、通信部30を介して上位装置1に送る。なお、検査結果判定部37は、上述した検査スコアに基づいて、溶接ロボットMC1によるリペア溶接が可能であるか否か(言い換えると、溶接ロボットMC1によるリペア溶接がよいか、あるいは人手によるリペア溶接がよいか)を判定し、その判定結果を外観検査結果(外観検査報告)に含めて出力してよい。
検査装置4は、例えば3次元形状センサであり、溶接ロボットMC1の先端に取り付けられ、ワークWk(例えば、被溶接ワーク)上の溶接箇所の形状を特定し得る複数の点群データを取得可能であり、この点群データに基づいて溶接箇所の形状データ(言い換えると、溶接ビードの画像データ)を生成して検査制御装置3に送る。なお、検査装置4は、溶接ロボットMC1の先端に取り付けられていなく、溶接ロボットMC1とは別個に配置されている場合には、検査制御装置3から送られた溶接箇所の位置情報に基づいて、ワークWk(例えば、被溶接ワーク)上の溶接箇所を走査可能に構成されたレーザ光源(図示略)と、溶接箇所の周辺を含む撮像領域を撮像可能に配置され、溶接箇所に照射されたレーザ光のうち反射されたレーザ光の反射軌跡(つまり、溶接箇所の形状線)を撮像するカメラ(図示略)とにより構成されてよい。この場合、検査装置4は、カメラにより撮像されたレーザ光に基づく溶接箇所の形状データ(言い換えると、溶接ビードの画像データ)を検査制御装置3に送る。なお、上述したカメラは、少なくともレンズ(図示略)とイメージセンサ(図示略)とを有して構成される。イメージセンサは、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semi−conductor)等の固体撮像素子であり、撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。
図3は、ID「A」のワークとID「B」のワークとを用いた溶接時の動作概要例を示す説明図である。図3の例では、ID「A」を有する丸形状の元ワークW1と、ID「B」を有する四角形状の元ワークW2とが本溶接において接合されて被溶接ワークW3が製造され、かつその被溶接ワークW3の不良箇所がリペア溶接されるプロセスを例示する。ID「A」,「B」は、上述したように例えば12桁のアルファベットおよび数字からなるが、図3の説明を分かり易くするために総称的にアルファベット1文字で表記している。
図3において、ID決定部27は、例えばID「A」はID「B」より強いと判定し、被溶接ワークW3のIDとして、強い方のID「A」をそのまま(つまり変更することなく)採用して選択して決定する。なお、ID決定部27は、上述したように、ID「A」とID「B」とのうちいずれか一方をランダム(上述参照)に選択して決定しても構わない。また、被溶接ワークW3の外観検査が不合格(例えば、溶接の不良箇所があったために、検査制御装置3により算出された検査スコアが所定値未満)であった場合には、被溶接ワークW3はリペア溶接される。
ここで、溶接においては必ずしも全ての被溶接ワークがリペア溶接されるとは限らないという特有の事情があるので、被溶接ワークW3のIDと被リペア溶接ワークW4のIDとが異なると、本質的には同一のワーク(溶接完成品)であるにも関わらず識別子が異なることで、ワークのIDの整合性が崩れてしまい全体的な管理が煩雑になる。そこで、実施の形態1に係る溶接システム100では、例えばロボット制御装置2は、被溶接ワークW3の外観検査が不合格となり溶接の不良箇所がリペア溶接された場合、リペア溶接された後の被リペア溶接ワークのIDを被溶接ワークのIDから変更しないでそのまま採用するように決定する。これにより、リペア溶接の有無に拘わりなく、同一のワークであることを示すIDの整合性が被溶接ワークW3と被リペア溶接ワークW4とで保たれることになり、ワークのIDの関係性が適正に維持される。
また、実施の形態1に係る溶接システム100では、上位装置1は、本溶接あるいはリペア溶接が完了して完成品としてのワーク(つまり、被溶接ワークW3あるいは被リペア溶接ワークW4)が製造された後、ID「A」の元ワークW1、ID「B」の元ワークW2、ID「A」の被溶接ワークW3あるいはID「A」の被リペア溶接ワークW4との相互関係を論理的に示す溶接工程論理データLG1を生成する。更に、上位装置1は、被溶接ワークW3のID「A」あるいは被リペア溶接ワークW4のID「A」と、このID「A」が実際にユーザ事業者(後述参照)において管理される時に設定使用される管理用ID(例えば「XA」)と溶接工程論理データLG1とを関連付けたレコードTB1を生成して外部ストレージSTに保存する(図3参照)。また、上位装置1は、被溶接ワークW3のID「A」あるいは被リペア溶接ワークW4のID「A」と溶接工程論理データLG1との関係を示す表示用画面をモニタMN1に表示してもよい。これにより、ユーザは、被溶接ワークW3あるいは被リペア溶接ワークW4の製造に至った本溶接あるいはリペア溶接の工程の詳細を直感的に把握できる。
溶接工程論理データLG1は、ID「A」が上位に位置し、かつID「B」がID「A」より下位に位置する論理構造を有するデータである。つまり、溶接工程論理データLG1は、被溶接ワークW3のID「A」あるいは被リペア溶接ワークW4のID「A」から見て、どのIDを有する元ワークが使用されて本溶接あるいはリペア溶接により被溶接ワークW3あるいは被リペア溶接ワークW4が製造されたかを示す。更に、溶接工程論理データLG1は、本溶接に使用された複数の元ワークのそれぞれのIDの強弱関係、かつ複数の溶接工程が存在する場合にそれぞれの溶接工程が実行された経時的順序をそれぞれ示す。これにより、ユーザは、本溶接あるいはリペア溶接が完了した後であっても弱いIDの元ワークW2の情報を失うことなく、被溶接ワークW3あるいは被リペア溶接ワークW4の製造に用いた各元ワークに関するデータを網羅的に把握できる。
なお、図3には図示が省略されているが、ID「A」の元ワークとID「B」の元ワークとID「C」(図示略)の元ワークとの3つの元ワークが接合等されかつID「A」が最も強い場合には、上位装置1は、溶接工程論理データとして、例えばID「A」が最上位に位置しかつID「B」およびID「C」がID「A」より下位に位置する論理構造を有するデータを生成してもよい。
図4は、選択されたIDと管理用IDとの対応テーブルの一例を示す図である。この対応テーブルXTB1は、図3に示すレコードTB1を1以上含むようにして構成される。本溶接あるいはリペア溶接の各種の工程を実行する事業者(以下、「ユーザ事業者」という)が本溶接により製造された被溶接ワークあるいはリペア溶接により修正された被リペア溶接ワークのIDを実際に効率的な管理を実現するためには、選択されたIDを、ユーザ事業者における管理に適した形式の管理用IDに置き換えることがある。このため、ユーザ事業者が被溶接ワークW3あるいは被リペア溶接ワークW4のIDを効率的に管理するため、例えば上位装置1は、ユーザの操作により、選択されたIDに代わる管理用IDを設定するとともに、選択されたIDと対応する管理用IDとの関係を規定する対応テーブルXTB1を生成して外部ストレージSTに保存する。なお、対応テーブルXTB1は上位装置1のメモリ12に保存されてもよい。
例えば図4の対応テーブルXTB1は、選択されたID「AAA001」,「BBB001」,「DDD001」,…に対応するように、自社あるいは取引先(例えば出荷先)に固有の管理用ID「RX85−1001」,「RX85−1002」,「RX90−0001」を規定する。「RX85−1001」,「RX85−1002」,「RX90−0001」,…はそれぞれID中のハイフン前の「RX」が共通しているので同一の取引先であり、「RX85」および「RX90」の枝番(ID中のハイフン後の番号)が異なるので個々に異なる被溶接ワークあるいは被リペア溶接ワークとなる。
(溶接システムの動作)
次に、実施の形態1に係る溶接システム100によるID管理の動作手順について、図5A、図5B、図6A、図6Bおよび図7を参照して説明する。図5Aは、実施の形態1に係る溶接システム100におけるID管理の第1動作手順例を示すシーケンス図である。図5Bは、実施の形態1に係る溶接システム100におけるID管理の第1動作手順の変形例を示すシーケンス図である。図5A〜図7の説明では、図3に示す元ワークW1,W2を用いた本溶接、被溶接ワークW3の外観検査が不合格となったことに基づいて行われるリペア溶接の各工程に関して上位装置1とロボット制御装置2と検査制御装置3との間で行われる動作手順を例示して説明する。
図5Aにおいて、上位装置1は、本溶接の対象となる元ワークW1,W2のIDを含むワーク情報(例えばID、名前、および元ワークの溶接箇所)をそれぞれ取得し(St1)、元ワークW1,W2のワーク情報を含む本溶接の実行指令を生成する。上位装置1は、元ワークW1のワーク情報と元ワークW2のワーク情報とを含む本溶接の実行指令をロボット制御装置2に送る(St2)。なお、上位装置1を介さずに、ロボット制御装置2が、ステップSt1,ステップSt2の処理をそれぞれ実行してもよい。この場合には、ロボット制御装置2のメモリ22には外部ストレージSTに保存されているデータと同じデータが保存されているか、あるいはロボット制御装置2が外部ストレージSTからデータの取得を可能に接続されていることが好ましい。
ロボット制御装置2は、上位装置1から送られた本溶接の実行指令を受信すると、その実行指令に含まれる複数の元ワークW1,W2のそれぞれのワーク情報を用いて、溶接ロボットMC1により実行される本溶接のプログラムを生成し、そのプログラムに従った本溶接を溶接ロボットMC1に実行させる(St3)。ロボット制御装置2は、種々の公知方法により、溶接ロボットMC1による本溶接の完了を判定すると、被溶接ワークW3のIDとして元ワークW1,W2のうちいずれのIDを採用するかを、元ワークW1,W2のIDの強弱に基づく所定のルール(上述参照)により選択する(St4)。例えば元ワークW1のID「AAA001」が選択されたとする。ロボット制御装置2は、本溶接が完了した旨の本溶接完了通知を生成して上位装置1に送る(St5)。上位装置1は、この本溶接完了通知を受けて、被溶接ワークW3の外観検査の実行指令を生成して検査制御装置3に送る(St6)。なお、図5Bに示すように、上位装置1は、本溶接完了通知を受けると、被溶接ワークW3の外観検査用プログラムを含む外観検査用プログラムの実行指令を生成してロボット制御装置2に送ってよい(St5.5)。この場合、図5Bに示すように、ロボット制御装置2は、被溶接ワークW3の外観検査の実行指令を生成して検査制御装置3に送るとともに(St6)、外観検査の開始に伴って上位装置1から受けた外観検査用プログラムを実行して溶接ロボットMC1に取り付けられた検査装置4を動かす。
検査制御装置3は、ロボット制御装置2により検査装置4が被溶接ワークW3の溶接箇所を走査可能に動いている中で、ステップSt6において送られた外観検査の実行指令に基づいて、被溶接ワークW3を対象とした外観検査を検査装置4に実行させる(St7)。検査制御装置3は、ステップSt7の外観検査の結果、被溶接ワークW3には溶接の不良箇所があるためにリペア溶接が必要であると判定し(St8)、リペア溶接のためのプログラムを生成する。検査制御装置3は、ステップSt8での判定結果とリペア溶接のプログラムとを含む外観検査報告を生成してロボット制御装置2に送る(St9)。また、検査制御装置3は、ステップSt8での判定結果を含む外観検査報告を生成して上位装置1に送る(St10)。
上位装置1は、ステップSt10での外観検査報告を受けて、被溶接ワークW3を対象としたリペア溶接の実行指令を生成してロボット制御装置2に送る(St11)。ロボット制御装置2は、上位装置1から送られたリペア溶接の実行指令を受信すると、その実行指令で指定される被溶接ワークW3を対象としたリペア溶接のプログラムに基づいて、そのプログラムに従ったリペア溶接を溶接ロボットMC1に実行させる(St12)。ロボット制御装置2は、種々の公知方法により、溶接ロボットMC1によるリペア溶接の完了を判定すると、被リペア溶接ワークW4のIDとして、被溶接ワークW3のIDから変更しないでそのまま採用すると決定する(St13)。例えば被リペア溶接ワークW4のID「AAA001」が選択されたとする。
ロボット制御装置2は、リペア溶接が完了した後、ステップSt13により決定された被溶接ワークW3のID(例えばID「AAA001」)を含む2次ワーク情報(例えば、被リペア溶接ワークW4のID「AAA001」、本溶接に使用された複数の元ワークW1,W2のそれぞれのIDを含むワーク情報(例えば元ワークのID、名前、元ワークの溶接箇所)、本溶接およびリペア溶接の各実行時の溶接条件))を上位装置1に送る(St14)。
上位装置1は、ロボット制御装置2から送られた被リペア溶接ワークW4のIDを含む2次ワーク情報を受信すると、ロボット制御装置2により選択されたID「AAA001」を被リペア溶接ワークW4のID「AAA001」として設定するとともに、被リペア溶接ワークW4に関する溶接工程論理データ(図3参照)を生成する(St15)。上位装置1は、被リペア溶接ワークW4のID「AAA001」に対応する管理用IDを設定するとともに、この管理用IDと被リペア溶接ワークW4に関する溶接工程論理データとを関連付けて外部ストレージSTに保存する(St16)。
図6Aおよび図7は、実施の形態1に係る溶接システム100におけるID管理の第2動作手順例を示すシーケンス図である。図6Bは、実施の形態1に係る溶接システムにおけるID管理の第2動作手順の変形例を示すシーケンス図である。第2動作手順またはその変形例では、第1動作手順に加え、被リペア溶接ワークW4の外観検査が更に実行され、この外観検査の合否に応じて、被リペア溶接ワークのIDの変更の有無が判断される。なお、図6Aあるいは図6Bの説明において、図5Aあるいは図5Bに示される処理と同一の処理については同一のステップ番号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
図6Aあるいは図6Bにおいて、ステップSt12の後、ロボット制御装置2は、ステップSt12でのリペア溶接が完了した旨のリペア溶接完了通知を生成して上位装置1に送る(St21)。上位装置1は、このリペア溶接完了通知を受けて、被リペア溶接ワークW4の外観検査の実行指令を生成して検査制御装置3に送る(St22)。なお、図6Bに示すように、上位装置1は、リペア溶接完了通知を受けると、被リペア溶接ワークW4の外観検査用プログラムを含む外観検査用プログラムの実行指令を生成してロボット制御装置2に送ってよい(St21.5)。この場合、図6Bに示すように、ロボット制御装置2は、被リペア溶接ワークW4の外観検査の実行指令を生成して検査制御装置3に送るとともに(St22)、外観検査の開始に伴って上位装置1から受けた外観検査用プログラムを実行して溶接ロボットMC1に取り付けられた検査装置4を動かす。
検査制御装置3は、ロボット制御装置2により検査装置4が被リペア溶接ワークW4の溶接箇所を走査可能に動いている中で、ステップSt22において送られた外観検査の実行指令に基づいて、被リペア溶接ワークW4を対象とした外観検査を検査装置4に実行させる(St23)。検査制御装置3は、ステップSt23の外観検査が合格であった場合(St24、YES)、ステップSt23での外観検査の結果である外観検査報告(例えば被リペア溶接ワークW4のリペア溶接の外観検査が合格であった旨の報告)を生成してロボット制御装置2に送る(St25)。ロボット制御装置2は、検査制御装置3からの外観検査報告に基づいて、被リペア溶接ワークW4のIDとして、被溶接ワークW3のIDから変更しないでそのまま採用すると決定する(St13)。例えば被リペア溶接ワークW4のID「AAA001」が選択されたとする。
一方、検査制御装置3は、ステップSt23の外観検査が不合格であった場合(St24、NO)、ステップSt23での外観検査の結果である外観検査報告(例えば被リペア溶接ワークW4のリペア溶接の外観検査が不合格であった旨の報告)を生成してロボット制御装置2に送る(St26)。ロボット制御装置2は、検査制御装置3からの外観検査報告に基づいて、被リペア溶接ワークW4のIDとして、被溶接ワークW3のIDから変更して異なるIDを採用すると決定する(St27)。例えば、リペア溶接が行われたが外観検査が不合格であったことを示すように、被リペア溶接ワークW4のID「AAA001f」が選択されたとする。
ロボット制御装置2は、ステップSt13あるいはステップSt27の後、ステップSt13あるいはステップSt27により決定された被リペア溶接ワークW4のID(例えばID「AAA001」あるいは「AAA001f」)を含む2次ワーク情報(例えば、被リペア溶接ワークW4のID「AAA001」あるいはID「AAA001f」、本溶接に使用された複数の元ワークW1,W2のそれぞれのIDを含むワーク情報(例えば元ワークのID、名前、元ワークの溶接箇所)、本溶接およびリペア溶接の各実行時の溶接条件))を上位装置1に送る(St14)。ステップSt14以降の処理は図5Aと同一であるため、説明を省略する。
以上により、実施の形態1に係る溶接システム100では、ロボット制御装置2は、元ワーク(例えば一つの元ワーク、あるいは複数の元ワークW1,W2のそれぞれ)のIDの情報を取得し、元ワーク(例えば一つの元ワーク、あるいは複数の元ワークW1,W2)を用いた本溶接により製造された被溶接ワークW3の溶接システム100(例えば検査制御装置3および検査装置4)による溶接箇所の外観検査が不合格である旨の検査報告を受け取る。上述したように、被溶接ワークW3は、一つの元ワークW1あるいは元ワークW2を用いた本溶接により生産されても構わず、以下の説明においても同様である。ロボット制御装置2は、被溶接ワークW3の外観検査報告に基づいて行われる被溶接ワークW3の溶接の不良箇所のリペア溶接の完了報告(例えばリペア溶接完了通知)に応じて、リペア溶接が行われた被リペア溶接ワークW4の識別子を、被溶接ワークW3の識別子から変更しないで同一の識別子を設定する。
これにより、実施の形態1に係る溶接システム100では、ロボット制御装置2は、本溶接あるいはリペア溶接等の各種の溶接工程において製造あるいは不良箇所が修正されるワークのIDの効率的かつ簡易な管理を支援できる。つまり、溶接システム100においては、リペア溶接の有無に拘わりなく、本来的に同一のワークである被溶接ワークW3および被リペア溶接ワークW4のそれぞれのIDの整合性(つまり同一のIDが設定されること)が保たれることになり、本溶接あるいはリペア溶接がなされたワークのIDの関係性が適正に維持される。
また、溶接システム100では、ロボット制御装置2は、本溶接の完了報告(例えば本溶接完了通知)に応じて、被溶接ワークW3のIDを、複数の元ワークのそれぞれのIDからいずれかを選択して設定する。これにより、複数の元ワークが接合等される溶接工程において製造されるワーク(言い換えると、被溶接ワーク)のIDの効率的かつ簡易な管理を支援できる。つまり、従来の特許文献1のように、一つのワークが異なる製造機械(言い換えれば本溶接ロボット)に位置する度に新しいIDが設定されることが無く、製造された被溶接ワークのIDは、溶接工程に使用された複数の元ワークのIDのうちランダムに選択されたいずれかのIDとなるので、IDが徒に増大することが無くユーザによるIDの管理が簡易化される。
また、溶接システム100では、ロボット制御装置2は、被リペア溶接ワークW4の溶接システム100(例えば溶接ロボットMC1)によるリペア溶接箇所の検査が合格である旨のリペア検査報告を受け取る。ロボット制御装置2は、前述したリペア検査報告に応じて、被リペア溶接ワークW4のIDを、被溶接ワークW3のIDから変更しないで同一のIDを設定する。これにより、リペア溶接により溶接の不良箇所の修正が可能となったことで本来的には同一のワークとみなせる被溶接ワークW3と被リペア溶接ワークW4との間で同一のIDが設定可能となるので、IDの管理が煩雑になることを回避でき、システム管理者の作業効率の劣化を抑制できる。
また、溶接システム100では、ロボット制御装置2は、被リペア溶接ワークW4の溶接システム100(例えば溶接ロボットMC1)によるリペア溶接箇所の検査が不合格である旨のリペア検査報告を受け取る。ロボット制御装置2は、前述したリペア検査報告に応じて、被リペア溶接ワークW4のIDを、被溶接ワークW3のIDから変更して他のIDを設定する。これにより、リペア溶接により溶接の不良箇所の修正が不可能となったことでもはや同一のワークとみなせない被溶接ワークW3と被リペア溶接ワークW4との間で同一のIDが設定されなくなるので、それぞれ別個のIDが設定されて別個のワークとみなすことができ、同一のワークであると誤認識する事態を回避でき、システム管理者の作業効率の劣化を抑制できる。
また、IDは、アルファベットと数字とにより構成される。これにより、IDがアルファベットと数字との組み合わせにより構成されることが多いことに鑑みて、例えば被溶接ワークW3のIDの決定の際にIDの強弱の比較を簡易化でき、また、被溶接ワークW3あるいは被リペア溶接ワークW4のIDの管理を簡易化および汎用化できる。
また、溶接システム100は、選択された被溶接ワークW3あるいは被リペア溶接ワークW4のIDと、ユーザにより管理される管理用識別子とを関連付けた管理テーブル(例えば対応テーブルXTB1)を保持する。これにより、溶接システム100は、ユーザ事業者が自社あるいは取引先(例えば出荷先)に固有の文字コード(例えばアルファベット)に適した管理用IDを設定できるので、ユーザ事業者の実務的な管理の実情に合わせて被溶接ワークのIDを適正に管理できる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、被溶接ワークW3あるいは被リペア溶接ワークW4のIDの設定はロボット制御装置2により決定される。実施の形態2では、この決定を上位装置1によって行われる例を説明する。
(溶接システムの構成)
図8は、実施の形態2に係るロボット制御装置2aおよび上位装置1aの内部構成例を示す図である。図8の説明において、図2の各部の構成と同一のものには同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。また、実施の形態2に係る溶接システム100aの構成は実施の形態1に係る溶接システム100と同一の構成である(図1参照)。上位装置1aは、通信部10と、プロセッサ11aと、メモリ12とを少なくとも含む構成である。
プロセッサ11aは、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ12と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ11aは、メモリ12に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、セル制御部13、ID設定管理部14、論理データ生成部15およびID決定部16を機能的に実現する。言い換えると、実施の形態2では、実施の形態1に係るロボット制御装置2のプロセッサ21に含まれていたID決定部27が、上位装置1aのプロセッサ11aに含まれる。
ID決定部16は、溶接ロボットMC1によって複数の元ワークを用いた本溶接が完了した後に、ロボット制御装置2aから送られたデータを用いて、複数の元ワークのそれぞれのIDのうちいずれのIDを、被溶接ワークのIDとして採用するかを、所定のルールに従ってあるいはランダムに選択して決定する。言い換えると、ID決定部16は、複数の元ワークのIDが「A」,「B」である場合に(図3参照)、被溶接ワーク(例えば2次ワーク)のIDとして、「A」あるいは「B」を所定のルールに従ってあるいはランダムに選択する。また、ID決定部16は、被溶接ワークの外観検査が不合格と判定されて溶接ロボットMC1により溶接の不良箇所がリペア溶接された後に、そのリペア溶接により修正された被リペア溶接ワークのIDを、被溶接ワークのIDと同一のIDあるいは異なるIDのいずれかを採用するかを決定する。
(溶接システムの動作)
次に、実施の形態2に係る溶接システム100aによるID管理の動作手順について、図9A、図9B、図10A、図10Bおよび図11を参照して説明する。図9Aは、実施の形態2に係る溶接システム100におけるID管理の動作手順例を示すシーケンス図である。図9Bは、実施の形態2に係る溶接システム100aにおけるID管理の第1動作手順の変形例を示すシーケンス図である。図9A〜図11の説明では、図3に示す元ワークW1,W2を用いた本溶接、被溶接ワークW3の外観検査が不合格となったことに基づいて行われるリペア溶接の各工程に関して上位装置1aとロボット制御装置2aと検査制御装置3との間で行われる動作手順を例示して説明する。また、図9Aあるいは図9Bの説明において、図5Aあるいは図5Bの処理と同一の処理については同一のステップ番号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
図9Aにおいて、図5Aと同様に、上位装置1を介さずに、ロボット制御装置2が、ステップSt1,ステップSt2の処理をそれぞれ実行してもよい。この場合には、ロボット制御装置2のメモリ22には外部ストレージSTに保存されているデータと同じデータが保存されているか、あるいはロボット制御装置2が外部ストレージSTからデータの取得を可能に接続されていることが好ましい。
ロボット制御装置2aは、本溶接完了通知と2次ワーク情報(例えば、本溶接に使用された複数の元ワークW1,W2のそれぞれのIDを含むワーク情報(例えば元ワークのID、名前、元ワークの溶接箇所)、溶接工程の実行時の溶接条件))と被溶接ワークW3のIDの決定要求とを上位装置1に送る(St31)。上位装置1aは、ステップSt31においてロボット制御装置2aから送られた本溶接完了通知と被溶接ワークW3のIDの決定要求とを受信すると、2次ワーク情報を用いて、被溶接ワークW3のIDとして被溶接ワークW3のIDから変更しないでそのまま採用して決定する(St32)。例えば被溶接ワークW3のID「AAA001」が決定されたとする。なお、図9Bに示すように、図5Bと同様に、上位装置1aは、本溶接完了通知を受けると、被溶接ワークW3の外観検査用プログラムを含む外観検査用プログラムの実行指令を生成してロボット制御装置2aに送ってよい(St5.5)。この場合、図9Bに示すように、ロボット制御装置2aは、被溶接ワークW3の外観検査の実行指令を生成して検査制御装置3に送るとともに(St6)、外観検査の開始に伴って上位装置1から受けた外観検査用プログラムを実行して溶接ロボットMC1に取り付けられた検査装置4を動かす。
ロボット制御装置2aは、リペア溶接が完了した後、リペア溶接完了通知とステップSt32により決定された被溶接ワークW3のID(例えばID「AAA001」)を含む2次ワーク情報(例えば、本溶接に使用された複数の元ワークW1,W2のそれぞれのIDを含むワーク情報(例えば元ワークのID、名前、元ワークの溶接箇所)、本溶接およびリペア溶接の各実行時の溶接条件))とを上位装置1に送る(St33)。上位装置1aは、リペア溶接完了通知を受信すると、被リペア溶接ワークW4のIDとして、被溶接ワークW3のIDから変更しないでそのまま採用すると決定する(St34)。例えば被リペア溶接ワークW4のID「AAA001」が選択されたとする。ステップSt34以降の処理は図5AのステップSt15,St16と同一であるため説明を省略する。
図10Aおよび図11は、実施の形態2に係る溶接システム100aにおけるID管理の第2動作手順例を示すシーケンス図である。図10Bは、実施の形態2に係る溶接システムにおけるID管理の第2動作手順の変形例を示すシーケンス図である。第2動作手順またはその変形例では、第1動作手順に加え、被リペア溶接ワークW4の外観検査が更に実行され、この外観検査の合否に応じて、被リペア溶接ワークのIDの変更の有無が判断される。なお、図10A、図10Bあるいは図11の説明において、図6Aあるいは図7に示される処理と同一の処理については同一のステップ番号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
図10Aあるいは図10Bにおいて、ロボット制御装置2aは、本溶接完了通知と2次ワーク情報(例えば、本溶接に使用された複数の元ワークW1,W2のそれぞれのIDを含むワーク情報(例えば元ワークのID、名前、元ワークの溶接箇所)、溶接工程の実行時の溶接条件))と被溶接ワークW3のIDの決定要求とを上位装置1に送る(St31)。上位装置1aは、ステップSt31においてロボット制御装置2aから送られた本溶接完了通知と被溶接ワークW3のIDの決定要求とを受信すると、2次ワーク情報を用いて、被溶接ワークW3のIDとして元ワークW1,W2のうちいずれのIDを採用するかを、所定のルール(例えばIDの強弱)あるいはランダムに選択して決定する(St32)。例えば元ワークW1のID「AAA001」が選択されたとする。
ステップSt12の後、ロボット制御装置2aは、ステップSt12でのリペア溶接が完了した旨のリペア溶接完了通知を生成して上位装置1aに送る(St21)。上位装置1aは、このリペア溶接完了通知を受けて、被リペア溶接ワークW4の外観検査の実行指令を生成して検査制御装置3に送る(St22)。なお、図10Bに示すように、上位装置1aは、リペア溶接完了通知を受けると、被リペア溶接ワークW4の外観検査用プログラムを含む外観検査用プログラムの実行指令を生成してロボット制御装置2aに送ってよい(St21.5)。この場合、図10Bに示すように、ロボット制御装置2aは、被リペア溶接ワークW4の外観検査の実行指令を生成して検査制御装置3に送るとともに(St22)、外観検査の開始に伴って上位装置1から受けた外観検査用プログラムを実行して溶接ロボットMC1に取り付けられた検査装置4を動かす。
検査制御装置3は、ロボット制御装置2aにより検査装置4が被リペア溶接ワークW4の溶接箇所を走査可能に動いている中で、ステップSt22において送られた外観検査の実行指令に基づいて、被リペア溶接ワークW4を対象とした外観検査を検査装置4に実行させる(St23)。検査制御装置3は、ステップSt23の外観検査が合格であった場合(St24、YES)、ステップSt23での外観検査の結果である外観検査報告(例えば被リペア溶接ワークW4のリペア溶接の外観検査が合格であった旨の報告)を生成してロボット制御装置2aに送る(St25)。ロボット制御装置2aは、検査制御装置3からの外観検査報告に基づいて、リペア溶接完了通知と2次ワーク情報(例えば、本溶接に使用された複数の元ワークW1,W2のそれぞれのIDを含むワーク情報(例えば元ワークのID、名前、元ワークの溶接箇所)、本溶接およびリペア溶接の実行時の溶接条件))と被リペア溶接ワークW4のIDの決定要求とを上位装置1に送る(St35)。上位装置1aは、ステップSt35においてロボット制御装置2aから送られたリペア溶接完了通知と被リペア溶接ワークW4のIDの決定要求とを受信すると、2次ワーク情報を用いて、被リペア溶接ワークW4のIDとして被溶接ワークW3のIDから変更しないでそのまま採用して決定する(St36)。例えば被溶接ワークW3のID「AAA001」が決定されたとする。
一方、検査制御装置3は、ステップSt23の外観検査が不合格であった場合(St24、NO)、ステップSt23での外観検査の結果である外観検査報告(例えば被リペア溶接ワークW4のリペア溶接の外観検査が不合格であった旨の報告)を生成してロボット制御装置2aに送る(St26)。ロボット制御装置2aは、検査制御装置3からの外観検査報告に基づいて、リペア溶接完了通知と2次ワーク情報(例えば、本溶接に使用された複数の元ワークW1,W2のそれぞれのIDを含むワーク情報(例えば元ワークのID、名前、元ワークの溶接箇所)、本溶接およびリペア溶接の実行時の溶接条件))と被リペア溶接ワークW4のIDの決定要求とを上位装置1に送る(St37)。上位装置1aは、ステップSt35においてロボット制御装置2aから送られたリペア溶接完了通知と被リペア溶接ワークW4のIDの決定要求とを受信すると、2次ワーク情報を用いて、被リペア溶接ワークW4のIDとして、被溶接ワークW3のIDから変更して異なるIDを採用すると決定する(St38)。例えば、リペア溶接が行われたが外観検査が不合格であったことを示すように、被リペア溶接ワークW4のID「AAA001f」が選択されたとする。ステップSt36あるいはステップSt38以降の処理は図7と同一であるため、説明を省略する。
以上により、実施の形態2に係る溶接システム100aでは、上位装置1aは、溶接システム100aを構成し、元ワーク(例えば一つの元ワーク、あるいは複数の元ワークW1,W2のそれぞれ)のIDの情報をメモリ12に保持し、元ワーク(例えば一つの元ワーク、あるいは複数の元ワークW1,W2)を用いた本溶接の実行を制御するロボット制御装置2aとの間で通信部10において通信する。上位装置1aは、本溶接により製造された被溶接ワークW3の溶接システム100a(例えば検査制御装置3および検査装置4)による溶接箇所の検査が合格である旨の検査報告に基づいて行われる被溶接ワークW3の不良箇所のリペア溶接の完了報告の通信部10を介した取得に応じて、リペア溶接が行われた被リペア溶接ワークW4のIDを、被溶接ワークW3の識別子から変更しないで同一の識別子をプロセッサ11aにおいて設定する。
これにより、実施の形態2に係る溶接システム100aでは、上位装置1aは、本溶接あるいはリペア溶接等の各種の溶接工程において製造あるいは不良箇所が修正されるワークのIDの効率的かつ簡易な管理を支援できる。つまり、溶接システム100aにおいては、リペア溶接の有無に拘わりなく、本来的に同一のワークである被溶接ワークW3および被リペア溶接ワークW4のそれぞれのIDの整合性(つまり同一のIDが設定されること)が保たれることになり、本溶接あるいはリペア溶接がなされたワークのIDの関係性が適正に維持される。
(変形例)
実施の形態1では、溶接ロボットMC1が本溶接およびリペア溶接の両方を行うとして説明した。実施の形態1の変形例(以下、単に「変形例」と称する)では、溶接ロボットMC1が本溶接ロボットMC1aおよびリペア溶接ロボットMC1bにより構成され、本溶接ロボットMC1aが本溶接を行い、リペア溶接ロボットMC1bがリペア溶接を行う例を説明する。
図12は、図1に示す溶接システム100のシステム構成の変形例を示す概略図である。図12に示す変形例に係る溶接システム100bの構成の説明において、図1の説明と同一の構成には同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
溶接システム100bは、外部ストレージST、入力インターフェースUI1およびモニタMN1のそれぞれと接続された上位装置1と、ロボット制御装置2と、本溶接ロボットMC1aと、リペア溶接ロボットMC1bとを含む構成である。ロボット制御装置2は、本溶接ロボットMC1aに対応して設けられた本溶接ロボット制御装置2b(第1ロボット制御部の一例)と、リペア溶接ロボットMC1bに対応して設けられたリペア溶接ロボット制御装置2c(第1ロボット制御部の一例)とにより構成される。本溶接ロボット制御装置2bおよびリペア溶接ロボット制御装置2cの内部構成は、例えば図2に示すロボット制御装置2の内部構成と同一であるため、説明を省略する。
変形例に係る溶接システム100bにおいて、被溶接ワークW3および被リペア溶接ワークW4のIDの設定に関する動作手順は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
以上により、変形例に係る溶接システム100bでは、ロボット制御装置2は、溶接システム100bを構成し、第1ロボット制御部としての本溶接ロボット制御装置2bと、第2ロボット制御部としてのリペア溶接ロボット制御装置2cとを有する。本溶接ロボット制御装置2bは、元ワーク(例えば一つの元ワーク、あるいは複数の元ワークW1,W2のそれぞれ)のIDの情報を保持し、元ワーク(例えば一つの元ワーク、あるいは複数の元ワークW1,W2)を用いた本溶接を実行可能に本溶接ロボットMC1aを制御し、溶接システム100bを統括する上位装置1との間で通信する。リペア溶接ロボット制御装置2cは、本溶接により製造された被溶接ワークW3の溶接システム100bによる溶接箇所の検査が不合格である旨の検査結果を保持し、被溶接ワークW3を用いたリペア溶接を実行可能にリペア溶接ロボットMC1bを制御し、上位装置1との間で通信する。リペア溶接ロボット制御装置2cは、外観検査報告に基づいて行われる被溶接ワークW3の不良箇所のリペア溶接の完了報告(具体的には、外観検査が合格であった旨の報告)に応じて、リペア溶接が行われた被リペア溶接ワークW4のIDを、被溶接ワークW3の識別子から変更しないで同一の識別子を設定する。
これにより、変形例に係る溶接システム100bでは、ロボット制御装置2は、本溶接ロボットMC1aを制御可能な本溶接ロボット制御装置2bとリペア溶接ロボットMC1bを制御可能なリペア溶接ロボット制御装置2cとにより構成されていても、本溶接あるいはリペア溶接等の各種の溶接工程において製造あるいは不良箇所が修正されるワークのIDの効率的かつ簡易な管理を支援できる。つまり、溶接システム100bにおいては、リペア溶接の有無に拘わりなく、本来的に同一のワークである被溶接ワークW3および被リペア溶接ワークW4のそれぞれのIDの整合性(つまり同一のIDが設定されること)が保たれることになり、本溶接あるいはリペア溶接がなされたワークのIDの関係性が適正に維持される。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。