JP2021048836A - Pd−l1陽性エクソソームの検出方法 - Google Patents

Pd−l1陽性エクソソームの検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】免疫チェックポイント阻害剤が奏功する患者を選別する方法を提供する。【解決手段】PD-L1をその表面に発現しているPD-L1陽性エクソソームを、生物学的試料から分離することなく直接検出することを特徴とする、PD-L1陽性腫瘍を検出する方法。PD-L1陽性エクソソームの検出を、抗体を用いて行う方法。抗体が、PD-L1を認識する抗体、およびエクソソームを認識する抗体である方法。前記いずれか記載の方法によって、PD-L1陽性腫瘍を有する患者を選別する方法。【選択図】なし

Description

本発明は一般に、腫瘍診断の分野に関する。具体的には、本発明は、ヒト体液中のエクソソームを定量する方法、より具体的にはPD-L1陽性エクソソームを定量および定性する方法、それに使用する抗PD-L1モノクローナル抗体等に関する。
1992年に発見されたプログラム化死−1(Programmed death-1、PD-1)は、T細胞表面に発現するタンパク質受容体であり、細胞のアポトーシスに関与している。PD-1はCD28ファミリーに属し、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)とアミノ酸配列において23%の相同性を示す。しかし、PD-1は、CTLA4とは異なり、主に活性化T細胞、B細胞および骨髄系細胞に発現する。PD-1は2つのリガンド、それぞれPD-L1およびPD-L2を有する。PD-L1は、主にがん細胞に発現し、PD-L2の発現は、活性化マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞に限定される。
腫瘍微小環境中の多くの腫瘍細胞および免疫細胞はプログラム化死−リガンド1(Programmed death-ligand 1、PD-L1)を発現する。新しい研究では、乳がん、肺がん、胃がん、腸がん、腎がん、メラノーマ、非小細胞肺がん、結腸がん、膀胱がん、卵巣がん、膵がん、肝がん等のヒト腫瘍組織でPD-L1タンパク質の高発現が検出されており、PD-L1の発現レベルは、患者の臨床症状および予後と密接に相関している。
PD-L1は、第二のシグナル経路を使ってT細胞の増殖を阻害するため、PD-L1とPD-1との結合をブロックすることは、腫瘍免疫療法の分野において、非常に有望な標的となっている(例えば、特許文献1および2)。
WO2013/173223公報 特表2016-533335公報
オプジーボやキートルーダなど、PD-1を標的とする医薬は免疫チェックポイント阻害剤として注目されているが( Yarchoan M., Johnson B.A. III, Lutz E.R., Laheru D.A., and Jaffee E.M. 2017. Targeting neoantigens to augment antitumour immunity. Nat. Rev. Cancer. 17:569 10.1038/nrc.2017.74)、単独の医薬ではその薬効が見られる症例は20%余りと決して高くはない。これは、PD-1のリガンドであるPD-L1が、すべてのがん細胞において発現していないためであると考えられている。このため、PD-1を標的とするキートルーダを処方するためには、患者を層別化するためのコンパニオン診断薬として、PD-L1の組織染色が必須となっている( Reck M., Rodriguez-Abreu D., Robinson A.G., Hui R., Csoszi T., Fulop A., Gottfried M., Peled N., Tafreshi A., Cuffe S., et al. KEYNOTE-024 Investigators. 2016. Pembrolizumab versus Chemotherapy for PD-L1-Positive Non-Small-Cell Lung Cancer. N. Engl. J. Med. 375:1823-1833. 10.1056/NEJMoa1606774:日本肺癌学会編、「肺癌患者におけるPD-L1検査の手引き」)。内視鏡や針を使って腫瘍組織を採取する生検(biopsy)を前提とする組織染色は侵襲性が高い検査であり、患者の負担が問題である。そこで、生検に代え、血液などの体液使って診断や治療効果予測を行う、患者負担が軽減されるリキッドバイオプシーの開発が望まれている。
PD-L1陽性の腫瘍からは、PD-L1陽性のエクソソームが分泌されていることが知られている(Chen G., Huang A.C., Zhang W., Zhang G., Wu M., Xu W., Yu Z., Yang J., Wang B., Sun H., et al. 2018. Exosomal PD-L1 contributes to immunosuppression and is associated with anti-PD-1 response. Nature. 560:382-386. 10.1038/s41586-018-0392-8)。本発明者らは、生物学的試料中のPD-L1陽性エクソソームを直接定量する目的から、PD-L1の細胞外領域に特異的な抗体を作製し、それを基本とする測定系の構築に成功した。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
<PD-L1陽性腫瘍を検出>
[1]
PD-L1をその表面に発現しているPD-L1陽性エクソソームを、生物学的試料から分離することなく直接検出することを特徴とする、PD-L1陽性腫瘍を検出する方法。
[2]
PD-L1陽性エクソソームの検出を、抗体を用いて行う[1]記載の方法。
[3]
抗体が、PD-L1を認識する抗体、およびエクソソームを認識する抗体である、[2]記載の方法。
[4]
検出を、免疫沈降によって行う、[1]から[3]のいずれか記載の方法。
[5]
[1]から[3]のいずれか記載の方法によって、PD-L1陽性腫瘍を有する患者を選別する方法。
[6]
[4]記載の方法によって、免疫チェックポイント阻害剤が奏功する患者を選別する方法。
<抗体分子>
[7]
(i)配列番号3のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号4のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号5のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに
(ii)配列番号11のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号12のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号13のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、PD-L1に結合することができる単離された抗体分子、またはその誘導体。
[8]
配列番号1のVHアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、または配列番号1のVHアミノ酸配列と比較して1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1個のフレームワーク(FW)領域を含む重鎖可変領域を有する、[7]記載の抗体分子、またはその誘導体。
[9]
配列番号9のVLアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、または9のVLアミノ酸配列と比較して1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1個のフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を有する、[7]または[8]記載の抗体分子、またはその誘導体。
[10]
Fab、F(ab')、Fvまたは単鎖Fv断片(scFv)である、[7]から[9]のいずれか記載の抗体分子の誘導体。
<核酸>
[11]
[7]から[10]のいずれか]記載の抗体分子の抗体重鎖または軽鎖可変領域をコードする単離された核酸。
[12]
重鎖CDR1から3をコードする単離された核酸であって、配列番号6、7または8のヌクレオチド配列を含む核酸。
[13]
軽鎖CDR1から3をコードする単離された核酸であって、配列番号14、15または16のヌクレオチド配列を含む核酸。
[14]
[11]から[13]のいずれか記載の核酸を含む発現ベクター。
[15]
[14]記載のベクターを含む宿主細胞。
[16]
遺伝子発現に適した条件下、[14]記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体分子またはその断片を産生する方法。
<検出>
[17]
(i) 被験者から生物学的試料を入手し、
(ii) 得られた生物学的試料と、[7]から[10]のいずれか]記載の単離された抗体分子またはその誘導体とを接触させ、そして
(iii) PD-L1陽性エクソソームおよび抗体分子またはその誘導体の間の複合体の形成を検出すること
を含む、生物学的試料におけるPD-L1陽性エクソソームを検出する方法。
[18]
[17]記載の方法によって、PD-L1陽性エクソソームが検出される患者を選別することを特徴とする、免疫チェックポイント阻害剤が奏功する患者を選別する方法。
[19]
[7]から[10]のいずれか記載の単離された抗体分子またはその誘導体を含む、PD-L1陽性エクソソームを定量するためのキット。
[20]
配列番号19に示すアミノ酸配列を有するヒトPD-L1およびヒトCD9タンパクの融合タンパク質、または配列番号21に示すアミノ酸配列を有するヒトPD-L1およびヒトCD63の融合タンパク質を標準試薬としてさらに含有する、[19]記載のキット。
図1Aは、G418耐性株の細胞抽出液によるウェスタンブロットの結果を示す。図1Bは、PD-L1発現株のエクソソームによるウェスタンブロットの結果を示す。 図2は、PD-L1陽性エクソソームを定量するためのサンドイッチELISA測定系の概念図である。 図3は、PD-L1陽性エクソソーム測定ELISAによって得られた、抗PD-L1抗体の性能を比較した結果を示すグラフである。 図4は、標識抗体にクローンA1-9F7を用いたELISAにおける、PD-L1陽性エクソソーム測定値の定量性が確認されるグラフである。 図5は、PD-L1/CD9あるいはPD-L1/CD63融合タンパクによるELISAの検量線を示す。
図6は、クローンA1-9F7抗体と市販抗体(MIH5)とのエクソソームELISAにおける性能を比較した結果を示す。 図7は、抗PD-L1モノクローナル抗体(クローンA1-9F7)のVH鎖可変領域の構造を示す。 図8は、抗PD-L1モノクローナル抗体(クローンA1-9F7)のVL鎖可変領域の構造を示す。 図9Aは、抗CD9抗体を固相したELISAにヒト由来プール血清をウェルあたり0、2.5、5、10、25、50μLとPD-L1陽性エクソソームを濃度が2、6、16μg/mLになるように加えて測定し、血清0μL(無添加)時に得られたシグナルに対して各濃度の血清を加えた際に得られたシグナルの割合(回収率)を求めたELISAにおける添加回収試験の結果を示すグラフである。図9Bは、図9Aにおいてヒト由来プール血清の代わりにヒト由来プール血漿を用いる以外は同様にして求めたELISAにおける添加回収試験の結果を示すグラフである。 図10は、肺がん細胞株PC9の培養上清を用いて免疫沈降(左)およびELISA(右)によるPD-L1陽性エクソソームの定量の比較を行った、定量値を示すグラフである。PD-L1陽性エクソソームは培養液にγインターフェロンを添加することによって発現を誘導した。γインターフェロン(−)および(+)は、それぞれγインターフェロンの非存在および存在を示している。B-B(0)は各検体の吸光度測定値から培養液のみのバックグラウンド値を差し引いた値である。
<PD-L1陽性腫瘍を検出>
本発明は、ひとつの態様として、PD-L1をその表面に発現しているPD-L1陽性エクソソームを、生物学的試料から分離することなく直接検出することを特徴とする、PD-L1陽性腫瘍を検出する方法に関する。
本明細書において、「PD-L1陽性エクソソーム」とは、PD-L1をその表面に発現しているエクソソームを意味する。PD-L1陽性エクソソームは主として、PD-L1陽性腫瘍から放出される。その存在は、Chen G., et al. 2018. Nature. 560:382-386. 10.1038/s41586-018-0392-8に記載されている。
エクソソームは30〜120nmサイズの微小胞であり、通常、エキソサイトーシス経路を介して能動的に、血液などの体液中に分泌される。エクソソームは、主要組織適合性複合体タンパク質MHCI、MHCII)や抗原提示に関与するタンパク質に加え、多くの細胞機能に関与する膜および細胞質タンパク質を担持する。エクソソームは特定の生理的条件下で、樹状細胞、リンパ球、マスト細胞および上皮細胞のような多様な細胞タイプから分泌される。
エクソソームは細胞培養物の上清および体液を複数段階の遠心分離を行って調製される。しかし、エクソソームについての有用なインビボデータを得るための問題は、ヒト体液、特に血液検体からエクソソームを調製するための、エクソソームを得る現在利用可能な方法の効率が低レベルであることである。これらの現在直面している課題の解決法を提供するため、本発明は、体液、特にヒト血液検体からエクソソームを検出し、定量する単純で信頼のできる方法を提供する。
かかる態様では、本発明は、PD-L1陽性エクソソームの検出を抗体、好ましくはPD-L1を認識する抗体およびエクソソームを認識する抗体を利用する。さらに好ましくは、本発明の抗体を利用する方法である。具体的には、PD-L1陽性エクソソームを検出する抗体として、以下に詳述するA1-7C11、A1-7E1、A1-9F7、A1-13A11、A1-13G7、A1-14A5およびA1-14E9の中から選ばれる少なくとも1つの抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体、およびエクソソームを認識する抗体として、抗CD9モノクローナル抗体(コスモ・バイオ社製)または抗CD63モノクローナル抗体(コスモ・バイオ社製)、抗CD81モノクローナル抗体(コスモ・バイオ社製)を用いる方法である。
本発明において、「PD-L1陽性腫瘍」とは、PD-L1をその細胞表面に発現している腫瘍を意味する。PD-L1は、PD-1およびB7-1に結合し、免疫系を阻害するが、腫瘍微小環境中の多くの腫瘍細胞および免疫細胞はPD-L1を発現する。新しい研究では、乳がん、肺がん、胃がん、腸がん、腎がん、メラノーマ、非小細胞肺がん、結腸がん、膀胱がん、卵巣がん、膵がん、肝がん等のヒト腫瘍組織でPD-L1タンパク質の高発現が検出されており、PD-L1の発現レベルは、患者の臨床症状および予後と密接に相関している。また、PD-L1発現は、ヒト肺、卵巣および結腸癌ならびに様々な骨髄腫を含む多くのがんにおいて見出されており、予後不良に関連することが多いと報告されている(Iwai et al. (2002) PNAS 99:12293-7; Ohigashi et al. (2005) Clin Cancer Res 11:2947-53)。PD-L1は、抗原特異的T細胞クローンのアポトーシスを増加させることにより、腫瘍免疫における役割を果たすことが示唆され(Dong et al. (2002) Nat Med 8:793-800)、また腸管粘膜炎症に関与し得ること、そして、PD-L1の阻害は大腸炎に関連する消耗性疾患を抑制することも示唆されている(Kanai et al. (2003) J Immunol 171:4156-63)。
本発明のPD-L1陽性腫瘍を検出する方法は、PD-L1陽性エクソソームを、生物学的試料から分離することなく直接検出することを特徴とする。生物学的試料とは、体液、特に血液、血漿、血清などの血液検体を意味し、さらには腹水、脳液、骨髄、尿、糞便または気管支肺胞洗浄液であってもよい。
本発明の抗体を用いたELISAによりPD-L1陽性精製エクソソームを定量したところ、いずれも濃度依存的な測定値が得られ、これらのELISAがPD-L1陽性エクソソームの定量に適していることが示された(図4)。また、固相抗体がCD9、CD63いずれの場合においても、市販抗体よりも本発明のA1-9F7抗体を用いたほうが有意に高感度にPD-L1陽性エクソソームを検出できるELISAとなることが判明した(図6)。さらに、抗CD9抗体を固相抗体としてPD-L1陽性精製エクソソームを定量するエクソソームELISAにおいて、血清あるいは血漿の存在下における抗体とエクソソームの結合特異性を評価するために添加回収試験を行った結果、回収率が100%前後となり、本発明では、生物学的試料からPD-L1陽性エクソソームを分離することなく直接検出できることが示された(図9A、図9B)。直接検出できる系としては、生物学的試料、特に血液検体はその量が25μL以下、さらに好ましくは20μL以下、特に好ましくは10μL以下であれば、信頼できる測定値を得ることができる。特に、CD9/PD-L1 ELISAでは、検体の量が10μL以下で得られる測定値が信頼できる。当然ながら、検体は、検出レベル以上を与える量以上である必要がある。
本発明の好ましい態様において、PD-L1陽性エクソソームは、免疫沈降法によって検出できる。免疫沈降法では、可溶性の抗原と抗体が特異的に反応して不溶化することを利用し、比較的穏和な条件で抗原を検出・分離・精製することが可能である。例えば、基質と抗体を多数架橋させることによって、大きな構造体として不溶化させる。一般に、セファロースビーズなどの担体に抗体を結合させるが、磁気ビーズを使用する方法もよく行われる。モノクローナル抗体よりもポリクローナル抗体の方が免疫沈降を行いやすい。免疫沈降法では、遠心分離によって非特異的に吸着する成分を取り除いてもよい。磁気ビーズを用いる場合は、遠心分離の代わりに磁気ビーズによる分離を行う。
詳細には、PD-L1陽性エクソソームをエクソソーム特異的な抗体に接触させ、免疫沈降した複合体を形成する。そのとき、PD-L1陽性エクソソームが固定された特異的な抗体と接触すると、抗体は通常、免疫沈降した複合体を形成するために固体支持体に結合している。固体支持体は、抗体の付着または会合のための適切な部位を含むように改変できる材料である。固体支持体の材料としては、アクリル樹脂、ポリスチレン、およびスチレンと他物質とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、またはテフロンJ、ナイロン、ニトロセルロース、ポリサッカライドを含むプラスチック;シリカ、またはケイ素;および金属、無機ガラス等の物質が挙げられる。固体支持体のサイズおよび形状は、PD-L1陽性エクソソームを結合できるのであれば制限はない。固体支持体は、平面であってもよく、ウェル(穴)、すなわち364穴を有するプレートであってもよく、または固体支持体は、ビーズであってもよい。いくつかの実施形態では、固体支持体は、複数壁を有するプレートのウェルである。他の実施形態では、固体支持体は、好ましくはビーズであり、さらに好ましくは磁気ビーズである。
以下の実施例にて示しているように、本発明の抗体は、免疫沈降に利用することができ、PD-L1陽性エクソソームを、生物学的試料から分離することなく直接検出することが可能であることが実証された。また、ELISAの場合、プレートのウェルの大きさに制限があり、処理できる検体量も限定されるところ、免疫沈降では検体量に制限がなく、比較的多い検体量においてエクソソームを濃縮できることが実証された。このように、検体自身の総量が比較的多い場合であっても、その検体中のPD-L1陽性エクソソームの存在量が少なく、すなわち濃度が低い場合においても、免疫沈降を用いることで定量が可能となる利点を提供し得る。
本発明のPD-L1陽性腫瘍を検出する方法は、PD-L1陽性腫瘍を有する患者を選別する方法に応用することができ、かかる態様も本発明の範囲に入る。PD-L1陽性腫瘍を有する患者を選別する本発明の方法は、免疫チェックポイント阻害剤が奏功する患者を選別する方法に応用でき、かかる態様も本発明の範囲に入る。「免疫チェックポイント阻害剤」とは、新しいがん免疫療法に利用される抗体医薬、例えば抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体および抗CTLA-4抗体を意味し、特に、本発明においては、「免疫チェックポイント阻害剤」としては抗PD-1抗体および抗PD-L1抗体が関連する。腫瘍細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるためにPD-L1を発現し、これが免疫細胞のPD-1に結合すると、免疫細胞の働きが抑制される。抗PD-1抗体は免疫細胞のPD-1に結合し、PD-L1との結合を阻害し、抗PD-L1抗体はがん細胞が発現するPD-L1に結合し、PD-1との結合を阻害する。「免疫チェックポイント阻害剤」の市販薬の具体的には、抗PD-1抗体として小野薬品工業/米ブリストル・マイヤーズスクイブの「オプジーボ」(ニボルマブ)や米メルク(MSD)の「キートルーダ」(ペムブロリズマブ)、抗PD-L1抗体として独メルク/米ファイザーの「バベンチオ」(アベルマブ)、スイス・ロシュ/中外製薬の「テセントリク」(アテゾリズマブ)、英アストラゼネカの「イミフィンジ」(デュルバルマブ)が挙げられる。
「免疫チェックポイント阻害剤」を利用する免疫療法はがんに対する標準療法の一つとして認められる時代となっており、これらの薬剤は既存の標準療法に不応性となった難治性がんに対して長期的な治療効果を発揮し,全生存期間の延長をもたらす優れた治療法であると認められている。しかし,免疫チェックポイント阻害剤には、例えば免疫関連有害事象の発症、最適な治療レジメンの同定など、克服すべき課題も多く存在している。特に、現在の免疫チェックポイント阻害剤は単剤での奏効率が10-30%程度と不十分であるため、その治療効果をさらに向上させることを目指した複合的がん免疫療法の開発が世界中で積極的に進められている。複合的がん免疫療法は抗PD-1/PD-L1抗体との組み合わせを中心として実施されており、複数の免疫チェックポイント分子を同時に阻害する治療法、免疫チェックポイント阻害剤と免疫刺激性分子を活性化する薬剤の併用などが検討されている。また、非免疫療法との組み合わせとして、殺細胞性抗がん剤や分子標的薬、血管新生阻害剤のみならず、放射線治療と抗PD-1/PD-L1抗体の併用による臨床試験が多く実施されている。いずれにせよ、免疫チェックポイント阻害剤は単剤での奏効率が10-30%程度と不十分である理由は、PD-L1が、すべてのがん細胞において発現していないためであると考えられる。このため、患者の負担も考慮し、生検に代え、血液などの体液を使って診断や治療効果予測を行う、患者負担が軽減されるリキッドバイオプシーの開発が望まれ、本発明方法はこの要請に適う発明である。
<抗体分子>
本発明は、別の態様として、
(i)配列番号3のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号4のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号5のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに
(ii)配列番号11のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号12のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号13のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、PD-L1に結合することができる単離された抗体分子、またはその誘導体に関する。本発明において、「抗体分子」は、2本の同一の重鎖と2本の同一の軽鎖との間でジスルフィド結合により相互に結合されたテトラペプチド鎖構造の免疫グロブリン分子を意味する。抗体重鎖および軽鎖のN末端に隣接する約110個のアミノ酸配列は、高度に変化しやすく、可変領域(Fv領域)として知られている。C末端に近い残りの部分のアミノ酸配列は、相対的に安定であり、定常領域として知られている。可変領域は、3つの超可変領域(HVR)と相対的に保存された4つのフレームワーク領域(FR)を備える。3つの超可変領域は、抗体の特異性を決定し、相補性決定領域(CDR)としても知られている。各軽鎖可変領域(LCVR)および各重鎖可変領域(HCVR)は、アミノ末端からカルボキシル末端へ、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4の連続した順番で、3つのCDR領域および4つのFR領域からなる。3つの軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を指し、また3つの重鎖CDRは、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を指す。
本発明において、「単離された」とは、その本来の天然環境から単離された試料を意味する。例えば、生きている動物に存在する天然起源のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていないが、天然の系において共存する試料の一部または全部から人為的に分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。
本発明において、「抗体分子の誘導体」とは、ダイアボディおよび単鎖分子、ならびに「抗原結合断片」を意味する。「抗原結合断片」は、抗原結合活性を有するFab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、およびヒトPD-L1と結合するFv断片、scFv断片を指し、本発明で規定されている抗体における1つ以上のCDR領域を含むことができる。Fv断片は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、および定常領域を持たないすべての抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。一般に、Fv抗体は、VHおよびVLドメイン間にポリペプチドリンカーをさらに含み、抗原結合に必要な構造を形成することができる。また、異なるリンカーが、2つの抗体の可変領域を連結するのに用いられ、単鎖抗体または単鎖Fv (scFv)と名付けられたポリペプチドを形成する。本明細書では、「PD-L1と結合する」という用語は、ヒトPD-L1と相互作用する能力があることを意味する。本明細書では、本発明の「抗原結合部位」は、本発明の抗体または抗原結合断片により認識される、抗原上の不連続の3次元部位を指す。
本発明は別の態様として、配列番号1のVHアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、または配列番号1のVHアミノ酸配列と比較して1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1個のフレームワーク(FW)領域を含む重鎖可変領域を有する、本発明の抗体分子、またはその誘導体、ならびに、配列番号9のLHアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、または9のLHアミノ酸配列と比較して1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1個のフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を有する、本発明の抗体分子、またはその誘導体に関する。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(FRまたはFW)と命名されるより保存された領域が散りばめられた、「相補性決定領域」(CDR)と命名される高頻度可変性の領域へと細分することができる。
ある態様では、抗PD-L1抗体分子の軽鎖または重鎖可変フレームワークはヒトコンセンサス配列に由来する軽鎖もしくは重鎖可変フレームワーク残基の少なくとも80%、85%、87%、90%、93%、95%、97%、99%を含む軽鎖または重鎖可変フレームワークを含むことができる。
<核酸>
本発明は別の態様として、本発明の抗体分子の抗体重鎖または軽鎖可変領域をコードする単離された核酸、具体的には重鎖CDR1から3をコードする単離された核酸であって、配列番号6、7または8のヌクレオチド配列を含む核酸、または軽鎖CDR1から3をコードする単離された核酸であって、配列番号14、15または16のヌクレオチド配列を含む核酸に関する。
本発明において、用語「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」または「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用される。これらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはこれらのアナログのいずれかである、いずれかの長さのヌクレオチドのポリマー型を意味する。
別の態様として、本発明は、本発明の核酸を含む発現ベクター、および本発明のベクターを含む宿主細胞に関する。
ある態様では、ベクターは、本明細書に記載の抗体分子をコードするヌクレオチド配列を含む。ある態様では、ベクターは、本明細書に記載のヌクレオチド配列を含む。ベクターとしては、限定されないが、ウイルス、プラスミド、コスミド、ラムダファージ、または酵母人工染色体(YAC)が挙げられる。さらに、DNAが染色体に安定的に統合された細胞を、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能にする1つまたは複数のマーカーを導入することにより選択してもよい。マーカーは、栄養要求性宿主に、例えば原栄養性、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質)、または銅などの重金属への耐性を付与し得る。選択性マーカー遺伝子は、発現されるDNA配列に直接連結させてもよく、または同じ細胞に共形質転換により導入してもよい。さらに追加的なエレメントが、mRNAの最適な合成のために必要であり得る。これらのエレメントは、スプライスシグナル、転写プロモーター、エンハンサー、および終止シグナルを含んでもよい。
ある態様では、宿主細胞は抗体分子をコードする核酸を含むように遺伝子的に改変されている。ある態様では、宿主細胞は、発現カセットの使用によって遺伝子的に改変されている。表現「発現カセット」は、配列が適合する宿主において遺伝子の発現に影響を与えることのできるヌクレオチド配列を指す。そのようなカセットは、プロモーター、イントロン有りまたは無しのオープンリーディングフレーム、および終止シグナルを含んでもよい。発現を有効にするために必要なさらなる因子、例えば誘導性プロモーターを使用してもよい。細胞は、真核細胞、細菌細胞、昆虫細胞またはヒト細胞であり得る。適切な真核細胞には、限定されないが、Vero細胞、HeLa細胞、CHO細胞等が含まれる。適切な昆虫細胞としては、限定されないが、Sf9細胞が挙げられる。別の態様として、本発明は、遺伝子発現に適した条件下、本発明の宿主細胞を培養することを含む、抗体分子またはその断片を産生する方法に関する。
<検出>
本発明はさらなる態様として、
(i) 被験者から生物学的試料を入手し、
(ii) 得られた生物学的試料と、本発明の単離された抗体分子またはその誘導体とを接触させ、そして
(iii) PD-L1陽性エクソソームおよび抗体分子またはその誘導体の間の複合体の形成を検出すること
を含む、生物学的試料におけるPD-L1陽性エクソソームを検出する方法に関する。
本発明のPD-L1陽性腫瘍を検出する方法と同様、本発明のPD-L1陽性エクソソームを検出する方法は、PD-L1陽性エクソソームを、生物学的試料から分離することなく直接検出することを特徴とする。生物学的試料とは、体液、特に血液、血漿、血清を意味し、さらには腹水、脳液、骨髄、尿、糞便または気管支肺胞洗浄液であってもよい。本発明のPD-L1陽性エクソソームを検出する方法は、PD-L1陽性腫瘍を有する患者を選別する方法に応用することができ、かかる態様も本発明の範囲に入る。PD-L1陽性腫瘍を有する患者を選別する本発明の方法は、免疫チェックポイント阻害剤が奏功する患者を選別する方法に応用でき、かかる態様も本発明の範囲に入る。
PD-L1陽性エクソソームおよび抗体分子またはその誘導体の間の複合体の形成を検出する手法は、プラスチック・プレートやマグネティック・ビーズなどの担体に抗CD9抗体などのエクソソームを認識する抗体を結合させ、そこにエクソソームを含む生物学的試料を接触させることによりエクソソームを担体上の抗体に結合させ、さらにそのエクソソームにホースラディッシュペルオキシダーゼなどの標識体で標識した抗PD-L1抗体を結合させた複合体に対して発光基質を作用させて、プレートリーダなどで発光強度を検出することにより、複合体を定量するものである。
本発明は別の態様として、本発明の単離された抗体分子またはその誘導体を含む、PD-L1陽性エクソソームを定量するためのキットに関する。
本発明のキットは、次に挙げる1つまたは複数の他の要素を含むことができる:
使用説明書;他の試薬、例えば、標識、または抗体を標識するための薬剤。
本発明のキットは好ましくは、標準試薬を含有する。標準試薬としては、例えば、配列番号19に示すアミノ酸配列を有するヒトPD-L1およびヒトCD9タンパクの融合タンパク質、および配列番号21に示すアミノ酸配列を有するヒトPD-L1およびヒトCD63の融合タンパク質を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により、詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでなく、単なる例示であることに留意すべきである。
実施例1
抗PD-L1モノクローナル抗体の調製
1−1:抗原の調製
米国立生物工学情報センターのデータベースにアクセッション番号BC069381で登録されたヒトPD-L1タンパクの細胞外領域のMet1-Thr239のカルボキシル末端側にウサギ免疫グロブリンのFc領域を接続したcDNA(配列番号17)を合成し、発現ベクターpD603(ATUM社製)におけるサイトメガロウイルスのプロモーター下流に組み込んだ。FreeStyle 293 Expression System(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製)によりこのプラスミドを293-6E細胞に導入して一過的に発現させた後、Monofinity A Resin Prepacked Column(ジェンスクリプト社製)を用いて純度約95%まで精製することにより、PD-L1のFc融合タンパク質としてPD-L1抗原を調製した。
参考までに、PD-L1における細胞外ドメインのほか、膜貫通ドメインと細胞内ドメインも含まれるPD-L1の全長DNA配列を、配列番号18に示す。
1−2:モノクローナル抗体の調製
PD-L1のFc融合タンパク質を、初回免疫には完全フロイント・アジュバント(ベクトン・ディッキンソン社製)と、2回目以降は不完全フロイント・アジュバント(ベクトン・ディッキンソン社製)と等量混和することにより、免疫原としての乳剤を調製した。
モノクローナル抗体は、K.Watanabe et al., Vasohibin as an endothelium-drived negative feedback regulator of angiogenesis, J. Clin. Inves. 114(2004), 898-907に記載されている方法で作製した。即ち、5週齢の雌A/J系マウスに、投与1回につき、一匹あたり100μgのFc融合タンパク質を皮下と腹腔内に等量に分けて投与した。その後、6回目の免疫後に、最終のブースター(細胞融合の4日前)を行ったマウスより脾臓を摘出し、脾細胞を調製した。脾細胞とミエローマ細胞(P3U1)との細胞融合は、K.Watanabe et al., Vasohibin as an endothelium-drived negative feedback regulator of angiogenesis, J. Clin. Inves. 114(2004), 898-907に記載されている方法で行った。
1−3:モノクローナル抗体の評価
抗血清とハイブリドーマ上清の抗体価の評価(1次評価)は下記に記述するELISA法にて行った。即ち、ヤギ抗マウスIgG抗体を固相した96穴マイクロプレートに、抗血清またはハイブリドーマ上清を添加し、さらにビオチン・ラベリング・キット(Dojindo社製)によりビオチン化したPD-L1タンパク質とユーロピウム標識ストレプトアビジン(パーキンエルマー社製)を混合攪拌後、室温で2時間反応させた。反応後、洗浄液(0.01%Tween20と0.1%ProClin150を含む生理食塩水)にて3回洗浄し、100μl増強試薬(Delfia Enhancement Solution, パーキンエルマー社製)を加え、5分間撹拌した。時間分解蛍光強度をNivo (Perkin Elmer社製)にて測定し、抗血清やハイブリドーマを未添加の場合に得られるシグナルの3倍を超えるシグナル強度を示す場合を陽性と判断し、7クローンの抗体を選択した(表1)。
表1:選択した抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体
Figure 2021048836
実施例2
抗PD-L1モノクローナル抗体のPD-L1陽性エクソソームとの反応性の確認:2次評価(エクソソームELISA)
2−1:PD-L1陽性エクソソームの調製
ヒトPD-L1の全領域をコードしHisタグを付加したcDNAを全合成し(ユーロフィンジェノミクス社に委託)、発現ベクターpD603(ATUM社製)に挿入したものをHEK293細胞株に GenePORTER Gold トランスフェクション試薬(コスモ・バイオ社製)により導入し、1mg/mL G418存在下で複数の安定導入株を選択した。これらの細胞株の抽出液を調製し、抗Hisタグ抗体(プロテインテック社製)を用いたウェスタンブロット法により、安定導入株の中から導入遺伝子の発現量が高い細胞株を選択し(図1A)、その細胞株を150mm径の培養皿10枚まで拡大培養して無血清培地(Advanced DMEM,サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製)による培養液から超遠心法(4℃で100,000 ×gにて70分遠心)によりエクソソームを調製し、エクソソーム上にPD-L1を多く発現している細胞株(クローン番号8)を確認した(図1B)。この細胞株より調製したPD-L1陽性エクソソームを以下のELISA構築に供した。
2−2:サンドイッチELISAの構築
実施例1−3で調製した抗PD-L1モノクローナル抗体7クローンと抗CD9モノクローナル抗体(コスモ・バイオ社製)、および抗CD63モノクローナル抗体(コスモ・バイオ社製)を用い、PD-L1を発現しているエクソソームを定量するためのサンドイッチELISA測定系を構築した(図2)。
詳細には、まず、抗CD9モノクローナル抗体および抗CD63モノクローナル抗体を固相した96穴マイクロプレートを調製した。トリス塩酸緩衝液にて5μg/mLに調製した各抗体溶液を、96穴マイクロプレートに100μL/ウェルずつ添加し、終夜反応させた。その後、反応液を除き、洗浄液(0.01%Tween20と0.1%ProClin150を含むリン酸緩衝生理食塩水)で1回洗浄後、2%ブロックエース(大日本住友製薬社製)を200μL/ウェルずつ添加し、4℃で終夜放置することによりブロッキングを行った。一方、表1に示した全ての抗体について、20倍モル量のSulfo-NHS-LC-Biotin(サーモフィッシャー社製)と室温で2時間反応し、PD-10カラム(GEヘルスケア社製)でゲル濾過することにより、標識抗体を調製した。
抗体が固相されたプレートにPD-L1陽性エクソソーム(10μg/mL)100μLを添加し撹拌後、室温で2時間反応した。その後、反応液を除き、上記洗浄液で3回洗浄後、1μg/mLの上記で調製した標識抗体100μLを添加し、攪拌後室温で2時間反応させた。3回洗浄後、HRP(Horseradish Peroxidase)標識ストレプトアビジン(R&D社製)を100μL添加し、室温で20分間反応させた。同様に3回洗浄後、TMB溶液(Colorburst Blue, ALerCHEK社製)を100μL添加し、室温で20分間反応させた。そこに、2N硫酸を50μL添加して反応を停止し、各ウェルの450nmにおける吸光度を測定した(図3)。その結果、7種類の抗PD-L1抗体のうちクローンA1-9F7を標識抗体として用いると、固相抗体が抗CD9、抗CD63いずれの抗体の場合でももっとも強いシグナルが検出されることが判明した。
2−3:ELISA測定値のエクソソーム濃度依存性
抗CD9モノクローナル抗体(コスモ・バイオ社製)および抗CD63モノクローナル抗体(コスモ・バイオ社製)を固相抗体、実施例1−3で調製し実施例2−2で選別した抗PD-L1モノクローナル抗体(クローンA1-9F7)を標識抗体としたELISA測定系で、クローン番号8の細胞株の培養上清より超遠心法(4℃で100,000 ×gにて70分遠心)で調製した0、0.3125、0.625、1.25、2.5、5.0、10μg/mLのPD-L1陽性精製エクソソームを定量したところ、いずれも濃度依存的な測定値が得られ、これらのELISAがPD-L1陽性エクソソームの定量に適していることが示された(図4)。
2−4:標準試薬
精製エクソソームは保存安定性が低いため、検量線を描く際に使用する標準試薬としてそのまま用いた場合、異なる試験で同一の標準曲線を得ることが困難であるため、キットのロット間差やテスト間差の補正に用いることはできない。そのため、検量線を描く際の標準試薬は保存安定性の高い精製組換えタンパク質であることが望ましい。
このような理由から、PD-L1陽性エクソソームELISAの標準試薬としてCD9あるいはCD63の細胞外領域とPD-L1の細胞外領域とを融合させた組換えタンパク質を作製した。即ち、ヒトPD-L1のMet1からArg258のカルボキシル末端側にヒトCD9タンパクのGly110からPhe193あるいはヒトCD63タンパクのAla103からLeu204までの配列Hisタグに接続させた融合タンパクをコードするcDNAを発現ベクターpD603に挿入したプラスミドを構築し、HEK293細胞に導入して一過的に強制発現させ、細胞から分泌されたPD-L1/CD9あるいはPD-L1/CD63融合タンパクをHis Mag Sepharose excel(GE Healthcare Life Sciences社製)により精製した。これらの融合タンパクを0、0.625、1.25、2.5、5.0、10および20ng/mLの濃度で、抗CD9モノクローナル抗体あるいは抗CD63モノクローナル抗体を固相抗体、抗PD-L1モノクローナル抗体(クローンA1-9F7)を標識抗体としたELISA測定系で測定したところ、いずれも濃度依存的な測定値が得られ、これらの融合タンパクが測定系の標準試薬として使用できることが示された(図5)。ヒトPD-L1のMet1からArg258のカルボキシル末端側にヒトCD9タンパクのGly110からPhe193を接続した融合タンパク質のアミノ酸配列およびDNA配列をそれぞれ、配列番号19および20に示す。また、ヒトPD-L1のMet1からArg258のカルボキシル末端側にヒトCD63タンパクのAla103からLeu204を接続した融合タンパク質のアミノ酸配列およびDNA配列をそれぞれ、配列番号21および22に示す。
2−5:本発明抗体と市販の抗体との性能比較
実施例1−3に記載のようにして調製した抗PD-L1モノクローナル抗体(クローンA1-9F7)について、Chen G., Huang A.C., Zhang W., Zhang G., Wu M., Xu W., Yu Z., Yang J., Wang B., Sun H., et al. 2018. Exosomal PD-L1 contributes to immunosuppression and is associated with anti-PD-1 response. Nature. 560:382-386. 10.1038/s41586-018-0392-8において標識抗体として使用されている、商業的に入手可能な抗PD-L1モノクローナル抗体(クローンMIH5、Invitrogen社製)との性能を比較した。すなわち、これら2種類のモノクローナル抗体をビオチンラベルしたものを標識抗体、抗CD9抗体(コスモ・バイオ社製)あるいは抗CD63抗体(コスモ・バイオ社製)を固相抗体としてPD-L1陽性精製エクソソームを定量するエクソソームELISAにおいて、得られた検量線の傾きからそれぞれの検出系の感度を比較した。その結果、固相抗体がCD9、CD63いずれの場合においても、市販抗体よりも本発明のA1-9F7抗体を用いたほうが有意に強いシグナルが得られ、2倍以上高感度にPD-L1陽性エクソソームを検出できるELISAとなることが判明した(図6)。
実施例3
PD-L1陽性エクソソームの検出に用いるモノクローナル抗体A1-9F7の構造解析
PD-L1陽性エクソソームを検出するELISAにおいてもっとも高い反応性を示した抗PD-L1モノクローナル抗体(クローンA1-9F7)のVH鎖可変領域およびVL鎖可変領域の構造解析をRepertoire Genesis株式会社のバイオインフォマティクス解析システムにより行った。すなわち、クローンA1-9F7のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから抽出したメッセンジャーRNAを鋳型にしてcDNAを合成し、次世代シーケンサーによりVH鎖可変領域およびVL鎖可変領域の遺伝子配列を決定し、それぞれの配列をアミノ酸配列に置換した(VH鎖可変領域:図7、配列番号1および配列番号2、VL鎖可変領域:図8、配列番号9および配列番号10)。
実施例4
ELISAにおける添加回収試験
抗CD9抗体を固相抗体としてPD-L1陽性精製エクソソームを定量するエクソソームELISAにおいて、血清あるいは血漿の存在下における抗体とエクソソームの結合特異性を評価するために添加回収試験を行った。具体的には、抗CD9抗体(コスモ・バイオ社製)を固相したELISAにヒト由来プール血清(コスモ・バイオ社製)をウェルあたり0、2.5、5、10、25、50μLとPD-L1陽性エクソソームを濃度が2、6、16μg/mLになるように加えて測定し、血清0μL(無添加)時に得られたシグナルに対して各濃度の血清を加えた際に得られたシグナルの割合(回収率)を求めた。また、ヒトプール血漿(コスモ・バイオ社製)についても同様に割合を求めた。その結果、血清では添加量が10μL以下の場合に回収率が83.5〜113.4%と良好な成績であった(図9A)。血漿の場合でも添加量が10μL以下の場合に回収率が92.3〜107.5%と良好であった(図9B)。
実施例5
免疫沈降によるエクソソームの濃縮
5−1:抗CD9抗体固相磁性ビーズの調製
抗CD9抗体(クローン12A12、コスモ・バイオ社製)100μgをアミノ基ビオチン標識試薬(サーモフィッシャー社製)と室温で2時間反応し、ビオチン化した。ストレプトアビジン固相磁性ビーズ(多摩川精機社製)1mgにビオチン化抗体を加え、PBS中、4℃で1時間結合反応を行い、10mM HEPES-NaOH (pH 7.9), 50mM KCl, 1mM EDTA, 10% glycerolで洗浄後、同液中で0.1 mg/20 μLの濃度で保存した。
5−2:肺がん細胞株PC9の培養上清中のエクソソームの免疫沈降
ヒト肺がん細胞株PC9(東京慈恵会医科大学より譲受)をサブコンフルエントな状態までダルベッコ変法イーグル培地に10%牛胎児血清を加えた培養液中で培養し、100nM ヒトγインターフェロンを加えてPD-L1の発現を誘導(Predictive Markers for the Efficacy of Anti-PD-1/PD-L1 Antibodies in Lung Cancer. J Thorac Oncol. 2016 Jul; 11(7): 976-88.)しながらさらに2日培養した培養液を回収し、対照として、γインターフェロンを加えない培地での培養液も回収した。これらの培養液1mLに0.1%ポリオキシエチレン10ノエルフェニルエーテル存在下、20mM HEPES-NaOH (pH 7.9)、150mM KCl、1mM MgCl、0.2mM CaCl、0.2mM EDTA、10% グリセロールで洗浄・懸濁した、実施例5−1で調製した抗CD9抗体固相磁性ビーズ50μg/10μLを加え、4℃にて終夜回転混和した。次いで、ビーズを磁気分離し、同液で3回洗浄、50μLに懸濁した。また、ブランク試料として細胞に加える前の培養液1mLにも同様の処理を行った。
5−3:免疫沈降したエクソソーム上のPD-L1の検出
実施例1−3で調製し実施例2−2で選別した抗PD-L1抗体(クローンA1-9F7)200μgにペルオキシダーゼ標識キット(同仁化学社製)を用いてHRP標識し、標識抗体を調製した。免疫沈降と同一の液で2μg/mLに希釈した標識抗体50μLを等量の免疫沈降させたビーズに加え、室温で2時間反応後、ビーズを磁気分離し、同液で4回洗浄した。HRP基質液(モス社製)100μLの添加による発色を確認後、磁気分離でビーズを除去した液に2N硫酸50μLを添加し、波長450nmの吸光度を測定した。得られた測定値(B)からブランク試料の測定値(B(0))を差し引いた値(B-B(0))を求めたところ、γインターフェロンでPD-L1の発現を誘導した試料では、誘導していない試料に比べて有意に高い値が得られた(図10左)。このことは、免疫沈降は、本実施例の検体について、PD-L1陽性エクソソームの存在・非存在を区別できることを示している。
同じ試料100μLについて、抗CD9抗体(クローン12A12、コスモ・バイオ社製)を固相、抗PD-L1抗体(クローンA1-9F7)をHRP標識抗体としたELISA(実施例2のサンドイッチELISA)で測定したところ、γインターフェロンの存在・非存在による測定値、すなわちPD-L1陽性エクソソームの存在・非存在を示す測定値にほとんど差が見られなかった(図10右)。このことは、免疫沈降ではPD-L1陽性エクソソームの存在・非存在が区別できた試料について、ELISAは適用できないことを示している。
上記の通り、本実施例では、同一試料を用いて免疫沈降およびELISAの定量可能性を比較した。結果、免疫沈降を用いることで、PD-L1陽性エクソソームの発現量が少ない試料であっても、検出が可能であることが判明した。

Claims (20)

  1. PD-L1をその表面に発現しているPD-L1陽性エクソソームを、生物学的試料から分離することなく直接検出することを特徴とする、PD-L1陽性腫瘍を検出する方法。
  2. PD-L1陽性エクソソームの検出を、抗体を用いて行う請求項1記載の方法。
  3. 抗体が、PD-L1を認識する抗体、およびエクソソームを認識する抗体である、請求項2記載の方法。
  4. 検出を、免疫沈降によって行う、請求項1から3のいずれか記載の方法。
  5. 請求項1から4のいずれか記載の方法によって、PD-L1陽性腫瘍を有する患者を選別する方法。
  6. 請求項5記載の方法によって、免疫チェックポイント阻害剤が奏功する患者を選別する方法。
  7. (i)配列番号3のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号4のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号5のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに
    (ii)配列番号11のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号12のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号13のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含む、PD-L1に結合することができる単離された抗体分子、またはその誘導体。
  8. 配列番号1のVHアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、または配列番号1のVHアミノ酸配列と比較して1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1個のフレームワーク(FW)領域を含む重鎖可変領域を有する、請求項7記載の抗体分子、またはその誘導体。
  9. 配列番号9のVLアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、または9のVLアミノ酸配列と比較して1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1個のフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を有する、請求項7または8記載の抗体分子、またはその誘導体。
  10. Fab、F(ab')、Fvまたは単鎖Fv断片(scFv)である、請求項7から9のいずれか記載の抗体分子の誘導体。
  11. 請求項7から10のいずれか記載の抗体分子の抗体重鎖または軽鎖可変領域をコードする単離された核酸。
  12. 重鎖CDR1から3をコードする単離された核酸であって、配列番号6、7または8のヌクレオチド配列を含む核酸。
  13. 軽鎖CDR1から3をコードする単離された核酸であって、配列番号14、15または16のヌクレオチド配列を含む核酸。
  14. 請求項11から13のいずれか記載の核酸を含む発現ベクター。
  15. 請求項14記載のベクターを含む宿主細胞。
  16. 遺伝子発現に適した条件下、請求項14記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体分子またはその断片を産生する方法。
  17. (i) 被験者から生物学的試料を入手し、
    (ii) 得られた生物学的試料と、請求項6から9のいずれか記載の単離された抗体分子またはその誘導体とを接触させ、そして
    (iii) PD-L1陽性エクソソームおよび抗体分子またはその誘導体の間の複合体の形成を検出すること
    を含む、生物学的試料におけるPD-L1陽性エクソソームを検出する方法。
  18. 請求項17記載の方法によって、PD-L1陽性エクソソームが検出される患者を選別することを特徴とする、免疫チェックポイント阻害剤が奏功する患者を選別する方法。
  19. 請求項7から10のいずれか記載の単離された抗体分子またはその誘導体を含む、PD-L1陽性エクソソームを定量するためのキット。
  20. 配列番号19に示すアミノ酸配列を有するヒトPD-L1およびヒトCD9タンパクの融合タンパク質、または配列番号21に示すアミノ酸配列を有するヒトPD-L1およびヒトCD63の融合タンパク質を標準試薬としてさらに含有する、請求項19記載のキット。
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