JP2021046596A - 高濃度浸炭歯車部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】長寿命な建設機械用の歯車部品を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の高濃度浸炭歯車部品は、C:0.10質量%以上0.40質量%以下、Si:0.05質量%以上0.80質量%以下、Mn:0.35質量%以上1.2質量%以下、Cr:0.50質量%以上2.0質量%以下、Mo:0.05質量%以上0.60質量%以下、Al:0.005質量%以上0.05質量%以下、及びN:0.005質量%以上0.025質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼にて母材が構成され、ビッカース硬度が513Hv以上である表面からの深さが1.0mm以上であり、表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積率が10%以上35%以下であり、かつ表面の算術平均粗さRzが5.0μm以下である部分を含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、高濃度浸炭歯車部品に関する。
建設機械の走行減速機においては、製造工程の合理化やコンポーネント小型化のニーズがある。これにより、歯車一個当たりの繰り返し負荷が増大することになるため、歯車の疲労寿命を向上できる高強度化技術が必要である。
歯車は、歯車同士が接触する歯面での面疲労寿命と、曲げ応力が加わる歯元部分での曲げ疲労寿命を向上させるため、表面硬化処理の一種であるガス浸炭処理を適用している。しかし、現行のガス浸炭処理では、さらなる長寿命化は困難である。さらに、一部の歯車では形状修整を目的とした歯研工程が実施されている。この歯研工程において摺動性能を向上させるために皮膜処理が行われるが、この皮膜処理による製造コストの増大が課題であった。
例えば、特許文献1では、過共析浸炭焼入れ焼戻し処理、すなわち、高濃度浸炭を施した後、歯面を研削し、さらにショットピーニングを施し、さらに歯面研削処理を行うに際して、ピッチ点における研削量を0.2mm以下、研削後の歯面粗さをRaで0.5μm以下とし、表層における炭化物の平均粒径を1μm以下、炭化物の面積率を5%以上とすることで、ピッティング、スコーリング、スポーリングといった歯面損傷を防止し、優れた面疲労強度を備えた歯車を提供している。
特開2002−309318号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、歯車製造の全工程に長時間を要するため、処理コストが増大するという問題があった。さらに、炭化物の面積率が5%以上という広い範囲には、疲労寿命の向上に適切でない炭化物量も含まれており、期待される疲労寿命の向上を建設機械用の歯車で得ることは困難であった。
そこで本発明は、長寿命な建設機械用の歯車部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の高濃度浸炭歯車部品は、C:0.10質量%以上0.40質量%以下、Si:0.05質量%以上0.80質量%以下、Mn:0.35質量%以上1.2質量%以下、Cr:0.50質量%以上2.0質量%以下、Mo:0.05質量%以上0.60質量%以下、Al:0.005質量%以上0.05質量%以下、及びN:0.005質量%以上0.025質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼にて母材が構成され、ビッカース硬度が513Hv以上である表面からの深さが1.0mm以上であり、表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積率が10%以上35%以下であり、かつ表面の算術平均粗さRzが5.0μm以下である部分を含むことを特徴とする。
本発明によれば、長寿命な建設機械用の歯車部品を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施形態に係る高濃度浸炭歯車部品の製造工程の流れを示す図である。 本発明の実施形態に係る高濃度浸炭処理工程の概要を示す図である。 実施例及び比較例における回転曲げ疲労試験及び面疲労試験の試験片の形状を示す図である。 実施例及び比較例における高濃度浸炭処理工程の概要を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る建設機械用の高濃度浸炭歯車部品の実施の形態について説明する。なお、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
<成分>
本実施形態に係る高濃度浸炭歯車部品の母材となる鋼の成分組成について説明する。
C:0.10質量%以上0.40質量%以下
Cは浸炭によって強化することができない内部の強度(内部硬さ)を確保するために必要な元素であり、0.10質量%以上含有させる必要がある。しかし、0.40質量%を超えて含有させると、内部の靭性が劣化し、さらには被削性が低下する。また、浸炭熱処理工程の昇温過程での逆変態完了時におけるオーステナイト平均粒径が微細化し粗大結晶粒の発生を助長するため、上限を0.40質量%とする。
Si:0.05質量%以上0.80質量%以下
Siは、鋼の製造時に脱酸のために必要な元素であり、最低でも0.05質量%以上の含有が必要である。しかしながら、Siは浸炭処理時、浸炭雰囲気中の酸素と反応して酸化物を形成する。このため被処理品の表層付近は焼入性が低下し、いわゆる浸炭異常層を形成する。したがって、Siを多量に含有させると浸炭異常層の生成による悪影響が大きくなって強度が低下するとともに、被削性が低下するので、上限を0.80質量%とする。
Mn:0.35質量%以上1.2質量%以下
Mnは、焼入性を高め、部品の内部まで強度を確保するのに必要な元素であり、0.35質量%以上のMnを含有する必要がある。しかしながら、多量に含有させると、残留オーステナイトが増加して、硬さが低下し、内部の靭性が劣化するとともに、被削性が低下する。さらに、Mn量の増加に伴いA3変態温度が低下し、逆変態完了時のオーステナイト平均粒径が微細化し粗大結晶粒の発生を助長するため、上限を1.2質量%とする。
Cr:0.50質量%以上2.0質量%以下
Crは、焼入性を向上させ、必要な強度を確保し、製造した鋼の性能を向上させるために必要な元素であり、0.50質量%以上の含有が必要である。しかしながら、多量に含有させると靭性が劣化するとともに被削性が低下するため、上限を2.0質量%とする。
Mo:0.05質量%以上0.60質量%以下
Moは、焼入れ性を向上させるのに有効な元素である。このため、部品の大きさ及び形状や、浸炭後の焼入れ方法に応じて、0.05質量%以上のMoを含有させることが好ましい。しかしながら、これらの元素を過剰に含有させるとコストが大幅に上昇してしまうので、上限を0.60質量%とすることが好ましい。
Al:0.005質量%以上0.05質量%以下
Alは、Siと同様に脱酸に必要な元素であるとともに、AlNとして存在し、ピン止め効果により浸炭処理後の粗大結晶粒発生の防止に効果のある元素である。AlNは、加熱を含む熱間加工、焼なまし、焼ならし、浸炭熱処理工程において固溶もしくは凝集し、析出量と析出形態が変化する特性を有する。Al量が0.005質量%未満であって少量過ぎる場合は、適正なピン止め効果が得られずオーステナイト結晶粒が過剰に成長し、異常粒成長の抑制効果が得られない。最低でも脱酸に必要な量を添加する必要があるため下限を0.005質量%とする。一方、Al量が0.05質量%より多い場合は、鋳造工程で生成した凝固偏析部において粗大なAlNが析出し、これが浸炭熱処理工程の前工程においても固溶しきらない。このため、AlN析出分散形態が不均一となり、浸炭熱処理工程の昇温過程においてオーステナイト結晶粒を適正な粒径に調整する効果が得られず、粗大結晶粒長の抑制効果が得られない。以上のことから、上限を0.05質量%とする。
N:0.005質量%以上0.025質量%以下
Nは、上述の通り、AlやNbと結合し、AlNやNb(C、N)となって鋼中に存在し、浸炭処理時に起きる粗大結晶粒を防止するために効果のある元素である。この効果を十分に得るためには、0.005質量%以上のNを含有させる必要がある。しかしながら、AlN析出量には適量があり、多過ぎると浸炭初期粒径が細かくなり、かえって粗大結晶粒が起き易くなってしまうため、上限を0.025質量%とする。
<製造方法>
本実施形態に係る高濃度浸炭歯車部品は、図1に示す製造工程を経て製造することができる。まず、上記した成分組成の素材鋼を、歯車部品としてその後の歯切り工程の加工代を含む必要な寸法に整形するため、適宜熱間鍛造を施した後、加工組織と加工歪の影響除去を目的とした焼ならしを施し、歯車形状に歯切りし、高濃度浸炭と焼戻しによって表面硬化を行った後に、歯面を研削することで炭化物の突起を含む表面の粗さを除去し疲労き裂の発生を抑制する。これにより、本実施形態に係る歯車部品は、建設機械用の減速機等の駆動系機器に組み込まれて使用される際にも、繰り返し高負荷に対して長寿命であり高い信頼性を実現できる。
高濃度浸炭及びその後の歯面研削(歯研)工程後の、表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積率は、10%以上35%以下であることが望ましく、より望ましくは15%以上30%以下であり、さらに望ましくは17.5%以上25%以下である。この望ましい炭化物の面積率の範囲内であれば、硬質な炭化物による歯車表面の強化が十分であり疲労寿命の向上が実現可能である。なお、本明細書において、「表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積率」とは、歯車を回転軸と垂直な面で切断した断面において、表面から法線方向に向かって内部に25μmの縦一辺と、法線方向と垂直方向に25μmの横一辺とからなる正方形領域中に存在する炭化物の総断面積を正方形領域を分母として百分率として表したものである。
また、炭化物の面積率が上記範囲内であり、かつ、表面から25μ深さまでの範囲における炭化物の面積が10.0μmを超える粗大な炭化物の数密度が0.005個/μm未満であり、より望ましくは0.004個/μm未満であり、さらに望ましくは0.003個/μm未満であれば、繰り返し高負荷において、炭化物と母相境界での応力集中疲労破壊によるき裂発生を抑制でき、この効果は上記の定義による粗大炭化物の数密度が低いほど大きくなる。
図2には、本実施形態に係る歯車部品の製造過程における高濃度浸炭条件の例を示している。高濃度浸炭処理は、大きく2つの工程から構成される。一つ目の工程、すなわち一次浸炭工程では、温度980℃〜1050℃の範囲内に適宜設定し、歯車部品を均熱した後、アセチレン等の炭化水素系ガスを一定時間断続的に導入することで、材料表面から内部に炭素導入し拡散させ、炭素による固溶強化と焼入れ性向上によるマルテンサイト及びベイナイト変態強化を建設機械用の歯車として必要とされる深さ1mm以上に到達させる。この深さを実現するために、処理時間は最小で2時間、最大で9時間程度とすることが好ましい。また、必要に応じて、処理中に処理温度を適宜変化させることができる。さらに、一次浸炭工程後の表面では、高濃度浸炭後に歯面研削を行った表面においても上記の炭化物の面積率と粗大炭化物数密度の条件が満たされるような炭素濃度とすることが必要であり、この炭素濃度は温度に依存するが、1.0〜1.6質量%であることが望ましい。より望ましくは1.1〜1.55質量%、さらに望ましくは1.2〜1.5質量%である。また、一次浸炭後の冷却速度は、冷却中に上記の炭素濃度を過飽和状態で維持し、かつ次の二次浸炭工程において粗大炭化物となり得るような炭化物が形成しない冷却速度であれば特に限定されない。
二つ目の工程、すなわち二次浸炭工程では、温度820℃〜900℃の範囲内に適宜設定し、歯車部品を均熱した後、アセチレン等の炭化水素系ガスを一定時間断続的に導入することで材料表面から内部に炭素導入し拡散させ、一次浸炭後の冷却と、二次浸炭工程での加熱及び均熱過程で形成した炭化物の核を中心に、疲労寿命向上に必要な炭化物を上記の面積率と粗大炭化物数密度の範囲内になるよう制御する。また、この際、一次浸炭後の過飽和炭素濃度によって得られる炭化物が、上記の炭化物の面積率及び粗大炭化物数密度の条件を実現できるのであれば、二次浸炭工程においてアセチレン等を導入しなくてもよい。上記の炭化物の面積率と粗大炭化物数密度の条件を満たすためには、二次浸炭工程の処理時間は最小で1時間、最大で14時間程度必要である。また、組織を制御するため、必要に応じて、処理中に温度を適宜変化させてもよく、冷却加熱過程を適宜追加してもよい。
高濃度浸炭後の焼戻し工程では、温度を150℃から250℃の範囲内に適宜設定し、歯車部品を均熱する。この際、歯車部品が均熱されれば処理時間は特に限定されず、また、冷却の方法も特に限定されるものではない。
高濃度浸炭後の歯研工程では、歯研を行った表面における算術平均粗さRzが5.0μm以下であれば、研削条件は特に限定されない。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。
歯車部品としての寿命評価は、歯面と歯元での各種疲労を模擬した要素試験により評価した。歯面における面疲労寿命評価にはローラーピッチング試験、歯元における曲げ疲労寿命評価には回転曲げ疲労試験を実施した。各種疲労試験片は、表1に示す成分の組成を溶解し、熱間圧延した棒材について、焼ならしを行い、試験片形状に加工し、高濃度浸炭、焼戻し、さらに適宜深さになるよう研削を行うことによって作製した。
Figure 2021046596
ローラーピッチング試験片の形状は、図3に示すとおりである。本発明の高濃度浸炭歯車部品に対応する試験片は図3(a)のローラーであり、相手材のガス浸炭材は図3(b)のローラーである。試験条件は、油温70℃の減速機潤滑油を用い、すべり率42.9%、ヘルツ面圧4.0GPaとした。疲労寿命の判定は、ピッチング損傷が発生した繰り返し数とした。
回転曲げ疲労試験片の形状は、図3(c)に示すとおりである。疲労限応力を取得するため、重りを適宜変化させて評価した。有限疲労寿命は破断した繰り返し数とし、10回で破断しない応力を疲労限応力とした。
表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積率、及び粗大炭化物(表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積が10.0μmを超える炭化物)の数密度は、まず、高濃度浸炭歯車部品に対応する試験片の表面に対し、80℃に加熱したピクリン酸ソーダ中で20分エッチングを行って炭化物のみを黒く現出させ、画像解析ソフトを使用することにより算出した。硬さの評価は、試験片を切断し、そのの切断面において、表面から深さ方向に沿ってビッカース硬度計により硬度を測定することによって行った。ビッカース硬さが513Hv以上となる深さを有効硬化深さとした。
<実施例1>
鋼種をAとし、図4(a)の高濃度浸炭処理条件で処理し、一次浸炭処理後の表面炭素濃度を浸炭ガスであるアセチレンの導入時間を調整することで1.5質量%に制御し、その後、二次浸炭処理を実施した。続いて、50μm研削を実施した後、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<実施例2>
鋼種をBに変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で試験片を作製し、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<実施例3>
鋼種をCに変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で試験片を作製し、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<実施例4>
鋼種をBとし、図4(b)の高濃度浸炭処理条件で処理し、一次浸炭処理後の表面炭素濃度を浸炭ガスであるアセチレンの導入時間を調整することで1.1質量%に制御し、その後、二次浸炭処理を実施した。続いて、50μm研削を実施した後、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<実施例5>
鋼種をBとし、図4(c)の高濃度浸炭処理条件で処理し、一次浸炭処理後の表面炭素濃度を浸炭ガスであるアセチレンの導入時間を調整することで1.5質量%に制御し、その後、二次浸炭処理を、浸炭ガスであるアセチレンを導入しない方法により実施した。続いて、50μm研削を実施した後、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<実施例6>
図4(d)の高濃度浸炭処理条件で処理した以外は、実施例5と同じ条件で試験片を作製し、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<実施例7>
研削深さを100μmとした以外は、実施例2と同じ条件で試験片を作製し、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<実施例8>
研削深さを200μmとした以外は、実施例2と同じ条件で試験片を作製し、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<比較例1>
鋼種をBとし、図4(a)の高濃度浸炭処理条件で処理し、一次浸炭処理後の表面炭素濃度を浸炭ガスであるアセチレンの導入時間を調整することで1.1質量%に制御し、その後、二次浸炭処理を実施した。続いて、研削深さ50μmで研削を行い、表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積率を7.5%になるよう制御した試験片を作製した。この試験片について、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<比較例2>
鋼種をBとし、図4(a)の高濃度浸炭処理条件で処理し、一次浸炭処理後の表面炭素濃度を浸炭ガスであるアセチレンの導入時間を調整することで1.5質量%に制御し、その後、二次浸炭処理においては、浸炭ガスであるアセチレンの導入時間を実施例2よりも過剰にした。続いて、研削深さ50μmで研削を行い、試験片を作製した。この試験片について、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<比較例3>
鋼種をBとし、図4(a)の高濃度浸炭処理条件で処理し、一次浸炭処理後の表面炭素濃度を浸炭ガスであるアセチレンの導入時間を調整することで1.7質量%に制御し、その後、二次浸炭処理を実施した。続いて、研削深さ50μmの研削を行い、試験片を作製した。この試験片について、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
<比較例4>
鋼種をBとし、図4(a)の高濃度浸炭処理条件で処理し、一次浸炭処理後の表面炭素濃度を浸炭ガスであるアセチレンの導入時間を調整することで1.5質量%に制御し、その後、二次浸炭処理を実施した。続いて、研削深さ50μmの研削を実施し、その際に表面の算術平均粗さRzが5.0μmより大きくなるように制御し、試験片を作製した。この試験片について、回転曲げ疲労試験及び面疲労試験を実施した。
実施例1〜8及び比較例1〜4についての試験結果を表2に示す。
Figure 2021046596
表2から明らかなように、実施例1〜8による試験片の疲労寿命は、従来のガス浸炭品の疲労寿命に対する比として一倍以上であることが確認された。また、面疲労寿命については、炭化物の面積率を適切に制御することによって従来比5倍以上の寿命を実現することも確認された。これにより、長寿命の建設機械用の歯車部品を提供できることが明らかとなった。
一方、各比較例では、曲げ疲労と面疲労寿命の両方が従来のガス浸炭品に対する比率として一倍以上であるものが確認できず、歯車部品として成立しないことが確認された。

Claims (4)

  1. C:0.10質量%以上0.40質量%以下、Si:0.05質量%以上0.80質量%以下、Mn:0.35質量%以上1.2質量%以下、Cr:0.50質量%以上2.0質量%以下、Mo:0.05質量%以上0.60質量%以下、Al:0.005質量%以上0.05質量%以下、及びN:0.005質量%以上0.025質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼にて母材が構成され、ビッカース硬度が513Hv以上である表面からの深さが1.0mm以上であり、表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積率が10%以上35%以下であり、かつ表面の算術平均粗さRzが5.0μm以下である部分を含む高濃度浸炭歯車部品。
  2. 表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積率が、15%以上30%以下である請求項1に記載の高濃度浸炭歯車部品。
  3. 表面から25μm深さまでの範囲における炭化物の面積が10.0μmを超える炭化物の数密度が、0.005個/μm未満である請求項1に記載の高濃度浸炭歯車部品。
  4. 部分が、歯車歯面である請求項1に記載の高濃度浸炭歯車部品。
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