JP2021042177A - 新規イソシアニド化合物、ホルムアミド化合物及びイソシアニド化合物を用いた有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

新規イソシアニド化合物、ホルムアミド化合物及びイソシアニド化合物を用いた有機ケイ素化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規イソシアニド化合物を提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるイソシアニド化合物。CN−CR1R2−SiR(3-a)(OSiR3R4R5)a(1)[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びRは、それぞれ独立に、水素原子、OR’(R’は、水素原子又は非置換又は置換の、炭素数1〜30の1価炭化水素基である。)、又は非置換又は置換の、酸素、窒素、硫黄及びリンから選ばれる原子が1個またはそれ以上介在してもよい、炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、aは1〜3の整数である。]【選択図】図2

Description

本発明は、新規イソシアニド化合物、ホルムアミド化合物及びイソシアニド化合物を用いた有機ケイ素化合物の製造方法、さらに詳しくは新規イソシアノメチルシロキサン化合物、その合成に用いられるホルムアミド化合物及びイソシアノメチルシロキサン化合物を触媒の配位子として用いたヒドロシリル化反応により得られる有機ケイ素化合物の製造方法に関するものである。
炭素−炭素不飽和結合を有する化合物とSi−Hを有する化合物の付加反応としてよく知られるヒドロシリル化反応は、シロキサン鎖に様々な官能基を容易に導入することが可能であることから、シリコーン材料を製造する上で重要な反応として幅広く利用されている。このヒドロシリル化反応は、触媒を必要とするが、工業的にPt触媒(Karstedt触媒、Speier触媒など)が最も多用されており、用途によってRh触媒なども使用される。
近年、貴金属であるPtやRhを用いない、より安価な鉄、コバルト、ニッケルなどの第一周期遷移金属を使用した触媒開発が進んでおり、特許文献1〜4(特表2012−532885号公報、特表2012−532884号公報、国際公開第2016/024607号、国際公開第2017/010366号)に示す例が報告されている。これらの遷移金属は、触媒として使用する場合、その触媒活性や反応選択性などの重要な機能が配位子によって大きく左右されることが知られている。
特許文献3(国際公開第2016/024607号)では、イソシアニド化合物を配位子として有する、安価な鉄やコバルトを用いたヒドロシリル化反応触媒が報告されている。ここでは、ヒドロシリル化反応の触媒の配位子としてイソシアニド化合物が有用であることが示されている。
特許文献4(国際公開第2017/010366号)では、イソシアニド化合物の置換基にシロキシ基を導入した化合物を、配位子として使用した例が報告されている。例えば、イソシアニド基とシロキサン骨格間の炭素数が3となるイソシアノプロピル基を有するシロキサン化合物が記載されている。これは、非極性であるシロキサン化合物への触媒の溶解性を向上させることで、触媒活性の向上を達成している。一般に、イソシアニド化合物はその原料となる第一級アミン化合物より合成されるが、ここでは第一級アミノ基を有するシロキサン化合物を合成して原料として使用している。
一方、第一級アミノ基を有するシラン化合物や変性シロキサン化合物は、そのアミノ基の吸着性や反応性を利用し、フィラーの表面改質や樹脂改質、繊維処理剤や塗料添加剤、化粧品原料などのほか、さらなる高機能品の合成原料としても使用され、幅広く用いられている。一般には、ケイ素原子と第一級アミノ基間のリンカーの鎖長は炭素鎖3以上のものがよく知られるが、炭素鎖が1の第一級アミノメチル基を有する変性シロキサン化合物の報告例は少ない。
特許文献5(特表2005−517749号公報)では、第一級アミノメチル官能性ポリシロキサン化合物とその製造方法が報告されている。ここでは、OH末端のポリシロキサン化合物に対して第一級アミノメチル基を有するアルコキシシラン化合物を反応させることで、両末端第一級アミノメチル変性ポリシロキサン化合物の合成が報告されている。
特許文献6(特表2018−528156号公報)には、第一級アミノメチル基を有するジシロキサン化合物の合成方法が記載されている。これは、クロロメチル基を有するジシロキサン化合物とアジ化ナトリウムを反応させ、アジド化したのちに水素化することにより合成を行っている。
非特許文献1(Journal of the American Chemical Society, 1955, 77, 3493.)では、第一級アミノメチル基を有するジシロキサン化合物、環状シロキサン化合物及びその合成方法が記載されている。
このように、第一級アミノメチル基を有するシロキサン化合物の合成例はあるが、これらを原料とし、イソシアニド化合物を合成した例はなかった。
特表2012−532885号公報 特表2012−532884号公報 国際公開第2016/024607号 国際公開第2017/010366号 特表2005−517749号公報 特表2018−528156号公報
Journal of the American Chemical Society, 1955, 77, 3493.
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、イソシアニド基とシロキサン骨格間の炭素鎖が1となるイソシアノメチル基を有する新規イソシアニド化合物、その合成に用いられるホルムアミド化合物及びイソシアニド化合物を触媒の配位子として用いたヒドロシリル化反応により得られる有機ケイ素化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行ったが、特許文献4に記載の合成方法では、イソシアニド化合物の1種であるイソシアノメチルシロキサン化合物を合成することはできなかった。一方、一般的にはガブリエル合成として知られる、イミド骨格を有するシロキサン化合物に対して脱保護反応を行うことで、第一級アミノメチル基を有するシロキサン化合物が得られたため、それを用いることでホルムアミド化合物を経て、イソシアノメチルシロキサン化合物を合成することができることを見出し、またこれを用いてヒドロシリル化反応の配位子として機能することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記のイソシアニド化合物、ホルムアミド化合物及び有機ケイ素化合物の製造方法を提供する。
〔1〕
下記式(1)で表されるイソシアニド化合物。
CN−CR12−SiR(3-a)(OSiR345a (1)
[式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5及びRは、それぞれ独立に、水素原子、OR’(R’は、水素原子又は炭素数1〜30の1価炭化水素基である。)、又は非置換又は置換の、酸素、窒素、硫黄及びリンから選ばれる原子が1個またはそれ以上介在してもよい、炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、aは1〜3の整数である。]
〔2〕
式(1)において、R1及びR2が水素原子であることを特徴とする〔1〕に記載のイソシアニド化合物。
〔3〕
式(1)において、aが3であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のイソシアニド化合物。
〔4〕
式(1)において、R3、R4及びR5がメチル基であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のイソシアニド化合物。
〔5〕
下記式(2)で表されるホルムアミド化合物。
CH(=O)NH−CR12−SiR(3-a)(OSiR345a (2)
[式(2)において、R1、R2、R3、R4、R5及びRは、それぞれ独立に、水素原子、OR’(R’は、水素原子又は炭素数1〜30の1価炭化水素基である。)、又は非置換又は置換の、酸素、窒素、硫黄及びリンから選ばれる原子が1個またはそれ以上介在してもよい、炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、aは1〜3の整数である。]
〔6〕
式(2)において、R1及びR2が水素原子であることを特徴とする〔5〕に記載のホルムアミド化合物。
〔7〕
式(2)において、aが3であることを特徴とする〔5〕又は〔6〕に記載のホルムアミド化合物。
〔8〕
式(2)において、R3、R4及びR5がメチル基であることを特徴とする〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載のホルムアミド化合物。
〔9〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のイソシアニド化合物の合成原料である〔5〕〜〔8〕のいずれかに記載のホルムアミド化合物。
〔10〕
イソシアニド化合物を触媒の配位子として使用した有機ケイ素化合物の製造方法であって、(A)アルケニル基を有する化合物、(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物、(C)遷移金属塩、及び(D)〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のイソシアニド化合物を混合し反応させることで得られる有機ケイ素化合物の製造方法。
〔11〕
(A)アルケニル基を有する化合物と(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物とのヒドロシリル化反応系内で、(C)遷移金属塩と(D)イソシアニド化合物との反応生成物からなるヒドロシリル化反応触媒が調製されている〔10〕に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
〔12〕
さらに、(E)活性化剤を添加することを特徴とする〔10〕又は〔11〕に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
〔13〕
(C)成分の遷移金属が、Fe及び/又はCoであることを特徴とする〔10〕〜〔12〕のいずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
〔14〕
(C)遷移金属塩が、アルコキシド塩及び/又はカルボン酸塩であることを特徴とする〔10〕〜〔13〕のいずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
〔15〕
(C)遷移金属塩が、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜20のアルキルカルボン酸の金属塩であることを特徴とする〔10〕〜〔14〕のいずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
〔16〕
(A)成分が、アルケニル基を有するオレフィン化合物、シラン化合物又はオルガノ(ポリ)シロキサン化合物である〔10〕〜〔15〕のいずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
〔17〕
(B)成分が、Si−H基を有するシラン化合物又はオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサン化合物である〔10〕〜〔16〕のいずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
本発明のイソシアニド基とシロキサン骨格間の炭素鎖が1となるイソシアノメチル基を有するシロキサン化合物は、シロキサン化合物への溶解性が改善される。また、イソシアニド基とシロキサン骨格の距離が近く、シロキサン部位を嵩高くすることで、配位子として使用した場合に金属周りに立体効果を与えるので、ヒドロシリル化反応の触媒の配位子として有用である。
実施例1で得られたホルムアミド化合物の1H−NMR測定結果を示す図である。 実施例2で得られたイソシアニド化合物の1H−NMR測定結果を示す図である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
[イソシアニド化合物]
本発明における新規イソシアニド化合物は、下記式(1)にて表される。
CN−CR12−SiR(3-a)(OSiR345a (1)
式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5及びRは、それぞれ独立に、水素原子、OR’(R’は、水素原子又は非置換又は置換の、炭素数1〜30の1価炭化水素基である。)、又は非置換又は置換の、酸素、窒素、硫黄及びリンから選ばれる原子が1個またはそれ以上介在してもよい、炭素数1〜30の1価炭化水素基を表す。
炭素数1〜30の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、環状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコサニル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、その具体例としては、エテニル(ビニル)基、n−1−プロペニル基、n−2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、n−1−ペンテニル基、n−1−デセニル基、n−1−エイコセニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜20のアルキニル基が好ましく、その具体例としては、エチニル基、n−1−プロピニル基、n−2−プロピニル基、n−1−ブチニル基、n−2−ブチニル基、n−3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、n−1−ペンチニル基、n−2−ペンチニル基、n−3−ペンチニル基、n−4−ペンチニル基、1−メチル−n−ブチニル基、2−メチル−n−ブチニル基、3−メチル−n−ブチニル基、1,1−ジメチル−n−プロピニル基、n−1−ヘキシニル基、n−1−デシニル基、n−1−ペンタデシニル基、n−1−エイコシニル基等が挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、その具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基であり、その具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基等が挙げられる。
また、これらの基は、本発明のヒドロシリル化反応触媒の活性を損なわない範囲で、酸素、窒素、硫黄及びリンから選ばれる原子が1個又はそれ以上介在していてもよい。
また、上記炭化水素基は置換基を有していてもよく、任意の位置に同一又は異なる複数の置換基を有していてもよい。
上記置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等の各種ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基などが挙げられる。
式(1)におけるR1及びR2は、好ましくは水素原子である。R1、R2の両方が水素原子のとき、式(1)で表される化合物は、イソシアノメチルシロキサン化合物となる。
式(1)におけるR3、R4、R5、Rは、好ましくは炭素数1〜30の1価炭化水素基、さらに好ましくはメチル基である。
式(1)におけるR’は、水素原子、炭素数1〜30の1価炭化水素基である。炭素数1〜30の1価炭化水素基の具体例としては、上記R1、R2、R3、R4、R5及びRで示したものが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。
式(1)におけるaは1〜3であり、好ましくは、aは3である。
式(1)で表されるイソシアニド化合物の好ましい例としては、以下のものを挙げることができる。
Figure 2021042177
本発明のイソシアニド化合物は、後述する遷移金属塩と共に用いると、ヒドロシリル化反応に有効な配位子として作用する。
[ホルムアミド化合物及びそれを用いたイソシアニド化合物の合成]
式(1)にて表されるイソシアニド化合物は、下記式(2)で表されるホルムアミド化合物を合成原料として使用できる。
CH(=O)NH−CR12−SiR(3-a)(OSiR345a (2)
式(2)において、R1、R2、R3、R4、R5及びRは、それぞれ上記と同様のものが挙げられる。
1及びR2は、さらに好ましくは水素原子である。
式(2)におけるR3、R4、R5、Rは、好ましくは炭素数1〜30の1価炭化水素基、さらに好ましくはメチル基である。
式(2)におけるaは1〜3であり、好ましくは、aは3である。
式(2)で表されるホルムアミド化合物の好ましい例としては、以下のものを挙げることができる。
Figure 2021042177
式(2)で表されるホルムアミド化合物から、式(1)で表されるイソシアニド化合物を合成する方法としては、公知の方法で合成することができる。例えば、反応容器にホルムアミド化合物、塩基(例えばジイソプロピルアミン)及び反応溶媒(例えば、塩化メチレン)を加え、5℃以下に冷却し、分子内脱水剤として例えば塩化ホスホリル(オキシ塩化リン)を内温が15℃以上にならないように滴下し、その後2〜3時間撹拌する。反応後、例えば20質量%炭酸ナトリウム水溶液を加え、発熱があれば随時冷却し、室温で3〜20時間程度撹拌し、中和処理を行う。その後、分液抽出により有機層を回収し、芒硝等で脱水し、溶媒を留去することで目的物を得るものである。必要に応じて、蒸留又は昇華精製してもよい。
このとき、塩基としては、ジイソプロピルアミンの他、トリエチルアミン、ピリジンなどが挙げられる。また、反応溶媒は、塩化メチレンの他、トルエン等の芳香族溶媒、ヘキサン等の炭化水素溶媒、などが挙げられる。分子内脱水剤としては、塩化ホスホリルの他、p−トルエンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物などが挙げられる。
式(2)で表されるホルムアミド化合物のホルミル基に対して、分子内脱水剤は1〜2モル当量が好ましい。塩基の使用量としては、反応を阻害しない範囲で、脱水剤に対して2〜10モル当量を使用するのが好ましい。
中和処理に使用するものとしては、炭酸ナトリウム水溶液の他、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。中和処理の際の水溶液の濃度は10〜60質量%が好ましい。
(ホルムアミド化合物の合成)
式(2)で表されるホルムアミド化合物は、下記式(3)で表されるアミン化合物(第1級アミノシロキサン化合物)より合成ができる。
NH2−CR12−SiR(3-a)(OSiR345a (3)
式(3)において、R1、R2、R3、R4、R5及びRは、それぞれ上記と同様のものが挙げられる。
1及びR2は、さらに好ましくは水素原子である。
式(3)におけるR3、R4、R5、Rは、好ましくは炭素数1〜30の1価炭化水素基、さらに好ましくはメチル基である。
式(3)におけるaは1〜3であり、好ましくは、aは3である。
式(2)で表されるホルムアミド化合物を合成する方法の例としては、例えば、無水酢酸にギ酸(無水酢酸に対して2当量)を加え、ホルミル化剤(酢酸ギ酸無水物)を得る。一方、式(3)で表されるアミン化合物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、−15℃に冷却し、ホルミル化剤を内温が−5℃を超えないように滴下し、さらに2時間撹拌し、エバポレーターで揮発分を除去するなど後処理を施すことで得られる。
また、式(3)で表されるアミン化合物と蟻酸エステルを、必要に応じて加熱し反応させることで合成することも可能である(Organometallics,2004,23,3976-3981参照)。
詳しくは、ギ酸エステルとしては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミルなどが挙げられる。式(3)で表されるアミン化合物のアミノ基に対して、ギ酸エステルは1〜50モル当量の使用が好ましい。
また、加熱温度としては、ギ酸エステルの沸点に応じて、例えば50℃〜100℃の範囲が好ましく、反応時間は、0.5〜48時間が好ましい。
さらに、式(3)で表されるアミン化合物にジクロルカルベンを反応させることで、直接式(1)で表されるイソシアニド化合物を合成することも可能である(Tetrahedron Letters, 1972, 17, 1637-1640参照)。
(アミン化合物(第1級アミノシロキサン化合物)の合成方法)
式(3)で表されるアミン化合物(第1級アミノシロキサン化合物)の合成方法としては、下記式(4)で表される環状イミドシロキサン化合物に脱保護剤を反応させることにより得られる。
6N−CR12−SiR(3-a)(OSiR345a (4)
[式(4)において、R1、R2、R3、R4、R5及びRは上記の通りであり、R6は−C(=O)−X−C(=O)−で示される2価の基であり、Xは炭素数1〜30の2価炭化水素基であり、aは1〜3の整数である。]
式(4)において、Xは、炭素数1〜30の2価炭化水素基であり、置換又は非置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アラルキレン基等が挙げられる。
アルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜10のアルキレン基であり、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、n−オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基、n−トリデシレン基、n−テトラデシレン基、n−ペンタデシレン基、n−ヘキサデシレン基、n−ヘプタデシレン基、n−オクタデシレン基、n−ノナデシレン基、n−エイコサニレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;1,4−シクロへキシレン基等の環状のアルキレン基などが挙げられる。
アルケニレン基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10のアルケニレン基であり、その具体例としてはエテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基などが挙げられる。
アリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基であり、その具体例としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、1,8−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、4,4′−ビフェニレン基等が挙げられる。
アラルキレン基としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20のアラルキレン基であり、その具体例としては、−(CH2k−Ar−(Arは、炭素数6〜20のアリーレン基を表し、kは1〜10の整数を表す。)、−Ar−(CH2k−(Ar及びkは上記と同じ意味を表す。)、−(CH2k−Ar−(CH2k−(Arは上記と同じ意味を表し、kは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)等が挙げられる。
上記例の中でも、エチレン基、エテニレン基、o−フェニレン基が好ましい。
Xの炭素原子に結合する水素原子は置換されていてもよく、置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基などが挙げられるが、好ましくは非置換である。
式(4)で表されるシロキサン化合物の例としては、具体的に以下のものを挙げることができる。
Figure 2021042177
(式(4)で表されるシロキサン化合物の合成)
式(3)で表されるアミン化合物(第1級アミノシロキサン化合物)の前駆体となる式(4)で表されるシロキサン化合物を得るための製造方法としては、クロロメチル基を有するシロキサン化合物と、例えばイミド化合物のアルカリ金属塩を反応させる方法が挙げられる。
クロロメチル基を有するシロキサン化合物は、クロロメチルトリアルコキシシラン、クロロメチルジアルコキシメチルシラン、又はクロロメチルアルコキシジメチルシランと、例えば1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシロキサンや1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのようなジシロキサン化合物を酸触媒下で反応させることで、製造することができる。
クロロメチル基を有するシロキサン化合物において、Si−H基を有する場合には、さらに白金触媒(例えば、Karstedt触媒やSpeier触媒など)やRh触媒等によるヒドロシリル化反応により置換基を導入することができる。
イミド化合物のアルカリ金属塩は、例えばコハク酸イミド、マレイミド、フタルイミドなどのイミド化合物に対して、ナトリウムメトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドを反応させることで得られる。また、市販品として、フタルイミドカリウムは入手可能である。
式(4)で表されるシロキサン化合物を合成するに際し、配合量としては、クロロメチル基を有するシロキサン化合物のクロロメチル基1molに対してイミド化合物のアルカリ金属塩の0.1〜50molとなる量、好ましくは1〜20molとなる量を配合することができる。また、反応を加速させるため、例えばヨウ化ナトリウムのようなヨウ化アルカリ金属塩を触媒量添加してもよい。
式(4)で表されるシロキサン化合物を合成するに際し、有機溶剤を使用してもよく、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物等が用いられる。
式(4)で表されるシロキサン化合物の製造における反応条件は、特に限定されるものではないが、通常、反応温度が室温(20±5℃)〜200℃、より好ましくは50〜150℃であり、反応時間は0.5〜48時間である。
反応後、得られた反応物をろ過、又は蒸留水やNaCl若しくはNa2SO3などの中性塩水溶液で分液洗浄し、有機層をNa2SO3等で脱水処理して、これらの処理後に減圧乾燥することで、式(4)で表されるシロキサン化合物が得られる。なお、ろ過や分液洗浄の際にヘキサン等の溶剤で希釈しても構わない。
(式(4)で表されるシロキサン化合物の脱保護)
前駆体としての式(4)で表されるシロキサン化合物に、さらに脱保護剤を加えて脱保護することによって、式(3)で表されるアミン化合物(第1級アミノシロキサン化合物)が得られる。
本発明において、式(4)で表されるシロキサン化合物の脱保護における脱保護剤としては、イミド骨格(即ち、R6N−)をアミノ基に変換できればよく、例えば、グリーンズ・プ口テクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis)第5版、1012〜1014ページ、2014年、ジョン・ワイリ一・アンド・サンズ社(John Wiley&Sons,INC.)に記載のものを使用することができるが、ヒドラジン1水和物、第1級アミン化合物が好ましく、さらに好ましくは第1級アミン化合物である。
第1級アミン化合物としては、反応が進行すれば特に制限はないが、アミノ基を有する直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜30の炭化水素基含有化合物が好ましく、さらに好ましくは第1級アルキルアミン化合物が挙げられる。
第1級アルキルアミン化合物としては、反応が進行すれば特に制限はないが、具体例としては、メチルアミン、n−ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン等のアルキルアミンや、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンヘキサアミン等が挙げられる。
脱保護剤の配合量としては、式(4)の化合物1molに対して、1〜100mol程度となる量であればよく、好ましくは1〜50molとなる量、さらに好ましくは2〜20molとなる量である。
式(3)で表されるアミン化合物(第1級アミノシロキサン化合物)を合成する際には、有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては反応に影響を及ぼさない限り任意であり、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類などを用いることができる。
式(3)で表されるアミン化合物(第1級アミノシロキサン化合物)を合成する際の反応条件は、特に限定されるものではないが、通常、反応温度が10〜200℃、より好ましくは30〜120℃であり、反応時間は1〜48時間である。
[有機ケイ素化合物の製造方法]
本発明に係る有機ケイ素化合物の製造方法は、イソシアニド化合物を触媒の配位子として使用した有機ケイ素化合物の製造方法であって、(A)アルケニル基を有する化合物、(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物、(C)遷移金属塩、及び(D)上記本発明のイソシアニド化合物を混合し反応させることで有機ケイ素化合物を得るものである。
ここで、(A)アルケニル基を有する化合物と(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物とのヒドロシリル化反応系内で、(C)遷移金属塩と(D)本発明のイソシアニド化合物との反応生成物からなるヒドロシリル化反応触媒が調製されていることが好ましい。
即ち、本発明において、(C)遷移金属塩と、(D)上述した本発明のイソシアニド化合物とから(A)アルケニル基を有する化合物と(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物とのヒドロシリル化反応系に対応したヒドロシリル化反応触媒が調製されるものである。
((A)アルケニル基を有する化合物)
(A)成分のアルケニル基を有する化合物は、上記の通りアルケニル基を有するオレフィン化合物、シラン化合物又はオルガノ(ポリ)シロキサン化合物であることが好ましい。
アルケニル基を有する化合物を例示すると以下の通りである。
オレフィン化合物:
エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、n−ヘキサデセン、イソヘキサデセン、n−オクタデセン、イソオクタデセン、ノルボルネン、トリフロロプロペンなどのアルケン類。
エチン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、オクチン、デシン、ドデシン、ヘキサデシン、オクタデシン等のアルキン類。
(上記化合物は、不飽和基が末端に存在しているものの他に、内部に存在していてもよく、ヘキサジエン、オクタジエンのように分子内に複数の不飽和基があってもよい。)
スチレン、2−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−メトキシスチレン、αメチルスチレン、4−メチル−αメチルスチレン、アリルベンゼン等の芳香族基含有アルケン類。
アリルグリシジルエーテル、アリルグリコール、アリルベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールアリルメチルエーテル、ポリオキシエチレンモノアリルエーテル、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)モノアリルエーテル、ポリオキシエチレンジアリルエーテル、ポリオキシプロピレンジアリルエーテル、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ジアリルエーテルなどのアルケン類。
シラン化合物:
トリメチルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシアリルシラン、トリエトキシアリルシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、フェニルジメトキシビニルシラン、フェニルジエトキシビニルシラン、ジフェニルメトキシビニルシラン、ジフェニルエトキシビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシランなど。
オルガノ(ポリ)シロキサン類:
ペンタメチルビニルジシロキサン、テトラメチルジビニルジシロキサン、ヘプタメチルビニルトリシロキサン、ジメチルジフェニルジビニルジシロキサン、ジメチルビニルシロキシ基末端封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン)共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン)共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン、メチルビニルシロキサン)共重合体、ジメチルビニルシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン)共重合体、ジメチルビニルシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン、ジフェニルシロキサン)共重合体、末端ヒドロキシ基封鎖(ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン)共重合体、αビニルジメチルポリシロキサンなど。
((B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物)
(B)成分のSi−H基を有する有機ケイ素化合物は、上記の通りSi−H基を有するシラン化合物又はオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサン化合物であることが好ましい。
Si−H基を有する有機ケイ素化合物を例示すると以下の通りである。
シラン化合物:
トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、ジメトキシメチルヒドロシラン、ジエトキシメチルヒドロシラン、ジメトキシフェニルヒドロシラン、ジエトキシフェニルヒドロシラン、メトキシジメチルヒドロシラン、エトキシジメチルヒドロシラン、トリフェニルヒドロシラン、ジフェニルジヒドロシラン、フェニルトリヒドロシラン、ジフェニルメチルヒドロシラン、フェニルジメチルヒドロシラン、ジフェニルメトキシヒドロシラン、ジフェニルエトキシヒドロシラン等。
シロキサン類:
ペンタメチルヒドロジシロキサン、テトラメチルジヒドロジシロキサン、ヘプタメチルヒドロトリシロキサン、オクタメチルジヒドロテトラシロキサン、ジメチルヒドロシロキシ基末端封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチルヒドロシロキシ基末端封鎖メチルポリシロキサン、ジメチルヒドロシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン)共重合体。トリメチルシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン・メチルヒドロシロキサン)共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン、メチルヒドロシロキサン)共重合体、ジメチルヒドロシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン・メチルヒドロシロキサン)共重合体、ジメチルヒドロシロキシ基末端封鎖(ジメチルシロキサン、メチルヒドロシロキサン、ジフェニルシロキサン)共重合体、末端ヒドロキシ基封鎖(ジメチルシロキサン・メチルヒドロシロキサン)共重合体、片末端ジメチルヒドロシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンなど。
((C)遷移金属塩)
(C)成分の遷移金属塩における遷移金属は、好ましくはFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd及びIrの少なくともいずれか1種であり、さらに好ましくは、Fe及び/又はCoであり、特に好ましくはFe又はCoである。
本発明の遷移金属塩としては、ハロゲン化物塩、アルコキシド塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩が挙げられるが、好ましくはアルコキシド塩及び/又はカルボン酸塩であり、さらに好ましくはカルボン酸塩である。
アルコキシド塩は、下記式(5)で表され、遷移金属に対して共有結合若しくはイオン結合をしているものが挙げられる。
−O−R7 (5)
式(5)におけるR7は、置換されていてもよく、かつ、酸素、窒素、硫黄及びリンから選ばれる原子が1個又はそれ以上介在していてもよい炭素数1〜30の1価有機基を表す。
炭素数1〜30の1価の有機基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜30の1価炭化水素基が好ましい。1価炭化水素基としては、上記式(1)のR1、R2、R3、R4、R5及びRで示したものが挙げられる。
カルボン酸塩は、下記式(6)で表され、遷移金属に対して共有結合若しくはイオン結合をしているものが挙げられる。
−OCO−R8 (6)
式(6)におけるR8は、置換されていてもよく、かつ、酸素、窒素、硫黄及びリンから選ばれる原子が1個又はそれ以上介在していてもよい炭素数1〜30の1価有機基を表す。
炭素数1〜30の1価の有機基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜30の1価炭化水素基が好ましい。1価炭化水素基としては、上記式(1)のR1、R2、R3、R4、R5及びRで示したものが挙げられる。
式(6)におけるR8は、さらに好ましくは、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜20の1価アルキル基であり、特に好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜20の1価アルキル基である。
本発明において、触媒前駆体として好適に使用できる(C)遷移金属塩の具体例としては、酢酸鉄(II)、ピバル酸鉄(II)、トリフルオロ酢酸鉄(II)(テトラヒドロフラン錯体、以下THF)、2−エチルヘキサン酸鉄、イソパルミチン酸鉄、[Fe(mesityl)(μ−mesityl)]2と各種アルコール、カルボン酸又はシロキサン含有カルボキシレートとから調製した鉄−酸素結合を有する鉄錯体等の鉄化合物;酢酸コバルト(II)、塩化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、コバルト(II)イソプロポキシド、ピバル酸コバルト(II)、トリフルオロ酢酸コバルト(II)(THF)、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト、イソパルミチン酸コバルト等のコバルト化合物;酢酸ニッケル(II)、ピバル酸ニッケル(II)、2−エチルヘキサン酸ニッケル等のニッケル化合物;Ru2(μ−OAc)4Cl等のルテニウム化合物;酢酸ロジウム(II)二量体等のロジウム化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、これら遷移金属塩は、市販品として、又は公知文献(J.Cluster.Sci.,2005,16,331.Inorganic chemistry,2007,46,3378.Organometallics,1993,12,2414.Russ.Chem.Bull.,1999,48,1751.J.Inorg.Nucl.Chem.,1966,28,2285.等)記載の方法により合成して得ることができる。
((D)本発明のイソシアニド化合物)
(D)成分として、上述した本発明のイソシアニド化合物のいずれでも使用可能である。
なお、本発明の有機ケイ素化合物の製造方法において、本発明を損なわない範囲で本発明のイソシアニド化合物に加え、ケイ素原子或いはオルガノシロキサン基を含まないイソシアニド化合物を同時に用いてもよい。その際、公知のイソシアニド化合物の他、先に示した方法によって合成可能なイソシアニド化合物であってもよい。
そのようなケイ素原子を含まないイソシアニド化合物の具体例としては、メチルイソシアニド、エチルイソシアニド、n−プロピルイソシアニド、シクロプロピルイソシアニド、n−ブチルイソシアニド、イソブチルイソシアニド、sec−ブチルイソシアニド、t−ブチルイソシアニド、n−ペンチルイソシアニド、イソペンチルイソシアニド、ネオペンチルイソシアニド、n−ヘキシルイソシアニド、シクロヘキシルイソシアニド、シクロヘプチルイソシアニド、1,1−ジメチルヘキシルイソシアニド、1−アダマンチルイソシアニド、2−アダマンチルイソシアニド等のアルキルイソシアニド;フェニルイソシアニド、2−メチルフェニルイソシアニド、4−メチルフェニルイソシアニド、2,4−ジメチルフェニルイソシアニド、2,5−ジメチルフェニルイソシアニド、2,6−ジメチルフェニルイソシアニド、2,4,6−トリメチルフェニルイソシアニド、2,4,6−トリt−ブチルフェニルイソシアニド、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアニド、1−ナフチルイソシアニド、2−ナフチルイソシアニド、2−メチル−1−ナフチルイソシアニド等のアリールイソシアニド;ベンジルイソシアニド、フェニルエチルイソシアニド等のアラルキルイソシアニドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法では、(C)遷移金属塩と(D)式(1)で表されるイソシアニド化合物から調製されるヒドロシリル化反応触媒用として、さらに(E)活性化剤を添加することで、触媒反応を効率よく進行させることができる。
上記(E)活性化剤は、これを添加することで触媒の活性種の生成が加速すればよく、例えば金属アルキル化試薬、金属ヒドリド化試薬などが挙げられる。
金属アルキル化試薬の具体例としては、メチルリチウム、n−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウムなどのグリニャール試薬類、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等のアルキル亜鉛類、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム類等が挙げられる。
金属ヒドリド化試薬の具体例としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の水素化アルカリ金属及びアルカリ土類金属類、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム等の金属ボロヒドリド類、フェニルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン等のヒドロシラン類等が挙げられる。
上記(E)活性化剤としては、好ましくはヒドロシラン類である。
なお、(E)活性化剤としてヒドロシラン類を使用する場合は、反応基質である(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物とは異なるものを使用するか、(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物が(E)活性化剤の役割を兼ねてもよい。
上記(E)活性化剤の使用量としては、(C)遷移金属塩1molに対して1〜20mol当量であり、経済性等を考慮すれば、1〜10mol当量が好ましく、1〜5mol当量がより好ましい。
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法では、(C)遷移金属塩と(D)式(1)で表されるイソシアニド化合物との使用量は特に限定されるものではないが、(D)式(1)で表されるイソシアニド化合物を、(C)遷移金属塩1当量に対して0.5〜15当量程度とすることが好ましく、1〜10当量がより好ましく、2〜8当量がより一層好ましい。なお、配位子として(D)本発明の式(1)で表されるイソシアニド化合物と、公知のケイ素基を含まないイソシアニド化合物を併用するときは、それらの使用量の合計が上記の範囲内となることが好ましい。
また、本発明の有機ケイ素化合物の製造方法では、(C)遷移金属塩の使用量は特に限定されるものではないが、室温〜100℃程度の温和な条件下で反応を進行させて収率よく目的物を得ることを考慮すると、基質である(A)アルケニル基を有する化合物のアルケニル基1molに対して(C)遷移金属塩として0.001mol%以上用いることが好ましく、0.01mol%以上用いることがより好ましく、特に好ましくは0.05mol%以上である。
なお、(C)遷移金属塩の使用量に特に上限はないが、経済的な観点から(A)成分のアルケニル基1molに対して10mol%程度以下、好ましくは5mol%以下である。
なお、本発明の有機ケイ素化合物の製造方法では、(C)、(D)成分から調製されるヒドロシリル化反応触媒の活性等を損なわない範囲で、公知の2電子供与性配位子を併用してもよい。2電子供与性配位子としては、特に限定されるものではないが、カルボニル基以外の配位子が好ましく、アンモニア分子、エーテル化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、ホスファイト化合物、スルフィド化合物等が挙げられる。
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法は、(A)アルケニル基を有する化合物と、(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物とをヒドロシリル化反応させる系内で、(C)遷移金属塩及び(D)本発明の(式(1)で表される)イソシアニド化合物からヒドロシリル化反応触媒を調製することが好ましい。この際、一旦、(C)遷移金属塩と(D)式(1)で表されるイソシアニド化合物から触媒を調製した後に、(A)アルケニル基を有する化合物と、(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物を加えても、いくつかの成分ずつに分けて仕込んでも、全ての成分を一括して仕込んでもよい。
(A)アルケニル基を有する化合物と、(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物の使用比率は、アルケニル基/Si−H基のmol比が1/10〜10/1、好ましくは、1/5〜5/1、特に好ましくは1/3〜3/1である。
(C)遷移金属塩と(D)式(1)で表されるイソシアニド化合物との反応条件は、特に限定されるものではないが、通常、反応温度が10〜100℃程度、より好ましくは30〜80℃であり、反応時間は、1〜48時間程度である。また、触媒調製時及びヒドロシリル化反応時に必要に応じて有機溶媒を用いてもよい。
有機溶媒を用いる場合、その種類としては反応に影響を及ぼさない限り任意であり、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類などを用いることができる。
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法では、(A)アルケニル基を有する化合物と(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物との組み合わせとして、アルケニル基を有する、オレフィン化合物、シラン化合物又はオルガノ(ポリ)シロキサン化合物等の化合物と、Si−H基を有する、シラン化合物又はオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物の組み合わせであれば、それら各化合物の構造はなんら制限なく使用できる。また、本発明は、アルケニル基を有する化合物とSi−H基を有する有機ケイ素化合物から得られる変性シリコーンオイル類、シリコーン硬化物など、従来の白金触媒を用いて工業的に行われていた全ての用途に適用できる。
以下、合成例及び実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の合成例及び実施例に制限されるものではない。また、合成例及び実施例において、特に記載のない限り、反応及び生成物の保管は窒素雰囲気下にて行った。
1H−NMRは、Brucker社製AvanceIII 400を用いて、FT−IR測定は、ThermoScienticfic社製Nicolet6700を用いて、それぞれ測定を行った。GC収率は、Aglent社製7890B(カラム:HP−5)を用いて、80℃より10℃/minで測定し、アルケニル基を有する化合物を基準に収率を求めた。
[合成例1]3−(クロロメチル)−1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−3−[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサンの合成
500mLセパラブルフラスコに、クロロメチルトリメトキシシラン216.1g(1.27mol)、メタノール(80.1g)、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシロキサン405.2g(2.50mol)、硫酸(12.7g)を加え、氷冷後に、15℃以下を維持しながら蒸留水(88.7g)を滴下した。滴下終了後、室温で7時間撹拌し、分液して有機層を回収し、塩化ナトリウム水溶液で水層が中性になるまで洗浄した。その後、有機層を蒸留精製することで、135.32gの無色透明溶液を得た(収率31%、GC純度>99%)。得られた化合物を下に示す。
Figure 2021042177
[合成例2]3−(N−フタルイミドメチル)−1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−3−[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサンの合成
500mLセパラブルフラスコに、フタルイミドカリウム79.46g(0.43mol)(東京化成工業社製)、ヨウ化ナトリウム7.24g(0.05mol)(和光純薬工業社製)、合成例1で得られた3−(クロロメチル)−1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−3−(トリメチルシロキシ)トリシロキサン130.54g(0.38mol)を加え、撹拌翼及び冷却器を取り付け、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)89.3g(和光純薬工業社製)を加えて、オイルバスにて150℃で10時間反応させた。その後、ヘキサン99.8gを加えてろ過し、減圧乾燥させることにより、158.81gの淡黄色溶液を得た(収率89%、GC純度99%)。
得られた化合物の1H−NMR測定結果及びその構造を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ:7.88−7.74(m,2H),7.70−7.62(m,2H),3.21(s,0.43H),3.11(s,1.57H),0.07(s,27H).
Figure 2021042177
[合成例3]3−(アミノメチル)−1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−3−[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサンの合成
500mLセパラブルフラスコに、合成例2で得られた化合物100.03g(0.22mol)、無水エチレンジアミン50.74g(0.84mol)(和光純薬工業社製)を加え、撹拌翼及び冷却器を取り付け、オイルバスにて70℃で3時間反応させた。その後、2層となった反応溶液の上層を回収し、ヘキサンにて抽出した後、減圧蒸留(2mmHg、77℃)することにより、46.47gの無色溶液を得た(収率65%、GC純度>99%)。
得られた化合物の1H−NMR測定結果及びその構造を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ:2.02(s,2H),1.00−0.60(br,2H),0.12(s,27H).
Figure 2021042177
[実施例1]N−[1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−3−(トリメチルシロキシ)トリシロキサニル−3−]メチレンホルムアミドの調製
500mLセパラブルフラスコに、合成例3で得られた化合物45.56g(0.140mol)、ギ酸エチル102.74g(1.37mol)(和光純薬工業社製)を加え、撹拌翼及び冷却器を取り付け、オイルバスにて60℃で5時間反応させた。その後、減圧乾燥させることで、44.40gの無色溶液を得た。(収率90%、GC純度99%)得られた化合物の1H−NMR測定結果を図1に示す。また、その構造を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ:8.19(s),8.01(d),5.49−4.93(br),2.69(d,J=5.2),2.59(d,J=5.9)0.13(s,27H).
Figure 2021042177
[実施例2]1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−3−(トリメチルシロキシ)トリシロキサニル−3−メチレンイソシアニドの調製
500mLセパラブルフラスコに、実施例1で得られた化合物44.40g(0.126 mol)、ジイソプロピルアミン63.50g(和光純薬工業社製)(0.628mol)、塩化メチレン86.0gを加え、撹拌翼及び冷却器を取り付け、氷浴により5℃以下まで冷却させた。そこに、オキシ塩化リン27.05g(和光純薬工業社製)(0.176mol)をゆっくり滴下し、3時間反応させた。その後、20質量%炭酸ナトリウム145.06g加え、撹拌した後に分液抽出により有機層を回収し、芒硝脱水後に減圧蒸留(2mmHg、102℃)することで、23.38gの無色溶液を得た(収率55%、GC純度98%)。
得られた化合物の1H−NMR測定結果を図2に示す。また、その構造を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ:2.78(s,2H),0.16(s,27H).
FT−IR:(C≡N−)2144cm-1
Figure 2021042177
[実施例3]鉄触媒によるスチレンと1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサンのヒドロシリル化反応
100mL3つ口フラスコに、イソパルミチン酸鉄(283mg,0.5mmol)を加え、アルゴン雰囲気に置換した。ここに、スチレン(5.21g,50mmol)、1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(9.65g,65mmol)を加え、60℃に昇温して撹拌した。そこに、実施例2で合成したイソシアニド化合物(678mg,2.0mmol)を加えて、60℃で12時間撹拌することで、GC収率44%の付加生成物及び15%の脱水素シリル化生成物が得られた。反応式を以下に示す。
Figure 2021042177
[実施例4]コバルト触媒による1−オクテンと1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンのヒドロシリル化反応
100mL3つ口フラスコに、イソパルミチン酸コバルト(142mg,0.25mmol)を加え、アルゴン雰囲気に置換した。ここに、1−オクテン(5.74g,51mmol)、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン(14.70g,66mmol)を加え、80℃に昇温して撹拌した。そこに、実施例2で合成したイソシアニド化合物(504mg,1.50mmol)を加えて、80℃で20時間撹拌することで、GC収率45%の付加生成物が得られた。反応式を以下に示す。
Figure 2021042177

Claims (17)

  1. 下記式(1)で表されるイソシアニド化合物。
    CN−CR12−SiR(3-a)(OSiR345a (1)
    [式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5及びRは、それぞれ独立に、水素原子、OR’(R’は、水素原子又は炭素数1〜30の1価炭化水素基である。)、又は非置換又は置換の、酸素、窒素、硫黄及びリンから選ばれる原子が1個またはそれ以上介在してもよい、炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、aは1〜3の整数である。]
  2. 式(1)において、R1及びR2が水素原子であることを特徴とする請求項1に記載のイソシアニド化合物。
  3. 式(1)において、aが3であることを特徴とする請求項1又は2に記載のイソシアニド化合物。
  4. 式(1)において、R3、R4及びR5がメチル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイソシアニド化合物。
  5. 下記式(2)で表されるホルムアミド化合物。
    CH(=O)NH−CR12−SiR(3-a)(OSiR345a (2)
    [式(2)において、R1、R2、R3、R4、R5及びRは、それぞれ独立に、水素原子、OR’(R’は、水素原子又は炭素数1〜30の1価炭化水素基である。)、又は非置換又は置換の、酸素、窒素、硫黄及びリンから選ばれる原子が1個またはそれ以上介在してもよい、炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、aは1〜3の整数である。]
  6. 式(2)において、R1及びR2が水素原子であることを特徴とする請求項5に記載のホルムアミド化合物。
  7. 式(2)において、aが3であることを特徴とする請求項5又は6に記載のホルムアミド化合物。
  8. 式(2)において、R3、R4及びR5がメチル基であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のホルムアミド化合物。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のイソシアニド化合物の合成原料である請求項5〜8のいずれか1項に記載のホルムアミド化合物。
  10. イソシアニド化合物を触媒の配位子として使用した有機ケイ素化合物の製造方法であって、(A)アルケニル基を有する化合物、(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物、(C)遷移金属塩、及び(D)請求項1〜4のいずれか1項に記載のイソシアニド化合物を混合し反応させることで得られる有機ケイ素化合物の製造方法。
  11. (A)アルケニル基を有する化合物と(B)Si−H基を有する有機ケイ素化合物とのヒドロシリル化反応系内で、(C)遷移金属塩と(D)イソシアニド化合物との反応生成物からなるヒドロシリル化反応触媒が調製されている請求項10に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
  12. さらに、(E)活性化剤を添加することを特徴とする請求項10又は11に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
  13. (C)成分の遷移金属が、Fe及び/又はCoであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
  14. (C)遷移金属塩が、アルコキシド塩及び/又はカルボン酸塩であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
  15. (C)遷移金属塩が、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜20のアルキルカルボン酸の金属塩であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
  16. (A)成分が、アルケニル基を有するオレフィン化合物、シラン化合物又はオルガノ(ポリ)シロキサン化合物である請求項10〜15のいずれか1項記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
  17. (B)成分が、Si−H基を有するシラン化合物又はオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサン化合物である請求項10〜16のいずれか1項記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
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