(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る設計支援システム100は、所定エリアA1(図2参照)内を移動する移動体2の移動経路の設計を支援するためのシステムである。特に、本実施形態では、移動体2は、あらかじめ設定された移動経路に沿って移動することが想定されている。ここで、「移動経路に沿って移動する」とは、移動体2が移動経路からはみ出すことなく移動することを含むだけでなく、例えば移動経路上の人又は障害物等を回避するために一時的に移動経路からはみ出して移動することを含み得る。
本開示でいう「移動体」は、物体(荷物等)を搬送する搬送装置、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)、移動ロボット、自律航行船及びドローン等を含む。本開示でいう「移動ロボット」は、例えば、車輪型、クローラ型又は脚型(歩行型を含む)のロボットである。移動体2は、所定エリアA1内を移動するだけでなく、例えば、搬送、ピッキング、溶接、実装、陳列、接客、警備、組立及び検査等の様々な作業を実行する機能を有していてもよい。「所定エリア」は、1台以上の移動体2が移動する範囲であって、一例として、工場、倉庫、建設現場、店舗、物流センタ、事務所、公園、住宅、学校、病院、駅、空港又は駐車場等である。さらに、例えば、船舶、電車又は飛行機の内部等、乗り物の内部に移動体2が配備されている場合には、乗り物の内部が所定エリアA1になる。
本開示でいう「所定エリア」は、現実にある実空間の他に、現実にある空間を模擬した仮想空間を含み得る。また、本開示でいう「移動体」は、現実にある所定エリアA1内を移動する現実に存在する移動体の他に、現実にある所定エリアA1を模擬した仮想空間としての所定エリアA1内を移動する仮想空間でのみ存在する移動体を含み得る。つまり、設計支援システム100は、仮想空間での移動体2の移動をシミュレーションすることで得られた情報に基づいて、現実にある所定エリアA1内を移動する移動体2の移動経路の設計を支援することが可能である。本実施形態では、移動体2は、現実にある所定エリアA1内を移動する現実に存在する移動体である。
設計支援システム100は、図1に示すように、取得部102と、出力部103と、を備えている。
取得部102は、プローブ情報を取得する。プローブ情報は、所定エリアA1内を移動する移動体2の位置情報、及び位置情報に紐付けられた時間情報を含む情報である。位置情報は、一例として、所定エリアA1における移動体2の座標を含み得る。本実施形態では、位置情報は、所定エリアA1を二次元直交座標系で表した平面における移動体2の座標である。時間情報は、一例として、移動体2が位置情報で表される所定エリアA1における所定の位置(座標)に到達した時刻を含み得る。本実施形態では、時間情報は、移動体2が所定の座標に到達した時刻である。つまり、プローブ情報は、移動体2の位置の時系列データであって、言い換えれば、移動体2の軌跡Tr0(図4参照)を表す情報である。
出力部103は、取得部102で取得したプローブ情報を、所定エリアA1を表す地図情報に紐付けて表示部31に出力する。地図情報は、一例として、所定エリアA1を模擬した三次元画像を含み得る。例えば、所定エリアA1が倉庫であれば、地図情報は、倉庫内の実際の空間を模擬した三次元画像を含むことになる。また、地図情報は、一例として、所定エリアA1の基準位置を基準として所定エリアA1を二次元直交座標系で表した平面と、平面と直交する時刻を表す軸と、で表された三次元画像を含み得る。もちろん、地図情報は、所定エリアA1を平面で表した二次元画像であってもよいし、所定エリアA1を直線で表した一次元画像であってもよい。
本実施形態では、出力部103は、例えば図4に示すように、プローブ情報に基づく移動体2の軌跡Tr0を、地図情報に含まれる三次元画像上に描画した画像を含む情報を表示部31に出力する。つまり、本実施形態では、出力部103は、プローブ情報及び地図情報が表示部31にて三次元画像で表示されるように地図情報を出力する。これにより、出力部103は、設計支援システム100のユーザ(例えば、設計支援システム100の管理者等)に対して、所定エリアA1における移動体2の軌跡Tr0を提示することが可能である。
上述のように、本実施形態では、ユーザが所定エリアA1における移動体2の軌跡Tr0を視覚的に把握することができるので、移動体2の移動経路に不備があるか否かを把握しやすい。その結果、本実施形態では、移動体2の移動経路の設計の見直しを図りやすい、という利点がある。
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態に係る設計支援システム100について図1を参照して説明する。本実施形態では、設計支援システム100は、サーバ装置により実現される。また、本実施形態では、設計支援システム100は、制御システム1により制御される1台以上(ここでは、複数台)の移動体2の移動経路の設計を支援する。つまり、本実施形態では、移動体2は、複数台である。
制御システム1と複数台の移動体2の各々とは、互いに通信可能に構成されている。また、制御システム1と表示部31を有する情報端末3とは、互いに通信可能に構成されている。また、設計支援システム100と、制御システム1及び情報端末3の各々とは、互いに通信可能に構成されている。本開示における「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワークNT1若しくは中継器4等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。
本実施形態では、制御システム1と複数台の移動体2の各々とは、互いに双方向に通信可能であって、制御システム1から移動体2への情報の送信、及び移動体2から制御システム1への情報の送信の両方が可能である。同様に、本実施形態では、制御システム1と情報端末3とは、互いに双方向に通信可能であって、制御システム1から情報端末3への情報の送信、及び情報端末3から制御システム1への情報の送信の両方が可能である。同様に、本実施形態では、設計支援システム100と、制御システム1及び情報端末3の各々とは、互いに双方向に通信可能である。したがって、設計支援システム100から制御システム1(又は情報端末3)への情報の送信、及び制御システム1(又は情報端末3)から設計支援システム100への情報の送信の両方が可能である。
情報端末3は、例えば設計支援システム100のユーザが所有する端末である。一例として、情報端末3は、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等である。
表示部31は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であって、出力部103から出力される情報(ここでは、地図情報及びプローブ情報)を表示する。本実施形態では、表示部31は、情報端末3に備え付けのディスプレイである。したがって、ユーザは、表示部31を見ることにより、出力部103から出力される情報を閲覧することが可能である。なお、表示部31は、タッチパネルディスプレイであってもよい。
本実施形態では、制御システム1、複数台の移動体2、及び情報端末3は、設計支援システム100の構成に含まれないこととするが、これらは設計支援システム100の構成に含まれていてもよい。
(2.2)移動体
次に、本実施形態で例示する移動体2の構成について、より詳細に説明する。移動体2は、所定エリアA1内で搬送対象物52を運搬するための無人搬送車であり、搬送対象物52を積載して目的地まで自律走行する。つまり、本実施形態では、移動体2は、搬送対象物52を搬送する搬送機能を有している。本実施形態では、制御システム1が、ネットワークNT1及び中継器4を介して移動体2と通信し、移動体2の移動を制御する。
移動体2は、図2に示すように、例えば、所定エリアA1の床面等からなる平坦な移動面51を自律走行する。ここでは一例として、移動体2は、蓄電池を備え、蓄電池に蓄積された電気エネルギを用いて動作することとする。本実施形態では、移動体2は、搬送対象物52を積載した状態で移動面51上を走行する。これにより、移動体2は、例えば、所定エリアA1における、ある場所に置かれている搬送対象物52を、所定エリアA1における別の場所に搬送することが可能である。本実施形態では、搬送対象物52は、一例として、物品が載せられた、ロールボックスパレット等のパレットである。
移動体2は、本体部21を備えている。本体部21は、平面視において長方形状となる直方体状に形成されている。本実施形態では、本体部21が搬送対象物52の下方に潜り込んで搬送対象物52を持ち上げるようにして、搬送対象物52が本体部21に積載される。そのため、本体部21が搬送対象物52の下方に生じる隙間に収まるように、本体部21の上下方向の寸法は、平面視における本体部21の短手方向の寸法に比べても小さく設定されている。本実施形態では、本体部21は金属製である。ただし、本体部21は、金属製に限らず、例えば、樹脂製であってもよい。
本体部21は、車体部22と、昇降板23と、を有している。車体部22は、複数(ここでは、4つ)の車輪221、及び検知部222を含んでいる。
複数の車輪221は、平面視において車体部22の四隅に配置されている。本実施形態では、複数の車輪221の全てが駆動輪である。これら複数の車輪221が個別に駆動されることにより、本体部21は、移動面51に沿って全方位に移動可能となる。つまり、本体部21は、複数の車輪221の各々の回転により、移動面51の上を、前、後、左及び右の全方位に移動可能である。複数の車輪221の各々は、例えば、オムニホイール等の全方向移動型車輪であってもよい。
検知部222は、本体部21の挙動、及び本体部21の周辺状況等を検知する。本開示でいう「挙動」は、動作及び様子等を意味する。つまり、本体部21の挙動は、本体部21が走行中/停止中を表す本体部21の動作状態、本体部21の速度(及び速度変化)、本体部21に作用する加速度、及び本体部21の姿勢等を含む。具体的には、検知部222は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部21の挙動を検知する。また、検知部222は、例えば、イメージセンサ(カメラ)、ソナーセンサ、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部21の周辺状況を検知する。
また、検知部222は、本体部21の位置、つまり移動体2の現在位置を特定する位置特定部を有している。位置特定部は、一例として、複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信機を含む。複数の発信器は、移動体2が移動する範囲内の複数箇所に配置されている。位置特定部は、複数の発信器の位置と、受信機でのビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、本体部21の位置を測定する。位置特定部は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを用いて実現されてもよい。
本体部21は、検知部222の検知結果に基づいて、複数の車輪221を個別に駆動することにより、移動面51上を自律的に移動する。本体部21は、例えば本体部21の現在位置に基づいて、制御システム1により指令された移動経路に沿って本体部21が移動するように車体部22を動作させる。これにより、本体部21の自律走行が実現される。
昇降板23は、車体部22の上面の少なくとも一部を覆うように、車体部22の上方に配置されている。本実施形態では、昇降板23は、車体部22の上面の四隅をそれぞれ覆うように設けられている。移動体2にて搬送対象物52を搬送する際には、昇降板23の上面に搬送対象物52が積載される。
ここで、昇降板23は、車体部22に対して昇降可能である。このため、本体部21が搬送対象物52の下方に潜り込んだ状態で、昇降板23が上昇することにより、昇降板23にて搬送対象物52が持ち上げられる。反対に、昇降板23にて搬送対象物52を持ち上げた状態で、昇降板23が下降することにより、昇降板23から搬送対象物52が降ろされる。
また、移動体2は、上記以外の構成、例えば、蓄電池の充電回路、及びユーザインタフェース等を適宜備えている。
(2.3)制御システム及び設計支援システム
次に、本実施形態の制御システム1及び設計支援システム100について、より詳細に説明する。本実施形態の制御システム1は、例えばサーバ装置で実現されている。制御システム1は、図1に示すように、通信部11と、処理部12と、を有している。
制御システム1は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御システム1として機能する。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
指令部11は、ネットワークNT1及び各中継器4を介して、各移動体2に対して搬送指令を送信する。搬送指令は、所定エリアA1における搬送対象物52が存在する出発地点、所定エリアA1における搬送対象物52の目的地点、及び出発地点から目的地点までの移動体2の移動経路の情報を含み得る。各移動体2は、搬送指令に従って出発地点にある搬送対象物52を積載し、移動経路に沿って移動することにより、搬送対象物52を目的地点まで搬送する。
通信部12は、複数台の移動体2の各々と、情報端末3と、それぞれ通信可能に構成されている。本実施形態では、複数の移動体2の各々は、所定エリアA1に配置される複数の中継器4のいずれかと、電波を媒体とする無線通信によって通信を行う。そのため、制御システム1と複数の移動体2とは、少なくともネットワークNT1及び中継器4を介して、間接的に通信を行うことになる。
つまり、各中継器4は、各移動体2と制御システム1との間の通信を中継する機器(アクセスポイント)である。中継器4は、ネットワークNT1を介して、制御システム1の通信部11と通信する。本実施形態では一例として、中継器4と移動体2との間の通信には、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、無線通信を採用する。また、ネットワークNT1は、インターネットに限らず、例えば、所定エリアA1内又は所定エリアA1の運営会社内のローカルな通信ネットワークが適用されてもよい。
設計支援システム100は、記憶部101と、取得部102と、出力部103と、渋滞情報生成部104と、コスト設定部105と、対策情報生成部106と、更新部107と、を有している。
記憶部101は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体にて実現される。記憶部101は、例えば、所定エリアA1を表す地図情報、取得部102で取得したプローブ情報を記憶する他、渋滞情報生成部104、コスト設定部105、及び対策情報生成部106でそれぞれ生成された渋滞情報、通行コスト、及び対策情報等を記憶する。
取得部102は、ネットワークNT1及び各中継器4を介して、各移動体2からプローブ情報を定期的に(例えば、1秒ごとに)取得する。プローブ情報は、所定エリアA1内を移動する移動体2の位置情報、及び位置情報に紐付けられた時間情報を含む。本実施形態では、移動体2は、既に述べたように、位置特定部により、移動体2の位置情報と、位置情報を取得した時刻(つまり、時間情報)と、を取得する。このため、本実施形態では、各移動体2は、位置特定部により位置情報及び時間情報を取得するごとに、ネットワークNT1及び各中継器4を介して、制御システム1へプローブ情報を送信する。取得部102で取得されたプローブ情報は、移動体2ごとに記憶部101に記憶される。
出力部103は、取得部102で取得したプローブ情報を、所定エリアA1を表す地図情報に紐付けて表示部31に出力する。以下の説明では、プローブ情報が紐付けられた地図情報を含む出力部103から出力される情報を、単に「出力情報」ともいう。本実施形態では、出力情報は、例えば記憶部101に蓄積された各移動体2のプローブ情報の履歴(つまり、各移動体2の軌跡Tr0)を、地図情報に含まれる画像(ここでは、所定エリアA1を表す三次元画像)に描画することで生成される。出力情報は、取得部102でプローブ情報の取得を開始してからの全期間の情報であってもよいし、一部の期間(例えば、数時間、数日等)の情報であってもよい。
本実施形態では、出力部103は、所定のトリガを受け付けると、ネットワークNT1を介して、情報端末3へ出力情報を送信する。所定のトリガは、一例として、情報端末3から送信される要求信号を受信することである。要求信号は、ユーザが情報端末3にて出力情報を要求する所定の操作を実行することにより、情報端末3から送信される。その他、所定のトリガは、例えば設計支援システム100に内蔵されたタイマにより所定時間を計時することであってもよい。この場合、出力部103は、ユーザの意思に依らず、定期的に情報端末3へ出力情報を送信する。
ここで、表示部31に表示される出力情報の一例について、図3及び図4を用いて説明する。ここでは、出力情報には、地図情報及びプローブ情報のみが含まれることとし、後述する渋滞情報等の他の情報は含まれないこととする。図3に示すように、移動体2が所定エリアA1における地点P1を出発地点とし、目的地点である地点P3まで一定速度で直進移動した、と仮定する。ただし、移動体2は、地点P1と地点P3との間の中間地点である地点P2にて、一定時間停止した、と仮定する。ここでは、移動体2の中心が各地点P1〜P3に一致することをもって、移動体2が各地点P1〜P3に到達したこととする。また、ここでは、説明を簡単にするために、移動体2の加速度を無視している。つまり、移動体2は、停止する際には、一定速度で移動している状態から即座に停止状態へと移行できることとし、移動を再開する際には、停止状態から即座に一定速度で移動する状態へと移行できることとする。
この場合、出力部103が表示部31に出力情報(地図情報及びプローブ情報)を出力することにより、表示部31には、図4に示すような三次元画像が表示される。図4に示す例では、互いに直交する3本の数直線X軸、Y軸、及びT軸の三次元直交座標系が、地図情報として表示されている。X軸及びY軸が規定する平面は、移動体2が移動する移動面51を表している。T軸は、時刻を表している。三次元直交座標系においては、地点P1、地点P2、及び地点P3の位置(座標)は、それぞれ(x1,y1)、(x2,y2)、及び(x3,y3)で表される。また、三次元直交座標系においては、地点P1に移動体2が到達した時刻、地点P2に移動体2が到達した時刻、地点P2から移動体2が移動を再開した時刻、及び地点P3に移動体2が到達した時刻は、それぞれ「0」、「t1」、「t2」、及び「t3」で表される。したがって、図4に示す例では、P10(x1,y1,0)、P20(x2,y2,t1)、P21(x2,y2,t2)、及びP30(x3,y3,t3)を順に結ぶ線で表される移動体2の軌跡Tr0が、プローブ情報として表示されている。
ユーザは、表示部31に表示された出力情報を見ることにより、移動体2が移動経路に沿ってどのように移動しているかを把握することが可能である。具体的には、ユーザは、表示部31に表示された移動体2の軌跡Tr0を見ることにより、移動体2の移動経路を把握することが可能である。また、ユーザは、表示部31に表示された移動体2の軌跡Tr0の傾きを見ることにより、移動体2の速度を把握することが可能である。ここで、軌跡Tr0の傾きは、任意の2点を結ぶ線分について、T軸に投影した線分の長さを、XY平面に投影した線分の長さで除した値に相当する。
つまり、移動体2の軌跡Tr0の傾きが緩やかであればある程、移動体2の速度が大きく、移動体2の軌跡Tr0の傾きが急であればある程、移動体2の速度が小さくなる。そして、移動体2の軌跡Tr0がT軸と平行であれば、移動体2が停止していることになる。
渋滞情報生成部104は、取得部102で取得したプローブ情報に基づいて、移動体2が渋滞する位置及び時間の少なくとも一方を含む渋滞情報を生成する。本開示でいう「渋滞」は、同じ時間帯に複数台の移動体2が同じ場所に到達又は同じ場所を通過することで、少なくとも1台以上の移動体2が停止したり、速度閾値を下回る速度で移動したりする状態をいう。また、本実施形態では、移動体2が1台の場合であって、例えば隘路等の移動のボトルネックとなる場所を、移動体2が速度閾値を下回る速度で通過する状態も「渋滞」に含まれ得る。
具体的には、渋滞情報生成部104は、各移動体2の軌跡Tr0に基づいて、所定の台数以上の移動体2の軌跡Tr0の傾きが閾値以上となる(つまり、移動体2が速度閾値を下回る速度で移動している)場所及び時間を特定し、特定した場所及び時間を含む渋滞情報を生成する。渋滞情報では、特定した場所(つまり、渋滞の発生している場所)は、X軸及びY軸で規定される平面の座標の集合で表される。また、渋滞情報では、特定した時間は、時刻の集合で表される。そして、出力部103は、渋滞情報生成部104で生成された渋滞情報を、地図情報に紐付けて表示部31に出力する。本実施形態では、渋滞情報は、上記座標の集合及び上記時刻の集合で表される領域B1(図6参照)を、地図情報に含まれる画像(ここでは、所定エリアA1を表す三次元画像)に描画することで地図情報に紐付けられる。
本実施形態では、渋滞情報には、例えば特定の場所に存在する移動体2の台数、又は特定の場所での移動体2の速度に応じた、渋滞度合いが含まれている。つまり、渋滞情報は、渋滞が発生しているか否かの2段階で表されるのみならず、渋滞が発生している場合には渋滞度合いが更に細分化された複数の段階で表されることになる。
ここで、表示部31に表示される出力情報(渋滞情報を含む)の一例について、図5〜図8を用いて説明する。図5及び図6に示す例では、所定エリアA1が工場であって、移動体2は、部屋A111から通路A113を通って部屋A112まで移動し、その後、通路A113を通って再び部屋A111まで戻る、と仮定する。
図5及び図6に示す例では、出力部103が表示部31に出力情報を出力することにより、表示部31には、図5に示すような二次元画像、又は図6に示すような三次元画像が表示される。いずれの画像を表示部31に表示するかは、例えばユーザが情報端末3を操作することで適宜選択することが可能である。図5に示す例では、所定エリアA1を表す平面が、地図情報として表示されている。図6に示す例では、互いに直交する3本の数直線X軸、Y軸、及びT軸の三次元直交座標系が、地図情報として表示されている。また、図6に示す例では、移動体2の軌跡Tr0が、プローブ情報として表示されている。
図6に示す例では、所定エリアA1における領域B11において、移動体2の軌跡Tr0の傾きが、他の場所よりも急になっている。なお、図6では、2つの領域B11が描画されているが、これらの領域B11は互いにプロットされた時刻が異なっているだけで、所定エリアA1における同じ場所を表している。つまり、領域B11においては、例えば通路A113が隘路になっている、又は通路A113に障害物が置かれている等して、移動体2の速度を小さくしなければ通行することが困難な状況となっている。このため、渋滞情報生成部104は、領域B11において移動体2の渋滞が発生していることを表す渋滞情報を生成する。そして、出力部103は、渋滞情報が地図情報に重ねて表示部31に表示されるように、出力情報を出力する。したがって、図5及び図6に示す例では、表示部31には、渋滞情報として、領域B11を表す破線の円が画像に重ねて描画される。
図7及び図8に示す例では、所定エリアA1が倉庫A12であって、複数台の移動体2は、それぞれ対応するラックC1から物品(搬送対象物52)をピックアップし、ピックアップした物品を倉庫の出入口A121に搬送した後に、元の位置に戻る、と仮定する。つまり、図7及び図8に示す例では、移動体2は、パレットを搬送対象物52として搬送する搬送機能を有する代わりに、ラックC1に陳列されている物品を搬送対象物52としてピックアップして搬送する搬送機能を有している。
図7及び図8に示す例では、出力部103が表示部31に出力情報を出力することにより、表示部31には、図7に示すような三次元画像、又は図8に示すような三次元画像が表示される。いずれの画像を表示部31に表示するかは、例えばユーザが情報端末3を操作することで適宜選択することが可能である。図7に示す例では、所定エリアA1を模擬した三次元画像が、地図情報として表示されている。図8に示す例では、互いに直交する3本の数直線X軸、Y軸、及びT軸の三次元直交座標系が、地図情報として表示されている。また、図8に示す例では、複数台(ここでは、4台)の移動体2A〜2Dの各々の軌跡Tr1〜Tr4が、プローブ情報として表示され、かつ、所定エリアA1を平面的に表した二次元画像がXY平面に描画されている。
図8に示す例では、所定エリアA1における領域B12において、複数台の移動体2のうちの2台の移動体2C,2Dの軌跡Tr3,Tr4が、いずれもT軸に平行になっている。つまり、領域B12においては、例えば2台の移動体2C,2Dが出入口A121付近に集結する等して、2台の移動体2C,2Dが停止した状況となっている。このため、渋滞情報生成部104は、領域B12において2台の移動体2C,2Dの渋滞が発生していることを表す渋滞情報を生成する。そして、出力部103は、渋滞情報が地図情報に重ねて表示部31に表示されるように、出力情報を出力する。したがって、図7及び図8に示す例では、表示部31には、渋滞情報として、領域B12を表す破線の円が画像に重ねて描画される。
ユーザは、表示部31に表示された渋滞情報を見ることにより、移動体2の渋滞が発生しているか否かを把握することが可能である。例えば、ユーザは、複数の移動体2が渋滞することによりデッドロックが発生する可能性が高いと推定される位置及び時間を、表示部31を見ることで把握することが可能である。ここでいう「デッドロック」は、複数台の移動体2が相対し、互いに相手の移動体2を検知することで、互いに回避しようとしたり、互いに通過するまで待機しようとしたりすることで停止し続ける状態をいう。
コスト設定部105は、移動体2の移動経路に対して、渋滞情報生成部104で生成された渋滞情報に基づく通行コストを設定する。具体的には、コスト設定部105は、渋滞情報に基づいて、つまり移動体2の移動経路の渋滞度合いに基づいて、当該通行コストを設定する。ここでは、渋滞度合いが大きければ大きい程、通行コストを大きく設定し、渋滞度合いが小さければ小さい程、通行コストを小さく設定する。本実施形態では、コスト設定部105は、出発地点から目的地点までの1つの移動経路に対して通行コストを設定してもよいし、1つの移動経路を複数の経路に区分し、複数の経路ごとに通行コストを設定してもよい。
また、本実施形態では、通行コストは、移動体2が通行する時間に応じて設定される。つまり、移動体2の移動経路が同じであっても、時間によっては通行コストが異なる場合が生じ得る。一例として、ある移動体2の移動経路において、8時〜8時30分の第1時間帯での渋滞度合いが、9時〜9時30分の第2時間帯での渋滞度合いよりも小さい、と仮定する。この場合、この移動経路の第1時間帯での通行コストは、第2時間帯での通行コストよりも小さく設定されることになる。
対策情報生成部106は、渋滞情報生成部104で生成された渋滞情報に基づいて、移動体2の渋滞を緩和させる対策情報を生成する。本実施形態では、対策情報生成部106は、コスト設定部105で設定された通行コストに基づいて、つまり間接的に渋滞情報に基づいて、対策情報を生成する。一例として、ある移動体2の現在の移動経路上に、渋滞が発生している場所(言い換えれば、通行コストがコスト閾値を上回る場所)が存在する、と仮定する。この場合、対策情報生成部106は、渋滞が発生している場所よりも通行コストの小さい場所を通過する新たな移動経路を作成する。そして、出力部103は、作成した移動経路を含む対策情報(つまり、対策情報生成部106で生成された対策情報)を、表示部31に更に出力する。対策情報は、地図情報とは別に単独で表示部31に表示されてもよいし、地図情報に重ねて表示部31に表示されてもよい。
ところで、移動体2の移動経路を変更すると、他の移動体2の移動経路にも影響を与える可能性がある。このため、移動体2の移動経路を変更することで現在発生している渋滞を緩和することができても、他の渋滞が発生する可能性がある。そこで、対策情報生成部106は、移動体2の移動経路を変更することで他の移動体2の移動経路へ与える影響を考慮した適宜のアルゴリズムにより、新たな移動経路を作成することが好ましい。
ここで、表示部31に表示される対策情報の一例について、図9を用いて説明する。図9に示す例では、表示部31には、第1領域311に渋滞情報が、第2領域312に対策情報が、第3領域313に選択情報が表示されている。なお、図9に示す例において、各領域311〜313を表す破線は、実際には表示部31には描画されない。第1領域311には、渋滞情報として、渋滞が発生したことを表すメッセージと、渋滞が発生した時間帯と、渋滞が発生した場所と、が表示されている。第2領域312には、対策情報として、移動体2の移動経路の変更を促すメッセージと、変更対象となる時間帯と、変更対象となる場所と、が表示されている。第3領域313には、選択情報として、移動体2の移動経路を更新する意思をユーザに問い合わせるメッセージと、選択肢を表すアイコンD1,D2と、が表示されている。
ユーザは、表示部31に表示された対策情報を見ることにより、移動体2の移動経路を変更すべきか否かを判断することが可能である。例えば、ユーザは、対策情報として提示された移動体2の新たな移動経路(ここでは、変更対象の場所)に変更しても問題ないと判断すれば、情報端末3を操作することによりアイコンD1を選択する。また、ユーザは、対策情報として提示された移動体2の新たな移動経路に変更することに問題があると判断すれば、情報端末3を操作することによりアイコンD2を選択する。
更新部107は、対策情報生成部106で生成された対策情報に基づいて、移動体2の移動経路を更新する。本実施形態では、更新部107は、対策情報を表示部31に表示させた際に、ユーザが新たな移動経路へ変更する意思を示した場合に、対策情報に基づいて移動体2の移動経路を新たな移動経路へ更新する。具体的には、更新部107は、指令部101から送信される搬送指令に含まれる移動体2の現在の移動経路を、新たな移動経路に書き換える。なお、更新部107は、移動体2の新たな移動経路を含む情報を制御システム1に与えてもよい。この場合、制御システム1の指令部11が搬送指令を書き換えることになる。移動体2の移動経路を更新した場合、出力部103は、移動経路を更新したことを知らせる画像を表示部31に表示させてもよい。
(3)動作
以下、本実施形態の設計支援システム100の動作の一例について、図10を参照して説明する。まず、取得部102は、ネットワークNT1及び各中継器4を介して、各移動体2からプローブ情報を取得する(S1)。取得部102にて取得した各移動体2のプローブ情報は、記憶部101に記憶される。
次に、例えばユーザが情報端末3に対して特定の操作を行う等して、設計支援システム100が所定のトリガを受け付けると、設計支援システム100は、出力部103から表示部31へ出力させる出力情報の生成を開始する。まず、渋滞情報生成部104が、取得部102にて取得した各移動体2のプローブ情報に基づいて、渋滞情報を生成する(S2)。渋滞が発生していない場合(S3:No)、出力部103は、出力情報(地図情報及びプローブ情報)を表示部31に出力することにより、表示部31に地図情報(プローブ情報を含む)を表示させる(S4)。
一方、所定エリアA1のいずれかの場所で渋滞が発生している場合(S3:Yes)、コスト設定部105は、渋滞情報生成部104で生成された渋滞情報に基づいて、各移動体2の移動経路の通行コストを設定する(S5)。次に、対策情報生成部106は、コスト設定部105で設定された各移動体2の移動経路の通行コストに基づいて、対策情報を生成する(S6)。そして、出力部103は、出力情報(地図情報、プローブ情報、及び渋滞情報等)を表示部31に出力することにより、表示部31に地図情報等を表示させる(S7)。図10に示す「α」は、渋滞情報及び対策情報を意味する。
表示部31に表示された対策情報を見たユーザは、例えば情報端末3を操作することにより、各移動体2の移動経路を更新する意思があるか否かを選択する。ここで、ユーザは、移動体2ごとに、更新する意思があるか否かを選択してもよい。ユーザに更新の意思がある場合(S8:Yes)、更新部107は、対策情報生成部106で生成された対策情報に基づいて、各移動体2の移動経路を新たな移動経路に更新する(S9)。ユーザが移動体2ごとに更新する意思があるか否かを選択している場合、更新部107は、更新する意思があると選択された移動体2についてのみ、移動経路を新たな移動経路に更新する。
上述のように、本実施形態では、ユーザが所定エリアA1における移動体2の軌跡Tr0を視覚的に把握することができるので、移動体2の移動経路に不備があるか否かを把握しやすい。その結果、本実施形態では、移動体2の移動経路の設計の見直しを図りやすい、という利点がある。
(実施形態2)
本実施形態では、設計支援システム100Aは、制御シミュレータ6でのシミュレーション結果に基づいて、1台以上(ここでは、複数台)の移動体2の移動経路の設計を支援する点で、実施形態1の設計支援システム100と相違する。
本実施形態では、設計支援システム100Aと制御シミュレータ6とは、互いに双方向に通信可能である。すなわち、本実施形態では、ネットワークNT1を介して、設計支援システム100Aから制御シミュレータ6への情報の送信、及び制御シミュレータ6から設計支援システム100Aへの情報の送信の両方が可能である。
制御シミュレータ6は、例えばサーバ装置により実現される。制御シミュレータ6は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御シミュレータ6として機能する。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御シミュレータ6は、設計支援システム100AからネットワークNT1を介して与えられる地図情報に基づいて、実空間としての所定エリアA1を仮想空間として模擬する機能を有している。また、制御シミュレータ6は、各移動体2に対して与えられる搬送指令に基づいて、仮想空間としての所定エリアA1にて複数台の仮想的な移動体2の動きを模擬する機能を有している。つまり、制御シミュレータ6は、現実に存在する複数台の移動体2を、現実にある所定エリアA1内で制御システム1により移動させた場合の各移動体2の軌跡Tr0を模擬する。
本実施形態では、取得部102は、ネットワークNT1を介して、制御シミュレータ6で模擬された各移動体2のプローブ情報を取得する。ここで、制御シミュレータ6は、所定の初期条件と、シミュレーションの実行時間と、を指定することにより、シミュレーションの実行期間における各移動体2の全ての動きを模擬する。初期条件は、一例として、各移動体2の位置及び向き、所定エリアA1に存在する搬送対象物52の位置及び状態、並びに移動経路の通行コスト等である。つまり、本実施形態では、取得部102は、実施形態1のように各移動体2のプローブ情報を逐次取得するのではなく、制御シミュレータ6のシミュレーション結果(つまり、各移動体2のプローブ情報)を一括して取得することになる。
このため、出力部103は、実施形態1と同様に、情報端末3の表示部31に地図情報(プローブ情報を含む)を表示させることが可能である。また、本実施形態では、実施形態1と同様に、渋滞情報生成部104での渋滞情報の生成、コスト設定部105での通行コストの設定、及び対策情報生成部106での対策情報の生成が可能である。さらに、本実施形態では、実施形態1と同様に、更新部107での各移動体2の移動経路の更新が可能である。
上述のように、本実施形態の設計支援システム100Aでは、制御シミュレータ6でのシミュレーション結果に基づいて、複数台の移動体2の移動経路に不備があるか否かを把握することができる。このため、本実施形態では、実際に複数台の移動体2を現実にある所定エリアA1で運用する前に、各移動体2の移動経路の設計の最適化を図りやすい、という利点がある。
(4)変形例
上述の実施形態1,2は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態1,2は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上述の実施形態1,2に係る設計支援システム100,100Aと同様の機能は、設計支援方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係る設計支援方法は、取得ステップと、出力ステップと、を有する。取得ステップは、所定エリアA1内を移動する移動体2の位置情報及び位置情報に紐付けられた時間情報を含むプローブ情報を取得するステップである。出力ステップは、取得ステップで取得したプローブ情報を、所定エリアA1を表す地図情報に紐付けて表示部31に出力するステップである。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の設計支援方法を実行させる。
以下、上述の実施形態1,2の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における設計支援システム100,100Aは、例えば、取得部102及び出力部103等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における設計支援システム100,100Aとしての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、設計支援システム100,100Aにおける複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは設計支援システム100,100Aに必須の構成ではなく、設計支援システム100,100Aの構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、設計支援システム100,100Aの少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
上述の実施形態1,2において、出力部103が出力する地図情報は、所定エリアA1を表す一次元画像又は二次元画像であってもよい。この場合、一次元画像又は二次元画像では表示部31に視覚的に表示されなくなる可能性のある情報(例えば、移動体2の軌跡Tr0等)については、一次元画像又は二次元画像で表される情報に織り込まれるのが好ましい。例えば、所定エリアA1を表す二次元画像が地図情報であれば、移動体2の速度に応じて、移動体2の軌跡Tr0の色、太さ、軌跡Tr0を表す線種等を変更するのが好ましい。具体的には、移動体2の速度が速度閾値以上であれば黒色、移動体2の速度が速度閾値を下回れば赤色で表してもよい。また、移動体2の速度が速度閾値以上であれば軌跡Tr0を表す線を太くし、移動体2の速度が速度閾値を下回れば軌跡Tr0を表す線を細くしてもよい。さらに、移動体2の速度が速度閾値以上であれば軌跡Tr0を表す線種を実線、移動体2の速度が速度閾値を下回れば軌跡Tr0を表す線種を破線にしてもよい。つまり、出力部103は、移動体2の軌跡Tr0の傾きに応じて表示部31にて表示される態様が変化するようにプローブ情報を出力してもよい。もちろん、出力部103は、所定エリアA1を表す三次元画像が地図情報である場合も、上記と同様に、表示部31にて表示される態様が変化するようにプローブ情報を出力してもよい。
上述の実施形態1,2において、出力部103は、移動体2が所定の動作を実行していることを表す実行情報を、地図情報に紐付けて表示部31に出力してもよい。所定の動作は、例えば移動体2が搬送対象物52を下ろしている動作、又は移動体2が搬送対象物52を載せている動作等を含み得る。また、所定の動作は、例えば移動体2が蓄電池を充電する動作等を含み得る。すなわち、移動体2が所定の動作を実行するために一時的に停止している状態は、複数の移動体2の混雑に起因する状態ではない。そこで、このような状態を例外として表示部31に表示することで、ユーザに渋滞が発生しているわけではないことを把握させやすくすることが可能である。
上述の実施形態1,2において、出力部103は、地図情報及びプローブ情報のみを表示部31に出力してもよい。また、出力部103は、渋滞情報及び対策情報の少なくとも一方は、表示部31に出力しなくてもよい。
上述の実施形態1,2では、出力部103は、移動体2のプローブ情報の履歴に基づいて、出力情報(地図情報及びプローブ情報等)を表示部31に出力しているが、これに限らない。例えば、出力部103は、移動体2のプローブ情報を取得するごとに、つまりリアルタイムに出力情報を表示部31に出力してもよい。
上述の実施形態1,2では、出力部103は、プローブ情報として、移動体2の軌跡Tr0を全て表示部31に表示させているが、これに限らない。例えば、出力部103は、プローブ情報として、所定の条件を満たした移動体2の軌跡Tr0のみを表示部31に表示させてもよい。所定の条件は、一例として、移動体2の軌跡Tr0の傾き(つまり、移動体2の速度)が閾値を下回ることである。この場合、表示部31には、速度閾値を下回る速度で移動する移動体2の軌跡Tr0のみが表示されるので、ユーザが渋滞の発生している場所を視覚的に把握しやすくなる、という利点がある。閾値(速度閾値)は、例えばユーザが情報端末3を操作することにより、適宜変更可能であってもよい。
上述の実施形態1,2において、更新部107は、ユーザに対して移動体2の移動経路の更新の意思があるか否かを問わずに、対策情報に基づいて移動体2の移動経路を自動的に更新してもよい。この場合、出力部103は、対策情報を表示部31に表示させなくてもよい。
上述の実施形態1では、移動体2は、ネットワークNT1及び各中継器4を介して制御システム1と通信しているが、これに限らない。例えば、移動体2は、中継器4を介さずに、ネットワークNT1を介して制御システム1と通信する態様であってもよい。この場合、所定エリアA1に中継器4を配置する必要はない。
上述の実施形態1,2において、移動体2は、搬送機能を有していなくてもよい。また、上述の実施形態1,2において、複数台の移動体2が存在する場合、複数台の移動体2が全て同じ機能を有している必要はなく、互いに異なる機能を有していてもよい。
上述の実施形態1において、設計支援システム100は、上述の実施形態2の設計支援システム100Aにて取得したプローブ情報を記憶部101に記憶させていてもよい。そして、設計支援システム100は、図12に示すように、判定部108を更に備えていてもよい。
判定部108は、取得部102で取得したプローブ情報と、過去に取得部102で取得したプローブ情報(以下、「過去プローブ情報」という)と、を比較する。ここで、過去プローブ情報は、一例として、上述の実施形態2の設計支援システム100Aにて取得したプローブ情報、つまり制御シミュレータ6で模擬された各移動体2のプローブ情報である。もちろん、過去プローブ情報は、上述の実施形態1の設計支援システム100の取得部102にて取得した、現実の各移動体2のプローブ情報であってもよい。
そして、判定部108は、例えば図13に示すように、プローブ情報と過去プローブ情報との差分Diffが所定の範囲を逸脱した(ここでは、閾値を上回った)場合に、異常と判定する。
図13に、出力部103が出力情報を出力することにより表示部31に表示される画像の一例を示す。図13に示す例では、説明を簡単にするために、1台の移動体2が時刻t4から時刻t6までX軸方向に移動した場合のプローブ情報を、縦軸をT軸、横軸をX軸とする二次元画像で表している。図13において、実線は現実の移動体2の軌跡Tr5、つまり取得部102で取得したプローブ情報を表している。また、図13において、一点鎖線は制御シミュレータ6で模擬された移動体2の軌跡Tr6、つまり過去プローブ情報を表している。
図13に示す例では、時刻t4から時刻t5においては、軌跡Tr5は、軌跡Tr6と殆ど一致しているが、時刻t5以降において、軌跡Tr5が軌跡Tr6からずれ始めている。そして、時刻t6において、軌跡Tr5と軌跡Tr6との差分Diffが閾値を上回ることで、判定部108は、異常が発生したと判定する。判定部108による判定結果は、プローブ情報と併せて出力部103から出力してもよい。
この態様では、ユーザが判定部108の判定結果を確認することにより、移動体2自体、又は移動体2の移動経路に異常が発生しているか否かを把握することが可能である。
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る設計支援システム(100,100A)は、取得部(102)と、出力部(103)と、を備える。取得部(102)は、所定エリア(A1)内を移動する移動体(2)の位置情報及び位置情報に紐付けられた時間情報を含むプローブ情報を取得する。出力部(103)は、取得部(102)で取得したプローブ情報を、所定エリア(A1)を表す地図情報に紐付けて表示部(31)に出力する。
この態様によれば、移動体(2)の移動経路の設計の見直しを図りやすい、という利点がある。
第2の態様に係る設計支援システム(100,100A)では、第1の態様において、出力部(103)は、プローブ情報及び地図情報が表示部(31)にて三次元画像で表示されるように地図情報を出力する。
この態様によれば、プローブ情報及び地図情報が二次元以下の画像で表示部(31)に表示される場合と比較して、移動体(2)の状況を直感的に把握しやすくなる、という利点がある。
第3の態様に係る設計支援システム(100,100A)では、第1又は第2の態様において、出力部(103)は、移動体(2)の軌跡(Tr0)の傾きに応じて表示部(31)にて表示される態様が変化するようにプローブ情報を出力する。
この態様によれば、移動体(2)の軌跡(Tr0)の傾き、つまり移動体(2)の速度を直感的に把握しやすくなる、という利点がある。
第4の態様に係る設計支援システム(100,100A)では、第1〜第3のいずれかの態様において、出力部(103)は、移動体(2)が所定の動作を実行していることを表す実行情報を、地図情報に紐付けて表示部(31)に出力する。
この態様によれば、移動体(2)の移動経路の設計を見直す際に、移動体(2)の所定の動作を例外として取り扱うか否かを判断しやすくなる、という利点がある。
第5の態様に係る設計支援システム(100,100A)は、第1〜第4のいずれかの態様において、渋滞情報生成部(104)を更に備える。渋滞情報生成部(104)は、取得部(102)で取得したプローブ情報に基づいて、移動体(2)が渋滞する位置及び時間の少なくとも一方を含む渋滞情報を生成する。出力部(103)は、渋滞情報生成部(104)で生成された渋滞情報を、地図情報に紐付けて表示部(31)に出力する。
この態様によれば、移動体(2)が渋滞している場所及び時間を参照できるので、移動体(2)の移動経路の設計の見直しを更に図りやすい、という利点がある。
第6の態様に係る設計支援システム(100,100A)は、第5の態様において、コスト設定部(105)を更に備える。コスト設定部(105)は、移動体(2)の移動経路に対して、渋滞情報生成部(104)で生成された渋滞情報に基づく通行コストを設定する。
この態様によれば、通行コスト、つまり渋滞度合いを参照できるので、移動体(2)の移動経路の設計の見直しを更に図りやすい、という利点がある。
第7の態様に係る設計支援システム(100,100A)では、第6の態様において、通行コストは、移動体(2)が通行する時間に応じて設定される。
この態様によれば、時間帯ごとの渋滞度合いを参照できるので、移動体(2)の移動経路の設計の見直しを更に図りやすい、という利点がある。
第8の態様に係る設計支援システム(100,100A)は、第5〜第7のいずれかの態様において、対策情報生成部(106)を更に備える。対策情報生成部(106)は、渋滞情報生成部(104)で生成された渋滞情報に基づいて、移動体(2)の渋滞を緩和させる対策情報を生成する。出力部(103)は、対策情報生成部(106)で生成された対策情報を表示部(31)に更に出力する。
この態様によれば、対策情報を参照できるので、移動体(2)の移動経路の設計の見直しを更に図りやすい、という利点がある。
第9の態様に係る設計支援システム(100,100A)は、第8の態様において、更新部(107)を更に備える。更新部(107)は、対策情報生成部(106)で生成された対策情報に基づいて、移動体(2)の移動経路を更新する。
この態様によれば、移動体(2)の移動経路についての不備を解消しやすい、という利点がある。
第10の態様に係る設計支援システム(100,100A)では、第1〜第9のいずれかの態様において、移動体(2)は、複数である。
この態様によれば、移動体(2)の移動経路の設計の見直しを図りやすい、という利点がある。
第11の態様に係る設計支援システム(100,100A)では、第1〜第10のいずれかの態様において、移動体(2)は、搬送対象物を搬送する搬送機能を有する。
この態様によれば、移動体(2)の移動経路、言い換えれば搬送対象物の搬送経路を含めた搬送計画の設計の見直しを図りやすい、という利点がある。
第12の態様に係る設計支援システム(100,100A)では、第1〜第11のいずれかの態様において、判定部(108)を更に備える。判定部(108)は、取得部(102)で取得したプローブ情報と、過去に取得部(102)で取得したプローブ情報と、の差分が所定の範囲を逸脱した場合に異常と判定する。
この態様によれば、移動体(2)自体、又は移動体(2)の移動経路に異常があることを発見しやすい、という利点がある。
第13の態様に係る設計支援方法は、取得ステップと、出力ステップと、を有する。取得ステップは、所定エリア(A1)内を移動する移動体(2)の位置情報及び位置情報に紐付けられた時間情報を含むプローブ情報を取得するステップである。出力ステップは、取得ステップで取得したプローブ情報を、所定エリア(A1)を表す地図情報に紐付けて表示部(31)に出力するステップである。
この態様によれば、移動体(2)の移動経路の設計の見直しを図りやすい、という利点がある。
第14の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第13の態様に係る設計支援方法を実行させる。
この態様によれば、移動体(2)の移動経路の設計の見直しを図りやすい、という利点がある。
第2〜第12の態様に係る構成については、設計支援システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。