JP2021025495A - エンジンシステム - Google Patents

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Hideaki Osada
英朗 長田
秀輝 加藤
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Abstract

【課題】カムを追加することなく排気バルブのリフトパターンを増やすことのできるエンジンシステムを提供する。【解決手段】排気バルブの開閉タイミングを変更可能な排気側動弁機構を有するエンジンと、排気側動弁機構を通じて排気バルブを制御する制御装置と、を備えたエンジンシステムであって、エンジンは、同一行程の位相が360°CA異なる一対のシリンダーを含み、排気側動弁機構は、一対のシリンダーの各々に対応して設けられたブレーキ用カム77と、ブレーキ用カム77の回転によって圧縮開放ブレーキを実行可能なブレーキ油圧が発生するブレーキ油路87と、一対のブレーキ油路87を互いに接続する接続油路96a,96bと、ブレーキ油圧がブレーキ油路87を伝達する状態とブレーキ油圧がブレーキ油路87の途中から接続油路96a,96bに伝達する状態とを切り替える油路切替部98と、を有する。【選択図】図9

Description

本発明は、エンジンシステムに関する。
例えば特許文献1のように、エンジンブレーキの1つとして、圧縮開放ブレーキが知られている。圧縮開放ブレーキでは、通常の排気バルブの開閉動作に加えて、圧縮行程の上死点である圧縮上死点付近において排気バルブを一時的に開弁して吸入行程で吸入した空気を排出する。こうした圧縮開放ブレーキは、圧縮行程におけるシリンダー内の圧力上昇に加えて膨張行程におけるシリンダー内の圧力低下がクランクシャフトの回転抵抗として作用することにより制動力が得られる構成となっている。
特開2008−157195号公報
圧縮開放ブレーキにおいて、排気バルブは、カムシャフトに形成されたブレーキ用カムのカムプロフィールにしたがって開閉する。一方で、排気バルブは、カムシャフトに形成されるカムを追加することなくリフトパターンを増やすことができることが好ましい。本発明は、カムを追加することなく排気バルブのリフトパターンを増やすことのできるエンジンシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するエンジンシステムは、燃焼室を開閉する排気バルブの開閉タイミングを変更可能な排気側動弁機構を有するエンジンと、前記排気側動弁機構を通じて前記排気バルブの開閉を制御する制御装置と、を備えたエンジンシステムであって、前記エンジンは、同一行程の位相が360°CA異なる一対のシリンダーを含み、前記排気側動弁機構は、前記一対のシリンダーの各々に対応して設けられたブレーキ用カムと、前記一対のシリンダーの各々に対応して設けられ、前記ブレーキ用カムの回転によって圧縮開放ブレーキを実行可能なブレーキ油圧が発生するブレーキ油路と、前記一対のシリンダーに対応するブレーキ油路を互いに接続する接続油路と、前記制御装置に制御されて、前記ブレーキ油圧が前記ブレーキ油路を伝達する状態と前記ブレーキ油圧が前記ブレーキ油路の途中から前記接続油路に伝達する状態とを切り替える油路切替部と、を有する。
圧縮開放ブレーキは、圧縮上死点付近に排気バルブの開弁期間を有している。そのため、上記構成のように、同一行程の位相が360°CA異なる一対のシリンダーにおいてブレーキ油圧が伝達する油路を接続油路に設定することにより、一方のシリンダーのブレーキ油圧を用いて他方のシリンダーの排気上死点付近に排気バルブの開弁期間を設定することができる。すなわち、一方のシリンダーに対応するブレーキ用カムを用いて、他方のシリンダーの排気上死点付近に排気バルブの開弁期間を追加することができる。その結果、新たなカムを追加することなく排気バルブのリフトパターンを増やすことができる。
上記構成のエンジンシステムにおいて、前記一対のブレーキ油路の各々には、前記接続油路として、前記ブレーキ油圧を出力する出力側接続油路と前記ブレーキ油圧が入力される入力側接続油路とが接続されていることが好ましい。
上記構成によれば、ブレーキ油圧を出力する油路とブレーキ油圧が入力される油路とが各別であることから、ブレーキ油路間における接続油路を介したブレーキ油圧の伝達を円滑に行うことができる。
上記構成のエンジンシステムにおいて、前記排気側動弁機構は、前記ブレーキ油路を開閉する開閉弁を備え、前記出力側接続油路は、前記ブレーキ油路における前記開閉弁の上流側に接続され、前記入力側接続油路は、前記ブレーキ油路における前記開閉弁の下流側に接続されることが好ましい。上記構成によれば、開閉弁の開閉状態にかかわらずブレーキ油圧が伝達される油路の切り替えを行うことができる。
上記構成のエンジンシステムにおいて、前記排気側動弁機構は、前記接続油路を介して他方のシリンダーに対応するブレーキ油路に伝達される油圧を調整する油圧調整部を有していることが好ましい。上記構成によれば、接続油路から入力される油圧に基づく排気バルブの開閉動作のリフト量についての自由度を高めることができる。
上記構成のエンジンシステムにおいて、前記制御装置は、ドライバーからの要求トルク、前記触媒の状態、および、前記触媒に流入する排気ガスの温度である排気ガス温度を取得する取得部と、前記エンジンの出力トルクが前記要求トルクとなるように前記エンジンへの燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御部と、前記エンジンシステムの制御モードを選択するモード選択部と、前記排気側動弁機構を通じて前記排気バルブを制御するバルブ制御部と、を備え、前記モード選択部は、前記触媒が活性状態にあり、かつ、前記排気ガス温度が保温可能温度未満であるときに前記制御モードとして保温モードを選択し、前記保温モードにおいて、前記バルブ制御部は、排気行程に設定された閉弁期間の前後において前記排気バルブが開閉する保温排気動作を実行し、前記ブレーキ油圧の伝達油路を前記接続油路に設定することで前記閉弁期間後の開閉動作を実行することが好ましい。
上記構成のように、一方のシリンダーにおける保温排気動作を構成する2つの開閉動作のうち、閉弁期間後の開閉動作については、他方のシリンダーに対応するブレーキ油路で発生したブレーキ油圧で具現化することができる。
エンジンシステムの一実施形態の概略構成を示す図。 シリンダー付近におけるエンジンの断面構造の一例を模式的に示す図。 エンジンシステムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図。 モード選択処理の一例を示すフローチャート。 排気側動弁機構および吸気側動弁機構の概略構成を模式的に示す図。 ブレーキ排気動作、通常排気動作、および、通常吸気動作についてクランク角度とリフト量との関係の一例を示す図。 同一行程の位相が360°CA異なる一対のシリンダーにおける油圧回路の概略構成を模式的に示す図。 ブレーキモードにおける油圧回路の状態を示す図。 保温モードにおける油圧回路の状態を示す図。 同一行程の位相が360°CA異なる一対のシリンダーにおける排気バルブについてクランク角度とリフト量との関係の一例を示す図。 変形例において、排気側動弁機構および吸気側動弁機構の概略構成を模式的に示す図。 変形例において、同一行程の位相が360°CA異なる一対のシリンダーにおける排気バルブについてクランク角度とリフト量との関係の一例を示す図。
図1〜図10を参照して、エンジンシステムの一実施形態について説明する。まず、図1を参照してエンジンシステムの概略構成について説明する。
図1に示すように、エンジンシステムは、ディーゼルエンジン10(以下、エンジン10という。)を備える。エンジン10は、複数のシリンダー11を有するエンジンブロック12を備える。エンジン10は、4つのシリンダー11を有する4気筒エンジンである。各シリンダー11には、コモンレールから所定圧力の燃料が供給されるインジェクター13から燃料が噴射される。エンジンブロック12には、インテークマニホールド14とエキゾーストマニホールド15とが接続されている。インテークマニホールド14にはエンジン10が吸入する空気が流れる吸気通路16が接続され、エキゾーストマニホールド15にはエンジン10が排出した排気ガスが流れる排気通路17が接続されている。
図2に示すように、エンジンブロック12は、シリンダー11が形成されたシリンダーブロック12Aとシリンダーブロック12Aに連結されるシリンダーヘッド12Bとを有している。シリンダーヘッド12Bは、シリンダーブロック12Aに形成されたシリンダー11の開口を塞いでいる。エンジン10は、各シリンダー11に対して上下動可能に収容されるピストン20を有している。シリンダーブロック12A、シリンダーヘッド12B、および、ピストン20で囲まれる空間は、インジェクター13が燃料を噴射するとともに該燃料が燃焼する燃焼室21である。ピストン20は、コネクションロッド22を介して図1に示すクランクシャフト23に連結されている。クランクシャフト23は、ピストン20がシリンダー11内を上下動することにより回転駆動される。シリンダーヘッド12Bには、インテークマニホールド14に接続される吸気ポート25とエキゾーストマニホールド15に接続される排気ポート26とがシリンダー11ごとに形成されている。
エンジン10は、吸気バルブ27と排気バルブ28とを有している。吸気バルブ27は、吸気側動弁機構29によって駆動され、吸気ポート25を開閉することによりインテークマニホールド14に対して燃焼室21を開閉する。排気バルブ28は、排気側動弁機構30によって駆動され、排気ポート26を開閉することによりエキゾーストマニホールド15に対して燃焼室21を開閉する。各動弁機構29,30は、駆動対象のバルブのリフト量や開閉タイミングを変更可能に構成された可変バルブ機構である。各動弁機構29,30は、カム切り替え型の可変バルブ機構であってもよいし、電子制御式のアクチュエーターによってリフト量や開閉タイミングが変更可能な可変バルブ機構であってもよい。
図1に示すように、エンジンシステムは、ターボチャージャー35を備えている。ターボチャージャー35は、コンプレッサー36、インタークーラー37、およびタービン38を有している。コンプレッサー36およびインタークーラー37は、吸気通路16に配設されている。コンプレッサー36はエアクリーナー39を通過した空気を圧縮し、インタークーラー37はコンプレッサー36が圧縮した空気を冷却する。タービン38は、排気通路17に配設されている。タービン38は、排気ガスのエネルギーである排気エネルギーを利用してコンプレッサー36を回転させる。
エンジンシステムは、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置40を備えている。EGR装置40は、エキゾーストマニホールド15と吸気通路16とを接続するEGR通路41を通じて排気側から吸気側へ排気ガスを還流する外部EGRを実行可能に構成されている。EGR通路41には、EGRクーラー42とEGR弁43とが設けられている。EGR弁43が開状態にあるとき、シリンダー11には、EGRガスと吸入空気との混合気体が作動ガスとして供給される。EGR弁43が閉状態にあるとき、シリンダー11には、吸入空気が作動ガスとして供給される。シリンダー11では、作動ガスとインジェクター13が噴射した燃料との混合気が燃焼する。シリンダー11からの排気ガスは、エキゾーストマニホールド15を通じて排気通路17へと流入したのちタービン38に流入する。なお、エンジン10が吸入する作動ガスにおけるEGRガスの割合をEGR率という。
エンジンシステムは、排気浄化装置45を備えている。排気浄化装置45には、タービン38を通過した排気ガスが流入する。排気浄化装置45は、添加部46及び選択還元型触媒47を有している。選択還元型触媒47は、排気通路17を構成する拡径部17Aに収容されている。
添加部46は、拡径部17Aに流入する排気ガスに対して還元剤を添加する。添加部46は、還元剤を貯留するタンク48に接続された還元剤通路49を備える。還元剤通路49には、ポンプ50が配設されている。ポンプ50は、タンク48内の還元剤を所定圧力で添加弁51に圧送する。添加弁51は、弁機構を内蔵した電子制御式の噴射弁であり、弁機構が開状態にあるときに排気ガスに還元剤を添加する。
選択還元型触媒47は、添加部46の添加した還元剤を利用して排気ガスに含まれるNOxを窒素や水へと還元する。選択還元型触媒47は、例えば耐熱性に優れたセラミックやステンレスを素材としたフロースルー型のモノリス担体に対して各種の触媒金属を胆持させたものである。選択還元型触媒47は、その温度である触媒温度Tcが所定の温度範囲にあるときに活性状態となる。この温度範囲の下限値は下限活性温度TcLである。
選択還元型触媒47の一例は、尿素SCR触媒である。この場合、添加部46は還元剤として尿素水を添加し、選択還元型触媒47は尿素水が加水分解したアンモニアと排気ガスに含まれるNOxとを反応させてNOxを窒素や水へと還元する。選択還元型触媒47は、モノリス担体に対して、例えば銅系、鉄系、バナジウム系の各種の触媒金属を胆持させることにより構成される。選択還元型触媒47は、例えば150℃〜350℃の温度範囲を活性温度として有する。
なお、排気浄化装置45は、排気通路17における添加弁51の上流に、排気ガスに含まれる粒子状物質を捕捉するフィルターや排気ガスに含まれている未燃燃料を酸化する前段酸化触媒などを有していてもよい。また、排気浄化装置45は、排気通路17における選択還元型触媒47の下流に、選択還元型触媒47を通過した排気ガスに含まれるアンモニアなどを酸化する後段酸化触媒などを有していてもよい。また、排気浄化装置45は、選択還元型触媒47として、エンジン10の燃料である軽油を還元剤としてNOxを還元する触媒、いわゆるHC−SCR触媒を備えていてもよい。
エンジンシステムは、添加弁51とターボチャージャー35のタービン38との間に排気絞り弁52を有している。排気絞り弁52は、排気通路17の流路断面積を変更可能に構成されている。排気絞り弁52は、排気通路17の流路断面積を小さくして排気抵抗を高めることで補助ブレーキの1つとして機能する。補助ブレーキは、ドライバーが操作可能な作動スイッチSがオン状態にあるときに作動するように構成されている。作動スイッチSは、制御装置60に対して操作状況を示す操作信号を出力する。
エンジンシステムは、各種センサーを備えている。エンジンシステムは、クランク角度センサー55、触媒温度センサー56、アクセル開度センサー57、排気ガス温度センサー58、および、車速センサー59を備えている。クランク角度センサー55は、エンジン10によって駆動されるクランクシャフト23の回転角度であるクランク角度を検出する。触媒温度センサー56は、選択還元型触媒47の温度である触媒温度Tcを検出する。アクセル開度センサー57は、ドライバーによって操作されるアクセルペダル57aの踏込み量に基づくアクセル開度ACCを検出する。排気ガス温度センサー58は、選択還元型触媒47に流入する排気ガスの温度である排気ガス温度Texを検出する。車速センサー59は、車両の速度である車速vを検出する。各種センサーは、検出した値を示す信号をエンジンシステムを統括制御する制御装置60に出力する。
図3〜図6を参照して、制御装置60について説明する。なお、制御装置60は、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、或いは、それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
図3に示すように、制御装置60は、各種コンピュータプログラムの実行により機能する機能部として、取得部61、モード選択部62、燃料噴射制御部63、EGR制御部64、添加制御部65、バルブ制御部66、および排気ブレーキ制御部70を有している。
取得部61は、図示されない入力インターフェースを通じて各種情報を取得する。取得部61は、クランク角度センサー55が出力した検出信号に基づきクランク角度を取得する。取得部61は、触媒温度センサー56が出力した検出信号に基づき触媒温度Tcを選択還元型触媒47の状態として取得する。取得部61は、アクセル開度センサー57が出力した検出信号に基づきアクセル開度ACCを取得する。取得部61は、クランク角度の変化量に基づきエンジン回転数Neを演算し、その演算したエンジン回転数Neとアクセル開度ACCとに基づきドライバーからの要求トルクLを取得する。取得部61は、排気ガス温度センサー58が出力した検出信号に基づき排気ガス温度Texを取得する。取得部61は、車速センサー59が出力した検出信号に基づき車速vを取得する。取得部61は、作動スイッチSからの操作信号に基づき作動スイッチSの操作状況を取得する。
モード選択部62は、エンジンシステムの制御モードを選択する。モード選択部62は、取得部61が取得した各種情報に基づいて、インジェクター13による燃料の噴射、吸気バルブ27の吸気動作、排気バルブ28の排気動作、および、排気絞り弁52の動作などについての制御モードを選択するモード選択処理を実行する。モード選択部62は、モード選択処理を通じて、昇温モード、保温モード、ブレーキモード、および、通常モードのなかから制御モードを択一的に選択する。昇温モードは、排気浄化装置45に供給される排気エネルギーを増大させて選択還元型触媒47の昇温を優先させる制御モードである。保温モードは、選択還元型触媒47の触媒温度Tcを下限活性温度TcL以上に保持する制御モードである。ブレーキモードは、吸気バルブ27や排気バルブ28の開閉を制御して制動力を発生させる制御モードである。通常モードは、排気ガスの浄化や燃料消費量の低減を優先させる制御モードである。
図4を参照して、モード選択部62が実行するモード選択処理について説明する。
図4に示すように、モード選択処理にて、モード選択部62は、取得部61が取得する触媒温度Tcが下限活性温度TcL以上であるか否かを判断する(ステップS201)。
触媒温度Tcが下限活性温度TcL未満である場合(ステップS201:NO)、モード選択部62は、例えば、要求トルクLとエンジン回転数Neとに基づくエンジン負荷ELが昇温選択負荷EL1以下であるか否かを判断する(ステップS202)。昇温選択負荷EL1は、燃料噴射量を増量したとしても排気ガスに含まれる未燃燃料が抑えられ、かつ、ドライバーからの要求トルクLを具現化可能な値に設定される。昇温選択負荷EL1は、予め行った実験やシミュレーションの結果等に基づき設定される。昇温選択負荷EL1は、例えば20%以下の値から設定されることが好ましく、その一例は15%である。エンジン負荷ELが昇温選択負荷EL1以下である場合(ステップS202:YES)、モード選択部62は、昇温モードを選択して(ステップS203)一連の処理を一旦終了する。
ステップS201において、触媒温度Tcが下限活性温度TcL以上である場合(ステップS201:YES)、モード選択部62は、取得部61が取得する排気ガス温度Texが保温可能温度Tex1以上であるか否かを判断する(ステップS204)。保温可能温度Tex1は、その温度よりも低い温度の排気ガスが選択還元型触媒47に所定期間だけ供給された場合に触媒温度Tcが下限活性温度TcLまで低下する可能性が高いと判断される温度である。保温可能温度Tex1は、例えば、下限活性温度TcL以上の値であり、かつ、エンジンシステムが備える各種センサーの1つとして外気温を検出する外気温センサーの検出値が低いほど高くなるように設定されてもよい。外気温が低いほど保温可能温度Tex1が高くなることにより、その時々の走行環境に応じた適切な保温可能温度Tex1を設定できる。その結果、触媒温度Tcが下限活性温度TcLまで低下することがより確実に抑えられる。
排気ガス温度Texが保温可能温度Tex1未満である場合(ステップS204:NO)、モード選択部62は、エンジン負荷ELが保温選択負荷EL2以下であるか否かを判断する(ステップS205)。保温選択負荷EL2は、例えばアイドリング状態などエンジン負荷ELが軽負荷であると判断される値である。保温選択負荷EL2は、昇温選択負荷EL1よりも低い値が設定される。エンジン負荷ELが保温選択負荷EL2以下である場合(ステップS205:YES)、モード選択部62は、保温モードを選択し(ステップS206)、一連の処理を一旦終了する。すなわち、保温モードは、排気ガス温度Texが触媒温度Tcを下限活性温度TcLに到達させる可能性の高い状態にあり(ステップS204:NO)、かつ、エンジン負荷ELが軽負荷にあることで排気ガス温度Texが上昇する可能性の低い状態(ステップS205:YES)において、触媒温度Tcを下限活性温度TcLよりも高い温度に保持するモードである。
一方、排気ガス温度Texが保温可能温度Tex1以上である場合(ステップS204:YES)、モード選択部62は、取得部61が取得するアクセル開度ACCが0%以上であるか否かを判断する(ステップS207)。
アクセル開度ACCが0%未満である場合(ステップS207:NO)、すなわち要求トルクLが減速を要求する減速要求トルクにある場合、モード選択部62は、補助ブレーキの作動条件が成立しているか否かを判断する(ステップS208)。作動条件は、アクセル開度ACCが0%未満にあるときに、作動スイッチSがオン状態にあり、かつ、車速vが作動速度v1以上にあることである。作動速度v1は、補助ブレーキによる制動力が有効に作用する車速vに設定される。作動速度v1の一例は、30km/hである。
作動条件が成立している場合(ステップS208:YES)、モード選択部62は、ブレーキモードを選択し(ステップS209)、一連の処理を一旦終了する。ブレーキモードにおいて、制御装置60は、補助ブレーキの1つである圧縮開放ブレーキが作動するように吸気側動弁機構29および排気側動弁機構30を制御する。また制御装置60は、補助ブレーキの1つである排気ブレーキが作動するように排気絞り弁52を閉方向に制御する。
一方、アクセル開度ACCが0%以上である場合(ステップS207:YES)、エンジン負荷ELが昇温選択負荷EL1以下でない場合(ステップS202:NO)、エンジン負荷ELが保温選択値EL2以下でない場合(ステップS205:NO)、補助ブレーキの作動条件が成立していない場合(ステップS208:NO)、モード選択部62は、通常モードを選択し(ステップS210)、一連の処理を一旦終了する。
図3に示すように、燃料噴射制御部63は、図示されない出力インターフェースを通じて制御信号を出力することにより、各インジェクター13による燃料の噴射を制御する。燃料噴射制御部63は、取得部61が取得したアクセル開度ACC及びエンジン回転数Ne、ならびに、モード選択部62が選択した制御モードなどに基づいて各インジェクター13による燃料の噴射を制御する。燃料噴射制御部63は、アクセル開度ACCおよびエンジン回転数Neごとに燃料噴射量が規定された燃料マップをメモリの所定領域に保持している。燃料噴射制御部63は、通常モードにおいて使用する燃料マップである通常マップ67、昇温モードにおいて使用する燃料マップである昇温マップ68、および、保温モードにおいて使用する燃料マップである保温マップ69をメモリの所定領域に保持している。燃料噴射制御部63は、モード選択部62が選択した制御モードに対応する燃料マップを用いて燃料噴射量を制御する。燃料噴射制御部63は、要求トルクLが減速要求トルクにあるブレーキモードにおいては、エンジン回転数Neに応じて燃料の噴射を一時的に停止する燃料カット制御を実行する。
EGR制御部64は、図示されない出力インターフェースを通じて制御信号を出力することにより、EGR装置40、具体的にはEGR弁43の開度を制御する。EGR制御部64は、モード選択部62が選択した制御モードに基づいてEGR弁43を制御し、EGRガスの量であるEGR量を制御する。EGR制御部64は、制御モードが通常モードである場合、その時々のエンジン10の運転状態に適したEGR量だけ排気ガスが還流されるようにEGR弁43の開度を制御する。制御モードが昇温モード、保温モード、および、ブレーキモードのいずれかである場合、EGR制御部64は、EGR弁43を閉状態に維持することで外部EGRを禁止する。
添加制御部65は、図示されない出力インターフェースを通じて制御信号を出力することにより、排気浄化装置45の添加部46、具体的には添加弁51の開閉を制御する。添加制御部65は、モード選択部62が選択した制御モードに基づいて添加弁51による尿素水の添加量や添加タイミングを制御する。添加制御部65は、制御モードが通常モード、保温モード、および、ブレーキモードのいずれかである場合、その時々のエンジン10の運転状態に適した量の尿素水が添加されるように添加弁51の開閉を制御する。添加制御部65は、制御モードが昇温モードである場合、添加弁51を閉状態に維持することで尿素水の添加を禁止する。
バルブ制御部66は、図示されない出力インターフェースを通じて制御信号を出力することにより、吸気側動弁機構29を通じて吸気バルブ27の開閉動作を制御するとともに、排気側動弁機構30を通じて排気バルブ28の開閉動作を制御する。バルブ制御部66は、モード選択部62が選択した制御モードに基づいて吸気バルブ27および排気バルブ28の各々についてリフト量及び開閉タイミングを制御する。
バルブ制御部66は、吸気バルブ27に対し、通常モードにおいては通常吸気動作、昇温モードにおいては昇温吸気動作、保温モードにおいては保温吸気動作、ブレーキモードにおいてはブレーキ吸気動作を実行させる。バルブ制御部66は、排気バルブ28に対し、通常モードにおいては通常排気動作、昇温モードにおいては昇温排気動作、保温モードにおいては保温排気動作、ブレーキモードにおいてはブレーキ排気動作を実行させる。
図5〜図10を参照して排気側動弁機構30について説明する。なお、以下では、4つのシリンダー11を区別するときは、シリンダー#1、シリンダー#2、シリンダー#3、シリンダー#4として区別する。
図5に示すように、排気側動弁機構30は、排気カムシャフト75、排気カムフェーザー79、および、排気側駆動部80を有している。
排気カムシャフト75は、クランクシャフト23に従動回転するシャフトである。排気カムシャフト75には、各シリンダー11の排気バルブ28に対応する排気用カム76とブレーキ用カム77とが形成されている。排気カムシャフト75の一端部には、排気カムフェーザー79が設けられている。
排気カムフェーザー79は、排気カムシャフト75の位相を変更可能に構成されている。排気カムフェーザー79は、排気側駆動部80の排気カムフェーザー駆動部81から進角油圧が供給されることにより排気カムシャフト75を所定の進角角度だけ進角させる。排気カムフェーザー駆動部81は、制御装置60のバルブ制御部66からの制御信号を受けて排気カムシャフト75の位相を通常位相と進角位相との間で切り替える。
排気側駆動部80は、各シリンダー11に対して各別に対応する排気用動弁部82とブレーキ用動弁部83を有している。
排気用動弁部82は、排気用カム76の回転にともなって揺動する図示されないロッカーアームを有するロストモーション式の動弁機構である。排気用動弁部82は、排気バルブ28に通常排気動作を実行させる作動状態と排気用カム76に基づく排気バルブ28の開閉を閉状態に維持する非作動状態とを有する。排気用動弁部82は、制御装置60のバルブ制御部66からの制御信号を受けて作動状態と非作動状態とが切り替えられる。制御装置60は、通常モードにおいて排気用動弁部82を作動状態に制御し、昇温モード、保温モード、および、ブレーキモードにおいて非作動状態に制御する。
ブレーキ用動弁部83は、図7に示す油圧回路85を有する動弁機構である。油圧回路85は、ブレーキ用カム77の回転にともなって揺動する図示されないロッカーアームの揺動を受けてブレーキ油圧を発生させる。ブレーキ用動弁部83は、そのブレーキ油圧を排気バルブ28に伝達することによりブレーキ排気動作を実行させる。ブレーキ用動弁部83は、排気バルブ28にブレーキ排気動作を実行させる作動状態と、ブレーキ用カム77に基づく排気バルブ28の開閉を閉状態に維持する非作動状態とを有する。
なお、吸気側動弁機構29は、吸気カムシャフト105、吸気カムフェーザー109、および、吸気側駆動部110を有している。吸気カムシャフト105は、クランクシャフト23に従動回転するシャフトであり、各シリンダー11の吸気バルブ27に対応する吸気用カム106が形成されている。吸気カムフェーザー109は、吸気カムシャフト105の一端部に設けられており、吸気側駆動部110により吸気カムシャフト105の位相を変更可能に構成されている。
図6に示すように、ブレーキ排気動作は、いわゆる圧縮開放ブレーキを実行する開閉動作である。ブレーキ排気動作は、第1ブレーキ排気動作と第2ブレーキ排気動作とで構成される。第1ブレーキ排気動作は、圧縮行程の前半部分に開弁期間を有し、エキゾーストマニホールド15内の排気ガスを作動ガスとしてシリンダー11内に取り込む。第2ブレーキ排気動作は、第1ブレーキ排気動作よりも大きなリフト量と長い開弁期間を有する。第2ブレーキ排気動作は、圧縮上死点付近に開弁期間を有し、圧縮行程において圧縮された作動ガスをエキゾーストマニホールド15に開放して膨張行程開始時におけるシリンダー11内の圧力を低下させる開閉動作である。
なお、排気側駆動部80は、排気用動弁部82およびブレーキ用動弁部83の双方が作動状態にあるとき、その時々における最大リフト量だけ排気バルブ28をリフトさせるように構成されている。このときのリフト量は、その時々における通常排気動作のリフト量をa、ブレーキ排気動作のリフト量をbとするときにmax(a,b)で表される。
また、排気側駆動部80は、油圧回路85に関連して、同一行程の位相が360°CA異なる一対のシリンダー11に対応する油圧回路85を互いに接続する接続油路96を有している。具体的には、接続油路96は、シリンダー#2に対応する油圧回路85とシリンダー#3に対応する油圧回路85とを接続する。接続油路96の1つは、シリンダー#1に対応する油圧回路85とシリンダー#4に対応する油圧回路85とを接続する。
図7〜図10を参照して、ブレーキ用動弁部83についてさらに詳しく説明する。
まず、ブレーキ用動弁部83を構成する油圧回路85の基本構成について説明する。なお、各シリンダー11に対応する油圧回路85の基本構成は同じである。そのため、油圧回路85の1つを用いて基本構成を説明し、他のシリンダー11に対応する油圧回路85については同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。また、図7では、接続油路96で接続された油圧回路85として、シリンダー#2に対応する油圧回路85とシリンダー#3に対応する油圧回路85とを示している。
図7に示すように、油圧回路85は、ブレーキ用カム77の回転にともなって発生するブレーキ油圧を排気バルブ28に伝達可能なブレーキ回路86とブレーキ回路86における油圧を調整する圧力調整回路91とを有している。
ブレーキ回路86は、作動油が流れるブレーキ油路87を有している。ブレーキ回路86は、ブレーキ用カム77側における上流側ブレーキ油路87aの上流端部にマスターピストン88を有し、排気バルブ28側における下流側ブレーキ油路87bの下流端部にスレーブピストン89を有している。ブレーキ回路86は、上流側ブレーキ油路87aと下流側ブレーキ油路87bとを接続する開閉弁90を有している。
マスターピストン88は、ブレーキ用カム77のカムプロファイルにしたがってブレーキ油路87に押し込まれることによりブレーキ油路87にブレーキ油圧を発生させる。スレーブピストン89は、マスターピストン88が発生させたブレーキ油圧を受けて変位することにより排気バルブ28を開閉する。開閉弁90は、開状態にあるときにスレーブピストン89へのブレーキ油圧の伝達を許可し、閉状態にあるときにスレーブピストン89へのブレーキ油圧の伝達を禁止する。
圧力調整回路91は、油圧回路85に所定圧の作動油を供給する供給油路92を上流側ブレーキ油路87aに接続する調整油路93を有している。調整油路93には圧力調整弁94が配設されている。圧力調整弁94は、上流側ブレーキ油路87aにおける作動油の圧力が所定圧を下回ると上流側ブレーキ油路87aに所定圧の作動油を供給する。また圧力調整弁94は、上流側ブレーキ油路87aにおける作動油の圧力が設定圧を超えると余剰な作動油をリリーフ部95を通じて外部へ排出する。
接続油路96は、互いに異なる一対の接続油路96a,96bで構成されている。接続油路96a,96bは、一方の油圧回路85に対しては出力側接続油路として上流側ブレーキ油路87aに設けられた油路切替部98に接続され、他方の油圧回路85に対しては入力側接続油路として下流側ブレーキ油路87bに接続されている。油路切替部98は、ブレーキ油圧がブレーキ油路87を伝達するブレーキ状態とブレーキ油圧が接続油路96aに伝達されるリフト追加状態とを有する。
油路切替部98は、油圧調整部99を有している。油圧調整部99は、例えば油圧シリンダーや付勢部材などを用いて構成することが可能である。油圧調整部99は、接続油路96を介して他方のシリンダー11のブレーキ油路87に伝達される油圧を調整することで排気バルブ28のリフト量を調整する。なお、本実施形態において、油圧調整部99は、ブレーキ用カム77のカムプロフィールに基づくリフト量で排気バルブ28が開閉するようにブレーキ油圧を調整する。
開閉弁90および油路切替部98は、制御装置60に制御される。制御装置60は、通常モードおよび保温モードに開閉弁90を閉状態に制御し、ブレーキモードに開閉弁90を開状態に制御する。制御装置60は、通常モードおよびブレーキモードに油路切替部98をブレーキ状態に制御し、保温モードに油路切替部98をリフト追加状態に制御する。
通常モードにおいて、各油圧回路85は、圧力調整弁94を通じた上流側ブレーキ油路87aに対する作動油の給排によりブレーキ用カム77による排気バルブ28のリフトを無効化する。
図8に示すように、ブレーキモードにおいて、各油圧回路85は、自身が対応するシリンダー11の排気バルブ28にブレーキ排気動作を実行させる。
図9に示すように、保温モードにおいて、シリンダー#2の油圧回路85で発生したブレーキ油圧は、接続油路96aを介してシリンダー#3のスレーブピストン89に伝達される。同様に、シリンダー#3の油圧回路85で発生したブレーキ油圧は、接続油路96bを介してシリンダー#2のスレーブピストン89に伝達される。
そのため、図10に示すように、シリンダー#3の排気バルブ28は、シリンダー#2の排気バルブ28が実行するブレーキ排気動作と同じリフトカーブを描く開閉動作を実行する。この開閉動作は、排気行程に開弁期間を有する第1保温排気動作と排気上死点付近に開弁期間を有する第2保温排気動作とによって構成される保温排気動作である。同様に、シリンダー#2の排気バルブ28は、シリンダー#3の排気バルブ28が実行するブレーキ排気動作と同じリフトカーブを描く開閉動作、すなわち保温開閉動作を実行する。
上述したエンジンシステムの作用について説明する。
保温モードにおいて、第1保温排気動作完了時に燃焼室21に残っている排気ガスは、第1保温排気動作と第2保温排気動作との間の閉弁期間にピストン20によって圧縮される。これにより、エンジン10に出力損失(以下、圧縮損失という。)が生じる。燃料噴射制御部63が保持する保温マップ69には、予め行った実験やシミュレーションの結果等に基づいて上述した圧縮損失を加味したうえでドライバーの要求トルクLを満足する燃料噴射量が規定されている。すなわち、保温マップ69には、アクセル開度ACCとエンジン回転数Neとに基づく同一のアドレスに対し、通常マップ67に規定されている値以上の値が規定されている。また、第2保温排気動作によってシリンダー11に排気ガスが導入されることから、シリンダー11には、燃料が噴射される作動ガスとして空気と排気ガスとの混合ガスが生成される。この混合ガスは、作動ガスの全てが空気である場合に比べて、その一部が排気ガスに置換される分だけ温度が高められる。これにより、同じ量の燃料を燃焼させたとき、排気ガスの導入により高められた温度の分だけ燃焼室21から排出される排気ガスの排出温度を高めることができる。こうしたことは、エンジン負荷ELが軽負荷にあるときに顕著となる。これらのことから、保温モードにおいて排気浄化装置45に供給される排気エネルギーを通常モードよりも増大させることができる。
本実施形態のエンジンシステムの効果について説明する。
(1)圧縮開放ブレーキは、圧縮行程の前半部分に開弁期間を有する第1ブレーキ排気動作と、第1ブレーキ排気動作よりも大きなリフト量と長い開弁期間を圧縮上死点付近に有する第2ブレーキ排気動作とで構成される。そのため、同一行程の位相が360°CAだけ異なるシリンダー11に対応するブレーキ油路87に接続油路96を介してブレーキ油圧を供給することで、一方のシリンダー11のブレーキ油圧を用いて他方のシリンダー11の排気上死点付近に排気バルブ28の開弁期間を追加することができる。その結果、新たなカムを追加することなく排気バルブ28のリフトパターンをふやすことができる。
(2)ブレーキ油路87には、出力側接続流路あるいは入力側接続流路として機能する一対の接続油路96a,96bが接続されている。こうした構成によれば、ブレーキ油圧を出力する油路とブレーキ油圧が入力される油路とが各別であることから、ブレーキ油路87間における油圧の伝達を円滑に行うことができる。
(3)ブレーキ油路87において、出力側接続流路は上流側ブレーキ油路87aに接続され、入力側接続流路は下流側ブレーキ油路87bに接続されている。これにより、開閉弁90の開閉状態にかかわらず伝達油路の切替を行うことができる。そのため、通常モードから保温モードへの切り替えが開閉弁90を閉状態に維持したまま油路切替部98を切り替えるだけで行うことができる。また、保温モードから通常モードへの切り替えも油路切替部98を切り替えるだけで行うことができる。
(4)排気側動弁機構30は、他方のシリンダー11における排気バルブ28のリフト量を変更可能な油圧調整部99を有している。こうした構成によれば、排気バルブ28のリフト量についての自由度を高めることができる。
(5)選択還元型触媒47が活性状態にあり、かつ、エンジン10が軽負荷状態にあるときに保温モードが選択されるから、排気浄化装置45に供給される排気エネルギーを増大できる。これにより、選択還元型触媒47が活性状態に維持されやすくなる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・油圧調整部99は、ブレーキ用カム77のカムプロフィールに基づくリフト量を減少方向へシフトさせるようにブレーキ油圧を調整してもよい。こうした構成によれば、大きなリフト量を有する第2ブレーキ排気動作に基づく開弁期間の一部を排気上死点付近に追加することができる。
・図11に示すように、ブレーキ用カム77は、排気カムシャフト75ではなく吸気カムシャフト105に設けられていてもよい。こうした構成によれば、排気用カム76の位相とブレーキ用カム77の位相とを各別に制御することができる。
そのため、図12に示すように、第2ブレーキ排気動作に基づく開弁期間の一部を第2保温排気動作として排気上死点付近に追加し、さらには膨張行程に開弁期間が含まれる時期まで通常排気動作を進角させて第1保温排気動作とすることもできる。こうした構成によれば、第1保温排気動作によって高エンタルピの排気ガスが排気浄化装置45に供給され、第2保温排気動作によって排出温度が高められる。その結果、保温モードにおいて排気浄化装置45に供給される排気エネルギーをさらに高めることができる。
・出力側接続油路は、ブレーキ油路87に対して下流側接続油路の上流側において接続されていればよい。そのため、出力側接続油路は、開閉弁90の下流側であってもよい。
・一対のブレーキ油路87は、油路切替部98を接続する1つの接続油路96で接続されていてもよい。こうした構成であっても、その時々の運転状態に応じて油路切替部98の状態と開閉弁90の開閉との組み合わせることにより、他方のシリンダー11の排気上死点付近に排気バルブ28の開弁期間を追加することができる。
・排気浄化装置45が複数の触媒を有する場合、モード選択処理の触媒温度Tcに関する判断は、最上流に位置する触媒温度に基づいて行われてもよい。こうした構成によれば、少なくとも最上流に位置する触媒を作用させることができる。また、触媒温度Tcに関する判断は、複数の触媒のなかから予め選択された触媒の触媒温度に基づいて行われてもよい。こうした構成によれば、予め選択された触媒を作用させることができる。
・エンジンシステムは、ターボチャージャー35およびEGR装置40の少なくとも一方を備えていなくてもよい。
・エンジン10は、ディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジンであってもよいし、ガスエンジンであってもよい。また、エンジン10は、同一行程の位相が360°CA異なる一対のシリンダー11を含んでいればよく、4気筒エンジンに限られない。
10…エンジン、11…シリンダー、12…エンジンブロック、12A…シリンダーブロック、12B…シリンダーヘッド、13…インジェクター、14…インテークマニホールド、15…エキゾーストマニホールド、16…吸気通路、17…排気通路、17A…拡径部、20…ピストン、21…燃焼室、22…コネクションロッド、23…クランクシャフト、25…吸気ポート、26…排気ポート、27…吸気バルブ、28…排気バルブ、29…吸気側動弁機構、30…排気側動弁機構、35…ターボチャージャー、36…コンプレッサー、37…インタークーラー、38…タービン、39…エアクリーナー、40…EGR装置、41…EGR通路、42…EGRクーラー、43…EGR弁、45…排気浄化装置、46…添加部、47…選択還元型触媒、48…タンク、49…還元剤通路、50…ポンプ、51…添加弁、52…排気絞り弁、55…クランク角度センサー、56…触媒温度センサー、57…アクセル開度センサー、57a…アクセルペダル、58…排気ガス温度センサー、59…車速センサー、60…制御装置、61…取得部、62…モード選択部、63…燃料噴射制御部、64…EGR制御部、65…添加制御部、66…バルブ制御部、67…通常マップ、68…昇温マップ、69…保温マップ、70…排気ブレーキ制御部、75…排気カムシャフト、76…排気用カム、77…ブレーキ用カム、79…排気カムフェーザー、80…排気側駆動部、81…排気カムフェーザー駆動部、82…排気用動弁部、83…ブレーキ用動弁部、85…油圧回路、86…ブレーキ回路、87…ブレーキ油路、87a…上流側ブレーキ油路、87b…下流側ブレーキ油路、88…マスターピストン、89…スレーブピストン、90…開閉弁、91…圧力調整回路、92…供給油路、93…調整油路、94…圧力調整弁、95…リリーフ部、96,96a,96b…接続油路、98…油路切替部、99…油圧調整部、105…吸気カムシャフト、106…吸気用カム、109…吸気カムフェーザー、110…吸気側駆動部。

Claims (5)

  1. 燃焼室を開閉する排気バルブの開閉タイミングを変更可能な排気側動弁機構を有するエンジンと、
    前記排気側動弁機構を通じて前記排気バルブの開閉を制御する制御装置と、を備えたエンジンシステムであって、
    前記エンジンは、同一行程の位相が360°CA異なる一対のシリンダーを含み、
    前記排気側動弁機構は、
    前記一対のシリンダーの各々に対応して設けられたブレーキ用カムと、
    前記一対のシリンダーの各々に対応して設けられ、前記ブレーキ用カムの回転によって圧縮開放ブレーキを実行可能なブレーキ油圧が発生するブレーキ油路と、
    前記一対のシリンダーに対応するブレーキ油路を互いに接続する接続油路と、
    前記制御装置に制御されて、前記ブレーキ油圧が前記ブレーキ油路を伝達する状態と前記ブレーキ油圧が前記ブレーキ油路の途中から前記接続油路に伝達する状態とを切り替える油路切替部と、を有する
    エンジンシステム。
  2. 前記一対のブレーキ油路の各々には、前記接続油路として、前記ブレーキ油圧を出力する出力側接続油路と前記ブレーキ油圧が入力される入力側接続油路とが接続されている
    請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 前記排気側動弁機構は、前記ブレーキ油路を開閉する開閉弁を備え、
    前記出力側接続油路は、前記ブレーキ油路における前記開閉弁の上流側に接続され、
    前記入力側接続油路は、前記ブレーキ油路における前記開閉弁の下流側に接続される
    請求項2に記載のエンジンシステム。
  4. 前記排気側動弁機構は、前記接続油路を介して他方のシリンダーに対応するブレーキ油路に伝達される油圧を調整する油圧調整部を有している
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  5. 前記エンジンからの排気ガスを浄化する触媒を有する排気浄化装置を備え、
    前記制御装置は、
    ドライバーからの要求トルク、前記触媒の状態、および、前記触媒に流入する排気ガスの温度である排気ガス温度を取得する取得部と、
    前記エンジンの出力トルクが前記要求トルクとなるように前記エンジンへの燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御部と、
    前記エンジンシステムの制御モードを選択するモード選択部と、
    前記排気側動弁機構を通じて前記排気バルブを制御するバルブ制御部と、を備え、
    前記モード選択部は、前記触媒が活性状態にあり、かつ、前記排気ガス温度が保温可能温度未満であるときに前記制御モードとして保温モードを選択し、
    前記保温モードにおいて、前記バルブ制御部は、排気行程に設定された閉弁期間の前後において前記排気バルブが開閉する保温排気動作を実行し、前記ブレーキ油圧の伝達油路を前記接続油路に設定することで前記閉弁期間後の開閉動作を実行する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
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