JP2021017062A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2021017062A JP2019131581A JP2019131581A JP2021017062A JP 2021017062 A JP2021017062 A JP 2021017062A JP 2019131581 A JP2019131581 A JP 2019131581A JP 2019131581 A JP2019131581 A JP 2019131581A JP 2021017062 A JP2021017062 A JP 2021017062A
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昌吾 平尾
Shogo Hirao
昌吾 平尾
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Abstract

【課題】耐リムずれ性に優れたタイヤ及び耐リムずれ性評価方法の提供。【解決手段】この空気入りタイヤは、一対のクリンチ及び/又は一対のチェーファーを備えており、このタイヤがリムに組み込まれたときに、クリンチ及びチェーファーがこのリムに接触するように構成されている。一対のクリンチ及び一対のチェーファーは、動摩擦係数1.0以上の加硫ゴムを主成分とするクリンチゴム又は繊維被覆ゴムから形成されている。この動摩擦係数は、厚み1mm及び平面視面積49mm2の試験片を、リムと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いて、接触圧2000kPa及び滑り速度10mm/sで測定して得られる。この耐リムずれ性評価方法は、加硫ゴムからなる試験片を準備する工程、試験片の動摩擦係数を測定する工程及び動摩擦係数を指標として加硫ゴムを評価する工程を有している。動摩擦係数の測定条件は、接触圧2000kPa以上かつ滑り速度10mm/s以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤ及びその製造方法並びに加硫ゴム評価方法に関する。
タイヤは、リム組みされた状態で車両に装着される。通常、タイヤがリム組みされるとき、一対のクリンチ及び一対のチェーファーが、このリムと接触する。車両走行中、特に、急激な制動及び駆動の繰り返しによって、リンチ及びチェーファーには、リムから大きな力が負荷される。この大きな力に起因して、タイヤとリムとの間に、所謂リムずれが生じる場合がある。
リムずれの発生により、フォースバリエーション(FV)、トラクション及びタイヤバランスが悪化して、操縦安定性が低下するという問題がある。さらに、リムずれは、タイヤ損傷の原因となるため、安全性に影響を及ぼす可能性もある。耐リムずれ性の高いタイヤが要望されている。
耐リムずれ性向上のため、クリンチ及びチェーファーをなす加硫ゴムには、走行中のリムからの大きな力に耐えて、リムとタイヤとの嵌合を強固に保持しうる特性が求められている。また、そのようなクリンチ及びチェーファーのゴム配合を検討する上で、耐リムずれ性を精度よく評価する方法も、重要である。
特開2012−73048号公報には、タイヤの回転角とリムの回転角とを検出して、その差分をリムずれ量として算出する、リムずれ量測定装置が開示されている。特開2017−167066号公報では、摩擦処理されたゴム部材から採取した試験片の粘弾性特性値を用いて、このゴム部材の摩擦性能を予測する方法が提案されている。
特開2012−73048号公報 特開2017−167066号公報
タイヤの耐リムずれ性には、さらに改善の余地がある。しかし、特開2012−73048号公報が開示する測定装置によれば、耐リムずれ性向上のために、クリンチ及び/又はチェーファーのゴム配合を検討する場合にも、タイヤの作成が必要であり、工数がかかるという問題がある。特開2017−167066号公報で提案された予測方法は、耐リムずれ性を評価するものではなく、その予測結果と耐リムずれ性との相関についても何ら言及されていない。クリンチ及び/又はチェーファー用加硫ゴムの耐リムずれ性を、簡便に高い精度で評価する方法は、未だ提案されていない。
本発明の目的は、耐リムずれ性に優れた空気入りタイヤ及びその製造方法の提供であり、本発明の他の目的は、耐リムずれ性の高いゴム配合を選択するための簡便な評価方法の提供である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、加硫ゴムについて、特定の方法及び条件で得られる動摩擦係数が、この加硫ゴムを用いて形成されたクリンチ又はチェーファーを備えたタイヤの耐リムずれ性と、高い精度で相関することを見出すことにより、本発明を完成した。
即ち、本発明に係る空気入りタイヤは、一対のクリンチ及び一対のチェーファーを備えており、このタイヤがリムに組み込まれたときに、それぞれのクリンチ及びそれぞれのチェーファーが、このリムと接触するように構成されている。この一対のクリンチ及び/又は一対のチェーファーは、クリンチゴム又は繊維被覆ゴムから形成されている。このクリンチゴム及び繊維被覆ゴムの主成分は、加硫ゴムである。この加硫ゴムの動摩擦係数は、1.0以上である。この動摩擦係数は、厚み1mm及び平面視面積49mmの試験片を、リムの表面粗さと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いて、接触圧2000kPa及び滑り速度10mm/sで測定することにより得られる。
好ましくは、この加硫ゴムのJIS−A硬度は、70以上である。
好ましくは、この加硫ゴムは、扁平形状の無機フィラーを含んでいる。好ましくは、この扁平形状の無機フィラーは、ハードクレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、瀝青炭、グラフェン、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムからなる群から選択される。
他の観点から、本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、
(1)加硫ゴムから形成された、厚み1mm及び平面視面積49mmの試験片を準備する準備工程、
(2)この試験片の動摩擦係数を、リムの表面粗さと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いて、接触圧2000kPa及び滑り速度10mm/sの条件で測定する測定工程、
(3)この測定工程で得た動摩擦係数を指標として、この加硫ゴムを評価する評価工程、及び
(4)この動摩擦係数が1.0以上となる加硫ゴムの配合を用いて得られるクリンチゴム又は繊維被覆ゴムから、一対のクリンチ及び/又は一対のチェーファーを作製する作製工程、
を含んでいる。
さらに他の観点から、本発明に係る耐リムずれ性評価方法は、
(1)加硫ゴムからなる試験片を準備する準備工程、
(2)この試験片の動摩擦係数を、リムの表面粗さと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いて測定する測定工程、
及び
(3)この測定工程で得た動摩擦係数を指標として、上記加硫ゴムを評価する評価工程、
を有している。この動摩擦係数の測定条件は、接触圧2000kPa以上かつ滑り速度10mm/s以上。
好ましくは、この試験片の厚みは1.5mm以下であり、その平面視面積は100mm以下である。好ましくは、この動摩擦係数の測定条件は、荷重100N以上である。
リムと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いた摩擦試験において、動摩擦係数の測定条件を、接触圧2000kPa以上かつ滑り速度10mm/s以上に設定することにより、路面走行状態におけるリムとタイヤとの接触部分における挙動が、擬似的に再現される。この測定方法及び測定条件で得られる加硫ゴムの動摩擦係数は、この加硫ゴムを用いて形成されたクリンチ及び/又はチェーファーを備えるタイヤの耐リムずれ性と、高い精度で相関する。この動摩擦係数を指標とすることにより、耐リムずれ性に優れた加硫ゴムの配合を、効率良く、簡便に選定することができる。
特に、接触圧2000kPa及び滑り速度10mm/sで得られる動摩擦係数が1.0以上の加硫ゴムを主成分として得られるクリンチゴム又は繊維被覆ゴムからなるクリンチ及び/又はチェーファーを備えた、本発明に係るタイヤでは、高い耐リムずれ性が達成される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1には、このタイヤ2の、周方向に対して垂直な断面の一部が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面に垂直な方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLは、タイヤの赤道面(EQ)を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のクリンチ8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、インナーライナー16、チェーファー18及びクッション層20を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面22を形成する。トレッド4には、溝24が刻まれている。この溝24により、トレッドパターンが形成されている。図示されないが、トレッド4は、加硫ゴムからなる複数の層を有している。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側端は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側端は、クリンチ8と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた加硫ゴムからなる。サイドウォール6は、軸方向においてカーカス12よりも外側に位置している。サイドウォール6は、カーカス12の損傷を防止する。
それぞれのクリンチ8は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ8は、軸方向において、ビード10及びカーカス12よりも外側に位置している。タイヤ2がリム40に組み込まれると、このクリンチ8がリム40のフランジと当接し、リム40からの荷重を支持する。クリンチ8は、クリンチゴムから形成される。クリンチゴムの主成分は、耐摩耗性に優れた加硫ゴムである。この加硫ゴムの詳細に関しては、後述する。
それぞれのビード10は、クリンチ8の軸方向内側に位置している。ビード10は、コア30と、このコア30から半径方向外向きに延びるエイペックス32とを備えている。コア30はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス32は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス32は、高硬度な加硫ゴムからなる。
カーカス12は、カーカスプライ34からなる。カーカスプライ34は、両側のビード10の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ34は、コア30の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ34には、主部34aと折り返し部34bとが形成されている。
カーカスプライ34は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス12はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス12が、2以上のプライから形成されてもよい。
ベルト14は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト14は、カーカス12に積層されている。ベルト14は、カーカス12を補強する。このベルト14は、内側層36及び外側層38からなる。図1から明らかなように、外側層38は内側層36の半径方向外側に位置している。図示されていないが、内側層36及び外側層38のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層36のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト14の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト14が、3以上の層を備えてもよい。
このタイヤ2が、ベルト14とともに又はベルト14に代えて、バンドを備えてもよい。ベルト14及びバンドは、補強層を構成する。このタイヤが、補強層としてベルト14及びバンドを備える場合、バンドは、ベルト14の半径方向外側に位置する。バンドは、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンドは、いわゆるジョイントレス構造である。コードは、実質的に周方向に延びている。好ましくは、周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。コードによりベルト14が拘束されるので、ベルト14のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー16は、カーカス12の内側に位置している。赤道面の近傍において、インナーライナー16は、カーカス12の内面に接合されている。インナーライナー16は、空気遮蔽性に優れた加硫ゴムからなる。インナーライナー16の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー16は、タイヤ2の内圧を保持する。
ぞれぞれのクッション層20は、ベルト14の端部近傍において、カーカス12と積層されている。クッション層20は、軟質な加硫ゴムからなる。クッション層20は、ベルト14の端部の応力を吸収する。このクッション層20により、ベルト14のリフティングが抑制される。
それぞれのチェーファー18は、ビード10の近傍に位置している。タイヤ2がリム40に組み込まれると、このチェーファー18がリム40と当接する。この当接により、ビード10の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー18は、クリンチ8と一体である。従って、このタイヤ2のチェーファー18はクリンチ8と同じ加硫ゴムからなる。クリンチ8及びチェーファー18が同配合の加硫ゴムから一体成形されたタイヤ2において、クリンチ8がチェーファー18と別称される場合がある。チェーファー18とクリンチ8とが一体に成形されず、それぞれ異なる配合の加硫ゴムで形成されてもよい。この場合、チェーファー18が、繊維被覆ゴムから形成されてもよい。この繊維被覆ゴムは、布とこの布に含浸した加硫ゴムとからなる。この繊維被覆ゴムにおける主成分は、加硫ゴムである。加硫ゴムの詳細については、後述する。
本発明では、特に言及された場合を除き、タイヤの各部材の寸法及び角度は、タイヤが正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤに空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤには荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
図1に示される通り、このタイヤ2がリム40に組み込まれるとき、それぞれのクリンチ8がリム40のフランジと当接し、それぞれのチェーファー18がリム40と当接する。換言すれば、このタイヤ2は、リム40に組み込まれた状態で、それぞれのクリンチ8及びそれぞれのチェーファー18がリム40と接触するように構成されている。以下、本願明細書において、クリンチ8及びチェーファー18を、「リム・フランジ部」と総称する場合がある。
本発明に係るタイヤ2では、このリム40と接触する一対のクリンチ8及び/又は一対のチェーファー18は、クリンチゴム又は繊維被覆ゴムから形成されている。このクリンチゴム及び繊維被覆ゴムの主成分は、動摩擦係数1.0以上の加硫ゴムである。この加硫ゴムの動摩擦係数は、厚み1mm及び平面視面積49mmの試験片を、リム40の表面粗さと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いて、接触圧2000kPa及び滑り速度10mm/sで測定することにより得られる。この試験片及び試験条件によれば、タイヤ走行中に生じるリム近傍の加硫ゴムの挙動が、擬似的に再現される。この試験片及び試験条件で得られる動摩擦係数が1.0以上の加硫ゴムを主成分とするクリンチゴム又は繊維被覆ゴムから形成されたリム・フランジ部は、タイヤ2が走行中にリム40から負荷される大きな力に耐えて、リム40との嵌合を強固に保持することができる。このタイヤ2では、走行中のリムずれが抑制される。
耐リムずれ性向上の観点から、クリンチ8及び/又はチェーファー18を構成する加硫ゴムの動摩擦係数は、1.1以上がより好ましく、1.2以上が特に好ましい。
前述した通り、この実施形態に係るタイヤ2では、クリンチ8とチェーファー18とが一体に形成されて、リム・フランジ部をなしている。従って、このタイヤ2では、クリンチ8及びチェーファー18の両方が、動摩擦係数1.0以上の加硫ゴムを主成分とするクリンチゴムから形成されている。クリンチ8とチェーファー18とが一体に形成されない実施形態では、クリンチ8又はチェーファー18の少なくとも一方が、動摩擦係数1.0以上の加硫ゴムから形成される。耐リムずれ性の観点から、クリンチ8及びチェーファー18の両方が、動摩擦係数1.0以上の加硫ゴムから形成されることが好ましい。
好ましくは、この加硫ゴムの硬度Hsは70以上である。硬度Hsが70以上の加硫ゴムを用いて構成されるリム・フランジ部は、耐摩耗性に優れている。このリム・フランジ部を備えたタイヤ2では、長時間走行においても、耐リムずれ性が十分に発揮される。この観点から、加硫ゴムの硬度Hsは、73以上がより好ましく、75以上がさらに好ましい。乗り心地性の観点から、硬度Hsは90以下が好ましい。なお、本願明細書において、加硫ゴムの硬度Hsは、JIS K6253に記載されている測定法に従って、タイプAデュロメーターを用いて測定されるJIS−A硬度である。測定方法の詳細は、実施例において後述する。
以下、クリンチ8及び/又はチェーファー18の形成に用いる加硫ゴムの詳細について説明するが、前述した試験片及び試験条件において1.0以上の動摩擦係数が得られる限り、その配合が以下の説明に限定されるものではない。
クリンチ8及び/又はチェーファー18の形成に用いる加硫ゴムは、ゴム組成物が加熱及び加圧されることにより製造される。このゴム組成物の基材ゴムとして、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム(ABS)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等が例示される。1又は2種以上の基材ゴムが適宜選択されて用いられてもよい。本発明の効果が得られやすいとの観点から、天然ゴム、ブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムが好適に用いられ得る。
好ましくは、このゴム組成物は、扁平形状の無機フィラーを含む。扁平形状の無機フィラーが配合されることにより、前述の試験片及び試験条件において、1.0以上の動摩擦係数が得られやすくなる。なお、本願において、「扁平形状」とは、粒子の最大長径と厚さとで定義されるアスペクト比(最大長径/厚さ)が3以上のものを意味し、板状、薄片状、鱗片状等を含む概念である。なお、粒子の最大長径及び厚さは、透過型電子顕微鏡等の顕微鏡観察において、無作為に選択した100個の一次粒子の長径と厚みとを測定して得られる算術平均値である。
本発明の効果が得られる限り、扁平形状の無機フィラーの種類は特に限定されない。例えば、ハードクレー、マイカ、タルク、グラファイト、グラフェン、ベントナイト、ハロサイト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ノントロナイト、バーミキュライト、イライト、アロフェン、瀝青炭、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。ハードクレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、瀝青炭、グラフェン、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムがより好ましく、ハードクレー、マイカ及びグラフェンが特に好ましい。2種以上を併用してもよい。
扁平形状の無機フィラーのアスペクト比は、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上が特に好ましい。このアスペクト比は、1000以下が好ましい。アスペクト比が1000を超える場合、混練中に無機フィラーが破壊される可能性がある。
扁平形状の無機フィラーの平均粒子径は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が特に好ましい。この平均粒子径は、100μm以下が好ましい。平均粒子径が100μmを超える場合、混練中に無機フィラーが破壊される可能性がある。平均粒子径が0.01μm未満の場合、製造コストが高いことに加えて、自己凝集し易いため破壊核となる恐れがある。本願明細書において、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定によって求められる体積基準の累積50%粒子径である。
本発明の効果が得られやすいとの観点から、扁平形状の無機フィラーの配合量は、基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上が特に好ましい。他のタイヤ物性とのバランスの観点から、扁平形状の無機フィラーの配合量は、100質量部以下が好ましい。
本発明の効果が阻害されない限り、ゴム組成物が、扁平形状ではない他の充填剤を含みうる。他の充填剤として、カーボンブラック、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、珪藻土、硫酸バリウム等が例示される。
このゴム組成物が、前述した基材ゴム及び扁平形状の無機フィラー以外に、通常タイヤ部材用ゴム組成物に配合される加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、オイル、樹脂、老化防止剤、ワックス類等の配合剤を含んでもよい。本発明の効果が得られる限り、各配合剤の配合量は特に限定されない。クリンチ8用又はチェーファー18用ゴム組成物として一般的な配合量とすることができる。
加硫剤としては、粉末硫黄、表面処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄等の硫黄及びジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物が例示される。好ましい加硫剤は、硫黄である。なお、ここで、硫黄とは、所謂単体硫黄を意味するものであり、硫黄化合物中に含まれる硫黄原子を意味するものではない。
加硫促進剤として、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系架橋促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系架橋促進剤;ジエチルチオウレア等のチオウレア系架橋促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩等のチアゾール系架橋促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系架橋促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸系架橋促進剤及びイソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系架橋促進剤が挙げられる。2種以上を組み合わせて使用してもよい。加硫促進助剤としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸亜鉛、ステアリン酸、アミン類等が例示される。
オイルとして、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等のプロセスオイル及びひまし油、綿実油、あまに油、なたね油等の植物油脂が挙げられる。樹脂としては、石油系樹脂、ロジン、ピッチ、テルペン樹脂、フェノール樹脂、フェノール・アルデヒド樹脂等が例示される。
老化防止剤として、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系、オクチル化ジフェニルアミン、4,4´−ビス(α,α´−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系、N−イソプロピル−N´−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N´−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N´−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系等のアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系、テトラキス−[メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系等のフェノール系老化防止剤及びWINGSTAY−L等のポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。
ワックス類としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、蜜蝋、カルナバワックス等の天然系ワックス及びポリエチレンワックス、脂肪酸エステル系ワックス等の合成ワックスが例示される。
本発明の効果を阻害しない範囲で、ゴム組成物が、さらに、カップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、スコーチ防止剤、滑剤、加工助剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤等を含んでもよい。
本発明において、リム・フランジ部に用いるゴム組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー又はオープンロール等既知の混練機を用いて、基材ゴムと、扁平形状の無機フィラー及び前述した配合剤を適宜混合することにより、未加硫のリム・フランジ部用ゴム組成物が得られる。このゴム組成物を加硫機中で加熱及び加圧することにより、リム・フランジ部をなす加硫ゴムが得られる。
前述した通り、この実施形態に係るタイヤ2では、クリンチ8とチェーファー18とが一体に形成されて、リム・フランジ部をなしている。このタイヤ2では、クリンチ8及びチェーファー18は、同じ配合の加硫ゴム(すなわち、クリンチゴム)から形成されている。クリンチ8とチェーファー18とが一体に形成されない実施形態の場合、クリンチ8をなす加硫ゴムの配合と、チェーファー18に用いる加硫ゴムの配合とが、同じであってもよく、異なっていてもよい。本発明においては、クリンチ8又はチェーファー18の少なくとも一方が、前述した試験片及び試験条件で得られる動摩擦係数が1.0以上となるように、加硫ゴムの配合が選択される。耐リムずれ性の観点から、クリンチ8及びチェーファー18の両方が、動摩擦係数1.0以上の加硫ゴムとなるように、その配合が選択されることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係るタイヤ2の製造方法について説明する。この製造方法は、準備工程、測定工程、評価工程及び作製工程を含んでいる。
準備工程では、加硫ゴムからなる試験片が準備される。詳細には、リム・フランジ部について前述した基材ゴム、扁平形状の無機フィラー及び各種配合剤を混練して未加硫のゴム組成物とし、この未加硫のゴム組成物を加熱及び加圧することにより、シート状の加硫ゴムを得る。この加硫ゴムシートを加工することにより、厚み1mm及び平面視面積49mmの試験片を得る。
測定工程では、試験片の動摩擦係数が測定される。動摩擦係数の測定には、摩擦面を備えた摩擦試験装置が用いられる。本発明に係る製造方法において、この摩擦試験装置の摩擦面は、リム40の表面粗さと同等の表面粗さを有している。通常、レーザー顕微鏡により測定されるリム40の表面粗さは、Ra値(算術平均粗さ)として約1.0μmである。リム40と同等の表面粗さを有している限り、摩擦面の材質は特に限定されず、例えば、ステンレス等の金属、アクリル樹脂等が挙げられる。また、リム40と同等の表面粗さを有する摩擦面を備えている限り、摩擦試験装置の種類も特に限定されない。
本発明に係る製造方法の測定工程では、リム40と同等の表面粗さを有する摩擦面に対して、接触圧2000kPa(荷重100N)で試験片を押しあてて、滑り速度10mm/sで移動させることにより、動摩擦係数が測定される。測定温度は、通常23℃である。2000kPaの接触圧は、通常摩擦試験で採用される接触圧と比べて、かなり高い。この測定条件で得られる動摩擦係数には、タイヤ2が走行中のリム40近傍におけるリム・フランジ部の挙動が反映される。
好ましくは、動摩擦係数測定前に、試験片の測定面が摩擦処理される。前述した摩擦試験装置の摩擦面が、試験片の摩擦処理にも用いられ得る。具体的には、試験片を摩擦面に押しあてて、繰り返し移動させることにより、この試験片が摩擦処理される。より好ましくは、接触圧2000kPa(荷重100N)で試験片を摩擦面に押しあてて、滑り速度10mm/sで、繰り返し移動させることにより、試験片が摩擦処理される。
この実施形態では、摩擦処理中、試験片の移動にともなう動摩擦係数の変動を記録してその標準偏差を算出する。この標準偏差を指標として、試験片の移動回数を設定する。測定精度の観点から、通常、標準偏差が0.10以下となるまで、摩擦処理を繰り返した後に、前述した測定条件で摩擦試験をおこなって、試験片の動摩擦係数を決定する。
評価工程では、得られた動摩擦係数を指標として加硫ゴムが評価される。具体的には、前述した測定条件で得られる動摩擦係数が1.0以上である加硫ゴムの配合が、リム・フランジ部用加硫ゴムの配合として、選択される。
作製工程では、動摩擦係数が1.0以上の加硫ゴムの配合を用いて、クリンチゴム又は繊維被覆ゴムを得ることにより、一対のクリンチ8及び/又は一対のチェーファー18が作製される。例えば、試験片をなす加硫ゴムの配合にて、基材ゴムと、扁平形状の無機フィラー及び各種配合剤とを混練機で混合することにより、未加硫のゴム組成物とする。次いで、このゴム組成物を、クリンチ8及び/又はチェーファー18の形状となるように押出加工した後、他のタイヤ部材と併せて、タイヤ成形機で成形して未加硫タイヤとする。その後、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱及び加圧することにより、一対のクリンチ8及び一対のチェーファー18を備えたタイヤ2が製造される。このゴム組成物を、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等の有機繊維からなる布に含浸させて得られる繊維被覆ゴムを用いて、チェーファー18を形成してもよい。
本発明に係る製造方法によれば、前述した測定条件で得られる動摩擦係数が1.0以上の加硫ゴムからなるリム・フランジ部を備えた空気入りタイヤ2が得られる。このタイヤ2は、耐リムずれ性に優れている。
次に、本発明に係る耐リムずれ性評価方法について説明する。この評価方法は、加硫ゴムからなる試験片を準備する準備工程と、この試験片の動摩擦係数を、リムの表面粗さと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いて測定する測定工程と、測定工程で得た動摩擦係数を指標として、加硫ゴムを評価する評価工程と、を有している。好ましくは、この評価方法は、測定工程前に、試験片を摩擦処理する工程をさらに有している。
この評価方法の測定工程では、接触圧2000kPa以上かつ滑り速度10mm/s以上の測定条件で、試験片の動摩擦係数が測定される。この測定条件で得られる動摩擦係数には、タイヤ2の走行中のリム・フランジ部の挙動が十分に反映される。この動摩擦係数を指標とすることにより、タイヤ2を製造することなく、耐リムずれ性の高いリム・フランジ部用加硫ゴムの配合を、選択することができる。
耐リムずれ性と相関性の観点から、測定工程における接触圧は、2500kPa以上が好ましく、3000kPa以上がより好ましい。同様の観点から、滑り速度は12mm/s以上が好ましく、15mm/s以上が好ましい。通常、接触圧の上限は20000kPaであり、滑り速度の上限は30mm/sである。
測定工程における接触圧は、測定時に負荷される荷重と、試験片の面積とにより調整される。高い接触圧が実現されるとの観点から、試験片の平面視面積は、100mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましい。測定精度の観点から、試験片の平面視面積の下限は25mmである。
測定時に負荷される荷重は、準備する試験片の平面視面積に応じて、2000kPa以上の接触圧が得られるように調整される。耐リムずれ性との相関及び試験片の変形抑制の観点から、好ましい荷重は100N以上200N以下である。
この評価方法において、試験片は通常シート状である。高い接触圧(大荷重)による試験片の剪断変形を抑制する観点から、試験片の厚みは、1.5mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましい。測定精度の観点から、試験片の厚みの下限は0.6mmである。本発明の効果が得られる限り、試験片の平面視形状は特に限定されない。
本発明の効果が阻害されない限り、測定工程前の摩擦処理方法及び摩擦処理条件は特に限定されない。製造方法において前述した処理方法が、この評価方法においても用いられ得る。
測定精度向上の観点から、試験片が、繰り返し摩擦処理されることが好ましい。この繰り返し回数は、摩擦処理中に計測される動摩擦係数の標準偏差を指標として決定される。測定精度向上及び作業効率の観点から、この標準偏差が、好ましくは0.10以下、より好ましくは0.06以下となるように、繰り返し摩擦処理されることが好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1−6及び比較例1−5]
下表1−2に示された配合に従って、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を、容量1.7Lのバンバリーミキサー(神戸製鋼所製)に投入して、150℃で3分間混練した。得られた混練物を取り出して、表1に示された量の硫黄及び加硫促進剤を添加した後、オープンロールを用いて、80℃で3分間混練することにより、未加硫のゴム組成物を得た。得られた未加硫のゴム組成物を165℃で20分間プレス加硫することにより、厚み1mmの加硫ゴムシートを作成した。続いて、このゴムシートを切削加工して、実施例1−6及び比較例1−5の試験片(縦7mm×横7mm×厚さ1mm)を得た。
[耐リムずれ性評価]
始めに、試験片を接着剤でステンレス製の板(支持体)に貼付した。この支持体を、摩擦面(金属製、表面粗さ(Ra)1.0μm)を備えた多機能摩擦試験機(ブルカー社製の商品名「UMT TriboLab」)に設置した。続いて、この試験片を摩擦面に押しあてて移動させることにより、試験片の摩擦処理をおこなった。摩擦処理条件は、下記の通りである。
接触圧:2000kPa(荷重:100N)
滑り速度:10mm/s
滑り距離:4mm
温度:23℃
摩擦処理中、試験片の移動にともなう動摩擦係数の変動を記録して、その標準偏差を算出した。この標準偏差が0.10以下になるまで、摩擦処理を繰り返した。繰り返し回数は約5回であった。その後、摩擦処理後の試験片を用いて摩擦試験をおこない、区間30−35mmにおける動摩擦係数の平均値を求めた。測定条件は、以下の通りである。
接触圧:2000kPa(荷重:100N)
滑り速度:10mm/s
温度:23℃
得られた動摩擦係数がμ[−]として、下表1−2に示されている。比較例1の動摩擦係数μを100とした指数が、耐リムずれ性として下表1−2に示されている。
[ゴム硬度測定]
実施例1−6及び比較例1−5の加硫ゴムの硬度Hsを、タイプAデュロメーターを用いて、23℃の温度下で測定した。測定は、厚み1mmの試験片を3枚積層した状態でおこなった。測定結果が、硬度Hsとして下表1−2に示されている。
Figure 2021017062
Figure 2021017062
表1−2に記載された化合物の詳細は、以下の通りである。
NR:天然ゴム、商品名「TSR20」
BR:宇部興産(株)製のハイシスブタジエンゴム、商品名「BR150B」
SBR:JSR株)製のスチレン−ブタジエンゴム、商品名「SBR1712」
CB1:三菱化学(株)製のカーボンブラック、商品名「ダイアブラックN330」(NSA:79m/g)
CB2:Jiangix Black Cat(黒猫)社製のカーボンブラック、商品名「N660」(NSA:35m/g)
ハードクレー:サウスイースタン・クレー社製のカオリンクレー、商品名「クラウンクレー」(平均粒子径:0.6μm)
マイカ:(株)レプコ製のマイカ(雲母)、商品名「S−200HG」(フロゴバイト、平均粒径:50μm、アスペクト比:55)
炭酸カルシウム:竹原化学工業(株)製の商品名「タンカル200」(平均粒径:2.7μm、比重:2.68、BET比表面積:1.5m/g)
タルク:日本ミストロン(株)製の扁平タルク、商品名「HAR」(平均粒径:5.7μm、比重2.7、BET比表面積:22m/g)
オイル:出光興産(株)製のアロマオイル、商品名「ダイアナプロセスAH−24」
C5C9系樹脂:東ソー(株)製の石油系樹脂、商品名「ペトロタック100V」
老化防止剤:住友化学(株)製のN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、商品名「アンチゲン6C」
ステアリン酸:日油(株)製の商品名「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の商品名「酸化亜鉛2種」
硫黄:日本乾溜工業(株)製の商品名「セイミサルファー」(不溶性硫黄、オイル分10%含有)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、商品名「ノクセラーCZ−G」
[リムずれ量測定]
表1−2に示された実施例1及び比較例1の配合に従って、前述した条件にて、未加硫のゴム組成物を得た。得られた未加硫のゴム組成物を、それぞれ、クリンチ及びチェーファーの形状に一体成形した後、タイヤ成型機上で、他のタイヤ部材と併せて未加硫タイヤとした。各未加硫タイヤを加硫機中で170℃、12分間加硫することにより、図1に示された基本構成を備えた試験タイヤ1及び比較試験タイヤ1を製造した(サイズ:285/35ZRF20(100Y))。
得られたタイヤをそれぞれ正規リムに組み込み、空気を充填して内圧を160kPaとした後、各タイヤ及びリムにマークを付して、インサイド転動試験機に装着した。その後、下記条件にて各タイヤを転動させて、スリップ率3.0%の状態を3秒間保持した後、タイヤとリムとのマーク間のずれを定規で測定した。
転動速度:80km/h
荷重:6.5kN
滑り角度:0℃
同様に、市販されている同サイズのタイヤ(他社製品)を、試験タイヤ2として、リムずれ量測定をおこなった。試験タイヤ1及び2並びに比較試験タイヤ1について得られた結果が、リムずれ量(mm)として下表3に示されている。
Figure 2021017062
また、試験タイヤ2のリム・フランジ部から加硫ゴムを採取して、前述した方法で動摩擦係数μ[−]を測定した。表2の比較例1の動摩擦係数μを100とした指数が、試験タイヤ2の耐リムずれ性として、下表3に示されている。表3には、対比のため、表1−2に記載した実施例1(試験タイヤ1)及び比較例1(比較試験タイヤ1)の動摩擦係数μ及び耐リムずれ性も併記されている。
表3に示される通り、動摩擦係数が1を超える試験タイヤ1及び試験タイヤ2では、動摩擦係数が0.75の比較試験タイヤ1と比較して、リムずれ量が50%以下に低減した。このことから、本発明に係る評価方法によれば、従来のようにタイヤを製造することなく、耐リムずれ性を高い精度で予測できることがわかる。
[比較試験1]
試験タイヤ1及び2並びに比較試験タイヤ1のリム・フランジ部を形成する加硫ゴムを用いて、試験片(縦10mm×横10mm×厚さ1mm)を準備し、接触圧1000kPa(荷重100N)に変更した以外は前述した条件にて、耐リムずれ性評価をおこなった。得られた動摩擦係数がμ−c[−]として、比較試験タイヤ1の動摩擦係数μ−cを100とした指数が、耐リムずれ性(C)として、下表4に示されている。
Figure 2021017062
表3及び4に示されるように、比較試験1で得られる動摩擦係数μ−cによる耐リムずれ性(C)に比べて、本発明に係る評価方法で得られる動摩擦係数μによる耐リムずれ性とリムずれ量との相関性は高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された空気入りタイヤは、種々の車両に適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・クリンチ
10・・・ビード
12・・・カーカス
14・・・ベルト
16・・・インナーライナー
18・・・チェーファー
20・・・クッション層
22・・・トレッド面
24・・・溝
30・・・コア
32・・・エイペックス
34・・・カーカスプライ
36・・・(ベルトの)内側層
38・・・(ベルトの)外側層
40・・・リム

Claims (8)

  1. 一対のクリンチ及び/又は一対のチェーファーを備えており、
    このタイヤがリムに組み込まれたときに、それぞれのクリンチ及びそれぞれのチェーファーが、このリムと接触するように構成されており、
    上記一対のクリンチ及び/又は一対のチェーファーが、クリンチゴム又は繊維被覆ゴムから形成されており、このクリンチゴム及び繊維被覆ゴムの主成分が加硫ゴムであり、この加硫ゴムの動摩擦係数が1.0以上であり、
    上記動摩擦係数が、厚み1mm及び平面視面積49mmの試験片を、上記リムの表面粗さと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いて、接触圧2000kPa及び滑り速度10mm/sで測定することにより得られる、空気入りタイヤ。
  2. 上記加硫ゴムのJIS−A硬度が70以上である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記加硫ゴムが扁平形状の無機フィラーを含んでいる請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記扁平形状の無機フィラーが、ハードクレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、瀝青炭、グラフェン、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムからなる群から選択される請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 加硫ゴムから形成された、厚み1mm及び平面視面積49mmの試験片を準備する準備工程と、
    上記試験片の動摩擦係数を、リムの表面粗さと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いて、接触圧2000kPa及び滑り速度10mm/sの条件で測定する測定工程と、
    上記測定工程で得た動摩擦係数を指標として、上記加硫ゴムを評価する評価工程と、
    上記動摩擦係数が1.0以上となる加硫ゴムの配合を用いて得られるクリンチゴム又は繊維被覆ゴムから、一対のクリンチ及び/又は一対のチェーファーを作製する作製工程と、
    を含んでいる、請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
  6. 加硫ゴムからなる試験片を準備する準備工程と、
    上記試験片の動摩擦係数を、リムの表面粗さと同等の表面粗さを有する摩擦面を備えた摩擦試験装置を用いて測定する測定工程と、
    上記測定工程で得た動摩擦係数を指標として、上記加硫ゴムを評価する評価工程と、
    を有しており、
    上記動摩擦係数の測定条件が、接触圧2000kPa以上かつ滑り速度10mm/s以上である耐リムずれ性評価方法。
  7. 上記試験片の厚みが1.5mm以下であり、その平面視面積が100mm以下である請求項6に記載の評価方法。
  8. 上記動摩擦係数の測定条件が、荷重100N以上である請求項6又は7に記載の評価方法。
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