JP2021012140A - レーダーシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】演算処理負荷が小さくて済み、かつ、妨害波以外の要因により発生する偽像も効果的に抑制可能なレーダーシステムを提供する。【解決手段】距離別の方位スペクトル上で複数の強度ピークが生ずる場合に、それら強度ピークの組に対して強度値が閾値を超えているかどうかを必要条件とする選別を行ない、選別条件を充足するメインピークが示す距離及び方位の情報を物標検出情報として出力する。これにより、重み演算によるサイドローブ軽減に必要だった従来方式の負荷の高い演算処理を、強度ピークの単純な選別処理に置き換えることができ、演算処理負荷の小さいレーダーシステムを実現できる。また、妨害波以外の要因により発生する偽像に由来した強度ピークも、選別処理により効果的に抑制することができる。【選択図】図1

Description

この発明は、物標(ターゲット)までの距離及び方位を測定するレーダーシステムに関するものである。
アンテナアレイを用いて物標までの距離及び方位を測定するレーダーシステムが多数提案されている。これらのレーダーシステムにおいては、物標からの到来波が所望信号となるが、種々の要因により妨害波が重畳され、偽像が検出される要因となる。アンテナアレイを用いたレーダーシステムでは、移相器を用いて個々の要素アンテナの出力波形の位相を希望する受信ビーム方位にそろえることで、当該方位へのアンテナアレイの合成出力(応答特性)を最大化する手法が採用される(いわゆるビームフォーミング法)。
アンテナアレイの合成出力Eは、数学的には、移相シフト量を与える重み係数w(複素数)を各要素アンテナの出力波形関数に乗じて加算することにより得られ、上記重み係数wを方位θの関数w(θ)として与えることで、アンテナアレイの合成出力Eもまたθの関数E(θ)として表すことができる。合成出力E(θ)は複素関数となるが、その絶対||E(θ)||を種々の角度値θについてマッピングしたものはアンテナアレイの指向性パターンと称され、その最大値周辺をメインローブ(メインビーム)と呼ぶ。他方、重み係数wはメインローブ以外の他の角度位置での応答特性が可及的に小さくなるように、理想的にはゼロに近づくように選定するのがよいとされるが、数学的な原理上、上記他の角度位置にも応答特性の極大値が発生する。これをサイドローブと呼ぶ。
該サイドローブの方向から妨害波が到来しているとレーダー偽像を生ずるので、このサイドローブを抑制するためのサイドローブキャンセラが種々提案されている。サイドローブキャンセラでは、妨害波の到来方向に対するアンテナ利得が小さくなるように、上記アンテナアレイの合成出力を与える関数Eの重み係数を演算により決定する。この重み係数wを決定する方法としては、受信信号のサンプル毎に重み係数wの値を逐次更新していくことにより最適値に収束させる方法が多く採用されている(例えば特許文献1、非特許文献1)。
特開2006−162397号公報
「高利得アレイ用アダプティブサイドローブ抑圧法」、電子情報通信学会論文誌 B Vol. J86-B No.5 pp.790-797 2003年5月
しかしながら、上記の従来のサイドローブキャンセラには、次のような問題がある。
(1)アレイアンテナの出力値を最適値に収束させるための、重み係数wの繰返し演算処理負荷が大きくなり、処理時間も長くなる。
(2)サイドローブレベルを大きく低減させようとすると、メインローブレベルもこれに引っ張られる形で下がり、感度低下を招きやすくなる惧れがある。
(3)妨害波以外の要因により発生する偽像を取り除くことが困難である。
本発明の課題は、演算処理負荷が小さくて済み、かつ、妨害波以外の要因により発生する偽像も効果的に抑制可能なレーダーシステムを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明のレーダーシステムは、物標を探索するための探索用電波を送信波として送信する送信部と、複数の要素アンテナからなる受信アンテナアレイを有し、探索用電波の反射波を、受信アンテナアレイを介して受信波として受信する受信部と、受信アンテナアレイの受信ビーム方位を予め定められた方位角度範囲にて順次変更しつつ制御することにより受信波のビーム走査を行なう走査部と、送信部による送信波形信号と、ビーム走査により得られる種々の受信ビーム方位の受信波形信号とに基づき、受信ビーム方位における距離と受信強度との関係を示す距離スペクトルを方位別に生成する距離スペクトル生成部と、方位別に生成された複数の距離スペクトルから、同一距離の受信波強度点をそれぞれ抽出することにより、受信ビーム方位と受信強度との関係を示す方位スペクトルを距離別に生成する方位スペクトル生成部と、距離別に生成された方位スペクトルのそれぞれにおいて強度ピークを抽出するピーク抽出部と、個々の方位スペクトル毎に抽出される強度ピークの組に対し、強度値が予め定められた閾値を超えていることを必要条件として含む選別条件を設定するとともに、当該強度ピークの組において選別条件を充足する強度ピークを物標特定用のメインピークとして選別する処理を行なうピーク選別処理部と、選別されたメインピークが示す距離及び方位の情報を物標検出情報として出力する物標検出出力部と、を備えたことを特徴とする。
上記本発明の構成においては、距離別の方位スペクトル上で複数の強度ピークが生ずる場合に、それら強度ピークの組に対して強度値が閾値を超えているかどうかを必要条件とする選別を行ない、選別条件を充足するメインピークが示す距離及び方位の情報を物標検出情報として出力する。これにより、重み演算によりサイドローブを十分軽減させたい場合に従来必要だった負荷の大きい演算処理を、単純な強度ピークの選別処理に置き換えることができ、演算処理負荷の小さいレーダーシステムを実現できる。また、妨害波以外の要因により発生する偽像に由来した強度ピークも、選別処理により効果的に抑制することができる。
本発明の一実施形態であるレーダーシステムの機能ブロック図。 送信部の具体的構成の一例を示す回路図。 図1のレーダーシステムの信号処理装置の電気的構成をより具体化したブロック図。 送信波の周波数変調パターンの一例を示す模式図。 ビート波形信号の周波数スペクトルの解析を行う概念を説明する図。 物標リストメモリの内容を概念的に示す図。 測定制御プログラムの全体の処理流れを示すフローチャート。 図4の方位解析処理の流れを示すフローチャート。 図4のピーク解析処理の流れを示すフローチャート。 図4の偽像フィルタ処理の流れを示すフローチャート。 図10の処理の変形例の要部を示すフローチャート。 方位スペクトルの一例を偽像探索区間の設定例とともに示す模式図。 図12の方位スペクトルにおいて、偽像ピークの強度を一定レベルにそろえる形で抑制処理を施した状態を示す模式図。 図12の方位スペクトルにおける有効偽像ピーク強度の概念を示す模式図。 図14において、方位スペクトルの方位基準レベルと有効偽像ピーク強度との比を縮小ささせる形で抑制処理を施した状態を示す模式図。 偽像フィルタ処理を施す前の物標検出結果の一例を示すマッピング図。 図13の方式により偽像フィルタ処理を行なった場合の結果の一例を示すマッピング図。 図15の方式により偽像フィルタ処理を行なった場合の結果の一例を示すマッピング図。 図18よりも縮小係数を大きく設定した場合の結果の一例を示すマッピング図。 速度検知を行なう場合の送信波の周波数変調パターンの一例を示す模式図。 速度を識別して物標検出出力を行なう場合の物標リストメモリの内容を概念的に示す図。 ピーク検出処理の後で偽像フィルタリング処理を行なう場合の測定制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート 図22の偽像フィルタリング処理を物標リストメモリ上にて実施する概念を示す説明図。 バックグラウンドのうねりレベルに応じて方位スペクトルの基準レベルを補正する概念を説明する図。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるレーダーシステム1の電気的構成を示すブロック図である。レーダーシステム1は、周波数変調連続波(FMCW:Frequency Modulated Continuous Wave)レーダーの原理に基づいて物標までの距離及び方位を測定する装置として構成され、信号処理部2と、これに接続される電波送受信のフロントエンド部3とを有する。
フロントエンド部3は、マスターIC50Mと、該マスターIC50Mに対し配線部SCLを介してカスケード接続されるスレーブIC50Sとを備える。これらマスターIC50MとスレーブIC50Sは、本実施形態ではいずれも同種のレーダーフロントエンドICとして構成され、所定の切り替え端子(図示せず)への設定入力切替えにより、マスターICとしての機能とスレーブICとしての機能を適宜選択できるようになっている。このようなレーダーフロントエンドICの市販品としては、AWR1243P(米国テキサス・インスツルメント社製)を例示することができる。
マスターIC50Mには送信部をなす発振回路54、送信アンプ41及び送信アンテナ51が組み込まれる(スレーブIC50S内にも組み込まれているが、使用されない)。発振回路54は制御回路56から入力される周波数指示値に基づき周波数が連続変調された送信波形信号を生成する。該送信波形信号は、送信アンプ41で増幅された後、送信アンテナ51より送信波(物標探索用電波)として出力される。図2に示すように、送信アンテナ51は複数の要素アンテナ51(A)〜51(C)からなる送信アンテナアレイとして構成される。発振回路54からの送信波形信号は、要素アンテナ51(A)〜51(C)毎に移相器42により移相調整され、所望の方位(θ)への指向性送信ビームとして互いに重畳して送出される。移相器42はIC内の制御回路56からの移相制御信号を受けることにより、該制御回路56とともに、指向性送信ビームを所定の方位各角度範囲内にて走査する役割を果たす。
一方、マスターIC50M及びスレーブIC50Sには、受信アンテナアレイを構成する複数の要素アンテナ(受信アンテナ)52が分散して組み込まれ、要素アンテナ52による受信波の波形信号を増幅するローノイズアンプ43が受信部として設けられている。ローノイズアンプ43からの波形信号出力は、配線部SCLを介してマスターIC50Mから分配される送信波の波形信号と混合部53にて混合される。そして、混合部53が出力するビート波形信号はA/D変換部55にてデジタル変換されることによりビート波形データX1(t)〜Xn(t)とされ、波形出力ポートWO1〜WOnからシリアル出力される。A/D変換部55は、クロック回路59から制御回路56を経て入力されるクロック信号により、波形フレーム取込み開始タイミング及び個々の波形ビットの出力タイミングが制御される。
送信波については、周波数偏移幅(占有周波数帯域)Δfと周期Tが一定に定められた線形変調パターンに従うものを使用する。送信波の周波数は、送信波が出てから反射波が返ってくるまでの期間において物標までの距離に応じて変化する。その結果、ある時刻に送信された送信波が反射波となって返ってきたとき、その受信波と受信時点での送信波とを混合すれば、両者の差分周波数に相当する定在波がうなり(ビート)となって発生する。具体的には、物標までの距離をd、ビート信号の周波数(=送信周波数f1と受信周波数f2の差分周波数)をδf、光速をcとすれば、
δf=2・d・Δf/(c・T)
となる。c、T及びΔfが一定であるから、定在波ビート信号の周波数δfは距離dに単純に比例することがわかる。したがって、δfの測定から物標までの距離dを直接的に求めることができる。図4に示すのはのこぎり波状の線形変調パターンの例を示し、周期Tごとの周波数変化率は常時一定である。送信波の基本周波数は75GHz以上80GHz以下の範囲で適宜設定され、送信波の周波数偏移幅Δfは300MHz以上1.5GHz以下(望ましくは、300MHz以上1GHz以下)、周期Tは0.5msec以上10msec以下(望ましくは1msec以上5msec以下)の範囲で適宜設定される。
なお、受信側の要素アンテナ52、ローノイズアンプ43、混合器53及びA/D変換部55は、図1では個々のマスターIC50M及びスレーブIC50Sごとに1組のみ描いているが、実際は各IC50M,50Sに、これらの組が複数設けられている(例えば、AWR1243Pでは4組)。
マスターIC50Mと各スレーブIC50Sとは、各ICに設けられた同期出力ポートSYNOと同期入力ポートSYNIとをつなぐ配線部SCLによりカスケード接続されている。配線部SCLはIC内部配線とともに、波形分配ラインWVLと制御信号ラインSCLとを形成する。マスターIC50Mの発振回路54からの送信波形信号は、該スレーブIC50S内の各混合器53に対し、波形分配ラインWVLによりバッファアンプ57を介して入力される。
一方、各スレーブIC50Sの制御回路56は、信号ラインSCLを介してマスターIC50Mからの同期信号を受信し、その同期信号に基づいてクロック回路59から入力されるクロック信号を,タイミング補正しつつA/D変換部55に入力する。これにより、各スレーブIC50S(及びマスターIC50M)は、波形出力ポートWO1〜WOnからビート波形データを、波形フレーム取込み開始タイミング及び個々の波形ビットの出力タイミングが同期した形で出力する。よって、制御回路56は同期制御部としての機能を果たす。
次に、信号処理装置2は、距離スペクトル生成部60A、方位スペクトル生成部60B、ピーク抽出部60C及び偽像フィルタ部60D(ピーク選別処理部及び物標検出出力部として機能する)の各機能ブロックを有する。各機能ブロックは以下のように特徴づけられるものである。
・距離スペクトル生成部60A:マスターIC50M及びスレーブIC50Sに一対一に対応する形で設けられ、各ICの波形出力ポートWO1〜WOnから出力されるビート波形データ(信号)を距離スペクトルである周波数スペクトルに変換する。本実施形態においては、受信ビーム方位にかかる全体の走査角度範囲が、マスターIC50M及びスレーブIC50Sにより、各々中心方位の異なるサブ走査角範囲にて分割してカバーされるようになっている。各距離スペクトル生成部60Aは、周知のビームフォーミングアルゴリズムに従い、各々受け持つサブ走査角範囲にて受信ビーム方位θを順次変更する形で方位θ毎の重み係数w(θ)を決定し、対応するIC50M,50Sから受信するビート波形データに該重み係数w(θ)を乗じて加算演算する。これにより、受信ビーム方位θ毎のビート波形データが合成される(つまり、受信アンテナアレイの受信ビーム方位を予め定められた方位角度範囲にて順次変更しつつ制御することにより受信波のビーム走査を行なう、走査部としての機能が実現している)。そして、サブ走査角範囲内の方位θ毎に得られるビート波形データを高速フーリエ変換処理することにより(つまり、送信部による送信波形信号と、ビーム走査により得られる種々の受信ビーム方位の受信波形信号とに基づき)、受信ビーム方位θにおける距離と受信強度との関係を示す距離スペクトルが、サブ走査角範囲内の方位別に生成される。
・方位スペクトル生成部60B:各距離スペクトル生成部60Aにて方位別に生成された複数の距離スペクトルから、同一距離の受信波強度点をそれぞれ抽出することにより、受信ビーム方位と受信強度との関係を示す方位スペクトルを距離d別に生成する。
・ピーク抽出部60C:距離別に生成された方位スペクトルのそれぞれにおいて強度ピークを抽出する。
・偽像フィルタ部60D:偽像ピーク抑制部の機能を担うものである。具体的には、個々の方位スペクトル毎に抽出される強度ピークの組に対し、強度値が予め定められた閾値を超えていることを必要条件として含む選別条件を設定するとともに、当該強度ピークの組において選別条件を充足する強度ピークを物標特定用のメインピークとして選別する処理を行なう(ピーク選別処理部)。そして、選別されたメインピークが示す距離及び方位の情報を出力ポートDOから物標検出情報として出力する(物標検出出力部)。
図3は、信号処理部2の電気的構成の詳細を示すブロック図である。信号処理部2は、CPU31、RAM32、ROM33、入出力部34とそれらを接続するバス30を有する。ROM33には次のようなプログラムが格納されている。いずれもRAM32を実行エリアとしてCPU31により実行され、個別の機能実現部を具現化する。
・測定制御プログラム33a:上記した距離スペクトル生成部60A、方位スペクトル生成部60B、ピーク抽出部60C及び偽像フィルタ部60Dの各機能を実現するための基本的なプログラムである。
・デジタルフィルタ33b:ビート信号波形データをRAM32の波形フィルタメモリ32aに取り込み、高調波等に由来したノイズなどを除去するデジタルフィルタリング処理を行なう。ローパスフィルタないしバンドパスフィルタとして構成される。
・受信ビーム走査プログラム33c:方位スペクトル生成部60Bの機能の一部を実現するプログラムである。波形出力ポートWO1〜WOnから出力されるビート波形データを入出力部34の各入力ポートWI1〜WInにて受信し、RAM32の波形メモリw1〜wnに取り込む。そして、前述のサブ走査角範囲にて受信ビーム方位θを順次変更する形で方位θ毎の重み係数w(θ)を決定し(例えば、ROM33に記憶された方位別の重み係数テーブルから読み出してもよい)、波形合成・走査メモリ32bにおいて、対応するIC50M,50Sから受信するビート波形データに該重み係数w(θ)を乗じ加算演算して、方位θ毎のビート波形データを合成する。
・FFTモジュール33d: 図5に示す方位別のビート波形データを、RAM32内のFFT処理メモリ32hを用いて周波数スペクトルSpmに変換し、受信ビーム方位θにおける距離と受信強度との関係を示す距離スペクトルを方位別に生成する。
・方位解析プログラム33e:方位スペクトル生成部60Bの機能の一部を実現するプログラムである。方位解析メモリ32cにおいて、方位別に生成された複数の距離スペクトルから、同一距離の受信波強度点をそれぞれ抽出することにより、受信ビーム方位と受信強度との関係を示す方位スペクトルを距離d別に生成する。
・強度ピーク抽出プログラム33f:ピーク抽出部60Cの機能実現プログラムである。RAM32の強度ピーク解析メモリ32dにおいて、距離別に生成された方位スペクトルのそれぞれにおいて強度ピークの強度レベル及びピーク位置(角度)を特定する。ピーク位置は、例えばスペクトル極大点を形成する隣接する3ビンを見出し、これを二次曲線近似してその頂点位置から決定することができる。
・偽像フィルタ処理プログラム33g:偽像フィルタ部60Dの機能実現プログラムであり、RAM32の偽像フィルタ処理メモリ32fを用い、方位スペクトル上に抽出された強度ピークの組において、前述の選別条件を充足する強度ピークを物標特定用のメインピークとして選別する処理を行なう。そして、選別されたメインピークが示す距離及び方位の情報を、図3の入出力部34の出力ポートDOから物標検出情報として出力させる。
以下、各プログラムの処理の流れについて説明する。
図7は、測定制御プログラム33aの処理の流れを示すものである。
S1及びS2は、受信ビーム走査プログラム33cが担うステップである。まず、S1では、各IC50M,50Sからのビート波形データX1(t)〜Xn(t)を取り込み、S2で高速フーリエ変換(FFT)処理を行なって周波数スペクトル、すなわち距離スペクトルσ1〜 σnを得る。次に、S3では方位θの重み係数w(θ)を決定し、S4にてビート波形データX1(t)〜Xn(t)に該重み係数w(θ)を乗じ加算演算することにより、方位θの受信ビームに対応するビート波形データを合成する。以上の処理は、各IC50M,50Sのサブ走査角範囲の、量子化された全ての方位角度位置について実施される。
次に、S5の方位解析処理に進む。図8はその詳細を示すものである。S501では距離dを初期値d0に設定する。S502では、距離dに対応する周波数のスペクトル強度値I(d)を、各方位θの距離スペクトルから抽出する。そして、S503で、(θ、I(d))の組を方位スペクトルのデータとして保存する。S504で距離dをΔd(1ビン)だけインクリメントし、S505でdの値が上限値dmaxを超えるまでS502に戻って以下の処理を繰り返す。
図7に戻り、続いてS6のピーク検出処理となる。図9はその詳細を示すものであり、図12も参照しつつ説明する。該ピーク検出処理は、各距離dの値について得られているすべての方位スペクトルのデータについて実施される。まず、S601では方位スペクトルのデータをリードする。次に、方位スペクトルの基準レベルy’を設定する。基準レベルy’は、方位スペクトルの各データ点が示す強度値の平均値あるいは中央値などを採用可能である。次に、S603では、検索対象点として強度が閾値y’+αを超えるスペクトル点を抽出する。次いで、S604では、スペクトルの最大点を形成する隣接する3ビンのスペクトル点を検索する。そして、S605ではそれら極大点をなすスペクトル点に二次曲線近似を行ない、S606で、その頂点座標をメインピークの強度ym及び方位角度位置として特定する。
次に図7のS7の偽像フィルタ処理が実行される。図10のフローチャート及び図13を用いて、その詳細を説明する。ここでは、方位スペクトルにおいて偽像ピークをより低レベルの強度ピークに置換する形で偽像ピーク抑制処理を行なう。まず、図10のS701では、図13に示すように、強度軸上に偽像探索区間Ikを[y’+α,ym−β]に設定する。次に、S702において、方位スペクトルにおいて偽像ピークを、偽像探索区間Ik内にて極大値をなす3ビンを見出す形で探索する。抑制対象とする偽像ピークは物標検出出力の対象外であり、メインピークについて行ったような二次曲線近似等は行わない。そして、3ビンの極大値をなす中央のものの強度値を偽像ピークのピーク値ysとして読み取る。S703では、ysを一定の補正強度レベルyscに(例えば偽像探索区間Ikの下限値であるy’+αないしそれ以下の値に)、一律に置き換える処理を行なう。
図12及び図13において、強度軸は対数表示であり(単位:dB)、低減後の偽像ピーク強度レベルYは、低減前の強度レベルをyとして、
Y=α・ (y−y’) +y’
で表される。これを対数ではなく真値で表した場合は、低減後の偽像ピーク強度レベルΗは、低減前の強度レベルをη、基準レベルをη’として、
Η=ηα・η’(1−α)
として表すことができる。
図7に戻り、S8では、偽像フィルタ処理が実行された距離d別の各方位スペクトルについて、各ピークの頂点座標を読み取り、予め定められたノイズ除去用の閾値と比較する。そして、S9にて閾値を超えているピークを、図6に示すように、該頂点座標が示す方位角度θを距離dと対応付け、物標検出情報として、ピークID(ピーク特定情報)とともに物標リストメモリ32gに登録する。こうして登録された物標検出情報は、S10にて検出結果として図1又は図3の出力ポートDOから出力される(S11で処理終了となっていなければS1に戻り、以下の処理を繰り返す)。図17は、その物標検出情報を方位角度θと距離dとが張る平面上にマッピング出力した例である。また、図16は偽像ピーク抑制を行なわなかった場合の比較例である。比較例(図16)において多数発生していた偽像が、実施例(図17)では大幅に低減できていることがわかる。
また、本実施形態では、図1あるいは図3に示すように、電波送受信のフロントエンド部2が配線部SCLにより接続されたマスターIC50M及びスレーブIC50Sの組により構成され、マスターIC50Mからの同期信号により、スレーブIC50Sにおけるビート波形信号のフレームサンプリング及びデータ出力が同期制御されるようになっている。本発明者の検討によると、この種の制御には、配線部SCLの線長等による特性インピーダンスのバラツキや、外部ノイズによるクロック信号の乱れといった内部要因により、IC間の同期ずれを招来することが判明している。この同期ずれは、各ICが出力するビート信号の位相差に直接的に反映され、受信アンテナアレイの応答特性に生ずるサイドローブとは無関係に偽像の発生要因となる。こうした偽像は、従来のサイドローブ抑圧方式では原理的に除去できなかったものであるが、本発明の採用により問題なく抑制することが可能となる。
なお、上記のアルゴリズムにおける選別条件では、偽像探索区間[y’+α,ym−β]の上限側に外れる強度ピークは偽像とみなされず、メインピークとして残されることとなる。図12及び図13に示す例では、1つの方位スペクトルにてym−βよりも大きい強度ピークが1つのみであり、結果として電波送信源からみてある特定の距離dにある物標は1つだけが検出されていることになる。しかし、当然のことながら、該方式では、1つの方位スペクトルにて偽像探索区間[y’+α,ym−β]の上限側に外れる強度ピークが複数あれば、メインピークも複数が選別されて残る。そして、選別により残されるメインピークの数は、最大の強度ピークの強度値ymに対して設定される上限側の調整係数βの設定値により変化する。該βの値は、種々の物標モデル等を用いたキャリブレーション測定を経て、真の物標の棄却率がなるべく小さくなり、偽像の棄却率はなるべく大きくなるように適宜設定することが望ましいといえる。
この場合、偽像探索区間の設定において下限側の調整係数αをゼロに設定することで、yscをゼロとすること、すなわち、偽像ピークを方位スペクトルから完全に削除する処理も可能である、他方、上限側の調整係数βを可及的に小さく設定することで、強度が最大となる強度ピークのみをメインピークとし、それ以外の強度ピークを全て偽像ピークとして棄却すること、つまり、電波送信源からみて等距離にある物標を1つのみとみなし、他は、その発生要因を問わず偽像として棄却されるように処理を行なうこともできる。
なお、偽像ピークのピーク値ysを低減(抑制)させる方法は、上記図12及び図13に示す方法に限定されず、他の方式を採用することも可能である。その一例を、図14及び図15に示す。該方式では、図14に示すように、対数強度表示にて、偽像ピーク強度ysの基準レベルy’からの突出差分ys−y’を有効偽像ピーク強度として定める。そして、図15に示すように、その基準レベルy’で標準化した有効偽像ピーク強度(ys−y’)/y’の値に縮小係数γ(ただし、0<γ<1)を乗じる形で偽像ピーク強度ysの低減を図る。この方式によると、偽像の強度レベルの縮小を行なっても異なる偽像間での強度比は保存されるので、縮小係数γを設定する際のキャリブレーションにおいて、真の物標を偽像として棄却してしまう確率を減じられる場合がある。当該アルゴリズムによる偽像フィルタ処理は、上記説明したごとく、図10のフローチャートのS703を図11のS703’及びS704’に置き換えたものとなる。
図18及び図19は、γの値を変化させて物標検出情報をマッピング出力した例を示す。図18はγ=0.5の場合、図19はγ=0.8の場合であるが、γの値により除去される偽像の数が大きく変化していることがわかる。
以下、本発明の変形実施形態についてさらに説明する。
まず、本発明のレーダーシステムにおいては、距離別に生成された方位スペクトルのそれぞれにおいてピーク抽出部が抽出する強度ピークが示す物標候補の速度を、ビーム走査により得られる種々の方位の受信波形信号に基づき特定する速度特定部を設けることができる。この場合、ピーク選別処理部は、個々の方位スペクトル毎に抽出される、閾値を超える強度ピークのうち、最大ピークと、当該最大ピークとは異なる速度が特定された強度ピークとを、メインピークとして選別するように構成することができる。移動速度の異なる物標については、例えば同一距離にあっても異なる物標として検出できるようにすることで、真の物標を偽造として誤判定する確率を減ずることができる。
この場合、物標探索のための送信波の変調を、図20に示すような三角波とすることで、ドップラーシフトを利用した物標の速度検知が可能となる。この方式は周知であり、Δf:周波数偏移幅、c:光速、d:距離、V:速度、T:周波数偏移の周期、β:ビート周波数差(変調の上りスイープ時)、β:ビート周波数差(変調の下りスイープ時)として、
d=c・(β+β)・T /4Δf
V=c・(β−β)/4Δf
により、それぞれ求めることができる。図21に示すように、物標リストメモリ32gに登録される項目に速度Vが加わり、物標B3とB4のように、距離が同一(d3=d4)であっても、前者は速度がV3、後者は速度がゼロ(すなわち、静止)と検出されることで、いずれも強度ピークはメインピークとして選別され、物標検出情報として出力される。
また、図7の測定制御プログラムは、図22のように変形することもできる。この方式では、ピーク抽出部が個々の方位スペクトル毎に抽出する強度ピークを、前述の閾値と比較し、その閾値以上の強度ピークの組につき、各強度ピークが示す距離d、方位θ及び強度値Iの情報を物標候補情報として物標候補登録部(物標リストメモリ32g)に一旦全て登録する。また、ピーク選別処理部には、登録された物標候補情報のうち、選別条件を充足しない強度ピークに対応するものについて無効化処理を行なう無効化処理部の機能を付加する。そして、物標検出出力部は、物標候補登録部において無効化処理がなされなかった残余の物標候補情報に含まれる距離d及び方位θの情報を読み出して、メインピークの物標検出情報として出力する。
具体的には、図22において、S6のピーク検出処理が終了した後、S7’にて検出された各強度ピークを前述の閾値と比較し、閾値以上の強度ピークについて、偽像フィルタ処理を行わずに、図23の左に示すように、全ての強度ピークについての物標検出情報(距離d及び方位θ)に、さらにピーク強度Iの値を組み込み、ピークIDを付与して物標リストメモリ32gに一旦登録する(図22:S8’)。そして、この物標リストメモリ32g上にての偽造フィルタ処理を行なう(図22:S9’)。図22のS9’における処理では、偽像と判定された強度ピークについてデータを無効化する(例えば、図23右に示すように削除する)ことにより、物標として出力されないようにする点が、図7の偽造フィルタ処理との相違点となる。図23においては、同一距離に検出された物標候補のうち、ピーク強度の小さいもの(B1及びB2)が無効化されている例である。この方式であると、偽像も含めてすべての強度ピークの情報が物標候補情報として物標リストメモリ32gに記憶されるので、例えば過去の測定データに対して強度ピークの選別条件を見直し、再度出力させたりしたい場合の処理が容易となる利点が生ずる。
また、図12〜図15において、方位スペクトルに設定する基準レベルy’は、例えばスペクトル波形の平均値等により一定に設定されていたが、バックグラウンドのうねりレベルに応じて基準レベルy’を補正するようにしてもよい。具体的には、方位スペクトルを方位角度軸上でセル(区間)に区切り、セルごとに平均レベルy0に対するうねりレベルyudを計算して、各セルの基準レベルy’を
y’=y0+yud
となるように設定する。この方式によれば、うねりの影響を軽減した形で偽像ピークレベルについての評価、ひいては選別を的確に行うことができるようになる。なお、うねりレベルによるスペクトル上のピーク補正は、距離スペクトルや速度スペクトルについても同様に実施することができる。図24は、速度スペクトル(ビート周波数スペクトル)に生ずるうねりの例を示すものである。
本発明の作用及び効果の詳細は次のとおりまとめられる。上記詳述したごとく、本発明においては、距離別の方位スペクトル上に表れる複数の強度ピーク対し、強度値が閾値を超えているかどうかを必要条件とする選別を行なう。そして、その選別条件を充足するメインピークが示す距離及び方位の情報を物標検出情報として出力する。これにより、偽像出現抑制のために従来必要だった負荷の大きい演算処理を、単純な強度ピークの選別処理に置き換えることができる。また、妨害波以外の要因により発生する偽像に由来した強度ピークも、選別処理により効果的に抑制することができる。
ピーク選別処理部は、強度ピークの組において選別条件を充足しない強度ピークを偽像ピークとして特定するとともに、方位スペクトルにおいて該偽像ピークを削除するか又はより低レベルの強度ピークに置換する偽像ピーク抑制処理を行なう偽像ピーク抑制部を備えるものとして構成できる。この場合、物標検出出力部は、偽像ピーク抑制処理がなされた方位スペクトルにおいて、予め定められた閾値を超える強度ピークをメインピークとして特定し、該強度ピークに対応する距離及び方位の情報を物標の検出情報として出力するものとされる。方位スペクトル上で選別条件に漏れた強度ピークを事前に低レベル化するか削除しておくことで、物標検出出力部は、閾値を超える強度ピークを探索するだけでメインピークとしてこれを特定でき、処理アルゴリズムの一層の単純化を図ることができる。
他方、ピーク抽出部が個々の方位スペクトル毎に抽出する強度ピークの組について、各強度ピークが示す距離、方位及び強度値の情報を物標候補情報として登録する物標候補登録部を設けることもできる。この場合は、ピーク選別処理部は、登録された物標候補情報のうち、選別条件を充足しない強度ピークに対応するものについて無効化処理を行なう無効化処理部を備えるものとして構成できる。物標検出出力部は、物標候補登録部において無効化処理がなされなかった残余の物標候補情報に含まれる距離及び方位の情報を読み出して、メインピークの物標検出情報として出力するように構成できる。該構成によれば、偽像も含めてすべての強度ピークの情報が物標候補情報として登録されるので、選別条件変更等に対応したい場合の強度ピークデータの柔軟性を向上でき、例えば過去の測定データに対して強度ピークの選別条件を見直し、再度出力させたりしたい場合の処理も容易となる利点を生ずる。
ピーク選別処理部は、距離別の方位スペクトル毎に抽出される、閾値を超える強度ピークのうち、強度が最大となる最大ピークをメインピークとして選別する。この方式では、同一距離に存在する物標を1つと仮定することで、距離別の方位スペクトルにおいて最大ピークのみを物標(メインピーク)として簡単に特定することが可能となる。特に、互いに異なる方位に存在する静止物標の場合、それらの検出距離が一致してしまうことは極めて偶発的な事象と考えられ、最大ピークのもの以外を偽像とみなす処理を行なっても、これが誤判定を招く可能性は低いといえる。
一方、距離別に生成された方位スペクトルのそれぞれにおいてピーク抽出部が抽出する強度ピークが示す物標候補の速度を、ビーム走査により得られる種々の方位の受信波形信号に基づき特定する速度特定部を備えたものとすることができる。ピーク選別処理部は、個々の方位スペクトル毎に抽出される、閾値を超える強度ピークのうち、最大ピークと、当該最大ピークとは異なる速度が特定された強度ピークとを、メインピークとして選別するように構成できる。異なる方位に存在する複数の物標に移動する物標が含まれている場合、異なる物標間で一時的に距離が同一となることもあり得るので、上記のように最大ピークの物標以外に、それとは速度の相違する物標もメインピークとして選別することで、後者を偽像として誤棄却してしまう不具合を回避することができる。
本発明のレーダーシステムに使用する送信部は、予め定められた変調パターンにて周波数が連続変調される送信波を探索用電波として送信するものとして構成できる。この場合、送信波の波形信号と受信波の波形信号とを混合し、送信波と受信波との周波数差に基づくビート波形信号を出力する混合部を設け、距離スペクトル生成部は、ビート波形信号の周波数スペクトルを距離スペクトルとして生成するものとして構成することができる。該方式により、物標までの距離をビート波形信号の周波数スペクトルにより高精度に特定することが可能である。
この場合、レーダーシステムの電波送受信のフロントエンド部を、マスターICと、該マスターICに対し配線部を介してカスケード接続されるスレーブICとを備えるように構成できる。マスターICには送信部が組み込まれるとともに、該マスターICとスレーブICには、受信アンテナアレイを構成する複数の要素アンテナが分散して組み込まれる。さらに、要素アンテナによる受信波の波形信号と配線部を介してマスターICから分配される送信波の波形信号とを混合する混合部と、該混合部が出力するビート波形信号をデジタル変換してシリアル出力するA/D変換部と、物標検出出力部として機能する信号処理装置を設けることができる。該信号処理装置には、マスターIC及びスレーブICのA/D変換部からのビート波形信号が個別にシリアル入力される入力部が設けられ、スレーブICには、配線部を介してマスターICからの同期信号を受信することにより、マスターICと同期してA/D変換部からビート波形信号を出力させる同期制御部を設けることができる。上記構成においては、配線部の線長等による特性インピーダンスのバラツキや、外部ノイズによるクロック信号の乱れといった内部要因により、IC間の同期ずれを招来しやすいことが、本発明者らの検討により判明している。この同期ずれは、各ICが出力するビート信号の位相差に直接的に反映され、受信アンテナアレイの応答特性に生ずるサイドローブとは無関係に偽像発生要因となる。こうした偽像は、従来のサイドローブ抑圧方式では原理的に除去できなかったものであるが、本発明の採用により問題なくこれを抑制することが可能となる。
1 レーダーシステム
2 信号処理装置
3 フロントエンド部
31 CPU
32 RAM
33 ROM
33a 測定制御プログラム
33b デジタルフィルタ
33c 受信ビーム走査プログラム
33d FFTモジュール
33e 方位解析プログラム
33f 強度ピーク抽出プログラム
33g 偽像フィルタ処理プログラム
34 入出力部
DO 出力ポート
30 バス
41 送信アンプ
42 移相器
43 ローノイズアンプ
50M マスターIC
50S スレーブIC
SYN0 同期出力ポート
SYNI 同期入力ポート
SCL 配線部
WVL 波形分配ライン
51 送信アンテナ
52 要素アンテナ
53 混合部
54 発振回路
56 制御回路(同期制御部)
55 A/D変換部
57 バッファアンプ
59 クロック回路
WO1〜WOn 波形出力ポート
60A 距離スペクトル生成部
60B 方位スペクトル生成部
60C ピーク抽出部
60D 偽像フィルタ部

Claims (7)

  1. 物標を探索するための探索用電波を送信波として送信する送信部と、
    複数の要素アンテナからなる受信アンテナアレイを有し、前記探索用電波の反射波を、前記受信アンテナアレイを介して受信波として受信する受信部と、
    前記受信アンテナアレイの受信ビーム方位を予め定められた方位角度範囲にて順次変更しつつ制御することにより前記受信波のビーム走査を行なう走査部と、
    前記送信部による送信波形信号と、前記ビーム走査により得られる種々の前記受信ビーム方位の受信波形信号とに基づき、前記受信ビーム方位における距離と受信強度との関係を示す距離スペクトルを方位別に生成する距離スペクトル生成部と、
    方位別に生成された複数の前記距離スペクトルから、同一距離の受信波強度点をそれぞれ抽出することにより、前記受信ビーム方位と受信強度との関係を示す方位スペクトルを距離別に生成する方位スペクトル生成部と、
    距離別に生成された前記方位スペクトルのそれぞれにおいて強度ピークを抽出するピーク抽出部と、
    個々の前記方位スペクトル毎に抽出される前記強度ピークの組に対し、強度値が予め定められた閾値を超えていることを必要条件として含む選別条件を設定するとともに、当該強度ピークの組において前記選別条件を充足する強度ピークを物標特定用のメインピークとして選別する処理を行なうピーク選別処理部と、
    選別された前記メインピークが示す距離及び方位の情報を物標検出情報として出力する物標検出出力部と、
    を備えたことを特徴とするレーダーシステム。
  2. 前記ピーク選別処理部は、前記強度ピークの組において前記選別条件を充足しない強度ピークを偽像ピークとして特定するとともに、前記方位スペクトルにおいて該偽像ピークを削除するか又はより低レベルの強度ピークに置換する偽像ピーク抑制処理を行なう偽像ピーク抑制部を備え、
    前記物標検出出力部は、前記偽像ピーク抑制処理がなされた方位スペクトルにおいて、予め定められた閾値を超える強度ピークを前記メインピークとして特定し、該強度ピークに対応する距離及び方位の情報を前記物標の検出情報として出力する請求項1記載のレーダーシステム。
  3. 前記ピーク抽出部が個々の前記方位スペクトル毎に抽出する前記強度ピークの組について、各強度ピークが示す距離、方位及び強度値の情報を物標候補情報として登録する物標候補登録部を備え、
    前記ピーク選別処理部は、登録された前記物標候補情報のうち、前記選別条件を充足しない強度ピークに対応するものについて無効化処理を行なう無効化処理部を備え、
    前記物標検出出力部は、前記物標候補登録部において前記無効化処理がなされなかった残余の前記物標候補情報に含まれる距離及び方位の情報を読み出して、前記メインピークの前記物標検出情報として出力するものである請求項1記載のレーダーシステム。
  4. 前記ピーク選別処理部は、距離別の前記方位スペクトル毎に抽出される、前記閾値を超える前記強度ピークのうち、強度が最大となる最大ピークを前記メインピークとして選別する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のレーダーシステム。
  5. 前記距離別に生成された前記方位スペクトルのそれぞれにおいて前記ピーク抽出部が抽出する前記強度ピークが示す物標候補の速度を、前記ビーム走査により得られる種々の方位の前記受信波形信号に基づき特定する速度特定部を備え、
    前記ピーク選別処理部は、個々の前記方位スペクトル毎に抽出される、前記閾値を超える前記強度ピークのうち、前記最大ピークと、当該最大ピークとは異なる速度が特定された強度ピークとを、前記メインピークとして選別する請求項4に記載のレーダーシステム。
  6. 前記送信部は、予め定められた変調パターンにて周波数が連続変調される送信波を前記探索用電波として送信するものであり、
    前記送信波の波形信号と前記受信波の波形信号とを混合し、前記送信波と前記受信波との周波数差に基づくビート波形信号を出力する混合部が設けられ、
    前記距離スペクトル生成部は、前記ビート波形信号の周波数スペクトルを前記距離スペクトルとして生成するものである請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のレーダーシステム。
  7. 電波送受信のフロントエンド部が、マスターICと、該マスターICに対し配線部を介してカスケード接続されるスレーブICとを備えて構成され
    前記マスターICには前記送信部が組み込まれるとともに、該マスターICと前記スレーブICには、前記受信アンテナアレイを構成する複数の前記要素アンテナが分散して組み込まれるとともに、前記要素アンテナによる前記受信波の波形信号と前記配線部を介して前記マスターICから分配される前記送信波の波形信号とを混合する前記混合部と、該混合部が出力する前記ビート波形信号をデジタル変換してシリアル出力するA/D変換部とが設けられ、
    前記距離スペクトル生成部、前記方位スペクトル生成部、前記ピーク抽出部、前記ピーク選別処理部及び前記物標検出出力部として機能する信号処理装置が設けられるとともに、該信号処理装置には、前記マスターIC及び前記スレーブICの前記A/D変換部からの前記ビート波形信号が個別にシリアル入力される入力部が設けられ、
    前記スレーブICには、前記配線部を介して前記マスターICからの同期信号を受信することにより、前記マスターICと同期して前記A/D変換部から前記ビート波形信号を出力させる同期制御部が設けられている請求項6記載のレーダーシステム。


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