以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態のエラー状態報知システムを適用したナースコールシステムの全体構成例を示す図である。なお、ここでは病院に設置されるナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。
図1に示すように、本実施形態のナースコールシステムは、ナースコール親機1、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4、中継器5、ハンド形子機6および用件伝達型子機7(特許請求の範囲におけるナースコール子機に相当)を備えて構成されている。ナースコール親機1は、ナースステーションに設置されるものであってもよいし、個々の看護師が携行する携帯型のナースコール親機であってもよい。壁埋込形子機4、中継器5、ハンド形子機6および用件伝達型子機7は、患者の病室内に設置される。
ナースコール親機1は、患者(ハンド形子機6または用件伝達型子機7)からの呼び出しに対する応答の操作を行い、看護師が患者と通話を行うためのものである。ナースコール親機1は、患者からの呼び出しを受けたとき、所定の報知動作を行う。報知動作は、ナースコール親機1が備えるスピーカから呼出音を出力するとともに、ナースコール親機1が備えるディスプレイに対して呼び出しに係る患者および呼出種別などの情報を表示させることによって行われる。
この報知動作の実行中に、看護師がオフフック等の応答操作を行うと、ナースコール親機1は上述の報知動作を停止するとともに通話路を形成する。詳細は後述するが、ハンド形子機6からの呼び出しに対して応答操作が行われた場合、ナースコール親機1はハンド形子機6との間に通話路を形成し、患者と通話を行うことができる状態とする。また、用件伝達型子機7からの呼び出しに対して応答操作が行われた場合、ナースコール親機1は中継器5との間に通話路を形成し、中継器5から送られてくる合成音声を受信してスピーカから出力する。
制御機2は、ナースコール親機1と廊下灯3との間に配置され、通話やデータの送受信に関する制御を行う。送受信されるデータには、ハンド形子機6または用件伝達型子機7からナースコール親機1に送られる呼出信号、ナースコール親機1から用件伝達型子機7に送られる応答通知信号、中継器5からナースコール親機1に送られる合成音声の音声信号などが含まれる。
廊下灯3は、病院の各病室の入口付近外部に設置される。この廊下灯3は、表示装置を備え、病室内の患者名が表示されるとともに、病室内の患者がハンド形子機6または用件伝達型子機7を用いて看護師の呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。なお、呼び出しが行われたことの表示は、LEDの点灯または点滅により行うようにしてよい。LEDは、所定の復旧操作が行われたときに消灯する。
廊下灯3は、ハンド形子機6または用件伝達型子機7から中継器5を介して送信された呼出信号を、制御機2を介してナースコール親機1に送信する。また、廊下灯3は、ナースコール親機1から制御機2を介して送信された応答通知信号を、壁埋込形子機4および中継器5を介して用件伝達型子機7に送信する。また、廊下灯3は、ナースコール親機1での応答操作により形成された通話路を介して中継器5から送信された音声信号(ハンド形子機6のマイクから入力された患者の通話音声、または中継器5にて生成された用件伝達のための合成音声に関するもの)を、制御機2を介してナースコール親機1に送信するとともに、ナースコール親機1から制御機2を介して送られてきた看護師の通話音声に係る音声信号を、壁埋込形子機4および中継器5を介してハンド形子機6に送信する。
壁埋込形子機4は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機4は、廊下灯3に接続されている。壁埋込形子機4は、中継器5またはハンド形子機6を接続するための接続端子を備えている。ハンド形子機6を壁埋込形子機4に直接接続することも可能であるが、本実施形態では、壁埋込形子機4に中継器5を接続し、その中継器5にハンド形子機6を接続している。壁埋込形子機4は、廊下灯3と中継器5との間で上述した呼出信号、応答通知信号および音声信号を送受信する。なお、壁埋込形子機4は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカを備えてもよい。
ハンド形子機6は、壁埋込形子機4または中継器5に接続され、患者のベッドサイドに設置される。上述のように、ハンド形子機6は壁埋込形子機4に直接接続することも可能であるが、本実施形態では、壁埋込形子機4に接続した中継器5に対してハンド形子機6を接続するようにしている。ハンド形子機6は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン6a、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイク(図示せず)およびスピーカ6bを備えている。
ハンド形子機6は、一または複数の呼出種別に対応する呼出ボタン6aを備えており、患者が何れかの呼出ボタン6aを操作すると、操作された呼出ボタン6aに対応する呼出種別の呼出信号が中継器5、壁埋込形子機4、廊下灯3および制御機2を介してナースコール親機1に送信されるようになっている。呼出種別は、例えば、一般呼出、緊急呼出、特定呼出(トイレまたは点滴)などである。
用件伝達型子機7は、中継器5に無線で接続され、患者のベッドサイドに設置される。例えば、用件伝達型子機7は、Bluetooth(登録商標)の無線通信手段を用いて中継器5に接続される。用件伝達型子機7と中継器5とは1対1で無線通信を行う。無線通信をするに当たり、中継器5は用件伝達型子機7とのペアリング登録を行う。すなわち、用件伝達型子機7および中継器5は、相手の識別情報を自身に登録して1対1の無線通信関係を構築し、当該無線通信関係の構築下において無線通信を行うように構成されている。
ペアリング登録に関する処理を行う機能は中継器5が備えている。例えば、中継器5が備える設定スイッチ5aを長押しすることによってペアリング待機状態とした後、ペアリングする用件伝達型子機7において所定の操作をする。これにより、用件伝達型子機7の識別情報を中継器5に無線送信し、この識別情報を中継器5に記憶するとともに、中継器5の識別情報を用件伝達型子機7に無線送信し、この識別情報を用件伝達型子機7に記憶することにより、ペアリング登録を行う。
なお、中継器5は、複数の用件伝達型子機7との間でペアリングをすることが可能である。ただし、直近にペアリングされた用件伝達型子機7の識別情報のみが登録される(中継器5に保存される)。例えば、壁埋込形子機4に接続する中継器5を固定とする一方、ベッドを使用する患者が変わったときに、その患者が使用する用件伝達型子機7が、それ以前にペアリング登録されていた用件伝達型子機7とは異なるものとなる場合が考えられる。この場合は、直近にペアリングされた用件伝達型子機7の識別情報(以下、子機IDという)が中継器5に登録され、その中継器5の識別情報(以下、中継器IDという)が用件伝達型子機7に登録される。
用件伝達型子機7は、患者が看護師を呼び出すための複数の用件ボタン7aを備えており、患者が何れかの用件ボタン7aを操作すると、操作された用件ボタン7aを識別可能なボタン識別情報を含む呼出信号が中継器5に無線送信されるようになっている。用件伝達型子機7は、バッテリを内蔵し、当該バッテリからの電源を得て動作する。本実施形態では、ペアリング登録の機能や、後述する音声合成の機能を中継器5が備えることにより、用件伝達型子機7のバッテリの消耗を抑制するようにしている。
中継器5は、特許請求の範囲の受信機に相当するものであり、用件伝達型子機7とナースコール親機1との間(具体的には、用件伝達型子機7と壁埋込形子機4との間)に設置される。中継器5は、一般電源のコンセントに接続され、当該コンセントから電源を得て動作する。中継器5は、壁埋込形子機4とハンド形子機6および用件伝達型子機7と間で上述した呼出信号、応答通知信号および音声信号を送受信する。すなわち、中継器5は、用件伝達型子機7から呼出信号を受信し、有線の通信路を介してナースコール親機1に向けて呼出信号を送信する。また、音声信号に関して、中継器5は、用件伝達型子機7から受信した呼出信号に含まれるボタン識別情報に対応する合成音声を生成し、生成した合成音声の音声信号を、壁埋込形子機4、廊下灯3および制御機2を介してナースコール親機1に送信する。この動作の詳細については後述する。
図2は、用件伝達型子機7の外観構成例を示す図である。図2に示すように、用件伝達型子機7は、複数の用件ボタン7aを備えている。本実施形態では、8個の用件ボタン7aが筐体の正面の両サイドに4個ずつ並べて配置されている。1つ1つの用件ボタン7aには、患者が看護師に伝達する用件の内容を端的に表した文言が記されている。図2の例では、「トイレ」、「苦しい」、「くすり」、「経管栄養」、「痛い」、「痰を取って」、「点滴」、「用事」の各文言が8個の用件ボタン7aにそれぞれ記されている。
これらの用件ボタン7aは、透光性を有する樹脂材料またはガラス材料などにより構成されており、その裏側(筐体の内側)にはLEDが設置されている。用件ボタン7aは、押下によって操作することができるようになされており、患者が何れかの用件ボタン7aを押下すると、押下された用件ボタン7aに対応するLEDが点灯するとともに、呼出信号が中継器5に無線送信される。この呼出信号には、押下された用件ボタン7aを識別可能なボタン識別情報と、送信元の用件伝達型子機7を示す子機IDと、送信先の中継器IDを示す中継器IDとが含まれている。子機IDは、用件伝達型子機7にあらかじめ記憶されている。中継器IDは、ペアリング登録によって用件伝達型子機7に登録されている。
上述した通り、用件ボタン7aは透光性を有する材料により構成されているため、裏側のLEDが点灯すると、押下された用件ボタン7aが光って見え、どの用件ボタン7aを押下したのかが一目で分かるようになっている。すなわち、押下された用件ボタン7aに対応するLEDが点灯することにより、当該押下された用件ボタン7aに対応する用件の内容(用件ボタン7aに記された文言の内容)が識別可能に表示された状態となる。以下の説明において、用件ボタン7aの裏側に配置されたLEDが点灯または消灯することを、便宜的に「用件ボタン7aが点灯または消灯する」という。
用件伝達型子機7は、照明スイッチ7bを備えている。照明スイッチ7bも押下によって操作することができるようになされており、患者が照明スイッチ7bを押下すると、全ての用件ボタン7aが点灯する。例えば、夜間において病室の照明が消灯された後、用件ボタン7aに記された用件の文言が見えないときに照明スイッチ7bを押下することにより、全ての用件ボタン7aを光らせて、文言の内容を確認することができるようにしている。なお、用件伝達型子機7が備える表示制御部(後述する)は、LEDを2段階の輝度で点灯させる調整機能を有しており、照明スイッチ7bが押下された場合は、全ての用件ボタン7aを低輝度で点灯させる。また、何れかの用件ボタン7aが押下された場合は、表示制御部はその押下された用件ボタン7aを高輝度で点灯させる。
用件伝達型子機7は、応答表示ランプ7cを備えている。この応答表示ランプ7cは、用件ボタン7aの押下により行われた呼び出しに対して看護師が応答したことを知らせるためのランプである。この応答表示ランプ7cも、透光性を有する材料の裏側にLEDを配置した構成となっている。看護師がナースコール親機1にて応答操作を行うと、応答通知信号がナースコール親機1から用件伝達型子機7に送信される。そして、用件伝達型子機7がこの応答通知信号を受信すると、応答表示ランプ7cが点灯する。これにより、患者は、何れかの用件ボタン7aを押下することによって行った呼び出しに対して看護師が応答したか否かを確認することができる。
用件伝達型子機7は、看護師が操作するための復旧ボタン7dを備えている。復旧ボタン7dは、これを患者が誤って操作してしまうことを抑制するために、患者が操作する用件ボタン7aおよび照明スイッチ7bが配置された筐体の正面とは異なる上面に配置されている。この復旧ボタン7dは、患者により押下された用件ボタン7aを消灯させて復旧状態とするためのボタンである。すなわち、ナースコール親機1にて応答操作を行った看護師が病室に到着したときにこの復旧ボタン7dを押下することにより、患者により押下された用件ボタン7aが点灯した状態を解除して、用件伝達型子機7を復旧状態に戻すことが可能である。
図3は、本実施形態によるナースコールシステムの機能構成例を示すブロック図である。ここでは、ナースコール親機1、中継器5および用件伝達型子機7の機能構成例を示している。なお、中継器5および用件伝達型子機7に関して、ペアリング登録を行うための機能については図示を省略している。
図3に示すように、本実施形態によるナースコール親機1は、機能構成として、呼出信号受信部101、報知処理部102、応答操作検出部103、通話路形成部104、合成音声受信部105および合成音声出力部106を備えている。また、ナースコール親機1は、ハードウェア構成として、スピーカ111およびディスプレイ112を備えている。
本実施形態による中継器5は、機能構成として、呼出信号中継部501、応答通知中継部502、通話路関連処理部503、合成音声生成部504、合成音声送信部505および応答信号返信部506を備えている。また、中継器5は、記憶媒体として、音声データ記憶部511およびペアリング情報記憶部512を備えている。
本実施形態による用件伝達型子機7は、機能構成として、押下検出部701、呼出信号送信部702、表示制御部703、応答通知受信部704および応答状態判別部705を備えている。また、用件伝達型子機7は、記憶媒体として、ペアリング情報記憶部711を備えている。
上記ナースコール親機1、中継器5および用件伝達型子機7が備える各機能ブロックは、それぞれハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロックは、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現される。なお、当該プログラムは、ハードディスクや半導体メモリ等の他の記憶媒体に記憶されていてもよい。
用件伝達型子機7の押下検出部701は、患者による用件ボタン7a、照明スイッチ7bの押下を検出する。また、押下検出部701は、看護師による復旧ボタン7dの押下を検出する。押下検出部701は、患者による用件ボタン7aの押下を検出した場合、その旨を呼出信号送信部702および表示制御部703に通知する。押下検出部701は、患者による照明スイッチ7bの押下または看護師による復旧ボタン7dの押下を検出した場合、その旨を表示制御部703に通知する。
呼出信号送信部702は、用件ボタン7aの押下に応じて、押下された用件ボタン7aを識別可能なボタン識別情報と、送信元の用件伝達型子機7を示す子機IDと、送信先の中継器IDを示す中継器IDとを含む呼出信号を中継器5に送信する。なお、各用件ボタン7aに対応するボタン識別情報および子機IDは、用件伝達型子機7の図示しない記憶媒体にあらかじめ記憶されている。また、中継器IDは、事前のペアリング登録によってペアリング情報記憶部711に記憶されている。
表示制御部703は、用件ボタン7aおよび応答表示ランプ7cの表示を制御する。すなわち、表示制御部703は、照明スイッチ7bの押下が押下検出部701により検出された場合は、全ての用件ボタン7aを低輝度で点灯させる。例えば、表示制御部703は、照明スイッチ7bが押下されたときから一定時間だけ全ての用件ボタン7aを低輝度で点灯させた後、全ての用件ボタン7aを消灯させる。あるいは、表示制御部703は、照明スイッチ7bの押下に応じて全ての用件ボタン7aを点灯させた後、照明スイッチ7bが再び押下された時点で全ての用件ボタン7aを消灯させるようにしてもよいし、何れかの用件ボタン7aが押下された時点で、当該押下された用件ボタン7a以外の用件ボタン7aを消灯させるようにしてもよい。
また、表示制御部703は、何れかの用件ボタン7aの押下が押下検出部701によりされた場合は、その押下された用件ボタン7aを高輝度で点灯させる。また、表示制御部703は、復旧ボタン7dの押下が押下検出部701により検出された場合は、点灯中の用件ボタン7aを消灯させる。また、表示制御部703は、ナースコール親機1から送られてくる応答通知信号を応答通知受信部704が受信した場合に、応答表示ランプ7cを点灯させる。
また、表示制御部703は、何れかの用件ボタン7aの押下が押下検出部701によりされた場合において、用件伝達型子機7が中継器5との間で無線通信を行うことができないエラー状態となっていることが検出されたときに、押下された用件ボタン7aを点滅させる。この用件ボタン7aの点滅は、エラー状態の報知に相当する。これから明らかな通り、表示制御部703は、特許請求の範囲のエラー報知部に相当する。なお、エラー状態およびその検出についての詳細は後述する。
患者が用件ボタン7aを押下したときに、その用件ボタン7aが点灯ではなく点滅した場合、患者はエラー状態が発生していることを把握することができる。この場合、患者は、例えばハンド形子機6を用いて看護師の呼び出しを行うか、別の用事で病室に訪れた看護師に口頭で伝えることにより、エラー状態の回復を依頼することができる。
応答通知受信部704は、上述の通り、ナースコール親機1から中継器5を介して送られてくる応答通知信号を受信し、その旨を表示制御部703に通知する。応答通知受信部704が受信する応答通知信号は、用件ボタン7aの押下によって看護師の呼び出しが行われた後、看護師がナースコール親機1にて応答操作をすることによって発生する信号である。
応答状態判別部705は、呼出信号送信部702が呼出信号を中継器5に送信したときに、用件伝達型子機7と中継器5との間の無線通信に不具合が発生していないときに中継器5から返される通常の応答がなかった場合に、当該通常の応答とは異なる応答の状態を判別する。具体的には、応答状態判別部705は、呼出信号送信部702が呼出信号を中継器5に送信したときに、中継器5から第1の応答信号が返されてこない第1の状態と、中継器5から第1の応答信号が返されてきた後に第2の応答信号が返されてこない第2の状態との何れかを判別する。第1の応答信号および第2の応答信号については後述する。
表示制御部703(エラー報知部の機能)は、応答状態判別部705により判別された状態に応じた態様で、押下された用件ボタン7aを点滅させることによってエラー状態の報知を行う。すなわち、表示制御部703は、応答状態判別部705により判別された状態が第1の状態または第2の状態の何れであるかに基づいて、第1の状態または第2の状態に応じた態様でエラー状態の報知を行う。例えば、表示制御部703は、応答状態判別部705により判別された状態が第1の状態である場合は用件ボタン7aを第1の速度で点滅させ、判別された状態が第2の状態である場合は用件ボタン7aを第2の速度(例えば、第1の速度より速い速度)で点滅させる。
中継器5の呼出信号中継部501は、ハンド形子機6の呼出ボタン6aの押下に応じてハンド形子機6から送信された呼出信号を受信し、押下された呼出ボタン6aに対応する呼出種別の呼出信号としてナースコール親機1に中継する。上述したように、ハンド形子機6が送信し得る呼出信号の呼出種別には、一般呼出、緊急呼出、特定呼出(トイレまたは点滴)がある。
また、呼出信号中継部501は、用件伝達型子機7の呼出信号送信部702により送信された呼出信号(用件伝達型子機7の子機IDを送信元および中継器5の中継器IDを送信先として含み、かつ、押下された用件ボタン7aのボタン識別情報を含む呼出信号)を受信した場合、その呼出信号を特定の一の呼出種別の呼出信号(子機ID、中継器IDおよびボタン識別情報は含まない)としてナースコール親機1に中継する。この呼出信号中継部501の機能は、特許請求の範囲の呼出信号受信部に相当する。
呼出信号中継部501は、用件伝達型子機7から呼出信号を受信した場合、その呼出信号に含まれるボタン識別情報の内容によらず(すなわち、どの用件ボタン7aが押下されたかによらず)、複数の呼出種別の中の特定の一の呼出種別(例えば、一般呼出)の呼出信号としてナースコール親機1に中継する。すなわち、図2に示した「トイレ」、「点滴」の用件ボタン7aは、一般的には特殊呼出という呼出種別が割り当てられるものであり、「苦しい」、「痛い」などの用件ボタン7aは、一般的には緊急呼出という呼出種別が割り当てられる可能性のあるものであるが、これらの用件ボタン7aが押下された場合も、呼出信号中継部501は一般呼出の呼出信号をナースコール親機1に送信する。
以上のように、呼出信号中継部501は、ハンド形子機6から呼出信号を受信した場合は、当該呼出信号を、押下された呼出ボタン6aに応じた呼出種別の呼出信号としてナースコール親機1に中継する。一方、呼出信号中継部501は、用件伝達型子機7から呼出信号を受信した場合は、当該呼出信号を、特定の一の呼出種別の呼出信号としてナースコール親機に中継する。このように本実施形態では、ナースコールシステムに用意された呼出種別の1つを利用して、合成音声によって患者の用件を看護師に伝達する際の呼出信号をナースコール親機1に送信することができるようにしている。
呼出信号中継部501は、用件伝達型子機7の呼出信号送信部702により送信された呼出信号を受信した場合、その呼出信号に含まれるボタン識別情報を合成音声生成部504に通知するとともに、その呼出信号に含まれる子機IDおよび中継器IDを応答信号返信部506に通知する。
応答信号返信部506は、呼出信号中継部501が用件伝達型子機7から呼出信号を受信したときに、第1の応答信号を用件伝達型子機7に返信する。また、応答信号返信部506は、第1の応答信号の返信した後、呼出信号に含まれる子機IDおよび中継器IDが、ペアリングにより1対1の無線通信関係としてペアリング情報記憶部512に登録されている内容と一致しているか否かを判定し、一致している場合に第2の応答信号を返信する。
第1の応答信号は、用件伝達型子機7がペアリング登録されている相手か否かによらず、呼出信号中継部501が用件伝達型子機7から呼出信号を受信した場合に必ず返す信号である。例えば、用件伝達型子機7がペアリング登録されている相手でなくても、中継器5は、自分宛てに呼出信号が送信されてきた場合(呼出信号に含まれる中継器IDが自身を示す場合)にはこれを呼出信号中継部501にて受信し、応答信号返信部506により第1の応答信号を返信する。
一方、呼出信号中継部501が用件伝達型子機7から呼出信号を受信していない場合には、当然ながら応答信号返信部506は第1の応答信号を返信しない。例えば、ある中継器5が設置されたベッドにて使用される用件伝達型子機7が他の中継器5との間でペアリング登録されている場合、当該ある中継器5では、用件伝達型子機7から送信された呼出信号を呼出信号中継部501にて受信できない。よって、応答信号返信部506が第1の応答信号を返信することもない。また、用件伝達型子機7と中継器5とが無線通信可能範囲を超えて離れている場合も、用件伝達型子機7から送信された呼出信号を呼出信号中継部501にて受信できないので、応答信号返信部506が第1の応答信号を返信することはない。
第2の応答信号は、用件伝達型子機7から受信した呼出信号に含まれる子機IDおよび中継器IDが、ペアリング登録された内容と一致している場合にのみ返す信号である。例えば、用件伝達型子機7から受信した自分宛ての呼出信号に含まれる子機IDが、ペアリング登録の結果としてペアリング情報記憶部512に記憶されている子機IDと一致しない場合、すなわち、中継器5が直近において他の用件伝達型子機7との間でペアリング登録をしている場合には、応答信号返信部506は第2の応答信号を中継器5に返信しない。
呼出信号中継部501は、応答信号返信部506が第1の応答信号および第2の応答信号を中継器5に返信した場合にのみ、すなわち、用件伝達型子機7と中継器5との間に無線通信のエラー状態が発生していない場合にのみ、用件伝達型子機7から受信した呼出信号をナースコール親機1に中継する。
応答信号返信部506により用件伝達型子機7に返信された応答信号は、用件伝達型子機7の応答状態判別部705にて受信される。上述したように、応答状態判別部705は、呼出信号送信部702が呼出信号を中継器5に送信した後、中継器5から返されてくるはずの第1の応答信号を所定のタイムアウト時間以内に受信しない場合に、第1の状態であると判別する。第1の状態は、次のような場合に起こり得る。
○呼出信号を送信した用件伝達型子機7が送信先の中継器5にペアリング登録されていない場合(他の中継器5との間でペアリング登録されている場合を含む)
○用件伝達型子機7から無線通信可能範囲内に中継器5が存在しない場合(中継器5が用件伝達型子機7から遠く離れている場合)
○中継器5の電源が入っていない場合
これらの場合に、用件ボタン7aが第1の速度で点滅する。よって、第1の速度で点滅している用件ボタン7aを確認した患者は、まずは、用件伝達型子機7が中継器5から離れた場所にないかどうか、中継器5の電源が入っているかどうかを確認し、何れかに該当する場合には自分自身でエラー状態の回復を試みることができる。上記2つの何れでもない場合は、ペアリング登録に問題がある可能性があるので、看護師に依頼してエラー状態の回復を試みることができる。また、患者自身が確認を行ったり回復を試みたりすることが困難な場合にも、看護師に依頼して確認を行ったり回復を試みたりすることができる。
また、応答状態判別部705は、呼出信号送信部702が呼出信号を中継器5に送信した後、第1の応答信号は受信したものの、その後で中継器5から返されてくるはずの第2の応答信号を所定のタイムアウト時間以内に受信しない場合に、第2の状態であると判別する。第2の状態は、次のような場合に起こり得る。
○中継器5が他の用件伝達型子機7との間でペアリング登録している場合
上記の場合に、用件ボタン7aが第2の速度で点滅する。よって、第2の速度で点滅している用件ボタン7aを確認した患者は、ペアリング登録に問題がある可能性があることを把握することができ、直ちに看護師に依頼してエラー状態の回復を試みることができる。
応答通知中継部502は、ナースコール親機1から送られてくる応答通知信号を受信し、用件伝達型子機7に中継する。通話路関連処理部503は、ナースコール親機1との間で通話路の形成に関する処理を行う。通話路の形成に関する処理とは、ナースコール親機1の通話路形成部104と協働して通話路を形成するための処理であり、例えば通話路形成部104からの要求に応じて、当該要求に応じた処理を実行する。
ハンド形子機6からの呼び出しに対してナースコール親機1にて応答操作が行われた場合、通話路関連処理部503は、ナースコール親機1の通話路形成部104と協働して、ナースコール親機1とハンド形子機6との間に通話路を形成するために必要な処理を行う。この場合の処理のために、ハンド形子機6も通話路関連処理部を備えているが、図示を省略している。また、用件伝達型子機7からの呼び出しに対してナースコール親機1にて応答操作が行われた場合、通話路関連処理部503は、ナースコール親機1の通話路形成部104と協働して、ナースコール親機1と中継器5との間に通話路を形成するために必要な処理を行う。ナースコール親機1と中継器5との間に通話路が形成された場合、通話路関連処理部503はその旨を合成音声生成部504に通知する。
合成音声生成部504は、ナースコール親機1と中継器5との間に通話路が形成された場合、呼出信号中継部501が用件伝達型子機7から受信した呼出信号に含まれるボタン識別情報に応じた音声データを音声データ記憶部511から読み出して合成音声を生成する。音声データ記憶部511は、複数種類の合成音声に対応した複数の音声データとボタン識別情報とを関連付けて記憶している。複数種類の合成音声は、患者が看護師に伝える用件の内容を示したものである。
図4は、本実施形態による音声データ記憶部511が記憶する複数の音声データに対応する合成音声の内容およびボタン識別情報との関連付けを模式的に示す図である。図4に示す8個の合成音声は、図2に示した8個の用件ボタン7aに対応したものである。すなわち、「トイレ」、「苦しい」、「くすり」、「経管栄養」、「痛い」、「痰を取って」、「点滴」、「用事」の各文言が記された8個の用件ボタン7aのボタン識別情報「001」〜「008」と関連付けて、図4に示す8個の合成音声を生成するための音声データが音声データ記憶部511に記憶されている。例えば、用件伝達型子機7の筐体において最も左上に配置された1番目の用件ボタン7aに対応するボタン識別情報「001」と関連付けて、「トイレに行きたいです。」という合成音声の音声データが記憶されている。また、用件伝達型子機7の筐体において最も右下に配置された8番目の用件ボタン7aに対応するボタン識別情報「008」と関連付けて、「用事があります。」という合成音声の音声データが記憶されている。
合成音声送信部505は、ナースコール親機1と中継器5との間に通話路が形成された後、呼出信号中継部501が用件伝達型子機7から受信した呼出信号に含まれるボタン識別情報に応じた合成音声(合成音声生成部504により生成された合成音声)を、通話路を介してナースコール親機1に送信する。上述したように、用件伝達型子機7からの呼出信号に応じてナースコール親機1と中継器5との間に通話路が形成された場合、合成音声生成部504は、当該呼出信号に含まれるボタン識別情報に応じた音声データを音声データ記憶部511から読み出して合成音声を生成する。合成音声送信部505は、合成音声生成部504により生成された合成音声の音声信号をナースコール親機1に送信する。なお、以下の説明において「合成音声を送信する」ということがあるが、これは「合成音声の音声信号を送信する」と同義である。
このように、本実施形態では、ナースコールシステムに用意された限られた数の呼出種別を用いて、呼出種別の数よりも多い種類の用件を看護師に伝達するための合成音声をナースコール親機1に送信することができるようにしている。本実施形態では、例えば一般呼出という1つの呼出種別を用いて、8種類の用件の合成音声をナースコール親機1に送信することが可能である。
ナースコール親機1の呼出信号受信部101は、中継器5の呼出信号中継部501により中継されたハンド形子機6からの呼出信号および用件伝達型子機7からの呼出信号を受信する。報知処理部102は、呼出信号受信部101による呼出信号の受信に応じて所定の報知動作を行い、応答操作検出部103により検出される所定の応答操作に応じて報知動作を停止する。すなわち、報知処理部102は、呼出信号受信部101が呼出信号を受信した場合、スピーカ111から呼出音を出力するとともに、ディスプレイ112に対して呼び出しに係る患者および呼出種別などの情報を表示させるといった報知動作を実行する。その後、応答操作検出部103がオフフック等の応答操作を検出すると、報知処理部102は上述の報知動作を停止するとともに、応答通知信号を中継器5に送信する。
通話路形成部104は、呼出信号の受信に応じて行われる報知動作に対する応答操作を押下検出部701が検出したときに、中継器5またはハンド形子機6との間に通話路を形成する。すなわち、ハンド形子機6からの呼出信号に応じて行われる報知動作に対する応答操作を押下検出部701が検出した場合、通話路形成部104は、ハンド形子機6との間に通話路を形成する処理を行う。また、用件伝達型子機7からの呼出信号に応じて行われる報知動作に対する応答操作を押下検出部701が検出した場合、通話路形成部104は、中継器5との間に通話路を形成する処理を行う。
合成音声受信部105は、通話路形成部104により形成された通話路を介して中継器5から送られてくる合成音声の音声信号を受信する。合成音声出力部106は、合成音声受信部105により受信された合成音声の音声信号に基づいて、用件の合成音声をスピーカ111から出力する。看護師は、スピーカ111から出力される合成音声を聞くことにより、患者との間で通話を行うことなく、患者が伝えてきている用件を把握することができる。
図5は、以上のように構成した本実施形態によるナースコールシステムの動作例を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、患者が用件伝達型子機7の何れかの用件ボタン7aを押下したときに実行される合成音声の出力処理に関する基本的な動作例を示しており、用件ボタン7aの点灯/点滅/消灯に関する処理を含むその他の処理に関する動作は省略している。用件ボタン7aの点灯/点滅/消灯に関する処理については、図6を用いて後述する。なお、図5に示すフローチャートにおいて、制御機2、廊下灯3および壁埋込形子機4の動作については説明を省略している。
まず、患者により何れかの用件ボタン7aが押下されたことを押下検出部701が検出すると(ステップS1)、呼出信号送信部702は、押下された用件ボタン7aを識別可能なボタン識別情報等を含む呼出信号を中継器5に送信する(ステップS2)。中継器5の呼出信号中継部501は、呼出信号送信部702により送信された呼出信号を受信し、特定の一の呼出種別の呼出信号としてナースコール親機1に中継する(ステップS3)。なお、図6を用いて後述するように、呼出信号中継部501が呼出信号をナースコール親機1に中継する前に、応答信号返信部506が第1の応答信号および第2の応答信号を用件伝達型子機7に返信している。
ナースコール親機1の呼出信号受信部101は、用件伝達型子機7から中継器5、壁埋込形子機4、廊下灯3および制御機2を介して送られてきた呼出信号を受信する(ステップS4)。報知処理部102は、呼出信号受信部101による呼出信号の受信に応じて所定の報知動作を行う(ステップS5)。この報知動作の最中、応答操作検出部103は、看護師による応答操作が行われたか否かを監視する(ステップS6)。
看護師による応答操作が応答操作検出部103により検出された場合、報知処理部102は、報知動作を停止する(ステップS7)。また、通話路形成部104は、中継器5との間に通話路を形成する(ステップS8)。ナースコール親機1と中継器5との間の通話路が形成されると、中継器5の合成音声生成部504は、ステップS3で呼出信号中継部501が用件伝達型子機7から受信した呼出信号に含まれるボタン識別情報に応じた音声データを音声データ記憶部511から読み出して合成音声を生成する(ステップS9)。
次いで、合成音声送信部505は、合成音声生成部504により生成された合成音声の音声信号をナースコール親機1に送信する(ステップS10)。ナースコール親機1では、中継器5から送信された合成音声の音声信号を合成音声受信部105により受信し(ステップS11)、合成音声出力部106がその合成音声の音声信号に基づいて合成音声をスピーカ111から出力する(ステップS12)。以上により、図5に示すフローチャートの処理が終了する。
図6は、用件ボタン7aによるエラー状態の報知に関する動作例を示すフローチャートである。この図6は、図5のステップS1からステップS3までの処理をより具体的に示したものであり、図5に示したステップ番号と同一の番号を付した部分は同一の処理内容を示している。なお、図6では、ある特定の用件伝達型子機7と、ある特定の中継器5との間でやり取りされる処理を示している。
上述した通り、患者により用件伝達型子機7の何れかの用件ボタン7aが押下されたことを押下検出部701が検出すると(ステップS1)、呼出信号送信部702は、押下された用件ボタン7aのボタン識別情報と、送信元となる自身の子機IDと、ペアリング登録されている送信先の中継器IDとを含む呼出信号を中継器5に送信する(ステップS2)。
中継器5の呼出信号中継部501は、用件伝達型子機7から呼出信号を受信したか否かを常時監視している(ステップS21)。そして、呼出信号送信部702により送信された呼出信号を呼出信号中継部501が受信すると、応答信号返信部506は、第1の応答信号を用件伝達型子機7に返信する(ステップS22)。図6では、呼出信号に含まれる中継器IDが特定の中継器5宛てのものであるため、呼出信号中継部501が呼出信号を受信でき、応答信号返信部506が第1の応答信号を返信した場合を示している。
仮に、呼出信号に含まれる中継器IDが特定の中継器5のものではない場合、その呼出信号は他の中継器5に向けて送信されているため、特定の中継器5において呼出信号中継部501が呼出信号を受信することはない。また、特定の用件伝達型子機7と特定の中継器5との距離が離れていて無線通信可能範囲内に存在しない場合も、特定の中継器5において呼出信号中継部501が呼出信号を受信することはない。呼出信号中継部501が呼出信号を受信しない場合は、応答信号返信部506が第1の応答信号を返信することもない。
用件伝達型子機7では、ステップS2で呼出信号を中継器5に送信した後、応答状態判別部705が中継器5から第1の応答信号を所定のタイムアウト時間以内に受信したか否かを判定する(ステップS23)。応答状態判別部705が第1の応答信号を所定のタイムアウト時間以内に受信しなかった場合、応答状態判別部705は、第1の状態に相当するエラー状態が発生していると判定し、そのことを表示制御部703に通知する(ステップS24)。表示制御部703は、この通知を受けて、ステップS1で押下を検出した用件ボタン7aを第1の速度で点滅させる(ステップS25)。これにより、用件伝達型子機7の処理が終了する。
中継器5では、ステップS22で応答信号返信部506が第1の応答信号を用件伝達型子機7に返信した後、ステップS21で受信した呼出信号に含まれる子機IDおよび中継器IDが、ペアリング情報記憶部512に記憶されているペアリング登録の内容と一致しているか否かを応答信号返信部506にて判定する(ステップS26)。ここで、ペアリング登録の内容と一致していると判定された場合、応答信号返信部506は第2の応答信号を用件伝達型子機7に返信する(ステップS27)。その後、処理はステップS3に進み、呼出信号中継部501が呼出信号をナースコール親機1に中継する。一方、ペアリング登録の内容と一致しないと判定された場合、ステップS27以降の処理を行うことなく、中継器5の処理が終了する。
用件伝達型子機7では、上記ステップS23で応答状態判別部705が第1の応答信号を受信した後、応答状態判別部705が中継器5から第2の応答信号を所定のタイムアウト時間以内に受信したか否かを判定する(ステップS28)。応答状態判別部705が第2の応答信号を所定のタイムアウト時間以内に受信しなかった場合、応答状態判別部705は、第2の状態に相当するエラー状態が発生していると判定し、そのことを表示制御部703に通知する(ステップS29)。表示制御部703は、この通知を受けて、ステップS1で押下を検出した用件ボタン7aを第2の速度で点滅させる(ステップS30)。これにより、用件伝達型子機7の処理が終了する。
一方、応答状態判別部705が第2の応答信号を所定のタイムアウト時間以内に受信した場合は、そのことを表示制御部703に通知する。表示制御部703は、この通知を受けて、ステップS1で押下を検出した用件ボタン7aを点灯させる(ステップS31)。この後、用件伝達型子機7では、中継器5から送られてくる応答通知信号を受信して応答表示ランプ7cを点灯させる処理や、復旧ボタン7dの押下により用件ボタン7aの点灯状態を解除する処理が実行されるが、図6では図示を省略している。
以上詳しく説明したように、本実施形態では、用件伝達型子機7(ナースコール子機)が呼出信号を中継器5(受信機)に送信したときに、無線通信に不具合が発生していないときに中継器5から返される通常の応答(第1の応答信号または第2の応答信号の何れかの受信)がなかった場合に、通常の応答とは異なる応答の状態(第1の状態または第2の状態)を判別し、判別された状態に応じた態様で用件ボタン7aを点滅させることにより、エラー状態の報知を行うようにしている。
このように構成した本実施形態によれば、無線式により構成された用件伝達型子機7において、中継器5に呼出信号を送信したにもかかわらず、中継器5から通常の応答が返ってこないという無線通信の不具合が発生した場合に、通常の応答とは異なる応答の状態に応じた態様でエラー状態の報知が行われるので、その報知の態様により、不具合の要因を容易に把握することができる。これにより、把握した不具合の要因に応じて適切な措置を迅速に講じることが可能となり、不具合の要因を特定して解消するまでの手間と時間を低減することができる。
なお、上記実施形態では、ペアリング登録を必要とする無線式のナースコール子機として用件伝達型子機7を用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ハンド形子機6を無線式で構成し、ハンド形子機6が備える呼出ボタン6aを点滅させることによってエラー状態の報知を行うようにしてもよい。その他、患者の操作によって呼出信号を送信するものであって、ペアリング登録を必要とする無線式のナースコール子機と言えるものであれば、何れも適用することが可能である。
また、上記実施形態では、ペアリング登録を必要とする無線式の受信機として中継器5を用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、壁埋込形子機4を無線式で構成し、ハンド形子機6や用件伝達型子機7などのナースコール子機から壁埋込形子機4が無線で呼出信号を受信して、それに応じて第1の応答信号および第2の応答信号を壁埋込形子機4から返信するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、用件ボタン7aの点滅によってエラー状態の報知を行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、通常に呼出信号を送信できた場合に現れる用件ボタン7aの発光状態と異なる態様で識別可能であれば、どのような態様で用件ボタン7aを発光させてもよい。例えば、通常時は押下された用件ボタン7aを第1の速度で点滅させ、第1の状態が発生しているときは用件ボタン7aを点灯させ、第2の状態が発生しているときは用件ボタン7aを第2の速度で点滅させるようにしてもよい。また、用件ボタン7aとは異なるLEDやディスプレイによってエラー状態の報知を行うようにしてもよいし、スピーカから出力する音声を利用してエラー状態の報知を行うようにしてもよい。
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。